レビュー Rasanter V47(ラザンターV47)

説明

 ドイツ製ラバーの中でも抜群の回転性能を感じるのがandro(アンドロ)のRasanter(ラザンター)シリーズになります。androさんは常にスタイリッシュなアパレルとラバーの色で異色の存在感を放つ存在ですね。アンドロは近年明らかに日本でも存在感が際立ってきていると思います。その要因として2017年卓球ワールドカップで水谷隼選手に勝利したり、2019年世界選手権で中国のXu Xin選手(許昕選手、中国)に勝利しているSimon Gauzy選手(シモン ゴーズィ選手、フランス)や、2019年全日本選手権にランカー入りした濱川明史選手の使用用具がアンドロであるという事実があると思います。

RasantからRasanterへ

 アンドロさんは2016年まで、看板として販売していた特徴的な緑色のスポンジのラバーRasant(ラザント)シリーズ(Rasant Grip(ラザントグリップ)、Rasant Power Grip(ラザントパワーグリップ)、Rasant Power Sponge(ラザントパワースポンジ)、Rasant Beat(ラザントビート)、Rasant Turbo(ラザントターボ)、Rasant(ラザント)の6種類)を全て廃盤とし、新たにRasanter(ラザンター)というラインナップを2017年から販売開始しました。ラザントシリーズと同じく緑色のスポンジを採用した新たなフラグシップラバーであるラザンターシリーズ。ラザンターシリーズは回転性能が高く、弧線を作りやすいRシリーズと回転性能に加え、スピード性能も高いVシリーズが存在し、スポンジ硬度が反映した数字をRまたはVの後につけられた名前で販売されています。また他のドイツメーカーに先んじて、Ultra Max(ウルトラマックス)という、スポンジ厚さ2.3 mmとする技術を搭載したラバーラインナップになります。この技術というのは、それ以前ではトップ選手用に適用された技術のようで、シートを現行よりも、さらに薄くしてその分、スポンジを厚くする、といったラバーになります。ラバーは接着層を含めて厚さが4.0 mm以内という国際ルールが存在しますので、スポンジを厚くするためにはシートを薄くする必要があるわけです。シートが薄く、スポンジが厚いラバーの方が、回転とスピードと飛距離が出しやすく、トップ選手受けする性能が出しやすいと言われているそうです。しかしシートを薄くするというのは製造バラ付きが生じやすくそれ以前ではあまり出回っていなかったようです。おそらく最新技術で生産性を上げることができ、結果低価格でシートが薄くスポンジの厚いラバーを生産できるようになり、一般市場へ販売するようになったものと思われます。この技術は日本や世界の卓球用具を牽引し世界標準となるTenergy(テナジー)シリーズを販売するButterfly(バタフライ)さんのラバーにはないようで、バタフライさんはいまだに特厚でもスポンジ厚さは2.1 mmのままとなっています。近年他のドイツメーカーでもシートが薄くスポンジの厚いラバーが増えてきていますね。
 ラザンターは現在までに8種類のラザンターが販売れており、Rシリーズが6種類、Vシリーズが2種類になります。

Rasanterシリーズ

 ラザンターシリーズは、回転系のRとスピード系のVでスポンジ硬度が細かく選べるシリーズのようなネイミングとなっていますが、実際に試打すると想像と異なりました。どうやらスポンジ硬度を変えるともに、シート形状も変更していて打球感や性能、やりやすい技術は異なりました。さらにVシリーズは確かにスピードは速いですがかなりスピン系テンションで回転もかなりかかるので、決してスピード特化のラバーという訳でもありませんでした。katsuo000はR53、R48、R50、R47、V47、R42を試打しており、それらの比較を今後まとめていきたいと考えております。ここでコメントさせていただくことは、R53、R48、R50のシートの粒形状はやや細めで少し球離れの速いと感じる粒形状でした。Dignics 05(ディグニクス05)やTenergy 05(テナジー05)と比較すると球持ちを感じにくいシートの粒形状になると思います。一方で、シートは柔らかく、スポンジも食い込みがかなり良いので、ラバー全体で食い込ませると球持ちを感じるラバーだと思います。
 2017年に販売開始した当初は、R50、R47、R42、R37、V47、V42の6種類でした。さらに2019年10月にEnergy Cell(エナジーセル)技術搭載のR53、2020年5月に同じくエナジーセル技術搭載のR48を新発売しました。現在アンドロさんのフラグシップ的ラバーがR53とR48になりますね。

 ラザンターシリーズで最近注目は、紅(あか)のラザンターのR53とR48だと思います。既にレビューは作成済みですので、あわせてご覧いただけると幸いです。

公表性能値比較

 アンドロさん公表性能値比較になります。アンドロさんはスピードとスピンに加え、コントロールという項目を加えているのが特徴でしょうか。やはりエナジーセル採用のR53とR48は高い性能となっていて注目のラバーになりますね!

 R53のレビューを拝見すると、スピードが出る!というものが多いのですが公表性能値上ではV47の方が、スピードが出ることになっています。既にR53、R48、R50、R47、V47を試打したので分かりますのでコメントしておきますね。R53よりV47の方が単純なスピードは速いと思います。V47の方がとても直線弾道になるため体感以上に速いと思いますね。特にV47の中陣ドライブはかなりのスピードが出る印象です。一方で、R53は弧線を非常に強く描くので、その分体感よりもボールが遅くなる印象です。ボールが相手の台に到達するまでの時間は数値上はV47の方が速いと思います。これは直線弾道によるところが大きいと思います。ラザンターシリーズ中、最速のラバー、それがV47と言えると思いますね!

V47の貼りと重量

 いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

 切る前で70 gをきっていましたが、貼ると思ったより重かったです。実際、どちらかというと回転もしっかりかかるスピード系ラバーだと思いますね。

Rasanter V47(ラザンターV47)
 UMテンション(テンゾーバイオスUM)
 40+ Plastic Ball対応
・Sponge Thickness:1.7 mm、2.0 mm、ULTRAMAX(UM)
・Speed:121
・Spin:119
・Control:88
・Sponge硬度:47°
・6,200円 + 税
・69 g(切断前) → 48 g(張継科ZLCに貼って)

Rasanter V47の3つの特徴

1. スピード系テンションとスピン系テンションの良いところ取りなテンションラバー

 スピン系テンションラバーらしく、思ったより球を持つグリップ力と回転性能があるため、サーブ、ループドライブは想像以上に質が高かったです!正直こんなに回転性能が高いとは思いませんでした回転性能はおそらく、Tenergy 80(テナジー80)やTenergy 05 FX(テナジー05FX)なみにあると思います!それでいて、上回転のラリーでは、かなりミートに近いスピードドライブがド安定しました!V47はスピード性能とスピン性能を両立するラバーだということが1つ目の特徴だと思います!katsuo000のイメージとしては、打ち抜くというよりも回転をかけて安定させようとして使う方が安定感の中にスピードが追加されてとても好感触でした。

2. Rasanter中No.1のスピード性能と直線弾道!

 説明でも触れましたが、V47は最新のエナジーセル技術をもちいたR53やR48よりも高いスピード性能を有します!公表性能値上でもV47の方がスピード性能は高いことになっています。実際、V47は非常に直線弾道ですので、スマッシュのようなスピードのドライブがバンバン入ると感じました。かなり攻撃的だと思います。

3. 食い込みが良く、スピン系テンションなのにハーフボレーやつなぎ、ブロックがやりやすい!

 食い込みが良いので、咄嗟のミート系のボールに対するブロック、ハーフボレー系のつなぎ、がやりやすかったです。ドライブよりもミートを多用するのであれば、かなり扱いやすいと思います!
 このラバーは名前で少し損していてスピード系ラバーではなくスピン系テンションだと思って使った方が性能を活かせて、良いと感じました。テナジー05を使っていて、コスパが良くて回転量をあまり落とさずにスピードが欲しいラバーを探している方にオススメしたいです。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 硬さはそこまで感じません。同じ硬度のR47の方がより硬いと感じると思います。

ロングボールやラリーでのドライブ
 回転量よりもスピード性能に任せたドライブが好感触でした。ノータッチが狙えるくらいの速いスピードドライブが可能です。このスピード性能は、Omega VII(オメガ7)シリーズに匹敵するスピード性能だと思います。

面を開いたドライブ
 食い込みが良いのでフォアではかなり好感触でした。少ない力で容易にドライブが打てました。

対下回転に対するループドライブ
 少し弧線が低いと感じますが、フォアなら十分なグリップ力があり、質の高いループドライブは十分可能でした。

対下回転に対するスピードドライブ
 対下回転スピードドライブは、思ったより難しかったです。食い込みが良い分、回転の影響を受けやすいラバーでもあるようで、しっかり体で打つ必要があると思います。

カーブ/シュートドライブ
 弧線が低いので、あまり曲がる印象はありませんでした。

ブロック
 柔らかいので、ミート系のボールに対するブロックはかなりやりやすかったです。逆にループドライブに対するブロックは少し回転の影響を受けやすいので回転をいなすなり、上書きするなり、技術が必要だと感じました。

カウンタードライブ
 打球点を落とさずに上昇期に捉えてミート気味にドライブするのが好感触でした。上書きしようとすると飛距離が出過ぎる印象です。

ストップ
 ストップは食い込みがかなり良いので、シートだけで捉えるようにしないとかなり浮きました。

ツッツキ
 ストップ同様で、ツッツキも浮きやすかったです。

フォアフリック
 柔らかい分、球を持てるので、角度打ちしやすいと感じました。

バックハンド系

軽打
 バックハンドで使うとなると少し硬めだと思います。

ロングボールやラリーでのドライブ
 回転系ではなくスピード系がやはり好印象でした。

対下回転に対するループドライブ
 思ったより食い込むので、最低限の質のループドライブができると感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 逆にスピードドライブはかなり難しかったです。インパクト不足だと思います。

カーブ/シュートドライブ
 直線的で曲がる印象はありませんでした。

ブロック
 ミート系のボールに対するブロックはやりやすかったです。ループドライブに対するブロックは難しかったですね。

カウンタードライブ
 R48よりもカウンターしやすいと感じました。カウンターミートもやりやすかったです。

ストップ
 フォアストップ同様、浮きやすかったです。

ツッツキ
 こちらも同様に浮きやすかったです。

チキータ
 かなり攻撃的でスピードのあるチキータができました。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 R53 > Tenergy 05 ≧ V47 > Tenergy 64

スピード
 Tenergy 64 > V47 > R53 > Tenergy 05

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