レビュー V>20 Double Extra (V>20ダブルエキストラ)

説明

 既にV>22 Double Extra (V>22ダブルエキストラ)が発売され、巷でレビューがあふれています。そんな中、katsuo000は2022年4月の新商品、V>20 Double Extra (V>20ダブルエキストラ)についてレビューさせていただきます!

 V>20 Double Extra (V>20ダブルエキストラ)は2022年1月の全日本選手権から、VICTASさんの広報が始まっていたようです。その時から、V>22 Double Extra (V>22ダブルエキストラ)も同じように広報していたようですね。その後、卓球王国などで情報が解禁されました。2022年春のカタログでは、バタフライとの契約終了と同時に電撃契約した、日本の至宝、岸川聖也選手の選んだラバーとしてV>20 Double Extra (V>20ダブルエキストラ)が見開きで紹介されています。↓

岸川聖也が考え、試打して、選び抜いたラバー。
キーワードは「許容」「遊び」

 昨年VICTASとのアドバイザリースタッフの契約を結んだ岸川聖也が着手したのは新ラバーのプロデュースだった。岸川の用具へのこだわりは有名だった。ボールを打った時のタッチを嗅ぎ分ける男だ。そんな岸川が最初の試打会で気づいたことがあった。
 「卓球は自分から打ちにいくときの回転力、スピードだけが重要ではない、半分は相手から打たれるラリーになり、それをどうしのぎ、どうカウンターで狙うのか。」
 岸川がラバーに求めている要素は、バック対バックなど前陣でのスピン対スピン、チキータに対しての両ハンド攻撃、前中陣でのカウンタードライブ、中後陣でのドライブ対ドライブである。
 「ラバーの反応が良すぎる、言い換えれば敏感なために選手はそこにストレスを感じることもあります。トップ選手が使うラバーというのは相手から強い回転ボールを打たれた時にはインパクトの瞬間に『許容』してほしい。言い方を換えればインパクトの『遊び』です。この『許容』『遊び』というのは機械測定ではわからないかもしれないけど、トップ選手はわかります」

 一時期、「ノンスリップラバー」という言葉が流行した。相手のドライブに対して、その回転力に負けてスリップ (滑る)するのではなく、相手の回転に負けないグリップ力を持つラバーが「ノンスリップラバー」。
 しかし、岸川は、トップ選手の多くはノンスリップラバーでは回転に過敏に反応するためにストレスになる、ストレスなくプレーするためには瞬間的な『許容』と『遊び』が必要だと言う。
 そこで新しいラバーに求めたものはストレスなく打てるラバーだった。サンプルが届き、試打した岸川。そして数多いサンプルの中から選んだのが[V>20]だ。
 スポンジ硬度は52.5度で、[V>22]の50度よりも硬めだが、打ってみると[V>20]の打球感のほうが柔らかく感じる。それはトップシートのゴム質、粒形状の違いによるものだ。

 「ラバーの反応が良すぎると打球した時に台(相手コート)に収まらない。これが大事な試合の競り合いになった時にはとても怖いことです。相手の強いドライブ、ループドライブ、チキータという回転の強いボールが来た時にストレスなくプレーしたい。
 この[V>20]は自分から打ちにいく時にはかなり威力のあるボールが打てるのはもちろんだが、カウンターの時に相手の台にボールが収まる。余分な力を入れずに振り切った時にしっかり台に収まる。もっと簡単に言えば、気を使わずに振り切れる。間違いなく今までのラバーとは違う。つまり大事な試合の最終ゲームのジュースで振り切ることができる、信頼できるラバーです」(岸川)。

2022年3月発売
VICTASから新感覚ラバーが登場、威力だけでなく台に収まるラバー
 キーワードはインパクトの瞬間の『許容』『遊び』。スポンジ硬度は52.5度だが、硬さは感じない。むしろその威力が心地よく、その打球感に誰もが驚く。打った時のボールは威力十分、あらゆる攻撃で相手コートに収まる安心感。「競り合いで信頼できるラバー」が生まれた。

VICTAS 2022年春カタログより。

 長いですね。それだけ、VICTASさんの本気度が伝わってくる、そんな風に感じて良いのではないかと思います。続いて、月刊 卓球王国 別冊 卓球グッズ2022で、V>20 Double Extra (V>20ダブルエキストラ)の試打ページから情報を抜粋させていただきました。

 岸川がラバーに求めた性能は、「ストレスなくカウンタードライブが打てる点。相手の強い回転のボールを打ち返した時に勝手に相手コートに収まる感覚。ゲームの終盤や競り合いの場面で信頼できるラバーでなければ、僕は使うことはできない。」というものだった。一切の妥協を許さず、自身を持って世に出せるラバーの開発を目指した。
 そうして誕生したのが、3月末に発売された『V>20ダブルエキストラ』(以下『V>20』)だ。岸川はその性能をこう語る。「従来のドイツ製ラバーを試打した時に感じたことは、自分から回転をかける時はしっかりかかるけれど、相手の強い回転のドライブをカウンターする時に過敏に反応しすぎるため、オーバーミスしてしまう。『V>20』はその部分の改良を重点的に行い、打球時の許容範囲の広さを実現された。間違いなく、今までのラバーとは違う性能がある」。

2度の試打会でも高評価「許容と威力」という高次源のバランス性能
 VICTASでは2015年に発売した『V>15 エキストラ』(以下『V>15』)がフラグシップラバーとして確固たる地位を確立しており、丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス)らトップ選手が長く愛用している。
 『V>20』が発売されたことで、『V>15』と比較されることが多いが、この2枚のラバーは性能、コンセプトとも異なるため、「どちらが上で、どちらが下という区分けはしていない」とVICTAS開発チームの仲村錦治郎氏(元オリンピック日本代表)は話す。
「『V>20』と『V>15』はトップシートのゴムの配合から粒形状まで、全く違うように作られています。合わせるスポンジも配合や気泡、硬度も違いますから、全く異なる性能のラバーになります。ひと言で違いを表すとすれば、『V>20』は打球時の許容範囲が広く、威力を落とさずにしっかりと台の中に収まるラバー。『V>15』はインパクトが強ければ強いほど、より高いパフォーマンスを発揮するラバーです」(仲村)
 2021年12月にVICTASと卓球王国が共同で行ったブラインド試打会では、既存のVICTASのラバーの中に発売前の『V>20』を加えて、5種類のラバーを参加者に打ってもらった(ラバー名がわからないように商品名部分を切り取り、スポンジは黒く塗りつぶした)。その中で高い評価を得たのは『V>20』と『V>15』の2枚だった。『V>20』に対する評価は、「弧線の高さ」が圧倒的に多く、スピンとスピードのバランスが高く、威力が出るのに扱いやすいという評価を得た。これこそが『V>20』の特徴である「許容と威力」であり、ラバーの性能と試打者の感想がマッチしていたと言える。

VOICE 試打選手に聞いた! (松平 賢二選手(協和キリン))
 他のラバーだと打球した瞬間にスイングやラケット角度をわずかに調整しなければならないストレスがありますが、『V>20ダブルエキストラ』は勝手に入ってくれる間隔がありますね。自分の打った感覚と打球が一致します。同じようにスイングしてもさらに良いボールになって、わずかにクセ球も出る。すぐにこのラバーに替えたいですね。選手の立場から言えばストレスなく使える用具は安心感があります。そういう意味では『V>20』はストレスフリーでとても良いラバーです。

卓球王国 7月号 別冊 卓球グッズ2022

 やはり扱いやすさと許容と表現されるラバーのようですね。ただここでkatsuo000は申し上げたい点として、「許容」という言葉に似た言葉でトレランス≒寛容という言葉が既に先に、バタフライさんのRozena (ロゼナ)で使用されてしまっている点です。「許容」、「許容」、といわれると、どうしてもRozena (ロゼナ)がちらついてしまいますね。このあたりについて言及していきたいと思います。

 またやや余談ですが、VICTAS (ヴィクタス)さんは、粘着ラバーのトリプル、およびV>20とV>22を発売する前は、数字の後の英語はスポンジ硬度に対応させていたはずです。トリプルシリーズ、V>20とV>22の発売によって、ダブルエキストラで硬いんだろうけど、それぞれのラバーで、硬度が異なるような状況になっていますね。ダブルエキストラという言葉はなんかインパクトありますし、50°以上のラバーはダブルエキストラとほぼネーミングされてます。このルールに則らないラバーは、Triple Extra (トリプルエキストラ) (硬度 55°)、VS>401 (VS>401) (硬度57.5°)くらいでしょうか。 

性能値

 公表性能値を比較してみましょう。2022年のパンフレットから、ラバーの公表性能値におけるスピード (≒反発力)とシートの強さ (スピン)の関係を図として示されるようになりました。バタフライでいうところのスピードとスピン性能の図と同じようなものだと思われます。VICTASさんのラバーはドイツ製ラバーがフラグシップラバーであり、シートの強いラバーほど回転性能が高いということも明らかとなったといえるでしょう。実は最もシートの強いラバーはV>11 Extraになります。ポテンシャルとして、シートの強いラバーほど回転の最大値が高いことを示しているのでしょう。一方で、弧線の高さなども示してくれています。VICTASのラバーは弧線が低い、攻撃的なラバーも多いので、回転がかかる≠弧線が高いラバーが多いブランドといえるかもしれません。では、代表的なVICTASラバーを比較してみます。

 また卓球王国2022年10月号で新たに発信されたVICTASさんの広告の一部を紹介します。

 V>20 Double Extra (V>20ダブルエキストラ)に注目してみます。際立った特徴は、公表性能値よりもスポンジ硬度と粒形状に現れていると言えると思います。V>15 Extra (V>15エキストラ)やV>22 Double Extra (V>22ダブルエキストラ)と比較すると、最もスポンジ硬度が硬いのがV>20 Double Extra (V>20ダブルエキストラ)であり、ドイツ基準で52.5°になりますね。また粒が低くて太い点もV>20 Double Extra (V>20ダブルエキストラ)の特徴でしょう。公表性能値からわかるようにシートの強さが最も低い値であるのが、V>20 Double Extra (V>20ダブルエキストラ)ですので、シートはくい込みやすい柔らかめなものを採用しているのではないかと思います。続いて、硬度計の測定値です。

 図にするとV>20 Double Extra (V>20ダブルエキストラ)はやや重いものの、ほぼTenergy 05 (テナジー05)と同じ硬度になりました。これは予想通りの値だとも感じました。前情報やレビューを拝見する限り、V>20 Double Extra (V>20ダブルエキストラ)はテナジーに近いラバーであることは予想しておりました。ドイツ工場の製造技術がバタフライのスプリングスポンジにおいつきつつあり、ドイツでもテナジーのようなラバーが製造できるに至ったといっても良いのかも言しれません。もちろん完全に同じではなく、ドイツ製ラバーのほうが、やや重い傾向であるようですね。

V>20の貼りと重量

 サブラケットとして非常に扱いやすいLimba Inner (リンバインナー)に貼りました。

V>20 Double Extra (V>20ダブルエキストラ)
 ハイエナジーテンション裏ソフト
・Sponge Thickness:1.8/2.0/MAX mm
・弧線の高さ:7.0
・Speed:9.1
・ドライブの精度:8.2
・シートの強さ:7.2
・反発:8.5
・Sponge硬度:52.5 ± 3°
・6,200円 + 税
・72 g(切断前) → 51 g(リンバインナーに貼って)

 やや重たいですね。人によっては重たいと感じるでしょう。

V>20 Double Extraの3つの特徴

抜群に扱いやすい!ロゼナの上位互換!?

 このラバーを初めに使ったとき、とにかく感じたのがバツグンの扱いやすさでした。自分がバックハンド、得意になったのか、と思えるくらい扱いやすかったです。ちょっとした技術なんですけど、止めるブロック、かけ返すドライブブロック、サイドスピンブロック、中陣ドライブが簡単に安定しました。これは試合で頼れる奴だなって感じましたね!Rozena (ロゼナ)と比較すると、V>20の方がマニュアル感がある分、おさまりが良くて扱いやすさに長けるイメージです。Rozena (ロゼナ)の方がイキイキしていて回転がバツグンにかかる分、オートマでスピードが出てしまいコントロールするのに、練習が必要になると思います。もちろん、V>20も回転がかからないわけではなく、むしろしっかり回転がかけられるなら、エグイドライブが打てます。これは自分はバックハンドよりもフォアでしっかりループドライブしたときに、ループドライブの回転量の多さを感じました。似ていますが、Rozena (ロゼナ)よりもV>20の方が上級者向けで、ドイツ製ラバーらしさ (ボールの回転量が揃わない感じ)、カウンター性能を盛り込んだようなラバーに仕上がっていると思います。

テナジーよりもカウンターがしやすい!

 1つ目でも既にふれましたが非常にカウンターがしやすいラバーでした。全体的に相手のドライブに強く、ブロックから相手のループドライブに対して容易にカウンターをとれると思います。このよりやすさは現代卓球ではかなり魅力的なラバーではないかと思いました。Tenergy 05 (テナジー05)はしっかりボールがもてれば非常にカウンターも安定しますが、自分ではそのような打ち方はフォアでないとできません。バックハンドでも容易にカウンターが取りやすいラバーがV>20になるでしょう!

テナジーとドイツ製ラバーの融合!

 想像通りテナジーらしさを強く感じるラバーでしたが、ツッツキや対下回転ドライブ時にドイツ製ラバーらしい弾みや回転のバラツキを感じました。またドライブも弧線は思ったより上がらず弧線の強さも感じにくくて、弾道に直線性も感じました。この攻撃的な直線性はVICTASドイツ製ラバーの特徴のようにも感じましたね。VICTASテイストをもったテナジーといっても良いように思います!

 実際、V>20へ移行している選手、移行していない選手がいるようで、VICTASの契約選手のうち、村松雄斗選手、吉村和弘選手、岩渕幸洋選手、岸川聖也選手(コーチ)が使用しているようです(2022/10/23時)。吉村和弘選手はテナジー系のラバーを使用していたので、納得のチョイスだと思いますね。いっぽうで V>15 Extra (V>15エキストラ)を好んで使用していたと思われる選手はそのままV>22 Double Extra (V>20ダブルエキストラ)へ変更している印象です。同じ年に発売されたラバーでネーミングもかなり似ていますが、その性能はかなり異なるのかもしれませんね。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ
 グリップ力があって、非常にやりやすかったです。ボールが深くいく印象がありましたが、回転量も抜群で何も選択肢がなければフォアもバックもV>20でもありかもしれないと思いました。もちろんフォアはもっと硬いラバーが好みなのでかえませんが。

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フォアフリック

フォアサーブ

バックハンド系

軽打
 特に違和感なしです。どちらかというと馴染みやすさも感じました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 これは良いです!打ちやすかったですね。個人的には重さも感じず非常にバックハンドドライブが打ちやすいと感じました。回転もしっかりかかっていて納得のボールが連続で打てて良かったです。

対下回転に対するループドライブ
 Dignics 05 (ディグニクス05)と比較すると、弧線は低いですがその分、コントロールしやすいと思いました。打球点を落としてしっかり回転がかけられるラバーだと思いますので、使い込めばバックハンドループドライブでも点数が取れるのではないかと思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 これは少し今までと感覚が異なっていて、回転をかけてボールを沈めようとするよりもインパクトの強さでネットだけ超すようなイメージで打つと安定すると思います。このあたりはブランドの違いを感じましたね。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 やりやすかったです。最近アクティブブロック(伸ばすブロック)を練習中て非常にやりやすくて良かったですね。

カウンタードライブ
 やりやすいと感じました。おさまりが良くてびっくりでした。あまり持ってしまうとオーバーミスしやすくなると思うのですが、V>20はボールをしっかりテナジーのように持つのにおさまる点が非常に魅力を感じました。

ストップ

ツッツキ
 切れるとは思いますが、ややボールが浮くときもあると思いました。このあたりは好みもあるように思います。Dignics 05 (ディグニクス05)のようなボールへの吸い付きはなかったです。

チキータ
 最近Dignics 05 (ディグニクス05)を使っていて感覚が少し違うと感じました。慣れればV>20の方がやりやすいと思いますね!

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 05 > V>20 Double Extra ≧ Tenergy 05

スピード
 Dignics 05 > V>20 Double Extra > Tenergy 05

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