説明
スポーツメーカーの大手、mizuno(ミズノ)が販売する標準的なパワフル系7枚合板ラケット、Fortius FT (フォルティウスFT)のレビューになります。FTはFine Touchの略になりますね。察しの言い方はわかるかもしれませんが、ミズノは過去にFortius(フォルティウス)というラケットも販売してましたがフォルティウスは廃盤となりました。過去の情報を拝見する限りどうやらフォルティウスFTよりも硬質でスピードの出るラケットだったようです。そのフォルティウスよりも、より打球感を良くしたラケットがフォルティウスFTということでしょう。
木材構成は心材がAyous(アユーズ)、Hinoki(ヒノキ)2枚、アユーズ2枚、Limba(リンバ)2枚の計7枚という構成になります。オール木材ですので、メーカー公表値(重量92 g、板厚6.4 mm)よりも重い/軽い、厚い/薄いなどの個体差が結構ありますので、インターネット販売なら重量や板厚指定、できるのであれば卓球ショップで板厚や重量を確認してから購入した方が良いでしょう。各社の7枚合板ラケットの比較表を今後作ってみたいと思ってます。本稿で強調させていただくことは、一般男子選手でもずしりと重いと感じる本格的なパワフル系7枚合板ラケットで、定価7,600円というまずまずのリーズナブルなラケットだということです。
現在はサブラケットですが、本職ラケットとしても使用してました。ラケットスペック重量:93 g (届いた時は89-90 gくらいでした。汗や水分、そして接着剤を吸ってだいぶ重くなってしまいました。)板厚:6.5 mm (公称値6.4 mm)で少々個体差を受けておりますね汗。ラバーなしで球をつくと意外に高い音がなります。弾みもまずまずです。結構良いラケットなんですよね。扱いやすくて、威力やパワーも出て、回転もかかって、と非常にバランスの取れた7枚合板ラケットになります。
フォルティウスFTの3つの特徴
1. 広ブレード面積で先端重心/7枚合板重量級ラケット!
→攻撃時は遠心力が活かせるパワフルさ!
→守備時はブロックがど安定!
公表のブレードの長さは縦158 mm、横150 mmになります。ちなみに日本メーカーButterfly(バタフライ)やVICTAS(ヴィクタス)のブレード面積は主には縦157 mm、横150 mmがメインになりますね。ブレード面積について今後まとめていきたいと考えてますので、お待ちください。ちなみに、Hurricane Long 5(キョウヒョウ龍5)やHarimoto Tomokazu Inner Force(張本智和インナーフォース)シリーズのラケットはブレード面積が広いです。ブレード面積が広くなることで、ラケットの重心は明らかに先端へと移りますね。ミズノのフォルティウスシリーズでは、縦は158 mmで横は150 mmと一般的なブレードサイズよりも縦だけ長くなっています。このブレードサイズは特徴的(もちろんフォルティウスFTだけのブレードサイズではなく、TSPのSWAT(スワット)シリーズもこのサイズです。)だと思います。より先端重心になるような設計としているのだと思います。なお、バタフライのラケットは一般的なブレードサイズが多いですが、グリップを空洞にしたり逆に重くしたりすることで重心をコントロールしているようです。
先端重心になることによるメリットは、より遠心力を効かせることができるので威力のあるボールが打てるようになります。その反面デメリットとして、ラケットが重たく感じます。切り返しも遅くなる(ように感じる)と言われています。個人的にはラケットが重たく感じるとともに、7枚合板らしいしっかりとした板厚がある分、相手の強打に対し押されにくいと感じるので、ブロックも安定するようになると感じました。
ラケットのブレードサイズと重量
2. 上板リンバの万人受けする打球感!
このラケットは上板にLimba(リンバ)材をもちいており、とてもグリップ感を感じます。このリンバを上板に採用したラケットは、非常に好まれる打球感となるので人気ですね。自分もかなり好みの打球感ですね。リンバを上板に採用することで、スイングスピードに左右されにくく融通が効いて咄嗟のボールにも強くなると感じます。特にバックハンドがやりやすい印象があります!
3. フォルティウスFT. ver. D以上の重量と合板らしい癖球!
公表のラケット重量はver. Dよりも重いです。このため、扱いにはエネルギーやパワーは必要ですが、その分威力のある合板らしい癖球が出しやすいと言われています。実際ラケット重量は92 gと重いので、それだけでも威力が出しやすいと思います。
おすすめのラバー組み合わせ
フォアラバー
V>15 Extra
重量は重いですが、V>15 Extraの硬さをフォルティウスFTのリンバの上板によって扱いやすくなります。フォアカウンターは、スマッシュ、ドライブ、どちらもやりやすい組み合わせと言えるでしょう。扱いにくいとかサーブが切れないと感じるなら、V>15 Stiffなど硬度を下げるのが良いと思います。
Tenergy 05(テナジー05)
V>15 Extraでは重量が重いと感じるのであれば、バタフライのラバーがおすすめになります。テナジー05はグリップ感も強いので、回転がかけやすい組み合わせとなって扱いやすくなると思います。ループドライブやドライブの引き合いではとても頼りになる組み合わせだと思います。
Hurricane NEO III(キョウヒョウNEO3)
7枚合板ということで木材系ラケットですので、粘着ラバーともよくあいます。特に癖球が出やすい組み合わせなので粘着ラバーを使おうと思うなら粘着ラバーの強みが活かせると思います。キョウヒョウのような硬いラバーでもどのように扱えば良いかわかりやすい組み合わせだと思います。
バックラバー
Fastarc G-1(ファスタークG-1)
かなりオススメなラバーがファスタークG-1です。ドイツ製ラバーらしい扱いやすさや癖球の出やすさを維持しながら、ラケットもラバーもグリップ力のある用具ですので、かなり回転をかけやすくてド安定します!ラケットを使いこなせれば回転量や威力も得られるので、レベルを問わずオススメできるラバーだと思います。
Rozena(ロゼナ)
回転量はそこそこで、自分の球にして返球するというよりは、扱いやすさとブロックの安定感、スピードが欲しいならロゼナだと思います。個人的にはラケットもラバーも柔らかいもの同士の組み合わせなので、回転の影響を受けやすくレシーブは難しいと感じましたがその分、ブロックやラリーはド安定しますね。また練習量を維持できるなら、成長できる組み合わせだと思います。
Rigan Spin(ライガンスピン)
試合でのミスを減らせる扱いやすさを求めるのであればライガンスピンですね。球質や威力は落ちますが回転は変えやすいのでとても扱いやすいです。バックはつないで、フォアで仕留めるという方にオススメします。
各技術レビュー
フォアハンド
軽打
カーボン系ラケットと比較するとわかるレベルの弧線を描きます。とても安心感のある放物線を描きますね。
ロングボールやラリーでのドライブ
軽打で感じる放物線がより大きくなると言えば良いでしょうか。カーボン系ラケットと比較してもボールが上へと進みやすいと感じます。安心感を感じますね。威力を出すなら、かなりボールへぶつけるように、ボールをつぶすように、打球した方が良いかもしれません。
面を開いたドライブ
柔らかいので、かなりぶつけても回転がかかる感じがあります。ラケットが柔らかすぎるので、逆に感覚を掴みにくいかもしれません。威力や回転量のMax値も少し低いと感じてしまいました。扱いやすいラケットですので致し方ないかもしれません。その分、打ち損じも少ないと感じました。
対下回転に対するループドライブ
もの凄い安心感でした。このラケットならミスしづらいですね。なぜミスしにくかいと感じるのかというと、スイングスピードが多少遅くても回転がしっかりかかるので、角に当てにくいためです。硬めのラケットだとある程度のスイングスピードが必要になるので、できるだけ引きつけたくなるのですが、そうすると咄嗟の変化についていけないことが少なくありません。結果的に角に当てやすくなります。しかしフォルティウスFTまたはフォルティウスFT系のラケットで角に当てるミスの印象が非常に少ないです。おそらく、スイングスピードの許容の幅が広いからだと思います。
対下回転に対するスピードドライブ
組み合わせたラバーやラケット重量にもよりますが、かなり打ちやすいですね。素晴らしいです。この安定感は武器になりますね!
カーブ/シュートドライブ
少し浮きやすいと感じるので、相手のミドルへと伸ばすように使うと活きると感じました。あと戻りたい時なんかにもすごく良い技術になると思います。
ブロック
安定しますね。押されないです。
カウンタードライブ
カーボン系ラケットよりも明らかに融通が効きます!そこはメリットですね。一方で威力やきれは少し落ちるかもしれません。また回転の影響も受けやすいので、個人的にはカウンターのしやすいラバーを貼ることをオススメします。
ストップ
これはやりやすいですね。打点を落としてのストップが好印象でした。相手に逆をつかれても慌てず対処できる心の安心感がありました。
ツッツキ
少し柔らかいので、思い切り切りに行くのは難しいと感じました。ツッツキが切りにくいので、ドライブ強打はくらいやすいと感じます。コースをしっかり狙って打点も早めにして相手に余裕もって打たれない工夫が必須ですね。
フォアフリック
やりやすいです。ボールをしっかり掴むので乗せ打ち的な打ち方も少し回転をかける打ち方もどちらもやりやすいと思います。
サーブ
しっかり切ることができますが、柔らかい分浮きやすいです。打球点は低く台スレスレで出すようにした方が良いと感じました。
バックハンド系
軽打
やりやすいです。特にアクティブブロックにはならないレベルの、ボールを打球してから少しドライブ回転をかけるようなバックハンドが安定します。基本的にはブロックもラリーもこの打ち方でド安定するので、安心感が半端ないですね。良いラケットです!
ロングボールやラリーでのドライブ
ドライブは少し手首を効かせて遠心力をうまく使った方が威力のあるボールが打ちやすいです。でも自分は手首を使うと打球点がブレやすくて、またフォルティウスFTも重く感じるので、練習ではできますが、試合ではあまり多用できなかったです。ラケットが重いので、バックハンドグリップ(親指と人差し指の間とラケットの間を離して、親指を立てて握るグリップ)にするとやりやすいと感じました。
対下回転に対するループドライブ
ラケットが重いので容易ではないですね。手首だけで打つと不安定になりやすいので、しっかり体を使って打つと安定すると思います。
対下回転に対するスピードドライブ
正直、自分の実力では難しかったです。しっかり体と腰を使ってラケットを引っ張るように打つと良いと思います。
カーブ/シュートドライブ
打感は柔らかいので、シュート系よりはカーブ系の方が安心感はありました。威力はシュート系の方がボールをつぶすように打ちやすいので出しやすかったです。
ブロック
安定しますね。少し球離れが遅い印象もあるので、打球点を早めで捉えてプレッシャーをかけれるならかけた方が良いと思います。弧線を描きすぎる感じですね。上手な方ならカウンターを狙った方がいいと思います。
カウンタードライブ
ミート系もドライブ系も安定します。自分は手首を使うとラケットが重いので打点がブレてしまい安定感が減りました。どちらかというとラケットを固定してミートか押すようなやり方の方がやりやすかったです。上手い方なら上手にラケットを引っ張ってしっかり回転をかけるドライブの方が威力と安定感が両立できると思います。
ストップ
やりやすいですね。どんなラバーでもストップしやすいです。ただ回転量は減る印象を受けたのでチキータやフォアフリックが上手い人には要注意かもしれません。
ツッツキ
シートだけで切ろうとした方がいいですね。あまり柔らかいラバーだと切れないかもしれないです。
チキータ
やりやすいですが、棒球も出やすいのでしっかり回転をかけることを意識した方がいいと思います。やはりバックハンドグリップでチキータした方がやりやすいと感じました。
サーブ
遠心力を利用した方がいいサーブが出ると感じました。
他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
張継科ZLC > フォルティウスFT ver. D ≧ フォルティウスFT > 水谷隼SZLC
スピード
フォルティウスFT ver. D > フォルティウスFT > VIrtuso+ (OSP)
食い込ませたときの弧線の出しやすさ(ボールの沈み込みやすさ)
フォルティウスFT ≧ フォルティウスFT ver. D > 水谷隼ZLC > 張継科ZLC
粘着ラバーとの相性
フォルティウスFT ver. D > フォルティウスFT > 水谷隼ZLC
その他
合板ラケットですので、個体差は激しいですが、その分リーズナブルなことが嬉しいです。多分5000円台で購入が可能だと思います。
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