廃盤

レビュー Timo Boll Spirit(ティモボルスピリット)(廃盤)

説明

 ドイツの皇帝、Timo Boll(ティモ・ボル)選手は、現在39歳でいまだに現役としてドイツ代表であり、ヨーロッパの代表であり、日本トップ選手のライバルとして君臨するスーパー選手です。2019年時でも、日本の森園選手や水谷選手が惜敗することからも、その高い実力は明らかでしょう。本ページでレビューするラケットは、katsuo000が学生の時に購入したメインラケットであり、皇帝ボル様が愛用したTimo Boll Spirit(ティモボルスピリット)になりますね!現在では、ティモボルスピリットの継承ラケット、Timo Boll ALC(ティモボルALC)が極めて有名だと思います。ボル選手も現在はティモボルALCを使用しており、数本のティモボルALC使い回しているそうですね。
 ティモボルスピリットは、古くはVISCARIA(ビスカリア)というラケットをベースにボル選手用にチューンしたラケットがティモボルスピリットだそうです。このビスカリアはkatsuo000が述べなくてもご存知の方も多いと思いますが、下記にまとめさせていただきます。

VISCARIA(ビスカリア)
 ○初のArylate Carbon(アリレートカーボン、ALC)採用ラケット。
 ○Timo Boll(ティモ・ボル)選手が使用。
  その後、張継科(Zhang Jike、中国)選手を中心に多くのトップ中国選手が使用。
  世界中のバタフライ契約するトップ選手が多数使用。
 ○バタフライのスピン系テンションラバーとも、中国製の粘着ラバーともあわせられるハイバランス。
 ○あまりの高い人気のために、廃盤後2019年に価格倍以上になって再販。
 ・5+2 Outer ALC
 ・ブレード厚:5.8 mm
 ・平均重量:86 g
 ・反発特性:11.8
 ・振動特性:10.3
 ・定価:27,500円 + 税(2019年4月再販価格、1993年販売時10,000円 + 税)

 当時は有機溶剤が当たり前の時代であり、またヒノキ+アウターカーボン系の厚ラケットも多くのトップ選手が使用し活躍した時代です。ボル選手もビスカリアに、さらなる攻撃的な威力を求めたようですね。グリップ部分を空洞化して先端重心設計のラケットとして販売されたラケットが、本ページでレビューするTimo Boll Spirit(ティモボルスピリット)になります。ティモボルスピリットは今では廃盤ですが、その後継ラケット、ティモボルALC(ティモボルALC)が神ヒットラケットとして販売されています。卓球王国6月号別冊「卓球グッズ2017」において、ティモボルALCについて特集されていましたので、ティモボルALCに関して、いくつか引用させていただきます。

『ティモボルALC』の特徴
  「アリレート カーボン」は振動減衰性(打球時のラケットの振動数を減らす効果)の高い「アリレート」と高反発な「カーボン」を編み込んだもので、反発特性と振動特性のバランスに優れたバタフライ独自の素材。この「アリレート カーボン」が『ティモボルALC』の弾みと回転性能のバランスの良さを生み出している。攻撃力と守備力を両立し、前陣から中陣での安定感のあるプレーを目指す選手向きのラケット。

ボル自身が語る『ティモボルALC』
 「自分の感覚どおりのプレーができるラケット」『ティモボルALC』は期待したとおりの打球が出せ、自分の感覚どおりのプレーができるラケットです。もっとドライブのスピードが出るラケットもありますが、そうしたラケットではコントロールが難しかったり、やりやすい技術が偏ったりしてしまううえ、使う選手には高いレベルが求められます。その点、『ティモボルALC』は私にとって最もバランスのとれた性能で、どんな技術でも高いレベルでプレーできますね。

『ティモボルALC』から見える黄金レシピ
衝撃吸収性素材×カーボン
 衝撃吸収性に優れる”柔”の特殊素材 弾みは弱め
  ×
 弾みを向上させる”剛”の「カーボン」 球離れが早く、回転がかけにくい
  ↓
 ”柔”×”剛”のバランス型特殊素材 双方の長所が融合し弱点を解消!



6 mm以下に収まる、やや薄めの板厚設計
 バランス型特殊素材とはいえ、木材ラケットやインナー特殊素材に比べれば、反発力が強く回転はかけにくい。特殊素材の性能を最大限に保ちつつ、扱いやすくするために板厚を薄く設計し、ラケットにしなりを持たせている。しなりがあるぶん、ボールをつかむ感覚があり、回転がかけやすくなる。『ティモボルALC』も5.8 mmと薄めに設計されており、回転のかけやすさが特長だ。


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現代のアウター特殊素材ラケットの黄金レシピ!

 このようにティモボルALCは大ヒットラケットだということがわかりますね。もちろん個体差はありますが、概ねティモボルALC≒ティモボルスピリットと思って良いと思います。

性能表

 現在、日本のButterfly(バタフライ)公式サイトでは、ティモボルスピリットは廃盤となってしまっています。そこで、ヨーロッパの卓球ネット販売ショップ、Megaspin.netさんより、ラケット性能表を引用させていただきました。

 類似のラケットと一緒に性能表を載せています。ご存じの方も多いと思いますが、Lin Gaoyuan ALC(林高遠ALC)、Matsudaira Kenta ALC(松平健太ALC)、Timo Boll ALC(ティモボルALC)、Timo Boll Spirit(ティモボルスピリット)、VISCARIA(ビスカリア)、Zhang Jike ALC(張継科ALC)はブレード構成はほぼ同じラケットになります。そして、平均重量、グリップサイズ、グリップ形状(角型、丸型など)、グリップ内部空洞か否か、などの点がおそらく異なると思います。ネット上ではButterfly(バタフライ)さんのラケットは金太郎あめ商法と揶揄されるのを散見しますが、重心位置やグリップ形状が異なると、やりやすい技術が異なってくることをkatsuo000は感じます。このやりやすい技術は個人差があって定量化も難しく、トップ選手モデルとしてブランド化しつつ、差別化しているのではないかと想像します。そのあたりの詳細情報も是非開示してほしいと感じます。ティモボルスピリットはグリップ部分が半空洞、ティモボルALCはグリップ部分が空洞、という情報を聞いたことがあります。実際に確かめていませんが、平均重量で最も軽いラケットがティモボルALCであることからも、その通りなのではないかと思います。

 ティモボルスピルット、省略すると「ティモボスピ」は一世を風靡しました。「ティモスピ」が人気を博した時代に、katsuo000も高校生となり、調子に乗って「ティモスピ」を使うことにしました(苦笑)。ちなみに「ティモスピ」を使用する前は、BISIDE(バイサイド)という、Butterfly(バタフライ)のArylate(アリレート)をアウターに配したブレード厚の薄いラケットを使っていました。高校生になって、力も付くと勝手に思い込み、さらなるパワードライブが打ちたかったのだと思いますね(苦笑)。当時、自分はティモボルスピリットを完全に使いこなすことができていませんでした汗。コト材とカーボンの打球感がどうしても硬いと感じていました。特に10代のkatsuo000はバックハンド技術がかなり低く、難しいと感じていました。30代に入って、Zhang Jike ZLC(張継科ZLC)と比較した性能をレビューさせていただきます。

ティモボルスピリットの3つの特徴

先端重心の高い攻撃力!

 先端重心にする設計は、ブレード面積を広くするかグリップを軽くするか、の2通りがあると思います。ティモボルスピリットは、説明のところでも触れましたが、後者のグリップを半空洞化して軽量化しているために先端重心を感じやすいラケットになりますね。そのため遠心力を活かした攻撃的なボールが出しやすいラケットになっています。

アウターALC+コト材の球持ちと弧線!

 張継科ZLCや水谷隼ZLCと比べると明らかに球持ちを感じるラケットでした!学生時代の先入観からALCは硬いものだと思っていましたが、久々に使ってみると明らかに柔らかいと感じました。また、板厚 5.8 mmという厚さは非常にバランスが良く、フォアの強打やスピードドライブが打ちやすいと感じました。飛距離が出しやすいんですよね。ただ技術力がまだまだ未熟なバックハンドではややオーバーミスが多く、回転量でボールを下降させることができていないんだなーと感じましたね。
 もちろん、アウターZylon Carbon(ザイロンカーボン、ZLC)系ラケットと比較すると弧線を強く感じました。ZLC系ラケットはやはり非常に直線的ですね。ティモボルスピリットも弧線を強く感じました。

半空洞によって軽くて振りぬきやすい!

 ラケット内部が空洞ですので、軽く非常に振りぬきやすいラケットになっています。スピン系テンションを使いこなそうと思ったときにこの軽さは一つのメリットだと思います。現行のティモボルALCも軽いラケットですので、軽さも一つの特徴と言えるでしょう。

おすすめのラバー組み合わせ

 グリップ内部が空洞ということで、中国製の粘着ラバーよりは、スピン系テンションラバーの方があわせやすいラケットだと思います。粘着ラバーは重いのでグリップ空洞化による先端重心だとさらにラケットが重く感じやすくコントロールが難しくなると思いますね。スピン系テンション、Tenergy(テナジー)やDignics(ディグニクス)といったラバーと相性が良いでしょう。

フォアラバー

Tenergy 05 Hard(テナジー05ハード) / Tenergy 05(テナジー05)

 

Dignics 05(ディグニクス05)

バックラバー

Tenergy 05 FX(テナジー05FX)

Rozena(ロゼナ)

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 

ロングボールやラリーでのドライブ
 

面を開いたドライブ
 

対下回転に対するループドライブ
 

対下回転に対するスピードドライブ
 

スマッシュ
 

カーブ/シュートドライブ
 

ブロック
 

カウンタードライブ
 

ストップ
 

ツッツキ

フォアフリック
 

サーブ
 

バックハンド系

軽打
 

ロングボールやラリーでのドライブ
 

対下回転に対するループドライブ 

対下回転に対するスピードドライブ

ミート(スマッシュ)

ブロック

ツッツキ

チキータ

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Fortius FT > Timo Boll Spirit > 水谷隼ZLC

スピード
 Zhang Jike ZLC(張継科ZLC) > Timo Boll Spirit > Fortius FT

飛距離
 水谷隼ZLC > Timo Boll Spirit > 張継科ZLC

レビュー Spin Art(スピンアート)(廃盤)

説明

 既に廃盤となってしまった、Butterfly(バタフライ)のSpin Art(スピンアート)についてレビューさせていただきます。2020年現在、市内のオープン戦ならギリギリ使っていいと思いますが、、、公式戦では使えない、使わない方がいいラバーになりますね。
 *廃盤になったラケットは使用可能。廃盤になったラバーは使用不可。

 このスピンアートはスポンジにモンスターラバー、Tenergy(テナジー)シリーズと同じSpring Sponge(スプリングスポンジ)を使用しています。しかもシートには微々粘着シートを使用したラバーで、2020年の用具界の台風の目、Dignics 09C(ディグニクス09C)と類似のカテゴリーのラバーになりますね!バタフライでは「粘着性ハイテンション」ラバーとタイプ分類しています。「粘着性ハイテンション」と言う言葉に心が踊ったのは自分だけですかね。テクノロジーはテナジーと同じ、「ハイテンション」、「スプリングスポンジ」の2つになります。試合に出ていてもなかなか見なかったラバーになりますね。

 使用していた選手で有名な選手は、全日本代表・卓球人気の立役者、福原愛選手になりますね!廃盤になって、時代が変わっていくことを感じます(オジサン発言ですね)。余談ですが、スポーツに限らず変化の激しい時代ですね!この変化を楽しめるくらいの余裕が欲しいものです汗

性能値

 バタフライさんの公表性能値になります。

 スピンはTenergy 05(テナジー05)と同じ11.5です。スポンジ硬度は一方で硬度はかなり硬いですね。ディグニクス09Cよりも硬いラバーになります。

スピンアートの貼りと重量

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 実際にパッケージを開けてみると目に入ってくるのはスポンジがオレンジで思わずテナジー!?と思える外観です。シートを見るとテナジーではなくスピンアートと書かれていて、触ると本当に気持ち粘着質な触り心地です。粘着と言われないとわからないかもしれないレベルですね。ただ気をつけないと台とべたりと引っ付いてしまいますね。埃や白いラインをもぎ取ってきます。粘着ラバーはついつい表面の埃についついデリケートになってしまいます汗。

Spin Art(スピンアート)
 ハイテンション裏ラバー
 スプリングスポンジ
 粘着性ハイテンション
・Sponge Thickness: 厚(1.9 mm)、特厚(2.1 mm)
・Speed:11.75
・Spin:11.5
・Sponge硬度:48
・廃盤
・76 g(切断前) → 50 g

 ラバー重量は49 gでした。いつもはZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼るのですが、今回は貼っていないので、省略させていただきますね。ラバー重量がやや重くテナジーよりも3〜5 gくらい重くなるイメージです。平均値をとったわけではないですが標準サイズのラケットで50 g前後の重さになりました。この辺りは粘着ラバーらしい重量だと思います。
 katsuo000の個人の余談ですが、バタフライのマークは、最新のディグニクスなどに採用されている左右対称のマークよりも、一世代前の左右非対称マークがカッコいいって思ってます。スピンアートは左右非対称マークですね!左右対称のバタフライのマークは、あれはあれで良いんですが自分は非対称マークの方が好きでしたね。

 katsuo000はスピンアートを使っていた時期がありました。このスピンアート、本当に良いラバーで、あくまで個人の意見ですが、Dignics 09C(ディグニクス09C)よりも好みなラバーでした。どのように好みなのかレビューさせていただきます。

Spin Artの3つの特徴

1. 粘着ラバーよりの粘着テンションラバー!

 先日販売されたディグニクス09Cと比べると、同じ粘着テンションラバーでも、スピンアートは圧倒的に粘着ラバーよりのラバーになります。つまりHurricane(キョウヒョウ)っぽい打球感のラバーになりますね!ディグニクス09Cよりもハードなラバーなので、もちろん使いこなせば癖球も出せますキョウヒョウ系の癖球というよりもはテナジー05以上にギュルんとホップする感じの癖球ドライブが打てるラバーでした。自分はバック側に貼っていたのでそのような使い方はできなかったのが残念ですが汗。バタフライの中でも異色のラバーだったと思いますね!使いこなすにはかなり難しさのあるラバーですので、廃盤になったのも納得です。
 昨今流行りの粘着テンションラバー、Rakza Z Extra Hard(ラクザZエキストラハード)、Omega VII China Guang(オメガ7チャイナ光)やOmega VII China Ying(オメガ7チャイナ影)、Blue Grip C1(ブルーグリップC1)と比べても遜色のなかったラバーではないかと思いますね。このラバーを廃盤にしてディグニクス09Cを販売すると判断したバタフライは時代を作っていると思います。

2. 弾まないので台上がおさまる!

 自分が一番信頼していたのは、この台上の部分ですね!特にその中でも気に入っていたのがブチギレツッツキです!非常にツッツキが切りやすかったです!自分はツッツキが下手くそでテナジー05では弾みすぎて切ることができなかったんですよね汗。このスピンアートだとツッツキがブチブチ切ることができましたし、チキータやバックハンドドライブも弾まないので思い切り回転をかけることができてやりやすかったです!

3. 価格がテナジーよりも安い!

 もう廃盤なので今では手に入らないラバーで特徴と言えませんが、テナジーシリーズのラバーよりも安かったラバーになりますね!価格が安いのも気に入っていた理由でした。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 硬いですね!Tenrgy 05 Hard(テナジー05ハード)よりも硬いので当然と言えば当然ですが、打球感がかなり硬いです!

ロングボールやラリーでのドライブ
 少しボールは遅いですね。特に弾くとマッドな打球感しか感じずボールが伸びにくいですね。しっかり回転をかけた方がボールの2速の伸びが良かったですね!

面を開いたドライブ
 さすがバタフライという感じで、スポンジは負けませんね。むしろ自分のスイングスピードの遅さを感じてしまうかもしれません。ただ、キョウヒョウと比べるとスピードは出ますし打ちやすいと感じました。

対下回転に対するループドライブ
 これですね!エゲツナイのが打てます!コントロールもしやすいですね!回転量も良好で、硬さのあるラバーですのでテナジー05以上、テナジー05ハードと同等以上の回転量になっていると思います!

対下回転に対するスピードドライブ
 少し難しいのですが、スプリングスポンジを使っている分、キョウヒョウよりスピードが出ましたね!良いラバーです! 

カーブ/シュートドライブ
 横を入れた方が食い込んで安定すると思いました。

ブロック
 少し回転の影響を受けたり、硬さで落としたりしましたね。難しさを感じました。

カウンタードライブ
 打球点を少し落としたカウンタードライブはやりやすかったですね。

ストップ
 もちろんやりやすいです。切れますね!

ツッツキ
 ブチギレです!

フォアフリック
 球離れが早いので低いボールには難しかったです。

バックハンド系

軽打
 硬いですね。

ロングボールやラリーでのドライブ
 ドライブもあまり回転をかけられなかったと思います。それくらい硬いです。ただミートは良くて、前・中陣からのミートは良かったですね。

対下回転に対するループドライブ
 やりにくくはないのですが、切れていたり深くて球足が速いと落としてしまいそうでした。

対下回転に対するスピードドライブ
 ほぼ無理でしたね汗。どちらかというとミートの方が安定していました。

カーブ/シュートドライブ
 回転量が弱く、曲がらないですね汗

ブロック
 やはり硬いラバーなので難しかったです。落としやすかったです。

カウンタードライブ
 バックでは難しかったです。

ストップ
 やりやすいですね!

ツッツキ
 ブチギレですね!得点源でした。

チキータ
 練習して途中から少し安定しました!

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 05 > Spin Art ≧ Tenergy 05 Hard > Tenergy 05

スピード
 Tenergy 05 > Spin Art > Hurricane NEO III Blue SPonge