「進化が圧倒する。」ってこういうこと!ディグニクスとテナジーの違い

ディグニクスシリーズ ~進化が圧倒する~

 2019年4月1日にDignics 05(ディグニクス05)が発売され、多くのトップ選手が使用するディグニクスシリーズ。世界標準であるTenergy(テナジー)シリーズを超えるラバーとして発売されたディグニクスシリーズは、東京オリンピック2020の男子シングルスのベスト4の4人の選手のうち3人が使用しています。明らかにテナジーを超える存在であるディグニクスシリーズは今後世界標準となっていくのでしょう。

ディグニクスの公表性能値と硬度比較からわかる特徴

公表性能値&公表スポンジ硬度

・Dignics 09C(ディグニクス09C)
 Spin:13.00、 Speed:13.00、 スポンジ硬度:44(Butterfly基準)、ラバー重量:50 g
・Dignics 05(ディグニクス05)
 Spin:12.00、 Speed:13.50、 スポンジ硬度:40(Butterfly基準)、ラバー重量:48 g
・Dignics 80(ディグニクス80)
 Spin:11.75、 Speed:13.75、 スポンジ硬度:40(Butterfly基準)、ラバー重量:48 g
・Dignics 64(ディグニクス64)
 Spin:11.00、 Speed:14.00、 スポンジ硬度:40(Butterfly基準)、ラバー重量:45 g
・Tenergy 05(テナジー05)
 Spin:11.50、 Speed:13.00、 スポンジ硬度:36(Butterfly基準)、ラバー重量:47 g

 公表性能値からわかることは、ディグニクスシリーズはテナジーを上回るラバーであることですね。テナジー05と比較してスピード性能の劣るディグニクスはありません。回転性能も、ディグニクス64のみややテナジー05に劣るだけで、テナジー05と比較して、ディグニクスシリーズの極めて高い回転性能がよくわかります。スピード性能も回転性能も上回るということは、ディグニクスシリーズがテナジーを超えるラバーであることを示しています。
 一方で、スポンジ硬度はディグニクスシリーズよりもテナジー05の方が柔らかいこともわかります。硬度が硬いラバーほど扱うことが難しくなります。つまりこれは、テナジー05よりもディグニクスシリーズの方が使いこなすことが難しいことを示しますね。

硬度計比較

・Dignics 09C(ディグニクス09C)
 硬度計評価 shore a (sheet):33.4、 shore a (sponge):31.8
       shore c (shhet):50.8、 shore c (sponge):49.1
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 1.6
・Dignics 05(ディグニクス05)
 硬度計評価 shore a (sheet):34.3、 shore a (sponge):31.3
       shore c (shhet):50.0、 shore c (sponge):48.2
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 3.0
・Dignics 80(ディグニクス80)
 硬度計評価 shore a (sheet):33.1、 shore a (sponge):29.5
       shore c (shhet):48.6、 shore c (sponge):47.7
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 3.6
・Dignics 64(ディグニクス64)
 硬度計評価 shore a (sheet):32.3、 shore a (sponge):28.4
       shore c (shhet):48.0、 shore c (sponge):46.7
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 3.9
・Tenergy 05(テナジー05)
 硬度計評価 shore a (sheet):32.2、 shore a (sponge):26.8
       shore c (shhet):44.6、 shore c (sponge):43.3
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 5.4

1つ目の図は横軸に重量、縦軸にshore cの硬度をプロットしています。ディグニクスシリーズはやはり、テナジー05と比較しても明らかに硬いことがわかりますね。公表スポンジ硬度と同じ結果となります。ただし、スポンジ硬度だけでなく、シート形状に由来する硬さの影響も加味した結果でもありますので、同じスポンジ硬度でもディグニクス64が最も柔らかく、回転性能の高いディグニクス05はディグニクスの中でも硬いことがよくわかります。

 2つ目はshore aのシート側の硬度とスポンジ側の硬度の差を縦軸にプロットしています。このshore aのシート側とスポンジ側からの硬度の差は、扱いやすさ、ラバー全体へのくい込みやすさを客観比較できる数字である、とkatsuo000は考察しています。あるいは、shore cの値が同じくらいのラバーがあった場合、shore aのシート側とスポンジ側の差を比較し、その差が大きいラバーほど、くい込みの良さやシートの柔らかさを感じる、と考察しています。そのようにラバー全体へのくい込みやすさと考えた時、ディグニクスシリーズよりもテナジー05の方がボールがくい込みやすいことを示唆していると考えます。同じ硬度のスポンジを使用していても、ディグニクス64はくい込みやすく、ディグニクス05はくい込みにくいことも示唆します。テナジーを超えるために、ディグニクスシリーズは、くい込みの良さを諦め、ラバー全体を硬くしてスピード性能とスピン性能を高めたラバーといえるでしょう。

ディグニクスとテナジーの違い

 実際にディグニクスとテナジーを比較試打した場合に以下のことが言えると思います。またディグニクス09Cと対応するテナジーが存在しないため、 ディグニクス09Cは何をテナジーと比較するのか難しいです。逆にディグニクス09Cを除くディグニクスとテナジーとの比較では当てはまると思います。

ディグニクスシリーズ
 メリット
 ・テナジーとほぼ同じ重量で、テナジーよりも明らかに回転量もスピードも上回るラバー。
 ・テナジーシリーズよりも相手の回転の影響を受けにくいラバー。
 ・テナジーよりもシートの寿命が長い。

 デメリット
 ・テナジーシリーズよりも扱いが難しい暴れ馬。特にディグニクス05は難しい。
 ・ラケットとの相性がある。
 ・価格もテナジーより高い。
テナジーシリーズ
 メリット
 ・世界標準。世界中の選手が使用するラバーであり、常に比較の対象であった。
 ・ディグニクスシリーズよりも扱いやすい。
  台上から中・後陣、サーブレシーブなど総合的なバランスが取れたラバー。
 ・球持ちをしっかり感じやすく、緩急をつけやすい。
 ・ラケットを選ばず、どんなラケットにあわせても高い性能を示す。

 デメリット
 ・ディグニクスよりも寿命が短い。使っていなくてもシートの劣化が顕著に表れる。
 ・回転性能が高い分、相手の回転の影響もうけやすい。
 ・自分の力をしっかり伝えやすいので、当てるだけのボールは、棒球になりやすい。

 上述がkatsuo000の考えるディグニクスシリーズのメリットとデメリット、テナジーシリーズのメリット・デメリットになります。日本のトップ選手はディグニクスへ移行する選手も多い一方で、海外の契約選手はテナジーを継続する選手も多い印象があります。ヨーロッパの選手はラリー主体でダイナミックな卓球をする選手が多く、その際にくい込みの良さを求めるためだと思います。日本のトップ選手はダイナミックな卓球をしないわけではないですが、身長や体格に恵まれた選手は多くはないので、自然と台から離れると不利になりやすく、カウンターや前陣での強打時におさまるディグニクスを選択する方が多いのだと考察してます。使いこなせるのであれば、ディグニクスは良い選択となるでしょう。

 またディグニクスシリーズには、ディグニクス09Cという、粘着テンションラバーも存在します。ディグニクス09Cはテナジーシリーズにはなかったラバーであり、スピード性能はどうしても低いですが、その分、相手のボールを上書きする性能の高さが高いラバーと言えるでしょう。カウンタードライブや相手の回転を利用する技術は現代卓球において重要な技術であり、カウンタードライブや相手の回転を利用する技術がやりやすいディグニクス09Cは異質な存在でありながら認知度や人気の高いラバーとなっています。シートの粒と粒の間がやや広い形状になっていて、硬度の割には扱いやすくくい込みの良さも感じられるラバーだと思います。スピード性能を補うためにアウターカーボンやブレード厚さの厚いラケットとの組み合わせがオススメになります。

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 ディグニクス05はテナジー05が進化したラバーであり、テナジー05の高いスピン性能を継承しつつ、ディグニクス系ラバーの中でシートにだけくい込ませるイメージで打球した際に最も球持ちとグリップと高い回転性能が得られるラバーだと思います。扱いも難しく、ディグニクスシリーズの中でも扱いにくさはトップレベルになります。その分、ツッツキやストップは粘着ラバーなみに切れますし、浮きにくく、ドライブはスピードも回転量も極めて高いです。テナジーと比較するとやや直線的になりやすいラバーです。弧線を補うためにアリレートカーボン(ALCやアラミドカーボン、ケプラーカーボンもOK)系のアウターラケットまたはインナーラケット、および最新技術セルロースナノファイバーを採用したラケットと組み合わせることがオススメになります。

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 ディグニクス80は、ディグニクスシリーズの中で最も人気のあるテンション系ラバーだと思います。その理由はテナジーを超えるスピード性能と回転性能、およびディグニクス05よりも扱いやすいと3拍子が揃っているためだと思われます。打球感はテナジー80ではなくて、ディグニクス05とテナジー05を足して2で割ったものに近く、球持ちを感じやすいラバーになります。テナジー05をバックサイドに使っていた人には、テナジー05の進化版として、ディグニクス80の使用をオススメします。

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 ディグニクス64は、ディグニクスシリーズの中で最もスピード性能の高いラバーになります。ディグニクスシリーズの中で最もくい込ませやすく、扱いもしやすいラバーになります。その分、スピン性能やボールの威力は落ちる印象はありますが、高い安定感とスピードで、相手を圧倒できるラバーといえるでしょう。スピード性能は高いですが、ツッツキやストップも思ったよりやりやすいと感じるラバーでした。弧線を補うために木材やインナー系ラケットとの使用をオススメします。

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