レビュー 970XX-KLC

説明

 中国のメーカー、YINHE(銀河)さんの用具レビュー、2つ目になります!WRMさんで販売されているラケットで、国内販売のラケットの中でもなかなか見かけない上板硬めのインナーラケット、970XX-KLCです。

 このラケット、国内販売されていませんが、WRMさんが対応してくれているようで、しっかりJTTAマークが入っています!公式の試合でも審判に見せずに使用可能になりますね。WRMさんでは、9,000円台で購入可能ということで、平均的なインナーカーボンラケットと同じくらいの値段でしょうか。

 中国の卓球メーカーは染色した上板が多く、どのような素材を使っているのか詳しくないのですが、自分が所有している染色した上板は、やや硬めの打球感だと思います。上板にリンバをもちいたインナーラケットはButterfly(バタフライ)さんのインナーフォースレイヤーシリーズ筆頭に球持ちのあるラケットで現在非常に人気です。インナーフォースレイヤーのラケットと比較すると、やや硬めの打球感になるのが、染色された上板の特徴だと思います。

 詳細な情報はないのですが、この970XX-KLCはDouble Happiness Shanghai(DHS)のHurricane 301(キョウヒョウ301)というラケットをスリムダウンしたようなラケットのように感じました。キョウヒョウ301は、馬龍選手のラケットHurricane Long V(キョウヒョウ龍V)の廉価バージョンのようなラケットで、やや重たくて扱いにくいラケットです。一方、970XX-KLCはキョウヒョウ301と似ていますが、ややブレード面積を狭くし、かつブレード厚さも薄くすることで、扱いやすさを上げたようなラケットだと感じました。ちなみに、キョウヒョウ301について、もう少し補足すると、Hurricane Long V(キョウヒョウ龍V)にかなり似ていて、インナーKLC(?)系ラケットになります。ただし、重量が90 gオーバーでかなり重量級の7枚合板のようなラケットになります。

先ほどから挙げているラケット、および現在katsuo000が見つけた上板硬めのインナーラケット、Tornado King Power(トルネードキングパワー)の比較スペックを示します。

・Hurricane Long V(キョウヒョウ龍V)
 158 × 150 mm、5.9 mm、89 ± g
 Limba(1+7) / Ayous(2+6) / ALC(3+5) / Ayous(4)
・Hurricane 301(キョウヒョウ301)
 158 × 150 mm、5.9 ± 0.1 mm、89 ± 3 g
 Dyed Koto?(1+7) / Ayous?(2+6) / KLC(3+5) / Ayous? Kiri?(4)
・970XX-KLC
 157 × 149 mm5.7 ± 0.1 mm85 ± 3 g
 Dyed Koto?(1+7) / Ayous?(2+6) / KLC(3+5) / Ayous? Kiri?(4)
・Tornado King Power(トルネードキングパワー)

 157 × 150 mm、5.8 mm、88 ± g
 Koto(1+7) /Ayous(2+6) /ALC(3+5) / Ayous(4)

 今回試打した970XX-KLCは、ブレード厚さは5.7 mmとインナーラケットの中でもかなり薄いラケットになりますね。またカーテン打ちの段階から明らかに扱いやすいことを感じました。扱いやすさの中に強い回転量を感じ、これは質が高いボールが打てておさまりのいいラケットだなと感じました。

970XX-KLCの特徴

操作性抜群な上板硬めのインナーカーボン!

 使ってみた感想として一番に感じたのは、キョウヒョウ301やキョウヒョウ龍Vと比較して圧倒的に操作性が高いことでした。この操作性は魅力的だと感じましたね。上述のとおり、キョウヒョウ301やキョウヒョウ龍Vはブレード面積が158 × 150 mmと、Butterfly(バタフライ)がレギュラーサイズと呼ぶ(157 × 150 mm)よりもやや広いんですね。張本智和インナーフォースシリーズはさらに大きい158 × 152 mmともっと広い面積になって、レビューを見ていても、思ったより重いという声もちやほやあるイメージです。
 ラケットを変更する際に、想像以上に影響が大きいのが、ブレード面積の違いだと思いますね。レギュラーのブレード面積のラケットが多いので、そのブレード面積に慣れていると、その面積よりも大きいラケットを握った時に、ラケットの重心の違いに慣れるのに、katsuo000の感覚的には最低でも1か月程度の時間を要するイメージがあります。それくらいラケットのブレード面積は小さな違和感なのですが、その違和感は小さくて修正が難しい印象です。過去にY.Y. Linkの横山友一選手もラケット試打をされている中で、張本智和インナーフォースシリーズのラケットを試打しているときに振り遅れることをおっしゃっていたように思います。この要因はブレード面積の違いが影響しているのではないかと想像します。

 少し余談が長くなりましたが、ブレード面積ってそれくらい微細で大きな影響を与えるブレード面積です。自分はレギュラーのブレード面積に慣れているので、現在メインに使っているVirtuoso AC(ヴィルトーソAC)もややブレード面積が広く、いいラケットなのですが、手を焼いています。一方970XX-KLCは他のキョウヒョウ301やキョウヒョウ龍Vと比べると、ブレード面積がレギュラーサイズに近いので、キョウヒョウ301やキョウヒョウ龍Vよりも明らかに操作性に違和感を感じにくかったです。これは非常にメリットだと思いました。

粘着ラバーとの相性抜群!

 この上板硬めの染色材ですが、中国メーカーが多数ラケットを発売していることからわかるようにめちゃめちゃ粘着ラバーとの相性が良いです。ループドライブの回転量はワンクラス上の回転量になる印象があり、武器になるループドライブがやりやすくなります。またアウターカーボンほど硬くないので、厚くボールを捉えてもボールをラバーにくい込ませつつ回転をかけに行ける感じがあります。粘着ラバーを使いこなしたい、粘着ラバーでループドライブを武器にしたいのであれば、上板硬めの970XX-KLCはかなり良い選択肢になると思います。一方で、自分がメインで使用しているヴィルトーソACや、他の上板が柔らかめのラケット、Reinforce AC(リーンフォースAC)やInner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)にHurricane (キョウヒョウ)などの中国製粘着ラバーをあわせると、ループドライブが棒球になりやすいと感じるかもしれません。キョウヒョウはどちらかというと、アウターカーボンにあわせた方がスピードと回転量が得やすい印象があります。キョウヒョウ龍Vも国家チーム用は、上板が硬いという情報もあります。やはり粘着ラバーを活かすには、上板硬めのラケットの方が良いのでしょう。
 WRMさんは粘着ラバーのラインナップが多く、かつ扱いやすさのある970XX-KLCはかなり、考え込まれた商品の一つだと感じました。つまりWRMさんのラバーを活かしやすいラケットとして970XX-KLCが販売されているのでしょう。もちろん、スピン系テンションラバーを貼っても良さは得られますが、この970XX-KLCを使うなら、粘着ラバーを貼りたくなるラケットだと思います。

バランスの取れた良質かつ安価な良いラケット!

 キョウヒョウ301やキョウヒョウ龍Vと比べると、どうしても尖った特徴、攻撃力は低いと思います。やはり圧倒的なパワーを有する選手が使って初めて活かせるラケットがキョウヒョウ龍Vといっても良いと思いますね。そのパワーがあるのであれば、やはり高級ではありますが、キョウヒョウ龍Vなどを購入すべきでしょう。一方で一般層などで、まだ粘着ラバーも上手に扱えない、だが粘着ラバーを使ってみたいなど、を感じているのであれば、まずは970XX-KLCを試してみることをオススメします。5枚合板の球持ちの良いラケットを使っていて、いきなり中国選手に憧れて、VISCARIA(ビスカリア)やキョウヒョウ龍Vを使おうとするとその難しさに断念してしまう可能性は大いにあると思いますが、この970XX-KLCなら移行用のラケットとして非常にバランスが取れていると感じました。しかも値段も非常にリーズナブルである点は助かると思います。970XX-KLCで粘着ラバーの良さを感じ、もっともっと粘着ラバーにこだわっていこうと感じたのであれば、中国トップ選手の扱うラケットへと移行していくと良いと思います。

おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

バックラバー

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フォアフリック

バックハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

チキータ

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量

回転のかけやすさ

スピード

飛距離

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