レビュー 「卓球王水谷隼の勝利の法則 試合で勝つための99の約束事」

説明

 東京オリンピック2020で日本人初の金メダルを獲得し、今やメディアにひっぱりだこ、「ゴチになります」ではピタリ賞までとって、全日本選手権10回優勝の日本卓球界のレジェンド、水谷隼選手が初めて執筆した本になります。2015年1月に初版が発売しており、当時の水谷選手の経歴は全日本選手権8回優勝、世界選手権でのメダル5個となっています。水谷選手について説明も不要でしょう。卓人なら全て手に取って欲しい書籍ばかりですね。

 既に水谷隼選手の書物は5冊に達しています。
 1冊目: 卓球王水谷隼の勝利の法則 試合で勝つための99の約束事
 2冊目: 負ける人は無駄な練習をする 卓球王 勝者のメンタリティー
 3冊目: 卓球王水谷隼 終わりなき戦略 勝つための根拠と負ける理由
 4冊目: 現役選手がここまで語っていいのか!? 水谷隼の大サービス「サービスは芸術だ」
 5冊目: 打ち返す力 最強のメンタルを手に入れろ

 1冊目の99の約束事は、4冊目のサービスを除いて最も表面的な技術にも触れている内容になっています。つまり、最も即効性の高いものと言えるでしょう。逆に2冊目、3冊目と進むにつれて内容は卓球への取り組む姿勢や取り組む上での思考にフォーカスした内容へと変わっていきます。個人的には水谷選手や日本代表を目指して日々努力されている選手のメンタルやプレッシャーは、想像を絶しますし、正直理解が難しい部分も2冊目、3冊目以降では増えるように感じました。表面的な技術はこの1冊目の99の約束事と4冊目の大サービスが、写真も多く掲載されていてわかりやすいと思います。小~中学生くらいの卓人は、99の約束事と大サービスから読まれることをオススメします。

「卓球王水谷隼の勝利の法則 試合で勝つための99の約束事」の要点

前半注目は第3章 = 用具

 卓球について概略する書物は多くありますが、トップ選手が用具に関する考えと具体的に当時使用していた用具について語っている部分として非常に貴重な内容になっていると思います。現在はディグニクス80を使用ですが、当時はテナジー64を使用していたことが書かれていますね。

 水谷隼選手の考え方としては、扱いやすい用具を使うことが基本としてあって、その中で練習量を上げて威力を上げるという考えなのだと思います。自分は威力を出すことを優先して、難しい用具ばかりに飛びつくところがありますので反省すべきかもしれません。

第4章=練習、第5章=技術 

 最も即効性の高いパートになると思います。10回目の全日本選手権優勝時に多用したフォアナックルフリックについて特集されていませんが、フィッシュ、ストップ、ブロック、ナックルドライブなどの水谷選手を代表する技術について、本人の言葉で書かれているのは、至高の内容ではないかと思います。

第6章=戦術

 先述の章では、試合にのぞむときの考えや、表ソフト、ペンホルダー、カットマン、粒高、終わりには張継科選手ら中国選手、ドイツのボル選手や日本のトップ選手のプレーにも触れていて驚きの内容になっていますね。トップ選手も必読の内容と言えると思います。

レビュー

章構成とページ数
 第1章 『戦略』STRATEGY: 5 p
 第2章 『身体』PHYSICAL STRENGTH: 12 p
 第3章 『用具』GEAR: 8p
 第4章 『練習』PRACTICE: 26 p
 第5章 『技術』TECHNIQUE: 60 p
 第6章 『戦術』TACTICS: 40 p
 第7章 『メンタル』MENTAL: 20 p
 第8章 『最後に』AT THE END: 10 p

全 208 p

図解
 本人実演の写真をふんだんに使用していて、しかもカラー写真のため、わかりやすいですし、まさにあまりに具体的すぎる内容に驚くかもしれません。

感想
 6年前でやや古い内容の部分もありますが、トップ選手がここまで具体的に選手を挙げながら選手の言葉で語る本は他にないと思います。賛否両論はあるでしょうが、水谷選手らしい書物だと思いますね。今現在の水谷選手は、若いころのヤンチャさや相手の想像の裏を突こうとするような発言は随分マイルドになった印象です。6年前のこの本に登場する水谷選手は、若いころのトゲトゲしい部分も多く、そういったときに書かれた書籍だからこそ、このような本が発売されたのだなと思います。卓球の技術書だけではなく、水谷選手のことを理解しようとして読む、という楽しみ方もできる本だといえるでしょう。

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