レビュー Tenergy 19(テナジー19)

説明

 2021年春の新商品目玉の一つ、Butterfly(Tamasu)さんのTenergy 19(テナジー19)をレビューさせていただきます。今更ではありますが、改めてテナジー05について書かせていただきます。

 世界標準Tenergy 05(テナジー05)の発売は今をさかのぼること、約13年前、2008年4月になります。有機溶剤による後加工の禁止もあいまって未だに10年以上経過した2021年現在もワールドスタンダードの名前をほしいままにするテナジー05は卓球のことを考えるにあたり、なしでは語れない存在となってしまいました。全日本選手権のランカーは男女問わずテナジー05を使う選手が複数名いるのが当たり前になり競合他社はテナジー05に追いつけ、追い越せと新商品開発することが当たり前になりました。現時点でkatsuo000が思うテナジー05を意識したラバーは、打球感の似たEvolution MX-P(エヴォリューションMX-P、TIBHAR)やTarget Pro GT-H47(ターゲットプロGT-H47、cornilleau)回転性能の似たRasanter R48(ラザンターR48、andro)、打球感も回転性能も近いDynaryz AGC(ダイナライズAGC、joola)などだと思います。また木材合板系ラケットと相性が良く回転性能が似ていて、カウンター性能はテナジー05を上回るといえるQ5(キューファイブ、mizuno)やテナジー以上の回転性能を感じさせるRasanter R53(ラザンターR53、andro)などなどテナジー05を超えると感じさせるラバーまでもが登場するようになりました。
 これに対しバタフライは、2017年4月にテナジーの廉価版であるRozena(ロゼナ)を、2018年11月にテナジー05をより硬くしたTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)を、2019年4月にテナジー超えるラバーとしてDignics 05(ディグニクス05)を発売しました。そしてテナジーからディグニクスへの移行も見えつつあった2021年3月改めて新テナジー、テナジー19が販売となりました。このテナジー19の公表性能値はなんとテナジー05以上のスピンとスピード性能を持つラバーということで、情報発信後、SNSやYou tubeで一気に話題になりましたね。改めてテナジーの新製品を出してきたバタフライさんはどんな戦略や顧客ニーズを予想してテナジー19の販売を決めたのか。その真意はわかりませんが、ここにきて改めて新しいテナジーということで有名You Tuber各位がこぞって試打動画をあげています。katsuo000は全く無名ですし、本レビューを投稿したときには既に後発のレビューとなると思いますが、katso000が感じたことを改めて発信したく、そういった内容含めて楽しんでいただければ幸いです。

トップシート

 テナジーはトップシートに採用している粒形状によって、それぞれのラバーの特徴がわかれます。現在までにシート形状の違いによって05、80、64、25と4種類、スポンジ硬度の硬さで2種類の4×2種類が存在します。またトップ選手の使用率の高くTenegy 05(テナジー05)の特徴をさらに際立たせるためにスポンジをさらに硬くしたTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)も入れると、テナジーは9種類が存在します。それぞれのトップシートにはそれぞれキーフレーズが付されて販売されており、「回転の05」「バランスの80」「スピードの64」「前陣の25」と言われています。そして10種類目となるテナジー19のトップシートには、「パワーの19」というキーフレーズを冠されて発売されました。このテナジー19のトップシートには、「ツブ間隔の狭い”開発コードNo.219″を採用」していて、スピードと回転の両立とテナジーの中でも特にボールをつかむ感覚のあるラバーということです。ディグニクスを含めて、Butterflyさんのトップシートは以下の種類が存在することになると思います。
 No. 051.7 mmの粒間隔が狭い回転性能が高い。
 No. 252.65 mm粒の高さが低い台上プレーやカウンターがやりやすい。
 No. 641.7 mmの粒間隔が広いスピード性能が高い。
 No. 1801.7 mmの粒間隔が中間回転もスピードもバランスが取れている。
 No. 2091.5 mm粒の高さが低い粘着力と弾みを高次元に両立する。
 No. 2191.5 mmの粒間隔が狭いボールをよくつかみパワーを出しやすい。
トップシートは既に200番を超え、それだけの粒形状について検討してきたことがわかりますね。上記には粒について言及していますが、粒形状には、粒の高さ、粒の太さ、粒の間隔の3つの因子があり、それらを、おそらく粒の太さだけでも0.01 mm~3.00 mm位(これだけでも300種類)でふっているんでしょうか。粒の高さ、感覚のコンビネーションがいくつあるかわかりませんが、1000種類くらいありそうですね。細かくふるよりも狙いを定めたり量産技術を考慮して狙いを定めて開発しているのだと思います。こういった検討、理系卓人のkatsuo000も是非やりたいですね~。楽しそうだなーと思ってしまいました。(苦笑)

公表性能値

 Butterfly(バタフライ)さんの公表性能値を示します。

 やはりテナジー19の注目ポイントは、テナジー05を超える性能で数値がついていることだと思います。世界標準テナジー05よりも回転もスピードも上というのは驚異的なラバーだと思いますね。

やりやすい技術

 Butterflyさんホームページ上には、各テナジーのやりやすい技術についてレーダーチャートが掲載されています。各技術のやりやすさを、モノサシで測り、その数値を下記図にしてみました。項目は
 ・ループドライブのかけやすさ
 ・スピードドライブの打ちやすさ
 ・カウンタードライブのやるやすさ
 ・台上プレーのやりやすさ
 ・ブロックのしやすさ
 ・スマッシュのしやすさ

の6つになります。個人的に重要な項目はループドライブ、スピードドライブ、台上プレー、ブロック、カウンタードライブになります。スマッシュも粘着ラバーでなければ慣れで打てるでしょう。

 このチャートを見ると、テナジー19は、テナジー05よりもドライブやブロックでやりにくさがあるように見えますね。公表性能値は高い一方で、質の高いドライブという点では、テナジー05より劣るということなのかもしれません。

おすすめラケット組み合わせ

 メーカー推奨の組み合わせも掲載されるようになりました。こちらも掲載していこうと思います。以下全てButterflyさんホームページより引用させていただきました。

Tenergy 19(テナジー19)
 ・Lin Yun-Ju Super ZLC(林昀儒Super ZLC)
  スピードとスピンをともに追求
 ・Inner Force Layer ZLC(インナーフォースレイヤーZLC)
  回転重視のパワフルなプレーを
 ・Timo Boll ALC(ティモボルALC)
  威力を追求するオールラウンドプレーに

 非常に球持ちの良いテナジー19は、ZLC系のラケットや、アウターALCの中でも威力が出しやすく先端重心のティモボルALCとの組み合わせが提案されています。確かに打感が柔らかいので、ハードなアウターSuper ZLCとの組み合わせは、バランスが取れそうに感じますね。あとはアウターZLC、Timo Boll ZLC(ティモボルZLC)やZhang Jike ZLC(張継科ZLC)にもあうと思います。2021年新発売の新ラケットを推したような気もします。

試打前の前情報 from You tube

 情報がネット上に発信されたときの性能としては、テナジー05とDignics 05(ディグニクス05)の間に位置するラバーという情報も発信がされていて、非常に高い注目をあびています。試打動画を拝見する限り、どちらかといえばフォアよりバック向きとする意見が散見するとともに、テナジー05よりも打球感的に回転量が低いとする意見も拝聴しました。そのあたりについてkatsuo000の言葉でレビューしていきたいと思います。

 既に閲覧可能なYou tube動画のテナジー19の試打動画から、テナジー19について簡単にまとめると以下のような内容になるかと思います。
 打球感 柔らかい テナジー19 < テナジー05 硬い
 弧線 強い テナジー19 > テナジー05 直線的
 回転のかけやすさ かけやすい テナジー19 > テナジー05 かけにくい
 最大回転量 強い テナジー05 > テナジー19 弱い
これらの点をふまえつつ、katsuo000もレビューしていきたいと思います。

Tenergy 19の重量と貼り

 テナジー19のラバー重量は約47 gでした。テナジー05(48 g)よりもやや軽いですね。全体的に高性能で軽量なラバーが多いのが、Butterflyさんの特徴で、今回もやはり軽くて品質が高いことがわかりますね!

Tenergy 19(テナジー19)
 High Tension(ハイテンション)裏ラバー
・スポンジ厚:厚(1.9 mm)、特厚(2.1 mm)
・スピン:11.7
・スピード:13.2
・Sponge硬度:36
・オープン価格(8,900円 + 税)
・70 g(切断前) → 47 g(林高遠ALCに貼って)

 なおkatsuo000は気づきませんでしたが、テナジーの表記も変わりました。↓はテナジー05です。

Tenergy 19の3つの特徴

 正直、いい意味で裏切られたラバーでした。特にフォアで使ったときの印象がかなり良かったです。柔らかいのにストップが止まってカウンターもしやすいって、かなりチートな気がしました。この無二な感じはまさに世界をけん引するButterfly Quality(バタフライクオリティー)ですね!確かに回転量は若干不満を感じましたが、スピード系ラバーに良く感じられるオーバーミスしてしまう不安感、回転でボールが沈まない感じは感じず自信をもって前へスイングできるラバーでした!

3球目を多少強引にパワードライブしやすい!

 非常にくいこみが良いので、ボールの回転量を気にせずにスイングスピードとパワーで強打しやすかったです。現在学生の方はわからないかもしれませんが、有機溶剤を塗ったラバーで3球目強打しているような感覚があってスピードドライブ(パワードライブ)で強引に打ち込んでゆく戦術ができてしまうラバーだと感じて非常に気持ちよかったですね!また上述のとおり、回転がかかるのでスピードドライブもしっかり沈んで台に入る安心感がありました!この感じがテナジー64やディグニクス64にはないように感じましたね。

柔らかいのにストップがビタどまり!でカウンターもしやすい!

 ストップもカウンターも非常に良かったです。柔らかいと感じるラバーはストップやカウンターで相手の回転の影響を受けやすい傾向にあるのですが、むしろこのテナジー19はストップがピタどまりでカウンターもやりやすくて驚きました!さすがテナジーですね!

上回転ラリーで、弧線がエグイ!

 くい込みの良いNo. 219のシートを採用したことで、扱いやすさにくわえ弾道がエグくなったと感じました!非常に強い弧線を描き、相手のコートに入ったあと、まるでDignics 09C(ディグニクス09C)やDignics 05(ディグニクス05)のようにボールが跳ね上がる感じがありました!これはテナジー05でもたまに出るのですが、相当体勢の良い状態で打球しないと難しいと思います。一方テナジー19ならかなり容易にこの弾道が出せて非常に好感触でした。ただスピードがあるというわけではなく、強い弧線と跳ね上がる弾道は、新しいテナジー19の3つ目の特徴だと感じました!

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 特に軽打で差は感じませんでした。やはり柔らかさは感じます。

ラリーでのドライブ
 ラリーで打つスピ―ド系ドライブはそこまで良いとは感じませんでした。いたって普通と印象です。ただしスマッシュやミートでも簡単に飛距離が出てしかも安定する感じもあって、このあたりがテナジー19の特徴だと感じましたね。スマッシュやミートもパワーで運べる感じです。この感覚が3球目の打ちやすさへのインスピレーションにつながったように感じます。

面を開いたドライブ
 面を開いてのスピードドライブは上述のとおりかなり良かったです。加えて多少巻き込んでもスピードドライブできそうなくらい強引にもっていける感じがあって良かったですね!

対下回転に対するループドライブ
 ハーフロングの難しいボールですら質の高いループドライブにしやすい感じがありました。ただ回転量で攻めるというよりはとにかくパワーでねじ込む(自分のイメージの弧線をスイングで作り出して、その通りに持っていける感じ)がやりやすかったです。

対下回転に対するスピードドライブ
 これが最もよかったです。テナジーということで、テナジー05以上の回転性能といいつつも、シートでかけた際の打球感からくる回転量は少し弱さも感じ、普段使うディグニクス05と比較するとどうしても回転量に不満を感じるのは否めませんでしたが、このスピードパワードライブのためにテナジー19を使おうか迷っている状況です。

ブロック
 柔らかい打球感ですが、そこまで相手の回転の影響をうけやすいとは感じませんでした。特にTenergy 05 FX(テナジー05FX)のように柔らかいテナジーは非常に相手の回転の影響を受けやすいと感じますが、そういったことはなかったと感じました。

カウンタードライブ
 やりやすいです。ボールがしっかり沈む感じがありました。安心してカウンタードライブできると感じました。

ストップ
 止めやすいです。ただ回転をかけようとすると思ったより弾いてしまいました。このあたりは腕でしょう。

ツッツキ
 やはりテナジー05やディグニクス05の方が回転量は多いと感じました。

フリック
 あつかいやすいラバーなので乗せ打ち系の打ち方が安定していました。回転でももちろん安定すると思います。

サービス
 ディグニクス05などのようにぶつけるように回転をかけることで回転量の高いサーブを出ました。出しにくいといったことは感じませんでしたね。

バックハンド系

軽打
 軽打で特に違和感はありませんでした。 

ラリーでのドライブ
 ドライブもやりやすかったです。しかし少しボールの質は低いと感じました。

対下回転に対するループドライブ
 やりやすかったです。非常にグリップするので簡単に持ち上がりました。その分質は少し低いかもしれません。

対下回転に対するスピードドライブ

ブロック
 やりやすかったです。回転の影響は受けにくいと思います。

カウンタードライブ
 カウンターというよりもカウンターミートがしやすかったですね。

ストップ
 やりやすかったです。

ツッツキ
 少しぶっ飛んでしまいました。テナジー05の方がやりやすいと感じてしまいました。

チキータ
 簡単にあがるので非常に好感触でした。VICTAS(ヴィクタス)Triple Double Extra(トリプルダブルエキストラ)に近いやりやすさがあったように思います。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 テナジー05 > テナジー19 > テナジー80

スピード
 テナジー80 > テナジー19 > テナジー05

食い込ませたときのスピードドライブのやりやすさ
 テナジー19 > ディグニクス09C > ディグニクス05

フォアカウンタードライブのやりやすさ
 ディグニクス05 > テナジー19 > テナジー05

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