レビュー Q5

説明

 大手スポーツ用品ブランドのMIZUNO(ミズノ)は、他社卓球メーカーとの差別化を図るため、住友理工とラバーを共同開発しました。住友理工と共同開発したQシリーズ中、最高性能のラバー、それがQ5になります。Q3とQ4の発売後、さらに性能改善を追求したQ5はスポンジをQ3、Q4のものから進化させて、Accel Arc Sponge(アクセルアークスポンジ)に変更しているそうです。このアクセルアークスポンジによってQ5は食い込みの良さと反発力の両立を実現しエネルギー効率を高められているそうです。Q3、Q4と話題の多いラバーでした。このQ5ではさらなる話題として、ミズノと契約するトップ選手がQ5を本職ラバーとして使用することを発表しましたね。以下に契約した選手を挙げます。

 ・大島 祐哉選手(全日本選手権シングルス準優勝、全日本選手権ダブルス優勝)
 ・前出 陸杜選手(全日本カデット 14歳以下シングルス優勝)
 ・軽部 隆介選手(全日本社会人選手権シングルス優勝)
 ・平 侑里香選手(全日本社会人選手権シングルス優勝)

 卓球王国に掲載されている、Q5の情報について記載させていただきます。

 新ラバーのQ5は、Q3とQ4で採用していたスポンジをさらに進化している。それゆえにQ3・Q4とは同列ではなく、Q5が最も高性能であり、頂点のラバーだ。
 Q5はスポンジの気泡が大きく、食い込みが良い。一般的には柔らかくして食い込みが上がるラバーは弾まなくなるが、Q5のスポンジは、ゴムの基礎性能を上げることで、食い込ませながらもスピード・スピンがアップした。
 1. エネルギー効率UP
 2. スピン&飛距離UP
 3. 食い込みUP
 4. 軽量化(Q3・Q4より2 g前後軽量)
 5. コントロールしやすい

2018年 年末の卓球王国より

 ミズノのホームページに種々の情報が掲載されているQラバーの情報について引用させていただきました。まずは粒形状です。

 Q5は粒の太さが1.7 mmで、テナジーの粒の太さと同じ太さになりますね。粒と粒との間は0.65 mmとQシリーズで最も広く、粒が広がった形状になります。ただしQ3はQ5よりも粒が1.65 mmと0.05 mm細く、粒と粒の間は0.02 mm狭い形状になっています。改めて、各Qラバーについて、シートの体積を計算してみましょう。粒の中心4点を結んでできるひし形の面積にはちょうど粒が1つ存在します。そのひし形の面積と粒の面積の比を各Qラバーで算出、さらにシートと粒の高さからゴムの体積を算出してみました。

 Q3の
 ひし形の面積=(1.65 mm + 0.63 mm)×(1.65 mm + 0.63 mm)/2 = 2.5992 mm2
 粒の面積=1.65/2 mm × 1.65/2 mm × π = 2.1372 mm2
 粒/ひし形面積比 = 2.1372 / 2.5992 = 0.82224
 2.5992 mm2 × 0.78 mm + 2.1372 mm2 × 0.99 mm = 2.02738 + 2.11583 = 4.14321 mm3
 2.5992 mm2 × (0.78 mm+0.99 mm) = 4.60058 m3
 ゴムの体積比 = 4.14321 / 4.60058 = 0.90058

 Q4の
 ひし形の面積=(1.7 mm + 0.58 mm)×(1.7 mm + 0.58 mm)/2 = 2.5992 mm2
 粒の面積=1.7/2 mm × 1.7/2 mm × π = 2.26865mm2
 粒/ひし形面積比 = 2.26865 / 2.5992 = 0.87283
 2.5992 mm2 × 0.8 mm + 2.26865 mm2 × 0.95 mm = 2.07936 + 2.15522 = 4.23458 mm3
 2.5992 mm2 × (0.8 mm+0.95 mm) = 4.5486 m3
 ゴムの体積比 = 4.23458 / 4.5486 = 0.93096

 Q5の 
 ひし形の面積=(1.7 mm + 0.65 mm)×(1.7 mm + 0.65 mm)/2 = 2.76125 mm2
 粒の面積=1.7/2 mm × 1.7/2 mm × π = 2.1352 mm2
 粒/ひし形面積比 = 2.1352 / 2.76125 = 0.77327
 2.76125 mm2 × 0.77 mm + 2.1352 mm2 × 0.95 mm = 2.12616 + 2.02844 = 4.1546 mm3
 2.76125 mm2 × (0.77 mm+0.95 mm) = 4.74935 m3
 ゴムの体積比 = 4.1546 / 4.74935 = 0.87477

 Q3: 0.901
 Q4: 0.931
 Q5: 0.875

ということで、Q5が最もシート部分のゴムの体積が少ないことがわかります。これは意外な計算結果でした。Q5はQシリーズ中で回転もスピードも出るラバーということで、粒と粒の間の狭さはQ3とQ4の間に来るものと思いきや、結果として最もQ5がスピード系のラバーと考えることもできると思います。またスポンジも変更していることが明言されていますので、スポンジの変更によって回転性能を改善できていることが想像できますね。粒形状から言えることは、Qシリーズ中、Q5が最もスピード性能が高そうなラバーだと言えると思います。Q3・Q4と同じスポンジであれば、Q5が最もスピード性能の高いラバーになっていたと思いますが、実際はアクセルアークスポンジによって異なるラバーとなっているわけですね。

性能値

 公表性能値はGFシリーズには存在しますが、Qシリーズは図・マトリックスしか存在しません。ミズノのホームページより引用させていただきました。

 Qシリーズは、スピードも回転性能も、GFシリーズよりも高いことが分かりますね。

 Q5もQ3と同じ飛距離が出ている理由が、粒形状の体積比計算から納得できますね。弧線が上がっている理由はおそらくスポンジでしょうね。

 上記の図は、かなり理系な図で、個人的には興味深いですがわかりにくいですね。ラバーに使用されているゴムという材料は粘弾性を持つ材料ですので、外からの力に対して、どのように応答するのか、その応答を数値化している図になりますね。
 この図はゴムに力を加えたときに戻ろうとする力の効率のようですね。硬いとエネルギー損失が大きくなるみたいですね。このようなグラフをおそらくゴムの組成ごとに作っているのではないかと想像します。適切に硬く、適切にエネルギー効率の良いラバーを導き出しているのだと思います。

 Q5はテナジーやディグニクスでいうところの80に当たるラバーだと言えますね。ただし、Q5はシートでスピードを出しつつ、他のQ3、Q4のスポンジを進化させたアクセルアークスポンジによって回転性能を高めているラバーです。ミズノの看板ラケット、フォルティウスFTまたはFortius FT ver. D(フォルティウスFT ver. D)は木材系ラケットですのでラバーは粘着ラバーやハードで硬めのラバーがあうと言われています。実際使ってみた印象としてQシリーズは木材系のラケットとの相性が良いラバーでした。木材系ラケットは球持ちが良く回転をかけやすい一方で、スピードは少し遅くて弧線も高く出やすいのが特徴です。スピードが遅く、弧線が高いことを補うようなラバー仕様になっていると思います。

Q5の貼りと重量

 いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

 Q5は最も重くなりました。先行情報ではQ3やQ4よりも軽くなっているということでしたが、個体差でしょうか、かなり重いと思います。やはりQ3、Q4と同様にQ5も独特のゴム臭さがあります汗。

Q5(キューファイブ)
 Accel Arc Sponge(アクセルアークスポンジ)
 テンション系裏ソフト(XL52/3)
 日本製、日本卓球協会検定品
・Sponge Thickness: 中(1.7 mm)、厚(1.9 mm)、特厚(2.1mm)
・Sponge硬度:47
・6,800円 + 税
・72(切断前) → 51 g(張継科ZLCに貼って)

 51 g、ハイエンドラバーらしい重さだと思います。

Q5の3つの特徴

Qシリーズ中、最硬の打球感で一番回転がかかる!

 Q5は1球目からかなりマッドな打球感で、Q3やQ4と比較しても明らかに硬いと感じました。そして硬いですが、食い込ませてドライブした時のボールがかなりエグい回転量でした!多分回転量はTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)やRasanter R53(ラザンターR53)のレベルだと思います。この飛び抜けた性能はQ3やQ4ではない、Q5独自のもので、非常に好印象でした!
 硬いと感じましたが、レビューによってはQ3・Q4よりも食い込みが良いというものも散見しますので個体差が激しいのかもしれませんね。ただ得られる性能=スピン性能は、Q3・Q4より高いという点は同じようです。特にQ5で好感触だったのが、横を捉えたカーブドライブでエゲツない回転量と癖球っぽさがありました!硬いと感じましたが、横を捉えてドライブすることで球離れが遅くなって球持ちを感じやすくなり非常にコントロールしやすくなって、しかも武器になるドライブが打てるということで、もし気が向いたら意識的にカーブドライブしてみて欲しいですね!

もちろんツッツキ、ストップが止まってカウンタードライブがやり易い!Qシリーズの特徴を継承!

 Q3・Q4と同様に、Q5もツッツキとストップがピタリととまり、上書き系のカウンタードライブがとにかく好印象でした。この性能は、katsuo000がラバーに求めたい非常に重要な特徴で、しっかり有するので本職ラバー候補です。

Q3、Q4と比較して良い意味で癖がない弾道!そして癖球!

 他のQラバーは打球感から来るボールの弧線のイメージや飛び方が少し癖がありましたが、Q5はイメージ通りに飛ぶラバーだと感じました。従って最もイメージ通りに飛ばすことができて扱いやすいと感じましたね。この部分は長く卓球をしている人ほど感じると思います。逆に、若い選手はそこまで気にならないかもしれませんね。
 一方で、ラバー全体のくい込みのしづらさがあります。また卓球王国で販売後に少しコメントされていましたが、Q5特有の癖球が出るようですね。Fastarc G-1(ファスタークG-1)も同様の話があると思います。Q5のように、くい込みのしづらいラバーは、Butterfly(バタフライ)のラバーと異なり、ボールがバラケやすくなって、そのバラケによって相手にミスを誘えるようになると思います。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 1球目から硬かったです。また臭いました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 Q5はボールが上がりやすくて、Q3やQ4よりも弧線と飛距離がコントロールしやすいと思いました。またQ3とQ4ではコシの弱さを感じましたが、Q5ではコシの強さも健在と感じました。食い込ませてドライブしても、板に当たらずしっかり回転をかけることができて良かったです。フォアに使いたいと感じるラバーでしたね。

面を開いたドライブ
 ラケット板に当たる感じがなくて、回転をかけながら飛ばせて非常に好印象でした。

対下回転に対するループドライブ
 Q5は、Q4を超える最高レベルの質の高いループドライブでした。硬いスポンジから強烈なループドライブが放てると感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 少し硬いので食い込ませるのが大変でしたが打てると感じました。

カーブ/シュートドライブ
 Q5はカーブドライブこそ打つべきと感じました。かなり癖球っぽいエグいドライブが打てます!

ブロック
 これもQシリーズ全体的にやりやすかったです。硬くて相手の回転の影響を受けにくいためだと思います。

カウンタードライブ
 Qシリーズはずべて上書き系のカウンタードライブがやりやすくてよかったです。

ストップ
 ボールを止めやすくてよかったです。スポンジ硬度以上に止め易いと思います。

ツッツキ
 こちらも低くて良かったです。上手につっつけば回転もかかると思います。

フォアフリック

フォアサーブ
 しっかり切ることができて良かったです。Qシリーズの中で一番回転がかかって好感触でした。

バックハンド系

軽打
 硬くて、少し難しかったです。

ロングボールやラリーでのドライブ
 硬くて重かったのでかなりカドりました。またインパクトも弱いので落ちましたね。バックだと食い込ませる感覚が弱いので、スピード系のドライブになりやすかったです。

対下回転に対するループドライブ
 Q3は回転が弱くオーバーミスが多かったのですが、Q5はしっかりシートで引っかかる感じがあってやりやすかったです。 

対下回転に対するスピードドライブ
 実力不足でした。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 硬くてあまり回転の影響を受けないのでやりやすかったです。

カウンタードライブ

ストップ
 やりやすかったです。少しとまりすぎてネットミスもありました。

ツッツキ
 こちらも低くて良かったです。Q4に続き、Q5も切れると思います。

チキータ
 回転系のチキータが良かったです。落ちないですね。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 05 > Q5 ≧ Tenergy 05 Hard > Q4 ≧Tenergy 05 > Q3 ≧ Tenergy 80

スピード
 Dignics 05 > Tenergy 80 ≧ Q3 ≧ Q5 ≧ Q4 > Tenergy 05

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