レビュー キョウヒョウ龍V(Hurricane Long V)

説明

 Nittaku(ニッタク)からも販売が開始されたラケット、Hurricane Long V(キョウヒョウ龍5)をレビューさせていただきます。katsuo000が持っているキョウヒョウ龍5はDHS製になりますので、ご注意ください。用具好きの方には釈迦に説法になるかもしれません。「大満貫」=「オリンピック、世界選手権、ワールドカップ、の3大会全てで優勝」を、2回、あともう少しで3回達成もありえた最強王者、馬龍選手使用のラケットになります。

馬龍選手の主な成績は以下になります。
 ・2012年ロンドン五輪団体優勝、ワールドカップシングルス優勝
 ・2015年世界選手権シングルス優勝、ワールドカップシングルス優勝
 ・2016年リオ五輪シングルス団体優勝
 ・2017年世界選手権シングルス優勝
 ・2019年世界選手権シングルス優勝
 ・2020年ワールドカップ準優勝
 ・2021年東京五輪2020シングルス団体優勝

 今回レビューするのは一般販売用のキョウヒョウ龍5でグリップに入っている刻印は「HL5-」になります。キョウヒョウ龍5は他にも、省チーム用の「HL5」、国チーム用の「W968」、上板に黒檀を使用した「W968黒檀」、軽量な「キョウヒョウ龍5Lite」、中心材や上板の厚さが変更になっている「キョウヒョウ龍5X」などがあります。ビスカリアやカーボネード45にゴールデンタイプがあるようなイメージで、やはり最強王者の馬龍選手のモデルは多岐にわたるモデルが販売されていることがわかると思います。今回は一般販売用のキョウヒョウ龍5を、他のインナーラケットと比較しながらレビューしていこうと思います。

 このキョウヒョウ龍5は、2021年春にNittaku(ニッタク)から販売が開始しました。ニッタクはいままでに馬龍5や馬龍7、馬龍カーボンなど、馬龍と冠したラケットを販売してきましたがそれらは全て馬龍選手監修とはなりつつも、本人使用ラケットではありませんでした。2021年になってようやくJTTA登録された本人使用モデル、「キョウヒョウ龍5」が発売になって喜ぶ声もあったのではないでしょうか。日本トップ選手の中には、ニッタクから販売になる前からキョウヒョウ龍5を使用する選手も複数名いらっしゃり、四天王寺やミキハウス契約のトップ女子選手が使用したり、と性能の高さを伺うことが出来るでしょう。自分も最強王者のラケットは気になりインターネット販売で27,000円で購入させていただきました。ニッタク販売のキョウヒョウ龍5は公式40,000円+税で、ニッタク製品は30%オフ購入できますので28,000円+税と結局ほぼほぼ同じような値段になりますね。ニッタク製を手にしたことはありませんが、おそらく一般販売用とほぼ同じではないかと想像します。

引用

 Nittakuのパンフレットから説明を引用させていただきます。

馬龍選手、使用モデル!

 スピード・回転・台上技術、精密なタッチでボールコントロールする馬龍のギア!
新たな特殊素材「アリールカーボン」が高いスピード性能と球持ちの良さを実現。
自分の力でしっかり伝わり威力が出せる。相手の強い打球にも押し負けない、まさにトップ仕様。

【馬龍選手コメント】
 「キョウヒョウ龍5」は、とにかく安定感がバツグンです。威力のあるボールを打てるだけでなく、しっかりとした弧線を描いてくれるラケットなので、台上技術やドライブなど、様々な場面で正確なボールコントロールを実現してくれます。日本の皆さん、ぜひ使ってみてください。

Nittakuのパンフレット(2021春)より

アリールカーボン

 Nittakuさんは種々のカーボン素材を扱っています。その中でも、アリールカーボンは下から2つ目のやわらかいカーボン素材として紹介されていますね。

Nittakuの特殊素材性能一覧: https://www.nittaku.com/wp-content/uploads/2021/02/014e81e041795bf66270a13699eb8bb7.pdf

 おそらく、Butterfly(バタフライ)さんのアリレートカーボン(ALC)にかなり近い素材だと思います。ただし、アリレートカーボンは商標登録され、バタフライさんしか使えないようですね。そこで、アリールカーボンとしているのではないかと想像します。

ブレード情報と比較

 仕様をみれば大体どのようなラケットか、わかる人にはわかると思います。katsuo000が参考にしている「TT BLADES DATABASE」さんを参考にしました。

TT BLADES DATABASE:  https://stervinou.net/ttbdb/index.php

種々のサイトでブレード構成について議論や情報が出ていて、何を参考にするかは難しいところです。個人的な意見として、重要なことは特殊素材の位置と上板(表面板)の素材であり、他は正直違いがあまりわかりません汗。上述のサイトは英語にはなりますが、各木材についても言及してくれているので非常に参考になると思います。

キョウヒョウ龍5:
 Limba (1+7) /Ayous (2+6) /AC (3+5) /Ayous (4)
 158 × 150 mm、5.9 mm
トルネードキングパワー:
 Koto (1+7) /Ayous (2+6) /KVC (3+5) /Ayous (4)
 157 × 150 mm、5.8 mm
張本智和インナーフォースALC:
 Limba (1+7) /Limba (2+6) /ALC (3+5) /Ayous (4)
 158 × 152 mm、6.0 mm
インナーフォースレイヤーALC:
 Limba (1+7) /Limba (2+6) /ALC (3+5) /Ayous (4)
 157 × 150 mm、6.0 mm
インナーフォースレイヤーALC.S:
 Limba (1+7) /Limba (2+6) /ALC (3+5) /Ayous (4)
 157 × 150 mm、5.5 mm
ヴィルトーソAC:
 Limba (1+7) /Limba (2+6) /KVC (3+5) /Samba (4)
 158 × 150 mm、5.7 mm
アルネイドインナー:
 Koto (1+7) /? (2+6) /KVC (3+5) /? (4)
 157 × 150 mm、5.8 mm

ということで、参考にさせていただいている「TT BLADES DATABASE」によるとキョウヒョウ龍5は上板リンバのインナー特殊素材ラケットです。インナー特殊素材ラケットは上板にリンバを使用しているラケットが多いですね。中国選手は回転量を求めて、上板に硬めの材料を使うものが多い印象ですね。例えばYASAKA(ヤサカ)の馬林シリーズもインナーカーボンですが、上板は硬めですね。そして、先日レビューした銀河のPro-13SのインナーKVC側の上板も染色材で硬めでした。またまだレビューを挙げていませんが、WRMさんで購入した970XX-KLCも上板硬めの染色材ですし、キョウヒョウ301も染色材で硬めですね。粘着ラバーはやはり硬めの上板があうのでしょう。キョウヒョウ龍5は、5.9 mmとブレード厚さは薄く、上板はやや柔らかめのラケット設計になっているようですね。粘着ラバーとあわせることを考慮したラケット設計といえるでしょう。

 キョウヒョウ龍5はインナーカーボンラケットで上板にリンバ材を使用していて、まさに王道的なインナーカーボンラケットになります。最も近いといえそうなラケットはHarimoto Tomokazu Inner Force ALC(張本智和インナーフォースALC)になるでしょう。張本智和インナーフォースシリーズは全てブレード面積が広くスイートスポットが広くて先端重心になりやすいラケットになります。ブレード厚さだけが異なり、張本智和インナーフォースALCは6.0 mmと厚く、キョウヒョウ龍5は5.9 mmと薄くなっています。その他確認できていないのですが、5枚+インナーカーボンの各板の厚さなどが一緒かどうかなどの細かな部分が全く同じかはわかりません。おそらく数字やスペック上はそこまで大きな違いはなく、張本智和選手も馬龍選手を意識して張本智和インナーフォースALCを使っているものと思います。

 キョウヒョウ龍5は中国大手スポーツメーカーDouble Happiness Shanghai(DHS、紅双嬉)製になります。katsuo000は他にキョウヒョウ301というラケットを持っておりますが、DHS製のラケットは全体的に詰まったラケットが多く、粘着ラバーにあうようなラケットになっていると思います。ラケットがつまっている、というのは、木材の密度が高く接着剤も重いのだと思います。デメリットはやはり重量が重いことですが、そのかわり粘着ラバーとの相性が良くなり高い回転量と威力が出せることでしょう。ちなみに、キョウヒョウ龍5国チーム用(N301)というものは上板にコト(Koto)を使用しているようで、W968黒檀では、コトよりもさらに硬くて密度の高い黒檀が上板に使用されています。キョウヒョウ龍5を容易に使いこなせるようなら上板に硬い素材をもちいたN301やW968黒檀などを使用することでさらなるトップオブトップのボールを打てるのではないかと想像します。

 トルネードキングパワーのレビューでも触れましたが回転量を求めると、上板に硬めの材料を使うことになります。WRMさんで販売されている970XX-KLCは上板硬めの染色材で硬めの上板です。またキョウヒョウ301も染色材の上板で硬めです。先述のキョウヒョウ龍5のN301は上板コト、キョウヒョウ龍5黒檀は上板が黒檀と、威力と回転量を求めると自然とラケットは硬く硬くなっていくわけです。上板の硬いラケットと粘着ラバーを組み合わせることで、使いこなせれば、最強の回転量が得られます。

 今回レビューする一般販売のキョウヒョウ龍5は上板は染色材ではなく、おそらくリンバで球持ちに優れたラケットになります。このように書くと一般販売のキョウヒョウ龍5は粘着ラバーにあわない、あるいは性能を引き出しにくいように捉えてしまうかもしれませんが、キョウヒョウ龍5は上板はリンバで球持ちは優れつつも、ラケットはつまっているので、粘着ラバーの性能を強く引き出してくれる優れたラバーになります。極端な言い方をすると、リンバの球持ちとコトの高い回転性能を併せ持ったようなラケットで、矛盾を体現したようなラケットになっていると思います。多くの選手から愛用されている理由がよくわかります。

キョウヒョウ龍5の3つの特徴

 キョウヒョウはドライブのためのラバーでしたが、キョウヒョウ龍5はドライブのためのラケットでした。やはり初心者ではなく中・上級者志向のラケットであると思います。ラバーにもよりますが、特にミート系の技術が難しいので、スピードをどれだけ出したくてもドライブをすることを忘れてはいけないラケットです。それでも安定感と弧線の描きやすさ、重いので相手のボールに負けづらさなどは、非常に秀逸です。是非機会があれば手に取ってその良さを感じてください。

ボールの威力を出しやすい広ブレード面積で先端重心!

 やはり先端重心で威力の出しやすいラケットになります。非常に遠心力を利用しやすく、その高い威力を出しやすいと思います。一方で、弾みが強いわけではないので、極めてバランスのとれたラケットだと感じました。ラケット全体では重くて遠心力を効かせやすい一方でラケットは上板も柔らかく非常に球持ちがあって弾まない仕様になっているわけですね。パワーが有り余っていたり、力が入りすぎる選手には抜群にあうラケットだと感じました。

上板リンバでとにかく球持ちが良くて弧線を出しやすい!

 ものすごく弧線を出しやすいと感じました。バック側にDignics 05(ディグニクス05)を使った場合にその特徴が良く出てくれると感じました。抜群の球持ちとグリップ力と弧線の強さが素晴らしいです。ブロックでもボールを持てるような感じの球持ち感で、慣れてくれば伸ばすブロックやカウンタードライブもしやすいと思います。また打球点を落としてもしっかりドライブをかけて入れることがやりやすいと感じました。ディグニクス05は非常にシートもスポンジも硬いので、インパクトが弱いと粘着ラバーのように落ちることもよくあるのですが、そういったインパクト不足を全く感じず強い弧線でボールを飛ばせる部分は非常に好感触だと感じましたね!

ミートやスマッシュではなくドライブのためのラケット!

 主にバックハンドでの話になりますが、ミート系でボールを捉えると全く安定しませんでした。過去にTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)を貼って打った時は全く扱い切れず非常に印象の悪いラケットだったことを覚えています。回転をかけることができていませんでした。ミート系の技術が非常にやりにくくて、ミートしようとしても回転をかけてしまうようなラケットと言えると思います。従ってバックハンドでもしっかり回転をかけるような打ち方が良くて、ぶつけるような打ち方をすると回転がかからず、弾まないので安定もしないということになるラケットでした。これはフォアハンドでも見られてサーブが効いてボールが浮いたときにスマッシュまたはミートをしようとするとかなり難しいと感じました。浮いたときこそ、ドライブをしにいかないといけないラケットでした。面をしっかり下に向けてぶつけながら回転をかけるように打ってやることでボールが安定すると思います。

おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

 粘着ラバー

バックラバー

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 他のインナーカーボンラケットと比較するとキョウヒョウ龍5はやはりかなり先端重心です。ブレードが卵上で先端が他のレギュラーグリップと比較してもな158 mmと長くなっています。このような先端が長くなっているラケットは、張本智和インナーフォースシリーズや、ミズノのフォルティウスFTシリーズが該当しますが、フォアハンドドライブの回転量や威力が非常に出しやすいと感じると思います。一方で、軽打などでとっさのボールへの対応や切り返しの時に時間を要しやすくなるイメージがあります。少なくともグリップ側に重心がきやすい張継科モデルなどのラケットと比較すると、違和感を感じるかもしれません。普段ティモボル系のラケットを使用している人でもグリップが空洞になって先端重心になっているのではなく、ブレード面積が広くなって先端重心になっているので、違和感を感じるかもしれません。katsuo000は身体で打つようにすることで安定感を得られると感じました。
 ラケットが重いこともあって、打球感は柔らかいのですが、ぶつけると結構スピードが出てくれます。このあたりも人気の理由だと思われます。つまりインナーカーボンラケットで球持ちがあるのに、結構スピードが出て、人によってはアウターカーボンと同等くらいと評価する人もいるほどです。木材ではなく明らかにカーボンのスピードは得られると表現できるでしょう。キョウヒョウ龍5よりも大人しくてブレード面積が広いラケットがヴィルトーソACになってくると思います。逆に同じかそれ以上弾むラケットが張本智和インナーフォースALCなどになるでしょう。

ロングボールやラリーでのドライブ
 Omega VII China Ying(オメガVIIチャイナ影)を貼っていることもあって、弾くと安定感が皆無でした。しっかりぶつけてもいいんですが、ドライブをかけるように打つことで、このラケットの真価が得られるように感じました。キョウヒョウを貼る場合も同じだと思います。つまり、ラリーでも馬龍選手のようにバックスイングを後ろではなく、下からとるようにして上方向へ打つようにして、ドライブ回転をかけるように打つことで、回転量と、ボールに対してぶつけて直線的なボールを打っても、しっかりと弧線を描いて相手のコートに沈んでくれるボールが打てると思います。逆にスピン系テンションラバーの打ち方でボールの頂点を捉えて後ろから前へ振ってしまうと味が出せないかもしれません。どちらかというとわざとボールの打球点を落としてもいいので、弧線を描くように描くように打ってあげることで安定感とボールの変化、回転量が得られて相手が嫌がるかと思います。

面を開いたドライブ
 面を開いた方が、しっかり回転がかかって安定してボールが沈みますね。粘着ラバーにあった打ち方は面を開いた捉え方だと思います。スピン系テンションラバーの打ち方はあまり向いていないと思います。

対下回転に対するループドライブ
 めちゃめちゃ回転がかかって得点源になりますね。コーチの方もボールが変化して、カウンターをミスしてくれることもありました。ボールが一球一球微妙に変化するので、気を遣うようでした。同レベルの人も、ボールを浮かしてくれてオーバーミスを誘うことができて良かったです。少しオメガVIIチャイナ影が飛び出しの良いラバーですので、低くループドライブするのが難しいと感じる部分はあるのですが、キョウヒョウ龍5は球持ちも抜群にあるので、コントロールをしやすくしてくれて回転量も出て非常に満足できるループドライブが打てると思います。ループドライブを大切な技術とする方は試してみてもいいかもしれません。逆にループドライブやドライブを打たないのであれば、オススメしません。またヴィルトーソACとオメガVIIチャイナ影の組み合わせも試しましたが、思ったより回転量が低いようにも感じました。やはりキョウヒョウ龍5は粘着を意識して設計されているのでしょう、粘着ラバーを最大限に引き出してくれる、という点では、ヴィルトーソACよりもキョウヒョウ龍5の方が良いと感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
  オメガVIIチャイナ影がスピードも出しやすいラバーで粘着ということもあり、非常に打ちやすいです。さらにキョウヒョウ龍5が強く弧線を作ってくれるので、かなり難しいボールでもスピードドライブが打てると思います。結構下から上で持ち上げるように打ってもその後しっかり弧線を描いてくれるので、慣れると安心してスピードドライブが打てるのではないかと思います。打球点を落としてそこからスピードドライブを打つことが可能です。質の高いツッツキに対しても自分から攻めに行ける用具だと思います。スピン系テンションの感覚で頂点をドライブしに行こうとすると打点がくるったり回転量が不足したりして、ミスにつながりやすいと感じました。ラケットと粘着ラバーを信じて面を開きぶつけながら引っ張って回転をかけてあげれば強打といえるスピードドライブが安定感をもってしっかり沈んで相手のコートの深いところに入ってくれる感じがありました。さすが最強王者のラケットだなーと思います。この感覚がわかってくると少し浮いた台上のボールも強打しやすく、馬龍選手のように台上から先手や一発ドライブを決めることができるようになるかもしれません。

カーブ/シュートドライブ
 粘着ラバーは全体的に面を開いてぶつけるようにして回転をかける方がかかります。従ってシュートドライブの方が全体的に安定すると思います。またしっかり横をとらえることで、想像以上に曲がることを体感できると思います。

ブロック
 ブレード面積も広いので、非常にブロックがしやすいラケットだと思いました。ラケット全体の重さもありますし、相手のボールに弾かれることは少ないと思います。あとは相手の回転に合わせられるかだと思います。ボールを持ってくれるので、特にバックハンド側でのブロックが安心感があるのとまだまだ実戦では難しいのですが、伸ばすようなブロックもしやすいと感じています。再三述べているようにこのキョウヒョウ龍5はミートしてもダメで、ブロックも回転をかけていくべきと教えてくれると思います。

カウンタードライブ
 弧線を描いてくれるのと、フォアにオメガVIIチャイナ影をつかっていることもあり、やりやすいです。スピードドライブに対してもループドライブに対しても狙えると思います。キョウヒョウ龍5が上に飛び出しやすいので、やはり打点は落とした方が安心して回転をかけるために下から上へスイングできて安定感が出ると思います。この感じが苦手なら他のラケットの方が、ドライブをかける感じがすきならやはりキョウヒョウ龍5がいいでしょう。

ストップ
 かなり止めやすかったです。試合でも狙えると思います。

ツッツキ
 切れます。ブチッと切れます。フォアもバックもかなり切れて試合の得点源や相手にループドライブを強要できると思います。また相手のサーブがナックルでもしっかり打点を落として切ってあげることで低くて質の高いツッツキモやりやすかったです。ラケットも重く、先端重心で手だけでいこうとすると球離れが速くなることもあるので、しっかり足もつかって一球一球丁寧に打球してあげると安定感と質が得られると思います。

サーブ
 先端重心なので、遠心力が乗ってしまうと思ったより弾んでしまうのですが、グリップに近いラバーの中心に当てるように意識して出すと、極めてサーブのおさまりが良いです。また回転もめちゃめちゃかかるので、ツーバウンドするようなサーブでは相手のコートで変化(横上なら伸びたり、横下や下回転ではボールが沈んだり)も感じられるようなサーブが出せると思います。ロングサーブはもちろんアウターカーボンなみに速く出せるし、ナックルや上や切れたものも出せます。相手に余裕を持たせずにボールに触らせることも可能だと思います。巻き込みサーブもしっかり切れるようになりました。特に粘着ラバーの方が巻き込みサーブは下が出しやすくて最近試合でも多用しています。

バックハンド系

軽打
 上板リンバ材で非常にボールを掴んでくれます。この掴みはバックハンドの威力は出せないのですが、非常に安定感が得られると感じました。ディグニクス05は硬くてぶつけるようにしてくい込ませないと回転もかからないのですが、ぶつけなくてもこするようにしてしっかりイメージ通りの軌道で弧線を描いて相手のコートに沈んでくれる感じがあり良かったです。バックハンドでもフォアハンドと同様でぶつけてミートしてしまうと変におちたり、角度を調整しようとして上を向けるとオーバーしたりすると感じました。結論としてバックハンドでもドライブを極力かけるような選手に向いたラケットです。

ロングボールやラリーでのドライブ
 非常に安心してドライブをかけることができるので、ラリーでも心配なく打球できると思います。ただしスピードを求めると、ラケットが重くて振りにくく、ミートも難しいラケットですので、一発で決めるようなバックハンドは難しいかもしれません。あくまでドライブをすることが重要です。

対下回転に対するループドライブ
 ヴィルトーソACと同じかそれ以上に、やりやすかったです。球持ちがあり、しっかり回転をかけることができるので、身体を使うことでドライブが安定しました。回転量もあり、相手のコートでキックするような感じもあってディグニクスらしさも感じられました。ヴィルトーソACも悪くはなかったのですが、キョウヒョウ龍5もかなり良かったです。あとは、重心が先端よりなので、それによる飛距離の出やすさが気に入るか嫌か、といったところでしょうか。嫌なら、インナーフォースレイヤーALCなどのラケットの方がグリップ側に重心をもってくることができると思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 かなり難しいと感じました。それは自分のバックハンドにおけるパワー不足だと思います。弧線は描けるので、しっかり貯めて身体で打てれば、いいドライブが行くと思います。ただしスピードはアウターカーボンほどではなく、弧線の強いボールになりやすいです。とにかく手だけで打ってはダメで、手で打つと安定感が皆無だと思います。このあたりはかなり好みが分かれそうなイメージで身体でバックハンドを打つタイプは良いと思いますが、手首やひじを中心にして手や腕だけの力で打とうとすると、ラケットの重さに振り回されてしまうかもしれません。馬龍選手のようにしっかり腰と足を使って身体全体で回転をかけることが大切だと思います。

チキータ
 自分はどちらかというと、台上ドライブが多いのですが、かなりやりやすかったです。その理由は上板リンバによる球持ちだと思います。このやりやすさはヴィルトーソACをしのぐと感じました。相手のサーブがあまければ先手が取りやすいと思います。また横をとらえることを意識すると想像以上に曲がりやすくて好印象でした。回転量の強さを感じられると思います。

レシーブ
 ツッツキとストップがとても安定してでき、それでいて自分からバックハンドドライブやストップで攻めやすいと感じました。バックハンドドライブがしやすいのは、球持ちが抜群に良いためで、その球持ちのおかげで、打球点を落とすことでツッツキやストップも自分の回転をかけることができるので、ミスもしづらくなるように感じました。特にバックハンドの安定感は好印象でした。

台上技術
 ディグニクスのおかげもあり、打球点を落としても台上ドライブやチキータがめちゃめちゃ安定しました。意外に得点源になるのが、ツッツキやストップでよく切れます。ディグニクス05の回転量はえげつないですね。打点は高いとぶっ飛ぶときもあるので、落とした方が安定感と切りやすさがあると思います。回転をかけやすい一方で、水谷隼選手が多用するようなフォアでのナックルプッシュは難しいかもしれません。少し横回転をかけるようなイメージでツッツキの延長としてプッシュするか、回転をかけるように打つことで安定すると思います。

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 キョウヒョウ龍5 > トルネードキングパワー > ヴィルトーソAC > リーンフォースAC

回転のかけやすさ
 Virtuoso AC > キョウヒョウ龍5 > トルネードキングパワー

スピード
 トルネードキングパワー > リーンフォースAC > ヴィルトーソAC > キョウヒョウ龍5

飛距離
 トルネードキングパワー > リーンフォースAC > キョウヒョウ龍5 > ヴィルトーソAC

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