説明
大手スポーツ用品ブランドのMIZUNO(ミズノ)は卓球界では後発ですが、他社卓球メーカーとの差別化を図るため、卓球界では挑戦的に住友理工とラバーを共同開発しました。その共同開発したラバーがQシリーズになります。Q3の発売からまもなく、Q4が発売されました。Q3の時から話題の多いシリーズのラバーで、その背景にはミズノが住友理工とゼロから共同開発してトップ選手用のラバーを開発した事実があります。非常に挑戦的で卓球界に刺激を与える効果があったでしょう!
katsuo000は卓球のラバー製造は詳しいわけではないですが、基本的に各卓球メーカーは製造工場を持っているわけではなく、シート材質、シートの粒形状、スポンジ材質、スポンジ硬度などを指定して、ラバーを製造できる工場やメーカーへ外注していることが大半だそうです。よってゼロから作り上げるわけではなく、選択肢の中から選ばれたシート材質、粒形状、スポンジ材質、スポンジ硬度になるわけです。組み合わせはいく通りも存在するでしょうが、流行のラバーに求められる組み合わせはどうしても似てくるでしょうね。住友理工は今までラバー製造をしていなかったメーカーですので、他のラバー工場で作られたラバーとは明らかに差別されるわけですね。
住友理工との共同開発において、参考としたと思われるラバーはモンスターラバー、テナジーシリーズでしょう。現在QシリーズはQ3、Q4、Q5と3種類販売されていますが、本ページで試打レビューしているQ4は最も回転性能が高いラバーになります。テナジーシリーズでいうところの、Tenergy 05(テナジー05)に当たるラバーになるわけですね。
ミズノのホームページに種々の情報が掲載されていますので引用させていただきました。
Q4は粒の太さが1.7 mmで、テナジーの粒の太さと同じ太さになりますね。粒と粒との間は0.58 mmとQシリーズで最も狭く、粒が密集した形状になります。Tenergy 05(テナジー05)は、粒の太さが1.7 mmで粒と粒との間の距離が最も狭く、球持ちと回転量の高さが特徴のラバーで、Q4はテナジー05に酷似した粒形状だと言えます。また、おそらくなのですが、テナジーシリーズはシートの厚さ/粒の高さを変更していないのに対しQシリーズは、シートの厚さ/粒の高さを各Qラバーで変更しています。その結果、シリーズで比較したときにはテナジーシリーズとQシリーズはイメージがかなり異なるラバーになっていると思います。一言で表現させてもらうと、テナジーシリーズは公表性能値上の差を感じる一方でどのラバーもそこまで尖りすぎていないと感じますが、Qシリーズは各ラバーがそれぞれ個性が強く同じシリーズながら、Q3、Q4、Q5それぞれが存在感を示していると感じました。なおQ4に関して申し上げるとQ4では他のQラバーよりもシートは0.8 mmと厚く、粒は0.95 mmと低くしています。このシートが熱いというのは、ドイツ製ラバーの流行であるシートは薄い形状とは逆行するようなシートの厚さと粒の太さになると思います。どちらかと言えば、シートが厚く粒が太い粒形状は粘着ラバーに見られる形状ですね。この粒形状がQ4にどのような特徴を与えているかは、試打内容をご覧いただきたいと思います。
性能値
公表性能値はGFシリーズには存在しますが、Qシリーズは図・マトリックスしか存在しません。ミズノのホームページより引用させていただきました。
Qシリーズは、スピードも回転性能も、GFシリーズよりも高いことが分かりますね。
Q4はテナジー05のように弧線が高く飛距離が出にくいことがわかります。
上記の図は、かなり理系な図で、個人的には興味深いですがわかりにくいですね。ラバーに使用されているゴムという材料は粘弾性を持つ材料ですので、外からの力に対して、どのように応答するのか、その応答を数値化している図になりますね。
この図はゴムに力を加えたときに戻ろうとする力の効率のようですね。硬いとエネルギー損失が大きくなるみたいですね。このようなグラフをおそらくゴムの組成ごとに作っているのではないかと想像します。適切に硬く、適切にエネルギー効率の良いラバーを導き出しているのだと思います。
わかりやすいですね。Q4はテナジーやディグニクスでいうところの05に当たるラバーだと言えますね。ただし、完全に同じではないということもわかります。おそらく、Qシリーズはミズノの看板ラケット、フォルティウスFTまたはFortius FT ver. D(フォルティウスFT ver. D)と組み合わせて開発されたようで、木材系のラケットとの相性が良いラバーのようです。木材系ラケットは球持ちが良く回転をかけやすい一方で、スピードは少し遅くて弧線も高く出やすいのが特徴です。スピードが遅く、弧線が高いことを補うようなラバー仕様になっていると思います。
Q4の貼りと重量
いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。
Q3に引き続き、Q4もまずまずラバーの反り返りがすごいですね。テンションがかかっているのでしょうね。貼る前からここまで反り返っているのは本当に驚きです。やはりQ3と同様にQ4も独特のゴム臭さがあります汗。
Q4(キューフォー) テンション系裏ソフト(XL52/3) 日本製、日本卓球協会検定品 太めの粒形状、粒と粒の間が最も狭い ・Sponge Thickness: 中(1.7 mm)、厚(1.9 mm)、特厚(2.1mm) ・Sponge硬度:47 ・6,300円 + 税 ・66(切断前) → 49 g(張継科ZLCに貼って)
50 gを下回りましたね。思ったより軽いと感じました。
Q4の3つの特徴
飛ばない!ドライブが浅く入り易い!
Q4はとにかくドライブが浅く入りました!このため人によってはQ4はとても直線弾道と感じるかもしれません。Q3と比較するとQ4はむしろ柔らかく感じ、粘着ラバーらしさは少々控えめな印象でした。スイングに対してボールを持ち上げやすく弧線の高さも感じないわけではありませんがそれ以上に飛距離が出なくて浅く入るとともに対空時間が短いのでスピードはむしろ速く感じました。今までいくつもラバーを使ってみましたが、ここまで他のラバーと類を見ない特徴は初めてでした!Q4のように弧線が上がるのにボールは浅く直線的でスピードを感じるラバーはkatsuo000は知りません。非常に個性的なラバーでした!
ツッツキ、ストップが止まってカウンタードライブがやり易い!
Q3同様に、Q4もツッツキとストップがピタリととまり、上書き系のカウンタードライブがとにかく好印象でした。Q5でも感じましたので、Qシリーズの特徴と言えるでしょう。このツッツキ/ストップとカウンタードライブの特徴だけでもQシリーズはアリだと思います!
強い回転量なのに扱いやすい!
Q3と比較するとQ4の方が明らかに柔らかくて使いやすく、それでいて強い回転をかけることができました!ただし、フォアで使うと個人的には少し物足りない硬さでどちらかというとバックの方があうかもしれません。柔らかい粘着テンション/硬めのスピン系テンションのようなボールが出せるラバーだと思います。
各技術レビュー
フォアハンド
軽打
特に違和感ありませんでした。少し臭いました。
ロングボールやラリーでのドライブ
Q3同様、Q4も少しドライブが落ちそうでした。厚めにボールを弾こうとすると、すぐに板に当たると感じるくらい食い込みが良く、ラバー全体のコシは少し弱いかもしれません。これをラバーが負けると感じる人もいるかもしれません。食い込ませてドライブしたときに、すぐに板に当たると感じるので、張継科ZLCだと飛距離は出し易いのですが、回転量の弱いスピードドライブになり易いと感じました。この点が、Q4はフォアには合わないと感じた理由です。
面を開いたドライブ
硬めのラバーですがすぐラケット板に当たる感じがありました。Q3同様Q4も食い込ませすぎると回転がかからずミスしやすくなると思います。
対下回転に対するループドライブ
Q3でも質の高いループドライブでしたが、Q4も期待通り質の高いループドライブでした。ただもっと硬いスポンジならもっと強烈なループドライブになるとも感じました。
対下回転に対するスピードドライブ
これもQ3同様に要注意で、スピードと回転を半々くらいでのスピードドライブが安定しました。ただ、Q4は回転がかかり易く柔らかいので比較的やり易いと思います。
カーブ/シュートドライブ
Q3同様にあまりじっくり打てなかったのですが、かなり好感触でした。少し巻き込んでカーブドライブ気味にドライブする方が、回転のかかり方が強くて横回転が入る分ボールも安定してよかったです。
ブロック
これもQ3同様にやりやすかったです。硬くて相手の回転の影響を受けにくいためだと思います。
カウンタードライブ
Q3同様に上書き系のカウンタードライブがやりやすくてよかったです。またカウンタードライブは思ったよりスピードが出やすくて出すつもりがなくてノータッチを狙えるドライブになる感じがありました。
ストップ
ボールを止めやすくてよかったです。スポンジ硬度以上に止め易いと思います。
ツッツキ
こちらも低くて良かったです。上手につっつけば回転もかかると思います。
フォアフリック
フォアサーブ
しっかり切ることができて良かったです。Q3以上に回転がかかって非常に好感触でした。
バックハンド系
軽打
そこまで硬いとは感じませんでした。
ロングボールやラリーでのドライブ
意外とやりやすかったです。柔らかいと感じました。Q3は粒は倒れ易い分スポンジを硬めに、Q4は粒が倒れにくい分スポンジを柔らかめにしているのだと思います。安定感があって弧線も描いてスピードも感じてとても好印象でした。
対下回転に対するループドライブ
しっかりボールを掴んで回転もかけられるのでとても安定しました。柔らかめなのでインパクト不足も起こりにくくて良かったですね。
対下回転に対するスピードドライブ
練習すればQ3よりも打ち易いと思います。
カーブ/シュートドライブ
ブロック
硬くてあまり回転の影響を受けないのでやりやすかったです。
カウンタードライブ
ストップ
やりやすかったです。少しとまりすぎてネットミスもありました。
ツッツキ
こちらも低くて良かったです。Q4なら切れると思います。
チキータ
めちゃめちゃやり易いですね。思い切り回転をかけに行けます。
他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
Dignics 05 > Q5 ≧ Tenergy 05 Hard > Q4 ≧Tenergy 05 > Q3 ≧ Tenergy 80
スピード
Dignics 05 > Tenergy 80 ≧ Q3 ≧ Q5 ≧ Q4 > Tenergy 05