説明
Nittaku(ニッタク)のラケット、Tornado King Speed(トルネードキングスピード)をレビューさせていただきます。Nittakuといえば、日本一売れているラバー、Fastarc G-1(ファスタークG-1)と、試合球のスリースターが有名だと思います。
そのNittakuさんの今回はラケットのレビューになります。Nittakuのラケットといえば、弦楽器シリーズが有名だと思いますが、今回はアウターカーボンで粘着ラバーと相性が良いと想像されるトルネードキングスピードになります。
トルネード≒ハリケーン≒Hurricane(キョウヒョウ)ということで、要は紅双喜(Double Happiness Shanghai、DHS)のHurricane(キョウヒョウ)ラケットシリーズを意識した仕様になっていると言うことですね。またKing≒王≒Wangということで、Hurricane Wang(キョウヒョウ王)シリーズに類似仕様のラケットだということがわかります。katsuo000はキョウヒョウ王シリーズを試打したことがないのですが、木材合板系のラケットという認識になります。キョウヒョウ王シリーズは、元世界ランキング1位の王励勤(Wang Liqin)選手の使用していたラケットシリーズになりますね!katsuo000が学生時代に世界チャンピオンとして、そしてエゲツないパワードライブで大活躍していたイメージがあります!有名な選手ですので、もちろんWikipedia(ウィキペディア)のページもある選手になりますね!
https://ja.wikipedia.org/wiki/王励勤
印象的なパワードライブには、かなり憧れましたし、TT埼玉の坂本竜介監督もそのドライブの凄さについて言及されています。この時代は有機グルー全盛期ですので、5枚合板などの木材合板ラケットを使用する選手が多いですね。ただし、王励勤選手も同時代のMa Lin(馬琳)選手も100 gという重量級のラケットを使っていたらしいです。フィジカルがもの凄いですね汗。また、コロナ禍になってHarimoto Tomokazu Inner Force ALC(張本智和インナーフォースALC)へ変えてしまいましたが、トップ選手の森園政崇(もりぞのまさたか)選手も、コロナ前はDHS製のキョウヒョウ王を使用していました。ちなみにキョウヒョウ王は5枚合板系のラケットになります。
今回レビューするTornado King Speed(トルネードキングスピード)はNittaku(ニッタク)製のラケットで、ケブラーカーボンをアウターに配したラケットになります。ちなみにインナーにアラミドカーボンを配するとTornado King Power(トルネードキングパワー)になります。Nittakuのパンフレットを拝見すると、ブレード厚は5.7 mmでアウターアラミドカーボンということで、Butterfly(バタフライ)さんのZhang Jike ALC(張継科ALC)とほぼ同じラケットではないかな、と想像して購入しました。ただし、張継科ALCはブレード厚は5.8 mmでトルネードキングスピードの方が0.1 mm薄いというのも認識しての購入です。katsuo000は薄いラケットの方がしなって好きなので、0.1 mmでも薄いなら欲しいな~と思ってしまいました。Nittakuでは他にもFlyatt Carbon Pro(フライアットカーボンプロ)が、バタフライのViscaria(ビスカリア)と類似のアウターケブラーカーボンかつブレード厚さが6.0 mm以下のラケットとして販売されています。しかもその価格は、8,800円+税で、割引込みで7,000円以下で購入可能という非常に良心的なラケットでもあります。こちらのラケットもkatsuo000は注目してたりしますね汗。普段から張継科ALCを使用しているので、全く一緒なのか、それとも異なるのか、異なるならどのように異なるのか、レビューさせていただきます。
引用
それでは、Nittakuのパンフレットから説明を引用させていただきます。
高いスピード性能と安定性を備えたトップ仕様!
Nittakuのホームページより https://www.nittaku.com/products/rackets/post-25
表面板を厚くし、球持ちの良さと硬すぎない打球感を実現することでスピードドライブの回転量がパワーアップ!高反発でマイルドな打球感のケブラー®カーボンをアウターに搭載し、さらにスピード性能を高めています。
アウターカーボンということで、球持ち+スピード性能が特徴ということでしょう。それ以外はやはり試打しないと何ともいえないですね。
ケブラー®カーボン
Nittakuさんは種々のカーボン素材を扱っています。その中でも、ケブラー®カーボンはハードで弾むカーボン素材として紹介されていますね。
Nittakuの特殊素材性能一覧: https://www.nittaku.com/wp-content/uploads/2021/02/014e81e041795bf66270a13699eb8bb7.pdf
ちなみにケブラー(Kevlar)とは、Dupont(デュポン)社によって開発された世界初のスーパー繊維で、防弾チョッキなどに利用されている繊維になります。
パラ系アラミド繊維ともいわれる材料で、硬さのある繊維になりますね。化学構造の観点から申し上げると、アリールカーボン(ALC)よりもケブラー®カーボンの方が、水素結合の影響によって硬くなると思います。卓球王国さんでは、どちらも同じ扱いをしますが、細かく考えるとNittakuさんの表記のようにケブラー®カーボンの方が硬くなると思います。ドイツのメーカーでもKVLカーボン≒ケブラーカーボンを使用しているラケットが複数あり、基本的にはALCとケブラー®カーボンは似ているで良いとは思いますが、化学構造としては異なりますね。katsuo000は、卓球王国さんに従い、同じカテゴリーとして採用しています。
ブレード情報と比較
仕様をみれば大体どのようなラケットか、わかる人にはわかると思います。katsuo000が参考にしている「TT BLADES DATABASE」さんを参考にしました。
TT BLADES DATABASE: https://stervinou.net/ttbdb/index.php
種々のサイトでブレード構成について議論や情報が出ていて、何を参考にするかは難しいところです。個人的な意見として、重要なことは特殊素材の位置と上板(表面板)の素材であり、他は正直違いがあまりわかりません汗。上述のサイトは英語にはなりますが、各木材についても言及してくれているので非常に参考になると思います。
Tornado King Speed: Limba (1+7) /KVC (2+6) /Ayous (3+5) /Kiri (4)、 5.7 mm
Zhang Jike ALC: Koto (1+7) /ALC (2+6) /Limba (3+5) /Kiri (4)、 5.8 mm
Viscaria: Koto (1+7) /ALC (2+6) /Limba (3+5) /Kiri (4)、 5.8 mm
Marcos Freitas ALC: Limba (1+7) /ALC (2+6) /Limba (3+5) /Kiri (4)、 6.0 mm
ということで、参考にさせていただいている「TT BLADES DATABASE」によるとトルネードキングスピードはなんと上板にリンバを採用しているっぽいんですよね!バタフライさんのラケットで上板にリンバを使用しているラケットは、Marcos Freitas ALC(フレイタスALC)(または旧Maze(メイス))とMizutani Jun ZLC(水谷隼ZLC)になると思います。katsuo000はリンバの打球感は大好きである一方、威力不足を感じて上板にコト材を使用する張継科モデルのラケットを使おうとしてきました。(最近は球持ちを求めてインナーカーボンを好んで使っていますが。「TT BLADES DATABASE」の情報からもわかるようにインナーカーボンラケットは上板にリンバを使っているものが多いですね。)
木材らしい打球感や球持ちを求めると上板リンバの打球感は非常におすすめです。木材合板から、いきなりTimo Boll ALC(ティモボルALC)やViscaria(ビスカリア)などの王道アウターカーボンはやはり打球感が硬いので難しいと思います。バタフライさんのラケットならフレイタスALCが良いと思いますね。ただし、ブレード厚さが6.0 mmと他のALCアウターラケットよりも0.2 mm厚いんですよね。トルネードキングスピードは、5.7 mmとむしろ薄いので、弾みやスピード面で少し大人しくなると思いますが、木材合板ラケットからの移行であれば、トルネードキングスピードは非常に良い選択肢となる可能性があると思いました。
Tornado King Speedの特徴
これは上板リンバ!アウターカーボンでよくつかむ!
インナーカーボンと一緒に使ってみたのですが、「これは上板リンバだ!」と確信しました。インナーカーボンラケットと比較して打球感の違和感がほぼなかったですね。そして、インナーカーボンの後に打った時に楽と感じたので、弾みとスピードは明らかにトルネードキングスピードの方があると感じました。つまり、情報どおりということですね。バタフライのラケットにはないラケットで、非常に良い選択肢になると感じました。このトルネードキングスピードならアウターカーボンラケットでも球持ちを感じやすく、かつ、ブレード厚さが薄いのでしなっておさまりも良くて非常にオススメのラケットだと感じました!
5.7 mmのブレード厚さで、よくしなりよくおさまる!
アウターカーボンだとレシーブが浮きやすかったり、思い切り打った時にオーバーミスということがあると思うのですが、このトルネードキングスピードは5.7 mmと他の類似の合板構成のラケット(だいたい5.8 ~ 6.0 mm)と比較して薄く設計されているので、しなっておさまりが良かったです!これは素晴らしいですね!一発で好きになりそうでした!ただし、腕にもよると思いますが、弾むスピン系テンションをあわせたときに、少しボールが軽くなりそうだな、と感じました。グリップ力のあるラバー、または粘着ラバーなどとあわせると、ラケットの弾みが補うので非常に相性が良いと思います!
木材合板やインナーカーボンから移行しやすい!
木材合板やインナーカーボンを使っていてさらにスピード性能を求めるのであれば、トルネードキングスピードは、スムーズに移行しやすく良い選択肢になるでしょう!katsuo000はReinforce AC(リーンフォースAC)でも弾むと感じるくらいでしたので、アウターカーボンで探すなら、トルネードキングスピードよりももっとブレードの薄いAcoustic Carbon(アコースティックカーボン)の方が良いかなーなどと思いました(試打したことないので、わかりませんが、性能的にはアコースティックカーボンだと思い、書かせていただいてます。今後試打してみたいと思ってます)。インナーカーボンからさらにスピードと飛距離を求めるならぜひトルネードキングスピードがおすすめです!
おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)
フォアラバー
バックラバー
各技術レビュー
フォアハンド系
軽打
ロングボールやラリーでのドライブ
面を開いたドライブ
対下回転に対するループドライブ
対下回転に対するスピードドライブ
カーブ/シュートドライブ
ブロック
カウンタードライブ
ストップ
ツッツキ
フォアフリック
バックハンド系
軽打
ロングボールやラリーでのドライブ
対下回転に対するループドライブ
対下回転に対するスピードドライブ
カーブ/シュートドライブ
ブロック
カウンタードライブ
ストップ
ツッツキ
チキータ
他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
Zhang Jike ZLC > Tornado King Speed > Mizutani Jun ZLC
回転のかけやすさ
Reinforce AC > Tornado King Speed > Zhang Jike ALC
スピード
Zhang Jike ALC > Tornado King Speed > Reinforce AC
飛距離
Zhang Jike ALC > Tornado King Speed > Reinforce AC