説明
VICTASにおけるV>15 Extra
TSPの上位メーカーとしてスタイリッシュなアパレルと統一感のあるラバーやラケットのデザインでButterfly(バタフライ)の次に、日本国内で存在感のあるメーカー、VICTAS(ヴィクタス)!そのVICTASのフラグシップラバーのV>15 Extraの試打になります。
2020年現在、VICTASと契約するトップ選手でV>15 Extraを使っている男子選手を簡単に挙げてみました。
・丹羽孝希選手 ・松平賢二選手 ・緒方遼太郎選手 ・Jang Woo Jin(張禹珍、ジャンウジン)選手(韓国) ・Liam Pitchford(リアムピッチフォード)選手(イギリス) ・Benedikt Duda(ベネディクトデューダ)選手(ドイツ)
2020年4月世界ランキングで、日本人で2番目上位に位置する丹羽孝希選手を初め、世界トッププレイヤーが使用していることがわかります。VICTASの契約選手は基本的にはV>15 Extraを使用しているか、全く異なるラバー(例えば韓国のJang Woo Jin選手は、中国卓球要素が多く、ラケットとフォア面にDouble Happiness Shanghai(紅双喜、DHS)製のHurricane Long V(キョウヒョウ龍5、Inner Arylate Carbon(インナーALC))とHurricane NEO III(キョウヒョウNEO3、おそらくブルースポンジ))を使用しています。つまりトップ選手はVICTAS製品の中で使用したいと考えるラバーはほぼV>15 Extraと言っても過言ではないレベルだということですね!Butterfly(バタフライ)のようにTenergy(テナジー)だけでも種類が多いというわけではないのは、分かりやすくて良いと思います。
V>15 Extraの公表性能値
V>15 Extraは「決定打を生む威力を重視したギア 相手の球を強烈な回転とスピードで上書きして返す 相手を打ち抜く決定打を生む威力重視に仕上げたギア」だそうです。VICTASさんのラバー性能表は見やすいのですが、一方で、スピンという性能値はなく、弧線の高さ、ドライブの精度、シートの強さ、反発などの項目になります。細かく見ていきましょう。
弧線の高さ:回転させたボールに対する入反射の角度変化
スピード:回転させたボールに対する衝突前後の速度変化率
ドライブの精度:自らドライブを打ち込んだ際の操作性
コントロール:回転させたボールに対する指定箇所への返球精度
シートの強さ:回転させたボールに対する滑りにくさ
反発:一定の高さからボールを落下させたときの弾んだ高さ
(粘着の影響をなくすためラバー表面には片栗粉を散布)
このような説明書きがVICTASの情報を探すと出てくるはずです。上記を読んでもなかなかイメージしにくいと感じましたが、反発については非常にイメージしやすいと思います。これらの性能値を見ても回転につながるような情報がないことは、少々残念な気もしますが、これがVICTASさんの選択した戦略のようですね。なお、TSP(ティーエスピー)さんではバタフライのようにスピンとスピード性能が掲載されています。
考え方によっては回転とつながると考えても良い項目は弧線の高さとシートの強さの数値だと思います。確かに、V>15 Extraは弧線の高さもシートの強さもかなり高いです。やや気になるのがシートの強さの項目で滑りにくさを評価していると思うのですが、粘着ラバーのVJC>07 Sticky ExtraやVS>402 Double Extraよりもスピン系テンションのV>15 Extraなどの方が高いことですね。滑りにくいなら粘着ラバーの方が圧倒的に滑りにくい気もするのですが、シートの張りの強さやシートの厚さなどが反映してそうな気もします。
他のVICTASさんのラバーの説明を読んでいくとV>01シリーズも気になるのですが、性能値上は回転性能が低いのかもしれない、と感じました(試打していないので分かりません)。いろいろな状況を鑑みても、最も契約選手が使用するラバー、V>15 Extraを試打することでVICTASのラバーの全容がわかるのではないかと想像します。
V>15 Extraのラバー貼りと重量
いつものようにButterfly(バタフライ)製のZhang Jike ZLC(張継科ZLC)にV>15 Extraを貼りました。
V>15Extra(V>15エキストラ) High Energy Tension(ハイエナジーテンション)裏ソフト ・スポンジ厚:2.0(ドイツ基準)、MAX(ドイツ基準) ・弧線の高さ:6.7 ・スピード:8.4 ・ドライブの精度:7.1 ・シートの強さ:9.2 ・反発:8.8 ・Sponge硬度:47.5±3° ・6,000円 + 税 ・71 g(切断前) → 50 g(張継科ZLCに貼って)
想像以上に重たくて驚きました。少し溶剤を塗りすぎたかもしれません。でも重たいのも1つの特徴でもあるのでしょう。
V > 15 Extraの3つの特徴
1. カウンター性能が凄い!
このラバーを使って1番初めに感じたのがシートの強さ、硬さによるカウンター性能の高さですね!シートが非常に硬く強いので、相手のボールの回転に影響されにくく非常にカウンターしやすいラバーだと感じました。ライジングカウンターと称される丹羽孝希選手のカウンタードライブを支えるラバーといっても過言ではないのかもしれません!カウンターはドライブを狙ってもミート気味に狙っても、どちらもやりやすかったです。カウンター性能を求めてこのラバーに変えるのはアリだと思います!
2. 食い込ませた時のドライブが凄い!
スポンジ硬度は47.5 ± 3°ですが、50°に匹敵するくらいの硬さと重量があるラバーになっています。そのため、しっかりラバー全体に食い込ませた時のドライブの回転量と、何よりバネのように加速するドライブは見た目以上に強烈なインパクトがありました!このラバーはシートで回転をかけようとすると、あまり回転がかからず、しっかりラバー全体に一度思い切り食い込ませて、そこからシートの摩擦で回転をかけるようにしないと回転がかかりにくいと感じましたが、慣れてくるとV>15 Extraでないと打てないような強烈な回転のボールが癖になる、そんな特徴的なラバーでもありました。
食い込ませないと回転がかかりにくいため、ループドライブにはむいていないと思います。打球点を落としてしまってもボールに対しぶつけるように捉えてラバーに食い込ませてから回転をかける必要があります。従って、シートだけでボールを捉えるような低くて短い浅いループドライブを打てるようになるにはかなり練習と慣れが必要だと思います。むしろ、打球点の高いところをぶつけるように捉えて、そこから回転を乗せてスピードドライブやパワードライブへ持っていく打ち方が向いていると思います。非常に癖があるラバーですが面白いラバーでもあると思います。
3. チキータがやりやすい!
ドイツ製ラバー全体に言えることかもしれませんが、かなりチキータがやりやすかったです。結構弾むのと、このV>15 Extraは相手の回転に対し結構鈍感な部分もあるので、フリック気味に入れに行っても入る感じがありました。チキータのために使ってもいいかもしれないです!それくらいチキータがやりやすくて驚いたラバーでした。シートが強く回転の影響を受けにくいからだと思いますね。
各技術レビュー
フォアハンド
軽打
重量は重いのに結構食い込みました。スポンジ硬度は47.5°ですので、当然といえば当然なのですが、結構食い込みはいいです。フォアならスポンジはもう少し硬くても個人的には好きですね。
ロングボールやラリーでのドライブ
練習で2回程度しか使えなかったので良いドライブがほとんど打てませんでした。このラバーにあったドライブの打ち方がわからなかったと言えると思います。自分で感じた印象は、普段と比べて弾道は浅く、ボールも伸びていないと感じる、でした。食い込ませることができていないんでしょうね。
面を開いたドライブ
食い込ませてのドライブは結構いいです。この感覚に慣れないとなかなかわからないラバーですね。でも、自分は技術が足りず、弾いてしまうことも多く安定感はなかったですね。
対下回転に対するループドライブ
これはかなり難しかったです。持ち上がるんですがシートだけで打とうとすると結構棒球になりやすかったです。ループドライブでもしっかり食い込ませて打った方がいいのでタッチが難しいと感じました。
対下回転に対するスピードドライブ
食い込ませる系のスピードドライブがやりやすいです。ややミート打ちになってしまう時もありました。技術力が足りませんね。
カーブ/シュートドライブ
カーブは出来そうでしたが、シュートは相当慣れないと難しいです。
ブロック
当てるだけのブロックはスポンジが思ったより柔らかいので回転の影響を受ける感じがありました。でもその分スマッシュはかなりとりやすかったですね。シートは強くて負けないので、しっかりボールの上を取るなどして少し回転をかけた方が安定した印象です。
カウンタードライブ
このラバーの真骨頂だと思います。かなりやりやすいですね。カウンター性能はテナジーよりも高いと感じました。実際V>15 Extraを使っている方はカウンターがうまい印象があるのですがこのラバーも一役買っていると感じました。
ストップ
結構食い込みのいいラバーなので、飛びやすかったです。シートで打てば止まりそうです。
ツッツキ
切りにくいですね。食い込ませると自分はアウターZLCなのでオーバーします。あまり回転は意識せずプッシュ気味に押した方がいいかもしれないです。
フォアフリック
シートが硬いので、回転の影響を受けにくくやりやすかったです。
フォアサーブ
はじめ、回転がかからなくて、どうしようかと思いました。サーブでもしっかり食い込ませないと全然回転がかかりません。ぶつけるような形で食い込ませた方が回転はかけやすいと思います。
バックハンド系
軽打
弾みがあるので、入れる分なら結構やりやすかったですね。
ロングボールやラリーでのドライブ
ドライブというよりはミートに近い打ち方しかできませんでした。安定感はなかったです汗。
対下回転に対するループドライブ
結構押しながらドライブをかける癖があるので、数回良いドライブが打てました。ループドライブというよりは打球点を落とした回転量の多いドライブという感じでしたが、伸びが鋭く威圧感のあるドライブが打てたと感じました。
対下回転に対するスピードドライブ
スピードドライブは難しかったです。ミート打ちになってしまいましたね。ループドライブのように押すように擦り上げながらスピードを出せればいいのでしょうが、こちらも技術力不足です。
カーブ/シュートドライブ
ほとんどできなかったです。
ブロック
かなり好感触でした。特にドイツ製ラバーのドライブやスピードドライブをとりやすかったですね。しっかり反発してくれるというか、回転の影響を受けにくい部分がしっかりあって良かったです。
カウンタードライブ
バックでもやりやすかったです。むしろ、速いボールの方が、ラバーに食い込むので、スポンジへの食い込みを活かして回転をかけやすいと感じました。結構ミート気味にぶつけて、そこから回転をかけるイメージでカウンターすると良いと思います。ミートになっても入る感じがあってすごく好感触でした。
ストップ
スポンジは柔らかいので、スポンジが食い込むと浮く印象がありました。
ツッツキ
ストップ同様、自分には結構ボールが浮くように感じました。
チキータ
凄くやりやすかったです。フリック気味になりやすかったですが、回転の影響を受けにくいので、自分の思ったところに落としやすかったです。しかし威力もあまりなかったですね。
他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
Dignics 05 > Tenergy 05 > V>15 Extra
スピード
Dignics 05 > V>15 Extra > Tenergy 05
ドライブの癖/重さ
Hurricane NEO III(DHS) > V>15 Extra > Tenergy 05 Hard
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