説明
2022年になりました!今年1番初めにレビューさせていただく用具は、気分も新たにGEWO(ゲオ)のラバーからレビューさせていただきます。GEWOはドイツの卓球用具メーカーで、有名な契約選手はナイジェリアのQuadri Akinade Aruna(クアドリ・アルナ)選手になりますね。アルナ選手はGEWOと契約する前は、joola(ヨーラ)の契約選手でそのころからヒノキ系合板のラケットを使ってパワフルで豪快なラリーを展開する選手でした。アルナ選手の目立った戦績は、リオオリンピックでドイツの皇帝ティモ・ボル(Timo Boll)選手に勝利してベスト8に、昨年の世界卓球2021ヒューストンでもベスト8にと、高い成績を残していることがわかると思います。彼はjoola契約のころからヒノキ系合板ラケットを使用していました。少し余談にはなりますが、ヒノキ系合板ラケットについて、言及させていただきます。世界を牽引するButterfly(バタフライ)さんが、Garaydia(ガレイディア)シリーズを廃盤としてしまい、近年日本では少し人気が落ちてきているタイプがヒノキ系合板のラケットだと思います。打球感が非常に良くて、日ペン単板タイプを使用している選手がシェイクハンドへ変更したいときなどに、これらヒノキ系合板ラケットであるガレイディアシリーズ、他にはKong Linghui Special(孔令輝スペシャル)やSchlager(シュラガー)、Primirac Carbon(プリモラッツカーボン)、Gergely21(ゲルゲリー21)、Cofferlait(コファレイト)、Iolite(アイオライト)、Amultart(アムルタート)などを使おう、となったのではないかと思います。近年ではXIOM(エクシオン)のFeel ZX(フィールZX)シリーズがヒノキ系のラケットになりますね。katsuo000の父はコファレイトを愛用しており、いつかは頂戴しようと考えてますし、友人からシュラガーとSchlager Light(シュラガーライト)を拝借しており、さらにSardius(サーディウス)を加えて、ヒノキ系合板のしっかりとした比較レビューをしてみたいなーなどと思っております。
そんなヒノキ系のラケットを豪快パワフルに扱うアルナ選手が、ラバーに使用するのが今回レビューするGEWOのNEXXUS EL PRO53(ネクサスELプロ53)になります!自分も基本的にWRMさんが発信してくれた情報程度にしか理解しておりません。「GEWO」をググりますと、WRMのサイトと、英語のサイトがヒットするのではないでしょうか。GEWOの用具について簡単に確認していきたいと思います。
まず、GEWOの最新の裏ソフトラバーは「CODEXX」シリーズと「NEXXUS」シリーズになります。「CODEXX」シリーズは最近流行りのドイツ製粘着テンションであり「NEXXUS」シリーズがスピン系テンションラバーになりますね。
NEXXUS(ネクサス)シリーズ
英語の情報を拝見しますと、色々と書かれていますが、「NEXXUS」のEL系がスピン重視、XT系がスピード重視のラバーシリーズになるようです。
性能表になります。表からわかることは、どのラバーを使っても高いスピン性能が得られる、悪くいうとどのラバーも大差がない、といったところでしょうか。実際、同時期に試打した、Nexxus XT Pro 50 Hard(ネクサスXTプロ50ハード)と比較しても打球感に大きな差を感じませんでした。情報を拝見して、確かにELは回転に、XTはスピードに特徴があると感じはしましたが、なかなか大きな違いをすぐに感じることが難しいと感じました。こういったラバーの比較をするときは前情報がかなり重要であると再認識した次第です。
ちなみにWRMさんで手に入るのは、「Nexxus」のELシリーズとXTシリーズ、および粘着ラバーの「Codexx」シリーズで、「SuperSelect」はまだ扱っていないようです。最新のSuperSelectシリーズはカラーラバー自由化後の商品で緑も扱っており、こちらも気になった次第ですね。
それでは硬度計での比較になります。
Shore cを見てみましょう。Tenergy 05(テナジー05)と同程度の硬さで、Dignics 05(ディグニクス05)やDignics 09C(ディグニクス09C)よりは柔らかいことがわかりますね。重量はテナジー05よりも重く、ディグニクス09Cと同等となる点は要チェックですね。
次にshore aになります。shore aのシート側からとスポンジ側からの硬度差を確認すると、ディグニクス09Cよりも小さい値となったのは意外でした。手で触ってみるとネクサスELプロ53ハードはシートがやや柔らかいタイプと感じ、ディグニクスやドイツ製テンションラバーではなく、テナジー系に近いタイプのラバーだと感じていたのですが、硬度計ではどちらかというと差が小さくてドイツ製らしさのあるラバーとなった気がしました。実際試打すると、このshore aの結果とは裏腹に、やはりテナジーよりのラバーだと感じました。
Nexxus EL Pro 53の貼りと重量
NEXXUS EL Pro 53 Hard(ネクサスELプロ53ハード) ・Speed:133 ・Spin:124 ・Control: ・Sponge Thickness: 2.1 mm、maXXimum ・Sponge硬度:53° ・4,200 円 + 税 ・74 g(切断前) → 50 g(リーンフォースACに貼って)
YASAKAののり助さんを使って貼りました。想定より軽いと感じましたね。53°などの超ハードラバーは51~53 g位になるイメージでしたが、軽くなったのはある意味いい想定外かもしれません。
NEXXUS EL Pro 53 Hardの3つ特徴
ドイツ製のスポンジに日本製のシートを組み合わせたようなラバー
shore aの硬度測定結果から、どちらかというとドイツ製のスピン系テンションラバーらしい数値でした。実際につかってみると、一昔前のラバー、V>15 ExtraやFastarc G-1(ファスタークG-1)などのドイツ製テンションラバーほど扱いにくさや回転のかけにくさを感じませんでした。シートの硬さが絶妙で硬度計で測定すると硬いですが触ったり打球感としてはシートは柔らかく感じるラバーでした。つまり、回転は非常にかけやすく、スポンジの硬さや重量はドイツ製テンションラバーらしさがありますが、扱いやすさは日本製ラバーに近いものがある、といえると感じました。この扱いやすさと安さ(4,200円+税)はかなり魅力的だと思います。
しっかりくい込ませることで、しっかり回転がかかる!
思い切りバックハンドドライブをしてみたところ、結構回転がかかっていることを感じました!相手も回転量に驚いていたので、回転はかかります。ただし、かなりくい込ませてから力強くスイングしないとボールが軽くなってしまう感じもあるので、最大回転量は高いものの、そこを使いこなすには練習を要すると思います。回転量に変化が出やすい、と感じ、この特徴はどちらかというとドイツ製テンションラバーらしい特徴だと思います。回転量のばらつきで勝負できるラバーだと思います。
扱いやすい!適当に振っても相手の台におさまる!
一番いいと感じたのは、台へのおさまりです。相手の回転がわからなくても、ある程度打感と弾みのイメージで打つことで、相手のコートへコントロールしやすいと感じました。台上ドライブやチキータ、3球目ドライブやカウンターなど結構決まって気持ちよかったです!元WRMの下川さんがNexxus EL Pro 48(ネクサスELプロ48)へ変更したという情報もあったと思いますが、相手の台に意識しなくても容易に入れることができる感じをかなり感じました。ラリータイプの選手はこういったラバーがハマるのではないかと思います!
各技術レビュー
フォアハンド系
軽打
特に違和感ありません。結構弾むと感じました。
ロングボールやラリーでのドライブ
結構くい込むので、ある程度のスピードドライブは打てるのですが、回転量が少なそうと感じました。少なくともRasanter R53(ラザンターR53)の方がドライブが荒れていてパワフルで凄みを感じました。シートだと思うのですが少し柔らかさがあり、しっかりあまりくい込ませると板に当たってしまって弾いてしまうのでどこまでくい込ませてどこまで弾くかは、練習でつかむ必要はあると思います。使いにくさは全くありませんでした。
面を開いたドライブ
くい込みが良く非常にやりやすかったです。しっかり沈む感じもありました。
対下回転に対するループドライブ
昨今のドイツ製粘着ラバーと比べるとやや回転量不足を感じました。DNA Platinum XH(DNAプラチナXH)やラザンターR53の方が高い回転量を出しやすいと思います。
対下回転に対するスピードドライブ
スピードは申し分ないです!意外とくい込むので打ちやすかったです。
カーブ/シュートドライブ
スピードもかなりですので、曲がりにくいと感じました。もっと横をとってくい込ませればもちろん綺麗に曲がると思います。
ブロック
やりやすかったです。スポンジが硬いので相手の回転は扱いやすさの割には、ブロックで相手の回転量の影響は受けにくいと感じました。
カウンタードライブ
やりやすかったです。どちらかというとミート系のカウンターに近いカウンタードライブがやりやすいと思います。
ツッツキ
低く収まりますが、少し回転量はすくなそうです。
フォアサーブ
切れますが、少し回転量に不安を感じました。
バックハンド系
軽打
結構弾むと感じました。スピン系ですが、05系というよりも80系に近いと思います。
ロングボールやラリーでのドライブ
1球目から安定して入りました。かなりおさまりが良くて好印象でした。やはりバタフライのラバーと比較すると弧線は低めだと感じました。
対下回転に対するループドライブ
しっかり打てればかなり回転はかかります。バックでも扱えるくらい扱いやすいと感じるラバーでした。
対下回転に対するスピードドライブ
打ちやすかったです。重量50 gということで決して軽くはありませんが、マッドなラバーというわけでもないので、バックハンドでも十分にスピードドライブが安定して打つことができました。
ブロック
やりやすかったです。ただなぜ入ったのかわからない、とも感じました。好みが分かれそうな感じでした。
カウンタードライブ
やりやすかったです。どちらかというと回転で安定させるよりタイミングをあわせてミートでも良いかもしれません。
ツッツキ
少し浮きやすく、切りにくかったです。このあたりが許容できるかが、ポイントかもしれません。
チキータ
やりやすかったです。回転もかけやすかったです!ただ少し硬めのラバーなので、硬いと感じるなら硬度を下げると良いと思います。
他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
Rakza X > Nexxus EL Pro 53 Hard >Bryce Highspeed
スピード
Bryce Highspeed > Nexxus EL Pro 53 Hard > Rakza X