レビュー DNA Dragon Grip(ドラゴングリップ)

説明

 巷で話題のドイツ製粘着テンションラバーSTIGA(スティガ)のDNA Dragon Grip(DNAドラゴングリップ)をレビューさせていただきます。近年ドイツ製ラバーの質の向上が著しく、ドイツ製の粘着テンションも数が多くなってきました。それらを比較していけたらと考えております。

 DNAはスティガさんのハイエンドラバーシリーズになりますね。現在までに3種類あり、全てスティガ初のドイツ製ラバーシリーズになります。DNA Pro(DNAプロ)シリーズDNA Platinum(DNAプラチナ)シリーズ、そしてこのDNAドラゴングリップになります。DNAドラゴングリップのみが粘着テンション系のラバーで、他のDNAシリーズは基本的にはスピン系テンションラバーになりますね。スティガさんはDNAシリーズを発売するまでは日本製のラバーを発売取り扱いしておりました。そんなスティガさんが心機一転ドイツ製のハイエンドラバーを発売する、その第一号がDNAプロシリーズになります。DNAプロは元祖ドイツ製スピン系テンションラバーらしいラバーで、日本で最も売れているラバーFastarc G-1(ファスタークG-1)に、非常に似たラバーでした。そして第2弾として昨年発売されたのが、DNAプラチナシリーズになります。こちらは非常に好評で、卓球ユーチューバー(ごぶりんずさん)やその他のレビュワーが高評価をつけています。katsuo000も好印象なラバーとしてDNAプラチナエキストラハードをレビューさせていただきました。

 DNAプラチナXH: https://katsuo000.com/review_dna_platinum_xh/

DNAプラチナシリーズはButterfly(バタフライ)のTenergy 05(テナジー05)に非常によく似たラバーでした。シートの粒形状は太目でスピン系に特徴を有するシート形状で52.5°のエキストラハードスポンジ(XH)にあわせてもかなりくい込みの良さを感じるラバーでした。テナジー05も硬度の割にくい込みの良さを感じるラバーですが、このDNAプラチナシリーズも表記硬度に対しとてもくい込みが良いラバーシリーズで、容易にくい込ませることができるのに硬いラバーですので、その回転量はえげつないものになります。 バタフライのスプリングスポンジとは似て非なるスポンジですがドイツ技術が進化していることを感じさせますね。使用感は、ドイツ基準の硬度で47°位でしょうか。ポストテナジー系ラバーの中で最もテナジー05に近いラバーと感じております。

 そして立て続けに発売されたのが、DNAドラゴングリップになります。最近は粘着ラバーの群雄割拠時代に突入しており、各社粘着テンションを発売しています。DNAドラゴングリップがどのようなラバーかレビューしていきたいと思います。

 凄さしか伝わらないのですが、技術について触れさせていただきます。まず、DNAプラチナおよびDNAドラゴングリップには、Longer Trajectory(ロンガートラジェクトリー)、Direct Power Hit Effect(ダイレクトパワーヒットエフェクト)、Power Sponge Cells(パワースポンジセル)という技術が、採用されているそうです。おそらく、パワースポンジセルという新しいスポンジが、バタフライのスプリングスポンジと類似の性能を示すためにテナジー05のような性能を示すのだと推察します。

・Longer Trajectory(ロンガートラジェクトリー)
・Direct Power Hit Effect(ダイレクトパワーヒットエフェクト)
・Power Sponge Cells(パワースポンジセル)

さらにDNAドラゴングリップには、C Touch Tensor(Cタッチテンゾー)という技術が採用されています。この「C-Touch」というフレーズは、DONIC(ドニック)のBlue Grip C1(ブルーグリップC1)のシートにも採用されている技術で、おそらく類似のものではないかと想像します。Cタッチテンゾーについての説明をSTIGA(スティガ)のサイトより引用させていただきました。↓

C Touch Tensor(Cタッチテンゾー)

 粘着性トップシートは、サーブやレシーブ等で、並外れたグリップ力とハイレベルのコントロールを提供。新しく搭載したスポンジは、AI( 人工知能)とトッププレーヤーからの助言を基に開発された。データをデジタル分析することにより、素材の重要な特性を特定し、粘着性トップシートによる強い回転量と高いコントロール性能に、新スポンジによる威力のあるスピードを共存させた。

https://stigasports.jp/product/dna-%e3%83%89%e3%83%a9%e3%82%b4%e3%83%b3-%e3%82%b0%e3%83%aa%e3%83%83%e3%83%97%e3%80%8855%e3%80%89/

公表性能値

 STIGA(スティガ)さんのサイトから引用させていただきました。

 DNAプラチナシリーズはそれ以前のDNAプロシリーズと比較して、回転性能が向上していることがよくわかりますね。そして、そのDNAプラチナシリーズからさらにスピン性能をあげた粘着テンションンラバーがDNAドラゴングリップになることがよくわかります。続いて硬度計での比較になります。

 この図からわかるようにDNAプロHも、DNAプラチナXHも、DNAドラゴングリップも、硬さでいうとテナジー05と同程度の硬さであることがわかるかと思います。もちろんドイツ製ラバーのSTIGAのラバーの方が重く、バタフライのラバーの方が軽いということも特徴として感じられるような結果になっているものと思います。

 最後にシート側の硬さとスポンジ側からの硬さの差をプロットしています。この値が大きいほど、扱いやすい、またはくい込みやすいと感じるラバーになるとkatsuo000は感じています。指標としてテナジー05を入れていますが、テナジー05は硬さの割にくい込みが良く非常に扱いやすい、回転をかけやすいラバーだということがわかると思います。一方、DNAドラゴングリップはやはり、ディグニクス09Cを意識したような仕様になっているようで、シート側とスポンジ側からの硬度差が近しい値になりました。ディグニクス09C以上にシート側/スポンジ側の差が小さく、くい込ませにくいラバーだと感じると思います。ただし、shore cの値そのものはディグニクス09Cの方が硬いので、そちらの影響の方が強いかもしれません。(粘着ラバーでは、シート側/スポンジ側の硬さの差はあまり良い指標にはならず、純粋に硬さで比較した方がわかりやすいように感じてきております。今後もどのような比較がいいか考えていきたいと思います。)

DNAドラゴングリップの貼りと重量

DNA Dragon Grip(DNAドラゴングリップ)
・Speed: 132
・Spin: 146
・Control: 80
・Sponge Thickness: Max (2.3 mm)
・Sponge硬度: 55.0°
・6,600 円 + 税
・74 g(切断前) → 52 g(970XX-KLCに貼って)

 YASAKAののり助さんを使って貼りました。やはり重たいですね!ちなみに貼ったラケットは、最近お気に入りのWRMの970XX-KLCに貼りました。このラケットはインナーケプラーカーボンのラケットで、5.7 mmの板薄、上板硬めの染色材、そして中国製ラケットの中では軽いものになります。非常にコスパも良い(セールなら5,980円+送料)のでオススメです。

 ちなみにシートの粘着感はあまりないです。最近のドイツ製粘着テンションラバーは、中国製粘着ラバーのようなシートのベタベタ感は皆無です。においはやや独特のものがありますが、中国粘着ラバーと比べれば卓球を知らない人でも気にならないレベルです。粘着テンションラバーとして販売されないとそもそも粘着ラバーと認識しづらいレベルまできていると思います。もちろん性能は粘着ラバーらしさを有しています!

DNA Dragon Gripの3つ特徴

軽い力でくい込む粘着ラバー!

 硬度比較の結果からも十分わかるように、非常に軽い力、手打ちでも十分にくい込んで粘着らしいボールが出しやすいラバーでした。まず硬さについて、中国製の粘着ラバーと比較してもくい込みが良く扱いやすいラバーでした。くい込みが良すぎてスピン系テンションラバーのようにすら感じるかもしれません。スポンジはDNAプラチナXHよりもさらに硬くして気泡も少ないハードスポンジではありますが、そこまで硬さを感じませんでした。唐橋卓球代々木店さんのレビューでもDNAドラゴングリップはバックで使ったときに大きなスイングにしなくても小さな縦回転加えことができ、点が取れるとレビューされていました。このように弱い力でも強い回転が欲しいならDNAドラゴングリップは非常に良い選択肢になると思います。

Rakza Zよりも球持ちと回転重視のシート

 DNAドラゴングリップの特徴はシートは厚く、粒形状も粒低めで太め、つまり回転重視のスピン系テンションラバーに採用されるような回転性能に特徴をもつシート形状であることでしょう。DNAプラチナシリーズのシートもどちらかというとテナジー05に類似のシート形状でした。一方でスポンジは他の超ハードな粘着ラバーほど硬くはなく思ったよりくい込みを感じます。もちろん同硬度のドイツ製テンションラバーは複数存在していて、XIOM(エクシオン)のOmega VII China Guang(オメガVIIチャイナ光)、DONIC(ドニック)のBlue Grip C2(ブルーグリップC2)、VICTAS(ヴィクタス)のTriple Extra(トリプルエキストア)などが挙げられます。今回比較には既にある程度試打できていて同程度の硬度であるRakza Z Extra Hard(ラクザZエキストラハード)を挙げさせていただきました。本当は他の粘着テンションラバーとも比較できるといいのですが、できていません。ラクザZ XHはDNAドラゴングリップと比較して対称的で、ラバー全体の重さはDNAドラゴングリップよりも重く、一方でスポンジは気泡が多くシートはどちらかというと粒細めシート薄めでTenergy 80(テナジー80)とかTenergy 64(テナジー64)などのスピード系のテンションラバーらしい形状になっています。全体的に重くて硬いので粘着ラバーであり、どことなくスピード系テンションラバーらしさもあるラバーでした。DNAドラゴングリップはラクザZ XHと比べると対称的な設計指針で非常にそのラバー設計の違いを感じました。DNAドラゴングリップはシートと粒形状はテナジー05のように回転特化のスピン系テンションラバーに近い形状ですが、スポンジはそこまで硬すぎないスポンジをあわせています。DNAプラチナXHよりもさらにスピン性能が欲しいときにうってつけの粘着ラバーとスピン系テンションの間のようなバランスのとれたラバーでした。

くい込みやすくて扱いやすいのに癖(回転量でミス誘発)も出しやすい!

 前述のラバーと完全に比較できていませんが、おそらくDNAドラゴングリップは55°の硬度の中でも癖球(または回転量によるミスを誘いやすい)ラバー側に分類されると思います。同程度の硬度を改めて挙げさせていただきます。

 ・Omega VII China Guang(オメガVIIチャイナ光)(XIOM) 55°(ドイツ基準)
 ・Blue Grip C2(ブルーグリップC2)(DONIC)55°(ドイツ基準)
 ・Rakza Z Extra Hard(ラクザZエキストラハード)YASAKA(ヤサカ)52~57°(ドイツ基準)
 ・Triple Extra(トリプルエキストラ)VICTAS(ヴィクタス)55°(ドイツ基準)
 ・Dignics 09C(ディグニクス09C)Butterfly(バタフライ)44°(Butterfly基準)
 ・Hybrid K3(ハイブリッドK3)TIBHAR(ティバー)53°(ドイツ基準)
 ・Hybrid K1J(ハイブリッドK1J)TIBHAR(ティバー)52.5°(ドイツ基準)
 ・Blue Grip R1(ブルーグリップR1)DONIC(ドニック)50°(ドイツ基準)
 ・Rakza Z(ラクザZ)YASAKA(ヤサカ)47~52°(ドイツ基準)
 ・Flying Dragon(翔龍)YASAKA(ヤサカ)47~52°(ドイツ基準)

 使ったことのあるラバー、ないラバーがありますが、上記の中でもDNAドラゴングリップは癖(回転量によるミス誘発)を出しやすいラバーでした。例えば靴をはかずに手打ちに近い状態でドライブしても、まずまずの回転と台についてからのボールの跳ね上がりや飛び方に変化が生じると感じました。この回転量、癖は粘着ラバーを使うなら欲しい性能だと思います!個人的には、ラクザZ XHやディグニクス09Cよりも回転量でミスを誘えるラバーだと感じました(もちろんその分、スピードはラクザZ XHが、スピードに加え扱いやすさも求めるとディグニクス09Cが上だと思います)。ご参考ください。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 テンション系ラバーのような弾みで違和感ありませんでした。少なくともキョウヒョウのように「飛ばない」とは感じないと思います。

ロングボールやラリーでのドライブ
 少し柔らかいと感じました。スピン系テンションラバーと比較すると弧線が非常に出やすい分ややボールが浅く入る印象もありました。非常にボールをグリップするので、回転をかけやすいです。もう少し硬い方が個人的には好みですが、スピードを出そうと思うとこれくらいの方が使いやすいかもしれません。スポンジ硬度55°ですので、柔らかいと感じるとはいえ、相手のボールに負けるということもありませんでした。

面を開いたドライブ
 面を開いてもしっかり回転がかかって沈むので非常に良かったです。このあたりはまさに粘着ラバーという感じでした。またシート形状的に面を逆に開かなくてもこすれれば回転で沈むのでドライブが安定すると感じました。

対下回転に対するループドライブ
 しっかりグリップするので回転量の豊富なドライブが打てました。ただし、キョウヒョウのように硬くて弾まないラバーではないので、ややパワーロスは感じました。その分、浅くて低くコントロールしやすいと感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 こするように打ってもスピードドライブが打てて印象が良かったです。ただ粘着ラバーなので面を開いてぶつけるように打ったほうがボールは走ると感じました。こするように打つ方が相手のコートについてからの伸びがあると思います。

カーブ/シュートドライブ
 ボールが浅く入る分、カーブやシュートさせたときによく曲がると感じました。コースも狙いやすいです。

ブロック
 少し回転を受けやすいと感じました。そのかわりスマッシュなどのボールもブロックしやすかったです。  

カウンタードライブ
 しっかりくい込み回転がかけやすく、またおさまりが良くてカウンタードライブがしやすかったです。さすが粘着ラバーといったところでしょうか。

ツッツキ/ストップ
 少しくい込みが良すぎて切るのには慣れが必要と感じました。粘着ラバーなので飛び出すこともなく非常にやりやすかったです。

フォアサーブ
 しっかり回転をかけやすかったです。ただしオメガVIIチャイナ影より柔らかくて少し飛び出しが良いと感じました。

バックハンド系

軽打
 フォアで使った後にバックで使ってみましたが想像どおりバックでも使いやすいと感じました。55°というスポンジ硬度で重量は確かに50 g台と重いですが、中国粘着などよりも扱いやすく違和感なくバックで使えると感じました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 ボールをしっかり持つので、安定感を感じました。その分、球離れはやや遅いとも感じました。また中陣からスピードを出すにはインパクトが必要になると感じました。 

対下回転に対するループドライブ
 非常にやりやすかったです。ちょうどいい硬さで安定感のあるループドライブができると感じました。またボールをしっかりグリップするので、打球点を落としても持ち上げられると感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 球持ちがいい分、ややスピードは大人しさを感じました。これはDNAプラチナにも感じましたね。 

ブロック
 硬度の割に回転の影響は受けやすいと感じました。やりにくさはそこまでありませんでした。

カウンタードライブ
 やりやすかったです。球を持つ感覚がディグニクス05よりも感じるので、カウンタードライブをしたと感じやすかったです。

ツッツキ/ストップ
 粘着ラバーですので浮きません。ただし、スポンジはくい込みがいいのでタッチに気を付けないとオーバーしやすいと感じました。 

チキータ
 やりやすかったです。回転もかけやすかったです!

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Omega VII China Ying > DNA Dragon Grip > Dignics 05

スピード
 Dignics 09C ≧ Rakza Z Extra Hard > Rhyzen ZGR > DNA Dragon Grip > Hurricane NEO III

https://amzn.to/3uIlJ5A
https://amzn.to/3gFuF3i

SNSでもご購読できます。