レビュー TRiAD (トライアド)

説明

 WRMさんのチャパさん設計・監修のラケット、TRiAD (トライアド)をレビューします。このラケットは特徴だらけのラケットで、ブロガー冥利につきます笑。板厚5.5 mm、11枚合板ラケット、ラケット重量95±5 g、特徴的なラケット形状と、1つだけでも特徴として挙げられるのに、これだけ揃っていると、数え満貫のような特徴だらけのラケットになりますね。一つ一つ触れていきたいと思います。まず合板に関してですね!

合板構成

5枚合板

 最もオーソドックスな合板構成は5枚合板になります。例えば、2023年新発売のMizutani Jun Major (水谷隼メジャー)は初心者向けの5枚合板ラケットになりますね。この5枚合板が最もオーソドックスなラケットと表現されます。各社、1種類はこのオーソドックスといわれる5枚合板ラケットを販売しており、非常に安価な値段で販売しています。でも、間違えないで欲しいことが5枚合板は初心者のためのラケットではなくトップ選手も使用するラケットであることです。例えばギリシャのGionis Panagiotis (ジオニス)選手はカットマンですが、 Butterfly (バタフライ)の名作で名高いPetr Korbel (コルベル)という5枚合板を使用しています。板厚は平均的な5.9 mmで5枚合板の中ではやや薄い方ですが上級者でも使用するラケットですね。上級者が使用する5枚合板はおそらく弾みや威力を求めてやや重量の重い固体であることが多いと思います。個人的にも5枚合板はかなり手に響くので重くて重量のあるラケットの方が中級者以上は安定感と威力が出るので良いと思いますね。個人的にオススメはVirtuoso + OFF (ヴィルトーソ+OFF)ですね。

7枚合板

 5枚合板を基準に、さらに合板数を増やしたラケット構成が7枚合板ラケットになります。7枚合板ラケットは5枚合板ラケットよりも剛性感の強いラケットとなる傾向にあります。そもそも貼り合わせる板の数が増えることで、接着層が増え、接着層が増えるとより弾むようになる、というのが一般的のようです。個人的には剛性感といえるようなイメージです。剛性感と言うのは相手のボールに負けにくく響きにくくなるという意味で使ってます。板厚にもよりますが後陣からでも強いボールを打ちやすくなるのが7枚合板ラケットの特徴です。よりラリー思考で相手と打ち合うラケットになってきます。最近の合板ラケットは、前述の5枚合板と7枚合板が主流であり、5枚合板または7枚合板でないラケットはそれだけでかなり特徴のあるラケットと言えると思います。7枚合板のラケットを使用するトップ選手は結構多く、例えばペンドラの小西海偉選手がKaii Yoshida (吉田海偉)という中ペンラケットを使っていますね。本人の選手モデルラケットで7枚合板の中ではかなり厚い6.8 mmの板厚になります。類似のラケットとしては、SK7 Classic (SK7クラシック)などが挙げられるでしょう。

9枚合板

 9枚合板ラケットは、探さないとありませんし、メーカーによっては取り扱いがありません汗。9枚合板で有名なラケットは、Avalox (アバロックス)のP900 (ピー900)でしょう。卓球王国別冊卓球グッズ2023でも特集・試打されていました。インナーラケットの方が人気が出てきて前陣の選手が流行する近代卓球では、こういった木材感の強いラケットも温故知新で人気が出るかもしれませんね。P900は9枚合板でありながら、板厚は5.8 mmと薄く現代的な仕様で、このページでレビューするTRiAD (トライアド)にも似ているラケットがP900といっても過言ではないかもしれませんね。

11枚合板

 TRiAD (トライアド)は11枚合板になりますね!11枚ってどんだけ!?って枚数ですよね。11枚ということは、5枚合板と比較するとフォアもバックもさらに3層の接着層が挟んでいるということですね。これは圧倒的です!WRMさんでも11枚合板を強調していますね。7枚合板と比較しても弾んで、全くしならないラケットがTRiAD (トライアド)といえるでしょう。

板厚

 板厚は、個人的には、ラケットを選ぶうえでかなり重要な数字だと思っています。現代卓球において、木材ラケットは厚ラケが流行る傾向にあり、5枚合板でも6 mmを超えるラケットが増えています。例えば、XIOM (エクシオン)と契約する前のHugo Calderano (ウーゴ・カルデラノ)選手は、cornilleau (コニヨール)のHugo Calderano Foco OFF (ウーゴ・カルデラノ フォコ)という合板ラケットを使っていました。5枚合板ラケットのこのラケットは、OFF+とOFF-があり、カルデラノ選手はもちろん厚いOFF+でブレード厚さ7.2 mmの方を使用していたようです。7 mm越えの5枚合板ということで、下がっても飛距離が出しやすい設計になっているラケットだと思います。

 7枚合板ラケットでは、最近の流行りはやはり6 mm台のラケットが多いイメージですが、名作といわれるSK7 Classic (SK7クラシック)のように厚ラケットももちろん多くあります。板厚を厚くするのはやはり弾みを増やして後陣からの威力を出すためになります。個人的には6 mm台の7枚合板の方が台上もやりやすく好みですね。例えばFortius FT (フォルティウスFT)などは非常にフィーリングの良い7枚合板ラケットでした。7枚合板ラケットユーザーといえば、契約が変わってしまいましたが神巧也選手がMa Lin Extra Special (馬林エキストラスペシャル)を長く愛用していたイメージですね。Ma Lin Extra Special (馬林エキストラスペシャル)の板厚は6.3 mmと現代的な6 mm台です。2023年で変更してしまいましたが、andro (アンドロ)のSimon Gauzy (シモン・コーズィー)選手も7枚合板ラケットのGauzy SL OFF (ゴーズィSLオフ)という上板に硬い黒檀を使用したラケットを使っていました。板厚は6.2 mmとこちらも薄めですね。同じく2023年に変更してしまいましたが、大島祐哉選手もmizuno (ミズノ)契約時はFortius FT ver D RE (フォルティウスFT ver. D RE)を使用していました。このラケットは7枚合板+アウターにDual WEB (デュアルウェブ)という特殊繊維を挿入したラケットで、板厚は6.1 mmと薄いですね。このようにトップ選手で活躍する7枚合板ラケットの板厚はだいたい6 mm台が流行ですね。

 合板数を増えると板厚は薄くなる傾向にあるのも現代ラケットの流行でもあり、11枚合板という多合板ということもあり、TRiAD (トライアド)の板厚はなんと5.5 mmとかなり薄い板厚になります。薄いといっても11枚合板という構成ですので、しなりは弱いためちょうどよい板厚といえるのかもしれません。5.5 mmで攻撃用のラケットというと、Zhang Jike ZLC (張継科ZLC)とInner Force Layer ALC.S (インナーフォースレイヤーALC.S)が思い浮かびます。やはり板厚が薄いとアウターZLCでもしなりを感じやすくなり、5枚合板のような一面ものぞかせますね。果たしてTRiAD (トライアド)はどのようなラケットなのか、比較していきたいと思います。

ラケット重量

 ラケット重量は、個人的にはあまり気にしておりませんが、世の中の卓人、特に中級者以上はかなり気にする値だと思います。個人的には軽くなければOKで、90 g以上であれば「いいね」って感じです。80 g前半は逆に軽すぎてあかんと感じる方ですね。世の中的には、100 gを超えるラケットを好んで使うトップ選手もいらっしゃいますね。

 80 g前半から85 gくらいまでは、軽いと表現されるラケット群になりますね。この軽い固体を探して使おうとする選手も結構いると思います。個人的には威力以上に回転がかかりにくいイメージが強いですね。ただしメリットもあって、軽い分切り返しがしやすいことと、弾まない分ブロックがしやすいという傾向にあると思います。

 88 g前後。この重量が最もオーソドックスな重量のラケットという認識です。ただし、ジュニアやレディースではまだ重いと感じる選手もいると思います。個人的には88 g台は軽いかも、と思うラケットです。

 90 g台に入ると、世の中は重いと判断する重量になってきます。個人的にも重たいと感じる重量で、7枚合板ラケットはこのくらいの重量になりやすいですね。元金メダリストのMa Lin (馬林)選手は100 g台の5枚合板ラケットを使用していたと聞きますので、90 gでもトップ選手には軽いのかもしれませんが、90 g台は中上級者が好み重量となってくると思います。

 本ページのTRiAD (トライアド)はなんと95 ± 5 gという超重量級になります。これは接着層が増えた分だけ重くなりやすい、合板ラケットの性質から逃れられないといったところだと思います。合板数を増やせば増やすほど重くなるのは仕方ありません。その分、しならないので相手のボールの影響は受けにくくブロックやラリーがしやすいことが期待できますね。

TRiAD (トライアド)

 TRiAD (トライアド)は購入して、驚いたのがこの形ですね。ブレード面積は154 mm × 146 mmとなっています。一般的なラケットが157 mm × 150 mmですので、かなり短いラケットとなっていますね。握ってみるとラケット長さが短い分、95 ± 5 gの重量でもかなり軽く感じました。このラケット形状は、特殊すぎて正直他のラケットと比較が難しいと感じましたね汗。もう違いすぎる汗。ラバーもこのラケットにあわせて貼ってしまうと、他のラケットに貼りにくいサイズ感です。丸いブレード面積形状なんですね。もしラケットのブレード面積が一般的なものに近いものを購入したいのであれば、TRiAD (トライアド) FNグリップの方が良いかもしれません。正直、今買うならFNの方がいいです涙。

トライアドの3つの特徴

7枚合板とは比較にならないくらいしならない!

 合板ラケットとは信じられないくらい、しなりませんでした。このしならない打感はミートにも向いていると感じました。ぶつけるように打つと、しならないわけではなく、木材の打球感を感じました。7枚合板系ラケット → 7枚合板+アウターDual WEB (デュアルウェブ) → TRiAD (トライアド) → Revoldia CNF (レヴォルディアCNF) → Inner Carbon (インナーカーボン) → Outer Carbon (アウターカーボン)の順番にしなりの強さは減るイメージですね。重量の点で軽いRevoldia CNF (レヴォルディアCNF)の方がある意味でトガリを丸くしているといえるのかもしれません。このしならなさは、好みがわかれそうですが、非常に個性的と感じつつも手に全く響かないので、カーボンなしのラケットの中ではありと感じるラケットの1本でした。

重量を感じない操作性!

 当然といえば当然ですが、ラケット面積が横に広く、縦に短いので、非常に操作性の高いラケットに仕上がっていました。ただその分、遠心力を使いにくくなっていることと、ブレード面積が狭い分、カウンターはしやすいかもしれませんが、速球への対応が難しく感じるかもしれません。少なくとも個人的にはブレード面積が狭くて違和感を感じましたね。

回転量がエグイ!

 自分が回転量の高いラバーを使っているのであまり感じませんでしたが、ラバーとして中間硬度のラバーを使ってあげて上手にサーブや回転系の技術をすると非常に回転性能の高さを感じると思います。逆に、Dignics 05 (ディグニクス05)のようなラバーを使うと、 あわないと感じました。このDignics 05 (ディグニクス05)はバタフライのラケットにあわせて開発されているようで上板に一定の硬さを有するラケットの方が相性が良いと感じるラバーです。そのため、TRiAD (トライアド)のボールを木材系で板薄で球を持つ特徴が逆にDignics 05 (ディグニクス05)のような最新ラバーには相性は悪くなるようですね。このあたりはご注意いただきたいです。

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Virtuoso OFF+TRiADRevoldia CNF (レヴォルディアCNF)

スピード
 Revoldia CNF (レヴォルディアCNF) > TRiAD > Virtuoso OFF+

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