説明
日本で最も売れているラバー。それはButterfly(バタフライ)さんのモンスターラバー、Tenergy(テナジー)シリーズでもなく、モンスターラバーを超えるDignics(ディグニクス)でもありません。日本一売れているラバー、それはNittaku(ニッタク)のFastarc G-1(ファスタークG-1)になります!レビューするのが遅すぎたのではないかと言えますが、やっと試打することができましたので、改めてレビューさせていただきます。
何故Fastarc G-1は日本一売れているのか!?
このラバーを日本一売れるラバーにした理由は主に3つあるそうです。3つの理由は以下になります。
1. プラボールの導入
2. テナジーシリーズの値上げ(オープン価格化)
3. トップ選手の使用
1. プラボールの導入
プラボールの導入となり、ボールが硬くなりました。ボールが38 mmから40 mmへ変更した際も回転もかかりにくくなりましたが、さらに回転がかからなくなりましたね。このセルボールからプラボールへの変更を受けて硬くて回転のかかるラバーの評価が上がりました。ファスタークG-1は硬くて回転のかかるラバーですので、まさにプラボールにフィットしたラバーと言えるでしょう。プラボール導入によってファスタークG-1の評価が上がったと言えるでしょう。
2. テナジーシリーズの値上げ(オープン価格化)
モンスターラバー、テナジーシリーズがオープン価格となりました。これは実質の値上げに相当します。オープン価格化の前までは、卓球ショップでは定価の2〜3割の割引という恩恵を受けることができて、5,000円前後でした。しかしながらバタフライさんはオープン価格化し、現在ではテナジーは7,000円以上する高価なラバーとなってしまいました。改めて使用者を選ぶラバーとなってしまっています。この影響を受けて、ポストテナジーを探訪する選手が増えたようですね。確かにラバー1枚に10,000円もかかるとなると、流石に多くの卓人のお財布には厳しいと感じられたようですね。ファスタークG-1は定価6,000円+税と価格設定もこれまた丁度良い価格設定だったのかもしれません。この価格から、卓球ショップでは店舗割引を受けられるので、実質5,000円を切る値段で購入できるでしょう!
3. トップ選手の使用
そして、最後にトップ選手の使用実績ですね。なんといっても日本女子代表の石川佳純選手、伊藤美誠選手でしょう。また、男子でも森園政祟選手も、チキータのためにバックにファスタークG-1を使用しています。このように男女どちらのトップ選手も使用実績があることは非常に大きな宣伝効果があると言えるでしょう。現在は石川佳純選手は使用していない模様ですが、伊藤美誠選手はフォア側に使用しています!(SNSなどの噂では、伊藤美誠選手は現在50°のファスタークG-1を使っているという話もありますが、何にせよファスタークG-1を使用されています)。伊藤美誠選手が使用しているという事実が非常に大きな宣伝効果と信頼となって、多くの卓人が使用したい、使用しよう、と考えるに至っているのは事実でしょう。
Fastarc(ファスターク)シリーズ
ファスタークG-1およびそれ以外のFastarc(ファスターク)シリーズの由来などについて触れさせていただきます。ニッタクさんによると、ファスタークの名前は、英語のFast(速さ)とArc(弧線)をくっつけた造語ということですね!ファスタークシリーズの中でも最も回転性能の高いラバーがファスタークG-1になります。
他のファスタークシリーズは、スポンジ硬度が同じでスピードタイプのシートの粒形状であるFastarc P-1(ファスタークP-1)、スポンジ硬度は柔らかくて、G-1と同タイプのシートの粒形状であるFastarc C-1(ファスタークC-1)、スポンジ硬度が柔らかくて、スピードタイプのシートの粒形状であるFastarc S-1(ファスタークS-1)が販売されています。テナジーシリーズほど種類は多くありませんが、パンフレット上はイメージしやすい説明になっていることからもポストテナジーとして手に取りやすいものになっていると言えるでしょう。またテナジーシリーズと異なり、ファスタークシリーズは種類によって値段も異なり、G-1とP-1が最も高く、スポンジ硬度の柔らかいC-1とS-1は安い値段設定になっていることも嬉しいですね。G-1が硬すぎると感じたのであれば、C-1へ変更するのもありと言えるでしょう。
ファスタークG-1のGはGrip(グリップ)のGということらしく、「シートでグリップして弧を描く」ラバーだそうです。
性能値
ニッタクより下記に性能値をまとめました。
ニッタクさんは、中国製のシートを採用したHurricane(キョウヒョウ)シリーズも販売しており、近年話題となっているHurricane Pro III Turbo(キョウヒョウプロ3ターボ)シリーズの2枚やその他のキョウヒョウシリーズの回転性能は際立って高いものになっていますね。ファスタークG-1よりも、スピード性能の点だけであればFastarc P-1(ファスタークP-1)や2020年のパンフレットからは消えてしまったAlhelg(アルヘルグ)といったラバーの方が高いです。バランス型という言葉が最もあたるラバーが、ファスタークG−1のニッタクのラバーの中での立ち位置と言えるでしょう。あるいはスピン系テンションラバーの中で最も回転性能の高いラバーといえば良いでしょうか。
ファスタークG-1の貼りと重量
いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。
Fastarc G-1(ファスタークG−1) Tension Spin Sheet(テンションスピンシート) Strong Sponge(ストロングスポンジ) ・Speed:15.00 ・Spin:12.50 ・Sponge Thickness: 中(1.7 mm)、厚(1.9 mm)、特厚(2.1mm) ・Sponge硬度:37.5(ドイツ基準47.5) ・6,000円 + 税 ・70 g(切断前) → 48 g(張継科ZLCに貼って)
ハイエンドラバーらしい重さだと思います。そこまで重くなくて良いですね!
Fastarc G-1の3つの特徴
しっかりコントロールできればかなり回転がかかる!
このラバーは、非常に好感触でした。なんといっても回転がしっかりかかると感じましたね。現在本職使用を真剣に考えています汗。めちゃめちゃ回転がかかりました!サーブもDignics 05(ディグニクス05)なみにボールが戻るような下回転が出せました!これは素晴らしいですね!ディグニクス05との比較になってしまいますが、扱いやすさは圧倒的にG-1で、スピード性能はディグニクス05の方が上でしたね。またボールの揃いやすさはディグニクス05で性能の高さを感じる一方で、回転の幅があるのがG-1だと感じました。この差は、試合で相手がG-1を使用してきた際には注意しないといけない部分だと改めて感じましたね。
チキータがしやすい!回転系もスピード系もコントロールしやすい!
やはりチキータはめちゃめちゃ入れやすいと感じました。ボールをグリップしている時間がしっかりありますね。少し回転量は落ちると感じましたが、ファスタークG-1はディグニクス05よりもチキータはやりやすかったです!森園選手が使う理由も納得しました!
G-1らしい、回転の幅のあるドライブが打てる!
1つ目でも触れましたが、ドイツラバーらしい、あるいはG-1らしい癖球というやつだと思います。同じようにドライブしていても思い切り回転をかけることができた時と入れるだけだったり弾ませた時などで回転量にかなり幅があると感じました。これはファスタークG-1を使うことで相手のブロック角度を狂わせる効果があると感じましたね。実際自分も試合で相手がG-1を使ってドライブしてきたときにブロック角度が狂いやすいと感じていましたが、まさにそういったドライブが打ちやすいと感じました!
各技術レビュー
フォアハンド系
軽打
特に違和感なかったです。ディグニクス05とかなり硬さは似ていると感じました。テナジーと比べると少し硬くてハードなラバーだと感じましたね。
ロングボールやラリーでのドライブ
G-1を使った場合、下がれば下がるほど、ボールの伸びが少ないと感じました。下がるとどうしても弾き気味にドライブしてしまうのですが、そういった回転の掛け方だと伸びないしスピードもむしろ出ないドライブになると感じました。粘着ラバーなどを使うように思い切りシートで回転をかけるか、V>15 Extraのように思い切りぶつけ食い込ませて、弾いてしまう前に食い込みからグイッと回転をかけると、回転もかかって良いドライブが打てると感じました。多分G-1の方がTenergy 05(テナジー05)っぽさ、粘着ラバーのようなグリップ感があるので、シートだけで捉えて回転だけを思い切りかけるドライブでも良いドライブがしやすいと感じました。食い込ませてグイッと回転をかけた時のドライブは自分が不慣れなのもありますが、おそらくV>15 Extraの方が暴れるようなドライブになりやすいと感じました。
また硬いラバーですので、球離れもまずまず早いと感じました。前陣ではかなり球離れの早さもあってスピードの速さも感じると思います。一方、中陣、後陣からドライブをするときはかなりしっかり打たないと、スピード不足や回転不足など、威力不足を感じるかもしれません。逆にそこまで下がらないなら、ディグニクス05ではなくてG-1で良いと感じました。
面を開いたドライブ
これも打ちやすいですね!非常に好感触でした。スピードドライブで回転量も乗せるのが結構難しかったですが、安定しやすかったので非常に好感触でしたね!
対下回転に対するループドライブ
これはかなり好感触でした!非常に強烈な回転のドライブができると感じましたね。良いラバーだと思います。回転量でいうとテナジー05やディグニクス05に匹敵するレベルだと思います。多分、プラボールでは、スポンジの硬さも相まってテナジー05よりもG-1の方が回転量の最大値は上かもしれません。
対下回転に対するスピードドライブ
回転量は落ちると思いますが、非常に打ちやすかったです。これは不思議な感じでしたね。テナジーの方がスイングスピードとか角度がシビアなイメージです。自分はスピードドライブで回転をかけることが下手くそなためだと思いますね。
カーブ/シュートドライブ
これは思ったより曲がらなかったですね。やはり回転量の幅を感じました。
ブロック
ボールをグリップできるのでやりやすかったです。特にスピードドライブに対するブロックはかなりやりやすかったですね!
カウンタードライブ
回転をかけやすい分、少し相手のドライブの影響は受けやすいと感じました。この辺りは慣れも必要だと感じましたね。
ストップ
グリップするので、非常に止めやすかったです。良いですね!
ツッツキ
こちらもグリップするので良かったです。しかし、気を抜くと軽くなりそうでしたね。
フォアフリック
フォアサーブ
しっかり切ることができて良かったです。かなり好感触でした!
バックハンド系
軽打
こちらも違和感なくて良かったですね!Rasanter R48やRasanter R53も良いラバーでしたがシートの粒形状の違いでどうしても球離れを感じやすく、慣れが必要と感じました。しかしながらG-1は、粒は太く粒と粒の間も狭い粒形状ですので、打球時ボールをしっかりグリップしてから離すようなイメージで打てるので安定感もあって好きですね。良いです!
ロングボールやラリーでのドライブ
こちらも非常にやりやすかったです!ディグニクス05の場合、スピードや回転量は非常にレベルが高いのですが、弾くように打った時と回転をかけるように打った時で弧線の出方やボールの軌道がかなり変わってしまう上、スイングスピードが遅くなりやすいバックハンドでは、球に回転をかけ損ねることも多く、本当に安定しにくいんですよね汗。一方、G-1ではそういったことがないので、返球自体は非常にやりやすいと感じました。ただ球質はおそらく低くなりやすいと思います。ただしフォアハンドにディグニクス05などの高性能ラバーを使うことで、その球質の差を武器にできると感じましたね!これはV>15 Extraを使っているときにも感じたことです。日本製ラバーとドイツ製ラバーの組み合わせはアリだと思います!
対下回転に対するループドライブ
非常に打ちやすい!良いですね〜!グリップしてくれるのでイメージ通りのボールが打ちやすかったです!思い切って振り抜くことで不安なく相手のコートに入れることができました。いや良いね〜!
対下回転に対するスピードドライブ
弾きやすいラバーでもあるので、こちらもテナジー05よりもやりやすかったですね!ディグニクス05もスピードが出しやすく最近はかなり入るようになりましたが、多分ディグニクス05よりも扱いやすいぶん、G-1の方がスイングスピードが遅くても入る気がしますね!
カーブ/シュートドライブ
ブロック
ドイツ製ラバーのボールはブロックしやすいのですが、ディグニクス09Cなどのループドライブは回転をモロに受けて、オーバーミスが多かったです。この辺りは慣れも必要かなと感じましたね。シートが負けている感じではないので、慣れたらいけると思います。
カウンタードライブ
自分はテナジー05よりもやりやすいと感じました。シートが強いからかなと感じます。
ストップ
これも良かったです!止まりますね!
ツッツキ
切れますね!良いです!しっかりグリップするので弾いて浮くこともなくて好きな打球感でした!
チキータ
やりやすいですね!素晴らしかったです!
他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
Dignics 05 > Fastarc G-1 ≧ Tenergy 05
回転のかけやすさ
Tenergy 05 > Fastarc G-1 > V>15 Extra
スピード
Dignics 05 > V>15 Extra > Fastarc G-1 > Tenergy 05
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