説明
韓国の卓球メーカーXIOM(エクシオン)は、コスパの良いVega(ヴェガ)シリーズと、ハイエンドモデルのOmega(オメガ)シリーズの大きく2種類のラバーシリーズが有名ですね。実はラケットでも存在感が出てきてると感じます。これぞ、まさに王道といえる、5枚合板ALLROUND S(オールラウンドS、5,000円+税)、7枚合板EXTREME S(エクストリームS、5,200円+税)、アウターカーボンStradivarius(ストラディヴァリウス、9,000円+税)、とどれもコスパ良をそろえながら、他メーカーにない、Ice Cream AZX(アイスクリームAZX)、Ice Cream AZXi(アイスクリームAZXi)などを販売しています。
そしてブラジルのハードヒッター、Hugo Calderano(ウーゴカルデラノ)選手がXIOMと契約し、用具変更後も順調にワールドツアーランキングを一桁まで上げました!カルデラノ選手が使用しているHugo Hyper Axylium(ウーゴハイパーアクシリウム)とOmega VII Tour(オメガ7ツアー)も人気急上昇ですね。また、韓国の鉄壁のブロックとチキータのJeoung Youngsik(鄭栄植)選手もIce Cream AZXi(アイスクリームAZXi)とOmega VII Pro(オメガ7プロ)を使用中になります。
本ページでレビューするのはVega Tour(ヴェガツアー)になります。ヴェガシリーズの最高峰としてツアーがついたラバーになりますね。このヴェガツアーは、最新のヴェガであるVega X(ヴェガX)と同じく、ERASTO FUTURAラバーになり、CYCLOID(サイクロイド)、DYNAMIC FRICTION(ダイナミックフリクション)、CARBO SPONFE(カーボスポンジ)の技術を採用されています。それ以前のOmega V(オメガ5)シリーズやヴェガシリーズとは一線を画すラバーだと思います。エクシオンのラバー、その技術について言及してみます。
・MAX AT 4
公式ルールの範囲内で、最大限のテンションをかける技術。
・ELASTO FUTURA
オメガVIIシリーズ、ヴェガツアー、ヴェガXに搭載されている総合技術。「CYCLOID」、「DYNAMIC FRICTION」、「CARBO SPONGE」の3つの特別なチューニングを1枚のラバーに集約し、繊細なボールタッチ、他に類を見ないほどのグリップ力、画期的な弾力性を実現する技術。
・DYNAMIC FRICTION(DF)
雪の上でも十分な摩擦力を発揮するスノータイヤから生まれたラバーの表面加工技術。表面が滑りやすいプラスティックボールを、しっかりつかみ、より多くの回転エネルギーを作り出す技術。
・CYCLOID
プレーヤーの確率を高め、ボールの弧線がナチュラルに高く、ブロックでのネットミスを減らし、相手のコートへボールが最大限深く入る技術で、回転量と飛距離の比率を精緻に計算された設計により、高いスピードと力強いエネルギーをドライブに伝える技術。
・CARBO SPONGE
スポンジにカーボン粒子を配合する技術。ボールをしっかりつかむ力とカタパルト効果でトップシートと相互作用できる技術。
・HYPER ELASTO
2008年に禁止になったスピードグルーの効果の、代替とすべく開発された技術。スピードグルーなしで使ったような打球感、打球音、飛距離、回転力を実現する技術。加速性能を上げた「IMB」、弧線の高さを追及した「CST」などのバリエーションがある。
・TENSOR
XIOMが開発した、スピードグルーと同様の、テンション効果を持たせる技術。ゴム分子の構造をピンと張りつめた状態にし、それを半永久的にキープする技術。「TENSOR」ラバーなら、余計な労力を使うことなく、楽にスピードが乗ってスピンの効いたボールを繰り出すことができる。この技術をベースに独自の考察とアレンジを加え、「HYPER ELASTO」技術を完成させた。
・BIOS
「TENSOR」と同じく、XIOMが開発したクリーンなラバー製造技術。製造過程で、環境に悪影響を与える物質や発がん性物質などが発生したり配合されたりしない技術。「BIOS」ラバーは有害物質を徹底的に排除、製造に携わるスタッフからラバーを使うプレーヤーに至るまで誰一人として環境面、健康面で心配なく安心して使うことができる。ハイパフォーマンスでクリーンなラバーの象徴。
Vega X(ヴェガX)、Vega Tour(ヴェガツアー)、そしてOmega VII(オメガ7)シリーズは全て同じ技術シンボル、ELASTO FUTURA搭載のラバーになりどのラバーもカーボスポンジとダイナミックフリクションですので、スポンジは黒く、シートはダイナミックフリクション(DF)仕様のシートでグリップ力のあるラバーになります。
今回レビューするヴェガツアーはOmega VII(オメガ7)シリーズの後に販売されたラバーになります。基本的にXIOM(エクシオン)さんのラバーは、以下のようなイメージで問題ないと思います。
Pro(プロ):シリーズのベースとなるようなラバー。
Euro(ユーロ):柔らかくて扱いやすい。
Asia(アジア):プロよりもやや硬く、回転重視。
Tour(ツアー):トップ選手も満足する、シリーズの最も高性能かつ扱いの難しいラバー。
ヴェガツアーに関して、注目すべきはやはりコスパでしょう!オメガ7シリーズが全て定価7,000円+税に対し、同じ技術であるにもかかわらず、ヴェガツアーは4,500円+税と約3分の2の値段になりますね。卓球ショップでは割引もありますので、3,000円台でしょう。それではヴェガXとの違い含め、レビューしていきたいと思います。
ヴェガツアーについて、パンフレット上で次のように説明されています。
キング・オブ・ヴェガ降臨 従来のヴェガの殻を破り、性能的に突き抜けた存在として登場したシリーズ旗艦製品・ヴェガツアー。最大の特徴は、XIOM最高峰のオメガVIIシリーズで採用されたサイクロイド技術が搭載されていることた。薄くてしなやかなトップシートはプレーヤーの感覚を研ぎ澄まし、ハイスピードかつハイスピンの上質なボールをコンスタントに創出してくれる。その中で、45度のミディアムソフトなスポンジが打球感をマイルドにしているため、従来のヴェガシリーズと同様の親しみやすさも失っていない。威厳と力強さを持ちながらも心優しきヴェガの王様、それがヴェガツアーだ。その最大の長所は、抜群の弾力性により楽にボールを飛ばせること。フォア面に使うなら、一発の威力を重視したいプレーヤーに。バック面に使うなら、ハイピッチの打ち合いで相手を押し込んでいきたいプレーヤーにおすすめできる。いずれの場合も、繊細なタッチを可能にするトップシートの恩恵で、サービスやストップ、ループドライブといった回転系テクニックにも不安はない。一定程度のコントロール技術を身につけたミドルクラスの選手がさらなる威力を求める時、ヴェガツアーはベストチョイスとなるだろう。
公表性能値
公表性能値を比較してみましょう。
ヴェガツアーは、ヴェガシリーズの中で最も高い性能のラバーです。その高い性能はVega X(ヴェガX)やOmega V Tour(オメガ5ツアー)よりも高い公表性能値になります!それでいてスポンジ硬度は、ヴェガXやオメガ5ツアーDFよりも柔らかい45度というのが特筆点になりますね。ツアーと冠されたラバーであり、スピード性能やスピン性能は、Omega VII(オメガ7)に匹敵するレベルといえるでしょう。
ヴェガツアーの貼りと重量
今回はZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。
Vega Tour(ヴェガツアー) ELASTO FUTURA(CYCLOID、DYNAMIC FRICTION、CARBO SPONGE) TENSOR(テンゾー) BIOS(バイオス) ・Sponge Thickness:2.0/max mm ・Speed:12.0 ・Spin:12.0 ・Sponge硬度:45.0° ・4,500円 + 税 ・70 g(切断前) → 48 g(張継科ZLCに貼って)
重量は意外に軽い、48 gでした!フォアにもバックにも使えるようなラバーだと思いますね。この軽量で、オメガ7シリーズに匹敵する性能というのは、嬉しいと思います。
Vega Tourの3つの特徴
これぞキングオブヴェガ!扱いやすくて高い回転性能!
ヴェガツアーの特筆点は、45°のミディアムスポンジなのに、高性能な点になります!シートが柔らかめで扱いやすく、それでいて回転性能の高さが非常に気に入りました!回転性能は、調子よければTenergy 05(テナジー05)に匹敵するレベルだと思います。ラバーが柔らかいため弧線が高くなりやすく、柔らかいラバーなのにしっかり回転がかかる点は好印象でした。柔らかさが絶妙で、もっと柔らかいとエネルギーロスを感じると思いますし、もっと硬いとスイングスピードを要すると思います。オメガ7シリーズがスピードに特長を示すシリーズに対し、同じ技術を採用しながら回転性能に特長があるのがヴェガツアーといえると思います!
似ているラバーはRasanter R48(ラザンターR48)ですね!最大回転量はよりくい込むR48の方が上かもしれませんがコスパとグリップ力はヴェガツアーの方が上のように感じました。
特にドライブがしやすいラバー!
シートもスポンジも柔らかくくい込みの良いラバーでしたので、とにかくドライブがしやすいラバーでした。特にループドライブや回転強めのチキータでボールをしっかり持って薄くとらえやすく安定していてやりやすかったです。また球離れの早さや飛び出しの良さでスピードを出すぎることはなくて良かったです。一方で、少しやりにくいと個人的に感じたのがミート系の技術で、しっかりくい込むのでテナジー05のように、勝手にドライブや他の回転が、がかかってしまいやすいと感じました。この辺りは好みでしょうが、男子選手のようにドライブやチキータなど回転をかけることを主軸に考える選手のバックハンドや、ドライブをメインで考える女子選手のフォアにもあうラバーだと思いました。
他のXIOMラバーと比較するとシートが柔らかいラバー
Vega X(ヴェガX)やOmega V Tour DF(オメガ5ツアーDF)はシートにほどこされたDYNAMIC FRICTION(ダイナミックフリクション)技術でシートが硬いけどボールをグリップする感じでしたが、ヴェガツアーは、ダイナミックフリクションがありながら、シートも柔らかく、スポンジもくい込みが良いラバーでした。この柔らかさが高い扱いやすさとコントロール性能を生み出していると感じました。それでいて、回転性能はヴェガXやオメガ5ツアーDFと同等以上の回転性能になる点が非常に気に入りました。ヴェガXやオメガ5ツアーDFの方が、弧線は低くスマッシュやスピードドライブの威力やスピードは高くなりやすいラバーではありましたが、主にバックで使用するとヴェガツアーの方が扱いやすさと回転性能に安心感のあるラバーでした!
各技術レビュー
フォアハンド系
軽打
フォアに使用すると少し柔らかさが目立つように感じました。
ロングボールやラリーでのドライブ
安定感とスピン性能は高いものの、Dignics 05(ディグニクス05)と比較すると、スピード不足は否めませんでした。柔らかいのでコースコントロールは良いのですが、フォアでは柔らかすぎる気がします。
面を開いたドライブ
柔らかいので少しスピード不足を感じました。エネルギーロスを感じますね。
対下回転に対するループドライブ
非常に強い球持ちを感じました。柔らかい分弧線も高いと思います。ただし、フォアならもっと硬い方が強い回転量を得られると思います。
対下回転に対するスピードドライブ
柔らかいので打ちやすかったです。回転量は少ないと思います。
カーブ/シュートドライブ
ブロック
少し回転の影響を受けやすかったです。この辺は慣れが必要ですね。
カウンタードライブ
やはり回転の影響を受けやすいですね。テナジー05でカウンタードライブするように弧線が高くなることをイメージして打った方が安定すると思います。ヴェガXはたまにスリップしているときがあったと思いますが、ヴェガツアーはやわらかいですが滑りは少ないと思いました。
ストップ
止まりやすかったです。シートが強いので、ラバー全体で柔らかいとはいえ、ストップしやすくいいラバーですね!
ツッツキ
滑ることもなく、良かったです。少し飛び出してしまう感じはあり、オメガ5ツアーDFの方が切りやすいと思います。
フォアフリック
フォアサーブ
回転をかけやすかったです。縦切り系よりしっかりくい込ませた方が回転はかかると思います。
バックハンド系
軽打
しっかり球をもって好感触でした。
ロングボールやラリーでのドライブ
上回転のラリーでもループドライブのようなドライブがやりやすかったです。ゆっくり山なりのボールが打ちやすかったです。なれればスピードも出せると思います。
対下回転に対するループドライブ
オメガ5ツアーDFと比較しても同じかそれ以上やりやすかったです。
対下回転に対するスピードドライブ
柔らかいのでやりやすかったです。
カーブ/シュートドライブ
ヴェガXなみに曲がる印象です。横回転を入れることで手元での変化でミスを誘えると思います。
ブロック
やはり回転の影響は受けやすかったです。スマッシュ系、ナックル系のボールに対してはくい込む分やりやすいと思います。
カウンタードライブ
難しかったです。技術不足ですね。
ストップ
柔らかいわりにはやりやすかったです。
ツッツキ
切るというよりは流れるような早いツッツキが好感触でした。
チキータ
弧線を作りやすくやりやすかったです。横回転も入りやすくて良かったです。
他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
Tenergy 05 ≧ Vega X ≧ Vega Tour ≧ Omega V Tour DF > Tenergy 80 FX
回転のかけやすさ
Tenergy 05 FX > Vega Tour > Vega X
スピード
Vega X > Vega Tour > Hurricane NEO III