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レビュー Rasanter R48(ラザンターR48)

説明

 ドイツ製ラバーの中でも抜群の回転性能を感じるのがandro(アンドロ)のRasanter(ラザンター)シリーズになりますが、その新作ラバーが2020年5月に販売されました。Rasanter R48(ラザンターR48)ですね。このラバーは紅(あか)のラザンターで、Energy Cell(エナジーセル)技術を採用したスポンジをあわせていて、他のラザンターと一線を画します。同類のラバーはRasanter R53(ラザンターR53)で、R53は回転性能、荒れた癖球のようなドライブ、などなど非常に高性能で、世界標準のTenergy 05(テナジー05)を上回るラバーとkatsuo000は絶賛中になります。当然R48にも高い期待を持って購入させていただきました。すでにR47というラバーがあるわけで、今更R48?と感じる人も多いようです。実際R47を使ったことのある友人も、R48を話題に出してもあまり興味を持っていませんでした。卓球王国情報ですが、ラザンターシリーズよりも、過去のラザントシリーズの方を優れるとする声もあるようです。また卓球王国ではR53以上に推していて、「R48がラザンターの顔になる!」と謳っています!少なくともただの硬度のみ変わったマイナーチェンジのラバーではないということは強調させていただきます!

 このR48は現在日本でのandroの宣伝や広報活動をされている濱川明史選手がフォア・バック両面に使用しているそうです。ちなみにR53はフランスのSimon Gauzy(シモン・ゴージィ)選手がフォア・バックに使用しているようですね。最新の高性能ラバーを全日本選手権ランカーやトップ選手が使うというのは、確かな宣伝効果が期待できると思います。

 androのR48の宣伝ワードは「回転力と加速力の進化。エナジー・セル搭載の、スーパーモンスターギア」になります。モンスターラバーはおそらくテナジー05ですので、意識して、テナジーを超える意味をこめてスーパーをつけたのではないかと想像します。

性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

 実はスピード性能はV47が最も高いんですね。近年の流行は硬いプラボール化に伴う回転性能低下を補う高いスピン性能のラバーです。従って、スピード性能よりもスピン性能の高いラバーが赤のラザンターR48とR53の特徴ですね。実際、R53の試打でも感じましたが、R53は非常にドライブがうねってR53らしさの癖球的なドライブが打てるラバーですが、弧線を強く描くので、スピードは確かに直線的で球離れも速いV47の方が速いと思います。R48はR53を使いやすくしたラバーということですが、使いやすいのにスピン性能はR50よりも上であるのは非常に興味深いですね。実際に回転がどの程度かかるのか期待しながら試打させていただきました。

R48の貼りと重量

 いつものようにButerfly(バタフライ)のZhang Jike ZLC(張継科ZLC)にRasanter R48をはりました。

 赤のR48をはりました。反対はDignics 05(ディグニクス05)になりますね。

Rasanter R48(ラザンターR48)
 UMテンション(テンゾーバイオスUM)
 Energy Cell(エナジーセル)
 40+ Plastic Ball対応
・Sponge Thickness:1.7 mm、2.0 mm、ULTRAMAX(UM)
・Speed:119
・Spin:124
・Control:80
・Sponge硬度:48°
・6,500円 + 税
・70 g(切断前) → 48 g(張継科ZLCに貼って)

Rasanter R48の3つの特徴

 扱いやすいラバーでした!バックにR42を使用されている全日本経験者の方がバックに使用できるくらい扱いやすいとおっしゃっておりましたね。体感的にはR42まではいかないものの45°くらいのスポンジに感じるのですが、良い意味でコントロールが良いのに高い回転性能がありました。

1. 球持ち&打球感はテナジー80、回転量は05以上!

 打球感はどちらかというと、グリップ力の強い05系の太め粒形状ではなく、どちらかというと80のように球離れが若干速い粒形状のラバーでした。少し球持ちを感じにくいラバーであるのに、、その回転性能に驚きました!非常に高い回転性能でした!イメージで申し上げると、R42の扱いやすさで回転性能はテナジー05級でした!かなり高い回転性能だと思います!これは凄いですね!テナジーを使う理由は正直ないかもしれません。

2. バックでもめちゃめちゃ扱いやすい!フォアでも満足するバランス型!

 扱いやすいので、バックでも十分使えます。無理な体制でも全然バックドライブが打てましたね。回転性能も高いので勝手に安定して相手のコートに入りました。非常に好感触でした。またフォアで使ってもサーブの回転量やドライブの回転量に不満は感じませんでしたね。扱いやすいのに回転性能が高いということは、ある意味チートです。近年のラバーは扱いやすいけど、ボールが軽くなるとか回転が弱くなるということがありましたが、R48は良い意味で矛盾した性能を有していると思います!

3. 球離れが速く、R53よりスピードを求めるならR48!

 どちらかと言えば、テナジー80に近いシートの粒形状でしたので球離れは結構速くその分スピードのあるボールが打ちやすかったです!つまりR53のスピード性能に不満を感じるならR48がオススメになりますね。非常に気持ちの良い高い音でスピード系のドライブが打ちやすかったです。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 柔らかさを感じました。正直柔らかすぎるとも感じました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 ボールの軌道はR53に近いものを感じましたが、ボールのうねりはなくなり非常に綺麗なボールが出やすいと感じました。

面を開いたドライブ
 打ちやすかったです。これはR53でも感じました。より食い込が良いので、面を開いてぶつけるように打っても球持ちを感じやすかったです。

対下回転に対するループドライブ
 少し球持ちを感じづらいので質を高くループドライブすることは少しやりにくいと感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 非常に打ちやすかったです。中級者やオープン戦ならチートかもしれませんね。

カーブ/シュートドライブ
 R53でもカーブドライブが良かったですが、R48も少し横回転を入れた方が味が出ると感じました。しかしながらR53と比べると癖球ドライブというよりは、綺麗なボール、例えるならまさにテナジーのようなドライブになりやすいと感じました。

ブロック
 少し回転の影響を受けやすいと感じました。スマッシュ系のブロックはやりやすかったです。

カウンタードライブ
 打球点が早すぎると難しくなるので、少し待って頂点前後で打球し、回転を上書きする方がカウンタードライブは安定しました。

ストップ
 V47と比べるとおさまりやすかったですが、切るのは難しかったです。

ツッツキ
 ストップと同じく、食い込みが良すぎて切ることが難しいと感じました。

フォアフリック

バックハンド系

軽打
 やりやすかったです。

ロングボールやラリーでのドライブ
 食い込ませてもチョリる感じでもやりやすかったです。

対下回転に対するループドライブ 
 

対下回転に対するスピードドライブ
 打ちやすかったです。いい音で打てました。

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ
 回転の影響を受けやすいと感じました。

ストップ

ツッツキ

チキータ
 ボールが弧線を描きやすいのでとてもやりやすかったです。UMだと少しオーバーミスしやすいのでそこだけ気をつけた方がいいかもしれません。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 05 > Tenergy 05 Hard > R53 > R48 ≧ Tenergy 05

スピード
 DIgnics 05 > R48 > R53 > Tenergy 05 > Tenergy 05 Hard

食い込ませたときの弧線の出しやすさ(ボールの沈み込みやすさ)
 R53 ≧ R48 > Tenergy 05 > Dignics 05

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レビュー Omega VII Tour(オメガ7ツアー)

説明

 XIOM(エクシオン)のフラグシップラバー、Omega VII Tour(オメガ7ツアー)のレビューになります。エクシオンは韓国メーカーですが、日本でも確かな存在感があります。特に一般ユーザーにとって、一度は見たことのあるラバーとしてVega(ヴェガ)シリーズのラバーは馴染みがあるのではないでしょうか。Vega Euro(ヴェガヨーロ)、Vega Japan(ヴェガジャパン)、Vega Asia(ヴェガアジア)あたりは初中級者にとってのスピン系テンションへの導入ラバーとして愛用されている印象ですね。近年はプラボール対応であるVega Euro DF(ヴェガヨーロDF)やVega Asia DF(ヴェガアジアDF)などのDynamic Friction(ダイナミックフリクション、滑りが起こりにくいシート)を採用したラバーも人気ですね。ヴェガシリーズは初中級者向けのラバーですが、上位モデルとされるラバーがOmega(オメガ)シリーズになります。オメガシリーズは2020年現在では主に、Omega V(オメガ5)シリーズとOmega VII(オメガ7)シリーズが手に入れやすいと思います。今回レビューするOmega VII Tour(オメガ7ツアー)はエクシオンのラバーの中で、スピード性能、回転性能、ともにトップの数値を持つラバーとなっていますね。トップ選手も使用しており、世界ランキング一桁のHugo Calderano(ウーゴ・カルデラノ、ブラジル)選手やJeoung Young-sik(鄭栄植、チェンヨンシク、韓国)選手が使用しているようです。

Omegaシリーズの性能比較

 オメガシリーズの公表性能値をまとめました。

 オメガ7ツアーが販売後、さらにOmega VII Hyper(オメガ7ハイパー)、そして2020年に一躍注目を集めたOmega VII China(オメガ7チャイナ)の光(Guang)と影(Ying)もあわせて載せています。オメガ7ハイパーとオメガ7チャイナを除けば、オメガ7ツアーが回転性能もスピード性能も高いことが分かりますね。少なくともスピード性能はオメガシリーズ最速となります。また、オメガ7ハイパーはシートは粘着性ではありませんが、粘着ラバーを意識していますし、オメガ7チャイナは完全に粘着性ラバーになります。つまりオメガ7ツアーはオメガシリーズの中でもスピン系テンションラバーの最高峰と捉えることができると思います。

 エクシオンの説明では、スポンジ硬度55°ととてもハードなスポンジと、オメガ7シリーズの中でも特別仕様のシートをあわせた怪物(モンスター)ラバーで、強烈に切れるサービス、意のままに止まるストップ、変化するループドライブやチキータ、攻撃的なパワードライブ、と誰にも負けないラバーだそうです。カウンタードライブはスリップせず、倍返しできるカタパルト効果があるそうです。

Omega VII Tourの重量と貼り

 いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

Omega  VII Tour(オメガ7ツアー)
 Dynamic Friction(ダイナミックフリクション)
 Cycloid(サイクロイド)
 Carbo Sponge(カーボスポンジ)
・Sponge厚:2.0 mm、MAX
・Spin:13.0
・Speed:13.0
・Control:10.0
・Balance:11.7
・Sponge硬度:55
・7,000円 + 税
・77 g(切断前) → 52 g(張継科ZLCに貼って)

 かなり重たいですね。数字上の重さ以上に打球感がマッドでヘビーであると感じると思います。この辺りは好みが分かれそうな部分だと思います。

Omega VII Tourの3つの特徴

1. 硬い割には回転をかけやすい!それなのにポテンシャルは高い!

 驚きなのですが、思ったより回転はかけやすいと思います。自分のバックの技量でも十分にバックハンドドライブが打つことができました。オメガ7シリーズ全般に硬度の割には食い込みやすく回転をかけやすいと思います!またスポンジが非常に硬いので、ラバーの性能を最大限に引き出した時の回転の最大性能も高いと感じます!パワードライブはもちろん、ループドライブやカウンタードライブも、最低限の安定感で、相手コートへ入れられるレベルの技術ハードルが低いと感じました。非常に使いやすいんですね。それでいて、使いこなせれば使いこなせるほどに威力のある素晴らしいボールが打てるようになる感じです。使いやすさとポテンシャルの高さを兼ね備えた希有なラバーだと感じました。

2. とにかくボールが速い!

 オメガ7シリーズの特徴として、スピード性能が高いことが挙げられると思います。オメガ7シリーズの中でもオメガ7ツアーはかなり硬いスポンジとラバー重量なので、インパクトがしっかりできた時のボールの回転量やボールの重さはとても高いものがあります。ボールの回転量や重さを兼ね備えながら、スピード性能も高いことに特徴があると感じます。これはTenergy 64(テナジー64)のようなスピード系のラバーでボールスピードは速いけどボールの回転量が落ちるので威力や回転量不足を感じる、といった類ではなく、Tenergy 05(テナジー05)のような回転量を生み出しながら、高いスピード性能も出しやすいラバーとなっているということです。

3. ラリー志向×威力!

 回転をかけやすいので、安定しやすくラリーに持ち込みやすいラバーだと思います!テナジーを使った時では、回転がかかった時のボールの回転量の平均値はかなり高くて性能の高さを感じますが、その回転をかけるための技術やインパクトが求められると感じます。一方、オメガ7ツアーは、回転がかけやすい分、回転量の平均値は低いと感じています。ただし相手にとってとりやすいボールになるかもしれませんが回転がかけやすいため試合でもミスが少なくなり、とにかく安定します。そしてポテンシャルも高いので、回転量の幅も広く、非常に良いインパクトで打てた時の回転量はテナジーに並ぶか上回るものがあります!またスピード性能は高いので、相手の時間を奪いやすく、ラリーでも主導権がにぎりやすいと思います。ラリー志向の中でチャンスのときに、一発の威力のあるボールを生み出せるラバーだと言えるでしょう。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 スポンジの硬さを感じますね。打球音も硬いラバーらしい高い音です。

ロングボールやラリーでのドライブ
 ボールが上に上がると感じます。スポンジは硬いですが、落ちるとは感じづらいと思いますね。

面を開いたドライブ
 ポテンシャルの高いラバーですので、面を開いて回転とスピードを出そうとした時も非常に好感触で、回転とスピードの両立ができそうでした。

対下回転に対するループドライブ
 非常にハードなスポンジなので、ループドライブの回転量は高く非常にしつも高いループドライブがしやすいと思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 スポンジが硬い分、インパクトで打つスピードドライブは結構難しいかもしれません。相当のインパクトで打つ必要ありです。

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ
 やりやすいと思います。

ストップ

ツッツキ

フォアフリック

サービス
 よく回転がかかります!しっかりグリップするので、強い回転がかかっていることを感じやすいと思います。

バックハンド系

軽打
 相変わらず硬いです。また重いので結構疲れます。

ロングボールやラリーでのドライブ
 意外や意外結構、打てます。非常に好感触でした。強いボールも打ちやすい方だと思いますが、それ以上に安定して入れやすいです。

対下回転に対するループドライブ 
 打ちやすかったです。結構安定していました。とっさにラケットの真ん中でボールを捉えられなくても入りやすいと感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 難しかったです。圧倒的にインパクト不足だと思います。

カーブ/シュートドライブ
 曲がるのですが、R53ほどの伸びはないように感じました。

ブロック
 やりにくはないのですが、シートが引っかかりがいいので、意外と回転を喰らった印象です。

カウンタードライブ
 やりやすかったです。ボールの上を捉えることができれば安定しやすいと思います。

ストップ

ツッツキ

チキータ

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Tenergy 05 Hard > Tenergy 05 ≧ Omega VII Tour > Blue Storm Z1 Turbo

スピード
 Dignics 05 > Omega VII Tour > Tenergy 05

食い込ませたときの弧線の出しやすさ(ボールの沈み込みやすさ)
 Tenergy 05 Hard > Omega VII Tour > Dignics 05

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レビュー V > 15 Extra

説明

VICTASにおけるV>15 Extra

 TSPの上位メーカーとしてスタイリッシュなアパレルと統一感のあるラバーやラケットのデザインでButterfly(バタフライ)の次に、日本国内で存在感のあるメーカー、VICTAS(ヴィクタス)!そのVICTASのフラグシップラバーのV>15 Extraの試打になります。
 2020年現在、VICTASと契約するトップ選手でV>15 Extraを使っている男子選手を簡単に挙げてみました。

・丹羽孝希選手
・松平賢二選手
・緒方遼太郎選手
・Jang Woo Jin(張禹珍、ジャンウジン)選手(韓国)
・Liam Pitchford(リアムピッチフォード)選手(イギリス)
・Benedikt Duda(ベネディクトデューダ)選手(ドイツ)

 2020年4月世界ランキングで、日本人で2番目上位に位置する丹羽孝希選手を初め、世界トッププレイヤーが使用していることがわかります。VICTASの契約選手は基本的にはV>15 Extraを使用しているか、全く異なるラバー(例えば韓国のJang Woo Jin選手は、中国卓球要素が多く、ラケットとフォア面にDouble Happiness Shanghai(紅双喜、DHS)製のHurricane Long V(キョウヒョウ龍5、Inner Arylate Carbon(インナーALC))とHurricane NEO III(キョウヒョウNEO3、おそらくブルースポンジ))を使用しています。つまりトップ選手はVICTAS製品の中で使用したいと考えるラバーはほぼV>15 Extraと言っても過言ではないレベルだということですね!Butterfly(バタフライ)のようにTenergy(テナジー)だけでも種類が多いというわけではないのは、分かりやすくて良いと思います。

V>15 Extraの公表性能値

 V>15 Extraは「決定打を生む威力を重視したギア 相手の球を強烈な回転とスピードで上書きして返す 相手を打ち抜く決定打を生む威力重視に仕上げたギア」だそうです。VICTASさんのラバー性能表は見やすいのですが、一方で、スピンという性能値はなく、弧線の高さ、ドライブの精度、シートの強さ、反発などの項目になります。細かく見ていきましょう。

 弧線の高さ:回転させたボールに対する入反射の角度変化

 スピード:回転させたボールに対する衝突前後の速度変化率

 ドライブの精度:自らドライブを打ち込んだ際の操作性

 コントロール:回転させたボールに対する指定箇所への返球精度

 シートの強さ:回転させたボールに対する滑りにくさ

 反発:一定の高さからボールを落下させたときの弾んだ高さ
 (粘着の影響をなくすためラバー表面には片栗粉を散布)

このような説明書きがVICTASの情報を探すと出てくるはずです。上記を読んでもなかなかイメージしにくいと感じましたが、反発については非常にイメージしやすいと思います。これらの性能値を見ても回転につながるような情報がないことは、少々残念な気もしますが、これがVICTASさんの選択した戦略のようですね。なお、TSP(ティーエスピー)さんではバタフライのようにスピンとスピード性能が掲載されています。

 考え方によっては回転とつながると考えても良い項目は弧線の高さシートの強さの数値だと思います。確かに、V>15 Extraは弧線の高さシートの強さもかなり高いです。やや気になるのがシートの強さの項目で滑りにくさを評価していると思うのですが、粘着ラバーのVJC>07 Sticky ExtraやVS>402 Double Extraよりもスピン系テンションのV>15 Extraなどの方が高いことですね。滑りにくいなら粘着ラバーの方が圧倒的に滑りにくい気もするのですが、シートの張りの強さやシートの厚さなどが反映してそうな気もします。

 他のVICTASさんのラバーの説明を読んでいくとV>01シリーズも気になるのですが、性能値上は回転性能が低いのかもしれない、と感じました(試打していないので分かりません)。いろいろな状況を鑑みても、最も契約選手が使用するラバー、V>15 Extraを試打することでVICTASのラバーの全容がわかるのではないかと想像します。

V>15 Extraのラバー貼りと重量

 いつものようにButterfly(バタフライ)製のZhang Jike ZLC(張継科ZLC)にV>15 Extraを貼りました。

V>15Extra(V>15エキストラ)
 High Energy Tension(ハイエナジーテンション)裏ソフト
・スポンジ厚:2.0(ドイツ基準)、MAX(ドイツ基準)
・弧線の高さ:6.7
・スピード:8.4
・ドライブの精度:7.1
・シートの強さ:9.2
・反発:8.8
・Sponge硬度:47.5±3°
・6,000円 + 税
・71 g(切断前) → 50 g(張継科ZLCに貼って)

 想像以上に重たくて驚きました。少し溶剤を塗りすぎたかもしれません。でも重たいのも1つの特徴でもあるのでしょう。

V > 15 Extraの3つの特徴

1. カウンター性能が凄い!

 このラバーを使って1番初めに感じたのがシートの強さ、硬さによるカウンター性能の高さですね!シートが非常に硬く強いので、相手のボールの回転に影響されにくく非常にカウンターしやすいラバーだと感じました。ライジングカウンターと称される丹羽孝希選手のカウンタードライブを支えるラバーといっても過言ではないのかもしれません!カウンターはドライブを狙ってもミート気味に狙っても、どちらもやりやすかったです。カウンター性能を求めてこのラバーに変えるのはアリだと思います!

2. 食い込ませた時のドライブが凄い!

 スポンジ硬度は47.5 ± 3°ですが、50°に匹敵するくらいの硬さと重量があるラバーになっています。そのため、しっかりラバー全体に食い込ませた時のドライブの回転量と、何よりバネのように加速するドライブは見た目以上に強烈なインパクトがありました!このラバーはシートで回転をかけようとすると、あまり回転がかからず、しっかりラバー全体に一度思い切り食い込ませて、そこからシートの摩擦で回転をかけるようにしないと回転がかかりにくいと感じましたが、慣れてくるとV>15 Extraでないと打てないような強烈な回転のボールが癖になる、そんな特徴的なラバーでもありました。
 食い込ませないと回転がかかりにくいため、ループドライブにはむいていないと思います。打球点を落としてしまってもボールに対しぶつけるように捉えてラバーに食い込ませてから回転をかける必要があります。従って、シートだけでボールを捉えるような低くて短い浅いループドライブを打てるようになるにはかなり練習と慣れが必要だと思います。むしろ、打球点の高いところをぶつけるように捉えて、そこから回転を乗せてスピードドライブやパワードライブへ持っていく打ち方が向いていると思います。非常に癖があるラバーですが面白いラバーでもあると思います。

3. チキータがやりやすい!

 ドイツ製ラバー全体に言えることかもしれませんが、かなりチキータがやりやすかったです。結構弾むのと、このV>15 Extraは相手の回転に対し結構鈍感な部分もあるので、フリック気味に入れに行っても入る感じがありました。チキータのために使ってもいいかもしれないです!それくらいチキータがやりやすくて驚いたラバーでした。シートが強く回転の影響を受けにくいからだと思いますね。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 重量は重いのに結構食い込みました。スポンジ硬度は47.5°ですので、当然といえば当然なのですが、結構食い込みはいいです。フォアならスポンジはもう少し硬くても個人的には好きですね。

ロングボールやラリーでのドライブ
 練習で2回程度しか使えなかったので良いドライブがほとんど打てませんでした。このラバーにあったドライブの打ち方がわからなかったと言えると思います。自分で感じた印象は、普段と比べて弾道は浅く、ボールも伸びていないと感じる、でした。食い込ませることができていないんでしょうね。

面を開いたドライブ
 食い込ませてのドライブは結構いいです。この感覚に慣れないとなかなかわからないラバーですね。でも、自分は技術が足りず、弾いてしまうことも多く安定感はなかったですね。

対下回転に対するループドライブ
 これはかなり難しかったです。持ち上がるんですがシートだけで打とうとすると結構棒球になりやすかったです。ループドライブでもしっかり食い込ませて打った方がいいのでタッチが難しいと感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 食い込ませる系のスピードドライブがやりやすいです。ややミート打ちになってしまう時もありました。技術力が足りませんね。

カーブ/シュートドライブ
 カーブは出来そうでしたが、シュートは相当慣れないと難しいです。

ブロック
 当てるだけのブロックはスポンジが思ったより柔らかいので回転の影響を受ける感じがありました。でもその分スマッシュはかなりとりやすかったですね。シートは強くて負けないので、しっかりボールの上を取るなどして少し回転をかけた方が安定した印象です。

カウンタードライブ
 このラバーの真骨頂だと思います。かなりやりやすいですね。カウンター性能はテナジーよりも高いと感じました。実際V>15 Extraを使っている方はカウンターがうまい印象があるのですがこのラバーも一役買っていると感じました。

ストップ
 結構食い込みのいいラバーなので、飛びやすかったです。シートで打てば止まりそうです。

ツッツキ
 切りにくいですね。食い込ませると自分はアウターZLCなのでオーバーします。あまり回転は意識せずプッシュ気味に押した方がいいかもしれないです。
 

フォアフリック
 シートが硬いので、回転の影響を受けにくくやりやすかったです。

フォアサーブ
 はじめ、回転がかからなくて、どうしようかと思いました。サーブでもしっかり食い込ませないと全然回転がかかりません。ぶつけるような形で食い込ませた方が回転はかけやすいと思います。

バックハンド系

軽打
 弾みがあるので、入れる分なら結構やりやすかったですね。

ロングボールやラリーでのドライブ
 ドライブというよりはミートに近い打ち方しかできませんでした。安定感はなかったです汗。

対下回転に対するループドライブ
 結構押しながらドライブをかける癖があるので、数回良いドライブが打てました。ループドライブというよりは打球点を落とした回転量の多いドライブという感じでしたが、伸びが鋭く威圧感のあるドライブが打てたと感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 スピードドライブは難しかったです。ミート打ちになってしまいましたね。ループドライブのように押すように擦り上げながらスピードを出せればいいのでしょうが、こちらも技術力不足です。

カーブ/シュートドライブ
 ほとんどできなかったです。

ブロック
 かなり好感触でした。特にドイツ製ラバーのドライブやスピードドライブをとりやすかったですね。しっかり反発してくれるというか、回転の影響を受けにくい部分がしっかりあって良かったです。

カウンタードライブ
 バックでもやりやすかったです。むしろ、速いボールの方が、ラバーに食い込むので、スポンジへの食い込みを活かして回転をかけやすいと感じました。結構ミート気味にぶつけて、そこから回転をかけるイメージでカウンターすると良いと思います。ミートになっても入る感じがあってすごく好感触でした。

ストップ
 スポンジは柔らかいので、スポンジが食い込むと浮く印象がありました。

ツッツキ
 ストップ同様、自分には結構ボールが浮くように感じました。

チキータ
 凄くやりやすかったです。フリック気味になりやすかったですが、回転の影響を受けにくいので、自分の思ったところに落としやすかったです。しかし威力もあまりなかったですね。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 05 > Tenergy 05 > V>15 Extra

スピード
 Dignics 05 > V>15 Extra > Tenergy 05

ドライブの癖/重さ
 Hurricane NEO III(DHS) > V>15 Extra > Tenergy 05 Hard

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レビュー Rasanter R53(ラザンターR53)

説明

 ドイツの卓球メーカーで常にスタイリッシュで異色の存在感を放つandro(アンドロ)さんのラバーをレビューしていきたいと思います。アンドロは近年明らかに日本でも存在感が際立ってきていると思います。その要因として2017年卓球ワールドカップで水谷隼選手に勝利したり、2019年世界選手権で中国のXu Xin選手(許昕選手、中国)に勝利しているSimon Gauzy選手(シモン ゴーズィ選手、フランス)や、2019年全日本選手権にランカー入りした濱川明史選手の使用用具がアンドロであるという事実があると思います。

RasantからRasanterへ

 アンドロさんは2016年まで、看板として販売していた特徴的な緑色のスポンジのラバーRasant(ラザント)シリーズ(Rasant Grip(ラザントグリップ)、Rasant Power Grip(ラザントパワーグリップ)、Rasant Power Sponge(ラザントパワースポンジ)、Rasant Beat(ラザントビート)、Rasant Turbo(ラザントターボ)、Rasant(ラザント)の6種類)を全て廃盤とし、新たにRasanter(ラザンター)というラインナップを2017年から販売開始しました。ラザントシリーズと同じく緑色のスポンジを採用した新たなフラグシップラバーであるラザンターシリーズ。ラザンターシリーズは回転性能が高く、弧線を作りやすいRシリーズと回転性能に加え、スピード性能も高いVシリーズが存在し、スポンジ硬度が反映した数字をRまたはVの後につけられた名前で販売されています。また他のドイツメーカーに先んじて、Ultra Max(ウルトラマックス)という、スポンジ厚さ2.3 mmとする技術を搭載したラバーラインナップになります。この技術というのは、それ以前ではトップ選手用に適用された技術のようで、シートを現行よりも、さらに薄くしてその分、スポンジを厚くする、といったラバーになります。ラバーは接着層を含めて厚さが4.0 mm以内という国際ルールが存在しますので、スポンジを厚くするためにはシートを薄くする必要があるわけです。シートが薄く、スポンジが厚いラバーの方が、回転とスピードと飛距離が出しやすく、トップ選手受けする性能が出しやすいと言われているそうです。しかしシートを薄くするというのは製造バラ付きが生じやすくそれ以前ではあまり出回っていなかったようです。おそらく最新技術で生産性を上げることができ、結果低価格でシートが薄くスポンジの厚いラバーを生産できるようになり、一般市場へ販売するようになったものと思われます。この技術は日本や世界の卓球用具を牽引し世界標準となるTenergy(テナジー)シリーズを販売するButterfly(バタフライ)さんのラバーにはないようで、バタフライさんはいまだに特厚でもスポンジ厚さは2.1 mmのままとなっています。近年他のドイツメーカーでもシートが薄くスポンジの厚いラバーが増えてきていますね。
 ラザンターは現在までに8種類のラザンターが販売れており、Rシリーズが6種類、Vシリーズが2種類になります。

Rasanterシリーズ

 ラザンターシリーズは、回転系のRとスピード系のVでスポンジ硬度が細かく選べるシリーズのようなネイミングとなっていますが、実際に試打すると想像と異なりました。どうやらスポンジ硬度を変えるともに、シート形状も変更していて打球感や性能、やりやすい技術は異なりました。さらにVシリーズは確かにスピードは速いですがかなりスピン系テンションで回転もかなりかかるので、決してスピード特化のラバーという訳でもありませんでした。katsuo000はR53、R48、R50、R47、V47を試打しており、それらの比較を今後まとめていきたいと考えております。ここでコメントさせていただくことは、R53、R48、R50のシートの粒形状はやや細めで少し球離れの速いと感じる粒形状でした。Dignics 05(ディグニクス05)やTenergy 05(テナジー05)と比較すると球持ちを感じにくいシートの粒形状になると思います。一方で、シートは柔らかく、スポンジも食い込みがかなり良いので、ラバー全体で食い込ませると球持ちを感じるラバーだと思います。
 2017年に販売開始した当初は、R50、R47、R42、R37、V47、V42の6種類でした。さらに2019年10月にEnergy Cell(エナジーセル)技術搭載のR53、2020年5月に同じくエナジーセル技術搭載のR48を新発売しました。現在アンドロさんのフラグシップ的ラバーがR53とR48になりますね。

公表性能値比較

 アンドロさん公表性能値比較になります。アンドロさんはスピードとスピンに加え、コントロールという項目を加えているのが特徴でしょうか。やはりエナジーセル採用のR53とR48は高い性能となっていて注目のラバーになりますね!

 R53のレビューを拝見すると、スピードが出る!というものが多いのですが公表性能値上ではV47の方が、スピードが出ることになっています。既にR53、R48、R50、R47、V47を試打したので分かりますのでコメントしておきますね。R53よりV47の方が単純なスピードは速いと思います。V47の方がとても直線弾道になるため体感以上に速いと思いますね。特にV47の中陣ドライブはかなりのスピードが出る印象です。一方で、R53は弧線を非常に強く描くので、その分体感よりもボールが遅くなる印象です。しかしながらR53の方がプレッシャーや圧力のあるボールで体感的なスピードが速いと感じます!特に弧線を描きながら回転によって加速する感じがR53のドライブにはありますね!ボールが相手の台に到達するまでの時間は数値上はV47の方が速いと思いますが、それは直線弾道によるところが大きいと思います。卓球は単純なスピードだけを競う競技ではないです。R53の方が球威や回転量、そして弧線を描きながらの回転による加速は抜群に高く、緑(赤?)のモンスターラバーと言えると思いますね!

R53のラバー貼りと重量

 いつものごとく、Butterfly(バタフライ)さんのZhang JIke ZLC(張継科ZLC)に貼り合わせました。使用した接着剤は同じくバタフライさんのFree Chack II(フリーチャック2)になります。

重たいですね!

 貼る前の写真を掲載していませんが、重量は52 gでした。これはヘビー級ですね!でもOmega VII Tour(オメガ7ツアー)やOmega VII Hyper(オメガ7ハイパー)ほどではない

Rasanter R53(ラザンターR53)
 UMテンション(テンゾーバイオスUM)
 Energy Cell(エナジーセル)
 40+ Plastic Ball対応
・Sponge Thickness:1.7 mm、2.0 mm、ULTRAMAX(UM)
・Speed:118
・Spin:125
・Control:87
・Sponge硬度:53°
・6,500円 + 税
・72 g(切断前) → 52 g(張継科ZLCに貼って)

Rasanter R53の3つの特徴

1. 粘着ラバーとは異なるウネル癖球ドライブ!

 R53の1つの特徴が、ウネル癖球ドライブだと思います。癖球と言っているのはkatsuo000くらいかもしれませんが、綺麗な縦回転のドライブというよりはジャイロ回転や横回転が勝手に入りやすい印象があります。粘着ラバーのような癖球ではなく、スパイラル回転の入ったような、回転による加速のあるドライブになりやすい印象を受けました。またスピン系テンションなので打点を落とすと粘着ラバーほど容易ではないのですが、打点を落としてもスイングを前に振って入る感じがありました。横回転を入れた弧線はかなり大きな弧を描いて台へ向かってくれる印象です。ギュインと加速するように弧線を描くので非常に打っていて爽快感や疾走感があって好印象でした。同じようなドライブはTenergy 05 Hard(テナジー05ハード、Butterfly製、スポンジ硬度43°)やSpin Art(スピンアート、Butterfly製、現在廃盤、スポンジ硬度48°(Butterfly硬度))で思い切り食い込ませて回転量の多いパワードライブを打てた時に出るイメージですね。R53の方が回転量は若干落ちますが、容易に連続でパワードライブが打ちやすいと感じました

2. 高い回転量と回転のかけやすさ!

 2つ目の特徴だと感じたのが、高い回転性能です。感覚的にはTenergy 05(テナジー05)に匹敵するか、それ以上の高い回転性能を有すると思います。またR53は思い切り擦り上げた時はもちろん高い回転量が得られるのですが、うたされたようなドライブになっても、結構ドライブ回転がかかっていたのが印象的でした。ある一定以上のインパクトで回転をかけることができれば、豊富な回転量が得られるようです。最大限の回転量のループドライブは正直やりにくいです。それはおそらく粒形状がやや細いようなので球持ちを感じにくく、粘着ラバーなどでやりやすいチョリっとかけるループドライブはやりにくいラバーになります。最大限の回転をかけたループドライブはむしろ、粘着ラバーやDignics 09C(ディグニクス09C)やDignics 05(ディグニクス05)の方がやりやすいでしょう。ラバー自体は回転性能特化なラバーではないにもかかわらず、高い回転性能と想像以上に回転をかけやすい性能を有しているということだと思います。

3. スピードドライブの打ちやすさ

 3つ目はスピードドライブですね。人によってはパワードライブといってもいいかもしれません。非常にスピードドライブが打ちやすいラバーでした。前へ振ればスピードドライブが安定して入ってしまう感じがありましたね。また結構厚くボールに当ててもシートやスポンジが食い込みやすいので、想像以上に弧線弾道を描いてくれて勝手にスピードドライブになる感じがありました。弾道はあくまで弧線弾道であり、直線的なミート打ちは個人的には少しやりにくいと感じました。かなりシートが柔らかくて食い込みやすいので、一定以上のインパクトは必要ですが、弧線も描くのでとにかくスピードドライブが打ちやすかったです。ただし、粘着ラバーやテナジー05などのようにスピードもあって回転量も顕在なスピードドライブというよりはスピードドライブが安定するのに満足する回転量と、打ち抜けるスピードのスピードドライブ、という感じでした。

感想

 katsuo000の感想としては、かなり満足するラバーでした。感覚的には100点満点中90点位の非常に良いラバーだったと思います。これは値段を除いた評価で値段を含めるともっと高くなると言えます。個人的に満点を出せない理由はシートが柔らかすぎるために、カウンタードライブがやや難しいことと、相手の強烈な回転のドライブに対して少し回転の影響を受けやすくブロックしづらいと感じたことです。フォアで使う分には、球持ちに不満は全くなく、少しループドライブが難しいと感じたくらいでした。もし仮にディグニクス05が販売されずテナジー05やテナジー05ハードしか販売されていなかったとしたら、乗り換えていたと思いますね。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 結構シートが柔らかいと感じます。シートが柔らかく食い込みを強く感じますね。この辺りは好みが分かれそうな気がします。

ロングボールやラリーでのドライブ
 ドライブを打つと、「暴れ馬!」とか「暴れん坊将軍!」って言いたくなると思います。それくらいボールがウネる!ウネる!素晴らしいドライブですね!

面を開いたドライブ
 食い込みが良いので面を開いたドライブも打ちやすいです。粘着ラバーらしい癖球が出るとかはないですが、粘着ラバーらしい面を開いてぶつけながら回転をかけるドライブでも好感触でしたね。スポンジが本当に食い込みやすく、キョウヒョウのブルースポンジは言い過ぎですが同じような部分があるように感じました。

対下回転に対するループドライブ
 フォアなら問題なく打てます。ただし打点を落としすぎると難しくなる感じがあるのと、浅くて遅くて回転量の多いループドライブは少し打ちにくかったです。粒形状が少し細めによるものだと思うのですが、球離れがやや早いためにボールの深さのコントロールがやや難しかったですね。多少打球点を落としても前へふって質の高い回転とスピードの早いドライブにしてしまった方が良いと思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 真骨頂であるスピードドライブが打ちやすかったですね。回転性能の高いラバーなのにスピードドライブが打ちやすい、というのは非常に相反する性能で非常に素晴らしいと思います。打球感もやりやすさもドライブの弾道も全く異なりますが、まるでディグニクス05のような特徴だと思います。

カーブ/シュートドライブ
 カーブドライブがいいですね。巻き込んでドライブしたくなります!横回転を入れた方がボールのウネりに味が出ると思いますので、どんどんカーブさせていきましょ!

ブロック
 ただ当てるだけだと少し回転の影響が受けやすいです。したがって自分からアクティブブロックのように回転を積極的に入れた方が良いと思いますね。

カウンタードライブ
 少し打ちにくかったです。シモンゴーズィ選手みたいに少し下がってしっかり球を持って上書きするようなカウンタードライブの方がやりやすく、打点の早い頂点前でカウンタードライブするのは少し難しい印象を受けました。

ストップ
 止める分ならかなりやりやすかったです。ツッツキのような台上技術のインパクトだとスポンジがほとんど食い込まず、非常にストップしやすいですね。またシートで捉えるようにすればまずまず切りやすかったです。スポンジまで食い込ませると飛距離が出やすくストップになりにくいと思います。

ツッツキ
 プッシュ気味のツッツキはしやすいですが、やはりスポンジまで食い込ませると想像以上に飛距離が出てオーバーミスしやすいです。しっかりシートで切るようにした方が安定して回転もかけやすいと思います。

フォアフリック
 試打できませんでした。最近フリックできてません。涙

バックハンド系

軽打
 軽打から球離れの速さを感じました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 バックハンドだとかなり振り遅れが多くて技術力不足を感じましたね。やはり重くて硬くてインパクトが足りません汗。

対下回転に対するループドライブ
 かなり難しかったです。技術力不足ですね。

対下回転に対するスピードドライブ
 バックだとかなり難しかったです。これも技術力不足ですね。

カーブ/シュートドライブ
 カーテン打ちではかなり感触よく回転がかかってました。練習でやってみたのですが、結構飛距離が出てしまいオーバーミスが多かったです。

ブロック
 ディグニクス05に慣れつつあるので、比較すると球持ちが短くて回転の影響を受けやすくて難しかったです。回転性能の高いスピン系テンションをよく使うので自分はやはり球持ちを感じるラバーの方がブロックはやりやすいと感じます。しっかりボールを持ってから返球できると感じるからですね。ただ当てるだけ、ボールに対して壁を作るイメージでブロックするならディグニクス05よりもやりやすいと思います。

カウンタードライブ
 バックで使う場合は、カウンタードライブというよりはカウンターブロックがやりやすかったですね。ブロックで触れたような内容に近いです。食い込みがよく、粒も細めなのでミートやブロックは回転性能の高いラバーの中ではやりやすいと思います。自分はあまり多用せず、試合ではほとんど使わない技術になりますね。

ストップ
 テナジー05ハードでストップするようなやりやすさでした。切って安定させるラバーではないとも感じましたが、シートはスポンジが硬いのでまずまず強くR48よりもシートで切りやすいと感じましたね。

ツッツキ
 食い込ませるとぶっ飛ぶのでそこだけ要注意ですね。しっかり切れて回転性能の高さを感じました。

チキータ
 飛距離が出過ぎて難しかったです。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 R53 > Tenergy 05 > Omega VII Tour

スピード
 Dignics 05 > R53 > Tenergy 05

食い込ませたときの弧線の出しやすさ(ボールの沈み込みやすさ)
 Dignics 09C > R53 > Dignics 05

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レビュー Omega VII Hyper(オメガ7ハイパー)

説明

 XIOM(エクシオン)のハイエンドラバーシリーズ、Omega VII(オメガ7)シリーズは初めにOmega VII Pro(オメガ7プロ)、Omega VII Euro(オメガ7ヨーロ)、Omega VII Asia(オメガ7アジア)、Omega VII Tour(オメガ7ツアー)の4種類が販売されました。やや重量は重いのですが、直線的でスピーディーなボールが出やすいのに回転によって安定すると感じたのがオメガ7シリーズの印象です。また初中級者をターゲットとしたVega(ヴェガ)シリーズのネイミングと同じようにネイミングしているので特徴も想像しやすくなっています。ヴェガシリーズでも共通の、やや柔らかいスポンジを採用しているヨーロ、トップ層が好みのスポンジ硬度を採用しているプロ、やや硬めのスポンジを採用しているアジア、そして世界最高峰のワールドツアーでも見劣りしない性能のハードスポンジを採用しているツアー、と明確に伝えたいラバーの立ち位置をオメガ7でも踏襲しています。
 そんなエクシオンのラバーで、初めてHyper(ハイパー)という名前を冠したラバーがこのOmega VII Hyper(オメガ7ハイパー)になります。このオメガ7ハイパーは中国の粘着ラバーのような、硬さと球威を有しながら、圧倒的に扱いやすいラバーと謳われています。世界を席巻する中国ラバーを参考に開発されたラバー。要は粘着ラバーのようなスピン系テンションラバーということでしょう。実際、開けてみるとシートは普通のスピン系テンションのシートですが、スポンジが抜群に硬く、気泡もかなり小さい、まさに粘着ラバーに採用していそうなスポンジのラバーでした。

Omega VII HyperとTourの比較とラバー貼りおよび重量

Omega VII Hyper(オメガ7ハイパー)

Omega VII Tour(オメガ7ツアー)

 画像で比較するとわかりやすいと思います。オメガ7ハイパーの方が気泡が細かくてHurricane(キョウヒョウ)ほどではないものの、かなり密でつまったスポンジだということがわかると思います。
 また写真は準備できてなくて申し訳ないのですが、オメガ7ツアーと比べてオメガ7ハイパーは粒が太くかつ短かったです。このシートの粒形状も粘着ラバーで見られるような形状だと思います。

 オメガ7ハイパー、MAXのラバー重量はZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼って、54 gありました!ちなみにオメガ7ツアー、MAXのラバー重量は52 gでした。かなり重いですね!

Omega VII Hyper(オメガ7ハイパー)
 DYNAMIC FRICTION
 CYCLOID
 CARBO SPONGE
・Speed:13.0
・Spin:14.0
・Sponge硬度:55°
・7,000円 + 税
・79 g(切断前) → 54 g(張継科ZLCに貼って)

Omega VII Hyperの3つの特徴

 このレビューは主にバック側での使用でのレビューになります。

1. 台上が抜群にやりやすい!特にチキータのおさまりが良い!

 もちろんストップは短くおさめやすいのですが、それ以上にチキータがやりやすかったです!思い切り回転をかけようと打っても全くオーバーミスしませんでした。ガツンと回転をかけることができるので、それがまたチキータの安定感をプラスする感じがあって非常に好感触でした。チキータがオーバーミスしてしまうのであれば使ってみるのはアリだと思います。オメガ7ハイパーではなく、粘着ラバーでも同じように打てる感じがありますが、粘着ラバーだとインパクトを結構強くしないと今度は落ちたりチャンスボールを送るだけになったりすることも多かったです。スピン系テンションで一定のスピードを維持しつつ安定とおさまりを得られるラバーして、オメガ7ハイパーは抜群にやりやすかったです。

2. 硬いのに食い込みが良くて扱いやすい!

 これはオメガ7シリーズ全体に言えることかもしれません。相手がミスするような物凄い回転量のボールを打つにはそれなりのインパクトとスイングスピードと体の使い方が必要ですが、5割〜6割くらいの力で打っても回転がかかりやすく、どんな技術も非常に安定して相手のコートに入れることができます!どんな技術も非常にやりやすいラバーになっています。バックでインパクトが弱くても中陣バックドライブは打ちやすかったですし、安定感がありました。またスポンジも硬いのでミートもしやすかったです。悪い言い方をすると中途半端なラバーと言えるのかもしれませんが、個人的には、ドライブもフリックもやりたい、ブロックもやりたいしミートもやりたいし、カウンターもやりたい、あれもこれもやりたい!という人には非常にバランスの良いラバーだと思います。

3. オメガ7ツアーと遜色のないスピードを維持しながら、さらなる回転と安定感!

 オメガ7ツアーと比較しても粘着ラバーではないので、スピードは遜色なく速かったです。それなのに、安定感と回転量はオメガ7ハイパーの方がありました。確かにスピードドライブは食い込ませにくいのでオメガ7ツアーよりも難しい感じはありましたが、ラリーでのドライブのスピードは満足できるものでした。それでいて安定感があったので安心感を感じやすいラバーでした。オメガ7ツアーはどちらかといえば、Tenergy 80(テナジー80)のように少し球離れが早い感じがあるのですが、オメガ7ハイパーはTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)寄りのラバーでした。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 結構弾まないです。粘着っぽい打球感ですね。

ロングボールやラリーでのドライブ
 ボールは伸びませんが回転のかかったボールは打ちやすいですね。回転量も高いかというと、粘着ラバーほどあるわけではないので、中途半端といえば中途半端かもしれません。粘着らしさとスピードが欲しいならありといえると思います。

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ
 非常にやりやすいですね。スポンジが硬く、ネット際に低くて浅いループドライブを打ちやすかったです。回転量も低くはないと思いますが、少しパワーが必要な感じはありました。

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ
 やりやすかったです。

ストップ

ツッツキ

フォアフリック

バックハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

対下回転に対するループドライブ 

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ
 かなりやしやすくて、非常に好印象でした。

ストップ
 ボールもピタっと止まってやりやすかったです。

ツッツキ
 ツッツキもやりやすかったですね。ボールはグリップしますが、しっかり切るには技術が必要と感じました。

チキータ
 やりやすかったですね。思い切り回転をかけにいってしっかりおさまる感じがありました。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Tenegy 05(テナジー05) > オメガ7ハイパー > オメガ7ツアー

スピード
 オメガ7ツアー ≧ オメガ7ハイパー > テナジー05 > テナジー05ハード

https://amzn.to/2YrynVk