レビュー Liberta Glorious (リベルタグロリアス)

説明

 Darker (ダーカー)製のラケット、Liberta Glorious (リベルタグロリアス)をレビューします。Darker (ダーカー)といえば、ヒノキ単板ラケットで有名なブランドで、ペンドラ御用達のブランドになりますね。近年はLiberta (リベルタ)シリーズというラケットシリーズを展開しています。このLiberta (リベルタ)シリーズでは、特殊素材としてIZANAS (イザナス)という繊維を採用しています。IZANAS (イザナス)は超高分子量Polyethylene (ポリエチレン)系の材料ということで、他社の繊維とは化学構造から大きく異なる繊維ではないかと思いますね。このあたりに注目してレビューしていきたいと思います。

Izanas (イザナス)

 他社と差別化が計られているだろう、Liberta (リベルタ)シリーズの特徴であるIzanas (イザナス)について確認していきたいと思います。他社がよくもちいているArylate (アリレート)、Aramid (アラミド)、Zylon (ザイロン)、などとは化学構造が大きく異なっていて、Aromatic (芳香族)構造を全く含まないPolyethylene (ポリエチレン)系の繊維になりますね。それでは各素材について確認していきます。

Arylate (アリレート)
 Arylate (アリレート)といえばButterfly (バタフライ)の商標登録された繊維で、芳香族ポリエステル系の繊維ではないかと思います。近い素材と感じたのはmizuno (ミズノ)さんのDual Web (デュアルウェブ)というポリエステル繊維ですね。木材よりもクッション性と一定の硬さのある繊維のイメージで、ボールを掴んで飛ばすことのできる特殊素材の代名詞だと思います。未だに卓球界で主力の特殊素材であり、カーボンの硬さを補って柔軟性とか球持ちを与えるためにカーボン繊維とArylate (アリレート)繊維を編み込んだ素材がALC (アリレートカーボン)になりますね。katsuo000も大好きな素材で、ただのカーボン繊維と比べるとドライブ強打時でも確かな球持ちと強い弧線を示してくれるとともに、カーボンらしいスピードと威力の出しやすさ、は世界中で認められる特殊繊維の構成だと思います。他の素材と比べても高いわけでもなく非常にオススメの素材ですね。katsuo000がレビューしているラケットは以下になります。
 ・Lin Gaoyuan ALC (林高遠ALC) (廃盤)
 ・Zhang Jike ALC (張継科ALC) (廃盤)
 ・Timo Boll Spirit (ティモボルスピリット) (廃盤)
 ・Hurricane Long V (キョウヒョウ龍5) (アリールカーボン?海外製)

Aramid (アラミド)
 先述のとおりArylate (アリレート)はButterfly (バタフライ)の商標登録された繊維であり、しかもワールドワイドにラケットにおける世界標準となっています。他社ブランドも、使いたい!となるのですが、商標登録の壁などがあるようでなかなか使えず、世界的に広まっているArylate (アリレート)に近い繊維は、こちらのアラミドになりますね。アラミドは防弾チョッキにも採用される硬い繊維で、Aromatic (芳香族)構造に加え、amide (アミド)結合を有し、分子間や分子内で水素結合するので、比重はArylate (アリレート)に近いと思いますが、Arylate (アリレート)よりも硬いイメージになります。海外製のラケットに多く採用されていてAramid (アラミド)カーボン ≒ ALC (アリレートカーボン)と位置付けて卓球王国などでは紹介されていますね。katsuo000としては、じゃっかんAramid (アラミド)カーボンの方が硬いイメージがありますが、ALC (アリレートカーボン)をAramid (アラミド)カーボンに変更したラケットというものがあるわけではないので、そのあたりはよくわかりません。使い込んでいくと徐々にALC (アリレートカーボン)のように柔らかくなる感じがある気がしますが、ALC (アリレートカーボン)も使い込むとさらに球持ちが上がる気がします。素材が完全に同じではないので、やはり微妙に異なる気がしています。なお、Aramid (アラミド)繊維には多くの種類が存在し、Kevlar (ケプラー)繊維もAramid (アラミド)繊維のうちの1つになり、KLCはKevlar (ケプラー)カーボンになりますね。katsuo000がレビューしているラケットは以下になります。
 ・Tornado King Speed (トルネードキングスピード) (廃盤)
 ・Tornado King Power (トルネードキングパワー) (廃盤)
 ・970XX-KLC (海外製)

Zylon (ザイロン)
 ザイロンは現在Butterfly (バタフライ)さんの主力繊維の一つで、過去はArylate (アリレート)繊維のみを採用したラケットが種々存在しましたが、現在は廃盤となりZylon (ザイロン)繊維のみを採用したラケットが主ですね。Zylon (ザイロン)はArylate (アリレート)よりもAromatic (芳香族)性が高い材料で、Arylate (アリレート)と化学構造で異なる点は、窒素原子を芳香族部に有する構造になりますね。この結果、Aromatic (芳香族)部の電子の偏りが生じ、強固な分子間力が得られているような繊維だと思います。要は、Arylate (アリレート)繊維よりも極めて硬い繊維であるといえますね。
 またALC (アリレートカーボン)を超える威力と球持ちを求めると、Zylon (ザイロン)とカーボンを編み込んだZLC (ザイロンカーボン)が挙げられます。katsuo000もこちらの繊維も使っていた時代がありますね。個人的にはインナーに配したラケットはこするときと厚く当てた時の差が大きくなって苦手と感じたので、使うならアウター系が好きですね。またZylon (ザイロン)ファイバー (ZLF)を配したラケットは木材系と変わらぬ球持ちと威力およびスイートスポットの拡大が計られたラケットとなり、非常に使いやすくてオススメです。katsuo000がレビューしているラケットは以下になります。
 ・Zhang Jike ZLC (張継科ZLC) (廃盤)
 ・Mizutani Jun ZLC (水谷隼ZLC)
 ・Timo Boll ZLF (ティモボルZLF)
 ・Inner Force Layer ZLF (インナーフォースレイヤーZLF)

Izanas (イザナス)
 やっとここまで来ました汗。Izanas (イザナス)は超高分子量Polyethylene (ポリエチレン)繊維ということです。Polyethylene (ポリエチレン)とは、ジップロップやユニパックなどで使われている透明で柔らかい材料になります。超高分子量化することで、分子の結晶性があがり、性質も大きく変わる材料になります。他の特殊繊維と比べるとAromatic (芳香族)を有さないため、熱履歴の影響を受けやすいのではないかと思いますね。素材の原料はおそらく安いので、その分他の部分にお金を掛けられるのではないかと想像します。また材料から密度が低く軽量化をはかりやすい材料でもあると思います。釣り糸などに採用されていて、防弾チョッキに採用されるAramid (アラミド)よりも軽く軟らかさのあるような材料ではないかと想像して今回購入しました。実際に試打してみてこのあたりはコメントしたいと思います。

Liberta (リベルタ)シリーズ

 Liberta (リベルタ)シリーズは2023年までに6種類が存在し、それぞれ差別化されているようです。現在までに発売されているLiberta (リベルタ)シリーズについて、確認してきます。

Liberta Synergy (リベルタシナジー)
 Liberta (リベルタ)シリーズの代表的なラケットがこちらになると思います。インナーカーボンラケットであり流行りにしっかり乗っていますね。おそらく上板にLimba (リンバ)を採用し王道インナーカーボンラケットであるといえるでしょう。Izanas (イザナス)とカーボンを編み込んだIzanas Carbon (イザナスカーボン)を採用しています。ブレード面積はレギュラーの157 mmで普通の面積サイズになり、ブレード厚さは6 mmになります。ALC (アリレートカーボン)よりも吸収性のありそうなIzanas Carbon (イザナスカーボン)を使っていて、近いラケットはInner Force Layer ALC (インナーフォースレイヤーALC)が挙げられますね。

Liberta Synergy + (リベルタシナジープラス)
 Liberta (リベルタ)シリーズのアウターカーボンラケットになります。情報がないのでわかりませんが、おそらく上板にLimba (リンバ)を採用したアウターラケットではないかと思いますね。Izanas Carbon (イザナスカーボン)を採用し、ブレード面積はレギュラーの157 mmでブレード厚さは6 mmになります。近いラケットはMarcos Freitas ALC (フレイタスALC)やTornado King Speed (トルネードキングスピード) (廃盤)が挙げられますね。球持ちのあるアウターカーボンになります。また板厚を薄く5.8 mmにしたラケットがおそらくC-Hack (Cハック)になると思います。

Liberta Arcs (リベルタアークス)
 Liberta Synergy (リベルタシナジー)よりも硬く弾きの良さを付与したラケットがこちらになるそうです。板厚は5.6 mmと薄く、上板も硬い素材を使っているのではないかと想像しますね。今回のLiberta Glorious (リベルタグロリアス)を購入する際に最も迷ったのがこちらですね。名前からすると、弧線を強く描きそうですが、弾きも良いということで、今回は見送りました。現在かなり気になってはいるラケットでもあります。

Liberta Solid Aim (リベルタソリッドエイム)
 アウターにIzanas (イザナス)繊維を採用したラケットで、カーボンなしのラケットになります。板厚は6.0 mmとやや厚いですね。おそらくではありますが、飛距離はTimo Boll ZLF (ティモボルZLF)Fortius FT ver. D RE (フォルティウスFT ver. D RE)の間にくるようなラケットだと思います。個人的に板厚6 mm以上は厚いイメージなんで飛距離が出しやすい分、弾むイメージですね。

Liberta Solid Pro (リベルタソリッドプロ)
 インナーにIzanas (イザナス)繊維を採用したラケットで、こちらもカーボンなしのラケットになります。板厚は6.0 mmですね。インナーに繊維を採用したラケとは各ブランド、1種類あるかないかですが、ほぼ木材に近いラケットで、スイートスポットが広く、相手のボールに対し振動しづらい以外はほぼ木材ですね。木材が好きな方はこのようなラケットがオススメです。おそらく、木材の方が癖球 (1球1球の球の変化)が出やすいイメージなので、その癖が欲しいなら木材の方が良いでしょう。

Liberta Glorious (リベルタグロリアス)
 今回レビューしたラケットになりますね。Izanas Carbon (イザナスカーボン)をインナーに採用したラケットで上板に硬めの素材を採用、粘着ラバーとの相性が抜群ということで、こちらを購入しました。板厚5.8 mmでTornado King Power (トルネードキングパワー)とほぼ同じ仕様のラケットになるのではないかと思って購入しました。そのあたりも触れていきたいと思います。

Liberta Glorious (リベルタグロリアス)

 届いたLiberta Gloriou (リベルタグロリアス)は88 gで標準的な重量でした。あまり軽いのは好みではないので、まずまずという感じでしたね。ラバーは今回、フォア面に省チーム用キョウヒョウNEOIIIブルースポンジ (Hurricane NEO III Blue Sponge)を、バック面もHurricane NEO III (キョウヒョウNEO3)を貼りました。グルーはNittaku (ニッタク)製のFine Zip (ファインシップ)を使いました。

 やはりFine Zip (ファインジップ)を使うと重くなりますが、狙いでもありました。いろいろと試してきましたが、個人的にはFine Zip (ファインジップ)は層が厚くなりやすくてラバーの良さをぼかすので、好みではなくなってきています。接着力と安定感を考えるとやはりButterfly (バタフライ)のFree Chack II (フリーチャック2)がいいですかね。

リベルタグロリアルの3つの特徴

上板が硬く、かつ弾む!それでいて軽さもある!

 季節が冬ということもあるかもしれませんが、上板が硬かったですね。そして弾みを感じました。カーボンにガツンとあたっている感じがあって威力は申し分ないと感じたことも確かです。ただ、軽いんですよね。ここは好みがわかれる部分だと思います。7枚合板などのように重量系ではなく、5枚合板に近い軽さと振動を感じました。これはこのDarker (ダーカー)の本領なのかもしれませんね。この5枚合板らしさはkatsuo000はあまり好みではないのですが、5枚合板らしさを好むユーザーにはかなりささるイメージです。使い込んでいくことで球持ちを強く感じられるラケットに仕上がるのではないかと思います。

粘りのある打球感!

 Ma Lin Carbon (馬林カーボンと比較するとただのカーボンらしさではなく、特殊繊維と編み込んだ粘りのあるカーボンとなっていました。これは期待していた点であり、大事な特徴だと思います。ただのカーボンだけでは、球離れの良さがある一方で強打時に引っ張れないんですよね。この粘りのあるカーボンだけでは出せない打球感は期待していたもので、良かったです!

上板硬めのインナーカーボンで粘着との相性はいいものの使用者は選ぶ!

 インナーカーボンといっても上板が硬いので、これは使用者を選ぶやつだと思います。カチっとした打球感は好みが分かれると思います。一方で、粘着ラバーのスピードを補ったり、高い回転量を求めるとこういったラケットにたどり着くんですよ。個人的にTornado King Power (トルネードキングパワー)の代替となるようなラケットの探索はここで終わったのではないかと感じています。廃盤だったTornado King Power (トルネードキングパワー)と限りなく近いラケットはこのLiberta Glorious (リベルタグロリアス)だと感じました。ただ、使い込んであげないとやや硬さが取れていないので、すぐに本使用とはなりませんでした。またラケット重量もやや軽いのでこの部分は好みが出るかもしれませんね。柔らかいラバーを貼った時の回転量と質が今後気になっている点ですね。試打にどんどん組み込んでいきたいと思います!

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Timo Boll ZLF > Tornado King Power = Liberta Glorious > Ma Lin Hard Carbon

スピード
 Ma Lin Hard Carbon > Tornado King Power = Liberta Glorious > Timo Boll ZLF

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