Hurricane Pro III Turbo Blue (キョウヒョウプロ3ターボブルー) (Nittaku)のレビューになります。近年の粘着ラバーのブームの中で、中国製の粘着シートと日本製のハードスポンジを組み合わせたキョウヒョウになります。Nittaku製のキョウヒョウは、中国製シート+日本製スポンジのタイプをラインナップしていて、Nittaku製キョウヒョウは基本的には、中国製シート+日本製スポンジで構成されているイメージです。もちろん、katsuo000は後加工やブースター、有機溶剤を使わない貼り付けでのレビューになりますので、よろしくお願い申し上げます。
説明
中国卓球を語る上で今や避けては通れない粘着ラバーの代表的な存在、それがHurricane (キョウヒョウ)になります。今回はニッタク製のHurricane (キョウヒョウ)シリーズである、Hurricane Pro (キョウヒョウプロ)シリーズの1枚、最硬硬度のスポンジとあわせた、Hurricane Pro III Turbo Blue (キョウヒョウプロ3ターボブルー)をレビューします。それでは、まずNittakuさんのカタログの説明、およびホームページの説明を引用させていただきます。
パワー系スイングのターボブルー!
スイングの速さで勝負するプロ仕様!破壊力のあるプレーをするならコレ!キョウヒョウプロ3のトップシートにスピード性能を向上させるアクティブチャージ (AC)を内蔵した日本製高弾性スポンジを搭載。
Nittaku カタログより
平野早矢香さん (ニッタクボール・用具アドバイザー) コメント
バチンって当たるか、キュってループをかけるか。面の出し方・当て方・つかむ技術を磨いて使いこなす、上級者向けラバーです。使いこなす事ができればとにかく威力が出ます!ボールを受けた側も押される感覚があります。そして、相手が取りにくいと感じる変化のある球質が出せるラバーなので、試合展開を優位に運べると思います。パワー系スイングの男子や上級の女子に使ってもらいたい、破壊力のあるプレーで勝負してください!
時吉佑一選手 / コーチ (吉村真晴選手のコーチとして世界卓球2023などに帯同)コメント
待望のブルースポンジです!私はずっとキョウヒョウを使っていますが、このブルースポンジはかなり威力のあるボールが出せます!キョウヒョウを使いこなすプレーヤーが求める条件は「回転をかけたときに飛ぶ」という部分にあります。それがターボブルーでは十分に発揮されるので、まさに待望のキョウヒョウラバーという感じてですね。使いこなしているプレーヤー全体に言えるのは、しっかりと回転を掛けて飛ばすためのパワーを要するということです。相手コートにバウンドした後、ボールが伸びるような軌道を描けるのも、このブルースポンジの特徴なので、私はとても気に入っています。キョウヒョウユーザーだけでなく、パワー系スイングを得意とする上級者にもオススメです。新井卓将コーチコメント
カットマンにもおすすめです!ツッツキがめちゃくちゃやりやすくて、カットもかなり切れますよ!相手のボールの威力を吸収してくれるような感じで、ゆったりとしたカットができます。反撃時もミート打ちやドライブで威力を発揮しますし、特に低い打点でのカーブロングが抜群に安定して、とにかくスゴイと感じました。カットのしやすさ切りやすさ、高い打点でのスマッシュ、ドライブの威力と安定感、低い打点でのカーブロング、連続攻撃をされないためのしのぎのブロックなど、ブルースポンジはかなり高いレベルでそれらの要求を満たしてくれるラバーです。攻撃型プレーヤーだけでなく、高いレベルで勝負するカットマンにもおすすめです。
Nittakuのホームページより
ハードなブルースポンジ
『ターボオレンジ』よりも5度硬い日本製スポンジを搭載し、ハードヒッターのみが使うことが許された仕様になっている。ラバーの色は黒のみなので選ぶ時は注意しよう。
翔龍と比較した性能
スピード: -2 (遅い)
強ドライブのスピン: -1 (少ない)
ループドライブのスピン: +1 (多い)
カウンタードライブ: +3 (入る)
ツッツキ&ストップの質: +1 (高い)コントロール (扱いやすさ): -3 (難しい)
球の重み: -2 (軽い)
かなり硬いラバーですが、ある程度飛ぶので好印象でした。気をつけないといけないのは、他のラバーに比べてもビックリするくらい重いこと。ラケットがズシッときます。よほどパワーに自信のある選手か、ラケットを軽くして全体重量を抑えないと振り切ることは難しいと思います。私もスイングスピードが落ちてしまい、良いボールになりにくかった。カウンターはかなり質の高いボールが打てました。相手の回転を利用するプレーはすごくやりやすい。逆に自分のボールにして打つのは大変です。少しでも逆を突かれてしまった時は対応できない難しさがありました。
岩崎栄光選手/コーチの試打企画 (卓球王国)より
パワーヒッター御用達であることが伝わる説明になりますね。自分自身は、ハードなラバーをフォアに使うことが好きなので、Hurriane Pro III Turbo Blue (キョウヒョウプロ3ターボブルー)のようなラバーは好みですね。初めて使ったころは、軽いラバーを使用していたので、硬すぎて使いこなせる感じではありませんでした。改めて使いこなせるのか、どのようなラバーなのかレビューしていきたいと思います。
Nittaku製Hurricane (キョウヒョウ)
中国トップ選手はDouble Happiness Shanghai (紅双喜、DHS)製を使用していますが、日本ではNittaku (ニッタク)が総代理店でありキョウヒョウという名前のラバーを販売しています。同じ名前ですが、スポンジが日本製であるため、基本的にはDHS製キョウヒョウとは別物だと考えてください。唯一キョウヒョウ3国狂ブルー (Hurricane III National Rubber Blue Sponge)は、DHS製のいわゆる中国トップ選手も使用するラバーと同じ品質のラバーになりますね。Nittaku製のキョウヒョウは中国製の粘着シートに日本製のスポンジを組み合わせたものが主流で、扱いやすい分やや回転量や癖球が出にくいラバーとなっています。初中級者で導入として使用するのは非常にオススメのラバーになるでしょう。
2023年時点でNittaku製キョウヒョウは、以下のラインナップとなっていました。
・Nittaku Hurricane II(ニッタク キョウヒョウ2)
・Nittaku Hurricane III(ニッタク キョウヒョウ3)
・Hurricane Pro II(キョウヒョウプロ2)
・Hurricane Pro III(キョウヒョウプロ3)
・Hurricane NEO III(キョウヒョネオ3)
・Hurricane Pro III Turbo Orange(キョウヒョウプロ3ターボオレンジ)
・Hurricane Pro III Turbo Blue(キョウヒョウプロ3ターボブルー)
・Hurricane III National Rubber Blue Sponge(キョウヒョウ3国狂ブルー)
計8種類ですね。
Nittaku製のキョウヒョウは、スポンジ厚さとシートの色(赤・黒)を選ぶことになりますが、本ページでレビューするHurricane Pro III Turbo Blue (キョウヒョウプロ3ターボブルー)とHurricane III National Rubber Blue Sponge (キョウヒョウ3国狂ブルー)はシートの色は黒のみになります。シートがすけてしまいスポンジの青色が透けてしまうため黒シートのみになるというものですね。Hurricane III National Rubber Blue Sponge(キョウヒョウ3国狂ブルー)を除いてNittaku製のキョウヒョウは、中国製のシートに日本製のスポンジをあわせているので、比較的弾ませやすい傾向があります。自分がもし、Nittaku製キョウヒョウの中からラバーを選ぶとしたら硬くて粘着力も強いプロを冠するシリーズ、とりわけ本ページでレビューしているHurricane Pro III Turbo Blue(キョウヒョウプロ3ターボブルー)を選ぶと思います。このラバーは、硬いもののスポンジのおかげで結構弾むラバーになっている印象ですね。その分、DHS製のキョウヒョウと比べると癖球も出にくい印象です。続いて、Nittaku公表の回転性能、スピード性能になります。
Spin | Speed | Sponge Stiffness | |
Hurricane III National Rubber Blue Sponge キョウヒョウIII国狂ブルー | 15.00 | 14.75 | 42.5 |
Hurricane Pro III Turbo Blue キョウヒョウプロIIIターボブルー | 15.00 | 14.75 | 50.0 |
Hurricane Pro III Turbo Orange キョウヒョウプロIIIターボオレンジ | 15.00 | 14.75 | 45.0 |
Hurricane Pro III キュウヒョウプロIII | 15.00 | 10.25 | 42.5 |
Hurricane Pro II キョウヒョウプロII | 15.50 | 10.00 | 42.5 |
Hurricane NEO III キョウヒョウNEO III | 15.00 | 11.25 | 42.5 |
Nittaku Hurricane III ニッタクキョウヒョウIII | 14.50 | 10.25 | 37.5 |
Nittaku Hurricane II ニッタクキョウヒョウII | 15.00 | 9.75 | 37.5 |
↓Hurricane Pro III Turbo(キョウヒョウ プロ3ターボ)シリーズ(Hurricane Pro III Turbo Blue (キョウヒョウプロ3ターボブルー)とHurricane Pro III Turbo Orange(キョウヒョウプロ3ターボオレンジ))は同じスピードとスピン性能になります。
硬度計比較
Weight | Shore a (sheet) | Shore a (sponge) | Shore c (sheet) | Shore c (sponge) | sheet-sponge (shore a) | sheet sponge (shore c) | |
Hurricane Pro III Turbo Blue (キョウヒョウプロ3ターボブルー) | 58 | 36.8 | 41.4 | 53.1 | 57.6 | -4.67 | -4.50 |
Hurricane NEO III National Rubber Blue Sponge (国チーム用 キョウヒョウ3 ブルースポンジ 国狂3 ブルースポンジ) | 48 | 36.9 | 38.2 | 51.1 | 52.1 | -1.25 | -1.00 |
Hurricane Pro III Turbo Orange (キョウヒョウプロ3ターボオレンジ) | 55 | 33.1 | 37.9 | 51.3 | 53.2 | -4.83 | -1.92 |
Dignics 09C | 50 | 33.4 | 31.8 | 50.8 | 49.1 | 1.58 | 1.67 |
Omega VII China Ying オメガVIIチャイナ影 | 57 | 34.3 | 32.6 | 50.5 | 50.3 | 1.67 | 0.17 |
表からわかるように、キョウヒョウはシートよりもスポンジの方が硬いラバーになっています。またこのスポンジが硬くてシートが柔らかい、という特徴は一つのキョウヒョウシリーズの特徴といえるでしょう。このようにシートの方が柔らかいラバーを硬度表から探すと、中国製粘着ラバーをのぞくと、Rakza Z Extra Hard (ラクザZエキストラハード)、Rakza Z (ラクザZ)、Golden Tango (ゴールデンタンゴ)、Hybrid K1J (ハイブリッドK1J)、Vega DEF (ヴェガDEF)、などが挙げられます。挙げられたラバーで硬いラバーは、やはり癖球が出やすいラバーのイメージがありますね。かなりシート側が柔らかくて、非常に球持ちを感じやすいラバーになっています。球持ちという点では非常に球を持つと感じやすいラバーがキョウヒョウシリーズであることは確かだと思います。
ターボブルーの貼りと重量
やはりキョウヒョウはアウターカーボンに貼らないと、ということで、今回は廃盤になってしまったZhang Jike ALC (張継科ALC)に貼りました。Fine Zip (ファインジップ)を使うか迷いましたが、今回は試打ということで、トロサラ系のFree Chack II (フリーチャック2)で貼りました。
Hurricane Pro III Turbo Blue (キョウヒョウプロ3ターボブルー) ・Sponge Thickness:中 / 厚 / 特厚 mm ・Sponge硬度:50.0° ・92 g(切断前) → 58 g (Fine ZipでZhang Jike ALC (張継科ALC)に貼って)
さすがに重たいですね。普段からOmega VII China Ying (オメガVIIチャイナ影)を使っているので違和感はありませんでしたが、この重量が良いと感じるかは人によると思います。
キョウヒョウプロIIIターボブルーの3つの特徴
キョウヒョウの中ではかなり弾む!でもやはりキョウヒョウ!
キョウヒョウの中ではかなり弾みますね。この打球感は、DHS製のキョウヒョウNEOシリーズ並みかそれ以上の弾みだと感じました。ただし、DHS製のキョウヒョウNEOはもっと軽くてスポンジもしなやかさがを感じますが、ターボブルーは、スポンジがコチコチの鉄板のようなラバーでした。硬くてしなやかさががないので、どうしてもスピン系テンションラバーのようにくいこませても、弾いたドライブになりやすく、勝手にスピードが出てしまいやすいと感じるラバーでした。この感覚は、Omega VII China Ying (オメガVIIチャイナ影)にも感じさせられる部分がありますが、Omega VII China Ying (オメガVIIチャイナ影)と比べると弾みは弱いため、自分好みかもしれません。ただし、アウターALCのZhang Jike ALC (張継科ALC)にあわせてもボールのスピードが遅いと感じるラバーでした。特にキョウヒョウの特徴である2速の伸びを求めた場合、かなり打ち方を意識しないと棒球になりやすいイメージもありました。岩崎栄光選手/コーチの試打でもあるように弾む分、癖を出せる打ち方を意識しないと味が出せないラバーであるともいえるでしょう。Nittaku製のキョウヒョウシリーズの中では最も新しいラバーだけあって、飛ばしやすいと感じる点は、ありと感じさせるラバーだと感じました。ただスピード性能を意識すると、アウターカーボンか、インナーカーボンでも硬めで威力の出しやすいラケットとあわせる必要があると思います。
めちゃめちゃ重い!Omega VII China Ying (オメガVIIチャイナ影)よりもマッドで重さを感じる!
Omega VII China Ying (オメガVIIチャイナ影)は癖や回転量も得られるラバーではありますが、前陣から中陣位からでもスピードが遅いと感じにくいくらいスピードを出しやすいラバーでもありますが、このターボブルーは、打感がマッドで、中陣のスピードドライブでノータッチはやや難しいかもしれないと感じました。この感覚はキョウヒョウらしいなーとも感じますし、キョウヒョウといえば、この弾まない性能ですので、当然といえば当然かもしれません。トップ選手でこのラバーを使用して勝つ選手が出てくると人気も出ると思いますが、本場のHurricane III National Rubber Blue Sponge(キョウヒョウ3国狂ブルー)も発売されてしまうと、DHS製を使うだろうと思いますね。
Omega VII China Ying (オメガVIIチャイナ影)よりもループドライブの質は高い!
ループドライブの質を比較したとき、勝手に弾みやすいOmega VII China Ying (オメガVIIチャイナ影)と比較すると、ターボブルーの方が質の高いループドライブがしやすいといえるでしょう。プラボールになって、抗菌仕様も増え、回転や癖で点数をとりにくくなりましたので、正直ループドライブの質は高いものの慣れられるとOmega VII China Ying (オメガVIIチャイナ影)よりもターボブルーの方がスピードドライブが打ちにくい分、選択肢がせばまるようにも思いました。この辺りは好みにもよると思いますね。キョウヒョウの、相手のコートについてから低く前に伸びるドライブを目指すのであればOmega VII China Ying (オメガVIIチャイナ影)よりも断然ターボブルーの方が良いですが、ボールの伸びがあってもうまい選手は上手に返球しますし、スピードが遅いことを活かせるかどうかがポイントだと思いますね。
各技術レビュー
フォアハンド系
軽打
思ったよりも弾みます。弾きやすくラケットを厚ラケにすれば下回転のミートもしやすいかもしれません。
ロングボールやラリーでのドライブ
くいこまないので、手で打球してはだめですね。しっかり体幹を使って打ちましょう。そうすることでいいボールが打てると思います。また中国選手のように面を開いた方がボールの伸びも得られると思います。
面を開いたドライブ
この打ち方ができないと、キョウヒョウは使いきれないです。巻き込んでしまうと味が出ないので、しっかり面を開き、気持ちシュート回転をかけるようにドライブをするのがコツだと思います。ただこのラバーはかなり弾むので回転をしっかりかけれるようにインパクトを強く、かつしっかり球を持つイメージでドライブするといいと思います。
対下回転に対するループドライブ
非常に質の高いループドライブがしやすいです。ただし、弾みもあるので、高くなると撃ち込まれると思います。上手に浅く低く薄くとらえるといいと思います。
対下回転に対するスピードドライブ
アウターカーボンでようやく使えそうなスピードが出ました。でも結構弾いているのと、回転を掛けにくいとも感じました。自分レベルでは、インナーの方が回転をかけやすくて扱いやすいかもしれませんね。
ブロック
やりにくさはなかったです。
ストップ
ツッツキ
フォアサーブ
少したたきつけるように切ると切りやすいと思います。やはり弾みますね。
バックハンド系
軽打
ロングボールやラリーでのドライブ
対下回転に対するループドライブ
対下回転に対するスピードドライブ
ブロック
ストップ
ツッツキ
チキータ
他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
キョウヒョウ3国狂ブルー ≧ キョウヒョウProIII ターボブルー > オメガVIIチャイナ影
スピード
オメガVIIチャイナ影 > キョウヒョウProIII ターボブルー > 普狂NEO3