説明
本ページでレビューするラバーはフランスの卓球メーカーcornilleau(コニヨール)のラバーで、2020年秋に販売の、ターゲットプロのシリーズの最新ラバーになります。日本ではjuic(ジュウイック)が販売代理店をしていますね。日本ではあまり存在感のあるメーカーではないですが、コニヨールのラケットラバーは決して悪いわけではありません。
コニヨールは1946年に会社設立と歴史のあるメーカーで、2009年から元世界チャンピオン、Jean-Philippe Gatien(ジャン-フィリップ ガシアン、フランス)のもとで競技用のラバーとラケット開発を開始しました。現在では違うメーカーと契約していますが、世界ランキング上位のファンタジスタSimon Gauzy(シモン・ゴーズィー、フランス)選手や最速の両ハンドHugo Calderano(ユーゴ・カルデラノ、ブラジル)選手は過去にコニヨールの用具を使用していたそうです。そして代表的な用具は、例えば、コニヨールの9枚合板Gatien Conquest(ガシアンコンクエスト、板厚6.0 mm、97 ± 5 g)や今回レビューするTarget Pro(ターゲットプロ) シリーズのラバーなどがあげられます。また過去に日本リーグ所属の実業団チームがコニヨールのラケットやラバーに好感触を得たという記事を卓球王国で見た記憶があります。卓球ナビにおいてもモンスターラバーTenergy(テナジー)と比較、超えたというレビューも散見され、非常に期待の高いラバーだと思います。
なお、このTarget Proシリーズは、レストランの格付けで有名なタイヤメーカー、Michelin(ミシュラン)の技術で製造されているそうです。
なお2020年時点では、まだミシュランとの契約だったようなのですが、その後、契約がなくなりミシュランのマークは入っていないものが2022年現在、販売されていそうです。
ターゲットプロシリーズは、過去にTarget Pro GT-X51(ターゲットプロGT-X51)とTarget Pro GT-H47(ターゲットプロGT-H47)をレビューさせていただきました。この2枚は非常に打球感が良くて、硬度の割にくい込みが良さと扱いやすさを感じたラバーになります。ただし回転量がやや不足気味で、ターゲットプロGT-H47ではテナジー05より劣る、ターゲットプロGT-X51では回転量は高いが扱いにくいと感じた次第です。扱いやすさと打球感の良さは抜群に良いのと、スポンジの色が硬度で異なるのが触っていて楽しいラバーでした。
ここからkatsuo000の考察になってきます。ターゲットプロのGT-X51やGT-H47などは、やはり初期の頃のポストテナジーラバーであり、回転量を高くするためにテナジーよりもシートが厚くすることで、回転量を得るか、逆に回転量を諦めて打球感を追求するか、という設計になっているように思います。GT-H47は打球感を優先して、シートを薄くしているのではないかと想像します。そのかわりテナジーなみの非常に気持ちの良い打球感で扱いやすいラバーに仕上がっていました。一方、GT-X51はややシートが硬く、回転量を確保するためにシートを厚くしていて、Fastarc G-1(ファスタークG-1)に近いラバーに仕上がっていると感じました。
一方、近年の進化型ポストテナジーラバーは、シートを薄くできる技術(おそらくくい込みの良い新スポンジ)を組み合わせることで、回転量と打球感を損なうことなく高性能なラバーとなってきており、ターゲットプロXDシリーズも、高くなっている分、かなり性能の高さを感じるラバーに仕上がっていると想像して購入しました。逆にドイツ製ラバーに見られた癖球(ボールの回転量が揃いにくい)といったことが減ってきているようにも思います。
今回のTarget Pro XD-47.5(ターゲットプロXD-47.5)は、既にレビューしているTarget Pro XD-52.5(ターゲットプロXD-52.5)をより扱いやすくしたようなラバーだと思って購入しました。今までは同じラケットで試打してきたのですが、XD52.5はインナーカーボンラケットでも十分に扱いやすかったので、今回のXD-47.5はアウターカーボンで試打することにしました。どこまで扱いやすくなっているのか、楽しみです。
公表性能値
cornilleau(コニヨール)さんの公表性能値を示します。
Target Pro XD-52.5(ターゲットプロXD-52.5)はcornilleauのラバーの中で最もスピン性能もスピード性能も高いスピン系テンションラバーということがよく分かります。また性能や使いやすさとある程度の相関を示す、硬度計による硬度比較を下記に示します。
硬度としては、47.5°なので、全然硬めのラバーと思い気や明らかにテナジーよりも柔らかいですね。驚きなのがGT-X51とほぼ同じような値だったということです。同じメーカーだからでしょうか。やはり進化型ポストテナジーラバーはテナジーよりも重いものの、テナジーに近いような硬度になっていて、ターゲットプロXD52.5は重さは重いもののかなりテナジーに近い値となっていることが興味深いですね。スポンジ口語は52.5とかなり硬いですが、その硬さを感じさせない食い込みの良さがテナジーや類似ラバーの特徴だと思います。
ターゲットプロXD-47.5の重量と貼り
スポンジの色はターゲットプロGT-H47と同じ黄色でした。この当たり意識しているのでしょうね。
ターゲットプロXD-47.5は49 gでした。ラバー全体で70 gということで、一般的な重さですね。今回はアウターカーボンのXIOM製Stradivarius(ストラディヴァリウス)で試打しました。このラケットはラミドカーボンをアウターに配したラケットで要はビスカリアっぽいラケットです。反対面には中国粘着ラバーを貼りました。
Target Pro XD-47.5(ターゲットプロXD-47.5) Spin Tension 裏ラバー ・スポンジ厚:厚(2.0 mm)、極厚(Max) ・スピン:17.5 ・スピード:16.0 ・Sponge硬度:H(47.5) ・8,100円 + 税 ・70 g(切断前) → 49 g(ストラディヴァリウスに貼って)
Target Pro XD-47.5の3つの特徴
今回は久々アウターカーボンです。このアウターカーボンストラディなんですが、やはり自分にはあわないと感じるラケットでした。合板構成のせいか、安いためなのか、よくわからないのですが、かなり弾きやすいラケットに仕上がっていると感じた次第です。中国製粘着ラバーでミートをする、という人にはかなり良いと思うのですが、回転をしっかりかけてボールを沈めたい、と思うと少し回転量不足を感じやすいラバーがこのストラディだと思います。レビューでもオーバーミスが多いことを書いていたと思いますが、やはり似て非なるラケットで、ビスカリアとかティモボルALC系のラケットを購入しようと思うなら、ストラディはあまりオススメしません。
扱いやすい!
予想通りの扱いやすさでした!かなり好感触でした。やりにくい技術はないくらいやりやすいラバーでした。くい込みが良いのでブロックもしやすく、入れるだけであれば非常にやりやすいラバーでした。球持ちもある程度感じるスポンジのくい込みやすさなので、慣れてくるとフリックや乗せ打ちも簡単にできる感じがありました。
シートが強く、回転性能が非常に高い!
特に回転をかけやすくて好感触だったのが、ツッツキ、ストップ、チキータなどの台上になります。特にツッツキはかなり切ることができたので好感触でした。ここまで切ることができるならメインで使ってもいいかもしれません。シートがボールをしっかりグリップして滑りにくいようなものになっているのだと思います。そのため回転性能が高くて、ツッツキもかなり切れました。GT-H47と比べるとかなり回転性能は高くなっていると思います。ループドライブも非常に良く回転がかかり相手が良くオーバーミスしていました。
中間硬度に近いラバーなのにカウンタードライブがやりやすい!
カウンタードライブは非常におさまりが良くて好感触でした。シートがタフでひっかかりが良くて粒も太めのものを採用しているのだと思います。回転性能が高いラバーであると、相手の回転を受けてカウンタードライブは難しいことがあるのですが、このXD47.5はカウンタードライブがかなり安定して打つことができました。シートが強く、相手のボールに負けないのだと思います。ディグニクスにも似たような部分があると感じたラバーで、こんないいラバーがあまり話題になっていないのはもったいないと感じたほどです。
各技術レビュー
フォアハンド系
軽打
ラリーでのドライブ
対上回転のドライブは非常に好感触で、弾みもあるラバーなので非常にやりやすかったです。硬いラケットに会うと感じました。
対下回転に対するループドライブ
思ったよりも弧線が出ないのでネットミスが多かったです。バタフライのラバーや粘着ラバーと比べると弧線がやや弱い印象です。その分しっかり持ちあげないと入りません。そのかわり強めに持ち上げると回転性能の高いラバーなので、硬度や扱いやすさの割に相手が抑えきれなかったりするラバーで面白かったです。
対下回転に対するスピードドライブ
下回転打ちは少し慣れが必要で思ったより回転がかけにくかったです。しっかり打つ癖をつける必要があると思います。
ブロック
やりやすかったです。スポンジはくい込むのですが、シートはしっかりしているのでそこまで相手の回転の影響は受けなかったです。
カウンタードライブ
抜群に良かったのがこのカウンタードライブですね。ディグニクスだと弧線が上がりすぎるのと弾みもあるので、オーバーすることもあるのですが、このXD47.5は非常におさまりが良いかったです。弧線が出にくいのだと思いますね。
ストップ/ツッツキ
非常に好感触でした。ただしスポンジはくい込みが良いので浮くときもあります。しっかりシートで回転をかけた方が安定して低くて質の高い返球ができると思います。
フリック
ボールを持ちやすいのでやりやすかったです。
サービス
思ったより回転がかかって好感触でした。やや柔らかいのでエネルギーロスは感じますが、テナジー並みにかかるイメージでした。
バックハンド系
軽打
特に違和感なかったです。
ラリーでのドライブ
弧線が弱いので少しネットミスが多かったです。普段ディグニクスを使っていることと、あまり弧線を作るようなバックハンドではないためだと思います。慣れればできると思います。
対下回転に対するループドライブ
フォアでも触れましたがネットミスが多かったです。思った以上に上にあげないとボールが弧線を描かず直線的にボールが飛びやすいです。
対下回転に対するスピードドライブ
フォアに同じです。
ブロック
やりやすかったです。弾みもちょうど良くておさまり抜群でした。
カウンタードライブ
やりやすかったです。
ストップ/ツッツキ
結構切れて好感触でした。
チキータ
落ちる気がしませんでした。かなりやりやすかったです。スポンジは柔らかいのでしっかりボールをもって打つことができてやりやすかったです。
他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
Dignics 05 ≧ Q5 > Target Pro XD-47.5 > Rasanter R48 ≧ Tenerrgy 05
スピード
Dignics 05 > Target Pro XD-47.5 > Tenergy 05