レビュー 「負ける人は無駄な練習をする 卓球王 勝者のメンタリティー」

説明

 東京オリンピック2020で日本人初の金メダルを獲得し、全日本選手権10回優勝の日本卓球界のレジェンド、水谷隼選手の2冊目の書籍になります。2016年3月に初版が発売しており、当時の水谷選手の経歴は全日本選手権8回優勝となっています。水谷選手について説明も不要でしょう。1冊目から1年後の出版で、どちらかというと水谷選手の考えが主な書籍になります。

 既に水谷隼選手の書物は5冊に達しています。
 1冊目: 卓球王水谷隼の勝利の法則 試合で勝つための99の約束事
 2冊目: 負ける人は無駄な練習をする 卓球王 勝者のメンタリティー
 3冊目: 卓球王水谷隼 終わりなき戦略 勝つための根拠と負ける理由
 4冊目: 現役選手がここまで語っていいのか!? 水谷隼の大サービス「サービスは芸術だ」
 5冊目: 打ち返す力 最強のメンタルを手に入れろ

 2冊目の 負ける人は無駄な練習をする 卓球王 勝者のメンタリティー は、3冊目の 卓球王水谷隼 終わりなき戦略 勝つための根拠と負ける理由と同様に精神面や考え方が主な内容になっています。トップアスリートの考えや思考に触れられる書籍と言えるでしょう。個人的には水谷選手や日本代表を目指して日々努力されている選手のメンタルやプレッシャーは、想像を絶します。その異常性は、正直理解が難しい部分も増えているように感じました。既にホカバやジュニア選手権でランクインしているジュニアの選手や、マスターズの選手が、さらに上を目指して読んでみることをオススメします。逆に一般層の自分ごときが読んでも、小説とかエッセイなどを読んでいるように感じるかもしれません。

「負ける人は無駄な練習をする 卓球王 勝者のメンタリティー」の要点

10章にわたる精神論

 卓球についてここまで、精神面が書かれている書籍は珍しいのではないかと思いました。もしかして、自分が最も近い精神状態に至ったのは、おそらく、ホカバ予選のセットオールで負けたときとか、中学3年生の時の地方大会のラン決のときとかでしょうか。水谷選手の異常性、異常な人同士で競い合うトップアスリート選手の世界、というものに触れられる本だと思います。
 自分ごときは、1種のエンターテイメントとして読むことができますが、卓球やその他のスポーツに精通する方にとっては、賛否や読んでいて気持ちの良いものではないのかもしれません。

第1章 練習に取り組む考え方 

 最もページを割かれている部分の1つとして、第1章「試合で生きる練習」と「無駄な練習」が挙げられます。30ページ以上さかれて日本とドイツの練習へ取り組む姿勢の違いや考え方が書かれています。一般人では、そもそも練習に取り組める時間が少なくてなかなか理解できない部分も多いかもしれませんね。一方で、ほぼ毎日練習に取り組むスポーツ進学中の学生には、参考になるかもしれません。

 ただ30代の自分が研究や仕事に取り組んできて感じますが、ただただ時間を費やせば勝てる世界は、研究にも仕事にもないと感じます。いかによく考えて行動できるか、常に考え方ややり方を変化させてベストへ近づけることができるか、そういった姿勢はどんな世界でも必要だと感じます。10,000時間何かに従事するのは当然であり、その中で如何に考えて、結果に結びつけるのか、卓球に限らず何かで世界と勝負し、渡り合い、抜きんでるには頭を使うことが重要だと感じさせてくれる本だと思います。

第4章 コーチに求めるもの

 トップアスリートだからこそ、アスリートがコーチに求めるものもまた異常なものだと感じさせる内容になっています。第4章 「勝つためにコートに求めるもの」では、勝負の場でアスリートが欲しいのは、甘言ではないこともよくわかる内容になっています。この内容は、卓球指導者が読むと度肝を抜かれるような内容でもあると思います。子供に卓球を教える親が必読の内容になっているのかもしれません。将来的には自分も参考にしたいところですが、残念ながら自分の子供たちはまだこれから卓球をはじめるところになります。続けてくれたら嬉しいですね。

レビュー

章構成とページ数
 第1章  試合で生きる練習」と「無駄な練習」 : 36 p
 第2章  勝者になるためのメンタル: 8 p
 第3章  チャンピオンの異常性: 10p
 第4章  勝つためにコーチに求めるもの: 24 p
 第5章  卓球は予測の集合体である: 8 p
 第6章  外へ飛び出す勇気: 6 p
 第7章  用具に妥協なし: 8 p
 第8章  負ける人は負けるパターンを持っている: 10 p
 第9章  追い込まれた時の戦い方: 8 p
 第10章 恐怖感との戦い: 6 p

全 200 p

図解
 トップ選手の写真が何枚か引用されつつ、水谷選手の幼少期からドイツ留学時代など、想い出とともに書かれていることがわかる内容になっています。

感想
 水谷選手らしい書物の1つであり、どちらかというと自叙伝らしさもある内容です。卓球の技術書ではなく、世界で戦うためのマインドが書かれている内容になっていると感じました。卓球という世界ではないですが、勉学や仕事などに取り組む姿勢と置き換えて読める内容だと思います。勝利のための異常性、それはトップを目指せば卓球に限らず似てくるのかもしれません。

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