レビュー Evolution EL-S(エヴォリューションEL-S)

説明

 TIBHAR(ティバー)さんの注目ラバー、Evolution EL-S(エヴォリューションEL-S)をレビューさせていただきます。TIBHAR(ティバー)といえば、引退しても僕らの伝説ベラルーシの巨人Vladimir Samsonov(ブラディミル サムソノフ)選手が契約するドイツメーカーになります。あと最近では、元オランダ代表、水谷隼選手のプライベートコーチも経て、You Tubeでティバーを売り込みまくるG.C. Foerster(フォースター)さんや、ルーマニアの美人選手Bernadette Szocs(スッチ)選手もティバー契約の選手ですね。東京オリンピックで張本智和選手をフルセットで粘り勝って存在感を際立たせたスロベニアのDarko Jorgic(ヨルジッチ)選手もティバーの契約選手です!

 そんなティバーさんのラバーの一つ、エヴォリューションEL-Sをレビューします。ハイエンドラバーとして契約選手が多く使用するラバーがEvolution(エヴォリューション)シリーズになります。現在Evolution(エヴォリューション)シリーズは最新最高性能のMX-D、硬度3種×シート2種=6種類とMX-Pの50°を足して全部で8種類のラバーが販売されています。2021年に発売された最新MX-Dは明らかに他のEvolutionシリーズのラバーと一線を画すようなラバーになっています。そちらについてはレビューを挙げていますので、是非そちらをご覧ください。
  Evolution MX-D(エヴォリューションマキシマムダイナミック)のレビュー
   : https://katsuo000.com/review_evolution_mx_d/
 Evolutionシリーズに戻り、硬度の種類3種とは、MX(マキシマム=約47.5°)、EL(エラスティック=約43°)、FX(フレキシブル=約40°)になります。そしてシートの種類2種とは、P(パワー)とS(スピン、微々粘着シート)になります。このページでレビューするのは、硬度が約43°でEL(エラスティック)、つまり中間硬度のスポンジに微々粘着シートを組み合わせたEL-S(エラスティックスピン)のレビューになります。EL-Sはヒットラバーで、TIBHARさんも11年ぶりに雑誌卓球王国にカラー広告を出したそうですね。プラボールが硬くなって、中間硬度のラバーは主にバック側に貼ることが多くなった現在、バック側ラバーに非常に最適なラバーがEL-Sになると思います。TIBHARさんのホームページに掲載されているEL-Sの情報を確認してみましょう。

Evolution EL-S
●最新世代のノンスリップシート
●再度搭載!弾性アップに繋がる気泡の粗いミディアムスポンジ
 長い球持ち、回転量、耐久性に富んだMX-S系のシートに、MX-Sでは搭載されなかった、シリーズ最大の特徴である気泡の粗いスポンジを中間硬度で採用しています。その結果、「ボールが重くなる」というノンスリップラバーの本領をいかんなく発揮してくれます。前中陣において幅広くプレーの質を上げられるラバーが出来ました。EL-Sで”エボリューション”を体感してください。

http://www.tibhar.jp/rubber.htm

 エヴォリューションのMX-PとMX-Sは、硬度が45.7~47.7°と同硬度なのですが、実際に使ってみるとMX-Sの方がシートが硬いためにより硬く感じると思います。これと同様に、EL-PとEL-Sを比較すると硬度がEL-P:42.4~44.4°に対し、EL-S:43.8~45.8°と公表の硬度も硬くなっています。このあたりもドイツ製スピンテンションラバーらしさを感じられると思います。

性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

 *Evolution MX-P(エヴォリューションMX-P)とEvolution MX-S(エヴォリューションMX-S)のスピード、スピン性能が同値であるため、同じ場所にプロットされています。EL-Sはなんと、MX-SやMX-Pよりもスピン性能が高いラバーでスピンテンション系ラバーの中ではMX-Dの次にスピン性能が高いラバーになります。これはかなり期待ができるラバーといえるでしょう!続いて硬度計での硬度比較です。

 中間硬度ということでテナジー05はもちろん、MX-P、MX-Sよりもあきらかに柔らかいですね。シートは硬い感じです。今後も触れると思うのですが、このEL-Sは、Joola(ヨーラ)さんのRhyzer Pro 45(ライザープロ45)、Rasanter R45(ラザンターR45)などのラバーにかなり近いと感じました。これらのラバーの共通点はミドル硬度のスポンジで、シートが硬いラバーになりますね。

EL-Sの貼りと重量

 いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

Evolution EL-S(エヴォリューションEL-S)
 回転系テンション OFF+
・Sponge Thickness:1.7/1.9/2.1 mm
・Speed:123
・Spin:122
・Control:85
・Sponge硬度:43.8-45.8°
・6,000円 + 税
・73 g(切断前) → 49 g(張継科ZLCに貼って)

 中間硬度のラバーのわりには重たいという印象です。

Evolution EL-Sの3つの特徴

シートもスポンジもボールをめちゃめちゃ持つ!

 シートが微々粘着系シートということで、触って粘着を感じるわけではありませんが引き攣れが非常に良いと感じました。またスポンジへのくい込みがとても良いのでラバー全体でもっちりボールを持ってくれると感じるラバーでした。ハードなラバーだとこの球持ちの時間が非常に短いのでドライブを打った時の球離れも早く感じますが、中間硬度のラバーは全体的に球持ちが非常に長いのでその球持ちの時間で相手のタイミングを狂わせることが出来る位ボールの球持ちを感じさせてくれるのがEL-Sでした。また先述の同じような中間硬度かつシートが硬いラバーであるR45やライザープロ45と比較するとEL-Sは、球持ちと弧線の高さに特徴を感じました。R45やライザープロ45は全体的に柔らかさの中にミートのしやすさ弾きの良さがあるのですが、EL-Sが最も球持ちと回転性能を意識したラバーだと感じました。またこれだけの球持ちがあるラバーですので、回転量も抜群に高いと感じました。

バックでもフォアでもオススメできるラバー

 中間硬度のラバーはやはりバック向きというのが一般的だと思います。このEL-Sも例にもれずバックで使うのに非常にオススメしやすいラバーでした。チキータやバックハンドドライブは弱くてゆっくりスイングでも持ち上がり相手コートに入れやすいと感じました。また他の中間硬度で柔らかいラバーの中でもシートのグリップ力が強いのでツッツキが浮きにくいと感じました。この当たりも好感触でした。
 個人的に感じたのが、フォアでも使えるという感覚でした。他のR45やライザープロ45と比べるとEL-Sがやや硬く球持ちが良いこともあってフォアでも十分にオススメできるラバーだと感じました。フォアにオススメできる点というのは、EL-Sは球持ちの良さから得られるサーブの回転量、ドライブのしやすさ、特に打球点を落とした時の弧線の出しやすさがあるからですね。フォアで使っていても非常にイメージ通りにドライブができて良かったです。コースを狙いやすく丁寧でラリー志向な卓球を目指すのにも良いと感じました。

TIBHARのラバーらしく、ミートもイケるし弾みもある!

 回転をかけやすいのに、いざミートや弾き強めに打ってみると、思ったより飛距離が出ると感じました。このあたりはTIBHARらしいと感じましたね。扱いやすいのにミートや弾きはかなり強烈です。ただバタフライのラバーや粘着ラバーではないので、ミート系や弾き気味に打つと回転量が落ちるというのは感じました。おさまらずに飛んで行ってしまう感じがありますね。ただ慣れるとTIBHARの選手のようにノータッチエースを取りまっくたり、カウンターも決めやすいのだと思います。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 特に違和感なかったです。

ロングボールやラリーでのドライブ
 少し柔らかすぎてエネルギーロスを感じました。普段は50°かそれ以上のラバーを使っているので、当然なのかもしれません。ボールが浅く入りやすいですね。中間硬度のラバーを使うときはさらにじっくりボールを引き付けた方がエネルギーロスが減るような気がします。また思い切りドライブをたたき込もうとすると、どうしても回転量の低さを感じました。ただスピードは抜群に出るので引き合いや中陣からのしのぎあいは楽しくなるラバーだと思います。またかなりギリギリまで引き付けることができるし、弧線も作りやすいラバーですので、逆をついたりネット際に落としたり、とドライブで技巧的に攻めることがしやすいラバーかもしれません。

面を開いたドライブ
 くい込み過ぎ、というのが第一印象ですが、シートのグリップ力のおかげか、面を開いてもドライブはしやすかったです。非常に回転量が多くてしっかりボールが沈ませることが出来ると感じました。

対下回転に対するループドライブ
 安心感のある打球感とネット際に落とすループドライブがやりやすいと感じました。インパクトを強くしてもボールが飛び出ないので、かなり質の高いループドライブがやりやすいと感じました。これだけでもマズマズ武器にできると思います。この点がかなり好感触でした。

対下回転に対するスピードドライブ
 個人的にはやりにくいと感じました。自分の打ち方だとスピードを出し過ぎてボールが沈まないんですよね。もう少し面を開いてぶつけながらもしっかり回転をかけるような打ち方をしないと相手のコートに安定して入れられないと感じました。ただこの打ち方だとエネルギーロスも感じると思うので、ぶつけ打ちならEvolutionのMX系の高硬度のスポンジのラバー(MX-P、MX-S、MX-D)の方がいいボールが打てると思います。あとは、ミドル硬度ということでこすり打ちでスピードドライブする方法もあると思います。ただし最大スピードは落ちるかもしれません。

カーブ/シュートドライブ
 ボールを浅くコントロールしやすいので曲げやすいと思います。

ブロック
 これは比較的やりやすかったです。ただし相手の回転の影響も受けやすいとも感じました。このあたりは好みがでそうです。

カウンタードライブ
 少しくい込みが良いので回転をかけかえそうとすると抑え込みにくいかもしれません。ミート系の方がいいかもしれません。

ストップ
 
シートのおかげか止めやすかったです。飛び出しが少ないのは好感触でした。切れなくはないと思います。

ツッツキ
 こちらも浮きにくいですが少し、ボールは軽そうでした。

フォアサーブ
 しっかり切ることができて良かったです。

バックハンド系

軽打
 柔らかいので、ついつい厚く当てて弾いてしまいやすいと思いました。中間硬度のラバーってこういうところが難しいですよね。

ロングボールやラリーでのドライブ
 ディグニクス05やテナジー05と比較すると弧線が出にくいので、下がると難しいと感じました。でも硬いラバーと比べるとスイングスピードは遅くて、弱い力でも簡単にドライブはかかるので安定感と安心感は非常に感じますね。

対下回転に対するループドライブ
 安定感ありました。よかったです。ただし、回転量の最大値は低いかもしれません。これは自分のバックハンドドライブの技量不足かもしれません。個人的には相手のボールをギリギリまで引き付けられるのはバックハンドでは嬉しい点だなと感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 フォア以上に難しいと感じました。ここはさらに腕不足を感じました。

ブロック
 非常にやりやすかったです。ミート系のボールもブロックしやすいですね。

カウンタードライブ
 ライザープロ45でも感じましたがミート気味のカウンターが良かったです。

ストップ
 浮かずやりやすかったです。EvolutionシリーズはSタイプのシートが好みですね。

ツッツキ
 切れなくはないですが最大限切ろうとするとかなり難しい印象でした。カットマンのように打球点を落とした方が切りやすいと思います。

チキータ
 やりやすいです。弱い力で入れやすいですね。威力は低めです。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Evolution MX-D > Evolution EL-S ≧ Quantum X Pro

回転のかけやすさ
 Tenergy 05FX > Evolution EL-S > Evolution MX-S

スピード
 Quantum X Pro > Evolution EL-S > Tacky rubber (such as Hurricane)

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