マッドな打感なのに、扱いやすさと癖球のオメガVII!

「トップレベルで勝てるラバーの決定版」

 エクシオンといえば、ヴェガシリーズが有名ですが、徐々にオメガシリーズもトップ選手が使うようになってきました。2021年9月現在エクシオンのラバーを使用するトップ選手を以下に挙げます。

・ブラジルの星、ウーゴ・カルデラノ選手(Hugo Calderano)
 Hugo Hyper Axylium(ウーゴハイパーアクシリウムHAL)
 Omega VII Tour i(オメガIIツアーi))
・韓国の鉄腕、チョン・ヨンシク選手(Jung Yougsik)
 Ice Cream AZXi(アイスクリームAZXi)
 オメガVIIツアーi
・張本選手に勝利、アンジェヒョン選手(An Jaehyun)
 日本未販売のXIOMラケット
 Omega VII Asia(オメガVIIアジア)
・台湾のトップ選手、ジャンホンジェ選手(Chiang Hung Chieh)
  Ice Cream AZX(アイスクリームAZX)
 Omega VII China Ying(オメガVIIチャイナ影)
 オメガVIIツアーi50
・野田学園出身の高取侑史選手(株式会社リコー所属)
 アイスクリームAZXi
 オメガVIIツアーi48

そうそうたる選手が並びます。

 カルデラノ選手やチョンヨンシク選手、ジャンホンジェ選手や高取選手に共通する点として、過去に世界標準Tenergy 05(テナジー05)やテナジー05に似たラバーユーザーだったことでしょうか。バタフライの契約継続が可能かどうか、などの影響もあるのでしょうが、テナジー05から移行できるブランドとして、エクシオンのオメガシリーズのラバーは注目に値すると思います。実際、katsuo000はオメガやヴェガなどのラバーは、テナジー05に近いシート形状あるいは打球感であり、スポンジ硬度や重量で扱いにくいということがあってもシート形状であわないと感じるラバーはなかったと感じています。そして、上述の選手はエクシオンと契約しオメガVIIを使用することでより個性的で強みのある選手になったのではないかと想像します。

 オメガVIIシリーズについてエクシオンのパンフレットから引用しました。

「トップレベルで勝てるラバーの決定版」

 オメガVIIシリーズは、現時点でXIOMラバーの最高峰です。トップレベルの技術を持った選手のために開発され、そのスピード・スピン性能はまさに異次元。高速・高回転を生み出す薄目のトップシート(サイクロイド技術)と、プラスチックボールを確実にグリップするために生まれたスポンジ・トップシートの新技術(ダイナミック・フリクション=DF技術)が融合し、従来のハイエンドラバーをさらに上回る弾力性と回転性能を獲得しています。価格は安くはありませんが、それに見合う性能は十分すぎるほど有しています。第1球目を打った瞬間、あなたは今までに味わったことのない衝撃を受けるはずです。トップレベルを目指している選手、トップレベルで戦って勝ちたい選手は、ぜひオメガVIIシリーズを手に取ってください。ワンランク、いや、ツーランク上の卓球をするために。

2021年XIOMのパンフレットより

ELASTO FUTURA

 XIOM最新の3つの技術、CYCLOID、DYNAMIC FRICTION、CARBOSPONGEを全て採用していることを示すELASTO FUTURA。このELASTO FUTURAにカテゴリーされるラバーはオメガVIIとヴェガX、ヴェガツアーのラバーになります。
 CYCLOID(サイクロイド)の説明が最も抽象的ですが、おそらくシートとスポンジまたはスポンジ素材の変化ではないかと想像しています。硬度の割にくい込みのよいスポンジをもちいることで、高い回転量とボールが上にあがる軌道を得やすくする技術ではないでしょうか。ヴェガXやヴェガツアーでもディグニクスほどではないですが、ボールが上にあがることを感じました。オメガシリーズはスピード性能も高いラバーが多く、単純にテナジーやディグニクスのように弧線が上にあがるというわけではなく、弧線を描きつつも低いことがオメガシリーズの特徴だと思います。
 DYNAMIC FRICTION(ダイナミックフリクション)はシート技術になります。ドイツ製のタフなシート素材のことではないかと思います。エクシオンさんのシートは基本的に透明系のシートではなく曇り系で全く透けないシートを用いています。これはドイツ製のシートの特徴で、寿命はやや短いもののタフでうまく使いこなせれば高い回転量と癖球の出やすいシートのイメージがあります。プラボールへ移行にあわせ、ダイナミックフリクション採用のラバーをいくつか販売しなおしていて、滑りにくいよりタフな素材が採用されているのだと思います。
 CARBOSPONGE(カーボスポンジ)とは、ヴェガシリーズから特徴的な黒色のスポンジのことです。真っ黒なため非常に特徴的で、この色が透けて見えてしまうと赤ラバーはルール不適合になるため曇り系のシートになるわけですね。今ではこの黒色スポンジはヴェガやオメガの代名詞のようになったと思います。

オメガVIIの公表性能値からわかる特徴

公表性能値&公表スポンジ硬度

・Omega VII Tour i 50(オメガVIIツアーi50)
 Spin:16.00、 Speed:16.50、 スポンジ硬度:50.0
・Omega VII Tour i 48(オメガVIIツアーi48)
 Spin:16.00、 Speed:16.00、 スポンジ硬度:48.0
・Omega VII China Ying(オメガVIIチャイナ影)
 Spin:17.00、 Speed:12.50、 スポンジ硬度:60.0、ラバー重量:57 g
・Omega VII China Guang(オメガVIIチャイナ光)
 Spin:16.00、 Speed:13.00、 スポンジ硬度:55.0
・Omega VII Hyper(オメガVIIハイパー)
 Spin:15.00、 Speed:14.50、 スポンジ硬度:55.0、ラバー重量:54 g
・Omega VII Tour(オメガVIIツアー)
 Spin:14.50、 Speed:14.50、 スポンジ硬度:55.0、ラバー重量:52 g
・Omega VII Pro(オメガVIIプロ)
 Spin:14.00、 Speed:14.00、 スポンジ硬度:47.5、ラバー重量:49 g
・Omega VII Euro(オメガVIIヨーロ)
 Spin:14.00、 Speed:13.50、 スポンジ硬度:42.5
・Omega VII Asia(オメガVIIアジア)
 Spin:14.00、 Speed:14.50、 スポンジ硬度:52.5

・Tenergy 05(テナジー05)
 Spin:11.50、 Speed:13.00、 スポンジ硬度:36(Butterfly基準)、ラバー重量:47 g

 やはり最新のオメガVIIツアーiは非常に高性能なラバーであることがよくわかります。トップ選手はこちらのラバーを使用しているようですね。価格が1万円を超えてくるラバーで、契約選手御用達のラバーですので、当然と言えば当然かもしれません。上記の性能はVega Pro(ヴェガプロ)のスピードスピン性能をそれぞれ10としたときの比較値として、2021年のパンフレットなどから記載されています。ちなみに2020年までのオメガVIIツアーiシリーズを除く性能は次のような図になります。

 2020年までの数値の方が、オメガVIIツアーのスピード性能が上限値に達していて、オメガVIIハイパーが高性能なのか、と思わせるラバーになっていますね。一時期カルデラノ選手がハイパーを使用しているようなこともあったのかもしれませんが、結局オメガVIIツアーiを使用しているということですし、スピン系テンションの最高峰はツアーのようですので、公表性能値の変更が必要となったのではないかと想像します。ただし、ホームページ上で、カルデラノ選手はオメガVIIツアーiを使用していることが公表されていますが、その硬度は非開示でもしかしたらもっと硬いものを使用しているのではないかと想像します。というのは、ツアーiのパッケージによって、48と50に加え、55が書いてあるものを見たことがあるためです。カルデラノ選手のようにパワーヒッターになれば55°でも十分に使いこなせるのではないかと想像します。ちなみに2020年から2021年で数値を変更してもハイパーはツアーよりも上位のスピン性能を有したラバーではありますが、その差は小さくなっている印象がありますね。個人的にはスピン性能を大切にしているので、2020年までの公表性能値の方が好みでした。またエクシオンさんはコントロールやバランスといった性能値も過去には公表していましたが、オメガVIIハイパーからその値を出してくれなくなってしまいました。この当たりは好みというか選手にもよるからではないかと想像します。特にハイパーやオメガVIIチャイナは粘着テイストの入ったラバーになっていて、打ち方でかなり印象が異なるラバーになっているからだと思います。

 単純にどのラバーも扱えるパワーがあるのであれば、オメガVIIハイパーが、スピードもスピンも上位に位置するラバーであると言えるでしょう。オメガVIIハイパーはやはりかなり粘着ラバーらしさのあるスピン系テンションラバーで、立ち位置的にはテナジー05ハードのような立ち位置のラバーではないかと思います。テナジー05ハードを使っていて癖球やドイツ製ラバーらしさが足りない、重量が欲しいとなった際にはオメガVIIハイパーが良いと思います。

硬度計比較

 全てのオメガVIIシリーズを試打できているわけではなくて恐縮です。今後拡充予定です。

・Omega VII Tour(オメガVIIツアー)
 硬度計評価 shore a (sheet):35.1、 shore a (sponge):29.9
       shore c (shhet):49.2、 shore c (sponge):48.2
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 5.2
・Omega VII Hyper(オメガVIIハイパー)
 硬度計評価 shore a (sheet):33.9、 shore a (sponge):29.6
       shore c (shhet):46.9、 shore c (sponge):46.0
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 4.3
・Omega VII China Ying(オメガVIIチャイナ影)
 硬度計評価 shore a (sheet):33.0、 shore a (sponge):31.6
       shore c (shhet):49.3、 shore c (sponge):49.1
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 1.4
・Omega VII Pro(オメガVIIプロ)
 硬度計評価 shore a (sheet):29.9、 shore a (sponge):22.8
       shore c (shhet):39.8、 shore c (sponge):35.2
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 7.1
・Tenergy 05(テナジー05)
 硬度計評価 shore a (sheet):32.2、 shore a (sponge):26.8
       shore c (shhet):44.6、 shore c (sponge):43.3
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 5.4

1つ目の図は横軸に重量、縦軸にshore cの硬度をプロットしています。最近のラバーはみんな硬いことがよくわかりますね。ただ、同じ硬度計で比較しているからこそ、オメガVIIチャイナ影がそこまで硬くないことがよくわかるのではないでしょうか。逆にオメガVIIツアーはかなり硬く、これは個体差でかなり硬くて重いものが当たっている可能性があると思います。

 注目すべきは2つ目のshore aのシート側の硬度とスポンジ側の硬度の差を縦軸にプロットした図になります。 このshore aのシート側とスポンジ側からの硬度の差は、扱いやすさ、ラバー全体へのくい込みやすさを客観比較できる数字である、とkatsuo000は考察しています。 あるいは、shore cの値が同じくらいのラバーがあった場合、shore aのシート側とスポンジ側の差を比較し、その差が大きいラバーほど、くい込みの良さやシートの柔らかさを感じる、と考察しています。 テナジーと比較して、オメガVIIツアーはかなり近い値を示しており、非常に打球感や使い心地、扱いやすさが近くなりやすいことを示唆していると言えるでしょう。また粘着ラバーはこの値が低くなりやすい傾向を得ていて、一定の扱いにくさを示唆します。オメガVIIチャイナ影はディグニクス09Cと同等の値を示しました。ちなみに元祖粘着ラバーのキョウヒョウはこの値が極めて低いことが特徴と言えるでしょう。

オメガVIIとテナジーの違い

 実際にオメガVIIとテナジーを比較試打した場合に以下のことが言えると思います。

オメガVIIシリーズ
 メリット
 ・テナジーよりも重いので、押されにくく、くい込ませ方の違いで自然と癖球が出る。
 ・扱いやすさとラリー志向の中で威力があったり負けないラバー。
 ・テナジーよりもシートの寿命が長い。

 デメリット
 ・テナジーよりも重いので、パワーが必要になる。
 ・ラリー志向なラバーが多いため、全体的に体力を要する。
 ・価格はテナジーよりは安いが他のメーカーのハイエンドラバーより高い。

 上述がkatsuo000の考えるオメガVIIシリーズのメリットとデメリットになります。日本のトップ選手で使用者は多くはありませんが、何といってもラリー志向という点で魅力の高いラバーだと思います。ラリー志向の中で、威力も両立させようとしたラバーであり、体力とパワーさえあれば、韓国のトップ選手やカルデラノ選手のように、競り勝てるアスリートチックなラバー、それがオメガVIIといえるでしょう。

・Omega VII Tour(オメガVIIツアー)
 https://katsuo000.com/review_omega_vii_tour/ 

・Omega VII Hyper(オメガVIIハイパー)
 https://katsuo000.com/review_omega_vii_hyper/

・Omega VII Pro(オメガVIIプロ)
 https://katsuo000.com/review_omega_vii_pro/

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