レビュー Target Pro XD-52.5(ターゲットプロXD-52.5)

説明

  本ページでレビューするラバーはフランスの卓球メーカーcornilleau(コニヨール)のラバーで、2020年秋に販売の、ターゲットプロのシリーズの最新ラバーになります。日本ではjuic(ジュウイック)が販売代理店をしていますね。日本ではあまり存在感のあるメーカーではないですが、コニヨールのラケットラバーは決して悪いわけではありません。コニヨールは1946年に会社設立と歴史のあるメーカーで、2009年から元世界チャンピオン、Jean-Philippe Gatien(ジャン-フィリップ ガシアン、フランス)のもとで競技用のラバーとラケット開発を開始しました。現在では違うメーカーと契約していますが、世界ランキング上位のファンタジスタSimon Gauzy(シモン・ゴーズィー、フランス)選手や最速の両ハンドHugo Calderano(ユーゴ・カルデラノ、ブラジル)選手は過去にコニヨールの用具を使用していたそうです。例えば、コニヨールの9枚合板Gatien Conquest(ガシアンコンクエスト、板厚6.0 mm、97 ± 5 g)や今回レビューするTarget Pro(ターゲットプロ) シリーズのラバーなどがあげられるそうです。また過去に日本リーグ所属の実業団チームがコニヨールのラケットやラバーに好感触を得たという記事を卓球王国で見た記憶があります。卓球ナビにおいてもモンスターラバーTenergy(テナジー)と比較、超えたというレビューも散見され、非常に期待の高いラバーだと思います。
 なお、このTarget Proシリーズは、レストランの格付けで有名なタイヤメーカー、Michelin(ミシュラン)の技術で製造されているそうです。

 ターゲットプロシリーズは、過去にTarget Pro GT-X51(ターゲットプロGT-X51)とTarget Pro GT-H47(ターゲットプロGT-H47)をレビューさせていただきました。この2枚は非常に打球感が良くて、硬度の割にくい込みが良さと扱いやすさを感じたラバーになります。ただし回転量がやや不足気味で、ターゲットプロGT-H47ではテナジー05より劣る、ターゲットプロGT-X51では回転量は高いが扱いにくいと感じた次第です。扱いやすさと打球感の良さは抜群に良いのと、スポンジの色が硬度で異なるのが触っていて楽しいラバーでした。

Target Pro GT-X51:
  https://katsuo000.com/review_targetpro_gt_x51/
Target Pro GT-H47:
  https://katsuo000.com/review_targetpro_gt_h47/

 やはり初期の頃のポストテナジーラバーは、回転量を高くするためにテナジーよりもシートが厚くすることで、回転量を得るか、逆に回転量を諦めて打球感を追求するか、という設計になっているように思いますね。近年の進化型ポストテナジーラバーは、シートを薄くできる技術(おそらくくい込みの良い新スポンジ)を組み合わせることで、回転量と打球感を損なうことなく高性能なラバーとなっているようですね!逆にドイツ製ラバーに見られた癖球(ボールの回転量が揃いにくい)といったことが減ってきているようにも思います。
 今回のTarget Pro XD-52.5(ターゲットプロXD-52.5)も、近年登場しているポストテナジー系テンションラバーまたは進化型テナジー系テンションラバーにカテゴリーされるラバーだと思います。katsuo000の中で同じポストテナジー系テンション、または進化型テナジー系テンションに分類しているRasanter R53(ラザンターR53)やRasanter R48(ラザンターR48)についても、薄いシートを採用できるように技術が進んだそうです。近年の新作ラバーは薄いシート採用のラバーが続々登場してきていると思いますね!

 シートの形状と性能の関係はこちら: https://katsuo000.com/topsheet_shape/

公表性能値

 cornilleau(コニヨール)さんの公表性能値を示します。

 Target Pro XD-52.5(ターゲットプロXD-52.5)はcornilleauのラバーの中で最もスピン性能もスピード性能も高いスピン系テンションラバーということがよく分かります。また性能や使いやすさとある程度の相関を示す、硬度計による硬度比較を下記に示します。

 やはりターゲットプロXD-52.5は、やや重くて、しかしshore aのシート側値とスポンジ側値の差が、テナジー05と同様に大きいラバーになりました。近年の高品質なヨーロッパ製のラバーは重いですが初期のポストテナジーラバーよりも明らかにshore aの値差が大きくなっていますね!バタフライさんのラバーと比較すると、バタフライさんのラバーの軽さが際立ちつつも、重いことによるメリットが得られるといえるのが、近年の高品質ヨーロッパ製ラバーと言えそうです。やはりどちらかといえば、ディグニクスよりもテナジーに近いラバーといえるでしょうね。

ターゲットプロXD-52.5の重量と貼り

Target Pro GT-X51と同じクリーム色のスポンジでした。

 ターゲットプロXD-52.5は54 gでした。ラバー全体で73 gということで、重いと思いましたが、やはり重いですね汗。今回もVirtuoso AC(ヴィルトーソAC)に貼ってます。ブレード面積は158 × 150 mmで、バタフライのレギュラーサイズ(157 × 150 mm)と比較すると少し広いので、実際は53 g位にもなりうると思います。

Target Pro XD-52.5(ターゲットプロXD-52.5)
 Spin Tension 裏ラバー
・スポンジ厚:厚(2.0 mm)、極厚(Max)
・スピン:17.5
・スピード:17.0
・Sponge硬度:H(52.5)
・8,100円 + 税
・73 g(切断前) → 54 g(Vistuoso AC(ヴィルトーソAC)、ややブレード面積大に貼って)

Target Pro XD-52.5の3つの特徴

 今回もインナーカーボンです。やはり扱いやすいと感じました。アウターカーボンに貼っていたらまたイメージは異なったかもしれませんが、ご了承お願い申し上げます。

抜群のスピード性能とスピン性能!

 正直、そこまで期待していなかったのですが、重量は重いですが抜群のスピード性能とスピン性能でした。インナーカーボンラケットに貼っていることもあると思いますが、技術的にやや劣るバックハンドでのドライブのスピードと安定感が非常に高くて好印象でした。打球感覚的には、そこまで球持ちが良いわけではなく飛び出しも早いので、シート形状としては80っぽいかなと思いました。球持ちの強さよりもスピードも出せるシートだと思います。初打ちでは、「扱いやすいけど、回転量や威力はやや不満を感じるかな?」と思って使っていましたが、対下回転ドライブをしてみたところ、回転性能が高く、ブロック側がドライブをふかしてくれて、「扱いやすいのに、めちゃめちゃ回転かかる!」と非常に性能の高さを堪能できました!

 DNA Platinum XH(STIGA): 05っぽい
 Rasanter R53(andro): 80っぽい
 Evolution MX-D(TIBHAR): 64っぽい
 Taerget Pro XD-52.5(cornilleau): 80っぽい New

R53も80っぽいと思いましたが、扱いやすさの点で、ターゲットプロXD52.5が上回ってました。逆に荒ら荒らしさや相手が感じるプレッシャーはR53の方が上だと思います。

 また余談ですが、中間硬度や扱いやすさと性能を求めたラバーだと差別化が難しいこともありますが、 最新のハイエンドラバーで、各社のフラグシップ的なラバーですので、短い試打でもしっかり差別化されていると感じましたね。個性を求めると、R53やMX-Dが、扱いやすさと高い回転性能を求めるならDNAプラXHかターゲットプロXD-52.5だと感じました。

52.5を感じさせない、扱いやすさ!

 やはり、やや重いという点で操作しにくいと初めは感じはしたものの想像以上に扱いやすいと感じました。過去アウターカーボンのLin Goyuan ALC(林高遠ALC)にTenergy 80 FX(テナジー80FX)を貼ってバックで連打してみましたが、スピードと回転量は得られるものの、あまり安定しませんでした。一方インナーカーボンで扱いやすいということもありますが、今回のTarget Pro XD-52.5で打ってみるととにかくめちゃめちゃ安定していて驚きましたね。スピードも回転も自在性が高く気持ちよかったです。スピード性能が高く、初めはオーバーするかなと心配になりましたが、感覚よりもしっかり弧線を描いて沈む感じがありました。たとえば、テナジー系ラバーだと回転はかかるものの、硬さのためにスピードが出しづらかったり、弾くとスピードは出るものの回転がかからず安定しない、などなど操作性がそこまで高くないと林高遠ALCのときに感じたのと対称的と感じました。バックラバーとして新しい選択肢になりそうだと感じましたね!
 ブロックでは、くい込みの良さから相手の回転影響を受けやすいかなとも思いましたが、そんなことはなかったです。おそらく重量のおかげだと思いますね。くい込む割に重いので非常に安定していました。重ささえ気にしなければテナジーよりも良い選択肢になりそうなラバーだと感じました!

ヘビーで回転性能の高いテナジー80

 簡単にまとめると、重くて回転性能の高いテナジー80がちょうどあてはまると感じました。性能としては高性能で、Dignics 80(ディグニクス80)の硬さが使いにくいと感じるなら、ターゲットプロXD-52.5の方があうかもしれません。重さがあるので、フォア向きですが、ラバー面積やはり方などを工夫することで、バックにも十分に使えるラバーです!

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フリック

サービス

バックハンド系

軽打
 特に違和感なかったです。

ラリーでのドライブ
 この前に、Evolution MX-D(エヴォリューションMX-D)とDNA Platinum XH(DNAプラチナXH)を試打していて、正直その2枚と同等かそれ以上に良いと感じました。特にバックハンドドライブがしっかりかかるし、安定するし、スピードも出しやすいし、非常に良かったです。どちらかというとスピードが出しやすい打球感で、ボールを持つ打球感だけでいうとDNAプラチナXHの方が断然良かったのですが、ターゲットプロXD52.5は打球感からは想像できないくらい、回転がかかっていて驚きました。それでいてスピードも出しやすくてかなりチートでした。くい込みが良くバックでも十分に使えると感じました。

対下回転に対するループドライブ
 特に良かったのがこれで、下回転打ちがかなり楽にできました。DNAプラチナXHは、球持ちは良くてボールが沈むのですが、手だけだとボールが軽くなるイメージがありました。XD52.5は簡単に持ち上がるのに回転量もあって不思議でした。スポンジのくい込みの良さはDNAプラチナXHとターゲットプロXD52.5と大した差は感じませんでしたが、粒はXD52.5の方が細くて倒れやすいのだと思います。にもかかわらず回転量もでてかなりチート感ありました。

対下回転に対するスピードドライブ
 スピードドライブも打ちやすかったです。いいです!

ブロック
 少しくい込みが良すぎて相手の回転の影響は受けやすかったです。

カウンタードライブ

ストップ
 くい込みがいい分少し飛ぶ出すと感じました。

ツッツキ
 くい込みがいい分少し飛ぶ出すと感じました。

チキータ

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量

スピード

扱いやすさ

進化型テナジー系テンション内での比較
 回転量
  Dignics 05 ≧ Q5 ≧ DNA Platinum XH ≧ Rasanter R53 > Rasanter R48 ≧ Evolution MX-D

 スピード
   Dignics 05 ≧ Evolution MX-D > Rasanter R53 ≧ Q5 ≧ Rasanter R48 > DNA Platinum XH

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