レビュー Rasanter R50(ラザンターR50)

説明

 ドイツ製ラバーの中でも抜群の回転性能を感じるラバーを販売しているのがandro(アンドロ)になります。katsuo000としては、もしButterfly(バタフライ)のTenergy(テナジー)シリーズやDignics(ディグニクス)シリーズを使うことができないのであればandroさんの看板ラバー、Rasanter(ラザンター)シリーズを使うと断言できます。その理由はなんといってもラザンターシリーズは高い回転性能を持つから!価格まで考慮するととても良いシリーズだと思います。本日はだいぶ遅れてしまいましたが、元祖ラザンターの看板、Rasanter R50(ラザンターR50)をレビューしていきます!
 androさんといえば常にスタイリッシュなアパレルとラバースポンジの緑色で異色の存在感を放つ存在ですね。androと契約している選手を挙げると、2017年卓球ワールドカップで水谷隼選手に勝利したり、2019年世界選手権で中国のXu Xin選手(許昕選手、中国)に勝利しているSimon Gauzy選手(シモン ゴーズィ選手、フランス)や、2019年全日本選手権にランカー入りした濱川明史選手が挙げられます。また近年、日本の各地の卓球クラブコーチ陣と契約していて、katsuo000もお世話になっている全日本選手権出場経験のあるコーチさんもandroと契約されていますね。この辺りは計略的だと思います。

RasantからRasanterへ

 アンドロさんは2016年まで、看板として販売していた特徴的な緑色のスポンジのラバーRasant(ラザント)シリーズ(Rasant Grip(ラザントグリップ)、Rasant Power Grip(ラザントパワーグリップ)、Rasant Power Sponge(ラザントパワースポンジ)、Rasant Beat(ラザントビート)、Rasant Turbo(ラザントターボ)、Rasant(ラザント)の6種類)を全て廃盤とし、新たにRasanter(ラザンター)というラインナップを2017年から販売開始しました。ラザントシリーズと同じく緑色のスポンジを採用した新たなフラグシップラバーであるラザンターシリーズ。ラザンターシリーズは回転性能が高く、弧線を作りやすいRシリーズ回転性能に加えスピード性能も高いVシリーズが存在し、スポンジ硬度が反映した数字をRまたはVの後につけられて販売されています。また他のドイツメーカーに先んじて、Ultra Max(ウルトラマックス)という、スポンジ厚さ2.3 mmとする技術を搭載したラバーラインナップになります。この技術というのは、それ以前ではトップ選手用に適用された技術のようで、シートを現行よりも、さらに薄くしてその分、スポンジを厚くする、といったラバーになります。ラバーは接着層を含めて厚さが4.0 mm以内という国際ルールが存在しますので、スポンジを厚くするためにはシートを薄くする必要があるわけです。シートが薄く、スポンジが厚いラバーの方が、回転とスピードと飛距離が出しやすく、トップ選手受けする性能が出しやすいと言われているそうです。しかしシートを薄くするというのは製造バラ付きが生じやすくそれ以前ではあまり出回っていなかったようです。おそらく最新技術で生産性を上げることができ、結果低価格でシートが薄くスポンジの厚いラバーを生産できるようになり、一般市場へ販売するようになったものと思われます。この技術は日本や世界の卓球用具を牽引し世界標準となるTenergy(テナジー)シリーズを販売するButterfly(バタフライ)さんのラバーでは一般販売ではありません。バタフライさんは2020年現在においても、最もスポンジの厚い特厚でスポンジ厚さは2.1 mmとなっています。近年他のドイツメーカーまたはドイツ製ラバーでシートが薄くスポンジの厚い、いわゆるラバー厚さMaxのラバーが増えてきていますね。
 ラザンターは現在までに8種類のラザンターが販売れており、Rシリーズが6種類、Vシリーズが2種類になります。

Rasanterシリーズ

 ラザンターシリーズは、回転系のRとスピード系のVでスポンジ硬度が細かく選べるシリーズのようなネイミングとなっていますが、実際に試打すると想像と異なりました。どうやらスポンジ硬度を変えるともに、シート形状も変更していて打球感や性能、やりやすい技術は異なりました。さらにVシリーズは確かにスピードは速いですがかなりスピン系テンションで回転もかなりかかるので、決してスピード特化のラバーという訳でもありませんでした。katsuo000はR53、R48、R50、R47、V47、R42を試打しており、それらの比較を今後まとめていきたいと考えております。ここでコメントさせていただくことは、R53、R48、R50のシートの粒形状はやや細めで少し球離れの速いと感じる粒形状でした。Dignics 05(ディグニクス05)やTenergy 05(テナジー05)と比較すると球持ちを感じにくいシートの粒形状になると思います。一方で、シートは柔らかく、スポンジも食い込みがかなり良いので、ラバー全体で食い込ませると球持ちを感じるラバーだと思います。2017年に販売開始した当初は、R50、R47、R42、R37、V47、V42の6種類でした。さらに2019年10月にEnergy Cell(エナジーセル)技術搭載のR53、2020年5月に同じくエナジーセル技術搭載のR48を新発売しました。現在androさんのフラグシップラバーはR53とR48になりますね。

 ラザンターシリーズで最近注目は、紅(あか)のラザンターのR53とR48だと思います。既にレビューは作成済みですので、あわせてご覧いただけると幸いです。

性能値

 androさん公表性能値比較になります。androさんはスピードとスピンに加え、コントロールという項目を加えているのが特徴でしょうか。やはりエナジーセル採用のR53とR48は高い性能となっていて現(2020年9月現在)看板ラバーということがよくわかります!

 R50は過去にSimon Gauzy選手も使用しており、androと契約して一番初めに使用していたのが、R50だったと思います。このラバーもスピードと飛距離が出る、というレビューが多いと感じます。実際、ドイツ製ラバーらしさはあり、粘着ラバーやOmega VII Hyper(オメガ7ハイパー)のようなヘビーな硬さがあるわけではありませんでした。R50を端的に申し上げるとR47の回転性能と同程度に回転性能が出せる設計で、残りの性能をスピード性能にふったラバーという印象でした。ラザンターシリーズはそれぞれ硬度違いのラバーではなく、それぞれコンセプトを持って開発されているのでしょう。R50は弧線弾道を維持しつつ、ミートなどのスピード性能を求めたラバーだと思いますね。R47とR50は、Tenergy 05(テナジー05)とTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)の関係ではないことだけは明確です。ラザンターシリーズを全く知らない人からしたら、R47、R48、R50、R53って硬度違いじゃないか、って思う人も多いと思いますが、ただの硬度違いではありません!本レビュー、およびR47のレビュー時に、上記の点もまとめていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

R50の貼りと重量

 いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

Rasanter R50(ラザンターR50)
 UMテンション(テンゾーバイオスUM)
 40+ Plastic Ball対応
・Sponge Thickness: 1.7 mm、2.0 mm、ULTRAMAX(2.3 mm)
・Speed:120
・Spin:122
・Control:80
・Sponge硬度:50
・6,200円 + 税
・72 g(切断前) → 51 g(張継科ZLCに貼って)

 予想通りの50 gオーバーでした。なかなか重たいですね。

Rasanter R50の3つの特徴

R50はR47よりもむしろ食い込ませやすい!

 シートの粒形状がR47とR50で異なり、R50はR47よりも粒細め・粒間広めになっているようでした。従ってR50はラバー全体では食い込ませやすいと感じました。結果的にR50はミート系の技術もしやすく、下がってもスピードドライブが打ちやすいと思います!ただスポンジは硬いので食い込ませても球持ちは短く、球離れも速いと思います。
 ここから独断と偏見ですが、androさんのラケットは板厚のラケットが多い一方で、カーボンなどの特殊素材に特徴を持たせているわけではないので、ラバーの設計もスピードを出すことを考慮して設計されているものと思われます。他のラザンターシリーズについてもスピード性能を犠牲にして球持ちと回転性能を最大限に引き出そうというコンセプトの設計ラバーはないように感じました。結果的にラザンターシリーズのラバーはバタフライのシートの粒形状80に近いバランス型の粒形状が多いと思います。そしてR50はandroさんのラケットとの相性がよいと思いました。具体的に申し上げるとR50は合板系のラケットとの相性が良いラバーだと思いました。合板系ラケットにあわせればR50のハードな打球感やトゲトゲしさも丸く柔らかくなり、足りないと感じやすいスピード性能を補うことができると思います。
 少し余談ですが似ていると感じたラバーがQ5またはQ3で、Q5を気持ち柔らかくしたラバーがR50だと思います。

回転性能はもちろん高い!R47と同等以上!

 R50はR47と同様に高い回転性能を感じました。先に試打したR47はとても回転性能が高くテナジー05に匹敵する回転性能を感じました。R50も同様に高い回転性能を感じましたがR47と遜色ないレベル、同等レベルと感じました。R47はとても硬くテナジー05のように粒形状に由来する硬さを感じるラバーでした。従ってドイツ製ラバーの中でもシートで回転をかけやすく高い回転性能を得やすいと感じました。一方、R50はスポンジの硬さを感じますが、粒形状的にシートは柔らかいので食い込ませやすくどちらかというとラバー全体で食い込ませて回転をかけるラバーだと思います。その回転性能はシートが柔らかいわりには高く、また弧線を描きやすいと感じました。katsuo000が良好と感じたのはスピードドライブやミートで、スピードボールが思ったより安定すると感じました。使い方にもよると思いますが最低限の回転と弧線で安定感のあるスピードボールがR50のラリーでの特徴だと思います。使い手によっては回転性能を活かして、打球点を少し落としながらゴリゴリ重たいドライブを打ち続けることにも特徴を見出せると思います!

ツッツキ、ストップが止まる!

 弾みと飛距離のでやすいラバーでしたが一方でツッツキ、ストップは止まってやりやすかったです。カツっと切るのは難しかったですがV47と比べたら明らかに、またR48と比べても止めやすいと思います。非常に重要な性能、ツッツキ、ストップはまずまずの性能だと思います。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 ULTRAMAXのためか、軽打はそこまで硬さを感じませんでした。

ロングボールやラリーでのドライブ
 どちらかというとスピードドライブがやりやすいですね。弾きやすいと感じました。多分荒れ球の順番は
荒れ R53 > R50 > R47 > R48 > V47 綺麗
 というイメージです。R48はスポンジ硬度のわりにめちゃめちゃ食い込みやすいので、荒れ球というよりは綺麗さが目立つラバーでした。R47の方が硬いと感じるかもしれません。R53が最も硬いのですが、R50も近い硬さがあります。おそらくR47、R50、R48、R53の中で最もスピードドライブ向きのシート形状を持つのがR50だと思います。従って荒れ方もR53と比較するとR50はおとなしくなると思います。

面を開いたドライブ
 スポンジが硬く、ラケットにすぐ当たるとは思いませんでした。良かったですね。

対下回転に対するループドライブ
 少し球持ちが短く、ループドライブのコントロールは難しいと感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 逆にこちらはフォアなら結構いけると思います。やりやすいと思います。

カーブ/シュートドライブ
 R53の方が癖球っぽさや曲がりは激しいと思います。R50は食い込ませやすいですが硬いラバーではあるので、使いこなすために少し横回転を入れたドライブにしたほうが扱いやすいと思います!

ブロック
 結構回転の影響を受けやすいと感じました。

カウンタードライブ
 どちらかといえば、上書き系のカウンタードライブがやりやすいです。

ストップ
 ボールを止めやすくてよかったです。

ツッツキ
 こちらも低くて良かったです。

フォアフリック

フォアサーブ
 しっかり切ることができて良かったです。十分自分のラバーの回転量を確保できるラバーでした。

バックハンド系

軽打
 硬いですが意外といけてしまって驚きました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 スピード系ドライブになりやすかったです。あまり回転がかかってないとも言われてしまいました。一方で、バックならアリかなって思います。フォアとのギャップも狙えると思います。

対下回転に対するループドライブ
 少し難しかったです。たまにスイングスピードとインパクト不足で落としてしまうこともありました。 

対下回転に対するスピードドライブ
 実力不足でした。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 シートが柔らかめなので回転の影響は受けやすいと思います。

カウンタードライブ

ストップ
 やりやすかったです。

ツッツキ
 こちらも低くて良かったです。

チキータ
 少し飛距離が出過ぎてオーバーミスが目立ちました。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 R53 > Tenergy 05 Hard > R50 ≧ R47 ≧ R48 > Tenergy 05 ≧ V47

スピード
 V47 > R53 ≧ R50 > R48 > R47 > Tenergy 05 > Tenergy 05 Hard

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