レビュー 翔龍(Rising Dragon)

説明

 YASAKA(ヤサカ)さんの翔龍(Rising Dragon)をレビューします。2015年春-夏に発売のラバーです。粘着テンション初期のラバーで、当時スピードの出せる粘着ラバーと安価な価格で話題となったラバーです。あの粘着ラバーユーザーのトップ選手である岩崎栄光選手も使用していたラバーになります。現在でもTT埼玉の神巧也選手も使用しているラバーで、5年以上経っても人気のラバーになります。2021年現在、各社少なくとも1~2種の看板となる粘着ラバーを販売することが当たり前になりましたが、ヤサカさんは随分早くに、トップ選手が使用するような粘着ラバーを販売していたことになりますね。

中国製粘着ラバーの常識を打ち破るテンション系粘着ラバー
 粘着性のトップシートがボールをつかまえて強烈なスピンを生み出し、テンション効果の高いハードなスポンジが勢いをつけて飛ばします。プラスチックボールにも効果を発揮し、回転量の多いドライブ攻撃やサービス、レシーブが可能になります。

 重厚なラバーが、重く威力のあるドライブを生み出す。強烈な回転量のサービスやパワードライブを多用するパワーヒッター向け。

https://www.yasakajp.com/items/rising-dragon/

 上記が、ヤサカさんの翔龍の説明になります。また、この時代粘着テンションラバーがまだ新しいと考えられる時代で、技術紹介としてSTM(Sticky Sheet + Tension Sponge / Matching)という言葉が使用されています。粘着性のシートとテンションをかけたスポンジを組み合わせということで、翔龍と、粘着性でありながらさらに軽量化を進めたShining Dragon(輝龍)にSTM技術が採用されているようです。輝龍およびこの翔龍は中国製ラバーであり、ニッタクのキョウヒョウのようにシートは中国製、であるのは粘着ラバーといえば中国、という本物感があって嬉しいですね。中国製となると気になるのは、スポンジの色ですが、黒シートには黒色の、赤シートには赤色のスポンジを採用しているそうです。スポンジ色は輝龍でも同じです。そして価格は4,500円+税と低価格であることも嬉しい価格です。

性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

 現在では、ラクザZが発売されトップラバーの位置ではありませんが、粘着ラバーで硬いスポンジで高いスピン性能の得られるラバーが、翔龍であるといえるでしょう。スピード性能もスピン系テンションラバーである、ラクザXソフトやライガンと同等ということで、翔龍の性能の高さを感じますね。

 硬度計比較になります。粘着ラバーとスピン系テンションラバーは同じ硬度比較で比べるとわかりにくいかもしれません。初期の粘着テンションラバーである翔龍はやはりキョウヒョウを意識して作られていると思いますので、キョウヒョウNEO3にかなり近い値になりますね。また今回かなり軽量な翔龍だったようです。

翔龍の貼りと重量

 今回はヤサカさんのReinforce AC(リーンフォースAC)に貼りました。

中国製ということで、キョウヒョウなどにも貼られているシート保護の透明シートが粘着らしさをかもしだしてくれていますね。粘着テンションラバーなのに、保護シート込みでラバー全体の重量が62 gってかなり軽いと感じました。保護シートをはがずとテカリ方はまさに中国製を感じさせるシートで、ただし粘着力は微粘着か微々粘着程度であまりベタベタしているという感じはありませんでしたね。

Rising Dragon(翔龍)
 粘着テンション
 STM(Sticky Sheet Tension Sponge Matching)
・Sponge Thickness: 厚、特厚
・Speed:10+
・Spin:13+
・Sponge硬度:47~52
・4,500円 + 税
・62 g(保護シート込み) → 43 g(リーンフォースAC、157 × 150 mmに貼って)

 完成したラケットがあまりにも軽くて、逆に驚きました。

翔龍の3つの特徴

やはり弾む粘着テンション!

 この翔龍、見た目は中国製粘着ラバーですが、全然弾みますね!またハードなスポンジをあわせていることもあり、打感がカチカチなので、かなり弾きやすかったです。やはりスピン系テンションよりの粘着ラバーだと感じました。また普通に使っていてもオートに癖球がでるようなラバーではないので、自分から癖球を作らないと粘着ラバーらしさはでないかもしれません。最近はスピン系テンションばかり使用していたので、癖のない打ち方になっていたようで、そこまで粘着の癖球を感じませんでした。

 また、翔龍のドライブをとったことがありますが、ボールの癖球はキョウヒョウ系の沈み方ではなく、どちらかというとテナジーよりの伸び方に特徴のある癖球が出やすい印象でした。その中にたまに、変にボールが沈むものがあるのですが、翔龍は基本的にはボールが伸びる系の癖球が出るラバーでした。

軽い!

 今回衝撃の43 gでした。こんなに軽い粘着ラバーは、他にないのではないでしょうか。この重量ならバックハンドにも使えるかもしれません。バックで軽く使った印象は、少しボールのグリップがしづらく、粘着ラバーらしい難しさを感じました。
 過去にブログで個体差がものすごい、という記事を読んだことがあるので、パッケージの段階で重量をしっかり計測して購入することでお目当ての翔龍を購入することができるかもしれません。探し出せばもっと重いフォア向きの翔龍もあるのではないかと想像します。また、後加工やファインジップを厚塗りする、という場合には軽い個体の方が重量を気にしなくてよくなるかもしれませんね。katsuo000はファインジップ厚塗りの効果はまだ未検証になります、すみません。

 この重量ならバックでも使えると上述しましたが、TTさいたまの神選手も両面に使うラバーが翔龍です。考え方次第ですが、バックに使っても良いでしょうね。

軽いのに粘着らしい打球感と弧線!

 軽くてイメージとは異なるラバーでしたが、打球感はまさに中国製粘着ラバーらしさがありました。なので、使いこなして自分で癖球をだしたり、緩急をつけたりするには、非常に良いラバーだと思います。重量のコントロールもしやすいと思われますので、自分でベストな状態を作り出せるラバーだと思いました。
 ディグニクス09CやライゼンZGRなど、新しい粘着テンションラバーは扱いやすい反面、オートマチックに癖球は出ずスピン系テンションから移行しやすいラバーというポジションでした。翔龍はスピン系テンションから移行しやすく、その中で生粋の粘着の使い手を目指す方に向いたラバーだと思います。特に、ディグニクス09Cなどと比べると、ボールの質感がそろいにくい点で翔龍は嫌らしさを感じましたね。この翔龍を経験した後は、強烈な個性を求めてキョウヒョウを試す、その礎を十分に作ることのできるラバーだと思います。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フォアフリック

バックハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

チキータ

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 05 > Rising Dragon > Tenergy 05 FX

スピード
 Dignics 05 > Rising Dragon > Hurricane NEO III

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