説明
Evolutionシリーズはドイツの卓球用具メーカーTIBHAR(ティバー)のトップ選手用のラバーシリーズになります。スポンジ硬度で3種類、シートの種類で2種類で、スポンジ硬度3種×シート2種で6種類のEvolutionシリーズが存在します。スポンジ硬度が最も柔らかいFlexible(フレキシブル、FX)、中間高度のElastic(エラスティック、EL)、ハードなMaximum(マキシマム、MX)と、パワー系のシート(P)およびスピン系の微粘着シート(S)ですね。今回レビューするEvolution MX-P 50°(エヴォリューション マキシマムパワー50°)はトップ選手も多く使用している、ティバーのフラグシップラバーのようなラバーになります。
Evolution MX-Pはティバーと契約する多くのトップ選手が使用するラバーで、以下のような選手が使用しています。
・Vladimir Samsonov(ブラディミル サムソノフ)選手(ベラルーシ) ・Paul Drinkhall(ポール ドリンコール)選手(イングランド) ・田添響選手
ベラルーシのサムソノフ選手といえば、現在44歳で、なお現役で活躍するヨーロッパの「巨人」ですね。40代で今なお現役で非常に安定感のあるバックハンドと長身の強烈なフォアハンドドライブが特徴で、プレースタイルはブロックとカウンターを軸にしたスタイルになります。過去に世界ランキング1位を何度も経験していて、ヨーロッパ大会では未だに上位入賞する実力を有します。
またドリンコール選手はイングランドNo.2の若手の選手で、レシーブチキータと中陣からのフォアハンドドライブやカウンタードライブが特徴の選手です。世界団体などで日本チームはイングランドのドリンコール選手に苦しめられたりしていますね。
このようにヨーロッパのトップ選手がTIBHARと契約して第一線で活躍しています。TIBHARはドイツのメーカーで、日本では少し知名度は低いですが、ヨーロッパにおいては選手を支える確かな存在感のあるメーカーと言えるでしょう。
性能値
公表性能値を比較してみましょう。
*非常にわかりにくくて申し訳ありません。Evolution MX-P(エヴォリューションMX-P)とEvolution MX-S(エヴォリューションMX-S)のスピード、スピン性能が同値であるため、同じ場所にプロットされています。
Evolution MX-P 50°は、TIBHARのラバーの中でも最速のスピード性能だということがわかると思います。また高い回転性能はそのままですね。katsuo000としては、硬いラバーの方が回転がかかると感じ、硬いラバーの方がスピードを出すのが難しいと感じます。ドイツメーカーの公表性能値では柔らかいラバーなので回転がかけやすいために、スピン性能が高いということも散見されます。Evolution EL-Sを試打したわけではないですが、MX-P 50°はスポンジが硬いので回転性能は公表性能値以上に期待しても良いと思います。実際、回転性能は高かったと感じました!
MX-P 50°の貼りと重量
いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。
久々に200 gに達しましたね。かなり重たいです。
Evolution MX-P 50°(エヴォリューションMX-P 50°) 回転系テンション OFF+ ・Sponge Thickness:2.1 mm ・Speed:128 ・Spin:120 ・Control:75 ・Sponge硬度:50° ・6,000円 + 税 ・78 g(切断前) → 54 g(張継科ZLCに貼って)
貼ったラケットの印象としては、なんと、200 gと感じられないくらい軽く感じました。これは張継科ZLCがグリップ側に重心があるためなのか、MX-P 50°がラバーの名前が入っているグリップ側部分をあえて重くしているのか、理由はよくわかりません。持った感想としてはかなり不思議な感じでした。
Evolution MX-P 50°の3つの特徴
1. 球持ち&打球感がTenergy 05に酷似!
Evolution MX-Pでのレビューでも記しましたが、とにかくTenergy 05(テナジー05)の打球感にかなり酷似しています。おそらく、このEvolutionシリーズがテナジーシリーズを参考にしながら開発されたのだと思いますね。回転性能の高いRasanter(ラザンター)シリーズやXIOM(エクシオン)のハイエンドラバー、Omega(オメガ)シリーズは、それぞれドイツ製ラバーでも独特の打球感でしたが、このEvolution MX-PおよびEvolution MX-P 50°はテナジー05に本当に似ています。もしテナジーに似た打球感のラバーを探しているなら一度は試してみても良いラバーでしょう。
2. マッドな打球感で質の高い回転量
Evolution MX-P 50°はスポンジが硬いので、ループドライブ時やサービス時の回転量は非常に満足するものでした。MX-Pと比べるとMX-P 50°の方がより回転がかかっていたと思います。この回転量を得るために50°を選択するのはアリだと思います。
3. 50°のスポンジで相手のボールに負けない!
Evolution MX-P 50°はMX-Pらしさをそのまま継承しながら、相手のドライブに対するカウンターやスピードドライブなど、スポンジに強く食い込ませる技術の時に、より真価を発揮すると感じました。MX-P 50°は、強くスポンジに食い込ませても、ラケットに届いた打球感になりにくく、強く食い込ませながらドライブをかけることがやりやすいと感じました。katsuo000は、この食い込ませても板に届くか否かが、ボールに負けるか負けないか、という感覚にリンクしています。柔らかいラケットやラバーを使っていると食い込みすぎて逆に弧線を作ることが難しかったりすることがありますが、そういったことがMX-P 50°では少ないと感じました。Tenergy 05 Hard(テナジー05ハード)でもやはり強く食い込ませた時に違いが出てくるように思いますが、MX-P 50°も同様と言えると思います。
各技術レビュー
フォアハンド系
軽打
あまり硬さを感じませんでした。そもそもMX-Pもまずまず硬いラバーですので、正直MX-P 50°が難しいという感覚もあまり感じませんでした。
ロングボールやラリーでのドライブ
負けないですね。MX-Pだとスピードドライブを打とうとすると、ラケットに到達しやすく回転量が落ちると感じましたが、MX-P 50°の方が回転とスピードの両立がしやすかったです。
面を開いたドライブ
面を開くとよりラバーに食い込ませやすくなるので、MX-PよりもMX-P 50°の方が回転量のあるドライブが打てていたと思います。
対下回転に対するループドライブ
非常に球持ちを感じやすいラバーですので、低くて高い回転量のループドライブがやりやすかったです。
対下回転に対するスピードドライブ
これもやりやすかったですね。弧線を作りやすいので、スピードドライブでもインパクトさえあれば安定させることができると感じました。
カーブ/シュートドライブ
非常に素直なラバーなので、素直にカーブドライブ、シュートドライブができて苦もなく、良さもなくでした。MX-Pと比べるとMX-P 50°の方がガツっとカーブドライブさせた時のボールの回転量は多かったです。
ブロック
思ったよりやりやすいと感じました。ただ回転の影響を受けやすいシート/粒形状ですので、回転の影響は受けるのも感じました。テナジー05と比べると影響を受けにくくやりやすかったです。
カウンタードライブ
非常にやりやすかったですが、Dignics 05(ディグニクス05)とかV>15 Extraのような、回転量をある程度無視できるやりやすさではなく、回転をかけ返す打球感覚が非常に良かったです。半歩下がって、頂点付近を上書きカウンタードライブするのが非常に良かったです。
ストップ
MX-Pよりもやりやすかったです。スポンジが硬いために弾まないですね。
ツッツキ
これも低くおさまりました。
フォアフリック
硬いので球離れが早いので、しっかり乗せた方がやりやすいと感じました。
バックハンド系
軽打
そこまで50°の硬さを感じませんでした。
ロングボールやラリーでのドライブ
ドライブになると、球離れの早さを感じやすかったです。
対下回転に対するループドライブ
バックハンドでも十分対応できる球持ちで良好な打球感でした。
対下回転に対するスピードドライブ
少しインパクトが足りず、スピードドライブが難しいと感じました。
カーブ/シュートドライブ
ブロック
回転の影響は少なくやりやすかったです。好きな打球感でした。
カウンタードライブ
球を持つので回転をかけようとしてオーバーミス、逆にミート気味にカウンタードライブしようとするとネットミス、と調整が少し難しかったです。
ストップ
これはやりやすかったです。回転はあまりかかっていないと感じました。
ツッツキ
やりやすいですが、回転量は少なめでした。
チキータ
非常にやりやすかったです。弧線もちょうど良い高さでした。
他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
Tenergy 05 Hard > Evolution MX-P 50° ≧ Tenergy 05
スピード
Tenergy 64 > Evolution MX-P 50° > Tenergy 05 Hard
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