レビュー

レビュー Zhang Jike ZLC(張継科ZLC)

説明

 Zhang Jike ZLC(張継科ZLC)は2013年4月にButterfly(バタフライ)より販売された中国の張継科選手モデルのラケット4種のうちの1つになります。実際に張継科選手が今でも使用されているラケットは実はVISCARIA(ビスカリア)というArylate Carbon(アリレートカーボン、ALC)を採用したラケットになります。ビスカリアについての説明を書き始めると少々長くなりますので、今後別の記事で書かせてください。ここで触れることは、主に張継科選手モデルについてになります。
 張継科選手モデルの4本のラケットは、それぞれ採用されている特殊素材が異なっており、Super Zylon Carbon(スーパーザイロンカーボン、SZLC)、Zylon Carbon(ザイロンカーボン、ZLC)、Arylate Carbon(アリレートカーボン、ALC)、Tamca 5000T5000)の4つになります。
 なおバタフライのラケットは、基本的にはグリップにラケット名が書かれていて、わかりやすいのですが、この張継科選手モデルは特殊素材が記載されておらずわかりにくいです。違いはグリップの中心でクロスしている柄の色になりますね。

グリップのクロスしている柄の色

 SZLC: Gold(金色)
 ZLC: Gray(灰色)
 ALC: Blue(青色)
 T5000: Purple(紫色)

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 ビスカリアとほぼ同じでグリップデザインのみ変更したとされるのが、Zhang Jike ALC(張継科ALC)になると言われているます。張継科ALC類似のコンセプトで特殊素材を変更したものが残りの3種だと思われます。

画像はバタフライさんのホームページより引用させていただきました。

https://www.butterfly.co.jp/

 各ラケットを試打できているわけではありませんが、張継科モデルラケットの共通する特徴は以下の3つだと思います。

張継科モデルラケットの特徴

1. 上板にKoto(コト)材を使用のアウター特殊素材系ラケット

 おそらく張継科モデルラケット4種全て上板にはコト材と呼ばれる硬めの木材を使用していると思います。そして上板のすぐ内側の位置、アウター位置に特殊素材カーボンを配したラケットになります。どの特殊素材も張継科選手モデルに採用される特殊素材はカーボンを有する、軽くて硬くて弾む特殊素材になります。よって上板の硬いコト材+特殊素材カーボンという組み合わせのため、かなりハードな打球感のアウター特殊素材系ラケットと称することができるシリーズになります。
 この上板コト材+アウター特殊素材カーボンは好みの別れる打球感で、過去katsuo000は得意ではなく、むしろ苦手と感じる打球感でした。katsuo000が上板コト材+アウター特殊素材カーボンラケットで、硬いと感じたラケットはTimo Boll Spirit(ティモ・ボル スピリット)になります。板薄アウターカーボンラケットの王道のラケット、ティモ・ボル スピリットは上板コト材+アウターALCのラケットになりますが、やはり上板が硬くて、個人差はありますが球持ちを感じにくく、球離れが早い、と感じやすい木材だと感じておりました。ただ、現在はある程度慣れてきて、むしろ張継科ZLCよりもティモ・ボルスピリットは柔らかいラケットであると感じています。
 そして張継科ZLCからこのラケットシリーズは次のようになるのではないかと想像しています。それは、相手の回転に影響されにくいこと、回転量が高いこと、攻撃的なボールの威力(スピードや回転量)が高いこと、になります。硬めのプラスチックボールへと変わってきて、ボールの回転量が40 mmの時からさらに落ち、シートだけで回転をかけるような回転量重視のループドライブでも、上板の柔らかいラケットでは回転量が落ちて、簡単にブロックされたりカウンターを食らったりするようになりました。今ではブレードの薄い上板コト材のラケットでないと、回転量が少なすぎてループドライブを打つと狙われそうだと感じてしまいます。ブレードの薄い上板コト材+アウター特殊素材カーボンのラケットは、確かに台上でのタッチの難しさは感じますが、それ以上に相手の回転の影響を受けにくく、回転の上書きで相手の回転をキャンセルする力が強く、安定した回転量が得やすいと思います。

2. 粘着ラバーとの相性が良い

 粘着ラバー、特にHurricane(キョウヒョウ)系ラバーは、扱いやすさを求めるのであれば球持ちが感じやすい柔らかいラケット、例えば木材系ラケットの方が扱いやすくなります。しかしながら回転量とスピード、威力などを追究すると上板が硬く、かつ粘着ラバーのスピード不足を補うために、弾みやスピード性能の高い特殊素材ありのラケットと組み合わせていくことになります。ラケットによっては、粘着ラバーと相性の悪い特殊素材系ラケットも存在しますが、張継科選手の名前を冠したラケットは総じて粘着ラバーと組み合わせのできるラケットシリーズとなっているそうです。実際、張継科ZLCとキョウヒョウで試合に出たことありますが、普段の1.5倍くらいループドライブだけで得点できたと感じました。確かに難しさもありますが、使いこなせれば相性は抜群でしたね。その要因はおそらく、張継科モデルのラケットシリーズは全て板厚が薄く、しなりやすいラケットだからだと思います。
 上記のことを裏返すと、張継科選手モデルのラケットは万人受けするラケットではなく、中、上級者で一定の打球感覚を有した選手を想定したラケットになると思います。ある程度のインパクトとラケットのしなりを利用して安定して回転をかけることができるようになると、粘着ラバーの高い回転性能と、ラケットの高いスピード性能、が両立しやすいラケットシリーズと言えるでしょう。

3. 重心はグリップより

 張継科選手がバック主戦型の選手である、ということもあって、ラケット自体がグリップ側に重心があります。馬龍選手や大島祐哉選手といったフォア主戦型の選手のラケットは逆に先端重心のラケットになります。ブレードサイズを若干大きくすることで先端重心として遠心力による威力を出しやすいラケットと比較すると、張継科選手モデルのラケットはグリップ側に重心があります。張継科選手モデルのラケットはとてもバックハンドが打ちやすくかつ切り返しもしやすいのが一つの特徴だと思います。確かに、フォアよりバックハンドの方が振り抜きやすいです。現代卓球において、バックハンドの重要性が高まっています。バックハンドにウエイトを置いたり、バックハンドを苦手と感じるなら、張継科モデルのラケットを使うのは1つの選択肢だと思います。
 2020年4月現在で、katsuo000が検証できていないことについても触れておきます。バタフライのラケットは合板構成は同じでグリップだけ異なるラケットが多いなどと揶揄されることがあるのですが、実際katsuo000は、例えば、Timo Boll ALC(ティモボルALC)と張継科ALCの違いはグリップだけだと想像しております。ティモボルALCなどのボル選手の名前が冠されたラケットシリーズでは恐らく、グリップ内部を空洞化するなどして先端重心にしていることと、角ばったグリップ形状であることと聞いたことがあります。ボル選手もフォアとバックで比較するとフォア主戦型の選手ですし、先端重心のラケットはフォア主戦型の選手が好む傾向にあるので、納得のグリップ設計です。恐らくこのグリップ形状の違いだけだと思うのですが、実際のところは比較しないとわかりません。今後余裕があれば、Timo Boll ZLC(ティモボルZLC)や張継科ALCなどを手に入れて比較してみたいですね。

 張継科モデルラケットは人気のシリーズのラケットで、2020年現在もトップ選手が使用しています!例えば以下が知られています。

 Zhang Jike ALC(張継科ALC):戸上隼輔選手、松平健太選手、
                 黄鎮延(Wong Chun Ting)選手
 Zhang Jike SZLC(張継科SZLC):林ユン儒(Lin Yun-Ju)選手、
                  荘智淵(Chuang Chih Yuan)選手

 

張継科ZLCの2つの特徴

 続いて、張継科ZLCの特徴について言及させてください。2020年4月現在、張継科ZLCをメインラケットとして使用しており、ラバー比較などの目的で、ストレート(ST)、フレア(FL)、アナトミック(AN)の3種類のグリップ全て所有しております。どのグリップも丸いグリップなので、とても握りやすいと感じますね。

4. 上板硬めで板薄による超回転量

 先ほども触れましたが、上板にコト材を用いているので上板硬めで、かつ張継科選手モデルだけでなく、バタフライの特殊素材ありラケットの中で最も薄いブレードをゆうするラケットが張継科ZLCになります。5.5 mm!大雑把な話ですが、板が薄ければ薄いほど、回転をかけやすく回転量のMax値も高くなると思ってます。デメリットとして、その分、飛距離が出にくかったりパワフルなボールが出にくくなります。この張継科ZLCにしてから回転量が増えたと感じていて、特に良いのがループドライブになります。エゲツない回転がかかっていると相手の方に言ってもらえることが増えましたね。
 今は使っていませんが、キョウヒョウとの相性も抜群で、ループドライブを打てば相手は一度はミスしてくれました。このようにとても高い回転性能を発揮してくれるので、張継科ZLCが気に入っています。アウターカーボン系ラケットの中でも5枚合板よりの立ち位置のラケットが張継科ZLCだと思います。

5. アウターZLカーボン特有のハイスピード

 板薄の項で触れましたが、板薄のために飛距離不足やパワフルなボールとなりにくいと感じる部分はないわけではありません。しかしながら張継科ZLCでは、その飛距離や威力不足を特殊素材であるZLCによって補うことで、高いスピード性能、回転性能を両立していると感じます。ZLCは、ボールが相手のコートの深いところに入りやすいという特徴を有しているので、雑な表現ですが5枚合板のような回転性能と特殊素材らしいスピードと威力を両立したようなラケットになると思います。またALC系アウターラケットと比較すると、確かに球持ちは若干劣る印象ですが、その分、上板が硬くかつ板薄ですので、回転量の最大値は張継科ZLCの方が上で、またボールのスピードも速く、弾道もとても攻撃的で直線的と感じやすい弧線を描いてくれます。

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おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

 ディグニクス系もキョウヒョウ系もあうと感じました。従ってほぼ全てのラバーがあうと言っても過言ではないでしょう。無限の組み合わせがあると思います。個人的にはこのラケットに柔らかいラバーを組み合わせると気持ち悪い感じがするので、基本的には硬めのラバーを合わせる方が好みです。

Dignics 05(ディグニクス05)

 現在メインで仕様しています。ディグニクス05の最大級の回転性能と張継科ZLCの高い回転性能が相まって、非常に質の高い回転のボールを出すことができます。ループドライブですら粘着ラバー顔負けの高い回転量が得られますので、武器にすることも可能ですね。また、ディグニクス05も張継科ZLCもどちらも高いスピード性能を持ちますので、後陣からでも威力の高いドライブが打てます。まるで有機溶剤を塗ったような威力が得られるのは、この張継科ZLCとディグニクス05の組み合わせ、特有の物だと思います。ディグニクス05は食い込みが感じにくいのですが、上手に食い込ませると回転量の強いスピードドライブも打てますので本当に気に入っています。また、寿命も格段に長く、しっかり管理すれば週一の卓球で三ヶ月から半年は使えると思います。テナジーと比較しても寿命が長いのは嬉しいですね。

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Hurricane NEO III Blue Sponge(キョウヒョウNEO3ブルースポンジ)

 過去、省チーム用のキョウヒョウNEO3ブルースポンジをフォア面に使用しておりました。特に使いにくいと感じることはなく、回転量の多いループドライブは顕在で武器になりました。キョウヒョウとの相性も抜群ですね。強いていうなら自分の腕が不十分で、スピードドライブの回転量が少し落ちると感じました。組み合わせ的には最高ですので、腕が悪いからですね。台上は卒なくこなせ、ドライブは無敵感がある組み合わせです。唯一、後陣からは威力不足になりやすいので、そこがネックだったかもしれません。

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Tenergy 05 Hard(テナジー05ハード)

 こちらも相性良かったです。硬いのと硬いので、とても打球感がはっきりしますので、好みはわかれると思いますがフォアなら好感触でした。同じように、硬めのハイエンドラバー、andro(アンドロ)さんのRasanter R53(ラザンターR53)などのラザンターシリーズやJoola(ヨーラ)のRhyzer Pro 50(ライザープロ50)とも相性が良いと感じました。

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Dignics 09C(ディグニクス09C)

 ディグニクス09Cを挙げさせていただきました。このラバーはアウターカーボンラバーの方が相性が良いと感じるラバーでしたので、挙げています。実際、インナーカーボンラケットだと、少しスピード性能が落ちすぎる気もしました。ZLCである必要はないと思うので、ALC系アウターカーボンラケットと合わせることをオススメします!

バックラバー

 バックはやはり硬め硬めの組み合わせですので、しっかり選んだ方がミスは減ると思います。ドイツ系ラバーはとてもやりやすいと感じたので、紹介させていただきます。

Omega VII Tour(オメガ7ツアー)

 XIOM(エクシオン)のラバーになります。自分の腕が不十分でしたので、回転量は若干劣ると相手の方に教えていただきましたが、扱いやすかったですね。ツアーは少し硬めで重かったので、オメガ7のEuro(ヨーロ)とかPro(プロ)にするとさらに良いと思います。特にチキータとかバックハンドドライブ系がおさまりがよくて好印象でしたね。オメガ7ツアーは重くなったテナジーという印象で、シートでひっかけても回転がしっかり回転がかかるので、ループドライブは普通に実践的に使うこともできました。オメガ7ハイパーも使いやすかったですが、少しオーバースペックで、ボールが浅くなってしまいました。その分、チキータはとてもやりやすかったです。

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V>15 Extra(V>15エキストラ)

 VICTAS(ヴィクタス)のハイエンドラバーV>15 Extraです。なんと言っても一番チキータを入れやすかったですね。若干イレータというか、バックハンドフリック気味になりやすかったですが、回転の影響を受けにくくフリックしやすいラバーでした。ツッツキは浮きやすいと思いましたが中陣からでも十分打てましたし、シートが強いのでカウンターはしやすいと感じました。回転量以外の部分でやりやすいんですよね。またフォアにキョウヒョウやディグニクスを使っていると回転量の差が如実に出るので、回転量の差によるミスを誘うことができると感じました。一方で、V> 15 Extraは食い込ませた時に弾道が暴れるような癖球ボールが打てる部分もあってとても良かったですね。回転量の最大値の高いフォアラバーとの相乗効果を求めるならV > 15 Extraは組み合わさることで味が出ると感じました。

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Rasanter V47(ラザンターV47)

 ラザンターシリーズもとても好印象でした。特に良かったのが、V47です!扱いやすかったです!V47はスピード系ラバーのイメージが強いですが、全然スピン系テンションのラバーで、回転量のあるループドライブもできるし、柔らかいシートなので、比較的ブロックもいれやすかったです。ラリーでも回転量重視のドライブをするだけで攻撃的でスピード感のあるドライブが安定して入る感じがあって自分の腕にもマッチする硬度でよかったですね。V47でも十分回転量のあるボールが打てて安定感とスピードを感じられました。ラザンターの特徴はドイツ製ラバーの中でもシートが薄い分、しっかり回転がかかることだと思います。回転とドイツ製ラバーらしさを得られるラバーがラザンターだと思います。

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Dignics 05(ディグニクス05)

 初めて使ったときは使いにくいと感じましたが、最近使ってみたら、むしろ抜群に良かったですね。特徴としては、ツッツキがシートで切れるしストップもしやすいこと、カウンタードライブが打ちやすいこと、ラリーでのバックハンドドライブがとても直線的なのに安定すること、対下回転ドライブも威力と安定が得られるところでした。ただやはりバタフライラバーをバックに使うと、自分はちゃんとした体勢で打てず凡ミスも多いので難しいです。練習量が必要なラバーです。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 Mizutani Jun ZLC(水谷隼ZLC)と比較すると明らかに硬くて飛距離が出ないです。木材系ラケットと比べるとやはり打球感がハードですが、ここら辺は慣れが必要ですね。

ロングボールやラリーでのドライブ
 威力が出しやすいですね!硬いのですが、しっかり腕や手首をしならせて回転をかけることができるとスピードと回転のあるボールを打つことができますね!粘着ラバーでも非常に威力のあるドライブを打つことができますが、やはり回転以上にスピードのあるドライブがしやすいのはスピン系テンションラバーですね。逆にスピードもあってスピード以上に回転のあるドライブは粘着ラバーの方が出しやすいですね!

面を開いたドライブ
 ラケットがしなりやすいので、非常に威力のあるドライブが打ちやすかったです!粘着ラバーでもテナジーやディグニクスでも、非常に回転がかかってスピードドライブでもしっかり弧線を描いて沈み込ませることができました。

対下回転に対するループドライブ
 これもやりやすいですね!ブレードが薄いので非常に回転がかけやすいですね。粘着ラバーの方が弧線の低いループドライブを制御しやすかったです。ディグニクス05は少し高いボールになりやすいですが慣れれば低いドライブも可能ですね。

対下回転に対するスピードドライブ
 体が流れないようにしっかり踏ん張る必要はありますが、決まれば非常に良いスピードドライブがしやすいですね。

カーブ/シュートドライブ
 弾道が直線的のためあまり曲がる印象は少ないです。

ブロック
 意外とやりやすいです。ティモ・ボルスピリットよりもやりやすいと感じました。グリップが詰まっているからではないかと思います。逆にティモ・ボルスピリットはグリップが半空洞になっているそうなのでその分、相手のドライブに押されやすいと感じました。

カウンタードライブ
 スピード系のカウンタードライブがとにかくやりやすいですね。打球感が硬いので潰すようにぶつけると弾いてしまいやすいのでしっかりボールの上か斜め横をとらえた方が安定すると思います。

ストップ
 硬い打球感ですが慣れると結構しっかり止まります。ディグニクス05やキョウヒョウNEO3を使えばしっかりブチっと切れるので3球目強打は封じやすいと思います。

ツッツキ
 同じく切れますね。良いです。

フォアフリック
 あまり使わないのですが、球離れが速いので乗せるよりも弾くように打つ方が安定すると思います。思い切りが大切ですね。

バックハンド系

軽打
 はじめは難しいと感じました汗。ボールの横を捉えるように意識することで徐々に安定するように感じました。それでもやはり木材系ラケットやカーボンなしラケットの方がやりやすいと感じます。

ロングボールやラリーでのドライブ
 非常に直線的で攻撃的なボールになりやすいです。ただしボールは軽く感じます。

対下回転に対するループドライブ 
 体をしっかり入れて、ドライブをかけることで非常に回転量のあるドライブが打てるようになってきました。

対下回転に対するスピードドライブ
 こちらもしっかり回転をかけて飛ばすことを意識すると安定して打てるようになってきました。

カーブ/シュートドライブ
 やはり直線的なボールになりやすいので変化を感じにくいです。

ブロック
 やりやすいと思います。ただし、弾きやすいので柔らかいラバーだとなお良いと思います。

カウンタードライブ

ストップ
 弾まないので慣れてくると非常に安定します。

ツッツキ
 ラバーにもよりますが非常にやりやすいです。

チキータ
 少し飛距離が出やすいですが、グリップ重心でやりやすいです。

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 張継科ZLC > Inner Force Layer ZLC  > Mizutani Jun ZLC(水谷隼ZLC)

回転のかけやすさ
 インナーフォースレイヤーZLC > 張継科ZLC  ≧ Mizutani Jun ZLC(水谷隼ZLC)

スピード
 張継科ZLC ≧ 水谷隼ZLC > インナーフォースレイヤーZLC

飛距離
 水谷隼ZLC > 張継科ZLC > Inner Force Layer ZLC

レビュー Dignics 09C(ディグニクス09C)

説明

 Dignics 09C(ディグニクス09C)はButterfly(バタフライ)が2020年4月に新発売したラバーです。バタフライさんの主力商品といえば、Tenergy(テナジー)シリーズ10種、およびテナジーを超えるDignics(ディグニクス)シリーズ3種、の2シリーズ計13種のラバーになります。これらは世界選手権などの世界規模の大会へ出場する選手の半数以上が使用していることで有名です。どのラバーもスピン系テンションラバーに分類され、粘着性を持たないシートでスピンとスピードが両立されたラバーになります。一方、今回レビューするディグニクス09Cは、粘着シートを採用した粘着テンションラバーになります。

 バタフライが扱ってきた粘着ラバーは古くはTackiness(タキネス)シリーズと福原愛選手がフォア面に愛用したSpin Art(スピンアート)が挙げられるでしょう。タキネスシリーズはテンションラバーではないので、今回は割愛します。スピンアートはスポンジにテナジーシリーズと同じSpring Sponge(スプリングスポンジ)を採用しており、バタフライさんの分類において「粘着性ハイテンションラバー」でしたが、先日(2019年12月)廃盤が発表されました。個人的にスピンアートがかなり気に入っていた時期があり、メインでバック側に使っていた時もありました。そのスピンアートと同じ「粘着性ハイテンションラバー」であり、次世代ラバーとして、販売されたラバー、それがディグニクス09Cになります。

スピンアート(廃盤)のレビュー: https://katsuo000.com/review_spinart/

 ディグニクス09Cのプロモーションには、なんとドイツのトップ選手、40歳で今なお世界の最前線で活躍し続けるTimo Boll(ティモ・ボル)選手によるものでした。先日のヨーロッパ選手権(2021年)で8度目の優勝を修め、ヨーロッパ最強の皇帝、ティモ・ボル選手!そもそもディグニクス09Cの開発にはティモボル選手が深く関わっているようで、なんと7年もの長期間をかけて開発されたようです。ボル選手が「ずっとこんなラバーでプレーしたかった」とおっしゃるラバー、それがディグニクス09C、ということで嫌でも注目が集まるラバーになります。2020年3月末には流通が始まり、既に多くのレビューがYou tubeやブログなどで発信されています。
 また2020年1月にバタフライさんと電撃契約したドイツのDimitrij Ovtcharov(オフチャロフ)選手も、フォア面にディグニク09Cを使用しているそうです。ディグニクス09Cにラバー変更して直後のワールドツアーでオフチャロフ選手は、世界ランキング格上の選手、中国若手のFan Zhendong(樊振東)選手に勝利しました!この勝利は、ディグニクス09Cによるもの!、と宣伝したいバタフライさんの想いが伝わるような、オフチャロフ選手のインタビュー動画もYou Tubeなどで配信されています。これ以上ない宣伝となったと思います。

Dimitrij Ovtcharov選手の動画:https://www.youtube.com/watch?v=BK3w8t_LyJE

 卓球帝国中国では、若手左利きのエース、Lin Gaoyuan(林高遠)選手もバック側にディグニクス09Cを使用していますね!中国では、やはりDouble Happiness Shanghai (DHS)のHurricane(キョウヒョウ)シリーズが粘着ラバーとして君臨しています。流石にフォアに使用する中国トップ選手はいないようですが、中国選手が従来からバック側にバタフライのスピン系テンションを使用することがよくあり、ディグニクス09Cもその選択肢に入ったと言うことでしょう。

スピン系テンションと粘着ラバーの比較:

粘着ラバーの分類:

 また日本では、2021年1月の全日本選手権(天皇杯)を優勝した及川瑞基選手もフォアにディグニクス09Cを使用しての栄冠でした!確かな実績を築き上げていることがわかります。加えて日本のバタフライ契約選手の多くがディグニクス09Cを使用するようになりました。2021年7月には、イケメン選手松平健太選手やプロ転向した上田仁選手、高木和卓選手が両面に、また平野友樹選手や吉田雅己選手もフォアやバックに使用しています。若手の選手、世界ランキング日本トップで東京五輪メダルが期待される張本智和選手、インターハイおよび全日本選手権ジュニアの覇者戸上隼輔選手や2020年前日本選手権優勝の宇田幸矢選手らはスピン系テンションラバーですが、今後のジュニアの選手、松島輝空選手がフォア面に使用しています。新しい日本の卓球として粘着ラバーの時代が来るかもしれませんね!

 ディグニクス09Cの性能に関するバタフライのキーフレーズは「矛盾を乗り越えたラバーは、強い。」です。何が矛盾かというと、スピン系テンションラバーのようにスピードと弾みが得られるのに、粘着ラバーのようにストップが止まって台上が強い、ということだと思います。

公表性能値

 用具性能値からディグニクス09Cは、Tenergy 05(テナジー05)と同等のスピード、そしてDiginics05(ディグニクス05)などのラバーを超越する高いスピン性能を持つことがわかります。ディグニクス05を遥かに超えるスピン性能、ということでこれは嫌でも期待してしまうラバーだと思いました。
 また、バタフライさんはホームページ上で、アウター特殊素材系ラケットとの相性が良いということも発信されています。アウター特殊素材が好みのkatsuo000としては、嫌でも気になったラバーで、初めて予約購入させていただきました!

Dignics 09Cの重量と貼り

 ディグニクス09C特厚のラバー重量は約50 gでした。スピンアートやTenergy 05Hard(テナジー05ハード)と同じくらいの重量だと思います。全体的に高性能で軽量なラバーが多いのが、バタフライさんの特徴ですので、バタフライさんのラバーの中ではディグニクス09Cは重量級のラバーと言えるでしょう。

Dignics 09C(ディグニクス09C)
 Tacky High Tension(粘着性ハイテンション)裏ラバー
・スポンジ厚:厚(1.9 mm)、特厚(2.1 mm)
・スピン:13.0
・スピード:13.0
・Sponge硬度:44
・オープン価格(9,800円 + 税)
・78 g(切断前) → 50 g(張継科ZLCに貼って)

ディグニクス09Cの3つの特徴

限りなくテンションラバーに近い粘着テンションラバー

 食い込みがかなり良いので、限りなくテンションラバーに近い粘着テンションラバーだと感じました。最低限の粘着らしさを持たせつつ、ほぼスピン系テンションラバーと言って良いと思います。少なくともHurricane(キョウヒョウ)一筋の生粋粘着ラバー使用者は賛否が分かれると思います。個人の感想としては、ディグニクス09Cよりもテナジー05ハードの方が粘着っぽく感じます。よってこれも個人の意見ですが、粘着性ハイテンションラバーと思わずむしろ、高性能なスピン系テンションだと思って使った方が良いでしょう!
 また粘着ラバーをある程度使った経験から申し上げると、粘着ラバーらしい特徴である台上の止めやすさ対下回転を打球点を落としても弧線でスピードドライブを、ねじ込める打ちやすさは兼ね備えていると感じました。
 粘着ラバーとして考えた場合、明らかに弾みます。この弾む特性を活かして中陣からでもミート打ちでスピードボールを打つことができます。これは結構嫌らしくて、いい意味で回転量の差を生み出しやすいラバーだと思います。中陣からミート打法とドライブを併用することで回転量の差を生み出しやすいラバーだと思いました。ディグニクスやテナジーなどのスピン系テンションでも同じような打法は可能だと思いますが、ドライブの回転量が得られるディグニクス09Cであるからこそ、嫌らしさが際立つ打法だと思います。今までバタフライのラバー、テナジー05などは高性能ですが、ボールが揃いやすいと言われていました。技術力にもよりますがいい意味でボールに変化を与えやすいラバーに仕上がっていると思いました。

ディグニクスの中で一番ボールの弾道が急降下-急上昇する!

 確かに回転量13は伊達ではないと思いました。ドライブの引き合いなどでしっかり食い込ませたときのボールの台への急降下、台についてからの急上昇はえげつなかったです。テナジーでもそのような弾道は垣間みますが、ディグニクス05の方がより顕著で、ディグニクス09Cは最もエゲツない、急降下-急上昇する弾道だと感じました。これをコントロールできればかなり武器になると思います!恐らく、この急降下-急上昇する弾道がこのディグニクス09Cの癖球と言えるのでしょう。キョウヒョウの持つような、沈み込むような癖球はありませんでした。スピン系テンションラバーの最高峰の1つテナジーシリーズやディグニクスシリーズの癖球と同系統の癖球ということで、ディグニクス09Cはやはりスピン系テンションラバーですね!

ディグニクス05よりも扱いやすいディグニクス!

 くい込みの良いシートを採用したことで、ディグニクス05よりも明らかに扱いやすいラバーとなっていると思います。ディグニクス80も扱いやすかったですが、このディグニクス09Cも、万人受けすると感じました。スピン系テンションから粘着テンションへ移行したい人におすすめできるラバーだと思います。あるいはスピン系テンションだと思って使っても差し支えないでしょう。台上のやりやすさを維持したまま、ラリーでは必要最低限のレベルで弾みとスピードがあって、そこに十分以上の回転量が得られる粘着ラバーのようにミスしづらいラバーとなっています。ディグニクス05などはどちらかというと、テナジーよりも直線的で打ち抜きやすいラバーだと思いますが、ディグニクス09Cは一発で撃ち抜くというよりは、ミスがしづらくラリータイプにオススメしたいラバーになってますね。扱いやすい分、個人の感想としては、重量を気にしなければフォアよりバックにあうと感じました。

ディグニクス09Cの3つの課題

キョウヒョウのような癖球は出づらい

 上述と被りますが、キョウヒョウというラバーを好んで使用する粘着ラバーユーザーにとっては、ループドライブの癖球による得点力の低下を感じる可能性は高いと思います。もちろん、高い回転量の得られるラバーですので、十分ディグニクス09Cのループドライブは得点力のある打法ですが、ボールの沈み込みや癖球の嫌らしさはキョウヒョウの方が上と言って良いと思います。その分、キョウヒョウよりはスピードドライブは打ちやすいので、この辺りで差別化されると思います。

硬い

 硬さについて言及すると、ディグニクス09Cはシートはやや食い込みが良くて柔らかい分、スポンジは硬いラバーになっています。テナジー05ハードはシート形状も食い込みを感じにくい形状であり、スポンジも硬く、ラバー全体で硬いデザインになっています。ディグニクス09Cはシートは食い込みやすい分、テナジー05ハードスポンジよりもさらに硬くしている設計になっていると感じました。やはり人を選ぶ設計になっていますが、トップ選手の中にはバックハンドに使用する選手も登場しています。これはシートの食い込みの良さがあるためだと思います。

スピードが遅い

 打ち抜くがやや難しいラバーにもなっていると思います。アウターALCやアウタースーパーALCなどを使うことで初めて打ち抜けるような組み合わせになりますが、それはまさにトップ選手仕様になりますね。スピードを求めていくと、ラバーの味も出にくくなるようにも思いますので、この当たりが用具沼として卓人を誘い込もうとしているように思いますね。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 過去にHurricane NEO III Blue Sponge(省チーム用キョウヒョウNEO3ブルースポンジ)を使用しておりましたが、キョウヒョウNEO3ブルスポと比べると明らかにスピン系テンションのような弾みでした。キョウヒョウNEO3ブルスポは、ブルースポンジがノーマルキョウヒョウNEO3のオレンジスポンジよりも柔らかくて、食い込みやすいのですが、それでも軽打では全然弾みません。キョウヒョウはとにかく当てるだけだと、スポンジが厚とか中みたいに飛ばないんですよね。スピンアートもキョウヒョウと同じように、軽打はそこまで弾まないです。スピンアートをイメージしていたので、ディグニクス09Cは当てるだけだと粘着っぽくなく結構弾みました。これは驚きでしたね。また食い込みがとても良くて、テナジー05ハードよりもスポンジ硬度が硬いとは感じなかったです。打つ前、貼りたてで球をついてみたときにも感じましたが、ディグニクス09Cはかなりスピン系テンションラバーに近い粘着性テンションラバーだと思います。球つきのときの弾みから、ディグニクス05と同等のスピードが得られるのではないかと期待してしまいました。

ラリーでのドライブ
 軽くドライブをかけるだけだと、結構ボールが浅く入る印象を受けました。ディグニクス05と比較すると明らかに浅いですね。Dignics 80(ディグニクス80)もディグニクス05と比較するとボールが浅く入りやすいんですが、ディグニクス09Cの打球は多分ディグニクス80よりも浅く入っていたと思います。
 また回転を全くかけないで弾くようにドライブを打つと、ディグニクス09Cの良さが出ないと感じました。ミート気味に打つのではなく、ラバーへ食い込ませながら弧線を描くようにねじり上げるように回転をかけるとディグニクス05よりもディグニクス09Cの方が、弾道の急上昇-急降下が顕著に感じました。ディグニクス05でもドライブの引き合いなどで「オーバーする!?」ってボールが相手の台へ沈み込むような弧線を描いて入り、その後上へホップするドライブを打てる時がありますが、ディグニクス09Cはさらにエグい跳ね上がり方をするようなドライブが打てる印象です!決してキョウヒョウ系の台に入ってからさらに沈み込むような粘着特有の癖球ではないと感じました。
 しっかりラバー全体に食い込ませてドライブをかけることができた時は、ディグニクス05と比較して、弧線を強く描くので安定感があって、とても強い回転量のドライブとなります。
 またディグニクス09Cのドライブを受けて感じたことをあげます。まず回転量がエゲツなくてオーバーミスが増えました。加えて回転が強いと思って思い切りラケット角度を被せてブロックしようとすると、たまに全然回転のかかっていないドライブも来て落とすこともありました。弾むラバーなので回転の弱いドライブも打てるということですね。キョウヒョウでは、弾まないのでこのようなボールは打てないと思いました。またやはりテナジー05やディグニクス05と比べるとボールは遅いと感じましたね。中陣や後陣からのドライブであれば、逆をつかれない限り、ノータッチは少ないと思いました。

面を開いたドライブ
 やはりディグニクス09Cは粘着ラバーですので、面を開いてドライブした方が弧線が出やすくて、安定感があって威力のあるドライブが打てました!キョウヒョウNEO3だとインパクトやスイングスピードが甘いとネットミスしやすいのですが、ディグニクス09Cだとネットミスはほとんどイメージできないくらいボールが上へ上へと上がります。逆にオーバーミスしやすいのでそこは押さえ込むように、弧線を描かせるスイングやボールの上側を水平に捉えるようなスイングが必要だと感じました。ボールの重さでいうとキョウヒョウNEO3の方が重いと思いますが、ディグニクス09Cの良かった点はつぎの3点になります。

  1. 打球点を多少落としてもスピードドライブができるような粘着ラバーらしい弧線
  2. 食い込みが良いので、打球点がブレてもスピードドライブが安定して入る
  3. 台に入った後ホップする弾道のドライブが打てる

対下回転に対するループドライブ
 とても打ちやすいですし、安定感はありました。しかし、自分はディグニクス05よりもディグニクス09Cの方が柔らかく感じてしまいました。柔らかく感じるので、ドライブそのものを安定して入れやすいのですが、グッと強い回転量を出せているとは感じにくかったです。バタフライの回転性能公表値を考慮するとディグニクス05以上の回転量のループドライブが打てて欲しいところでしたが、対下回転ループドライブでは、それを感じることはできませんでした。どちらかというとディグニクス05と同等程度のドライブになりやすいと感じました。またディグニクス09Cは粘着ラバーですが、どちらかというとディグニク05と類似の高い弾道になりやすく、低くて沈むようなループドライブはやりにくいと感じました。キョウヒョウNEO3の方が、弾道が低くて回転量の多い質の高いループドライブは打ちやすいですね。スポンジ硬度の割に、ディグニクス09Cのシートへ食い込みやすいからだと思います。回転量もディグニクス05の方が安定して高い回転量のドライブが打ちやすいと感じました。これは普段からディグニクス05をメインで使っていて慣れているからだと言えます。また、食い込みが良いからとスイングが遅すぎるとディグニクス05でもあるのですが、ボトっと落ちる時も度々ありました。しっかり体幹や重心を低く固定して、円運動で持っていかないと安定しないと思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 スピードドライブもループドライブ同様、打ちやすかったです。特に好感触だったのが打点の速いドライブですね。ディグニクス05の場合、打点が速いと、ボールへ当てるときの角度、ボールへの当て方などの難しさ、弧線の出しにくさ、などを感じやすいのですが、ディグニクス09Cだと簡単に弧線を描きやすいので、基本的にスピードドライブ狙いで行った方が良いと感じましたね。これは利点だと思います。結構打点を落としてもスピードドライブで持っていけるくらいスピードドライブが打ちやすかったです。また打球点を積極的に体の前方へ持っていきやすいと感じました。下から上ではなく、後ろから前へ前へとスイングすることがやりやすいラバーでした。

ブロック
 特にやりにくいと感じませんでしたが、一瞬ボールを持ってしまうのでブロックのテンポがゆっくりになりやすいと感じました。自分から少しでも前へスイングしてカウンター気味にしたり、アクティブブロックのように伸ばすようなブロックにした方が、良いと思いました。ある意味ブロックのように相手のボールのスピードや威力を利用しやすい技術の方が、球持ちを感じやすいので好きな人はすごく好きな感覚で打てると思います。

カウンタードライブ
 確かにやりやすいです。ボールが上へ上へ上がりやすいので、当てた後ボールを沈めるようなボールの抜き方をしてあげた方が良いと感じました。あるいはトップ選手を拝見するとボールの上をとらえるのではなくて、ボールの後ろをぶつけるようにとらえながら回転をかける方が安定するのではないかと思います。多分フォアならキョウヒョウの方が、自分の回転をのせてカウンタードライブすることがやりやすいと感じました。キョウヒョウのようなドライブは難しいですが、ディグニクス05と比較すると粘着ラバーらしくカウンタードライブが打ちやすくて気持ち良かったです。試合じゃなかなかできないですけどね。ディグニクス05の方がカウンタースピードドライブが打ちやすく、ディグニクス09Cの方が、カウンターカーブドライブやシュートドライブ、上書きドライブがしやすいと感じました。

ストップ
 確かに止めやすいです。ただ回転をかけようとすると思ったより弾いてしまうので、難しく感じました。ただ硬いラバー、例えばテナジー05ハードやXIOM(エクシオン)のOmega VII Tour(オメガ7ツアー)やOmega VII Hyper(オメガ7ハイパー)、andro(アンドロ)のRasanter R53(ラザンターR53)でも、スポンジの硬さでやりやすいので、ディグニクス09Cの粘着シートだからストップがやりやすいという感じは受けませんでした。おそらくオメガ7ハイパーもシートは食い込みやすくてスポンジは硬いラバーだと思うのですが、ディグニクス09Cの方がより食い込みやすいと思います。また、ディグニクス05でストップに慣れると、切れたストップがピタッと出せるようになるので、ディグニクス09Cを使う必要性は、ストップに関しては感じませんでした。
 また印象として、食い込みが良いので、アップ系のショートサーブは浮かしてしまうことが多いように感じました。実際、ディグニクス09Cに変えた選手にはアップ系ショートサーブが今まで以上に効くようになった印象があります。

ツッツキ
 サイドを切るようなツッツキがしやすかったですね。切ろうとせずコースを狙って低く入れる分なら十分な性能を示してくれると感じました。切ろうとすると食い込みすぎるので、食い込ませずにシートだけで回転をかけた方が回転がかかると思います。

フリック
 フリックはとても安定して良いと感じました。軽く打つだけでドライブ回転もかけることができてフリックがとても安定する印象を受けました。スピードフリックも安定してやすかったですね。どちらかというとナックルフリックよりも勝手にドライブフリックになる感じですね。スピードを出すなら上方向へ強くスイングした方がドライブ回転がかかって安定するので良いと思います。

サービス
 強い回転がかかります。ディグニクス05では巻き込み系で逆横下回転をかけるのが少し難しいのですが、ディグニクス09Cなら巻き込み系でブチッと逆横下回転サーブを出しやすかったです。またディグニクス05と同様で、ぶつけるような軌道で縦切り系サーブが切れてないようでかなりブチッと切れる感じがありました。ボールの重さは感じ辛いですが、回転量はかなり高いサーブを出しやすいです。

バックハンド系

軽打
 軽打では、やはり普通のスピン系テンションに近い打球感でした。バックにSpin Art(スピンアート)を使っていた時の打感やボールの飛び方を覚えておりますが、スピンアートよりもディグニクス09Cの方が明らかにボールが食い込んで、弾んでいます。ボールはそこまで早くない印象ですが、弧線の出方が段違いでしたね。ディグニクス05と比較しても弧線が出ていることがよくわかります。 

ラリーでのドライブ
 ラリーでのバックハンドドライブはかなり好印象でした。食い込みやすいので相手のコートの深いところにドライブが入る感じがありました。テナジー05ハードやスピンアートだと少し浅く入りやすいんですよね。これはかなり好印象でした。 

対下回転に対するループドライブ
 結構オーバーしやすかったです。自分はバックハンドは一度ボールを食い込ませるように少し面を上へ向け気味にボールにぶつけてからドライブをかけるからオーバーミスが目立ったのだと思います。ディグニクス09Cはボールの弧線がめちゃめちゃ上に出るので、打点を落とし気味にしてシートでひっかけて打つと、しっかり回転がかかって、相手がその回転量にミスを誘えると思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 良いですね。自分のバックハンド技術が上達したと錯覚するような強烈なスピードドライブが打ちやすいです。食い込ませやすいので、バックにあっている部分もあると感じました。使うには慣れる必要を感じましたが、慣れれば武器になると思います。ただ自分は最近バックにバタフライのラバーは難しいと感じていることと、食い込ませてから回転をかけるスイングになりやすいので、あわないと感じてしまいました。

ブロック
 特にやりにくいということはありませんでした。粘着ラバーのような落ちる感じもなくてコントロールもしやすかったです。たまにオーバーミスすることが気になりましたが、これは慣れでしょうね。またこのラバーはサイドスピンブロックなどのブロックもやりやすくて非常に好印象でした。

カウンタードライブ
 バックハンドでのカウンタードライブは打点をあまり落とさないし落とせないので、あまり良さを感じませんでした。ディグニクス05でも十分良いカウンタードライブが打てると思います。ディグニクス05とディグニクス09Cのバックのカウンタードライブは同じくらいのやりやすさだと思います。スピードと直線性はディグニクス05の方がありました。

ストップ
 どちらかというとやりにくかったです。自分はハードなラバーが好きな理由はレシーブなどのツッツキで、回転の影響でボールは浮かさないためです。柔らかいと感じるラバーはバックだと感覚が悪いので、使いづらいと感じてしまいました。

ツッツキ
 入れるだけであれば問題なくやりやすいです。でもそれならテナジー05ハードでもできる気がしますね。スピンアートではかなりブチ切れのツッツキができて良かったのですが、ディグニクス09Cだと切りに行くと食い込みすぎてぶっ飛ぶのでやりにくいと感じてしまいました。自分はあまりツッツキが得意ではないので、上手な人は切ることができると思います。また、ディグニクス05に慣れてくると、ツッツキも浮きにくく、タイミングでしっかり切って低く出せるようになるのでツッツキに関してはディグニクス09Cを必要とは感じませんでした。

チキータ
 球持ちが良いのでかなり引き付けることができるのと、めちゃめちゃボールが上に上がるので、スイングスピードを意識しなくても良いので、ディグニクス05よりも安定したチキータがしやすいと感じました。スピードも台上であれば問題ないスピードが出しやすいですし、サイドスピンを入れると相手がかなり取りにくそうにしていたので、回転量による嫌らしさを含めると非常に良いと感じました。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 ディグニクス09C ≧ ディグニクス05 > Diginics 80(ディグニクス80) > テナジー05

スピード
 ディグニクス05 > ディグニクス09C > スピンアート

食い込ませたときの弧線の出しやすさ(ボールの沈み込みやすさ)
 ディグニクス09C > ディグニクス05 > テナジー05

フォアカウンタードライブのやりやすさ
 ディグニクス09C > ディグニクス05

バックカウンタードライブのやりやすさ
 デイグニクス05 = ディグニクス09C

ボールの重さ(重いボールが打てたと感じやすいラバー)
 省チーム用キョウヒョウNEO3ブルースポンジ > ディグニクス09C ≧ ディグニクス05

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レビュー Dignics 05(ディグニクス05)

説明

 Dignics 05(ディグニクス05)はButterfly(バタフライ)が2019年4月に販売開始したラバーになります。今までバタフライの看板ラバーであるTenergy(テナジー)を超えるラバーとして販売されました。テナジーそのものが、トップ選手の半数以上が使用するラバーとしてワールドスタンダードに君臨していたわけですので、ディグニクスは次世代のワールドスタンダードと言えるでしょう。その性能はテナジー以上であり、バタフライと契約するトップ選手が次々に使用、その直後に結果を出す、その事実が高い宣伝効果となってディグニクスは注目の的となりました。まさにトップオブトップのラバーです。

 本ブログの初めてのレビューはやはり、このディグニクス05にしたいと思っておりました!(katsuo000の本音)

 このラバーとの出会いは、実はあまり良くありませんでした。当時フォアに粘着ラバーを使っており、初めはバックハンドに使ってみようと思って購入したのがきっかけです。実際にバックで使ってみましたがバックハンドの技術不足で使いこなせず、継続使用できませんでした。その後、団体の全国大会に出場する機会を得てそこで数名のバタフライ契約選手がディグニクス05を使って練習している様子を拝見させていただきました。それまでフォアには粘着ラバーを使っていたのですが、粘着ラバーはおろか、テナジー05でも得られないボールのスピードに驚いたことを覚えています。全国という舞台で戦いたい!と思い、用具を見直そうと思ってディグニクス05への変更を決めました。

公表性能値

 用具性能値比較からわかるように、回転性能とスピード性能がTenergy 05(テナジー05)を上回る性能を持つのがディグニクス05です。Tenergy 05(テナジー05)も高い回転性能を持っていて、ループドライブの質の高さやサーブの回転量などは粘着ラバーに負けない回転量を有します。そのテナジー05を上回る回転性能とスピード性能を持つラバーと公表されたラバーがディグニクス05というわけです。粘着ラバーを使っておりましたが、現在ディグニクス05を使っていて、回転量に不満は感じておりません。

Spring Sponge X(スプリングスポンジX)とDignics(ディグニクス)シリーズのシート

 Spring Sponge X(スプリングスポンジX)は、テナジーシリーズに採用されているSpring SPonge(スプリングスポンジ)の進化版だと思います。スプリングスポンジが独立気泡のスポンジ他のラバーメーカーでは製造できないもののようです。そのスプリングスポンジの独立気泡を、独立を維持したままより細かくしたものがスプリングスポンジXらしいです。結果、スプリングスポンジよりもスプリングスポンジXの方が、14%変形しやすくなり、反発力は3%向上しているそうです。
 テナジーシリーズのスプリングスポンジといえば、オレンジ色のスポンジが特徴的ですが、ディグニクスシリーズのスプリングスポンジXは真紅と言える赤色が特徴で、一眼でディグニクスシリーズとわかります。

 表面の強度と球持ちが改善したことも紹介されています。球持ちについてはシートで捉えるカウンターやチキータがより安定することが紹介されていますね。また強度ですが水谷選手も言及されていてラバーの交換までの時間が長くなったとおっしゃってます。確かにテナジーシリーズと比べてもシートが白くなるまでの時間が長くなっていて、保管条件が良ければ1年近くシートの劣化は感じません。ラバー全体で考えると、スプリングスポンジXのテンションというか張りが緩む感じがあるので、刻一刻と状態は変化していくと感じます。
 ディグニクスシリーズのシートは透明感が強くなっていますが、ドイツ製の曇り系シートに近い強いシートを採用しているようなので、抜群にチキータやカウンターがやりやすいと感じます。

Dignics 05の重量と貼り

 メインラケットであるZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

 使用している接着剤はFree Chack II(フリー・チャック2)になります。何度もディグニクス05をフリー・チャック2で貼りましたが、だいたい48 g前後になりました。フリー・チャック2はトロネバ系で塗りすぎると重くなりやすいので気を付けた方が良いと思います。ディグニクス05は硬いラバーですが、あまり厚塗りするとスピン性能が落ちたりするのでオススメはしません。

Dignics 05(ディグニクス05)
 High Tension(ハイテンション)裏ラバー
・スポンジ厚:厚(1.9 mm)、特厚(2.1 mm)
・スピン:12.0
・スピード:13.5
・Sponge硬度:40
・オープン価格(9,800円 + 税)
・70 g(切断前) → 48 g(張継科ZLCに貼って)

Dignics 05の3つの特徴

最高峰の回転性能とスピード性能

 なんと言っても極めて高い回転性能を有しています。ループドライブは全日本選手権出場者の方にも、初見ならオーバーミスを誘うことが可能なレベルにあります。弾道は粘着ラバーと異なり高いですが、回転量は明らかに粘着ラバー顔負けな高性能ぶりを発揮します。さらにテナジー05よりも明らかにボールのスピードが速くなっています。回転性能とスピード性能がまさに両立した最強のラバーの一つと言って良いでしょう。有機溶剤を塗っていないのに、有機溶剤を使用したような回転とスピードが得られるハイエンドラバーです。

カウンタードライブがやりやすい!

 さらに、驚くべきはカウンタードライブのやりやすさです。正直言って角度はあまり関係なくて相手のドライブに対してボールを潰すようにボールの真上を捉えてスピードドライブを打てば、ほぼ入ってしまう驚異のカウンタードライブ性能を持っています。相手のドライブに対してかなり強いと言っても過言ではないと感じました。このカウンタードライブのやりやすさも、このラバーを本職ラバーとして使う理由になります。恐らくディグニクス05が高いカウンタードライブ性能を有する理由は、シートが強いためだと思います。テナジー05よりもシートが強く硬くなったために、相手のドライブに対して強いのだと思います。
 カウンタードライブができなくても、ブロック角度の繊細さも鈍くなったと思います。これもシートが強くなったためだと思います。回転性能の高いラバーは総じて、相手のドライブやサーブなどの回転量の多いボールに対して繊細であることが多いと感じます。個人の感想ですが、テナジー05の方が相手のドライブに対して角度で合わせづらいと感じます。一方ディグニクス05は、相手のドライブに対し入れるだけであれば、角度がわからなくても、なんとか入れられる印象があります。実際にこのラバーのおかげでブロックが入って勝てたと感じた試合もありました。このように相手の攻撃的なドライブボールに対しても、強さを発揮できるラバーは、現代卓球で求められる性能の一つだと思います!

最高峰の回転性能とスピード性能なのに軽い!

 先ほども触れましたが、この高いスピン性能とスピード性能を有しながら軽いという特徴を持っていることも特筆すべきだと考えます。軽いことでボールが軽くなるということを危惧する場合もあるかもしれませんが、自分はサイドバランサーでコントロール可能だと思いますので、むしろ軽いことはメリットであると考えます。これだけの回転性能とスピード性能を持つのに50 gを切るラバーは他にありません。よく一緒に練習する相手の方からも、ボールは重いとおっしゃっていただくので、ディグニクス05のボールは決して軽くはないと思います。唯一弾道が高くなりやすいので、低い弾道のドライブを打った方が良い場面があるかもしれません。

各技術レビュー

 それでは各技術を細かく紹介させていただきます。

フォアハンド系

軽打
 軽打から激しく回転がかかる感じはありません。シートの粒形状はおそらくテナジー05と類似または同形状であると感じました。テナジー05だとTenergy 80(テナジー80)などと比較してスピード感がかなり落ちるイメージがありますが、その分シートがしっかりボールをグリップするので回転がキュッとかかる感じがあります。ディグニクス05では、少しシートにひっかけると、相手がとても取りにくそうになってしまう位、ボールが伸びます。ミート気味に打つと体感としては直線的にボールが飛んでいるように感じるのですが、使い込んでいくと弧線を描いていることを感じます。ミート打ちですら弧線を描くあたりは、粘着ラバーに似ていると感じました。

ラリーでのドライブ
 かなり回転がかかります。特に相手のボールを利用してスポンジに食い込ませて打てた時は、相手の台に急降下するようなエグい弾道を示すことがあります。粘着ラバーの癖球のような沈むいやらしさはありませんが、強烈な回転で台上に飛び込んで思い切りホップして跳ね上がる弾道はテナジー05の上を行く、まさにディグニクス05特有の弾道と言えるでしょう。このディグニクス05特有の弾道は、自分にとってとても気に入っている点になります。またスピードはもちろんテナジー05よりも速いです。体感としてはテナジー80と同等以上だと感じます。イメージとしてはテナジー80よりも弧線を描いてるのにスピードが出ているという不思議なスピード感で、テナジー80のような速さなのに、弧線を描く分、対空時間は長い不思議なリズムでボールが台を疾走します。
 下がって打つときなどに、スピン系テンションラバーのようにただ弾いてしまうと、このラバーの持ち味は活かされないと感じました。打球点が落ちた時はラバーにしっかり食い込ませることで、えげつない弾道と回転量が出せます。まさに粘着ラバーのような回転重視のドライブができるのが良いですね。また粘着ラバーでは打てないようなスピードのスピードドライブが下がっても打てる点もとても気に入っております。まるで有機溶剤を塗っているような弾み具合で下がっても一発狙えるのがとても良いと感じます。
 カーブドライブ、シュートドライブ、どちらも打球点を落としてしっかり回転をかけるとエゲツない曲がり方をしますね。良好です!どちらかというと、カーブドライブではオーバーミスか、弾道がゆっくりになりやすいので、シュートドライブとか面を開き気味に打った方が素晴らしいドライブが打ちやすいです。

面を開いたドライブ
 粘着ラバーでスピードドライブを打つためには、面を開いてドライブを打つ打ち方があいます。自分の腕が悪いのだと思いますが、スピン系テンションラバーの中には、面を開いてドライブすると逆に回転がかかりにくくなるラバーも存在します。ディグニクス05でその面を開いた打ち方をしても、しっかり回転がかかりますので、スピードドライブもとても打ちやすいですね。ただ、打球点を落としすぎると流石に粘着ラバーではないので、相手のコートに入れるのが難しくなると感じました。スピン系テンションラバーなら十分な性能だと思います。

対下回転に対するループドライブ
 シートで回転をかけるループドライブをメインで使ってますが、かなり良いです。自分はまだ技術が足りないので、確実に相手コートに入れるためにだいぶ弧線を高くしてループドライブを打ってしまいますが、かなり高いボールになっても見た目以上にエゲツない回転がかかっているので、結果的にこのループドライブだけで得点できるくらいの武器になってしまいます。あと飛びついた時に食い込ませて入れるだけになった時も想像以上に回転がかかる感じがあってミスを誘うことができます。弧線の低いループドライブが打てるようになれば、かなりの質のループドライブになると思います。
 良いことばかり書いてしまいましたので、少し慣れが必要と感じた点を記載します。上回転に対しては敵なしに素晴らしいディグニクス05ですが、高い回転性能だからこそ、ボールに残っている下回転系の回転には影響を受けやすいです。また球離れがかなり速いです。この2点があるために、扱いづらいと感じる方が多いのではないかと想像します。自分自身は、ループドライブ含め対下回転ドライブ時は、腕だけではなく体や腰で打つことを意識して打球することで、安定するようになりました。グリップ感がとても乏しいと思いますので、この辺りが難しいと感じる人は多いと思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 スピードドライブもかなり良いです。スピン系テンションらしい、インパクトで持っていくスピード重視のスピードドライブも、面を開いて回転量のかかった重いスピードドライブもどちらも行けます。スピードがテナジー05よりも速くなったことで、ノータッチエースが狙えるのに回転量もあって安定させることができるのが良いですね。球質が揃うとカウンターを狙われるので、スピードドライブも的を絞らせないように技術力を上げていきたいです。

ブロック
 テナジー05と比較して明らかに良くなったと感じるのがブロックです。テナジー05は相手の回転に影響もされやすく軽いので弾かれる感じもありました。しかしディグニクス05はスポンジが硬く、かつシートが強くなったためか、かなりブロックが安定します。雑に角度を作ってもブロックを入れやすいんですよね。なんとか当てて入れるということがとてもやりやすいと感じました。このラバーのブロックのおかげで勝てた試合もあるくらいです。上回転のボールに対してかなり強い印象があります!

カウンタードライブ
 これ!ディグニクス05はカウンタードライブがかなり良いです。コースがわかればあとは相手のボールの上を捉えて回転とスピードを与えるだけで、強烈なカウンタードライブを打つことができます。かなりカウンタードライブがしやすいラバーでした。このカウンタードライブの打ちやすさも、ディグニクス05の好きなところです。

ストップ
 初めは弾いてしまって、かなり難しかったです。でもシートでひっかけるようにすることで台上でもかなり回転をかけることができるようになり、安定するようになりました。スポンジも硬いのでおさまりが良かったです。多分、他のディグニクスよりもディグニクス05の方がストップは切れておさめやすいと思います。

ツッツキ
 ストップとも被りますが、回転をかけやすいです。Spin Art(スピンアート)と比較すると流石に劣りますが、ディグニクス05もかなりツッツキが武器になるラバーだと思います。個人的にはDignics 09C(ディグニクス09C)のツッツキよりも切れて武器にしやすいと思ってます。

フォアフリック
 角度を合わせるフリックはあまり安定しないと感じました。思い切って強打を狙った方が弾みもあるので良いと思います。自然と回転がかかるようにラケットがボールに当たってからさらに上へスイングするようにすると安定すると思います。台と平行にスイングするなら、ナックルフリック系の方が良いと思います。

サービス
 ディグニクス05に変えてから、回転量はもちろん上がりましたが、それ以上に、Young Generation(YG、ワイジー)サーブが切れるようになりました。ブチッと切れます。逆横回転系で下回転サーブが出せるようになったのはサーブにバリエーションが出せるようになったので非常に重宝しています。また、ぶっつけ系のサーブでブチッと切ったり、ナックルにしたりが、しやすいので重宝しています。回転量を確保するためにすくい上げる系の順横下回転系サーブ以外にも球足の早い下回転系のサーブも出しやすいと感じています。ただし慣れるまでには結構時間が掛かりました。

バックハンド系

軽打
 フォアハンドで感じたことですが、やはり少しシートにひっかけるだけでアクティブブロックのような伸びるボールが出せます。スピードも出しやすくて良いです!しかも多分相手からするとミートに近い直線弾道のようなボールが、とても安定します。オートマチックにミート系またはスピード系ドライブが安定するのでとても頼もしかったです。

ラリーでのドライブ
 1年前に使ってみた時は全く安定しませんでしたが、1年間でだいぶバックハンドのインパクトが良くなったようで、かなり良かったです。また自分はバックハンドのドライブはどちらかというと食い込ませてから回転をかけるドライブの打ち方をしますが、その打ち方でも十分に回転がかかり威力が出せるのがディグニクス05だと思います。余談ですが、テナジー05もディグニクス05もドイツ製ラバーにあった打ち方をしても、十分に威力のあるボールが打てます。高性能なラバーだと改めて感じます。個人的にはシートだけで打つような回転優先の打ち方にした方が、回転量が増す分、さらに安定して好感触でした。こういった打ち方を選ばない高性能さは、バタフライのラバーっぽいなと感じました。
 また、テナジー05やTenergy 05Hard(テナジー05ハード)では軽打時などあまり面を下に向けすぎるとボトッと落ちることもありましたが、ディグニクス05ではシートの引っ掛かりがより強力になっているためか、面を相当下に向けてもかなり安定すると感じました。

対下回転に対するループドライブ
 フォアハンドドライブと比較してしまうと少し回転量が劣ると感じましたが、それでも安定して入れることができました。1年前は手だけで打っていたために安定を感じることができませんでしたね。今はかなり腰と体を入れるようにしているので、かなり安定して入れることができました。しかもかなり攻撃的なドライブが打てるのが好印象でした。

対下回転に対するスピードドライブ
 これもかなり良かったです!個人的にはしっかりボールに負けないように体幹を意識して打つことで、簡単にスピードドライブを打つことができました。試合で使えば相手にブロックを強いることができるレベルのスピードドライブを安定して打つことができました。一発で抜くほどのスピードドライブはさすがに難しかったですが、回り込んでフォアハンドドライブするよりも安定感と威力のあるドライブが打ててかなり好感触でした。

ブロック
 フォアでも感じてましたが、バックでももちろん良いです。ディグニクス09Cのループでも難なくブロック可能でした。シートが強くなったためだと思います。

カウンタードライブ
 想像できましたが、かなり良いですね。ボールの上を捉えるように打てば勝手にカウンタードライブの完成です。さらに威力を狙って強く打てばライジングカウンターのようなボールが打てます。えげつないですね。

ストップ
 問題なく止めることができます。感触良好でした。

ツッツキ
 ツッツキ練習で感じましたが、想像以上にツッツキで切りやすいです。自分は下手くそなのとアウターZLCのZhang Jike ZLC(張継科ZLC)をメインに使うのでテナジー05でもツッツキが難しいと感じていたのですが、このディグニクス05ではテナジー05よりもツッツキしやすいと感じました。弾むので、とにかくシートだけで打つのがコツだと思います。

チキータ
 ラバーが軽いので急なボールの変化にも対応しやすくて、チキータしやすいと感じました。ただ、まだ自分の腕がついていけておらず、バックハンドドライブほど安定感はありません。今後はバックハンドドライブの延長としてチキータを安定できるように練習したいと考えてます。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 ディグニクス09C ディグニクス05 > Diginics 80(ディグニクス80) > テナジー05

スピード
 ディグニクス80 ディグニクス05 > ディグニクス09C

食い込ませたときの弧線の出しやすさ(ボールの沈み込みやすさ)
 ディグニクス09C > ディグニクス05 > テナジー05

寿命
 ディグニクス05 > テナジー05

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