スピン系テンション

レビュー Target Pro XD-52.5(ターゲットプロXD-52.5)

説明

  本ページでレビューするラバーはフランスの卓球メーカーcornilleau(コニヨール)のラバーで、2020年秋に販売の、ターゲットプロのシリーズの最新ラバーになります。日本ではjuic(ジュウイック)が販売代理店をしていますね。日本ではあまり存在感のあるメーカーではないですが、コニヨールのラケットラバーは決して悪いわけではありません。コニヨールは1946年に会社設立と歴史のあるメーカーで、2009年から元世界チャンピオン、Jean-Philippe Gatien(ジャン-フィリップ ガシアン、フランス)のもとで競技用のラバーとラケット開発を開始しました。現在では違うメーカーと契約していますが、世界ランキング上位のファンタジスタSimon Gauzy(シモン・ゴーズィー、フランス)選手や最速の両ハンドHugo Calderano(ユーゴ・カルデラノ、ブラジル)選手は過去にコニヨールの用具を使用していたそうです。例えば、コニヨールの9枚合板Gatien Conquest(ガシアンコンクエスト、板厚6.0 mm、97 ± 5 g)や今回レビューするTarget Pro(ターゲットプロ) シリーズのラバーなどがあげられるそうです。また過去に日本リーグ所属の実業団チームがコニヨールのラケットやラバーに好感触を得たという記事を卓球王国で見た記憶があります。卓球ナビにおいてもモンスターラバーTenergy(テナジー)と比較、超えたというレビューも散見され、非常に期待の高いラバーだと思います。
 なお、このTarget Proシリーズは、レストランの格付けで有名なタイヤメーカー、Michelin(ミシュラン)の技術で製造されているそうです。

 ターゲットプロシリーズは、過去にTarget Pro GT-X51(ターゲットプロGT-X51)とTarget Pro GT-H47(ターゲットプロGT-H47)をレビューさせていただきました。この2枚は非常に打球感が良くて、硬度の割にくい込みが良さと扱いやすさを感じたラバーになります。ただし回転量がやや不足気味で、ターゲットプロGT-H47ではテナジー05より劣る、ターゲットプロGT-X51では回転量は高いが扱いにくいと感じた次第です。扱いやすさと打球感の良さは抜群に良いのと、スポンジの色が硬度で異なるのが触っていて楽しいラバーでした。

Target Pro GT-X51:
  https://katsuo000.com/review_targetpro_gt_x51/
Target Pro GT-H47:
  https://katsuo000.com/review_targetpro_gt_h47/

 やはり初期の頃のポストテナジーラバーは、回転量を高くするためにテナジーよりもシートが厚くすることで、回転量を得るか、逆に回転量を諦めて打球感を追求するか、という設計になっているように思いますね。近年の進化型ポストテナジーラバーは、シートを薄くできる技術(おそらくくい込みの良い新スポンジ)を組み合わせることで、回転量と打球感を損なうことなく高性能なラバーとなっているようですね!逆にドイツ製ラバーに見られた癖球(ボールの回転量が揃いにくい)といったことが減ってきているようにも思います。
 今回のTarget Pro XD-52.5(ターゲットプロXD-52.5)も、近年登場しているポストテナジー系テンションラバーまたは進化型テナジー系テンションラバーにカテゴリーされるラバーだと思います。katsuo000の中で同じポストテナジー系テンション、または進化型テナジー系テンションに分類しているRasanter R53(ラザンターR53)やRasanter R48(ラザンターR48)についても、薄いシートを採用できるように技術が進んだそうです。近年の新作ラバーは薄いシート採用のラバーが続々登場してきていると思いますね!

 シートの形状と性能の関係はこちら: https://katsuo000.com/topsheet_shape/

公表性能値

 cornilleau(コニヨール)さんの公表性能値を示します。

 Target Pro XD-52.5(ターゲットプロXD-52.5)はcornilleauのラバーの中で最もスピン性能もスピード性能も高いスピン系テンションラバーということがよく分かります。また性能や使いやすさとある程度の相関を示す、硬度計による硬度比較を下記に示します。

 やはりターゲットプロXD-52.5は、やや重くて、しかしshore aのシート側値とスポンジ側値の差が、テナジー05と同様に大きいラバーになりました。近年の高品質なヨーロッパ製のラバーは重いですが初期のポストテナジーラバーよりも明らかにshore aの値差が大きくなっていますね!バタフライさんのラバーと比較すると、バタフライさんのラバーの軽さが際立ちつつも、重いことによるメリットが得られるといえるのが、近年の高品質ヨーロッパ製ラバーと言えそうです。やはりどちらかといえば、ディグニクスよりもテナジーに近いラバーといえるでしょうね。

ターゲットプロXD-52.5の重量と貼り

Target Pro GT-X51と同じクリーム色のスポンジでした。

 ターゲットプロXD-52.5は54 gでした。ラバー全体で73 gということで、重いと思いましたが、やはり重いですね汗。今回もVirtuoso AC(ヴィルトーソAC)に貼ってます。ブレード面積は158 × 150 mmで、バタフライのレギュラーサイズ(157 × 150 mm)と比較すると少し広いので、実際は53 g位にもなりうると思います。

Target Pro XD-52.5(ターゲットプロXD-52.5)
 Spin Tension 裏ラバー
・スポンジ厚:厚(2.0 mm)、極厚(Max)
・スピン:17.5
・スピード:17.0
・Sponge硬度:H(52.5)
・8,100円 + 税
・73 g(切断前) → 54 g(Vistuoso AC(ヴィルトーソAC)、ややブレード面積大に貼って)

Target Pro XD-52.5の3つの特徴

 今回もインナーカーボンです。やはり扱いやすいと感じました。アウターカーボンに貼っていたらまたイメージは異なったかもしれませんが、ご了承お願い申し上げます。

抜群のスピード性能とスピン性能!

 正直、そこまで期待していなかったのですが、重量は重いですが抜群のスピード性能とスピン性能でした。インナーカーボンラケットに貼っていることもあると思いますが、技術的にやや劣るバックハンドでのドライブのスピードと安定感が非常に高くて好印象でした。打球感覚的には、そこまで球持ちが良いわけではなく飛び出しも早いので、シート形状としては80っぽいかなと思いました。球持ちの強さよりもスピードも出せるシートだと思います。初打ちでは、「扱いやすいけど、回転量や威力はやや不満を感じるかな?」と思って使っていましたが、対下回転ドライブをしてみたところ、回転性能が高く、ブロック側がドライブをふかしてくれて、「扱いやすいのに、めちゃめちゃ回転かかる!」と非常に性能の高さを堪能できました!

 DNA Platinum XH(STIGA): 05っぽい
 Rasanter R53(andro): 80っぽい
 Evolution MX-D(TIBHAR): 64っぽい
 Taerget Pro XD-52.5(cornilleau): 80っぽい New

R53も80っぽいと思いましたが、扱いやすさの点で、ターゲットプロXD52.5が上回ってました。逆に荒ら荒らしさや相手が感じるプレッシャーはR53の方が上だと思います。

 また余談ですが、中間硬度や扱いやすさと性能を求めたラバーだと差別化が難しいこともありますが、 最新のハイエンドラバーで、各社のフラグシップ的なラバーですので、短い試打でもしっかり差別化されていると感じましたね。個性を求めると、R53やMX-Dが、扱いやすさと高い回転性能を求めるならDNAプラXHかターゲットプロXD-52.5だと感じました。

52.5を感じさせない、扱いやすさ!

 やはり、やや重いという点で操作しにくいと初めは感じはしたものの想像以上に扱いやすいと感じました。過去アウターカーボンのLin Goyuan ALC(林高遠ALC)にTenergy 80 FX(テナジー80FX)を貼ってバックで連打してみましたが、スピードと回転量は得られるものの、あまり安定しませんでした。一方インナーカーボンで扱いやすいということもありますが、今回のTarget Pro XD-52.5で打ってみるととにかくめちゃめちゃ安定していて驚きましたね。スピードも回転も自在性が高く気持ちよかったです。スピード性能が高く、初めはオーバーするかなと心配になりましたが、感覚よりもしっかり弧線を描いて沈む感じがありました。たとえば、テナジー系ラバーだと回転はかかるものの、硬さのためにスピードが出しづらかったり、弾くとスピードは出るものの回転がかからず安定しない、などなど操作性がそこまで高くないと林高遠ALCのときに感じたのと対称的と感じました。バックラバーとして新しい選択肢になりそうだと感じましたね!
 ブロックでは、くい込みの良さから相手の回転影響を受けやすいかなとも思いましたが、そんなことはなかったです。おそらく重量のおかげだと思いますね。くい込む割に重いので非常に安定していました。重ささえ気にしなければテナジーよりも良い選択肢になりそうなラバーだと感じました!

ヘビーで回転性能の高いテナジー80

 簡単にまとめると、重くて回転性能の高いテナジー80がちょうどあてはまると感じました。性能としては高性能で、Dignics 80(ディグニクス80)の硬さが使いにくいと感じるなら、ターゲットプロXD-52.5の方があうかもしれません。重さがあるので、フォア向きですが、ラバー面積やはり方などを工夫することで、バックにも十分に使えるラバーです!

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フリック

サービス

バックハンド系

軽打
 特に違和感なかったです。

ラリーでのドライブ
 この前に、Evolution MX-D(エヴォリューションMX-D)とDNA Platinum XH(DNAプラチナXH)を試打していて、正直その2枚と同等かそれ以上に良いと感じました。特にバックハンドドライブがしっかりかかるし、安定するし、スピードも出しやすいし、非常に良かったです。どちらかというとスピードが出しやすい打球感で、ボールを持つ打球感だけでいうとDNAプラチナXHの方が断然良かったのですが、ターゲットプロXD52.5は打球感からは想像できないくらい、回転がかかっていて驚きました。それでいてスピードも出しやすくてかなりチートでした。くい込みが良くバックでも十分に使えると感じました。

対下回転に対するループドライブ
 特に良かったのがこれで、下回転打ちがかなり楽にできました。DNAプラチナXHは、球持ちは良くてボールが沈むのですが、手だけだとボールが軽くなるイメージがありました。XD52.5は簡単に持ち上がるのに回転量もあって不思議でした。スポンジのくい込みの良さはDNAプラチナXHとターゲットプロXD52.5と大した差は感じませんでしたが、粒はXD52.5の方が細くて倒れやすいのだと思います。にもかかわらず回転量もでてかなりチート感ありました。

対下回転に対するスピードドライブ
 スピードドライブも打ちやすかったです。いいです!

ブロック
 少しくい込みが良すぎて相手の回転の影響は受けやすかったです。

カウンタードライブ

ストップ
 くい込みがいい分少し飛ぶ出すと感じました。

ツッツキ
 くい込みがいい分少し飛ぶ出すと感じました。

チキータ

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量

スピード

扱いやすさ

進化型テナジー系テンション内での比較
 回転量
  Dignics 05 ≧ Q5 ≧ DNA Platinum XH ≧ Rasanter R53 > Rasanter R48 ≧ Evolution MX-D

 スピード
   Dignics 05 ≧ Evolution MX-D > Rasanter R53 ≧ Q5 ≧ Rasanter R48 > DNA Platinum XH

レビュー Evolution MX-D(エヴォリューションMX-D)

説明

 TIBHAR(ティバー)さんの2021年注目の商品、Evolution MX-D(エヴォリューションMX-D)をレビューさせていただきます。TIBHAR(ティバー)といえば、ついに引退を発表したベラルーシの巨人Vladimir Samsonov(ブラディミル サムソノフ)選手が契約するドイツメーカーですね!あと最近では、元オランダ代表、キング水谷隼選手のプライベートコーチも経験、そしてYou Tubeでティバーを売り込んで存在感が増しているG.C. Foerster(フォースター)さんや、ルーマニアの美人選手Bernadette Szocs(スッチ)選手が有名でしょうか。東京オリンピックで張本智和選手をフルセットで粘り勝って存在感を際立たせたスロベニアのDarko Jorgic(ヨルジッチ)選手もティバーの契約選手ですね!ヨルジッチ選手は卓球の動画配信サービスやアプリを運営するshake hands(シェークハンズ)で度々登場していました。元青森山田のコーチの板垣孝司さんの指導を受けながら張本選手を苦しめたバックハンドで度々登場していたのが印象的でした。
 そんなティバーさんのラバーになりますね。ティバーさんのラバーの特徴をkatsuo000が表現させていただくなら、コスパが良くて球持ちも良くて打球感と打球音が非常に気持ちのいいラバー、になります。回転性能がやや低いというデメリットはありつつ、全体的に打球感が良くて硬度の割にボールコントロールがしやすく、卓球が楽しくなるようなラバーが多いイメージですね。ハイエンドラバーとしてサムソノフ選手を中心に使用されるラバーがトップ選手用としているEvolution(エヴォリューション)シリーズになります。Evolution(エヴォリューション)シリーズは硬度が3種類、シートが2種類と、MX-Pのみさらに硬い50°の、計7種類のラバーが販売されていました。硬度の種類3種とは、MX(マキシマム=約47.5°)、EL(エラスティック=約43°)、FX(フレキシブル=約40°)になります。そしてシートの種類2種とは、P(パワー)とS(スピン、微々粘着シート)になります。そして8種類目のラバーとして登場したのが、本ページでレビューするEvolution MX-D(エヴォリューションMX-D)、MX-D=マキシマムダイナミックになります。このMX-Dについて、ティバーさんのホームページでは次のように説明しています。

【MX-PとMX-Sの融合】

 世界で絶大な人気を誇るエボリューションの新作がいよいよ登場。威力と安定感を兼ね備えたMX-Pの使いやすさをそのままに、MX-Sの回転力が融合。トッププロも絶賛の超ハイブリッドラバーが2021年春にデビューです。

http://www.tibhar.jp/rubber.htm

 過去にkatsuo000は複数のティバーさんのラバーを試打してきました。この中でも特筆すべきと考えるのがEvolution MX-P(エヴォリューションMX-P)になります。なぜMX-Pを特筆すべきというかというと、あの世界標準、Tenergy 05(テナジー05)と打球感が似ているからになりますね!テナジーシリーズがどうしても高くて寿命も短くて嫌だとなった場合に、Evolution MX-Pは非常に良い選択肢の一つでした。今回登場のMX-Dは最新ハイエンドラバーということで、今までのEvolution(エヴォリューション)シリーズの6,000円+税よりも500円高い、6,500円+税という値段になります。かなりの自信作ということと、近年テナジーを超えるポストテナジーラバー(androのRasanter R53(ラザンターR53)など)が次々とドイツから発売されているので、やはりMX-Dにもかなりの期待を感じました。

 テナジーシリーズはバタフライの独自工場でしか生産できず、他の競合卓球メーカーと差別化されたラバーになります。他の競合卓球メーカーは、ラバー製造を基本的には外注しているのに対し、バタフライは、卓球メーカーであるにもかかわらず、ラバー製造工場を保有し、独自技術を開発してスポンジ製造し差別化を図っているわけですね!もちろん、そのような状況を覆すために外注されるラバー製造メーカーも技術開発を進めてきたと思います。回転性能が高いテナジーシリーズに対抗するために、初期のポストテナジーラバーは、シートを厚くして回転性能を補ってきたように思います。

 シートの形状と性能の関係はこちら: https://katsuo000.com/topsheet_shape/

初期のポストテナジーラバーとして挙げるとしたら、例えばFastarc G-1(ファスタークG-1)やRakza X(ラクザX)、Evolution MX-P(エヴォリューションMX-P)などだと思います。MX-Pは特にテナジー05に打球感が似ているために人気のラバーであったと思います。G-1と比べるとシートは薄いのか、G-1よりもテナジー05に近い打球感だと思います。またテナジーシリーズのオレンジスポンジを意識して、スポンジも赤色です。それくらい、性能ではなく打球感を追求して開発されたのが、MX-Pではないでしょうか。

 今回のMX-Dは、katsuo000の中ではポストテナジー系テンションラバーまたは進化型テナジー系テンションラバーにカテゴリーされるラバーだと思って購入、試打しました。どうやら初期のころのポストテナジー系ラバーのような厚いシートを採用するのではなく、薄いシートを採用しているようですね!katsuo000の中で同じポストテナジー系テンション、または進化型テナジー系テンションに分類しているRasanter R53(ラザンターR53)やRasanter R48(ラザンターR48)についても、薄いシートを採用できるように技術が進んだそうです。STIGA(スティガ)さんの新作DNAプラチナシリーズも類似の技術が採用されていると感じました。MX-Dもれいに漏れず類似技術の結果ではないかと想像しますね。ドイツ工場の技術が進んだ結果、今後も高性能なラバーがドイツ工場からどんどん販売されるのではないかと想像しています。これは用具レビュワーとして、楽しみなことですね!

 本ページでレビューするEvolution MX-Dは、Evolutionシリーズの中で、最も硬度の硬いラバーになります。卓球の用具スペシャリスト、ゆうさんも「Dがいい!」と絶賛していました!ドイツ基準で51.5°の硬いラバーではありますが、激推しするということは、テナジーのように硬度の割にくい込みが良くて扱いやすいラバーだと想像できますね。それではレビューしていきましょう!

公表性能値

 TIBHAR(ティバー)さんの公表性能値を示します。

 Evolution MX-DはTIBHARのラバーの中でも最もスピン性能もスピード性能も高いスピン系テンションラバーということがよく分かります!また扱いやすさと、ある程度の相関を示す、硬度計による硬度比較を下記に示します。

 バタフライさんのラバーと比較すると、MX-Dはテナジーよりもディグニクスに近いラバーではないかと思います。というのは、shore aのシートとスポンジ側からの硬度差がディグニクスと同じく小さいラバーになるからですね。硬度差が小さいラバーはドイツ製テンションラバーに多い傾向で、MX-Dは最新の技術を使いながら、今まで通りドイツ製テンションらしく仕上げたラバーといえるのかもしれません。意外だったのが、Evolution MX-P 50°やQuantum X Proよりも硬度差が大きいことですね!思ったより扱いやすいラバーかもしれません。

エヴォリューションMX-Dの重量と貼り

 エヴォリューションMX-Dは53 gでした。想定していましたが、やはり重いですね汗。

Evolution MX-D(エヴォリューションMX-D)
 Spin Tension(ハイテンション)裏ラバー
・スポンジ厚:1.9 mm、2.1 mm
・スピン:125
・スピード:135
・Sponge硬度:51.5
・6,500円 + 税
・76 g(切断前) → 53 g(Vistuoso AC(ヴィルトーソAC)、ややブレード面積大に貼って)

Evolution MX-Dの3つの特徴

 今回もインナーカーボンです。やはり扱いやすいと感じました。アウターカーボンに貼っていたらまたイメージは異なったかもしれませんが、ご了承お願い申し上げます。

打球音が高く、球離れが速い!そして疾走感が強い!

 卓球ショップ据え付けの小さな場所での試打だったためか、かなりボールに疾走感を感じました。まるでアウターカーボンで打っているようなスピード感で気持ちよかったです。打球音が非常に高いので、使っていて楽しいというのもありました!弧線は低めで、スピード感がありながら、しっかり沈んでいたので直線的ですが思ったより安定すると思います。
 また球離れの速さを感じましたね。くい込みが良いのですが、かなり球離れが速いと感じたので、これはおそらくはシートの厚さまたは粒形状によるものだと思います。シートの厚さがそこまで厚くないなら粒が細くて粒と粒の間隔が広いのでしょう。この辺りは数値がないと判断が難しいです。そして、好みがわかれる部分だと思います!イメージとして、バタフライのTenergy 80(テナジー80)っぽいと感じたRasanter R53(ラザンターR53)よりも球離れが速いようにも感じたので、イメージとしてはFastarc G-1(ファスタークG-1)やDigncs 05(ディグニクス05)のようにシートがかなりしっかりしているか、64系のシートに近いのか、の2択だと思います。DNA Platinum XH(ディーエヌエープラチナエキストラハード)はかなりグリップすると感じ、スポンジの食い込みのよさ、シートの厚さや粒形状は05っぽいと感じました。それぞれのすみ分けができているようにも感じました。つまり
 DNA Platinum XH(STIGA): 05っぽい
 Rasanter R53(andro): 80っぽい
 Evolution MX-D(TIBHAR): 一昔前のドイツ製テンションやディグ05のようにシートが硬くて厚い、または80よりの64っぽい粒形状
ということです。近い硬度のラバーですが、それぞれの特徴が出てきていると感じました!

 MX-Sの回転性能とMX-Pの扱いやすさ、とうたわれていましたが、個人的にはドイツ製の最新ハイエンドラバーの中でも、しっかりしたシートまたはドイツ製64っぽいラバーというポジションで差別化されるラバーだと感じました。 スピン性能はやや大人しさを感じましたが、R53以上にスピード性能の高さを感じましたね。 流行りのインナーカーボンや木材系ラバーのスピードを補うような選択ができると思います。

51.5°を感じさせない、くい込みの良さ!

 球離れの速さを感じつつ、くい込みは想像以上に良くて扱えないようなラバーではありませんでした。51.5°となると粘着ラバーなみの硬さのように思いますが、決してそういうラバーではなく、スポンジのくい込みの良い扱いやすいラバーだと思います。球離れが速いので、人によってはバック側でも使うという人が出てきそうだと感じました。

 MX-PとMX-Sの融合と謳われているように、バタフライのラバーで例えると、テナジーとディグニクスの融合のようなラバーに仕上がっていると思います!スポンジはテナジーらしさが増しつつ、シート強度をあげているため、やや扱いにくいですが、その分カウンタードライブがやりやすく、しっかり使いこなせば今まで以上の回転も得られるラバーだと思います。使い込む事で扱いやすくなった、とするようなレビューも拝見します。おそらく、シートが厚いか硬めに仕上げてあり、テナジー05、またはMX-Pとの差別化も狙っていると想像します。この硬いシートへ如何にくい込ませる感覚が習得できるか、で扱えるか否かが決まる印象ですね。粒形状は倒れやすい細めの粒とやや粒間隔も広いので、バタフライの粒形状でいうところの80や64よりでデザインされており、スピード性能を補っていると思われます。総じて、昨今ドイツ製の進化型テナジー系ラバーの中でも、しっかりとした差別化が図られているラバーといえるでしょう。前述のとおり、64ぽさのあるラバーではありますが、回転性能はテナジー05と同等であり、シートが強いのでカウンタードライブもしやすく、粘着ラバーの回転性能に対し、カウンター+スピードで対抗できるようなラバーだと思います。フランスのシモン・ゴーズィ選手がラザンターR53で大暴れしているように、例えば日本人キラーのような選手であるティバー契約の、イギリスのPaul Drinkcall(ドリンコール)選手(大島祐哉選手や最近だと及川瑞基選手に勝利)やスロベニアのヨルジッチ選手(張本智和選手に勝利)がMX-Dを使用して大暴れすることもありえるんじゃないかな、と想像しました。

回転性能も高い!

 MX-Pはややボールが軽いと言われることもありましたが、MX-Dはそんなことはなく、むしろ弧線を描きたいと思ったときにしっかり弧線を描いてくれました。またツッツキもやりやすく、MX-Sの特徴であるツッツキのやりやすさと質の高さも継承されていると感じました。少なくとも今までスピン性能で不満を感じやすかったティバーさんのスピン系テンションラバーの中で、抜群の回転性能の高さを感じましたね!打球感がとにかくいいので、楽しい(あまり細かい角度やスイングを意識しなくても、ラバーが修正してくれる)中にしっかり回転性能が高まっていて良かったです。このあたりがティバーさんのラバーらしいと感じました。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ラリーでのドライブ
 かなりスピードが出るのと、音がいいですね!気持ちが良いです。

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ
 あまり回転量を感じませんでした。

対下回転に対するスピードドライブ
 くい込みが良いのでスピードドライブは気持ちがいいですね!

ブロック
 思ったよりやりやすかったです。くい込むけど、重さと硬さでキャンセルしているイメージですね。

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ
 ボールはグリップしつつ、飛ばせると感じました。少なくともRasanter V47(ラザンターV47)のようにぶっ飛ぶ感じはあまりなかったと思います。

フリック

サービス
 少し回転量は少ないのと柔らかすぎると感じました。

バックハンド系

軽打

ラリーでのドライブ
 球離れがやや早めですので、少し技術を要する気がしました。ただし、51.5°のわりには扱いやすくて驚きでしたね。ボールが速くて気持ちよく打つならMX-Dはありです!

対下回転に対するループドライブ
 入りはするものの、やや回転量不足を感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 これはやりやすかったです。

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ
 思ったより全然ぶっ飛ばなく好感触でした。かなり攻撃的にツッツキができてよかったです。

チキータ

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 80 > Evolution MX-D > Tenergy 05

スピード
  Dignics 64 > Evolution MX-D ≧ Dignics 05

扱いやすさ
 Rasanter R48 > Evolution MX-D> Rasanter R53

進化型テナジー系テンション内での比較
 回転量
  Dignics 05 > Q5 ≧ DNA Platinum XH ≧ Rasanter R53 ≧ Evolution MX-D ≧ Tenergy 05

 スピード
   Dignics 05 ≧ Evolution MX-D > Rasanter R53 ≧ Q5 > DNA Platinum XH > Tenergy 05

レビュー DNA Platinum XH(ディーエヌエープラチナエクストラハード)

説明

 STIGA(スティガ)さんの2021年注目の商品、DNA Platinum XH(ディーエヌエープラチナエクストラハード)をレビューさせていただきます。STIGAといえば、卓人にとっては木材系ラケットの老舗(しにせ)というイメージが強いのではないでしょうか。katsuo000はSTIGA≒木材系ラケットのイメージがかなり強いですね。そして、中国ナショナルチームと契約しているイメージですね。そんなSTIGAさんが2021年夏、新ラバーを発売しました!その名もDNA Platinum(ディーエヌエープラチナ)シリーズになりますね!既にDNA Pro(ディーエヌエープロ)シリーズが販売されていました。STIGAは日本製のラバーにこだわっていましたが、DNA Proシリーズからドイツ製のラバーとなりました。Made In ドイツというと、VICTAS(ヴィクタス)さんやYASAKA(ヤサカ)さんのハイエンドラバーはほぼほぼドイツ製ですね。ドイツ製ラバーはButterfly(バタフライ)のテナジーシリーズの次にトップ選手が使っていることが多く、STIGAのDNA Proシリーズもドイツ製ということで注目を集めていました!非常に短い期間ですが、DNA Pro H(ディーエヌエー プロ エイチ)は使用したことがあり、イメージとしてはかなりNittaku(ニッタク)さんのFastarc G-1(ファスタークG-1)に似ていると感じましたね。そのころはまだG-1を使ったことがなく、色々試打後に改めてDNAプロHについてもレビューを書きたいと思っておりました。結局新しいラバーが先に出てしまいました汗。こんなことにならないように今後もAs Soon As Possible(ASAP)で最新ラバーはレビューしたいものですね。
 今回登場のDNAプラチナシリーズは、ハイエンドラバーということで、なんと8,000円+税という強気の価格設定でした。これは近年テナジーを超えるポストテナジーラバー(androのRasanter R53(ラザンターR53)など)が次々と登場しているドイツ製ラバーの技術が、このDNAプラチナシリーズにも適用されているだろうと感じました。これは期待ですね~!

 世界標準Tenergy 05(テナジー05)は、発売から10年以上経過した2021年現在もワールドスタンダードの名前をほしいままにしています。テナジー05は卓球のことを考えるにあたり、なしでは語れない存在となってしまいました。このテナジーシリーズの特徴を2021年現在改めてkatsuo000なりに考えると次のようになると思います。

テナジーシリーズの特徴
・高い回転性能
・高いスピード性能
・軽い

 テナジーシリーズはButterflyの独自工場でしか生産できず、他の競合卓球メーカーと差別化されたラバーになります。他の競合卓球メーカーは、ラバー製造を基本的には外注しているのに対し、Butterflyは、卓球メーカーであるにもかかわらず、スポンジ製造工場を保有し差別化を図っているわけですね!もちろん、そのような状況を覆すために外注されるラバー製造メーカーも技術開発を進めてきたと思います。回転性能が高いテナジーシリーズに対抗するために、初期のポストテナジーラバーは、シートを厚くして回転性能を補ってきたように思います。

 シートの形状と性能の関係はこちら: https://katsuo000.com/topsheet_shape/

初期のポストテナジーラバーは、例えばFastarc G-1(ファスタークG-1)やRakza X(ラクザX)、Evolution MX-P(エヴォリューションMX-P)などだと思います。例えばファスタークG-1は確かにスピン性能は高く、グリップ力もありますが、テナジー05と比べる重かったり、ボールをくい込ませるためにより強いインパクトが必要になってくると思いますね。この要因の一つとして、シートが厚いからだといえるでしょう。

 今回のDNAプラチナシリーズは、katsuo000の中ではポストテナジー系テンションラバーまたは進化型テナジー系テンションラバーにカテゴリーされるラバーだと思います。上記のように初期のころのポストテナジー系ラバーのように厚いシートを採用するのではなく、なんと薄いシートを採用しているのですね!katsuo000の中で同じポストテナジー系テンション、または進化型テナジー系テンションに分類しているRasanter R53(ラザンターR53)やRasanter R48(ラザンターR48)についても、薄いシートを採用できるように技術が進んだそうです。DNAプラチナシリーズも類似の技術が採用されているのかもしれませんね!ドイツ工場の技術が進んだ結果、今後も高性能なラバーがドイツ工場からどんどん販売されるのではないかと想像しています。これは非常に楽しみですね!

 本ページでレビューするDNAプラチナエキストラハードは、DNAプラチナシリーズの中で、最も硬度の硬いラバーになります。卓球の用具スペシャリスト、ゆうさんもDNAプラチナシリーズはエキストラハードを激推ししていまいた!ドイツ基準で52.5°の硬いラバーではありますが、激推しするということは、テナジーのように硬度の割にくい込みが良くて扱いやすいラバーだと想像してました。8,000円という価格設定も、STIGAさんの本気度を感じますね!それではレビューしていきましょう!

公表性能値

 STIGA(スティガ)さんの好評性能値を示します。

 DNAプラチナエキストラハードはSTIGAのラバーの中で最も性能の高いスピン系テンションラバーということがよくわかりますね!これは期待が持てますね!

また性能とある程度の相関を示す、硬度計による硬度比較を下記に示します。

 バタフライさんのラバーと比較すると、どちらかというと、ディグニクスよりはテナジーに近いラバーと感じました。特に近そうなのがテナジー05ですね。ただし、ラバー質量はDNAプラチナXHの方が重いのは注意が必要です。重さという点は、やはりバタフライのラバーは軽く、非常に優れるといえるでしょう。

DNAプラチナエキストラハードの重量と貼り

 DNAプラチナエキストラハードは53 gでした。想定していましたが、やはり重いですね汗。

DNA Platinum XH(ディーエヌエー プラチナ エキストラハード)
 High Tension(ハイテンション)裏ラバー
・スポンジ厚:MAX(2.3 mm)
・スピン:140
・スピード:168
・Sponge硬度:52.5
・8,000円 + 税
・74 g(切断前) → 53 g(Reinforce AC(リーンフォースAC)に貼って)

DNA Platinum XHの3つの特徴

 最近、インナーカーボンにはまってしまい、このラバーからインナーカーボンでの試打になってしまいます。非常に扱いやすくて良かったですが、今までのラバーとの比較はややあまくなるかもしれません。ご了承お願い申し上げます。

52.5°を感じさせない扱いやすさと高い回転性能!

 エキストラハードということで、もっと扱いにくいと想像していたのですが、インナーカーボンに貼ったこともあって、かなり扱いやすく感じました。また硬度計(Shore a)のシート側硬度とスポンジ側硬度の差がテナジー05と近い値から、くい込みの良いことは想像していましたが、テナジー05に近いくらいの扱いやすさ、回転のかけやすさ、回転性能の高さを感じました。これはいいですね!
 また回転性能なのですが、対下回転バックハンドドライブで相手をふかすことができるくらい良く回転がかかって好印象でした。バックハンドは下手なのでなかなか回転を安定させられないのですが、自分のバックハンドの技術でもDNA Platinum XHなら回転をかけやすく相手に対して武器になると感じましたね!

シートの粒が太いため、R53よりも強いグリップ感!

 ラザンターR53の高い回転性能には驚きましたが、R53はややシートの粒形状はテナジー05ではなくテナジー80よりだと感じました。つまりくい込んだ後の球離れが早く感じるんですね。一方、DNAプラチナXHはR53に似ているのですが、グリップ感は明らかにDNAプラチナXHに軍配が上がると感じました!これはおそらくシートの粒が太い設計であるためだと想像します。一方で、R53の方がボールにいい意味で荒々しさがあって球威を感じましたが、DNAプラチナXHは少しボールが浅くなり疾走感やボールの走り、2速の伸びも少し大人しく感じましたね。このあたりはトレードオフな性能だと思いますので仕方ないとも思います。個人的な感想としては、R53は派手さが、DNAプラチナXHには素直で高い回転性能が、それぞれの個性だと感じましたね!R53が使いこなせるのであれば、R53の方がハナのあるプレイがしやすく、DNAプラチナXHの方が派手さは下がるものの、使い手の実力以上のものを出しやすいラバーだと感じました!

ポストテナジー05の決定版!まさに重たいテナジー05!

 2021年のポストテナジー系ラバーにおいて、最もテナジー05に近いラバーだと感じました!それまではラザンターR48がその位置だと感じていましたが、回転性能は高いものの打球感とグリップ感は、テナジー05ではなくテナジー80っぽさがあり、完全に同じとは言い切れませんでした。今回のDNAプラチナXHは、重さこそ重いですが、太目の粒で得られるグリップのしやすさはまさにテナジー05に近く、それでいて回転量も類似の性能があるラバーだと感じました。硬度計比較でもかなり近い値をたたき出しており、重量をのぞけばまさにテナジー05といえるラバーがDNAプラチナXHでした!非常に良いラバーで、オススメできるラバーだと思います。

 また今回インナーカーボンのReinforce AC(リーンフォースAC)で試打しましたが、非常に好感触でした。STIGAの製品を考慮してもおそらく木材系ラケットにあいやすいラバーだと思います。木材系にあうなーと感じた他のラバーとしてはミズノのQ5が挙げられますが、硬くて粘着ラバーよりのスピン系テンションは木材系またはインナーカーボン系のラケットにあう傾向があると思います。DNAプラチナXHも漏れなく木材系やインナーカーボンにあうラバーでしょう!こういったラバーは、フォアハンドでの上書きループドライブのやりやすさでわかることが多いのですが、DNAプラチナXHはループドライブが非常に低くかつ回転量豊富で返球しやすかったです。こういったラバーは非常に好みです。重ささえ克服できれば非常に良い選択肢になると感じました!

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ラリーでのドライブ
 ボールを持ちますね。非常に扱いやすいと感じました。これはバタフライの05のシート構造に近いシートの粒形状ではないかと感じましたね。

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ
 高い回転性能を感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 くい込みが良いので思ったより打ちやすかったですね!ディグニクス05よりもスピードドライブは打ちやすいと思います。

ブロック
 やや回転を食らうと感じましたね。

カウンタードライブ

ストップ
 しっかり止まってやりやすかったです。

ツッツキ
 切れると感じました。

フリック

サービス
 サービスも出しやすいし切れました。

バックハンド系

軽打

ラリーでのドライブ
 ボールを持つので打ちやすいですね。ただし、少しラバーが重いのでふり遅れが多かったですね。

対下回転に対するループドライブ
 ものすごくやりやすくて、回転もよくかかっていて好印象でした。もう少し軽いということなしなのですがね。バックハンドドライブで相手をふかせるようになったのは嬉しかったです!

対下回転に対するスピードドライブ
 これもやりやすかったです。かなりオールマイティ感があって良かったですね。

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ
 切りやすかったですね。

チキータ

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 05 > DNA Platinum XH > Tenergy 05

スピード
  Dignics 05 > DNA Platinum XH > Tenergy 05

扱いやすさ
 Rasanter R48 > DNA Platinum XH> Rasanter R53

進化型テナジー系テンション内での比較
 回転量
  Dignics 05 > Q5 ≧ DNA Platinum XH ≧ Rasanter R53 > Rasanter R48 ≧ Evolution MX-D

 スピード
   Dignics 05 ≧ Evolution MX-D > Rasanter R53 ≧ Q5 ≧ Rasanter R48 > DNA Platinum XH

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レビュー Rozena(ロゼナ)

説明

 Butterfly(Tamasu)さんの看板商品の一つ、Rozena(ロゼナ)をレビューさせていただきます。ロゼナを語るにはまずテナジーからになると思います。世界標準Tenergy 05(テナジー05)の発売は今をさかのぼること、約13年前、2008年4月になります。有機溶剤による後加工の禁止もあいまって未だに10年以上経過した2021年現在もワールドスタンダードの名前をほしいままにするテナジー05は卓球のことを考えるにあたり、なしでは語れない存在となってしまいました。このテナジーシリーズの特徴を2021年現在改めてkatsuo000なりに考えると次のようになると思います。

テナジーシリーズの特徴
・高い回転性能
・高いスピード性能
・軽い

 テナジーシリーズが上述のような特徴をもつのは、Butterfly独自のスポンジによるところが大きいと思います。テナジーシリーズに採用されているスポンジは、Spring Sponge(スプリングスポンジ)というオレンジ色のスポンジで、そのスポンジの気泡はそれぞれ独立気泡構造となっており、高い性能を示すことができているそうです。このスプリングスポンジは、Butterflyだけの技術で他の競合卓球メーカーと差別化された技術になります。他の競合卓球メーカーは、ラバー製造を基本的には外注しているのに対し、Butterflyは、卓球メーカーであるにもかかわらず、スポンジ製造工場を保有し差別化を図っているわけですね。このスプリングスポンジのためにテナジーは高い性能を出せるわけですが、転売や偽物が出回ったことに加え研究開発費がかかるために、オープン価格化してしまい他のラバーと比べて倍近い値段となっている点も(悪い)特徴といえるでしょう。ただしトップ選手の使用率は高くワールドスタンダードであることは疑いようはありません。
 最もトップ選手の使用率が高く、回転性能の高いテナジー05の他に、トップシートの違いによってスピード性能の高いTenergy 64(テナジー64)、スピンとスピードのバランスのとれたTenegy 80(テナジー80)、カウンターや前陣に強いTenergy 25(テナジー)、先日発売になったパワーのTenergy 19(テナジー19)とシート形状だけで5種類存在します。各シートの説明は以下のようになります。
 No. 051.7 mmの粒間隔が狭い。回転性能が高い。
 No. 252.65 mm粒の高さが低い。台上プレーやカウンターがやりやすい。
 No. 641.7 mmの粒間隔が広い。スピード性能が高い。
 No. 1801.7 mmの粒間隔が中間。回転もスピードもバランスが取れている。
 No. 2191.5 mmの粒間隔が狭い。ボールをよくつかみパワーを出しやすい。
それぞれのトップシートの特徴が反映して先述のように、キーフレーズがあり「回転の05」「バランスの80」「スピードの64」「前陣の25」「パワーの19」と冠されています。

 バタフライは、約13年前、2008年4月にテナジー05を発売後、2008年11月にTenergy 25(テナジー25)を、2009年4月にTenergy 64(テナジー64)を2010年7月にTenergy 05 FX(テナジー05FX)を、2010年11月にTenergy 25 FX(テナジー25FX)を、2011年11月にTenergy 64 FX(テナジー64FX)を、2013年1月にTenergy 80(テナジー80)を、2014年4月にTenergy 80 FX(テナジー80FX)を、2017年4月にRozena(ロゼナ)を、2018年11月にテナジー05をより硬くしたTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)を、2019年4月にテナジー超えるラバーとしてDignics 05(ディグニクス05)を発売しました。そしてテナジーからディグニクスへの移行も見えつつあった2021年3月にTenergy 19(テナジー19)が販売となりました。現在までに10種類のテナジーが存在するわけです。それぞれ新商品として販売されてきて、未だにテナジー05が人気なのは完成と信頼の現れでしょう。

 本ページでレビューするロゼナは、言ってしまえばテナジーの廉価版になります。ソフトなスプリングスポンジをあわせた、扱いやすいテナジーのようなラバーになります。中級者のバックラバーとして、または初級者の初めてのスプリングスポンジ搭載のラバーとして人気のラバーだと思います。価格帯でいうと他メーカーの看板ラバーよりも安く、最も売れているラバー、Nittaku(ニッタク)のFastarc G-1(ファスタークG-1)よりも安いラバーであり、競争の激しい実質販売価格4,000円台に投下されたラバーになりますね!この価格よりも安さと性能を求めると、Yasaka(ヤサカ)さんのRakza(ラクザ)シリーズやRigan(ライガン)、あとはXIOM(エクシオン)さんのVega X(ヴェガテン)やVega Tour(ヴェガツアー)の3,000円台のラバーになるでしょうか。このあたりとの比較は今後行っていきたいと思います。
 最近、YouTuber、ごぶりんずさんにロゼナのレビューが投稿されていましたが、かなり酷評されていました。あうあわない好き嫌いはあるかと思います。ハードなラバーを使用しているとあわないと感じるかと思いますね。

公表性能値

 Butterfly(バタフライ)さんの好評性能値を示します。

 ロゼナはある意味スピン性能の劣るテナジー05といっても過言ではないかもしれませんね。実際今回改めて試打しましたが、過去に厚のロゼナを使用したことがあります。その印象では、やはり回転性能が低いラバーという印象が強かったですね。一方で、打球感は確かにスプリングスポンジの打球感があり、感触は悪くなかったのを覚えております。

Rozenaの重量と貼り

 ロゼナは48 gでした。Butterflyさんのラバーは基本的にはスポンジ硬度と相関があるようで、テナジーFXシリーズの方がスポンジ硬度も柔らかく、重量も軽かったです。テナジーよりも少し柔らかいスポンジ硬度35なので48 gはボチボチな重さになりますね。

Rozena(ロゼナ)
 High Tension(ハイテンション)裏ラバー
・スポンジ厚:厚(1.9 mm)、特厚(2.1 mm)
・スピン:10.80
・スピード:13.00
・Sponge硬度:35
・5,000円(卓球販売店で1~2割の割引可)
・69 g(切断前) → 48 g(林高遠ALCに貼って)

Rozenaの3つの特徴

 最近はバックにテナジー系のラバーをメインで使用しているので、非常に違和感なく、むしろ好感触で使用できました。正直威力不足は否めませんでしたが、それでも扱いやすさはテナジーシリーズ、テナジーFXシリーズよりも高いと感じました!メインで使用するか迷うレベルでした。武器にするというよりはとにかく粘るための盾のようなラバーだと思います。攻めるとしたら相手のボールを利用したカウンターやブロックで少し弾いてミートするといったイメージです。
 バックラバーの現状の候補はテナジー05、Rakza X(ラクザX)でした。ラクザXと比較すると、ラクザXは少し個体差があるのと重くなりやすいので、500円前後高くなりますがロゼナの方が自分は好きだと感じた次第です。ループドライブとツッツキの質の高さはもちろんラクザXやテナジー05の方が上ですが、トータルバランスと扱いやすさはロゼナが上だと思いました。

とにかく色々な技術がやりやすい!

 正直ここまで期待していなかったのですが、とにかくやりにくい技術がなかったです。少し球を持ちすぎる感はありましたが、ループドライブ、スピードドライブ、ブロック、カウンター、ストップ、どれをとってもやりやすかったですね。特に個人的にやりやすいと感じたのがブロックでかなりやりやすかったです!あてれば入る融通の良さを感じました。ラバー全体で相手のボールの威力を吸収してくれる感じがありましたね。唯一感じたのが、シートだけでボールを取ろうとしたときは、スベルような感じがあり、この部分だけ扱いにくいと感じました。しっかりスポンジまでくい込ませて打つラバーだと感じました。

上回転のラリーで、スプリングスポンジらしさが出る!

 上回転のラリーのときに、くい込ませながらドライブやくい込ませながら弾くことで、上回転をかけ返すことができて、かつ相手のコートにおさまってくれる感じがあったので好印象でしたね。テナジー05だと、もっとドライブだけをかけるようにしないとオーバーかネットへ行ってしまう感じがあります。硬さを感じやすいのがテナジー05であり、ただあてるだけだと威力を出しにくくしっかり回転をかけながら飛ばしてやって初めていいボールが出せます。一方、ロゼナは弾くだけでもおさまりが良く、テナジー64とかテナジー80らしい部分があるといえるのかもしれません。シートの粒形状について確かな情報はありませんが、どちらかというと64とか80に近いシートだと思います。従って上回転のラリーでは少ないエネルギーで弧線を描きながら加速するようなボールが打ちやすかったです。この弧線と加速がスプリングスポンジらしさだと思います。そういったボールが出せるのもロゼナの特徴であり良いところだと思います。

くい込みの良さで球を持ちまくる!

 シートの粒形状は感覚的には64とか80に近いと思いますが、スポンジもやや柔らかくボールを非常にグリップします感覚的にはテナジー05に近い感覚で持ってくれる感じがありました。従ってループドライブも打ちやすかったです。ただし、回転をかけて飛ばせば何でも入る、という感じではなくて回転で沈み切らないので、ある程度飛距離を考えながら打つ必要性は感じました。このあたりは好みがわかれそうですが、初中級者にあわせたスプリングスポンジのラバーという意味では納得です。テナジー05とテナジー80(katsuo000はテナジー64を使ったことがないため)の良いところ、欲しい部分をバランスよく共存させてくれていると思います。このロゼナから、より自分の特徴やよく使う技術を武器にするために各テナジーへ変更していけるようなラバーだと感じました。一方でテナジー05の特徴やテナジー64の特徴をそのままほしいと思うと確かにがっかりすると感じました。バランスタイプなので、テナジー80が一番近いかもしれませんね。とがった性能は求めても難しいと思います。非常にバランスの良いラバーで、なんでもしなければいけないペンドラの方にもオススメできると思いました。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 球を持ちますね。Dignics 05(ディグニクス05)と比較してもかなり球を持つと感じました。

ラリーでのドライブ
 特にやりにくいわけではありませんが、球を持つので思ったよりフォアサイドへ行き過ぎる感じがありました。これは慣れかな。回転量はくい込ませた時に初めてでますので、上回転のラリーでは回転をかけやすく、回転で落とせると感じました。このあたりはさすがスプリングスポンジといったところでしょうか。

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フリック

サービス

バックハンド系

軽打
 非常にやりやすかったです。球を持つのと、結構無茶に押してもしっかりラバーが吸収してくれるので強引に押しこんでも結構入ってくれて好印象でした。これは試合で頼れる奴と思います。

ラリーでのドライブ
 バックハンドは自分の腕とフットワークが下手なのでどうしても打球点が前後しやすくて不安定なのですが、ロゼナはその打球点の前後を吸収してくれるようなラバーで非常に好感触でした。質は低いかもしれませんがとにかく入れようとすれば入る感じなのが嬉しかったです。また前陣頂点前をドライブするのも、非常にやりやすく苦手を感じさせませんでした。

対下回転に対するループドライブ
 テナジー05やテナジー05FXと同じくらいボールを持つので、球質は低いもののコントロールしやすい感じがありました。しっかりつないで次の球を攻める、そういったつなぎのループドライブがしやすいラバーだと思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 ある程度くい込みがいいのでスピードドライブもかなりやりやすかったです。テナジー05FXほどボールの沈みこみに期待はできないものの、打てて入ると感じさせるラバーでした。

ブロック
 テナジー05やテナジー05FXと比較すると最も秀でていると感じたのがブロックでした。とてもやりやすくて好印象でしたね。スポンジが硬く、かつシートもいい意味で相手の回転に対し鈍感さを持っていると思います。

カウンタードライブ
 頂点前をややミート気味にとらえても十分安定してカウンターが入る感じがあって好印象でした。回転で落とし込むのは少し難しいラバーだと思うので、逆にミートっぽい打ち方があうラバーだと思います。バックは思い切り回転をかけてカウンタードライブすることは少ないと思うので、そういう意味でもバックに合うラバーだと感じました。

ストップ
 唯一難しさを感じたのがストップでした。弾きやすいので、短い時間でボールをタッチしないと相手の回転をダイレクトに受けやすいと感じました。

ツッツキ
 こちらもストップ同様、回転をかけにくかったです。くい込みが良すぎてオーバーしたり、逆に滑ってネットミスしたり少し難しかったですね。

チキータ
 簡単にあげやすくて、やりやすかったです。ただし、威力はあまりないと感じました。威力を求めるのであればテナジーシリーズでしょう。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 テナジー80 FX > Rozena > Evolution MX-P

スピード
 テナジー80 > Rozena > テナジー05

扱いやすさ
 Rasanter R48 > Rozena> Rakza X

https://amzn.to/3w3JiEi

レビュー Tenergy 80 FX(テナジー80FX)

説明

 Butterfly(Tamasu)さんのテナジーシリーズの一つ、Tenergy 80 FX(テナジー80 FX)をレビューさせていただきます。世界標準Tenergy 05(テナジー05)の発売は今をさかのぼること、約13年前、2008年4月になります。有機溶剤による後加工の禁止もあいまって未だに10年以上経過した2021年現在もワールドスタンダードの名前をほしいままにするテナジー05は卓球のことを考えるにあたり、なしでは語れない存在となってしまいました。このテナジーシリーズの特徴を2021年現在改めてkatsuo000なりに考えると次のようになると思います。

テナジーシリーズの特徴
・高い回転性能
・高いスピード性能
・軽い

 テナジーシリーズが上述のような特徴をもつのは、Butterfly独自のスポンジによるところが大きいと思います。テナジーシリーズに採用されているスポンジは、Spring Sponge(スプリングスポンジ)というオレンジ色のスポンジで、そのスポンジの気泡はそれぞれ独立気泡構造となっており、高い性能を示すことができているそうです。このスプリングスポンジは、Butterflyだけの技術で他の競合卓球メーカーと差別化された技術になります。他の競合卓球メーカーは、ラバー製造を基本的には外注しているのに対し、Butterflyは、卓球メーカーであるにもかかわらず、スポンジ製造工場を保有し差別化を図っているわけですね。このスプリングスポンジのためにテナジーは高い性能を出せるわけですが、転売や偽物が出回ったことに加え研究開発費がかかるために、オープン価格化してしまい他のラバーと比べて倍近い値段となっている点も(悪い)特徴といえるでしょう。ただしトップ選手の使用率は高くワールドスタンダードであることは疑いようはありません。
 最もトップ選手の使用率が高く、回転性能の高いテナジー05の他に、トップシートの違いによってスピード性能の高いTenergy 64(テナジー64)、スピンとスピードのバランスのとれたTenegy 80(テナジー80)、カウンターや前陣に強いTenergy 25(テナジー)、先日発売になったパワーのTenergy 19(テナジー19)とシート形状だけで5種類存在します。各シートの説明は以下のようになります。
 No. 051.7 mmの粒間隔が狭い。回転性能が高い。
 No. 252.65 mm粒の高さが低い。台上プレーやカウンターがやりやすい。
 No. 641.7 mmの粒間隔が広い。スピード性能が高い。
 No. 1801.7 mmの粒間隔が中間。回転もスピードもバランスが取れている。
 No. 2191.5 mmの粒間隔が狭い。ボールをよくつかみパワーを出しやすい。
それぞれのトップシートの特徴が反映して先述のように、キーフレーズがあり「回転の05」「バランスの80」「スピードの64」「前陣の25」「パワーの19」と冠されています。

 バタフライは、約13年前、2008年4月にテナジー05を発売後、2008年11月にTenergy 25(テナジー25)を、2009年4月にTenergy 64(テナジー64)を2010年7月にTenergy 05 FX(テナジー05FX)を、2010年11月にTenergy 25 FX(テナジー25FX)を、2011年11月にTenergy 64 FX(テナジー64FX)を、2013年1月にTenergy 80(テナジー80)を、2014年4月にTenergy 80 FX(テナジー80FX)を、2017年4月にRozena(ロゼナ)を、2018年11月にテナジー05をより硬くしたTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)を、2019年4月にテナジー超えるラバーとしてDignics 05(ディグニクス05)を発売しました。そしてテナジーからディグニクスへの移行も見えつつあった2021年3月にTenergy 19(テナジー19)が販売となりました。現在までに10種類のテナジーが存在するわけです。それぞれ新商品として販売されてきて、未だにテナジー05が人気なのは完成と信頼の現れでしょう。

 本ページでレビューするテナジー80FXはソフトなスプリングスポンジをあわせた、扱いやすテナジーの一つになります。中級者のバックラバーとして、または初級者のテナジーとして人気のラバーだと思います。

公表性能値

 Butterfly(バタフライ)さんの好評性能値を示します。

 Butterflyにおいて、公表性能値は、FXによりません。競合他社メーカーでは、ソフトなスポンジをあわせたラバーは回転性能が高かったり、はじきやすいのであれば、スピード性能が高かったりするのですが、そういったことはないというButterflyさんの主張といえる公表性能値になります。実際に柔らかいスポンジは使いやすさはあがる一方でMaxの回転量やスピードは出しにくい印象は確かにあります。ただし、しっかりくい込ませれば回転量もスピードも出ると思います。ある意味、柔らかいラバーでMaxの回転量やスピードを出すのは、逆に技術力が必要だったりするようにも感じます。そういう意味でテナジー80FXは高性能かつ扱いやすいラバーといえるでしょう。

やりやすい技術

 Butterflyさんホームページ上には、各テナジーのやりやすい技術についてレーダーチャートが掲載されています。各技術のやりやすさを、モノサシで測り、その数値を下記図にしてみました。項目は
 ・ループドライブのかけやすさ
 ・スピードドライブの打ちやすさ
 ・カウンタードライブのやるやすさ
 ・台上プレーのやりやすさ
 ・ブロックのしやすさ
 ・スマッシュのしやすさ

の6つになります。個人的に重要な項目はループドライブ、スピードドライブ、台上プレー、ブロック、カウンタードライブになります。スマッシュも粘着ラバーでなければ慣れで打てるでしょう。

Butterflyさんのホームページより引用させていただきました。

https://www.butterfly.co.jp/product/tenergy/

 このチャートを見ると、テナジー80FXもテナジー05FX同様に、真ん中に存在していることがわかります。やりにくい技術が少ないことの現れだと思います。コストを考えなければ初心者から中級者までオススメできるラバーといえるでしょう。

おすすめラケット組み合わせ

 メーカー推奨の組み合わせも掲載されるようになりました。こちらも掲載していこうと思います。以下全てButterflyさんホームページより引用させていただきました。まずテナジーFX系を並べてみました。

Butterflyさんのホームページより引用させていただきました!

https://www.butterfly.co.jp/product/tenergy/
Tenergy 05 FX(テナジー05FX)
 ・Timo Boll ZLF(ティモボルZLF)
  安定したプレーを求める選手へ
 ・Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)
  多彩な技術の習得に
 ・Maze Advance(メイスアドバンス)
  筋力に自信がない選手に
Tenergy 80 FX(テナジー80FX)
 ・Marcos Freitas ALC(フレイタスALC)
  バランスの取れた広い領域でのプレーに
 ・Timo Boll CAF(ティモボルCAF)
  威力を追求するオールラウンドプレーに
Tenergy 25 FX(テナジー25FX)
 ・Timo Boll ZLC(ティモボルZLC)
  相手のプレーを利用したい選手へ
Tenergy 64 FX(テナジー64FX)
 ・Timo Boll TJ(ティモボルTJ)
  トップを目指すジュニア選手へ
 ・Maze Advance(メイスアドバンス)
  初めてテナジーを使う選手へ

 基本的には、初心者や中級者向けのフレーズが多いように感じました。唯一、テナジー25FXのみがティモボルZLCとの組み合わせが提案されているだけで、基本的には非常に扱いやすいラケットとの組み合わせが多い印象です。個人的には威力よりも扱いやすさ、卓球の楽しさを感じてほしい、というメーカー側の意図を感じます。ただし、初心者でテナジーは家計簿泣かせです。娘がそうしたいというなら協力しますが。。。汗
 もうすぐ4月になり、ステップアップや新しい環境で気持ちを新たにテナジーに挑戦しようと思うのであれば上述のようにテナジーFX系と組み合わせていくことは一つオススメといえるでしょう。

Tenergy 05 Hard(テナジー05ハード)
katsuo000のレビュー↓
  https://katsuo000.com/review_tenergy_05_hard/
 ・Viscaria(ビスカリア)
  オールラウンドなパワープレーに
 ・Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)
  回転を重視した前中陣でのプレーに
 ・SK7 Classic(SK7クラシック)
  木材合板ラケットを好むパワーヒッターへ
Tenergy 05(テナジー05)
katsuo000のレビュー↓
  https://katsuo000.com/review_tenergy_05/
 ・Zhang Jike ALC(張継科ALC)
  死角のないオールラウンドプレーに
 ・Harimoto Tomokazu Inner Force ZLC(張本智和インナーフォースZLC)
  打球の回転を重視する攻撃的なプレーに
 ・Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)
  打球の回転と安定性を求める選手へ
Tenergy 19(テナジー19)
katsuo000のレビュー↓
  https://katsuo000.com/review_tenergy_19/
 ・Lin Yun-Ju Super ZLC(林昀儒Super ZLC)
  スピードとスピンをともに追求
 ・Inner Force Layer ZLC(インナーフォースレイヤーZLC)
  回転重視のパワフルなプレーを
 ・Timo Boll ALC(ティモボルALC)
  威力を追求するオールラウンドプレーに
Tenergy 80(テナジー80)
 ・Mizutani Jun ZLC(水谷隼ZLC)
  テクニカルなプレーを目指す選手へ
 ・Tiago Apolonia ZLC(アポロニアZLC)
  堅実なプレーを目指す選手へ
 ・Inner Shield Layer ZLF(インナーシールドレイヤーZLF)
  オールラウンドなカットプレーに
Tenergy 25(テナジー25)
 ・Mizutani Jun Super ZLC(水谷隼Super ZLC)
  相手のプレーを利用したい選手へ
 ・Inner Force Layer ALC.S(インナーフォースレイヤーALC.S)
  前陣で回転を駆使する選手へ
Tenergy 64(テナジー64)
 ・Matsudaira Kenta ALC(松平健太ALC)
  前陣でのスピーディーなプレーに
 ・Inner Force Layer ZLF(インナーフォースレイヤーZLF)
  フラットな打法を多用する選手へ
 ・Petr Korbel(コルベル)
  回転をかける感覚を身につけたい選手へ

 テナジー全体でみると、テナジー64は初中級者へ、テナジー25は弾むアウターSuper ZLCとの組み合わせ、テナジー80やテナジー05が中上級者へ、テナジー05ハードやテナジー19が上級者やトップ選手へオススメといった印象です。テナジー25と水谷隼Super ZLCの組み合わせは、2021年に始まった話ではなく、前々からButterflyさんは提案している印象です。結構気になる組み合わせですね。

Tenergy 80 FXの重量と貼り

 テナジー80FXのラバー重量は約45 gでした。テナジー05FX(46 g)より少し軽いですね。全体的に高性能で軽量なラバーが多いのが、Butterflyさんの特徴で、今回もやはり軽くて品質が高いことがわかります。

Tenergy 80 FX(テナジー80FX)
 High Tension(ハイテンション)裏ラバー
・スポンジ厚:厚(1.9 mm)、特厚(2.1 mm)
・スピン:11.25
・スピード:13.25
・Sponge硬度:32
・オープン価格(8,900円 + 税)
・66 g(切断前) → 45 g(林高遠ALCに貼って)

Tenergy 80 FXの3つの特徴

やはりバックハンドに持ってこい!

 柔らかいので、とにかくバックハンドに持って来いでした!やはりシートの粒形状の影響をうけ、テナジー05FXと比較すると、テナジー80FXの方がブロックやミート全般がやりやすいと感じました。もちろん、しっかりスポンジまでくい込ませればドライブもしっかり回転がかかりますが、薄く薄くとらえようとするとたまに滑るようにも感じましたので、バックで厚く当てるのであれば05FXよりも80FXの方がオススメといえるでしょう。

ブロックが入れやすい!

 徳にやりやすい技術としては、ブロックで弾みを利用すれば相手のコートに入れることは何とかできる感じがありました。テナジー80も同じように感じたのですが、相手の回転がかかっていてもナックルでもラケットとラバーの弾みで相手のコートにとにかく入れるのは非常にやりやすいラバーだと思います!面を作って相手コートに入れることを覚えたいのであれば非常に良いラバーだと思いますね。一方で、やはり棒玉にもなりやすいので、試合では多少押すなり回転をかけるなりできるとより良いと思います。

回転よりもスピードが出しやすい!

 05FXと比較するとやはり、回転よりもスピードで押せるラバーだと感じました。ドライブやチキータは回転量よりも、ピッチと直線性とスピードで相手の時間を奪うように使うと80FXが活かせると思います。特にスピード系のチキータは非常にやりやすくて、よかったです。ただし上をとらえるというよりは回転軸をずらすことでやりやすさが出るということです。扱いやすく、ピッチと球のスピードが欲しいのであれば、非常に良い選択肢だと思いました。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ラリーでのドライブ
 回転をかけて飛ばしたときに沈みにくく、少し弱く打って飛距離を抑える必要があると感じました。ディグニクス05では思い切り回転をかけて飛ばせば、安心して回転量でボールが沈むので相手のコートに入ると感じますが、やはり80のシートの形状では少し回転のかかりがあまく、自分のコート側で弧線の頂点が来るようなイメージでドライブすべきと感じました。

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ
 止めやすいです。ただ回転をかけようとすると弾いてしまいました。

ツッツキ
 回転はかけにくいです。入れる分なら非常にやりやすいです。

フリック

サービス
 回転はかからないわけではないですが、少し回転量の最大値に不満を感じました。

バックハンド系

軽打
 軽打からテナジー05と比べると球離れが早いと感じました。シートの粒形状の影響を受けてのことだと思います。 

ラリーでのドライブ
 比較的安定感はありました。しっかりくい込ませることができれば回転もしっかりかかって好印象でした。やはりスピードが出しやすく、バックハンドのパワーを補いやすいと思います。

対下回転に対するループドライブ
 05よりも球離れも早く、シートだけでとらえようとすると少しすべりそうにもなって難しかったです。特にハーフロングのボールのループドライブは難しいと感じました。一方で飛距離のあるボールならしっかり引き込めるので、引き込めれれば簡単に持ち上げられる感じはありました。このあたりはソフトなスポンジの効果だと思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 少し角度が難しく、回転で落とし込むというよりは直線に飛ばしてネットを超えさせるイメージでドライブすることになると思います。このあたりは好みだと思いますが、katsuo000はあまり好みではなかったです。

ブロック
 テナジー05FXと比較するとそこまで回転の影響をうけやすいとは思いませんでした。05FXよりもかなりブロックはやりやすいと思います。

カウンタードライブ
 どちらかというとミートの方がやりやすかったです。

ストップ
 やりやすかったです。

ツッツキ
 柔らかい分、はじきやすいので回転は、テナジー05の方がやかけやすいです。

チキータ
 簡単にあがるのでやりやすかったです。スピードも出しやすいのでエースは狙いやすいと思います。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 テナジー05 FX > テナジー80 FX > Evolution MX-P

スピード
 Evolution MX-P > テナジー80 FX > Fastarc G-1

扱いやすさ
 テナジー05FX > テナジー80 FX > テナジー19

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レビュー Tenergy 05 FX(テナジー05FX)

説明

 Butterfly(Tamasu)さんの看板ラバーの一つ、Tenergy 05 FX(テナジー05 FX)をレビューさせていただきます。まず改めてTenergy(テナジー)について書かせていただきます。世界標準Tenergy 05(テナジー05)の発売は今をさかのぼること、約13年前、2008年4月になります。有機溶剤による後加工の禁止もあいまって未だに10年以上経過した2021年現在もワールドスタンダードの名前をほしいままにするテナジー05は卓球のことを考えるにあたり、なしでは語れない存在となってしまいました。このテナジーシリーズの特徴を2021年現在改めてkatsuo000なりに考えると次のようになると思います。

テナジーシリーズの特徴
・高い回転性能
・高いスピード性能
・軽い

 テナジーシリーズが上述のような特徴をもつのは、Butterfly独自のスポンジによるところが大きいと思います。テナジーシリーズに採用されているスポンジは、Spring Sponge(スプリングスポンジ)というオレンジ色のスポンジで、そのスポンジの気泡はそれぞれ独立気泡構造となっており、高い性能を示すことができているそうです。このスプリングスポンジは、Butterflyだけの技術で他の競合卓球メーカーと差別化された技術になります。他の競合卓球メーカーはラバー製造は基本的には外注しているのに対し、Butterflyは、卓球メーカーであるにもかかわらず、スポンジ製造工場を保有し差別化を図っているわけですね。このスプリングスポンジのためにテナジーは高い性能を出せるわけですが、転売や偽物が出回ったことに加え研究開発費がかかるために、オープン価格化してしまい他のラバーと比べて倍近い値段となっている点も(悪い)特徴といえるでしょう。ただしトップ選手の使用率は高くワールドスタンダードであることは疑いようはありません。
 最もトップ選手の使用率が高く、回転性能の高いテナジー05の他に、トップシートの違いによってスピード性能の高いTenergy 64(テナジー64)、スピンとスピードのバランスのとれたTenegy 80(テナジー80)、カウンターや前陣に強いTenergy 25(テナジー)、先日発売になったパワーのTenergy 19(テナジー19)とシート形状だけで5種類存在します。各シートの説明は以下のようになります。
 No. 051.7 mmの粒間隔が狭い。回転性能が高い。
 No. 252.65 mm粒の高さが低い。台上プレーやカウンターがやりやすい。
 No. 641.7 mmの粒間隔が広い。スピード性能が高い。
 No. 1801.7 mmの粒間隔が中間。回転もスピードもバランスが取れている。
 No. 2191.5 mmの粒間隔が狭い。ボールをよくつかみパワーを出しやすい。
それぞれのトップシートの特徴が反映して先述のように、キーフレーズがあり「回転の05」「バランスの80」「スピードの64」「前陣の25」「パワーの19」と冠されています。

 バタフライは、約13年前、2008年4月にテナジー05を発売後、2008年11月にTenergy 25(テナジー25)を、2009年4月にTenergy 64(テナジー64)を2010年7月にTenergy 05 FX(テナジー05FX)を、2010年11月にTenergy 25 FX(テナジー25FX)を、2011年11月にTenergy 64 FX(テナジー64FX)を、2013年1月にTenergy 80(テナジー80)を、2014年4月にTenergy 80 FX(テナジー80FX)を、2017年4月にRozena(ロゼナ)を、2018年11月にテナジー05をより硬くしたTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)を、2019年4月にテナジー超えるラバーとしてDignics 05(ディグニクス05)を発売しました。そしてテナジーからディグニクスへの移行も見えつつあった2021年3月にTenergy 19(テナジー19)が販売となりました。現在までに10種類のテナジーが存在するわけですね。それぞれ新商品として販売士てきて、未だにテナジー05が人気なのは完成と信頼の現れでしょう。

 そして、テナジー05FXは世界標準テナジー05にソフトなスプリングスポンジをあわせた、扱いやすくなった世界標準テナジーといえると思います。中級者のバックラバーとして、初級者の初めてのテナジーとして非常に人気のラバーだと思います。

公表性能値

 Butterfly(バタフライ)さんの好評性能値を示します。

 公表性能値は、FXの有無によりません。競合他社メーカーでは、ソフトなスポンジをあわせたラバーは回転性能が高かったりするのですが、そういったことはないというButterflyさんの主張のようにも感じます。実際に柔らかいスポンジは使いやすさはあがる一方でMaxの回転量やスピードは出しにくい印象ではありますが、出せないわけではないということなのかもしれませんね。そういう意味でテナジー05FXは高性能かつ扱いやすいラバーといえるでしょう。

やりやすい技術

 Butterflyさんホームページ上には、各テナジーのやりやすい技術についてレーダーチャートが掲載されています。各技術のやりやすさを、モノサシで測り、その数値を下記図にしてみました。項目は
 ・ループドライブのかけやすさ
 ・スピードドライブの打ちやすさ
 ・カウンタードライブのやるやすさ
 ・台上プレーのやりやすさ
 ・ブロックのしやすさ
 ・スマッシュのしやすさ

の6つになります。個人的に重要な項目はループドライブ、スピードドライブ、台上プレー、ブロック、カウンタードライブになります。スマッシュも粘着ラバーでなければ慣れで打てるでしょう。

Butterflyさんのホームページより引用させていただきました。

https://www.butterfly.co.jp/product/tenergy/

 このチャートを見ると、本当にテナジー05FXは中心に存在していることがわかります。やりにくい技術が少ないということですね。コストを考えなければ初心者から中級者までオススメできるラバーといえるでしょう。

おすすめラケット組み合わせ

 メーカー推奨の組み合わせも掲載されるようになりました。こちらも掲載していこうと思います。以下全てButterflyさんホームページより引用させていただきました。まずテナジーFX系を並べてみました。

Butterflyさんのホームページより引用させていただきました!

https://www.butterfly.co.jp/product/tenergy/
Tenergy 05 FX(テナジー05FX)
 ・Timo Boll ZLF(ティモボルZLF)
  安定したプレーを求める選手へ
 ・Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)
  多彩な技術の習得に
 ・Maze Advance(メイスアドバンス)
  筋力に自信がない選手に
Tenergy 80 FX(テナジー80FX)
 ・Marcos Freitas ALC(フレイタスALC)
  バランスの取れた広い領域でのプレーに
 ・Timo Boll CAF(ティモボルCAF)
  威力を追求するオールラウンドプレーに
Tenergy 25 FX(テナジー25FX)
 ・Timo Boll ZLC(ティモボルZLC)
  相手のプレーを利用したい選手へ
Tenergy 64 FX(テナジー64FX)
 ・Timo Boll TJ(ティモボルTJ)
  トップを目指すジュニア選手へ
 ・Maze Advance(メイスアドバンス)
  初めてテナジーを使う選手へ

 基本的には、初心者や中級者向けのフレーズが多いように感じました。唯一、テナジー25FXのみがティモボルZLCとの組み合わせが提案されているだけで、基本的には非常に扱いやすいラケットとの組み合わせが多い印象です。個人的には威力よりも扱いやすさ、卓球の楽しさを感じてほしい、というメーカー側の意図を感じます。ただし、初心者でテナジーは家計簿泣かせです。娘がそうしたいというなら協力しますが。。。汗
 もうすぐ4月になり、ステップアップや新しい環境で気持ちを新たにテナジーに挑戦しようと思うのであれば上述のようにテナジーFX系と組み合わせていくことは一つオススメといえるでしょう。

Tenergy 05 Hard(テナジー05ハード)
katsuo000のレビュー↓
  https://katsuo000.com/review_tenergy_05_hard/
 ・Viscaria(ビスカリア)
  オールラウンドなパワープレーに
 ・Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)
  回転を重視した前中陣でのプレーに
 ・SK7 Classic(SK7クラシック)
  木材合板ラケットを好むパワーヒッターへ
Tenergy 05(テナジー05)
katsuo000のレビュー↓
  https://katsuo000.com/review_tenergy_05/
 ・Zhang Jike ALC(張継科ALC)
  死角のないオールラウンドプレーに
 ・Harimoto Tomokazu Inner Force ZLC(張本智和インナーフォースZLC)
  打球の回転を重視する攻撃的なプレーに
 ・Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)
  打球の回転と安定性を求める選手へ
Tenergy 19(テナジー19)
katsuo000のレビュー↓
  https://katsuo000.com/review_tenergy_19/
 ・Lin Yun-Ju Super ZLC(林昀儒Super ZLC)
  スピードとスピンをともに追求
 ・Inner Force Layer ZLC(インナーフォースレイヤーZLC)
  回転重視のパワフルなプレーを
 ・Timo Boll ALC(ティモボルALC)
  威力を追求するオールラウンドプレーに
Tenergy 80(テナジー80)
 ・Mizutani Jun ZLC(水谷隼ZLC)
  テクニカルなプレーを目指す選手へ
 ・Tiago Apolonia ZLC(アポロニアZLC)
  堅実なプレーを目指す選手へ
 ・Inner Shield Layer ZLF(インナーシールドレイヤーZLF)
  オールラウンドなカットプレーに
Tenergy 25(テナジー25)
 ・Mizutani Jun Super ZLC(水谷隼Super ZLC)
  相手のプレーを利用したい選手へ
 ・Inner Force Layer ALC.S(インナーフォースレイヤーALC.S)
  前陣で回転を駆使する選手へ
Tenergy 64(テナジー64)
 ・Matsudaira Kenta ALC(松平健太ALC)
  前陣でのスピーディーなプレーに
 ・Inner Force Layer ZLF(インナーフォースレイヤーZLF)
  フラットな打法を多用する選手へ
 ・Petr Korbel(コルベル)
  回転をかける感覚を身につけたい選手へ

 テナジー全体でみると、テナジー64は初中級者へ、テナジー25は弾むアウターSuper ZLCとの組み合わせ、テナジー80やテナジー05が中上級者へ、テナジー05ハードやテナジー19が上級者やトップ選手へオススメといった印象です。テナジー25と水谷隼Super ZLCの組み合わせは、2021年に始まった話ではなく、前々からButterflyさんは提案している印象です。結構気になる組み合わせですね。

Tenergy 05 FXの重量と貼り

 テナジー05FXのラバー重量は約46 gでした。テナジー05(48 g)よりも軽いですね。全体的に高性能で軽量なラバーが多いのが、Butterflyさんの特徴で、今回もやはり軽くて品質が高いことがわかります。

Tenergy 05 FX(テナジー05FX)
 High Tension(ハイテンション)裏ラバー
・スポンジ厚:厚(1.9 mm)、特厚(2.1 mm)
・スピン:11.5
・スピード:13.0
・Sponge硬度:32
・オープン価格(8,900円 + 税)
・66 g(切断前) → 46 g(林高遠ALCに貼って)

Tenergy 05 FXの3つの特徴

バックハンドに持ってこい!

 柔らかいので、とにかくバックハンドに持って来いでした!3球目のバックハンドスピードドライブが非常に打ちやすかったです!回転でしっかり弧線も描けるので、非常に安心してスイングできると感じました。またインパクト不足になりやすいバックハンドでもしっかり球をもって回転をかけることもできるので中陣や後陣下がっても負けない卓球ができると感じました。

柔らかいのにストップも止まるしカウンターもしやすい!

 ストップもカウンターも非常に良かったです。カウンタードライブがやりやすいのは驚きました。やはりシートの形状による球持ちのおかげだと思います。この性能なら粘る卓球もしやすいと思います!

FXだけで意外と硬い!

 FXということで柔らかさを感じはしますが、シートの形状の影響で思ったより硬さを感じました。扱いやすいのに硬さも感じるので、ドライブも威力が出しやすいのだと思いました。この硬さは現代的な卓球にマッチした性能であると感じました。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

ブロック

カウンタードライブ
 やりやすいです。相手の回転の影響を受ける前に上書きできる感じを感じました。これは高性能ですね。

ストップ
 止めやすいです。ただ回転をかけようとすると弾いてしまいました。

ツッツキ
 テナジー05と比較すると少し回転をかけにくいです。

フリック

サービス

バックハンド系

軽打
 軽打でテナジー05と差をあまり感じませんでした。 

ラリーでのドライブ
 ドライブがやりやすかったです。ボールもそろえやすく、非常に安定感を感じました。威力はそこまで高くないと思います。

対下回転に対するループドライブ
 やりやすかったです。少しすっぽ抜ける感じもあり、回転量もテナジー05と比較すると低いと感じましたが、とにかく持ち上げやすいのでとっさでもドライブできると感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 これはかなり良かったです。インパクトはそこまでいらないし、前陣バックハンドからのスピードドライブって相手は予想しづらいのでかなり得点を取りに行きやすいと感じました。

ブロック
 回転の影響は受けると感じました。特にkatsuo000はバックハンドは硬めのラバーの方がブロックしやすいと感じる方なので、やや難しいと感じました。重いボールに対し影響をもろに受ける印象です。

カウンタードライブ
 どちらかというとミートの方がやりやすかったです。

ストップ
 やりやすかったです。

ツッツキ
 柔らかい分、はじきやすいので回転は、テナジー05の方がやかけやすいです。

チキータ
 簡単にあがるので非常に好感触でした。威力は少ないかもしれませんが前陣で横回転を入れるなどすると相手は嫌だと思います。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 テナジー80 > テナジー05 FX > Evolution MX-P

スピード
 Evolution MX-P > テナジー05 FX > Fastarc G-1

扱いやすさ
 Rasanter R48 ≧ テナジー05FX > テナジー19

https://amzn.to/3qHp9zO

レビュー Tenergy 19(テナジー19)

説明

 2021年春の新商品目玉の一つ、Butterfly(Tamasu)さんのTenergy 19(テナジー19)をレビューさせていただきます。今更ではありますが、改めてテナジー05について書かせていただきます。

 世界標準Tenergy 05(テナジー05)の発売は今をさかのぼること、約13年前、2008年4月になります。有機溶剤による後加工の禁止もあいまって未だに10年以上経過した2021年現在もワールドスタンダードの名前をほしいままにするテナジー05は卓球のことを考えるにあたり、なしでは語れない存在となってしまいました。全日本選手権のランカーは男女問わずテナジー05を使う選手が複数名いるのが当たり前になり競合他社はテナジー05に追いつけ、追い越せと新商品開発することが当たり前になりました。現時点でkatsuo000が思うテナジー05を意識したラバーは、打球感の似たEvolution MX-P(エヴォリューションMX-P、TIBHAR)やTarget Pro GT-H47(ターゲットプロGT-H47、cornilleau)回転性能の似たRasanter R48(ラザンターR48、andro)、打球感も回転性能も近いDynaryz AGC(ダイナライズAGC、joola)などだと思います。また木材合板系ラケットと相性が良く回転性能が似ていて、カウンター性能はテナジー05を上回るといえるQ5(キューファイブ、mizuno)やテナジー以上の回転性能を感じさせるRasanter R53(ラザンターR53、andro)などなどテナジー05を超えると感じさせるラバーまでもが登場するようになりました。
 これに対しバタフライは、2017年4月にテナジーの廉価版であるRozena(ロゼナ)を、2018年11月にテナジー05をより硬くしたTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)を、2019年4月にテナジー超えるラバーとしてDignics 05(ディグニクス05)を発売しました。そしてテナジーからディグニクスへの移行も見えつつあった2021年3月改めて新テナジー、テナジー19が販売となりました。このテナジー19の公表性能値はなんとテナジー05以上のスピンとスピード性能を持つラバーということで、情報発信後、SNSやYou tubeで一気に話題になりましたね。改めてテナジーの新製品を出してきたバタフライさんはどんな戦略や顧客ニーズを予想してテナジー19の販売を決めたのか。その真意はわかりませんが、ここにきて改めて新しいテナジーということで有名You Tuber各位がこぞって試打動画をあげています。katsuo000は全く無名ですし、本レビューを投稿したときには既に後発のレビューとなると思いますが、katso000が感じたことを改めて発信したく、そういった内容含めて楽しんでいただければ幸いです。

トップシート

 テナジーはトップシートに採用している粒形状によって、それぞれのラバーの特徴がわかれます。現在までにシート形状の違いによって05、80、64、25と4種類、スポンジ硬度の硬さで2種類の4×2種類が存在します。またトップ選手の使用率の高くTenegy 05(テナジー05)の特徴をさらに際立たせるためにスポンジをさらに硬くしたTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)も入れると、テナジーは9種類が存在します。それぞれのトップシートにはそれぞれキーフレーズが付されて販売されており、「回転の05」「バランスの80」「スピードの64」「前陣の25」と言われています。そして10種類目となるテナジー19のトップシートには、「パワーの19」というキーフレーズを冠されて発売されました。このテナジー19のトップシートには、「ツブ間隔の狭い”開発コードNo.219″を採用」していて、スピードと回転の両立とテナジーの中でも特にボールをつかむ感覚のあるラバーということです。ディグニクスを含めて、Butterflyさんのトップシートは以下の種類が存在することになると思います。
 No. 051.7 mmの粒間隔が狭い回転性能が高い。
 No. 252.65 mm粒の高さが低い台上プレーやカウンターがやりやすい。
 No. 641.7 mmの粒間隔が広いスピード性能が高い。
 No. 1801.7 mmの粒間隔が中間回転もスピードもバランスが取れている。
 No. 2091.5 mm粒の高さが低い粘着力と弾みを高次元に両立する。
 No. 2191.5 mmの粒間隔が狭いボールをよくつかみパワーを出しやすい。
トップシートは既に200番を超え、それだけの粒形状について検討してきたことがわかりますね。上記には粒について言及していますが、粒形状には、粒の高さ、粒の太さ、粒の間隔の3つの因子があり、それらを、おそらく粒の太さだけでも0.01 mm~3.00 mm位(これだけでも300種類)でふっているんでしょうか。粒の高さ、感覚のコンビネーションがいくつあるかわかりませんが、1000種類くらいありそうですね。細かくふるよりも狙いを定めたり量産技術を考慮して狙いを定めて開発しているのだと思います。こういった検討、理系卓人のkatsuo000も是非やりたいですね~。楽しそうだなーと思ってしまいました。(苦笑)

公表性能値

 Butterfly(バタフライ)さんの公表性能値を示します。

 やはりテナジー19の注目ポイントは、テナジー05を超える性能で数値がついていることだと思います。世界標準テナジー05よりも回転もスピードも上というのは驚異的なラバーだと思いますね。

やりやすい技術

 Butterflyさんホームページ上には、各テナジーのやりやすい技術についてレーダーチャートが掲載されています。各技術のやりやすさを、モノサシで測り、その数値を下記図にしてみました。項目は
 ・ループドライブのかけやすさ
 ・スピードドライブの打ちやすさ
 ・カウンタードライブのやるやすさ
 ・台上プレーのやりやすさ
 ・ブロックのしやすさ
 ・スマッシュのしやすさ

の6つになります。個人的に重要な項目はループドライブ、スピードドライブ、台上プレー、ブロック、カウンタードライブになります。スマッシュも粘着ラバーでなければ慣れで打てるでしょう。

 このチャートを見ると、テナジー19は、テナジー05よりもドライブやブロックでやりにくさがあるように見えますね。公表性能値は高い一方で、質の高いドライブという点では、テナジー05より劣るということなのかもしれません。

おすすめラケット組み合わせ

 メーカー推奨の組み合わせも掲載されるようになりました。こちらも掲載していこうと思います。以下全てButterflyさんホームページより引用させていただきました。

Tenergy 19(テナジー19)
 ・Lin Yun-Ju Super ZLC(林昀儒Super ZLC)
  スピードとスピンをともに追求
 ・Inner Force Layer ZLC(インナーフォースレイヤーZLC)
  回転重視のパワフルなプレーを
 ・Timo Boll ALC(ティモボルALC)
  威力を追求するオールラウンドプレーに

 非常に球持ちの良いテナジー19は、ZLC系のラケットや、アウターALCの中でも威力が出しやすく先端重心のティモボルALCとの組み合わせが提案されています。確かに打感が柔らかいので、ハードなアウターSuper ZLCとの組み合わせは、バランスが取れそうに感じますね。あとはアウターZLC、Timo Boll ZLC(ティモボルZLC)やZhang Jike ZLC(張継科ZLC)にもあうと思います。2021年新発売の新ラケットを推したような気もします。

試打前の前情報 from You tube

 情報がネット上に発信されたときの性能としては、テナジー05とDignics 05(ディグニクス05)の間に位置するラバーという情報も発信がされていて、非常に高い注目をあびています。試打動画を拝見する限り、どちらかといえばフォアよりバック向きとする意見が散見するとともに、テナジー05よりも打球感的に回転量が低いとする意見も拝聴しました。そのあたりについてkatsuo000の言葉でレビューしていきたいと思います。

 既に閲覧可能なYou tube動画のテナジー19の試打動画から、テナジー19について簡単にまとめると以下のような内容になるかと思います。
 打球感 柔らかい テナジー19 < テナジー05 硬い
 弧線 強い テナジー19 > テナジー05 直線的
 回転のかけやすさ かけやすい テナジー19 > テナジー05 かけにくい
 最大回転量 強い テナジー05 > テナジー19 弱い
これらの点をふまえつつ、katsuo000もレビューしていきたいと思います。

Tenergy 19の重量と貼り

 テナジー19のラバー重量は約47 gでした。テナジー05(48 g)よりもやや軽いですね。全体的に高性能で軽量なラバーが多いのが、Butterflyさんの特徴で、今回もやはり軽くて品質が高いことがわかりますね!

Tenergy 19(テナジー19)
 High Tension(ハイテンション)裏ラバー
・スポンジ厚:厚(1.9 mm)、特厚(2.1 mm)
・スピン:11.7
・スピード:13.2
・Sponge硬度:36
・オープン価格(8,900円 + 税)
・70 g(切断前) → 47 g(林高遠ALCに貼って)

 なおkatsuo000は気づきませんでしたが、テナジーの表記も変わりました。↓はテナジー05です。

Tenergy 19の3つの特徴

 正直、いい意味で裏切られたラバーでした。特にフォアで使ったときの印象がかなり良かったです。柔らかいのにストップが止まってカウンターもしやすいって、かなりチートな気がしました。この無二な感じはまさに世界をけん引するButterfly Quality(バタフライクオリティー)ですね!確かに回転量は若干不満を感じましたが、スピード系ラバーに良く感じられるオーバーミスしてしまう不安感、回転でボールが沈まない感じは感じず自信をもって前へスイングできるラバーでした!

3球目を多少強引にパワードライブしやすい!

 非常にくいこみが良いので、ボールの回転量を気にせずにスイングスピードとパワーで強打しやすかったです。現在学生の方はわからないかもしれませんが、有機溶剤を塗ったラバーで3球目強打しているような感覚があってスピードドライブ(パワードライブ)で強引に打ち込んでゆく戦術ができてしまうラバーだと感じて非常に気持ちよかったですね!また上述のとおり、回転がかかるのでスピードドライブもしっかり沈んで台に入る安心感がありました!この感じがテナジー64やディグニクス64にはないように感じましたね。

柔らかいのにストップがビタどまり!でカウンターもしやすい!

 ストップもカウンターも非常に良かったです。柔らかいと感じるラバーはストップやカウンターで相手の回転の影響を受けやすい傾向にあるのですが、むしろこのテナジー19はストップがピタどまりでカウンターもやりやすくて驚きました!さすがテナジーですね!

上回転ラリーで、弧線がエグイ!

 くい込みの良いNo. 219のシートを採用したことで、扱いやすさにくわえ弾道がエグくなったと感じました!非常に強い弧線を描き、相手のコートに入ったあと、まるでDignics 09C(ディグニクス09C)やDignics 05(ディグニクス05)のようにボールが跳ね上がる感じがありました!これはテナジー05でもたまに出るのですが、相当体勢の良い状態で打球しないと難しいと思います。一方テナジー19ならかなり容易にこの弾道が出せて非常に好感触でした。ただスピードがあるというわけではなく、強い弧線と跳ね上がる弾道は、新しいテナジー19の3つ目の特徴だと感じました!

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 特に軽打で差は感じませんでした。やはり柔らかさは感じます。

ラリーでのドライブ
 ラリーで打つスピ―ド系ドライブはそこまで良いとは感じませんでした。いたって普通と印象です。ただしスマッシュやミートでも簡単に飛距離が出てしかも安定する感じもあって、このあたりがテナジー19の特徴だと感じましたね。スマッシュやミートもパワーで運べる感じです。この感覚が3球目の打ちやすさへのインスピレーションにつながったように感じます。

面を開いたドライブ
 面を開いてのスピードドライブは上述のとおりかなり良かったです。加えて多少巻き込んでもスピードドライブできそうなくらい強引にもっていける感じがあって良かったですね!

対下回転に対するループドライブ
 ハーフロングの難しいボールですら質の高いループドライブにしやすい感じがありました。ただ回転量で攻めるというよりはとにかくパワーでねじ込む(自分のイメージの弧線をスイングで作り出して、その通りに持っていける感じ)がやりやすかったです。

対下回転に対するスピードドライブ
 これが最もよかったです。テナジーということで、テナジー05以上の回転性能といいつつも、シートでかけた際の打球感からくる回転量は少し弱さも感じ、普段使うディグニクス05と比較するとどうしても回転量に不満を感じるのは否めませんでしたが、このスピードパワードライブのためにテナジー19を使おうか迷っている状況です。

ブロック
 柔らかい打球感ですが、そこまで相手の回転の影響をうけやすいとは感じませんでした。特にTenergy 05 FX(テナジー05FX)のように柔らかいテナジーは非常に相手の回転の影響を受けやすいと感じますが、そういったことはなかったと感じました。

カウンタードライブ
 やりやすいです。ボールがしっかり沈む感じがありました。安心してカウンタードライブできると感じました。

ストップ
 止めやすいです。ただ回転をかけようとすると思ったより弾いてしまいました。このあたりは腕でしょう。

ツッツキ
 やはりテナジー05やディグニクス05の方が回転量は多いと感じました。

フリック
 あつかいやすいラバーなので乗せ打ち系の打ち方が安定していました。回転でももちろん安定すると思います。

サービス
 ディグニクス05などのようにぶつけるように回転をかけることで回転量の高いサーブを出ました。出しにくいといったことは感じませんでしたね。

バックハンド系

軽打
 軽打で特に違和感はありませんでした。 

ラリーでのドライブ
 ドライブもやりやすかったです。しかし少しボールの質は低いと感じました。

対下回転に対するループドライブ
 やりやすかったです。非常にグリップするので簡単に持ち上がりました。その分質は少し低いかもしれません。

対下回転に対するスピードドライブ

ブロック
 やりやすかったです。回転の影響は受けにくいと思います。

カウンタードライブ
 カウンターというよりもカウンターミートがしやすかったですね。

ストップ
 やりやすかったです。

ツッツキ
 少しぶっ飛んでしまいました。テナジー05の方がやりやすいと感じてしまいました。

チキータ
 簡単にあがるので非常に好感触でした。VICTAS(ヴィクタス)Triple Double Extra(トリプルダブルエキストラ)に近いやりやすさがあったように思います。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 テナジー05 > テナジー19 > テナジー80

スピード
 テナジー80 > テナジー19 > テナジー05

食い込ませたときのスピードドライブのやりやすさ
 テナジー19 > ディグニクス09C > ディグニクス05

フォアカウンタードライブのやりやすさ
 ディグニクス05 > テナジー19 > テナジー05

https://amzn.to/3bfK4p5

レビュー Vega Tour(ヴェガツアー)

説明

 韓国の卓球メーカーXIOM(エクシオン)は、コスパの良いVega(ヴェガ)シリーズと、ハイエンドモデルのOmega(オメガ)シリーズの大きく2種類のラバーシリーズが有名ですね。実はラケットでも存在感が出てきてると感じます。これぞ、まさに王道といえる、5枚合板ALLROUND S(オールラウンドS、5,000円+税)、7枚合板EXTREME S(エクストリームS、5,200円+税)、アウターカーボンStradivarius(ストラディヴァリウス、9,000円+税)、とどれもコスパ良をそろえながら、他メーカーにない、Ice Cream AZX(アイスクリームAZX)、Ice Cream AZXi(アイスクリームAZXi)などを販売しています。
 そしてブラジルのハードヒッター、Hugo Calderano(ウーゴカルデラノ)選手がXIOMと契約し、用具変更後も順調にワールドツアーランキングを一桁まで上げました!カルデラノ選手が使用しているHugo Hyper Axylium(ウーゴハイパーアクシリウム)とOmega VII Tour(オメガ7ツアー)も人気急上昇ですね。また、韓国の鉄壁のブロックとチキータのJeoung Youngsik(鄭栄植)選手もIce Cream AZXi(アイスクリームAZXi)とOmega VII Pro(オメガ7プロ)を使用中になります。

 本ページでレビューするのはVega Tour(ヴェガツアー)になります。ヴェガシリーズの最高峰としてツアーがついたラバーになりますね。このヴェガツアーは、最新のヴェガであるVega X(ヴェガX)と同じく、ERASTO FUTURAラバーになり、CYCLOID(サイクロイド)、DYNAMIC FRICTION(ダイナミックフリクション)、CARBO SPONFE(カーボスポンジ)の技術を採用されています。それ以前のOmega V(オメガ5)シリーズやヴェガシリーズとは一線を画すラバーだと思います。エクシオンのラバー、その技術について言及してみます。

・MAX AT 4
 公式ルールの範囲内で、最大限のテンションをかける技術。

・ELASTO FUTURA
 オメガVIIシリーズ、ヴェガツアー、ヴェガXに搭載されている総合技術。「CYCLOID」、「DYNAMIC FRICTION」、「CARBO SPONGE」の3つの特別なチューニングを1枚のラバーに集約し、繊細なボールタッチ、他に類を見ないほどのグリップ力、画期的な弾力性を実現する技術。

・DYNAMIC FRICTION(DF)
 雪の上でも十分な摩擦力を発揮するスノータイヤから生まれたラバーの表面加工技術。表面が滑りやすいプラスティックボールを、しっかりつかみ、より多くの回転エネルギーを作り出す技術。

・CYCLOID
 プレーヤーの確率を高め、ボールの弧線がナチュラルに高く、ブロックでのネットミスを減らし、相手のコートへボールが最大限深く入る技術で、回転量と飛距離の比率を精緻に計算された設計により、高いスピードと力強いエネルギーをドライブに伝える技術。

・CARBO SPONGE
 スポンジにカーボン粒子を配合する技術。ボールをしっかりつかむ力とカタパルト効果でトップシートと相互作用できる技術。

・HYPER ELASTO
 2008年に禁止になったスピードグルーの効果の、代替とすべく開発された技術。スピードグルーなしで使ったような打球感、打球音、飛距離、回転力を実現する技術。加速性能を上げた「IMB」、弧線の高さを追及した「CST」などのバリエーションがある。

・TENSOR
 XIOMが開発した、スピードグルーと同様の、テンション効果を持たせる技術。ゴム分子の構造をピンと張りつめた状態にし、それを半永久的にキープする技術。「TENSOR」ラバーなら、余計な労力を使うことなく、楽にスピードが乗ってスピンの効いたボールを繰り出すことができる。この技術をベースに独自の考察とアレンジを加え、「HYPER ELASTO」技術を完成させた。

・BIOS
 「TENSOR」と同じく、XIOMが開発したクリーンなラバー製造技術。製造過程で、環境に悪影響を与える物質や発がん性物質などが発生したり配合されたりしない技術。「BIOS」ラバーは有害物質を徹底的に排除、製造に携わるスタッフからラバーを使うプレーヤーに至るまで誰一人として環境面、健康面で心配なく安心して使うことができる。ハイパフォーマンスでクリーンなラバーの象徴。

 Vega X(ヴェガX)、Vega Tour(ヴェガツアー)、そしてOmega VII(オメガ7)シリーズは全て同じ技術シンボル、ELASTO FUTURA搭載のラバーになりどのラバーもカーボスポンジとダイナミックフリクションですので、スポンジは黒く、シートはダイナミックフリクション(DF)仕様のシートでグリップ力のあるラバーになります。
 今回レビューするヴェガツアーはOmega VII(オメガ7)シリーズの後に販売されたラバーになります。基本的にXIOM(エクシオン)さんのラバーは、以下のようなイメージで問題ないと思います。
 Pro(プロ):シリーズのベースとなるようなラバー。
 Euro(ユーロ):柔らかくて扱いやすい。
 Asia(アジア):プロよりもやや硬く、回転重視。
 Tour(ツアー):トップ選手も満足する、シリーズの最も高性能かつ扱いの難しいラバー。
 ヴェガツアーに関して、注目すべきはやはりコスパでしょう!オメガ7シリーズが全て定価7,000円+税に対し、同じ技術であるにもかかわらず、ヴェガツアーは4,500円+税と約3分の2の値段になりますね。卓球ショップでは割引もありますので、3,000円台でしょう。それではヴェガXとの違い含め、レビューしていきたいと思います。

 ヴェガツアーについて、パンフレット上で次のように説明されています。

キング・オブ・ヴェガ降臨
 従来のヴェガの殻を破り、性能的に突き抜けた存在として登場したシリーズ旗艦製品・ヴェガツアー。最大の特徴は、XIOM最高峰のオメガVIIシリーズで採用されたサイクロイド技術が搭載されていることた。薄くてしなやかなトップシートはプレーヤーの感覚を研ぎ澄まし、ハイスピードかつハイスピンの上質なボールをコンスタントに創出してくれる。その中で、45度のミディアムソフトなスポンジが打球感をマイルドにしているため、従来のヴェガシリーズと同様の親しみやすさも失っていない。威厳と力強さを持ちながらも心優しきヴェガの王様、それがヴェガツアーだ。その最大の長所は、抜群の弾力性により楽にボールを飛ばせること。フォア面に使うなら、一発の威力を重視したいプレーヤーに。バック面に使うなら、ハイピッチの打ち合いで相手を押し込んでいきたいプレーヤーにおすすめできる。いずれの場合も、繊細なタッチを可能にするトップシートの恩恵で、サービスやストップ、ループドライブといった回転系テクニックにも不安はない。一定程度のコントロール技術を身につけたミドルクラスの選手がさらなる威力を求める時、ヴェガツアーはベストチョイスとなるだろう。

公表性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: OmegaVTDF.png

 ヴェガツアーは、ヴェガシリーズの中で最も高い性能のラバーです。その高い性能はVega X(ヴェガX)やOmega V Tour(オメガ5ツアー)よりも高い公表性能値になります!それでいてスポンジ硬度は、ヴェガXやオメガ5ツアーDFよりも柔らかい45度というのが特筆点になりますね。ツアーと冠されたラバーであり、スピード性能やスピン性能は、Omega VII(オメガ7)に匹敵するレベルといえるでしょう。

ヴェガツアーの貼りと重量

 今回はZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

Vega Tour(ヴェガツアー)
 ELASTO FUTURA(CYCLOID、DYNAMIC FRICTION、CARBO SPONGE)
 TENSOR(テンゾー)
 BIOS(バイオス)
・Sponge Thickness:2.0/max mm
・Speed:12.0
・Spin:12.0
・Sponge硬度:45.0°
・4,500円 + 税
・70 g(切断前) → 48 g(張継科ZLCに貼って)

 重量は意外に軽い、48 gでした!フォアにもバックにも使えるようなラバーだと思いますね。この軽量で、オメガ7シリーズに匹敵する性能というのは、嬉しいと思います。

Vega Tourの3つの特徴

これぞキングオブヴェガ!扱いやすくて高い回転性能!

 ヴェガツアーの特筆点は、45°のミディアムスポンジなのに、高性能な点になります!シートが柔らかめで扱いやすく、それでいて回転性能の高さが非常に気に入りました!回転性能は、調子よければTenergy 05(テナジー05)に匹敵するレベルだと思います。ラバーが柔らかいため弧線が高くなりやすく、柔らかいラバーなのにしっかり回転がかかる点は好印象でした。柔らかさが絶妙で、もっと柔らかいとエネルギーロスを感じると思いますし、もっと硬いとスイングスピードを要すると思います。オメガ7シリーズがスピードに特長を示すシリーズに対し、同じ技術を採用しながら回転性能に特長があるのがヴェガツアーといえると思います!
 似ているラバーはRasanter R48(ラザンターR48)ですね!最大回転量はよりくい込むR48の方が上かもしれませんがコスパとグリップ力はヴェガツアーの方が上のように感じました。

特にドライブがしやすいラバー!

 シートもスポンジも柔らかくくい込みの良いラバーでしたので、とにかくドライブがしやすいラバーでした。特にループドライブや回転強めのチキータでボールをしっかり持って薄くとらえやすく安定していてやりやすかったです。また球離れの早さや飛び出しの良さでスピードを出すぎることはなくて良かったです。一方で、少しやりにくいと個人的に感じたのがミート系の技術で、しっかりくい込むのでテナジー05のように、勝手にドライブや他の回転が、がかかってしまいやすいと感じました。この辺りは好みでしょうが、男子選手のようにドライブやチキータなど回転をかけることを主軸に考える選手のバックハンドや、ドライブをメインで考える女子選手のフォアにもあうラバーだと思いました。

他のXIOMラバーと比較するとシートが柔らかいラバー

 Vega X(ヴェガX)やOmega V Tour DF(オメガ5ツアーDF)はシートにほどこされたDYNAMIC FRICTION(ダイナミックフリクション)技術でシートが硬いけどボールをグリップする感じでしたが、ヴェガツアーは、ダイナミックフリクションがありながら、シートも柔らかく、スポンジもくい込みが良いラバーでした。この柔らかさが高い扱いやすさとコントロール性能を生み出していると感じました。それでいて、回転性能はヴェガXやオメガ5ツアーDFと同等以上の回転性能になる点が非常に気に入りました。ヴェガXやオメガ5ツアーDFの方が、弧線は低くスマッシュやスピードドライブの威力やスピードは高くなりやすいラバーではありましたが、主にバックで使用するとヴェガツアーの方が扱いやすさと回転性能に安心感のあるラバーでした!

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 フォアに使用すると少し柔らかさが目立つように感じました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 安定感とスピン性能は高いものの、Dignics 05(ディグニクス05)と比較すると、スピード不足は否めませんでした。柔らかいのでコースコントロールは良いのですが、フォアでは柔らかすぎる気がします。

面を開いたドライブ
 柔らかいので少しスピード不足を感じました。エネルギーロスを感じますね。

対下回転に対するループドライブ
 非常に強い球持ちを感じました。柔らかい分弧線も高いと思います。ただし、フォアならもっと硬い方が強い回転量を得られると思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 柔らかいので打ちやすかったです。回転量は少ないと思います。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 少し回転の影響を受けやすかったです。この辺は慣れが必要ですね。

カウンタードライブ
 
やはり回転の影響を受けやすいですね。テナジー05でカウンタードライブするように弧線が高くなることをイメージして打った方が安定すると思います。ヴェガXはたまにスリップしているときがあったと思いますが、ヴェガツアーはやわらかいですが滑りは少ないと思いました。

ストップ
 止まりやすかったです。シートが強いので、ラバー全体で柔らかいとはいえ、ストップしやすくいいラバーですね!

ツッツキ
 滑ることもなく、良かったです。少し飛び出してしまう感じはあり、オメガ5ツアーDFの方が切りやすいと思います。

フォアフリック

フォアサーブ
 回転をかけやすかったです。縦切り系よりしっかりくい込ませた方が回転はかかると思います。

バックハンド系

軽打
 しっかり球をもって好感触でした。

ロングボールやラリーでのドライブ
 上回転のラリーでもループドライブのようなドライブがやりやすかったです。ゆっくり山なりのボールが打ちやすかったです。なれればスピードも出せると思います。

対下回転に対するループドライブ
 オメガ5ツアーDFと比較しても同じかそれ以上やりやすかったです。

対下回転に対するスピードドライブ
 柔らかいのでやりやすかったです。

カーブ/シュートドライブ
 ヴェガXなみに曲がる印象です。横回転を入れることで手元での変化でミスを誘えると思います。

ブロック
 やはり回転の影響は受けやすかったです。スマッシュ系、ナックル系のボールに対してはくい込む分やりやすいと思います。

カウンタードライブ
 難しかったです。技術不足ですね。

ストップ
 柔らかいわりにはやりやすかったです。

ツッツキ
 切るというよりは流れるような早いツッツキが好感触でした。

チキータ
 弧線を作りやすくやりやすかったです。横回転も入りやすくて良かったです。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Tenergy 05 ≧ Vega X ≧ Vega Tour ≧ Omega V Tour DF > Tenergy 80 FX

回転のかけやすさ
 Tenergy 05 FX > Vega Tour > Vega X

スピード
 Vega X > Vega Tour > Hurricane NEO III

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レビュー Omega V Tour DF(オメガ5ツアーDF)

説明

 韓国の卓球メーカーXIOM(エクシオン)は、コスパの良いVega(ヴェガ)シリーズと、ハイエンドモデルのOmega(オメガ)シリーズの大きく2種類のラバーシリーズが有名です。ラケットも他メーカーにない、Ice Cream(アイスクリーム)などのラケットを販売していますね。ハイエンドラバーシリーズのOmega(オメガ)シリーズは現在V(ファイブ)とVII(セブン)の2シリーズがメインになります。ブラジルのハードヒッター、Hugo Calderano(ウーゴカルデラノ)選手がXIOMと契約し、用具変更後も順調にワールドツアーランキングを一桁まで上げました!カルデラノ選手が使用しているHugo Hyper Axylium(ウーゴハイパーアクシリウム)とOmega VII Tour(オメガ7ツアー)も人気急上昇ですね。また、韓国の鉄壁のブロックとチキータのJeoung Youngsik(鄭栄植)選手もIce Cream AZXi(アイスクリームAZXi)とOmega VII Pro(オメガ7プロ)を使用中になります。

 本ページでレビューするOmega V Tour DF(オメガ5ツアーディーエフ)は、Omega V(オメガ5)シリーズのラバーになります。オメガ5シリーズのコンセプトはボールを確実に持つグリップ力、ボールをしっかり持って、強い弧線と回転量に特徴のあるシリーズになるそうです。オメガ5シリーズは全て定価5,200円+税ですが、割引されればヴェガシリーズと同じ3,000円台で購入可能になるラバーです。ハイエンドモデルでありながら非常にコスパの良いシリーズといえるでしょう。オメガ5シリーズはパンフレット上は4種類存在し、今回レビューするツアーDFに加え、Omega V Pro(オメガ5プロ)、柔らかいOmega V Euro DF(オメガ5ユーロDF)、シリーズ最高硬度のOmega V Asia DF(オメガ5アジアDF) が販売されています。DF含め、エクシオンのラバー、その技術について言及してみます。

・MAX AT 4
 公式ルールの範囲内で、最大限のテンションをかける技術。

・ELASTO FUTURA
 オメガVIIシリーズ、ヴェガツアー、ヴェガXに搭載されている総合技術。「CYCLOID」、「DYNAMIC FRICTION」、「CARBO SPONGE」の3つの特別なチューニングを1枚のラバーに集約し、繊細なボールタッチ、他に類を見ないほどのグリップ力、画期的な弾力性を実現する技術。

・DYNAMIC FRICTION(DF)
 雪の上でも十分な摩擦力を発揮するスノータイヤから生まれたラバーの表面加工技術。表面が滑りやすいプラスティックボールを、しっかりつかみ、より多くの回転エネルギーを作り出す技術。

・CYCLOID
 プレーヤーの確率を高め、ボールの弧線がナチュラルに高く、ブロックでのネットミスを減らし、相手のコートへボールが最大限深く入る技術で、回転量と飛距離の比率を精緻に計算された設計により、高いスピードと力強いエネルギーをドライブに伝える技術。

・CARBO SPONGE
 スポンジにカーボン粒子を配合する技術。ボールをしっかりつかむ力とカタパルト効果でトップシートと相互作用できる技術。

・HYPER ELASTO
 2008年に禁止になったスピードグルーの効果の、代替とすべく開発された技術。スピードグルーなしで使ったような打球感、打球音、飛距離、回転力を実現する技術。加速性能を上げた「IMB」、弧線の高さを追及した「CST」などのバリエーションがある。

・TENSOR
 XIOMが開発した、スピードグルーと同様の、テンション効果を持たせる技術。ゴム分子の構造をピンと張りつめた状態にし、それを半永久的にキープする技術。「TENSOR」ラバーなら、余計な労力を使うことなく、楽にスピードが乗ってスピンの効いたボールを繰り出すことができる。この技術をベースに独自の考察とアレンジを加え、「HYPER ELASTO」技術を完成させた。

・BIOS
 「TENSOR」と同じく、XIOMが開発したクリーンなラバー製造技術。製造過程で、環境に悪影響を与える物質や発がん性物質などが発生したり配合されたりしない技術。「BIOS」ラバーは有害物質を徹底的に排除、製造に携わるスタッフからラバーを使うプレーヤーに至るまで誰一人として環境面、健康面で心配なく安心して使うことができる。ハイパフォーマンスでクリーンなラバーの象徴。

 Vega X(ヴェガX)、Vega Tour(ヴェガツアー)、そしてOmega VII(オメガ7)シリーズは全て同じ技術シンボル、ELASTO FUTURA搭載のラバーになりどのラバーもカーボスポンジとダイナミックフリクションですので、スポンジは黒く、シートはダイナミックフリクション(DF)仕様のシートでグリップ力のあるラバーになります。今回レビューするオメガVツアーDFも、DF(ダイナミックフリクション)搭載のラバーですね。オメガ5シリーズは、販売当時はDF採用ではなかったラバーです。その後、プラスティックボール対応の、DF(ダイナミックフリクション)の名前が冠されて販売されたようですね。
 基本的にXIOM(エクシオン)さんのラバーは、以下のようなイメージで問題ないと思います。
 Pro(プロ):シリーズのベースとなるようなラバー。
 Euro(ユーロ):柔らかくて扱いやすい。
 Asia(アジア):プロよりもやや硬く、回転重視。
 Tour(ツアー):トップ選手も満足する、シリーズの最も高性能かつ扱いの難しいラバー。

 オメガ5ツアーDFについて、パンフレット上で次のように説明されています。

硬派で堅牢なプレーの相棒
 プラスチックボールのために最適化されたトップシートとスポンジが、いかなる局面においても確実にボールをグリップする。低い粒が密集した形のシート構造は、ガッチリした打球感と激烈なスピンボールを創出。相手ボールの威力に負けない堅牢な強さを持ちながら、弾力性のあるスポンジの効能で飛距離も出せる。間違いのないプレーと力強さ―硬派な卓球を目指すあなたのフォア面ラバーとして活躍するのが、オメガVツアーDFだ。

公表性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 7Pro.png
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 7Pro_V-X_V-T.png

 オメガ5ツアーDFは、オメガ5シリーズの中でも高い性能のラバーです。しかしながら、よりスポンジ硬度の硬いオメガ5アジアDFの方が性能が高いというのが特筆点になりますかね。それでもオメガ5ツアーDFはヴェガツアー以外のラバーよりも性能は高いですね。ツアーと冠されたラバーですので、非常にバランスが良く性能の低さや滑りなどは感じませんでした。現在集中的にXIOM(エクシオン)さんのラバーを試打していますが、ゆくゆくはまとめたいと思っていますね。総評はヴェガツアーのレビュー後に改めて書かせていただきますので、よろしくお願いします。
 またオメガ5ツアーDFは2020年に卓球王国のゆうさんらに、用具試打という形で試打されています。非常に高評価で、弧線の高さ、高い回転量に絶賛されていました。この点について確認したく、非常に楽しみな試打でありました。動画↓

オメガ5ツアーDFの貼りと重量

 今回よりZhang Jike ALC(張継科ALC)に貼っています。

Omega V Tour DF(オメガ5ツアーDF)
 HYPER ELASTO(ハイパーエラスト)
 TENSOR(テンゾー)
 BIOS(バイオス)
 DYNAMIC FRICTION(ダイナミックフリクション)
・Sponge Thickness:2.0/max mm
・Speed:11.0
・Spin:11.8
・Sponge硬度:47.5°
・5,200円 + 税
・72 g(切断前) → 51 g(張継科ALCに貼って)

 重量は案の定の50 gオーバーでしたが、オメガ5ツアーDFは打感が軽かったですね。あらためてXIOMさんのオメガ7シリーズはヘビーで粘着ラバーのようなマッドな打球感が特徴のように感じます。一方で、同じELASTO FUTURA採用ではあるものの、Vega Tour(ヴェガツアー)、Vega X(ヴェガX)はそこまでマッドではなく、癖のないラバーの印象です。そして、今回のオメガ5ツアーDFも、軽やかでライトな打感で驚きました。粘着ラバーのようなマッドさとボールの重さ、そしてスピードはオメガ7シリーズの特徴のようですね。一方でヴェガツアーやヴェガXそして、オメガ5シリーズは、多少重いようですが、Tenergy(テナジー)などのラバーと同じように、ミートもドライブも軽快さのあるラバーだと感じました。フォアにもバックにも使えるようなラバーだと思いますね。

Omega V Tour DFの3つの特徴

 卓球王国さんで取り上げられているような弧線の強さに対する感動はありませんでしたが、総評として回転量、スピードと回転のバランス、扱いやすさ、コスパと非常に良かったです!本職使用はかなり迷っていますね。Rakza X(ラクザX)のようなとにかく台に入れやすい感じがないわけではないですが少し弱く、一方でRakza X以上の回転量のボールが出しやすいのと同金額帯である点が気に入っています。ものすごい特徴があるわけではないですが、かなり良いラバーだと思います!一番合う表現だと思うのが、「グルーイングしていない高性能なスピン系テンションラバー」、だと思います。普段グルーイングしているわけではないですが、スポンジの弾力くい込みで打球するラバーではなく、シートで回転をかけ、ラケットの弾みでスピードを出すラバーだと思います。

回転性能に特徴のあるラリー思考のラバー

 オメガ5シリーズの特徴、ボールを確実に持つグリップ力、強い弧線と回転量は伊達ではないと感じました!インパクトの弱いバックハンドで使っても高い回転量を感じさせるループドライブやツッツキができて好感触でした。ただしエゲツナイ回転量というよりは安定した回転量という感じで、どちらかというと回転で飛ばしていくというよりはチョリチョリと回転でラリーをするラリー思考のラバーであると感じました。
 打球感は、シート硬めでスポンジはシートよりも少し柔らかくてくい込みやすさを感じるものの、そこまで大きなくい込みをしないラバーだと思います。シートの摩擦力で回転をかけているようなラバーで、どちらかというと粘着ラバーっぽい打感に近かった気がします。もちろんシートもスポンジもスピン系テンションラバーに近い形状ですので、粘着ラバーのようなボールが出るわけではありませんでしたが。よって、技術力がそのまま反映した回転やボールになりやすく、驚くような回転量のドライブは打てませんが手堅いドライブとミートができるマニュアル性能の高いラバーだと感じました。一方でスプリングスポンジやCYCLOID(サイクロイド)スポンジなどのように強烈な伸縮があるわけではなく、回転かけながら飛ばして回転で強く沈みこませることのできるDignics 05(ディグニクス05)と比較すると少し弧線の強さや沈み込みの強さ、回転量が物足りなく感じました(少し厳しい比較ではありますが)。
 スプリングスポンジのTenergy(テナジー)やCYCLOID(サイクロイド)のOmega VII(オメガ7)シリーズと比較すると、くい込みの良さが少ない分、非常にカウンターもしやすいラバーだったと思います。この点も特筆すべき点でした。

回転もかけやすいのに、ミートの方がやりやすい!

 ボールがグリップしやすいので、スピードドライブで弧線を描きながら走らせようとすると、回転と弾きのバランスをとるのに慣れが必要と感じました。むしろ、スピードボールは弾みもあるのでミートの方がやりやすく、その方がボールが走って良いと感じましたね。回転系のラバーでここまでミートがやりやすいと感じたラバーは珍しいと感じました。そこまで試せませんでしたがミート打ち、角度打ちも安定すると思います。打球点が落ちたらループドライブと、使い分けもできると思います。世界標準(World Standard、ワールドスタンダード)のTenergy 05(テナジー05)は、ミートが非常に難しく、角度打ちもかなりセンスがないと勝手に回転がかかってしまうラバーになっています。テナジーと比較したときに回転もかけることができてミートもしやすいというのは非常に特徴があるラバーだと感じました。

他のXIOMラバーと比較すると滑らず回転もかけられる優秀なラバー

 順番としてオメガ7シリーズを打った後に、オメガ5ツアーDFを試打しましたので、オメガ5ツアーDFの第一印象は非常に使いやすいでした。47.5°の適度な硬度で扱いやすくそれでいて、滑らなくて回転も良くかかる非常に好感触でした。特にボールのグリップという点では、ヴェガX以上であり非常にループドライブがやりやすいと感じました。それでいて、ミートや上回転に対するスピードドライブはかなり走るので、同じ金額帯であることを考慮するとヴェガXよりもオメガ5ツアーDFの方が本職採用したいラバーでしたね。ヴェガXはオメガ5ツアーDFよりもさらにシートを硬くスポンジが柔らかい感じのラバーなので、回転がかかったときにはオメガ5ツアーDFよりもエグイ回転量が出るのですが、少し滑りやすい(慣れれば苦ではないと思いますが)気がします。おそらくオメガ5ツアーDFはELASTO FUTURAは採用されていないラバーであり、回転量やボールの伸び、威力に少し物足りなさも感じました。スポンジまたはラバー全体の最大限に伸縮する際の力の強さが、オメガ7シリーズ、Omega VII Tour(オメガ7ツアー)やOmega VII Hyper(オメガ7ハイパー)、そしてヴェガXと比較してオメガ5ツアーDFの方が少し弱いように感じました。ただし、滑らないという部分が非常に良くて滑りをむしろ利用できるような卓球ができない自分にはオメガ5ツアーDFがちょうど良いように感じました。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 ボールは速いです。ただし、弧線の高さ、強さ、回転量は、普段使用するDignics 05(ディグニクス05)と比較すると少し弱いように感じました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 厳しい比較であるのはわかるのですが、ディグニクス05はスピンで飛ばしてやっても回転量でしっかりボールが沈み、オーバーするような弧線でも全部台に着弾する感じがありますが、それをこのオメガ5ツアーDFでやろうとすると難しかったです。これができないとわかった時点でkatsuo000としてはフォア採用はないと感じてしまいました。それでも打感や回転をかけた感触は良かったですが。

面を開いたドライブ
 スポンジが負ける感じはありません。少しゴムの弾力は感じにくいとも思いましたが、ボールは走るようにも思いました。

対下回転に対するループドライブ
 しっかり球を持つので好感触でした。打球感は、回転量の高いドライブができていると感じました。しかし威力や重さは少し軽いと思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 爽快な打感のあるラバーで、少し弧線が低い(ディグニクス05と比較して)と感じましたが、良いラバーだと感じました。

カーブ/シュートドライブ
 スポンジのくい込みはあまりなく、ヴェガXと比較すると曲がりが弱いように感じました。

ブロック
 良かったですね。カウンターがしやすいです。シートが硬くスポンジも硬めなので、回転がかかるラバーの割には回転の影響を受けにくいラバーだと思います。

カウンタードライブ
 シートは硬くはないのですが、カウンタードライブはやりやすかったです。少しくい込みが良いので回転をくらうときはなくはなかったですが、全体的にラバー全体でまけずにボールを打ち返せる感じがありました。回転で弧線というよりは、スポンジがいい意味でも悪い意味でも変化が少ないのでどんなボールも同じドライブでかけ返せる感じだと思います。

ストップ
 やりやすかったです!シートが硬くしっかり止まりました。

ツッツキ
 滑らずしっかり切ることができました。また攻撃的な速いツッツキもしやすかったです。

フォアフリック
 マニュアルなラバーですので、やりやすかったです。

フォアサーブ
 回転もかかるサーブが出しやすくて良かったです。

バックハンド系

軽打
 ちょっとおちやすかったです。球離れが速く、技術力不足を少し感じました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 バックハンドには少し硬く感じました。ただし、使い込んでなれれば十分いけると思います。上回転のラリーでは非常に強烈なスピードドライブも打てました。ただし中陣から持ち上げるというよりは結構直線的なスピードドライブになりやすい印象です。

対下回転に対するループドライブ
 やりやすかったです。少しヴェガXだと滑るというか、柔らかいのでくい込みすぎてエネルギーロスを感じやすかったですが、オメガ5ツアーDFはそんなことはなかったですね。相手のミスをさそうような回転量も出しやすく好感触でした。

対下回転に対するスピードドライブ
 少し弧線が低く、ネットミスが目立つ印象です。(ディグニクスと比較して)直線性が強いように感じました。

カーブ/シュートドライブ
 ヴェガXと比較すると、少しチキータは曲がりが弱い印象でした。

ブロック
 やりやすかったです。ただし、少し硬さで落ちると感じたときもありました。

カウンタードライブ
 やりやすかったです。いいラバーだと思います。

ストップ
 良かったです。少し硬さで落ちる気もしました。

ツッツキ
 切りやすくかつ、直線的なツッツキもしやすかったです。

チキータ
 弧線を作りやすくやりやすかったですが、えげつない感じではなかったです。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Tenergy 05 ≧ Vega X ≧ Omega V Tour DF ≧ Evolution MX-P

回転のかけやすさ
 Vega X ≧ Rasanter R48 > Omega V Tour DF > Dignics 05

スピード
 Dignics 64 > Omega V Tour DF > Vega X

https://amzn.to/3tvNf3n

レビュー Omega VII Pro(オメガ7プロ)

説明

 韓国の卓球メーカーXIOM(エクシオン)は、新進気鋭のメーカーで、コスパの良いVega(ヴェガ)シリーズと、ハイエンドモデルのOmega(オメガ)シリーズの大きく2種類のラバーシリーズが有名です。ハイエンドラバーシリーズのOmega(オメガ)シリーズは現在V(ファイブ)とVII(セブン)の2シリーズがメインになります。ブラジルのハードヒッター、Hugo Calderano(ウーゴカルデラノ)選手がXIOMと契約し、用具変更後も順調にワールドツアーランキングを一桁まで上げました!カルデラノ選手が使用しているHugo Hyper Axylium(ウーゴハイパーアクシリウム)とOmega VII Tour(オメガ7ツアー)も人気急上昇ですね。また、韓国の鉄壁のブロックとチキータのJeoung Youngsik(鄭栄植)選手もIce Cream AZXi(アイスクリームAZXi)と本ページでレビューするOmega VII Pro(オメガ7プロ)を使用中です。

 本ページでレビューするOmega VII Pro(オメガ7プロ)は、Omega VII(オメガ7)シリーズで一番初めに販売されたラバーになります。Omega VII(オメガ7)シリーズの特徴は、前シリーズのOmega V(オメガ5)の回転に特化したラバーとは対称的に、Artificial Intelligence (AI)によって導き出した「これまでにない打球スピード」になります。もちろんトップ選手が満足する回転量を保ちながら、これまでにないスピードドライブを可能としたのがオメガ7シリーズということです。回転もスピードも高くなっているため、オメガ7シリーズの価格はどれも、エクシオンのラバーの中で最も高価な7,000円+税になっています。

 エクシオンのラバー、その技術について言及してみます。

・MAX AT 4
 公式ルールの範囲内で、最大限のテンションをかける技術。

・ELASTO FUTURA
 オメガVIIシリーズ、ヴェガツアー、ヴェガXに搭載されている総合技術。「CYCLOID」、「DYNAMIC FRICTION」、「CARBO SPONGE」の3つの特別なチューニングを1枚のラバーに集約し、繊細なボールタッチ、他に類を見ないほどのグリップ力、画期的な弾力性を実現する技術。

・DYNAMIC FRICTION
 雪の上でも十分な摩擦力を発揮するスノータイヤから生まれたラバーの表面加工技術。表面が滑りやすいプラスティックボールを、しっかりつかみ、より多くの回転エネルギーを作り出す技術。

・CYCLOID
 プレーヤーの確率を高め、ボールの弧線がナチュラルに高く、ブロックでのネットミスを減らし、相手のコートへボールが最大限深く入る技術で、回転量と飛距離の比率を精緻に計算された設計により、高いスピードと力強いエネルギーをドライブに伝える技術。

・CARBO SPONGE
 スポンジにカーボン粒子を配合する技術。ボールをしっかりつかむ力とカタパルト効果でトップシートと相互作用できる技術。

・HYPER ELASTO
 2008年に禁止になったスピードグルーの効果の、代替とすべく開発された技術。スピードグルーなしで使ったような打球感、打球音、飛距離、回転力を実現する技術。加速性能を上げた「IMB」、弧線の高さを追及した「CST」などのバリエーションがある。

・TENSOR
 XIOMが開発した、スピードグルーと同様の、テンション効果を持たせる技術。ゴム分子の構造をピンと張りつめた状態にし、それを半永久的にキープする技術。「TENSOR」ラバーなら、余計な労力を使うことなく、楽にスピードが乗ってスピンの効いたボールを繰り出すことができる。この技術をベースに独自の考察とアレンジを加え、「HYPER ELASTO」技術を完成させた。

・BIOS
 「TENSOR」と同じく、XIOMが開発したクリーンなラバー製造技術。製造過程で、環境に悪影響を与える物質や発がん性物質などが発生したり配合されたりしない技術。「BIOS」ラバーは有害物質を徹底的に排除、製造に携わるスタッフからラバーを使うプレーヤーに至るまで誰一人として環境面、健康面で心配なく安心して使うことができる。ハイパフォーマンスでクリーンなラバーの象徴。

 既にレビューしたVega X(ヴェガX)、次回レビュー予定のVega Tour(ヴェガツアー)、そして今回レビューするオメガ7プロは全て同じ技術シンボル、ELASTO FUTURA搭載のラバーになります。よって、どのラバーもカーボスポンジとダイナミックフリクションですので、スポンジは黒く、シートはダイナミックフリクション仕様のシートでグリップ力のあるラバーといえるでしょう。

 オメガ7プロについて、パンフレット上で次のように説明されています。

自在性と決定力を贅沢に両立
少しだけ軟らかめに設計されたトップシートがボールのつかみやすさを実現。どんなに厳しい状況下においても、自由自在なスピンショット、正確無比なコントロールショットを可能にした。さらに、47.5度の高反発スポンジがボールを弾丸のように発射。スイングのエネルギーを倍加するような剛速球が相手のコートを駆け抜ける。自在性がほしいが、決定力も犠牲にしたくないーーそんな贅沢なプレーヤーの願いを忠実にかなえてくれるのが、このオメガVIIプロだ。
そして、トップレベルの選手がオメガVIIプロを使うなら、バック面におすすめしたい。現代卓球のバックハンドでは、台上のチキータで先手を取り、前陣の高速ラリーで打ち勝ち、相手の強力なドライブ攻撃をライジングのカウンターで跳ね返す・・・といったプレーが必要になるが、オメガVIIプロは、そのすべてで期待以上のパフォーマンスを生み出してくれる。飛距離も出るから、後陣に下げられたところから盛り返すパワードライブも楽々。オメガVIIプロで、あなたのバックハンドは<神化>する。

性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

 オメガ7プロは、トップ選手用のハイエンドラバーシリーズ、オメガ7シリーズの標準的なラバーですので非常に性能が高いことがわかります。ヴェガツアーやヴェガXと比較しても圧倒的に性能が高く、やはりハイエンドシリーズとして発売されていることがわかります。
 ただし、katsuo000の感じた点としては、確かに回転の質やボールの重さ、威力の点で、オメガ7プロは確かに高性能さを感じさせるけど、値段や公表性能値ほどの開きを感じない、というのが、オメガ7プロ、ヴェガツアー、ヴェガXの印象ですね。どのラバーもELASTO FUTURA技術採用になり、硬さは違っても印象はかなり近い印象です。ヴェガツアーはややフォアには柔らかすぎるかもしれませんが、それでもどのラバーもフォアで使ってもある程度満足するボールが出せましたし、バックのレベルによっては、ベストのラバーは変わってくるとも感じました。
 最終的な総評はヴェガツアーのレビュー後に改めて書かせていただきますので、よろしくお願いします。

オメガ7プロの貼りと重量

 いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

Omega VII Pro(オメガ7プロ)
 ELASTO FUTURA ≒(DYNAMIC FRICTION × CYCLOID × CARBO SPONGE)
・Sponge Thickness:2.0/max mm
・Speed:12.5
・Spin:12.5
・Sponge硬度:47.5°
・7,000円 + 税
・67 g(切断前) → 49 g(張継科ZLCに貼って)

 思ったより重くなかったですね。XIOMさんのラバーは重いことはあるあるですが、思ったより軽くて驚きました。

Omega VII Proの3つの特徴

47.5°と感じない、くい込みの良いスポンジ!

 オメガ7プロおよび、オメガ7シリーズのラバーは、基本的にはくい込みがかなり良いスポンジを使っていて、硬度ほどの硬さを感じにくいラバーだと思います。実際、55°のオメガ7ツアーでも結構ボールをグリップしましたし、回転もかけやすかったと感じました。今回のオメガ7プロもドイツ基準で47.5°ですが、他の47.5°のラバー(Evolution MX-Pや、V>15 Extraなど)と比較してもかなりくい込みが良いラバーでした。このくい込みの良さは、Rasanter R48(ラザンターR48)を彷彿とさせるようなくい込みの良さになりますね。ただし、R48は軽快なスピードドライブが打てる一方で高い回転量も得られましたが、打感としてボールの軽さを感じました。R48に対して、オメガ7プロはコンセプトにあるようにスピード重視だが、回転量と威力はそのままのラバーとあるように、スピードは出しやすいのに打球感はかなりマッドで、軽快というよりも剛腕なドライブが打てそうな、そういった仕様のラバーとなっています。(ただし、オメガ7プロでも本当に重いパワードライブが打てるか否か、使いこなせるかどうかは、使用者の腕にかかっていて、強いインパクトとパワーでハードヒットできなければ、やはり軽いボールになる印象もありました。)
 くい込みの良いラバーは往々にして相手の回転の影響を受けやすいことが多いですが、オメガ7プロおよびオメガ7ツアーなどは、ブロックやカウンターがしやすい印象があります。それはラバー全体が強いためにラバー全体で打ち返せる感じがあります。このラバー全体で負けない感じは、他メーカーのラバーにはないオメガ7シリーズの無二の特徴であり重要視するなら、価格も納得と感じました。

高いスピード、スピードに似合わないグリップ感!

 オメガ7プロは、やはりかなりボールのスピードは速いと感じました。ブロックも勝手にカウンターになるくらいスピード感がありましたし、カウンターもやりやすいので打ち返すこともしやすく、現代卓球に必要な要素を多く持つと思います。またサーブが好印象で、滑るようにスピード感のあるサーブが出しやすかったですね。もちろんしっかりグリップするので、回転量もしっかりかかっていました。相手のチキータやレシーブドライブを防ぎやすかったですね。
 またスピードが出しやすいラバーは往々にして、ツッツキが暴れたり浮きやすいですが、スピン系テンションらしく、ツッツキやストップはしっかり止まってやりやすく、好印象でした。このような特徴を有するラバーも近年増えてきてはいますが、オメガ7プロおよびオメガ7シリーズはやはり差別化され高い性能を感じさせました。

 ヴェガXやヴェガツアーと比較すると、オメガ7プロはスピード以上に重いボールが打てそうな打球感でした。速いだけではなく、打球感としてはしっかりボールをグリップできている感じがあり、回転量も決して少ないわけではないのが、非常に面白いラバーです。スピードだけを求めると、例えばBryce Highspeed(ブライスハイスピード)のようなラバーも存在しますが、ブライスハイスピードでは、つなぎの質の高いループドライブは困難で、ネット際に低く入れないとカウンターをくらいやすいでしょう。オメガ7プロやオメガ7シリーズのラバーは、腕にもよりますが、重いループドライブも打てるラバーでありながら、特徴的なスピードが出せるラバーといえるでしょう。ハイエンドラバーとしてトップ選手好みの仕様だと思います。
 ただし使いこなす技術力も要します。誰でも重いドライブが打てる、という感じではなくそれ相応の腕とパワーが必要ですね。

総評として回転とスピードのバランス型(80らしさ)で、威力よりラリー思考のラバー

 オメガ7ツアーでもふれていますが、オメガ7プロは回転もスピードも出せる分、威力重視のラバーというよりは、ラリー思考のラバーでした。オメガ7プロはラリーの中で相手のドライブや決め球をブロックやカウンターでしのぎ、自分のドライブや連打へつなげるようなラバーだと思います。ツアーやハイパーと比較して、より打感が柔らかくまさにバックで使って活きるラバーと感じました。
 謳い文句である、「これまでにない打球スピード」は、要は感じ方次第だとも思います。スピード性能も回転性能も高いオールマイティーなラバーと捉えることもできます。スピードドライブは他のスピード性能の高いラバーと比較すると少し難しい印象がありますし、高い回転量のループドライブも他のスピン系テンションラバーと比較すると少し物足りなく感じやすい、要は中途半端なラバーとも感じやすいと思いました。結局のところ、このラバーを使いこなせるだけの技術力が必要といえるでしょう。

各技術レビュー

 試打中に、結構滑りました。印象としてオメガ7シリーズは類似のシートとスポンジでスポンジ硬度を変更している印象ですが、オメガ7プロのスポンジが柔らかすぎるのかもしれませんね。これならOmega VII Tour(オメガ7ツアー)かOmega VII Asia(オメガ7アジア)の方が安心できるかもしれません。全日本選手権出場のコーチの方も、プロは試打で少し使ってすぐに辞められたそうで、すぐにオメガ7ツアーかOmega V Tour DF(オメガ5ツアーDF)を使用されていました。特にコスパとフォアでの仕様を考えるならオメガ5ツアーDFはかなり良いと想像します。
 また、パンフレットなどの商品説明にも、「トップレベルの選手がオメガVIIプロを使うなら、バック面におすすめしたい」とあるように、オメガ7プロはバック側にあうようです。トップ選手の鄭栄植選手もバックハンドに使用しているそうですからね。くわえて今回またまた残念ながら張継科ZLCとアウターカーボンで試打してしましましたが、軽く木材+特殊繊維系ラケット、Fortius FT ver. D(フォルティウスFT ver. D)で試打したときはバックハンドの威力不足、スピード不足を補える印象がありました。オメガ7プロはインナーカーボンや木材系ラケットのバックハンドの威力不足、特にスピード不足を補えるラバーではないかと想像しますね。

フォアハンド系

軽打
 ボールは速いですね。スピードが速いと感じる一番の理由はおそらく、弧線が低いためです。

ロングボールやラリーでのドライブ
 打球感はTenergy 05(テナジー05)に近く、非常に好感触ではありますが、その割には回転量に少し不満を感じました。また中陣からのドライブは、ボールは走ると感じましたが、威力や回転量に少し不満を感じたりしました。普段はDignics 05(ディグニクス05)ですので、どうしても厳しい評価にはなりやすいと思います。比較するのであれば、Omega VII Tour(オメガ7ツアー)やOmegaVII Hyper(オメガ7ハイパー)で比較する必要があるでしょう。既にノータッチなコース取りができた際は決まるのですが、ボールのスピードの割に、非常にとりやすそうなボールになってしまっている印象で、ブロックなりカウンタードライブが簡単に返球される印象がありました。一方で、上回転のラリー時、相手のボールに対しても強さや打ちやすさを感じました。テナジーまではいかないものの、上回転ラリーで頼りになるラバーだとも感じました。

面を開いたドライブ
 スポンジが負ける感じはありませんでした。ただし、少し回転量は低い気もしました。

対下回転に対するループドライブ
 しっかり球を持つので好感触でした。打球感的に高い回転量と重いドライブがうてていると思いますが、打球感の割に少し威力不足を感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 テナジー05と比較すると打ちやすいですが、それでもマッドな打球感があり、爽快というよりも粘着ラバーのような打球感でした。

カーブ/シュートドライブ
 横回転は入れやすく、またしっかり曲がる印象がありました。

ブロック
 オメガ7プロはシートはそこまで硬くないのですが、ドライブに対してもブロックしやすかったです。もちろんカウンターもしやすく非常に面白かったです。前陣でハイピッチで少し伸ばすようにブロックすると振り回すことができると思います。

カウンタードライブ
 シートは硬くはないのですが、カウンタードライブはやりやすかったです。少しくい込みが良いので回転をくらうときはなくはなかったですが、全体的にラバー全体でまけずにボールを打ち返せる感じがありました。

ストップ
 ボールのスピードの割には、やすかったです。

ツッツキ
 滑ることもありましたが、直線性のあるツッツキがやりやすかったです。少し回転はかけにくかったです。

フォアフリック

フォアサーブ
 スピードのあるサーブが出しやすくて良かったです。

バックハンド系

軽打
 ちょっとおちやすかったですが、慣れれば問題なしでした。

ロングボールやラリーでのドライブ
 バックハンドにちょうどよい硬さでした。ただし、少しマッドだとも感じました。

対下回転に対するループドライブ
 少し難しかったです。フォアではやりやすかったので、技術力不足だと思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 普通に打点の早い回転重視のドライブで攻撃的なスピードドライブになる感じでした。しっかりインパクトの強いスピードドライブは少し難しかったです。

カーブ/シュートドライブ
 チキータもかなり曲がる印象がありました。

ブロック
 やりやすかったですね。ただし、少し滑ってしまいました。

カウンタードライブ
 やりやすかったです。いいラバーだと思います。

ストップ
 良かったです。飛び出してしまうということもなかったですね。

ツッツキ
 切るよりも打点を早く直線的なツッツキがしやすかったです。

チキータ
 弧線を作りやすくやりやすかったです!

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Rasanter R48 ≧ Tenergy 05 ≧ Vega X > Omega VII Pro ≧ Evolution MX-P

回転のかけやすさ
 Tenergy 05 FX ≧ Omega VII Pro ≧ Vega X ≧ Rasanter R48

スピード
 Rasanter R48 ≧ Omega VII Pro ≧ Vega X > Tenergy 05

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