説明
Butterfly (バタフライ)さんのTenergy 25 (テナジー25)をレビューします。なかなかレビューできていなかったですね。今年の春は新商品の動向はそこまで激しくなく、試打ラバーはそこまで増えないのかなーと感じている今日この頃ですね。個人的に期待していたXIOM (エクシオン)さんの新作Omega VIII (オメガ8)シリーズの発売を楽しみにしていました。しかしながら、日本ではまだ未発売で海外か韓国など本国で、先行発売のようですね。韓国代表男子が2024年世界卓球団体で中国男子チームに肉薄しましたから韓国における卓球熱も熱くなっているのではないかと思いますね。今のうちに試打できていなかったラバーを試打しようというkatsuo000の魂胆です。
さてさてTenergy 25 (テナジー25)ですが、知り合いの方もメインラバーで使用されていて、結構いやらしいなーと感じていました。どのようなラバーなのか実際に使ってみて把握したいと感じて、積みラバーしている山から探し出して今回試打しようと思い立ちました。このTenergy 25 (テナジー25)というラバーは、Tenergy (テナジー)を冠するラバーですが、めちゃめちゃ癖のあるラバーですね。想像以上に癖があったので、同じ裏ラバーであったとしても、試合前の段階でラケット交換時に確認したら、気にした方がいいラバーではないかと思います。粒高と同じレベルかもしれないですね。
Tenergy (テナジー)シリーズ
久々のテナジーですね、ということでもう耳タコかもしれませんが、Tenergy (テナジー)シリーズについて説明していきたいと思います。Tenergy (テナジー)がTenergy (テナジー)たり、特徴を引き出すために忘れてはならない理由はオレンジ色のスポンジ、Spring Sponge (スプリングスポンジ)ですね。硬さの割にくい込みがよい点が特徴で、過去はButterfly (バタフライ)だけのスポンジでした。もちろん今でもButterfly (バタフライ)さんだけのスポンジなのですが、類似の性能を示すスポンジがドイツメーカーでも生産できるようになってきたと感じます。性能は類似ですが、Spring Sponge (スプリングスポンジ)でなければ再現できない点として、重量が挙げられますね。とにかくSpring Sponge (スプリングスポンジ)は軽いです!Butterfly (バタフライ)さんのラバーの特徴でもありますね。とにかく軽く、同性能の他メーカーのラバーと比較すると3~5 g程度軽いと思います。世界のトップ選手は1秒より短い時間を競う世界でスピードと威力、そしてラリーが続くようになって持久力、が問われるようになったのではないかと想像します。そんな世界で競い合うにはButtterfly (バタフライ)は1つの選択肢だと思います。一般層においてもラケット重量が軽くできる点は非常に魅力だと思いますね。現在はSpring Sponge (スプリングスポンジ)から進化したSpring Sponge X (スプリングスポンジX)を搭載するDignics (ディグニクス)シリーズが発売されて、やや存在感は減った部分があるかと思いますが、それでも一般層では存在感は健在だと思います。
続いてTenergy (テナジー)の特徴はテンションがかかったトップシートですね。このトップシートは5種類あり、それぞれ特徴があります。
トップシートの粒形状
テナジーはトップシートに採用している粒形状によって、それぞれのラバーの特徴がわかれます。現在までにシート形状の違いによって05、80、64、25、19と5種類が存在します。それぞれのトップシートにはそれぞれキーフレーズが付されて販売されており、「回転の05」、「バランスの80」、「スピードの64」、「前陣の25」、「パワーの19」というキーフレーズを冠されて発売されています。
Tenergy 25 (テナジー25)のトップシートには、「開発コードNo. 25」が採用されています。台上プレーにおけるスピンやカウンタープレーにおいて優れた性能と攻撃力を示すのが特徴ですね。
No. 05:1.7 mmの粒間隔が狭い。回転性能が高い。
No. 25:2.65 mmの粒の高さが低い。台上プレーやカウンターがやりやすい。
No. 64:1.7 mmの粒間隔が広い。スピード性能が高い。
No. 180:1.7 mmの粒間隔が中間。回転もスピードもバランスが取れている。
No. 209:1.5 mmの粒の高さが低い。粘着力と弾みを高次元に両立する。
No. 219:1.5 mmの粒間隔が狭い。ボールをよくつかみパワーを出しやすい。
トップシートは既に200番を超え、それだけの粒形状について検討してきたことがわかりますね。上記には粒について言及していますが、粒形状には、粒の高さ、粒の太さ、粒の間隔の3つの因子があり、それらを、おそらく粒の太さだけでも0.01 mm~3.00 mm位(これだけでも300種類)でふっているんでしょうか。粒の高さ、感覚のコンビネーションがいくつあるかわかりませんが、1000種類くらいありそうですね。細かくふるよりも狙いを定めたり量産技術を考慮して狙いを定めて開発しているのだと思います。こういった検討、理系卓人のkatsuo000も是非やりたいですね~。楽しそうだなーと思ってしまいました。(苦笑)Tenergy 25 (テナジー25)はかなり初期に発売されていて、Tenergy 05 (テナジー05)とは方向性が異なるラバーとして発売されたのかもしれませんね。
Tenergy 25 (テナジー25)はTenergy (テナジー)シリーズの中でも異色のラバーではないかと思います。まず、粒形状が極めて太く、粒が太いとされるTenergy 05 (テナジー05)の粒の太さが直径1.7 mmに対し、このTenergy 25 (テナジー25)はなんと、2.65 mmと1 mm近く厚い形状となっています。この太さは、例えばHurricane (キョウヒョウ)などの粘着ラバーにみられるような粒の太さですね。この太さによってラバーへのくい込み感が少なく、回転のかかったボールに対しても影響を受けずに打ち返すカウンターがしやすいといえるのでしょう。また腐ってもTenergy (テナジー)ですので、回転もしっかりかかると思われます。くい込ませて球をもって回転をかける、というよりは擦って回転をかける系のラバーであるといえるでしょう。
公表性能値
Butterfly(バタフライ)さんの公表性能値 (旧と新)を示します。
テナジー25の注目ポイントは、Tenergy 05 (テナジー05)と同等の回転性能、Tenergy 05 (テナジー05)を超える高い弧線でしょうか。逆にスピード性能はやや低いのも特徴と言えるかもしれません。スピード性能がやや低いということでトップ選手で愛用されない理由がこの部分にありますね。中陣から後陣で勝負したり、威力が出したりできないといえるのでしょう。男子トップ選手は特にドライブ主戦型が多いのでなかなか受け入れられないでしょう。
やりやすい技術
Butterflyさんホームページ上には、各テナジーのやりやすい技術についてレーダーチャートが掲載されています。各技術のやりやすさを、モノサシで測り、その数値を下記図にしてみました。項目は
・ループドライブのかけやすさ
・スピードドライブの打ちやすさ
・カウンタードライブのやるやすさ
・台上プレーのやりやすさ
・ブロックのしやすさ
・スマッシュのしやすさ
の6つになります。個人的に重要な項目はループドライブ、スピードドライブ、台上プレー、ブロック、カウンタードライブになります。スマッシュも粘着ラバーでなければ慣れで打てるでしょう。
このチャートを見ると、テナジー25は、Tenergy 05 Hard (テナジー05ハード)に似た部分が多く、唯一スピードドライブがやりにくいラバーといえるでしょう。Tenergy 05 Hard (テナジー05ハード)はスポンジの硬さによって近い性能が得られる一方、テナジー25はシートの硬さでその性能を出しているということで、本質的にはかなり異なると思います。
おすすめラケット組み合わせ
メーカー推奨の組み合わせも掲載されるようになりました。こちらも掲載していこうと思います。以下全てButterflyさんホームページより引用させていただきました。
Tenergy 25(テナジー25) ・Jun Mizutani Super ZLC(水谷隼Super ZLC) 相手のプレーを利用したい選手へ ・Inner Force Layer ALC.S(インナーフォースレイヤーALC.S) 前陣で回転を駆使する選手へ
テナジー25のスピード性能をSuper ZLCで補うか、回転と前陣に特化するか、という提案といえるでしょうか。特徴のあるテナジー25の特徴を補うか活かすか、の2択というのは面白いですね。個人的には特徴を活かすInner Force Layer ALC.S(インナーフォースレイヤーALC.S)との組み合わせが気になりますね。
硬度比較
硬度計で硬さを比較しました。
Weight | Shore a | Shore a | Shore c | Shore c | Sheet-Sponge | Sheet Sponge | |
g | Sheet | Sponge | Sheet | Spnoge | (shore a) | (shore c) | |
Tenergy 25 | 49 | 31.6 | 25.3 | 42.8 | 38.5 | 6.3 | 4.3 |
Dignics 05 | 48 | 34.3 | 31.3 | 50.0 | 48.2 | 2.9 | 1.8 |
Tenergy 05 | 47 | 32.2 | 26.8 | 44.6 | 43.3 | 5.4 | 1.3 |
Tenergy 05 Hard | 50 | 35.8 | 32.6 | 47.7 | 46.9 | 3.2 | 0.8 |
Rozena | 48 | 31.4 | 25.9 | 42.4 | 38.8 | 5.5 | 3.7 |
Glayzer | 46 | 30.0 | 21.0 | 41.2 | 45.8 | 9.0 | 5.3 |
shore aでの硬度をみると、05系のラバーと同じくらいの硬度を示していますが、shore c側で比較すると、柔らかさがよくわかりますね。ただこの硬度よりも特徴の方が尖っているので、そちらの方が気になってあまり硬度は気にならないかもしれません。
テナジー25の貼りと重量
今回は5枚合板のVirtuoso+ (ヴィルトーソ+)にはりました。
Tenergy 25(テナジー25) High Tension(ハイテンション)裏ラバー ・スポンジ厚:中(1.7 mm)、厚(1.9 mm)、特厚(2.1 mm) ・スピン:11 (旧)、76 ・スピード:13.25 (旧)、64 ・弧線:86 ・Sponge硬度:36 ・オープン価格(8,900円 + 税) ・72 g(切断前) → 約49 g(Virtuoso+ (ヴィルトーソ+)に貼って)
テナジー25はバタフライのラバーの中では重い方で、それでも40 g後半におさまる軽量なラバーになりますね。
Tenergy 25の3つの特徴
1. 全然くい込まない!くい込まないことが特徴!
まず驚きだったのが、ドライブが全然伸びません汗。打点を落とした時なんかは顕著なんですが、くい込まないんで、全然ドライブが伸びないんですね。5枚合板ラケットで重みもあるVirtuoso+ (ヴィルトーソ+)に貼っていて、伸びがないということなんでくい込ませて伸びのあるドライブを打つことは出せないといえるでしょう。これは面白かったですね。Tenergy (テナジー)やDignics (ディグニクス)特有のボールの高く跳ね上がる伸びは、このラバーに期待しない方がいいかもしれません。むしろ、この硬さでも思い切りくい込ませてられれば、ものすごい癖球が出るのかもしれませんが、やや非現実的な気がしました。そういった癖を求めるならラケットは合板系ではなく、硬い方がいいでしょうね。SK Carbon (SKカーボン)とかが良いかと思います。とにかく、このラバーはくい込ませて打つラバーではなく、擦って回転をかける系のラバーですね。特徴から自ずと下がってくい込ませて飛ばす系のドライブはあまりむかない一方で、くい込みにくいので相手の回転にも負けず、カウンターで打ち返しもしやすいラバーでもありますね。スピンテンション系ラバーですが、スピンテンション系というより高弾性によったラバーといってもいいかもしれません。高弾性と考えてアウターカーボン系のラケットに貼っても面白いと感じます。
またくい込まないので、厚く当てたときの球離れはかなり早くて表ラバーのような部分もありました。相手の時間を奪うこともできるんですね。昨今のハイテンションラバーとは明らかに逆ぶりしたような性能とも言えると思います。球離れの早さで攻めるのも面白いかもしれません。
2. 擦る系の打ち方で回転性能が高い!くい込ませてドライブはむかないかも。
粘着ラバーのように粒形状が太いので、回転性能はやはり高かったです。ただこれはVirtuoso+ (ヴィルトーソ+)のおかげもありそうな気がしました。硬いラバーでシートで擦る系がもちろん良い回転量を得られる打ち方になりますね。昨今のくい込ませて回転をかける系のラバーとは、真逆のラバーなんで打ち方を変える必要を感じるかもしれませんね。擦る系なんで低くて浅いループドライブをしたいなら、かなりとてもやりやすいラバーですし、相手のドライブに対し、カウンターループドライブみたいなのもかなりやりやすいと思います。感覚を覚える意味でもいいラバーかもしれませんね。特に浅いボールを意図的に打ちたいならかなり面白いラバーだと思います。チキータも自然と浅くなるので、安定感が出ると思いますね。
3. ブロックが容易
シートが全然変形しないので、相手の回転の影響は本当にないですね。飛距離が勝手に出すぎることもないので、ブロックは本当にやりやすいと思います。これはこれで壁や盾として使えるラバーだなーと感じました。一方で伸ばす系のアクティブブロックはくい込まないので、やりやすいかもしれませんが、ボールの伸びは得づらいと感じました。この部分が昨今の硬いラバーとは似て非なるラバーと言えそうだなーと感じました。これは唯一無二で面白いですよ。レビュワーとしてこういうラバーに出会えるのは楽しいですね。
各技術レビュー
フォアハンド系
軽打
ロングボールやラリーでのドライブ
面を開いたドライブ
対下回転に対するループドライブ
対下回転に対するスピードドライブ
カーブ/シュートドライブ
ブロック
カウンタードライブ
ストップ
ツッツキ
フォアフリック
フォアサーブ
バックハンド系
軽打
ロングボールやラリーでのドライブ
対下回転に対するループドライブ
対下回転に対するスピードドライブ
カーブ/シュートドライブ
ブロック
カウンタードライブ
ストップ
ツッツキ
チキータ
他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
Tenergy 05 > Tenergy25 > Rasanter V47
スピード
Dignics 05 > Tenergy25 ≧ Rasanter V47