レビュー ブルーグリップC1(Blue Grip C1)

説明

 DONIC(ドニック)の2021年の粘着テンションラバー、Blue Grip C1(ブルーグリップC1)をレビューします。DONICのラバーといえば、ブルーとつくラバーが多いです。スピンのブルーファイヤシリーズ、スピードのブルーストームシリーズ、粘着テンションのブルーグリップシリーズとラインナップが多いのも特徴です。これは選手の技量にあわせて細かく硬度やシートを変更できるメリットをもたらしてくれるものだと思います。この2021年秋-冬の注目はBlue Storm PRO(ブルーストームPRO)で、ブルーストームシリーズ最新作のラバーになります。ブルーストームPROについては今後レビューしたいと思い発注済みなのですが、昨今ドイツ製ラバーの性能はかなりあがってきていて、進化型テナジーラバーとして、テナジーと同等かそれ以上の高い性能を持っているのではないかと期待しています。日本の選手の中では、愛工大名電の鈴木楓選手がDONICの用具を使用しているので有名だと思います。一時期ブルーグリップ系のラバーも使用していたようなのですが、ラバーに頼った癖ではなく、技術で繰り出す癖球を求めてブルーストーム系のラバーを使用されているそうですね。おそらく最新のブルーストームPROあたりを使用しているのではないかと思われます。2022年1月の全日本選手権での活躍が楽しみですね。

 そんなDONICのラバーの中でも異色を放つラバーとして発売されたのが本ページでレビューするBlue Grip C1(ブルーグリップC1)になります。このブルーグリップC1はXIOM(エクシオン)のOmega VII China Ying(オメガVIIチャイナ影)と同時期に販売されたラバーでスポンジ硬度は60度の超ハードラバーになります。先に発売されたオメガVIIチャイナ影のコンセプトが「中国ラバーキョウヒョウを超えるラバー」であったため、このブルーグリップC1も同様に超ハードなドイツ製粘着テンションラバーとしてのイメージが強いラバーだと思います。実際ドイツ基準の硬度で比較した際にここまで硬いラバーは他にはオメガVIIチャイナ影しか存在せず、意欲的なラバーの1枚だと思います。既にレビューされているものを拝見すると、オメガVIIチャイナ影と比較すると使いにくさが丸くなって、スピードと扱いやすさの上がったラバーというものが多い印象でした。実際のところどうなのでしょうか。

 メーカーの日本語における説明は以下のようになります。

パワー派も納得のスピンラバー。

 かなり硬めに作られた60度の気泡系ブルースピードスポンジと、最高の回転性能としっかり掴むグリップ感を持つ粘着のトツプシートが、大きなカタパルト効果を生み出します。強粘着ラバーでフォアドライブの威力を武器とする選手におすすめです。

https://www.donic.jp/

性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

 ブルーグリップC1が最も高いスピン性能で11+++になっています。バランスがとれているのは最新のブルーストームPROであることも、公表性能値からわかりますね。続いてkatsuo000の硬度計比較になります。

  やはり、硬度比較をするとラバーの特徴が出ますね。katsuo000が所有しているDONICさんのラバーの中でも重量級でかつ、硬いのがブルーグリップC1になりました。一方、かなり上に上がって回転がかけやすいと感じたブルーファイヤJP01ターボはテナジー05と同じ重さで少し柔らかめですね。shore a硬度のシート側とスポンジ側の差をとると、JP01ターボとテナジー05の値がかなり近くなりました。これは偶然ではなく、JP01というネーミングにもあるようにかなりテナジー05を意識して当時作られたのがJP01なのでしょう。Z1ターボやM1ターボはやはり、JP01ターボよりも差が小さく、ディグニクス05よりは差が大きいので、ドイツ製スピン系テンションの中では、扱いやすいラバーと言えるのかもしれません。ブルーグリップC1は明らかに差が小さく、くい込みにくさを物語っていると思います。ブルーグリップC1はかなりくい込みにくいので、あとはどれだけ癖球が出しやすいかが一つの評価軸になるなーと思います。

ブルーグリップC1の貼りと重量

 今回はキョウヒョウ龍5に貼りました!

 強粘着というフレコミですが、昨今のドイツ製粘着テンションらしく、粘着感は低くほぼ微粘着系のラバーだと思いました。キョウヒョウ龍5がブレード面積の広いラケットということで、かなり重たくなったのも特徴的かと思います。重量は57 gで、オメガVIIチャイナ影と比較すると若干軽いかな~くらいで、明らかな超ヘビー級です。Nittaku(ニッタク)さんのHurricane Pro III Turbo Blue(キョウヒョウプロ3ターボブルー)の65 gと比べると、あそこまではいかないものの、というラバーだと思います。

Blue Grip C1(ブルーグリップC1)
 粘着テンション
 Made in Germany
・Sponge Thickness: 2.0 mm、Max
・Speed:11
・Spin:11++
・Sponge硬度:60
・オープンプライス (4,363円)
・82 g(切断前) → 57 g(キョウヒョウ龍5、158 × 150 mmに貼って)

ブルーグリップC1の3つの特徴

 正直、オメガVIIチャイナ影に慣れつつあるので、扱いやすさの正確な比較ができているか怪しいのですが、癖球というよりもラバーの硬さと回転量が目立ったラバーだと感じました。

オメガVIIチャイナ影と比較すると硬度60度のスピン系テンションよりのラバー

 同じ硬度のオメガVIIチャイナ影との比較が多くなりますが、オメガVIIチャイナ影がモチモチ感のあるラバーであったのに対し、このブルーグリップC1は架橋密度の高いカチコチのラバーでした。くい込みにくさがある一方でオメガVIIチャイナ影よりもミート系の技術がやりやすいようなラバーになっていると感じました。ドライブのしやすさが売りのキョウヒョウ龍5に対しては、かなり相性が悪いようなラバーとも感じましたね汗。オメガVIIチャイナ影のように粘着の癖を求めて使用するラバーと比べるとスピン系テンションラバーよりの粘着ラバーであり、より圧倒的な回転量を求めるようなラバーだと感じました。

粘着ラバーなのにめちゃめちゃ弾む!

 オメガVIIチャイナ影と同じく、粘着ラバーではありますが、驚いたのがそのスピード性能です。広めの体育館だったので遅さは感じましたが、それでもキョウヒョウと比べると抜群に高いスピード性能でした。同じくオメガVIIチャイナ影でも感じたことですが、ここまでスピードが出てしまうと回転をかける前に飛び出してしまうので、自ずとあわせるべきラケットはインナーカーボンか木材合板系ラケットになるとも感じました。どんなに飛ばしたくても、インナー系にとどめないと弾み過ぎて回転量を乗せたドライブがしづらくなり、ドライブの質が下がると思います。あわせるべきラケットは木材合板系やインナーカーボンラケットとなるといって間違いないでしょう。

下回転打ちがしやすい!

 オメガVIIチャイナ影に慣れてきて感じることですが、対下回転スピードドライブの打ちやすさをこのブルーグリップC1でも感じました。ただし、オメガVIIチャイナ影のようにモチモチ感を感じにくいので、スマッシュのようなスピードドライブになりやすいとも感じました。このあたりは技量や感覚に依存する部分だと思います。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 ボールを受けた印象としては、キョウヒョウのような弾まない、という感じはなく、普通にスピン系テンションラバーのように感じました。 

ロングボールやラリーでのドライブ
 自分の腕による部分もあると思うのですが、モチモチしたラバーではなく、コチコチなラバーなのでくい込みが悪くついつい弾いてしまう感じがありました。それでしっかり弾むのでキョウヒョウ龍5に貼っていてもミートがしやすいラバーでもあると思いました。しかしドライブの味や癖がその分出にくいとも感じました。スピン系テンションラバーのように使おうという意味でありかもしれませんが、重いしスピン系テンションラバーほどスピードが出るわけではないので、やはりドライブしたいところだと思います。

面を開いたドライブ
 このラバーの良いところは、結構雑に打ってもドライブが入ってしまうことだと感じました。回転をかけれている感じはあまりなかったのですが、インパクトでスピードドライブが入ってしまう感じがあるかもしれません。

対下回転に対するループドライブ
 キョウヒョウ龍5とハードなラバーの組み合わせなので粘着ラバーでなくても強回転の強烈なループドライブが打ちやすかったです。ラバー全体が硬いので、シートはそこまで硬くはないのですが、飛び出しが良いと感じました。最近のドイツ製粘着テンションラバーは飛び出しが良いので、ネットを狙う位で低いループドライブになるかと思います。 

対下回転に対するスピードドライブ
 打ちやすかったですね。ただ、回転量が低い気もしました。スピン系テンションラバーよりも粘着および粘着テンションラバーの方が、打点を落としてもスピードドライブにできる位ボールが沈むので急いで動く必要がないのは楽だなーと感じました。自分は癖で、スピードドライブを打とうとするとスマッシュ気味に身体を使ってしまうので、もう少し重心を固定して胴の旋回で打つようにしたいところですが、雑でも入るところは楽でよかったです。 

カーブ/シュートドライブ
 おそらくキョウヒョウ龍5のおかげで、かなり曲がると感じました。アウターカーボンだとここまで曲がらないと思います。

ブロック
 ブロックはしやすかったです。ボールが落ちないんですよね。ここが最近のドイツ製粘着テンションの良いところかもしれません。キョウヒョウなどは落ちると思います。キョウヒョウの場合は上にあげるように打つことになると思います。 

カウンタードライブ
 やりやすかったです。ここまで重いと相手のドライブの回転を食らわないので強引に持っていける感じがありますね。 

ストップ
 しっかり止まります。粘着ラバーなので止まらないと困りますが。 

ツッツキ
 フォアは切るのが下手なので切れているようには感じませんでした。 

フォアフリック

サーブ
 しっかり切れました。

バックハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

チキータ

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Hurricane(キョウヒョウ)系 > Dignics 09C ≧ Blue Grip C1 > Dignics 05

スピード
 Dignics 05 > Blue Grip C1 > Omega VII China Ying > Rhyzen ZGR > Hurricane(キョウヒョウ)系

SNSでもご購読できます。