レビュー Hurricane NEO II (普狂NEO2、40°、2.2 mm)

 キョウヒョウNEO2 (紅双喜(DHS))のレビューになります。俗にいう、普狂というやつです。一般普及品で、品質は高くないですが、硬く弾まず、愛用者も意外と多いラバーになりますね。もちろん、katsuo000は有機溶剤を使わない貼り付けでのレビューになりますので、よろしくお願いします。

説明

 中国の総合スポーツメーカーDouble Happiness Shanghai (DHS、紅双喜)のラバーで、中国代表の選手はほぼ皆DHS製のラバーを使用していますね。中国卓球を語る上で今や避けては通れない粘着ラバーの代表的な存在がHurricane (キョウヒョウ)になります。DHSが販売する粘着ラバーは2種類あって、もう1種類はSky Line (天極)になります。天極は主に中国選手ではペンホルダードライブ主戦型の選手が使用しているようですね。ペンホルダーは遠心力を使ってシェイクハンドよりも回転量の多いボールが打てるため、天極は弾みの強いラバーになっているそうですね。現在の現役の選手ではXu Xin (許昕)選手が天極を使用していると言われます。一方、主に中国選手でシェイクハンドドライブ主戦型の選手がキョウヒョウを使用するようです。キョウヒョウと冠されるラバーはいくつか存在し、かなり紛らわしいのですが、基本的には非常にマッドな打球感で、これぞ粘着ラバーという感じのラバーです。katsuo000のレビューでは、現在までに省狂NEO3ブルースポンジをレビューしており、人気の記事となっております。改めてキョウヒョウの種類について、説明させていただきます。

Nittaku製Hurricane (キョウヒョウ)

 中国トップ選手はDHS製を使用していますが、日本ではNittaku (ニッタク)もキョウヒョウという名前のラバーを販売しています。同じ名前ですが、基本的には別物だと考えてください。唯一2021年ごろ発売のキョウヒョウ3国狂ブルー (Hurricane III National Rubber Blue Sponge)は、DHS製のいわゆる中国トップ選手も使用するラバーと同じ品質のラバーになりますね。Nittaku製のキョウヒョウは中国製の粘着シートに日本製のやや柔らかめのスポンジを組み合わせたものが主流で、扱いやすい分やや回転量や癖球が出にくいラバーとなっています。初中級者で導入として使用するのは非常にオススメのラバーになるでしょう。

 2020年時点でNittaku製キョウヒョウは、以下のラインナップとなっていました。
・Nittaku Hurricane II(ニッタク キョウヒョウ2)
・Nittaku Hurricane III(ニッタク キョウヒョウ3)
・Hurricane Pro II(キョウヒョウプロ2)
・Hurricane Pro III(キョウヒョウプロ3)
・Hurricane NEO III(キョウヒョネオ3)
・Hurricane Pro III Turbo Orange(キョウヒョウプロ3ターボオレンジ)
・Hurricane Pro II Turbo Blue(キョウヒョウプロ3ターボブルー)

 計7種類ですね。

 Nittaku製のキョウヒョウは、スポンジ厚さとシートの色(赤・黒)を選ぶことになります。Nittaku製のキョウヒョウは、中国製のシートに日本製のスポンジをあわせているようなので、食い込みやすく比較的扱いやすい傾向があります。自分がNittaku製キョウヒョウの中からラバーを選ぶとしたら硬くて粘着力も強いプロを冠するシリーズを選ぶと思います。プロ2やプロ3は全然弾まなくて、硬くて重い傾向にあるので、まさにド粘着というラバーになります。上手に使いこなせばド粘着の癖球も出やすいと思います。

SpinSpeedSponge
Stiffness
Hurricane III National Rubber Blue Sponge
キョウヒョウIII国狂ブルー
15.0014.7542.5
Hurricane Pro III Turbo Blue
キョウヒョウプロIIIターボブルー
15.0014.7550.0
Hurricane Pro III Turbo Orange
キョウヒョウプロIIIターボオレンジ
15.0014.7545.0
Hurricane Pro III
キュウヒョウプロIII
15.0010.2542.5
Hurricane Pro II
キョウヒョウプロII
15.5010.0042.5
Hurricane NEO III
キョウヒョウNEO III
15.0011.2542.5
Nittaku Hurricane III
ニッタクキョウヒョウIII
14.5010.2537.5
Nittaku Hurricane II
ニッタクキョウヒョウII
15.009.7537.5

↓Hurricane Pro III Turbo(キョウヒョウ プロ3ターボ)シリーズ(Hurricane Pro III Turbo Blue (キョウヒョウプロ3ターボブルー)とHurricane Pro III Turbo Orange(キョウヒョウプロ3ターボオレンジ))は同じスピードとスピン性能になります。

 DHSのキョウヒョウNEO3に戻ります。

DHS製Hurricane(キョウヒョウ)

DHS製のHirricane(キョウヒョウ)は、
・Hurricane II(キョウヒョウ2)
・Hurricane III(キョウヒョウ3)
・Hurricane III-50(キョウヒョウ3-50)
・Hurricane 8(キョウヒョウ8)

・Hurricane 9(キョウヒョウ9)
・Hurricane NEO II(キョウヒョウNEO2)
・Hurricane NEO III(キョウヒョウNEO3)

などが存在します。
 上記6種類に加えて、細かく販売時の (一般用省チーム用国チーム用)スポンジオレンジホワイトブルー)、スポンジ厚さスポンジ硬度を選択することになると思います。以下キョウヒョウNEO3について、主に記述していきます。

形(一般用省チーム用国チーム用)

 個人的に最も変わると感じる選択肢が販売時の一般用か、省・国チーム用か、の部分になります。一般用は八角形省チーム用は六角形国チーム用は四角形、で面積は 八角形 < 六角形 < 四角形 となります。以下写真になりますのでご参考ください。

一般用 = 八角形

一般用Hurricane NEO III(キョウヒョウNEO3) → 本ページでレビューするキョウヒョウ

省チーム用 = 六角形

省チーム用Hurricane NEO III Blue Spone(キョウヒョウNEO3ブルースポンジ)

国チーム用 = 四角形

国チーム用Hurricane NEO III(キョウヒョウNEO3)

写真のように、販売されているラバーの形が異なっており、見る人が見ればどのランクのラバーかわかるようになっています。

スポンジ(オレンジホワイトブルー

オレンジスポンジ

 まず標準的なスポンジオレンジスポンジになりますね。一般用から国用まで、どのクラスのラバーもオレンジスポンジのラバーが存在します。初めてキョウヒョウを使おうという人は、まずはこのオレンジスポンジのキョウヒョウを使うことになると思います。硬くて、食い込みにくいですが、キョウヒョウらしい癖球も出しやすく、一般用から国用まで、しっかりとしたド粘着ラバーになります。特にNittaku製のキョウヒョウと比較しても癖球の出やすさが段違いで、別ラバーと感じると思います。

ホワイトスポンジ

 ホワイトスポンジのキョウヒョウについて、確かな情報を得ておりません。しかしながら数は少ないものの流通しているようです。バック側で使うためのラバーのようで、柔らかい硬度のものが流通しているようです。かなり特殊で希少性の高い種類がホワイトスポンジのキョウヒョウになります。

ブルースポンジ

 スポンジは、省チーム用または国チーム用ブルースポンジが存在します。シートの色は黒色のみになります。赤色シートにブルースポンジをあわせると、赤色シートが透けてしまうため、赤色シートのブルースポンジはないと言われていますね。よく中国のトップ選手がフォア面に使用するラバーはほぼ全員青色ブルースポンジだと思います。まさに、トップ選手たちは、この特殊なブルースポンジのキョウヒョウを使用されているわけですね。ブルースポンジの方が同じ硬度でも食い込みやすく、スイングで弧線を作りやすいと感じると思います。従ってフォア側で使用することが多いラバーになるのだと思います。

スポンジ硬度とスポンジ厚さ

スポンジ硬度

 近年のラバーはスポンジ硬度を選べる種類のラバーも増えました。例えば、Butterfly(バタフライ)のTenergy 05(テナジー05)にはTenergy 05 FX(テナジー05FX)とTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)存在します。スピード性能とスピン性能は同じですが、スポンジ硬度が違うために、やりやすい技術や回転量の幅、スピードが異なってきます。テナジー05は3種類から選べるわけですね。一方、DHSのキョウヒョウのスポンジ硬度の選択肢はかなり多いです。

 一般的なキョウヒョウNEO3の硬度の選択肢は39°、40°、41°の3種類になります。一方で、ネット上で種類を探していくと、硬度の種類は35°から42°まであるようですね。1°ずつ変えられるとして、7種類はあることになります。これだけ種類があると、かなり細かく硬度を選択できることになりますね。

スポンジ厚さ

 一般的なラバー、例えば、テナジー05では特厚、厚、中の3種類になります。キョウヒョウNEO3も同じく2.20 mm、2.15 mm、2.10 mm、と大きくは3種類になりますね。

価格と追記

 値段の話をさせていただきます。一般用の八角形のキョウヒョウは、ネット通販なので3,000円台で購入可能です。Nittaku製キョウヒョウよりも癖球が出やすいですが、食い込みにくいので、扱いにくくかつ飛距離が出しにくいです。一方で、省チーム用や国チーム用になると、値段が跳ね上がり、省チーム用で5,000円〜6,000円、国チーム用で8,000円くらいになります。硬度にもよりますが省・国チーム用のラバーは食い込みやすく扱いやすくなっていきます。スポンジをさらにブルースポンジにすることで、値段がまた高くなりますが(省チーム用で8,000円、国チーム用で10,000円以上)、食い込みもよくなってかなり扱いやすくなると思います。
 中国トップ選手は、おそらくこの国チーム用のキョウヒョウへ前(or 後)加工をしていると言われています。

DHS製キョウヒョウのまとめ

DHS製のHirricane(キョウヒョウ)は、
・Hurricane II(キョウヒョウ2)
・Hurricane III(キョウヒョウ3)
・Hurricane III-50(キョウヒョウ3-50)
・Hurricane 8(キョウヒョウ8)

・Hurricane 9(キョウヒョウ9)
・Hurricane NEO II(キョウヒョウNEO2)
・Hurricane NEO III(キョウヒョウNEO3)

などが存在し
 国、省、一般(3種)
 スポンジ(オレンジ、ホワイト、ブルー 1 or 2 or 3種)
 スポンジ硬度(35°〜42° 約7種)
 スポンジ厚さ(2.10 mm、2.15 mm、2.20 mm 3種)
と、6 × 1(or 2 or 3)× 2(or 3)× 7 × 3 = 378の選択肢があります。
 上記から、わかるようにDHS製のキョウヒョウは仕様がかなり細かいです。おそらく各選手ごとに細かく仕様を変更しているものと思われます。Butterfly(バタフライ)でも、契約選手は硬度や重量を指定したものを扱っていると言われています。従って、DHSの対応は選手ファーストな考え方によるものだと思います。

 最後に、簡単にキョウヒョウについてコメントさせていただき、DHS製キョウヒョウの総括とさせていただきます。
・Hurricane II(キョウヒョウ2)
 強粘着 回転はかかる分、弾まない
・Hurricane III(キョウヒョウ3)

 微粘着 扱いやすいキョウヒョウの中で標準的なキョウヒョウ
・Hurricane 8(キョウヒョウ8)

 微粘着 ややテンションがかかっていて 弾む
・Hurricane NEO II(キョウヒョウNEO2)

 強粘着 已打底あり
・Hurricane NEO III(キョウヒョウNEO3)

 微粘着 已打底あり 現在最も標準的なプラボール対応のキョウヒョウ
 キョウヒョウの中でも弾むキョウヒョウ それでも高弾性ラバーほどしか弾まない

硬度計による比較

Weight Shore a
(sheet)
Shore a
(sponge)
Shore c
(sheet)
Shore c
(sponge)
sheet-sponge
(shore a)
sheet sponge
(shore c)
Hurricane NEO III
National Rubber
Blue Sponge
(国チーム用
キョウヒョウ3
ブルースポンジ
国狂3
ブルースポンジ)
4836.938.251.152.1-1.25-1.00
Hurricane NEO III
普狂NEO3、41°
5131.633.946.747.8-2.33-1.17
Hurricane NEO II
普狂NEO2、40°
5131.535.048.148.2-3.50-0.08
Dignics 09C5033.431.850.849.11.581.67
Omega VII China Ying
オメガVIIチャイナ影
5734.332.650.550.31.670.17

 表からわかるように、キョウヒョウはシートよりもスポンジの方が硬いラバーになっています。またキョウヒョウNEO3、41°よりもキョウヒョウNEO2、40°の方が硬い値となりました。このあたりは個体差の影響がもろに出たのではないかと予想しております。シートよりもスポンジの方が硬いラバーの話に戻りますと、同じようなラバーはGolden Tango (ゴールデンタンゴ)が挙げられると思います。かなりシート側が柔らかくて、非常に球持ちを感じやすいラバーになっていました。キョウヒョウは扱いやすさでいうと、好みが出るラバーですが、球持ちという点では非常に球を持つと感じやすいラバーであることは確かだと思います。

普狂IIの貼りと重量

 やはりキョウヒョウはアウターカーボンに貼らないと、ということで、今回、WRMさんで購入した銀河のVenus V-14 (金星V-14)に貼りました。また、今回、中国ナショナルチームが使用するというNittaku製Fine Zipを使って貼りました。トロトロ系の接着剤で、Yasaka (ヤサカ)ののりすけさんと比べるとだいぶ重くなる接着剤ですね。Fine Zipは慣れていないと塗って貼るのもミスしやすい接着剤なので使用の際は自己責任でお願いします。粘着ラバーユーザーの中には、Fine Zipにこだわる人もいるようです。ちなみに自分は1回塗りです。

Hurricane NEO II (キョウヒョウNEO2)
・Sponge Thickness:2.10/2.15/2.20 mm
・Sponge硬度:40.0°
・63 g(切断前) → 51 g (Fine ZipでVenus V-14 (金星V-14)に貼って)

 Fine Zipで貼ると重いですね!この重量が良いと感じるかは人によると思います。

普狂NEOII 2.20 mm 40°の3つの特徴

強粘着シートとスポンジのモチモチ感で球持ち抜群のラバー!

 ラケットが異なりますが、普狂NEO3と比較すると硬度が柔らかいこともありますが、非常にモチモチしている打球感だと感じました。またNEO2のシートは強粘着なんですね。強い強粘着シートと、打感のモチモチ感で球持ちは抜群でした!球持ちの良さから、3球目ドライブ、ループドライブ、バックハンドドライブ、チキータの安心感は素晴らしかったですね。スポンジの硬さもありますが、普狂NEO3は、球離れがやはり早いんですね。ただ粘着ラバーであり弾みが弱いのがキョウヒョウですので、NEO2は、攻撃力はさらに下がるといってもいいのかもしれません。このあたりは好みとラバーの特徴でしょう。NEO2シリーズはブルースポンジがない、というよりもなくても非常に球持ちがあるといえるのかもしれませんね。

ロングサーブもどんなサーブも上書きツッツキ&上書きドライブ可能!

 練習相手のボールに慣れているということもあったのかもしれませんが、ロングサーブもショートサーブもガンガン上書きツッツキできる感じがありました。というか初めにストップの感触を調べようとしたら、止まりすぎて驚きました。ネットミスを2、3回連続してしまうくらい止まるんですよね。こういうラバーを使うと直感的に思い切りツッツキしてやろうとなりますよね。案の定、非常に感触がよくてブチブチ上書きツッツキが決まりましたね。もちろんドライブもやりやすくて、弾まないので上書きドライブがやりやすかったですね。相手の回転を無視してツッツキやドライブできるラバーとしてキョウヒョウNEO2 (普狂NEO2)はありだと思いました。

ドライブの癖が嫌らしい!

 ラリーで思い切りぶつけてドライブを打つと、癖球が出ている手ごたえが確かにありました。また相手もボールが重いということを教えてくれましたね。ぶつけてドライブしたときの打球感も悪くはなくて球を持つ感じを感じました。ただボールはかなり遅いですね。その分、癖の強いボールが相手コートに行っている感じがありました。この癖は、上級者は苦ともしないかもしれませんが、中級者層には嫌だと感じると思います!

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 もう軽打から、弾まないです。

ロングボールやラリーでのドライブ
 打感はマッドですが、球持ちもあるので、ぶつけ打ちドライブの感覚を掴みやすいような気もしました。アウターカーボンにあわせてますので、多少下がっても十分に使える感じもありましたね。

面を開いたドライブ
 この打ち方ができないと、キョウヒョウは使いきれないです。巻き込んでしまうと味が出ないので、しっかり面を開き、気持ちシュート回転をかけるようにドライブをするのがコツだと思います。多少つまっても回り込んでシュートドライブが結構鉄板な打ち方になると思いますね。NEO2もこの面を開いてくい込ませることで良いドライブが打てると思います。

対下回転に対するループドライブ
 これだけで点数を取れると思います。猛烈な回転量、弾まないので、低く浅いループドライブがオートマで打てると思います。普狂NEO3よりもさらにやりやすくなっていると思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 アウターカーボンなので、まずまず打ちやすかったですね。相性も良さそうでした。

ブロック
 やりにくさはなかったです。球持ちがあるためでしょうか。ただ少しつまると落ちそうな心配はありました。

ストップ
 激どまりです。ストップも思い切りきりに行っていいと思います。

ツッツキ
 上書きストップがバンバンできます!

フォアサーブ
 少したたきつけるように、下回転を切らないと回転が弱かったです。切り方は少し異なるので気を付けてください。

バックハンド系

軽打
 弾みませんが思ったより球持ちはあります。

ロングボールやラリーでのドライブ
 弾みませんのでバックでは下がれないです。

対下回転に対するループドライブ
 やりやすかったです。思い切りドライブすることが出来ると思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 バックでは無理でした。

ブロック

ストップ
 これは最高に良いです。ロングサーブでもストップできると思います。

ツッツキ
 切れます。ロングサーブでも全然つっつけると思います。

チキータ
 球持ちが良かったです!
 

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 キョウヒョウProIII ターボブルー ≧ 普狂NEO2、40° 普狂NEO3、41°

スピード
 普狂NEO3、41° > 普狂NEO2、40° > 太陽Pro極薄

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