レビュー An Jaehyun TMX (アン・ジェヒョンTMX)_扱いやすい王道アウター

はじめに

 Jekyll & Hyde C55 (ジキル&ハイドC55)や、Omega VII China Ying (オメガVIIチャイナ影)などのラバーを好んで使っていることもあり、XIOM (エクシオン)さんの用具チェックをよく行っています。XIOM (エクシオン)さんの用具はやはり種類の多いラバーに目がいきやすいと思いますがラケットも面白いものが多いですね。katsuo000が過去注目して使ったラケットはStradivarius (ストラディヴァリウス)Ice Cream AZXi (アイスクリームAZXi)といったラケットです。そして今回セールなどでついつい気になり手に入れたラケットがAn Jaehyun TMX (アン・ジェヒョンTMX)になります!日本の張本智和選手と良きライバルで、XIOM (エクシオン)契約のAn Jaehyun (アン・ジェヒュン)選手モデルのTMXアウターラケットになりますね。割引価格50%も背中を押して購入してしまいました!さてどのようなラケットなのか、レビューしていきたいと思います!

説明

 An Jaehyun (アン・ジェヒュン)選手は過去にはブレードにHurricane Long V (キョウヒョウ龍V)、フォアにHurricane (キョウヒョウ)のブルースポンジを使用しており、レジェンド馬龍選手を意識していることがわかりますね。そんな彼がXIOM (エクシオン)契約となって求めたラケットは、ベースはHurricane Long V (キョウヒョウ龍V)に類似のインナーラケットであるAn Jaehyun TMXi (アン・ジェヒュンTMXi)になりますね。TMXという素材は、XIOM (エクシオン)さんの特殊素材であるAxylium (アクシリウム)とZephylium (ゼフィリウム)とX Carbon (Xカーボン)の3種類の特殊素材を編み込んだ特殊カーボン素材ということです。TMX = TRIMETRIX (トライメトリクス)のことで、3種の特殊繊維を編み込んだ素材ということですね。3種類を編み込むのは難しく革新的、ということなのだそうです。

 ちなみに各素材は、Butterfly (バタフライ)さんの特殊素材とどのように対応するのか現時点のイメージで申し上げると、次のようになります。

 Axylium (アクシリウム): アリレートっぽい?少なくともZylon (ザイロン)ほど硬さは感じない
 Zephilium (ゼフィリウム): こちらもザイロン系ではない。CAF系?

ということで、XIOM (エクシオン)さんのラケットで未だにZylon (ザイロン)系と思しき素材と出会ったことはありません。名前や頭文字から想定すると全然イメージ通りじゃない、となりかねないので気を付けてください!Axylium (アクシリウム)もZephiluim (ゼフィリウム)もカーボンと編み込むことでカーボンの硬さを柔らかくして、しなやかさを与えてくれる素材ですね。どちらかがIzanas (イザナス、超高分子量ポリエチレン)などかもしれません。Aramid carbon (アラミドカーボン)も世の中的にはArylate carbon (アリレートカーボン、ALC)と同じと説明されますが若干異なっていて、Aramid Carbon (アラミドカーボン)の方が硬さを感じると思っています。ということでTMX = TRIMETRIXは、Arylate carbon (アリレートカーボン、ALC)よりもさらに操作性や扱いやすさを高めている繊維といえると思います。ちなみにJoola (ヨーラ)さんにはX3という、PBO-CとAry-Cを編み込んだ特殊素材の記載がありますが、少なくともX3とTMXは全く異なる特殊繊維といえるでしょう。購入する前は板厚も5.7 mmとViscaria (ビスカリア)系ラケットよりも薄いし、TMXってArylate Carbon (アリレートカーボン)よりも弾むイメージと購入しましたが、実際は操作性や扱いやすさと威力のバランスを求めた特殊繊維ということで、確かに打ってみると扱いやすさを感じたラケットでした。実際情報を調べてみても、TMXはアクシリウムのしなやかさ、ゼフィリウムの打球感、そしてカーボンの反発の全てを活かすために木材との相性までこだわって製作されているそうです。

 ブレード設計を確認しましょう。まず確認しなければならないブレードはViscaria (ビスカリア)系の王道アウターALC及びその類似ブレードになりますね。
 Outer ALC
 ・Lin Gaoyuan ALC (林高遠ALC) 5.8 mm / 157 × 150 mm Koto (廃盤)
 ・Zhang Jike ALC (張継科ALC) 5.8 mm / 157 × 150 mm Koto (廃盤)
 ・Timo Boll Spirit (ティモボルスピリット) 5.8 mm / 157 × 150 mm Koto (廃盤)
 katsuo000が所有するアウターALC系の王道ラケットは上記になります。これらはいわゆるViscaria (ビスカリア)と同じブレード構成でグリップだけ異なるラケットになりますね。そしてこの王道アウターALCを模したラケットとしてXIOM (エクシオン)さんから販売されているラケットがStradivarius (ストラディヴァリウス)になりますね!
 ・Stradivarius (ストラディヴァリウス) 5.7 mm / 157 × 150 mm Koto (廃盤)
 このラケットはアウターAramid carbon (アラミドカーボン)になります。若干ALCよりも硬さを感じやすいAramid carbon (アラミドカーボン)を使っているためか、ブレード厚さも0.1 mm薄いんですね。このブレード厚さの0.1 mm薄いという設計はXIOM (エクシオン)さんとしてはどのような考えなのか不明ですが、板厚0.1 mmはめちゃめちゃ大きいので、おそらく考えられた部分ではないかとkatsuo000は想像しますね。

Blade Design (ブレード設計)

 Xiom (エクシオン)さんのAn Jaehyun (アンヒュジュン)シリーズのラケットのブレード設計を確認してみましょう。An Jaehyun (アンヒュジュン)モデルのラケットは2本あり、アウターTMXとインナーTMXの2本になりますね。
 ・An Jaehyun TMXi (アンヒュジュンTMXi): 5.9 mm / 158 × 152 mm Limba
  Catapult: 9.3、Ballgrab: 7.9、Repulsion: 8.3、Precision: 9.1
 ・An Jaehyun TMX (アンヒュジュンTMX): 5.7 mm / 157 × 150 mm Koto
  Catapult: 9.2、Ballgrab: 7.7、Repulsion: 8.4、Precision: 8.9
 An Jaehyun (アンヒュジュン)選手はインナーのAn Jaehyun TMXi (アンヒュジュンTMXi)を使用しているそうです。このインナーラケットは威力を出すために重量も90 g前後と重たく設計されていて、威力が出しやすくなっているそうですね。一方で今回レビューするAn Jaehyun TMX (アンヒュジュンTMX)はアウターカーボンということで打感の硬いラケットでありますが、その分軽量に設計し扱いやすさを挙げた設計ということのようです。個人的には重量の重たいラケットは好みなので重くしてくれてよいのに、と感じつつ、楽しみに試打しました。

An Jaehyun TMX (アンヒュジュンTMX)

 届いたAn Jaehyun TMX (アンジェヒュンTMX)は84 g前後で確かに軽かったですね。個人的には90 gオーバーくらいの重いものが好みです汗。ラバーはメインで使用しているものを貼りました。フォア面にJekyll &Hyde C57.5 (ジキル&ハイドC57.5)を、バック面にDignic 05 (ディグニクス05)を貼りました。グルーはフォア面バック面ともにはButterfly (バタフライ製)のFree Chack II (フリーチャック2)を使いました。

アンジェヒュンTMXの3つの特徴

王道アウターなのに扱いやすい!

 上板Koto (コト)ブレードなのに想定以上に扱いやすいと感じました。当時メインで使用していたブレードはVario+AC (ヴァリオ+AC)で、かなり気に入って使っていました。バックに上板Limba (リンバ)材を使って扱いやすくして使っていたのですが、それでもインナーカーボンラケットよりは硬さを感じていました。Vario+AC (ヴァリオ+AC)はアウターAC側に上板Koto (コト)材をもちいていて王道アウターラケットに近い性能と扱いやすさなのですが、板厚が6.1 mm (公表でも5.9 mm)のラケットでやや板厚の厚さを感じるラケットです。バックは特に癖でプッシュ気味におしてしまうので、質の高いボールを打ちたいと思って力んだ時にオーバーミスが増えていました。そんな中An Jaehyun TMX (アンヒュジュンTMX)を使ってみたら思ったより扱いやすいというのが最初の感想です。なかなかアリよりのありで良かったです。一番違うと感じたのはバックハンドを振ったときのおさまりの良さで、板厚5.7 mmが機能していると感じました。また王道アウターカーボンといえば5.8 mmの7枚合板と感じるような板厚ですが、5.7 mmということで気持ち、5枚合板よりの性能になっていたのも自分が使いやすいと感じたポイントではないかと思います。その分、フォアハンドは少し浅くなっていた気がしますね。少なくとも板厚6.1 mmのVario+AC (ヴァリオ+AC)よりも浅くなっていたと思います。その分、扱いやすさやコースの狙いやすさもあったので、違和感はありませんでした。また打ち比べまでできていませんが、はStradivarius (ストラディヴァリウス)よりも高価なラケットですので、その分質の高さや違和感も感じにくかった印象です。どうしてもStradivarius (ストラディヴァリウス)は安価で弾みの出せる王道アウターブレードで良いのですが、安価な分、質の低さや扱いにくさ、回転のかかりにくさ、など安価感はあると思います。上手に言葉にできなくて申し訳ないですが、特に海外製の安価なラケットは打感に違和感がなくても安価な分のボールの質の低下などが想像以上に全面に出る印象はありますね。An Jaehyun TMX (アンヒュジュンTMX)はバタフライさんやニッタクさんの中上級者向けラケットと遜色のない質の高さがあり使っている人を見かけても何ら違和感を感じないクオリティでした。

バックハンドで回転が良くかかる!

 最近バックハンドの感覚がついてきて、想像以上にかなり良いイメージで打てました。個人的な印象として、Zhang Jike ALC (張継科ALC)Lin Gaoyuan ALC (林高遠ALC)などを初めて打った時よりも扱いやすさを感じました。TMXは衝撃を吸収して響いている感覚があるように感じましたね。TMXという素材はスピード性能もありながら、扱いやすさにもバランスをとったかなり良い印象を持ちました。マイナーで有名ではないのに高価なラケットでもあり、その良さは感じました。普通に使う人がいても違和感感じないくらい良いラケットと思いました。またVario+AC (ヴァリオ+AC)との比較で打ったことも影響してかかなりおさまりの良さを感じました。バックハンドドライブで硬さはあまり感じず、しかもおさまりの良さを感じ、普通にアウターブレードとして使えるじゃんと感じましたね。Zhang Jike ALC (張継科ALC)Lin Gaoyuan ALC (林高遠ALC)で板厚の厚さが厚すぎて使いにくさを感じるのであればAn Jaehyun TMX (アンヒュジュンTMX)はかなり良い選択肢の一つだと思います。少なくとも、アウターALC系と同列か板厚の薄さで一つ良さを感じるラケットとして自分の中では上位に位置するラケットと評価しました。

軽量で操作性もよく振り抜きやすい!

 自分の中ではあまり重要視はしていませんが一般的に軽くて振り抜きやすさを求められるラケット性能だと思います。An Jaehyun TMX (アンヒュジュンTMX)は軽量ながら押されると言う感覚も感じず、それでいて軽いので振り抜きやすさがあり良かったですね!自分はサイドバランサーを使うことで重量調整できましたし、軽いなら足せば良いと割り切れると思いました。最近は回転量よりも高速卓球が重要とされますので、前中陣からの打点の速い連打ができるラケットだと思います!

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Arc Caster Over > An Jaehyun TMX > Zhang Jike ALC

スピード
 Fan Zhendong SALC > An Jaehyun TMX > Arc Caster Over

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