レビュー

レビュー Omega V Tour DF(オメガ5ツアーDF)

説明

 韓国の卓球メーカーXIOM(エクシオン)は、コスパの良いVega(ヴェガ)シリーズと、ハイエンドモデルのOmega(オメガ)シリーズの大きく2種類のラバーシリーズが有名です。ラケットも他メーカーにない、Ice Cream(アイスクリーム)などのラケットを販売していますね。ハイエンドラバーシリーズのOmega(オメガ)シリーズは現在V(ファイブ)とVII(セブン)の2シリーズがメインになります。ブラジルのハードヒッター、Hugo Calderano(ウーゴカルデラノ)選手がXIOMと契約し、用具変更後も順調にワールドツアーランキングを一桁まで上げました!カルデラノ選手が使用しているHugo Hyper Axylium(ウーゴハイパーアクシリウム)とOmega VII Tour(オメガ7ツアー)も人気急上昇ですね。また、韓国の鉄壁のブロックとチキータのJeoung Youngsik(鄭栄植)選手もIce Cream AZXi(アイスクリームAZXi)とOmega VII Pro(オメガ7プロ)を使用中になります。

 本ページでレビューするOmega V Tour DF(オメガ5ツアーディーエフ)は、Omega V(オメガ5)シリーズのラバーになります。オメガ5シリーズのコンセプトはボールを確実に持つグリップ力、ボールをしっかり持って、強い弧線と回転量に特徴のあるシリーズになるそうです。オメガ5シリーズは全て定価5,200円+税ですが、割引されればヴェガシリーズと同じ3,000円台で購入可能になるラバーです。ハイエンドモデルでありながら非常にコスパの良いシリーズといえるでしょう。オメガ5シリーズはパンフレット上は4種類存在し、今回レビューするツアーDFに加え、Omega V Pro(オメガ5プロ)、柔らかいOmega V Euro DF(オメガ5ユーロDF)、シリーズ最高硬度のOmega V Asia DF(オメガ5アジアDF) が販売されています。DF含め、エクシオンのラバー、その技術について言及してみます。

・MAX AT 4
 公式ルールの範囲内で、最大限のテンションをかける技術。

・ELASTO FUTURA
 オメガVIIシリーズ、ヴェガツアー、ヴェガXに搭載されている総合技術。「CYCLOID」、「DYNAMIC FRICTION」、「CARBO SPONGE」の3つの特別なチューニングを1枚のラバーに集約し、繊細なボールタッチ、他に類を見ないほどのグリップ力、画期的な弾力性を実現する技術。

・DYNAMIC FRICTION(DF)
 雪の上でも十分な摩擦力を発揮するスノータイヤから生まれたラバーの表面加工技術。表面が滑りやすいプラスティックボールを、しっかりつかみ、より多くの回転エネルギーを作り出す技術。

・CYCLOID
 プレーヤーの確率を高め、ボールの弧線がナチュラルに高く、ブロックでのネットミスを減らし、相手のコートへボールが最大限深く入る技術で、回転量と飛距離の比率を精緻に計算された設計により、高いスピードと力強いエネルギーをドライブに伝える技術。

・CARBO SPONGE
 スポンジにカーボン粒子を配合する技術。ボールをしっかりつかむ力とカタパルト効果でトップシートと相互作用できる技術。

・HYPER ELASTO
 2008年に禁止になったスピードグルーの効果の、代替とすべく開発された技術。スピードグルーなしで使ったような打球感、打球音、飛距離、回転力を実現する技術。加速性能を上げた「IMB」、弧線の高さを追及した「CST」などのバリエーションがある。

・TENSOR
 XIOMが開発した、スピードグルーと同様の、テンション効果を持たせる技術。ゴム分子の構造をピンと張りつめた状態にし、それを半永久的にキープする技術。「TENSOR」ラバーなら、余計な労力を使うことなく、楽にスピードが乗ってスピンの効いたボールを繰り出すことができる。この技術をベースに独自の考察とアレンジを加え、「HYPER ELASTO」技術を完成させた。

・BIOS
 「TENSOR」と同じく、XIOMが開発したクリーンなラバー製造技術。製造過程で、環境に悪影響を与える物質や発がん性物質などが発生したり配合されたりしない技術。「BIOS」ラバーは有害物質を徹底的に排除、製造に携わるスタッフからラバーを使うプレーヤーに至るまで誰一人として環境面、健康面で心配なく安心して使うことができる。ハイパフォーマンスでクリーンなラバーの象徴。

 Vega X(ヴェガX)、Vega Tour(ヴェガツアー)、そしてOmega VII(オメガ7)シリーズは全て同じ技術シンボル、ELASTO FUTURA搭載のラバーになりどのラバーもカーボスポンジとダイナミックフリクションですので、スポンジは黒く、シートはダイナミックフリクション(DF)仕様のシートでグリップ力のあるラバーになります。今回レビューするオメガVツアーDFも、DF(ダイナミックフリクション)搭載のラバーですね。オメガ5シリーズは、販売当時はDF採用ではなかったラバーです。その後、プラスティックボール対応の、DF(ダイナミックフリクション)の名前が冠されて販売されたようですね。
 基本的にXIOM(エクシオン)さんのラバーは、以下のようなイメージで問題ないと思います。
 Pro(プロ):シリーズのベースとなるようなラバー。
 Euro(ユーロ):柔らかくて扱いやすい。
 Asia(アジア):プロよりもやや硬く、回転重視。
 Tour(ツアー):トップ選手も満足する、シリーズの最も高性能かつ扱いの難しいラバー。

 オメガ5ツアーDFについて、パンフレット上で次のように説明されています。

硬派で堅牢なプレーの相棒
 プラスチックボールのために最適化されたトップシートとスポンジが、いかなる局面においても確実にボールをグリップする。低い粒が密集した形のシート構造は、ガッチリした打球感と激烈なスピンボールを創出。相手ボールの威力に負けない堅牢な強さを持ちながら、弾力性のあるスポンジの効能で飛距離も出せる。間違いのないプレーと力強さ―硬派な卓球を目指すあなたのフォア面ラバーとして活躍するのが、オメガVツアーDFだ。

公表性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

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 オメガ5ツアーDFは、オメガ5シリーズの中でも高い性能のラバーです。しかしながら、よりスポンジ硬度の硬いオメガ5アジアDFの方が性能が高いというのが特筆点になりますかね。それでもオメガ5ツアーDFはヴェガツアー以外のラバーよりも性能は高いですね。ツアーと冠されたラバーですので、非常にバランスが良く性能の低さや滑りなどは感じませんでした。現在集中的にXIOM(エクシオン)さんのラバーを試打していますが、ゆくゆくはまとめたいと思っていますね。総評はヴェガツアーのレビュー後に改めて書かせていただきますので、よろしくお願いします。
 またオメガ5ツアーDFは2020年に卓球王国のゆうさんらに、用具試打という形で試打されています。非常に高評価で、弧線の高さ、高い回転量に絶賛されていました。この点について確認したく、非常に楽しみな試打でありました。動画↓

オメガ5ツアーDFの貼りと重量

 今回よりZhang Jike ALC(張継科ALC)に貼っています。

Omega V Tour DF(オメガ5ツアーDF)
 HYPER ELASTO(ハイパーエラスト)
 TENSOR(テンゾー)
 BIOS(バイオス)
 DYNAMIC FRICTION(ダイナミックフリクション)
・Sponge Thickness:2.0/max mm
・Speed:11.0
・Spin:11.8
・Sponge硬度:47.5°
・5,200円 + 税
・72 g(切断前) → 51 g(張継科ALCに貼って)

 重量は案の定の50 gオーバーでしたが、オメガ5ツアーDFは打感が軽かったですね。あらためてXIOMさんのオメガ7シリーズはヘビーで粘着ラバーのようなマッドな打球感が特徴のように感じます。一方で、同じELASTO FUTURA採用ではあるものの、Vega Tour(ヴェガツアー)、Vega X(ヴェガX)はそこまでマッドではなく、癖のないラバーの印象です。そして、今回のオメガ5ツアーDFも、軽やかでライトな打感で驚きました。粘着ラバーのようなマッドさとボールの重さ、そしてスピードはオメガ7シリーズの特徴のようですね。一方でヴェガツアーやヴェガXそして、オメガ5シリーズは、多少重いようですが、Tenergy(テナジー)などのラバーと同じように、ミートもドライブも軽快さのあるラバーだと感じました。フォアにもバックにも使えるようなラバーだと思いますね。

Omega V Tour DFの3つの特徴

 卓球王国さんで取り上げられているような弧線の強さに対する感動はありませんでしたが、総評として回転量、スピードと回転のバランス、扱いやすさ、コスパと非常に良かったです!本職使用はかなり迷っていますね。Rakza X(ラクザX)のようなとにかく台に入れやすい感じがないわけではないですが少し弱く、一方でRakza X以上の回転量のボールが出しやすいのと同金額帯である点が気に入っています。ものすごい特徴があるわけではないですが、かなり良いラバーだと思います!一番合う表現だと思うのが、「グルーイングしていない高性能なスピン系テンションラバー」、だと思います。普段グルーイングしているわけではないですが、スポンジの弾力くい込みで打球するラバーではなく、シートで回転をかけ、ラケットの弾みでスピードを出すラバーだと思います。

回転性能に特徴のあるラリー思考のラバー

 オメガ5シリーズの特徴、ボールを確実に持つグリップ力、強い弧線と回転量は伊達ではないと感じました!インパクトの弱いバックハンドで使っても高い回転量を感じさせるループドライブやツッツキができて好感触でした。ただしエゲツナイ回転量というよりは安定した回転量という感じで、どちらかというと回転で飛ばしていくというよりはチョリチョリと回転でラリーをするラリー思考のラバーであると感じました。
 打球感は、シート硬めでスポンジはシートよりも少し柔らかくてくい込みやすさを感じるものの、そこまで大きなくい込みをしないラバーだと思います。シートの摩擦力で回転をかけているようなラバーで、どちらかというと粘着ラバーっぽい打感に近かった気がします。もちろんシートもスポンジもスピン系テンションラバーに近い形状ですので、粘着ラバーのようなボールが出るわけではありませんでしたが。よって、技術力がそのまま反映した回転やボールになりやすく、驚くような回転量のドライブは打てませんが手堅いドライブとミートができるマニュアル性能の高いラバーだと感じました。一方でスプリングスポンジやCYCLOID(サイクロイド)スポンジなどのように強烈な伸縮があるわけではなく、回転かけながら飛ばして回転で強く沈みこませることのできるDignics 05(ディグニクス05)と比較すると少し弧線の強さや沈み込みの強さ、回転量が物足りなく感じました(少し厳しい比較ではありますが)。
 スプリングスポンジのTenergy(テナジー)やCYCLOID(サイクロイド)のOmega VII(オメガ7)シリーズと比較すると、くい込みの良さが少ない分、非常にカウンターもしやすいラバーだったと思います。この点も特筆すべき点でした。

回転もかけやすいのに、ミートの方がやりやすい!

 ボールがグリップしやすいので、スピードドライブで弧線を描きながら走らせようとすると、回転と弾きのバランスをとるのに慣れが必要と感じました。むしろ、スピードボールは弾みもあるのでミートの方がやりやすく、その方がボールが走って良いと感じましたね。回転系のラバーでここまでミートがやりやすいと感じたラバーは珍しいと感じました。そこまで試せませんでしたがミート打ち、角度打ちも安定すると思います。打球点が落ちたらループドライブと、使い分けもできると思います。世界標準(World Standard、ワールドスタンダード)のTenergy 05(テナジー05)は、ミートが非常に難しく、角度打ちもかなりセンスがないと勝手に回転がかかってしまうラバーになっています。テナジーと比較したときに回転もかけることができてミートもしやすいというのは非常に特徴があるラバーだと感じました。

他のXIOMラバーと比較すると滑らず回転もかけられる優秀なラバー

 順番としてオメガ7シリーズを打った後に、オメガ5ツアーDFを試打しましたので、オメガ5ツアーDFの第一印象は非常に使いやすいでした。47.5°の適度な硬度で扱いやすくそれでいて、滑らなくて回転も良くかかる非常に好感触でした。特にボールのグリップという点では、ヴェガX以上であり非常にループドライブがやりやすいと感じました。それでいて、ミートや上回転に対するスピードドライブはかなり走るので、同じ金額帯であることを考慮するとヴェガXよりもオメガ5ツアーDFの方が本職採用したいラバーでしたね。ヴェガXはオメガ5ツアーDFよりもさらにシートを硬くスポンジが柔らかい感じのラバーなので、回転がかかったときにはオメガ5ツアーDFよりもエグイ回転量が出るのですが、少し滑りやすい(慣れれば苦ではないと思いますが)気がします。おそらくオメガ5ツアーDFはELASTO FUTURAは採用されていないラバーであり、回転量やボールの伸び、威力に少し物足りなさも感じました。スポンジまたはラバー全体の最大限に伸縮する際の力の強さが、オメガ7シリーズ、Omega VII Tour(オメガ7ツアー)やOmega VII Hyper(オメガ7ハイパー)、そしてヴェガXと比較してオメガ5ツアーDFの方が少し弱いように感じました。ただし、滑らないという部分が非常に良くて滑りをむしろ利用できるような卓球ができない自分にはオメガ5ツアーDFがちょうど良いように感じました。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 ボールは速いです。ただし、弧線の高さ、強さ、回転量は、普段使用するDignics 05(ディグニクス05)と比較すると少し弱いように感じました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 厳しい比較であるのはわかるのですが、ディグニクス05はスピンで飛ばしてやっても回転量でしっかりボールが沈み、オーバーするような弧線でも全部台に着弾する感じがありますが、それをこのオメガ5ツアーDFでやろうとすると難しかったです。これができないとわかった時点でkatsuo000としてはフォア採用はないと感じてしまいました。それでも打感や回転をかけた感触は良かったですが。

面を開いたドライブ
 スポンジが負ける感じはありません。少しゴムの弾力は感じにくいとも思いましたが、ボールは走るようにも思いました。

対下回転に対するループドライブ
 しっかり球を持つので好感触でした。打球感は、回転量の高いドライブができていると感じました。しかし威力や重さは少し軽いと思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 爽快な打感のあるラバーで、少し弧線が低い(ディグニクス05と比較して)と感じましたが、良いラバーだと感じました。

カーブ/シュートドライブ
 スポンジのくい込みはあまりなく、ヴェガXと比較すると曲がりが弱いように感じました。

ブロック
 良かったですね。カウンターがしやすいです。シートが硬くスポンジも硬めなので、回転がかかるラバーの割には回転の影響を受けにくいラバーだと思います。

カウンタードライブ
 シートは硬くはないのですが、カウンタードライブはやりやすかったです。少しくい込みが良いので回転をくらうときはなくはなかったですが、全体的にラバー全体でまけずにボールを打ち返せる感じがありました。回転で弧線というよりは、スポンジがいい意味でも悪い意味でも変化が少ないのでどんなボールも同じドライブでかけ返せる感じだと思います。

ストップ
 やりやすかったです!シートが硬くしっかり止まりました。

ツッツキ
 滑らずしっかり切ることができました。また攻撃的な速いツッツキもしやすかったです。

フォアフリック
 マニュアルなラバーですので、やりやすかったです。

フォアサーブ
 回転もかかるサーブが出しやすくて良かったです。

バックハンド系

軽打
 ちょっとおちやすかったです。球離れが速く、技術力不足を少し感じました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 バックハンドには少し硬く感じました。ただし、使い込んでなれれば十分いけると思います。上回転のラリーでは非常に強烈なスピードドライブも打てました。ただし中陣から持ち上げるというよりは結構直線的なスピードドライブになりやすい印象です。

対下回転に対するループドライブ
 やりやすかったです。少しヴェガXだと滑るというか、柔らかいのでくい込みすぎてエネルギーロスを感じやすかったですが、オメガ5ツアーDFはそんなことはなかったですね。相手のミスをさそうような回転量も出しやすく好感触でした。

対下回転に対するスピードドライブ
 少し弧線が低く、ネットミスが目立つ印象です。(ディグニクスと比較して)直線性が強いように感じました。

カーブ/シュートドライブ
 ヴェガXと比較すると、少しチキータは曲がりが弱い印象でした。

ブロック
 やりやすかったです。ただし、少し硬さで落ちると感じたときもありました。

カウンタードライブ
 やりやすかったです。いいラバーだと思います。

ストップ
 良かったです。少し硬さで落ちる気もしました。

ツッツキ
 切りやすくかつ、直線的なツッツキもしやすかったです。

チキータ
 弧線を作りやすくやりやすかったですが、えげつない感じではなかったです。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Tenergy 05 ≧ Vega X ≧ Omega V Tour DF ≧ Evolution MX-P

回転のかけやすさ
 Vega X ≧ Rasanter R48 > Omega V Tour DF > Dignics 05

スピード
 Dignics 64 > Omega V Tour DF > Vega X

https://amzn.to/3tvNf3n

レビュー Omega VII Pro(オメガ7プロ)

説明

 韓国の卓球メーカーXIOM(エクシオン)は、新進気鋭のメーカーで、コスパの良いVega(ヴェガ)シリーズと、ハイエンドモデルのOmega(オメガ)シリーズの大きく2種類のラバーシリーズが有名です。ハイエンドラバーシリーズのOmega(オメガ)シリーズは現在V(ファイブ)とVII(セブン)の2シリーズがメインになります。ブラジルのハードヒッター、Hugo Calderano(ウーゴカルデラノ)選手がXIOMと契約し、用具変更後も順調にワールドツアーランキングを一桁まで上げました!カルデラノ選手が使用しているHugo Hyper Axylium(ウーゴハイパーアクシリウム)とOmega VII Tour(オメガ7ツアー)も人気急上昇ですね。また、韓国の鉄壁のブロックとチキータのJeoung Youngsik(鄭栄植)選手もIce Cream AZXi(アイスクリームAZXi)と本ページでレビューするOmega VII Pro(オメガ7プロ)を使用中です。

 本ページでレビューするOmega VII Pro(オメガ7プロ)は、Omega VII(オメガ7)シリーズで一番初めに販売されたラバーになります。Omega VII(オメガ7)シリーズの特徴は、前シリーズのOmega V(オメガ5)の回転に特化したラバーとは対称的に、Artificial Intelligence (AI)によって導き出した「これまでにない打球スピード」になります。もちろんトップ選手が満足する回転量を保ちながら、これまでにないスピードドライブを可能としたのがオメガ7シリーズということです。回転もスピードも高くなっているため、オメガ7シリーズの価格はどれも、エクシオンのラバーの中で最も高価な7,000円+税になっています。

 エクシオンのラバー、その技術について言及してみます。

・MAX AT 4
 公式ルールの範囲内で、最大限のテンションをかける技術。

・ELASTO FUTURA
 オメガVIIシリーズ、ヴェガツアー、ヴェガXに搭載されている総合技術。「CYCLOID」、「DYNAMIC FRICTION」、「CARBO SPONGE」の3つの特別なチューニングを1枚のラバーに集約し、繊細なボールタッチ、他に類を見ないほどのグリップ力、画期的な弾力性を実現する技術。

・DYNAMIC FRICTION
 雪の上でも十分な摩擦力を発揮するスノータイヤから生まれたラバーの表面加工技術。表面が滑りやすいプラスティックボールを、しっかりつかみ、より多くの回転エネルギーを作り出す技術。

・CYCLOID
 プレーヤーの確率を高め、ボールの弧線がナチュラルに高く、ブロックでのネットミスを減らし、相手のコートへボールが最大限深く入る技術で、回転量と飛距離の比率を精緻に計算された設計により、高いスピードと力強いエネルギーをドライブに伝える技術。

・CARBO SPONGE
 スポンジにカーボン粒子を配合する技術。ボールをしっかりつかむ力とカタパルト効果でトップシートと相互作用できる技術。

・HYPER ELASTO
 2008年に禁止になったスピードグルーの効果の、代替とすべく開発された技術。スピードグルーなしで使ったような打球感、打球音、飛距離、回転力を実現する技術。加速性能を上げた「IMB」、弧線の高さを追及した「CST」などのバリエーションがある。

・TENSOR
 XIOMが開発した、スピードグルーと同様の、テンション効果を持たせる技術。ゴム分子の構造をピンと張りつめた状態にし、それを半永久的にキープする技術。「TENSOR」ラバーなら、余計な労力を使うことなく、楽にスピードが乗ってスピンの効いたボールを繰り出すことができる。この技術をベースに独自の考察とアレンジを加え、「HYPER ELASTO」技術を完成させた。

・BIOS
 「TENSOR」と同じく、XIOMが開発したクリーンなラバー製造技術。製造過程で、環境に悪影響を与える物質や発がん性物質などが発生したり配合されたりしない技術。「BIOS」ラバーは有害物質を徹底的に排除、製造に携わるスタッフからラバーを使うプレーヤーに至るまで誰一人として環境面、健康面で心配なく安心して使うことができる。ハイパフォーマンスでクリーンなラバーの象徴。

 既にレビューしたVega X(ヴェガX)、次回レビュー予定のVega Tour(ヴェガツアー)、そして今回レビューするオメガ7プロは全て同じ技術シンボル、ELASTO FUTURA搭載のラバーになります。よって、どのラバーもカーボスポンジとダイナミックフリクションですので、スポンジは黒く、シートはダイナミックフリクション仕様のシートでグリップ力のあるラバーといえるでしょう。

 オメガ7プロについて、パンフレット上で次のように説明されています。

自在性と決定力を贅沢に両立
少しだけ軟らかめに設計されたトップシートがボールのつかみやすさを実現。どんなに厳しい状況下においても、自由自在なスピンショット、正確無比なコントロールショットを可能にした。さらに、47.5度の高反発スポンジがボールを弾丸のように発射。スイングのエネルギーを倍加するような剛速球が相手のコートを駆け抜ける。自在性がほしいが、決定力も犠牲にしたくないーーそんな贅沢なプレーヤーの願いを忠実にかなえてくれるのが、このオメガVIIプロだ。
そして、トップレベルの選手がオメガVIIプロを使うなら、バック面におすすめしたい。現代卓球のバックハンドでは、台上のチキータで先手を取り、前陣の高速ラリーで打ち勝ち、相手の強力なドライブ攻撃をライジングのカウンターで跳ね返す・・・といったプレーが必要になるが、オメガVIIプロは、そのすべてで期待以上のパフォーマンスを生み出してくれる。飛距離も出るから、後陣に下げられたところから盛り返すパワードライブも楽々。オメガVIIプロで、あなたのバックハンドは<神化>する。

性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

 オメガ7プロは、トップ選手用のハイエンドラバーシリーズ、オメガ7シリーズの標準的なラバーですので非常に性能が高いことがわかります。ヴェガツアーやヴェガXと比較しても圧倒的に性能が高く、やはりハイエンドシリーズとして発売されていることがわかります。
 ただし、katsuo000の感じた点としては、確かに回転の質やボールの重さ、威力の点で、オメガ7プロは確かに高性能さを感じさせるけど、値段や公表性能値ほどの開きを感じない、というのが、オメガ7プロ、ヴェガツアー、ヴェガXの印象ですね。どのラバーもELASTO FUTURA技術採用になり、硬さは違っても印象はかなり近い印象です。ヴェガツアーはややフォアには柔らかすぎるかもしれませんが、それでもどのラバーもフォアで使ってもある程度満足するボールが出せましたし、バックのレベルによっては、ベストのラバーは変わってくるとも感じました。
 最終的な総評はヴェガツアーのレビュー後に改めて書かせていただきますので、よろしくお願いします。

オメガ7プロの貼りと重量

 いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

Omega VII Pro(オメガ7プロ)
 ELASTO FUTURA ≒(DYNAMIC FRICTION × CYCLOID × CARBO SPONGE)
・Sponge Thickness:2.0/max mm
・Speed:12.5
・Spin:12.5
・Sponge硬度:47.5°
・7,000円 + 税
・67 g(切断前) → 49 g(張継科ZLCに貼って)

 思ったより重くなかったですね。XIOMさんのラバーは重いことはあるあるですが、思ったより軽くて驚きました。

Omega VII Proの3つの特徴

47.5°と感じない、くい込みの良いスポンジ!

 オメガ7プロおよび、オメガ7シリーズのラバーは、基本的にはくい込みがかなり良いスポンジを使っていて、硬度ほどの硬さを感じにくいラバーだと思います。実際、55°のオメガ7ツアーでも結構ボールをグリップしましたし、回転もかけやすかったと感じました。今回のオメガ7プロもドイツ基準で47.5°ですが、他の47.5°のラバー(Evolution MX-Pや、V>15 Extraなど)と比較してもかなりくい込みが良いラバーでした。このくい込みの良さは、Rasanter R48(ラザンターR48)を彷彿とさせるようなくい込みの良さになりますね。ただし、R48は軽快なスピードドライブが打てる一方で高い回転量も得られましたが、打感としてボールの軽さを感じました。R48に対して、オメガ7プロはコンセプトにあるようにスピード重視だが、回転量と威力はそのままのラバーとあるように、スピードは出しやすいのに打球感はかなりマッドで、軽快というよりも剛腕なドライブが打てそうな、そういった仕様のラバーとなっています。(ただし、オメガ7プロでも本当に重いパワードライブが打てるか否か、使いこなせるかどうかは、使用者の腕にかかっていて、強いインパクトとパワーでハードヒットできなければ、やはり軽いボールになる印象もありました。)
 くい込みの良いラバーは往々にして相手の回転の影響を受けやすいことが多いですが、オメガ7プロおよびオメガ7ツアーなどは、ブロックやカウンターがしやすい印象があります。それはラバー全体が強いためにラバー全体で打ち返せる感じがあります。このラバー全体で負けない感じは、他メーカーのラバーにはないオメガ7シリーズの無二の特徴であり重要視するなら、価格も納得と感じました。

高いスピード、スピードに似合わないグリップ感!

 オメガ7プロは、やはりかなりボールのスピードは速いと感じました。ブロックも勝手にカウンターになるくらいスピード感がありましたし、カウンターもやりやすいので打ち返すこともしやすく、現代卓球に必要な要素を多く持つと思います。またサーブが好印象で、滑るようにスピード感のあるサーブが出しやすかったですね。もちろんしっかりグリップするので、回転量もしっかりかかっていました。相手のチキータやレシーブドライブを防ぎやすかったですね。
 またスピードが出しやすいラバーは往々にして、ツッツキが暴れたり浮きやすいですが、スピン系テンションらしく、ツッツキやストップはしっかり止まってやりやすく、好印象でした。このような特徴を有するラバーも近年増えてきてはいますが、オメガ7プロおよびオメガ7シリーズはやはり差別化され高い性能を感じさせました。

 ヴェガXやヴェガツアーと比較すると、オメガ7プロはスピード以上に重いボールが打てそうな打球感でした。速いだけではなく、打球感としてはしっかりボールをグリップできている感じがあり、回転量も決して少ないわけではないのが、非常に面白いラバーです。スピードだけを求めると、例えばBryce Highspeed(ブライスハイスピード)のようなラバーも存在しますが、ブライスハイスピードでは、つなぎの質の高いループドライブは困難で、ネット際に低く入れないとカウンターをくらいやすいでしょう。オメガ7プロやオメガ7シリーズのラバーは、腕にもよりますが、重いループドライブも打てるラバーでありながら、特徴的なスピードが出せるラバーといえるでしょう。ハイエンドラバーとしてトップ選手好みの仕様だと思います。
 ただし使いこなす技術力も要します。誰でも重いドライブが打てる、という感じではなくそれ相応の腕とパワーが必要ですね。

総評として回転とスピードのバランス型(80らしさ)で、威力よりラリー思考のラバー

 オメガ7ツアーでもふれていますが、オメガ7プロは回転もスピードも出せる分、威力重視のラバーというよりは、ラリー思考のラバーでした。オメガ7プロはラリーの中で相手のドライブや決め球をブロックやカウンターでしのぎ、自分のドライブや連打へつなげるようなラバーだと思います。ツアーやハイパーと比較して、より打感が柔らかくまさにバックで使って活きるラバーと感じました。
 謳い文句である、「これまでにない打球スピード」は、要は感じ方次第だとも思います。スピード性能も回転性能も高いオールマイティーなラバーと捉えることもできます。スピードドライブは他のスピード性能の高いラバーと比較すると少し難しい印象がありますし、高い回転量のループドライブも他のスピン系テンションラバーと比較すると少し物足りなく感じやすい、要は中途半端なラバーとも感じやすいと思いました。結局のところ、このラバーを使いこなせるだけの技術力が必要といえるでしょう。

各技術レビュー

 試打中に、結構滑りました。印象としてオメガ7シリーズは類似のシートとスポンジでスポンジ硬度を変更している印象ですが、オメガ7プロのスポンジが柔らかすぎるのかもしれませんね。これならOmega VII Tour(オメガ7ツアー)かOmega VII Asia(オメガ7アジア)の方が安心できるかもしれません。全日本選手権出場のコーチの方も、プロは試打で少し使ってすぐに辞められたそうで、すぐにオメガ7ツアーかOmega V Tour DF(オメガ5ツアーDF)を使用されていました。特にコスパとフォアでの仕様を考えるならオメガ5ツアーDFはかなり良いと想像します。
 また、パンフレットなどの商品説明にも、「トップレベルの選手がオメガVIIプロを使うなら、バック面におすすめしたい」とあるように、オメガ7プロはバック側にあうようです。トップ選手の鄭栄植選手もバックハンドに使用しているそうですからね。くわえて今回またまた残念ながら張継科ZLCとアウターカーボンで試打してしましましたが、軽く木材+特殊繊維系ラケット、Fortius FT ver. D(フォルティウスFT ver. D)で試打したときはバックハンドの威力不足、スピード不足を補える印象がありました。オメガ7プロはインナーカーボンや木材系ラケットのバックハンドの威力不足、特にスピード不足を補えるラバーではないかと想像しますね。

フォアハンド系

軽打
 ボールは速いですね。スピードが速いと感じる一番の理由はおそらく、弧線が低いためです。

ロングボールやラリーでのドライブ
 打球感はTenergy 05(テナジー05)に近く、非常に好感触ではありますが、その割には回転量に少し不満を感じました。また中陣からのドライブは、ボールは走ると感じましたが、威力や回転量に少し不満を感じたりしました。普段はDignics 05(ディグニクス05)ですので、どうしても厳しい評価にはなりやすいと思います。比較するのであれば、Omega VII Tour(オメガ7ツアー)やOmegaVII Hyper(オメガ7ハイパー)で比較する必要があるでしょう。既にノータッチなコース取りができた際は決まるのですが、ボールのスピードの割に、非常にとりやすそうなボールになってしまっている印象で、ブロックなりカウンタードライブが簡単に返球される印象がありました。一方で、上回転のラリー時、相手のボールに対しても強さや打ちやすさを感じました。テナジーまではいかないものの、上回転ラリーで頼りになるラバーだとも感じました。

面を開いたドライブ
 スポンジが負ける感じはありませんでした。ただし、少し回転量は低い気もしました。

対下回転に対するループドライブ
 しっかり球を持つので好感触でした。打球感的に高い回転量と重いドライブがうてていると思いますが、打球感の割に少し威力不足を感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 テナジー05と比較すると打ちやすいですが、それでもマッドな打球感があり、爽快というよりも粘着ラバーのような打球感でした。

カーブ/シュートドライブ
 横回転は入れやすく、またしっかり曲がる印象がありました。

ブロック
 オメガ7プロはシートはそこまで硬くないのですが、ドライブに対してもブロックしやすかったです。もちろんカウンターもしやすく非常に面白かったです。前陣でハイピッチで少し伸ばすようにブロックすると振り回すことができると思います。

カウンタードライブ
 シートは硬くはないのですが、カウンタードライブはやりやすかったです。少しくい込みが良いので回転をくらうときはなくはなかったですが、全体的にラバー全体でまけずにボールを打ち返せる感じがありました。

ストップ
 ボールのスピードの割には、やすかったです。

ツッツキ
 滑ることもありましたが、直線性のあるツッツキがやりやすかったです。少し回転はかけにくかったです。

フォアフリック

フォアサーブ
 スピードのあるサーブが出しやすくて良かったです。

バックハンド系

軽打
 ちょっとおちやすかったですが、慣れれば問題なしでした。

ロングボールやラリーでのドライブ
 バックハンドにちょうどよい硬さでした。ただし、少しマッドだとも感じました。

対下回転に対するループドライブ
 少し難しかったです。フォアではやりやすかったので、技術力不足だと思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 普通に打点の早い回転重視のドライブで攻撃的なスピードドライブになる感じでした。しっかりインパクトの強いスピードドライブは少し難しかったです。

カーブ/シュートドライブ
 チキータもかなり曲がる印象がありました。

ブロック
 やりやすかったですね。ただし、少し滑ってしまいました。

カウンタードライブ
 やりやすかったです。いいラバーだと思います。

ストップ
 良かったです。飛び出してしまうということもなかったですね。

ツッツキ
 切るよりも打点を早く直線的なツッツキがしやすかったです。

チキータ
 弧線を作りやすくやりやすかったです!

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Rasanter R48 ≧ Tenergy 05 ≧ Vega X > Omega VII Pro ≧ Evolution MX-P

回転のかけやすさ
 Tenergy 05 FX ≧ Omega VII Pro ≧ Vega X ≧ Rasanter R48

スピード
 Rasanter R48 ≧ Omega VII Pro ≧ Vega X > Tenergy 05

https://amzn.to/3jqaXJq

レビュー Zhang Jike ALC(張継科ALC)

説明

 Zhang Jike ALC(張継科ALC)は2013年4月にButterfly(バタフライ)より販売された中国の張継科選手モデルのラケット4種のうちの1つになります。実際に張継科選手が今でも使用されているラケットは実はVISCARIA(ビスカリア)というArylate Carbon(アリレートカーボン、ALC)を採用したラケットになります。ビスカリアについての説明を書き始めると少々長くなりますので、今後別の記事で書かせてください。ここで触れることは、主に張継科選手ラケットモデルについてになります。
 張継科選手モデルの4本のラケットは、それぞれ採用されている特殊素材が異なっており、Super Zylon Carbon(スーパーザイロンカーボン、SZLC)、Zylon Carbon(ザイロンカーボン、ZLC)、Arylate Carbon(アリレートカーボン、ALC)、Tamca 5000T5000)の4つになります。
 なおバタフライのラケットは、基本的にはグリップにラケット名が書かれていて、わかりやすいのですが、この張継科選手モデルはグリップの名前の部分には「張継科」としかかかれておらず、どの特殊素材を使用したラケットか、ぱっと見ではわかりにくいです。違いはグリップの中心でクロスしている柄の色になりますね。

グリップのクロスしている柄の色

 SZLC: Gold(金色)
 ZLC: Gray(灰色)
 ALC: Blue(青色)
 T5000: Purple(紫色)

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 ビスカリアとほぼ同じでグリップデザインのみ変更したとされるのが、Zhang Jike ALC(張継科ALC)になると言われているます。張継科ALC類似のコンセプトで特殊素材を変更したものが残りの3種だと思われます。

画像はバタフライさんのホームページより引用させていただきました。

https://www.butterfly.co.jp/

 各ラケットを試打できているわけではありませんが、張継科モデルラケットの共通する特徴は以下の3つだと思います。

張継科モデルラケットの特徴

1. 上板にKoto(コト)材を使用のアウター特殊素材系ラケット

 おそらく張継科モデルラケット4種全て上板にはコト材と呼ばれる硬めの木材を使用していると思います。そして上板のすぐ内側の位置、アウター位置に特殊素材カーボンを配したラケットになります。どの特殊素材も張継科選手モデルに採用される特殊素材はカーボンを有する、軽くて硬くて弾む特殊素材になります。よって上板の硬いコト材+特殊素材カーボンという組み合わせのため、かなりハードな打球感のアウター特殊素材系ラケットと称することができるシリーズになります。
 この上板コト材+アウター特殊素材カーボンは好みの別れる打球感で、過去katsuo000は得意ではなく、むしろ苦手と感じる打球感でした。katsuo000が上板コト材+アウター特殊素材カーボンラケットで、硬いと感じたラケットはTimo Boll Spirit(ティモボル スピリット)になります。板薄アウターカーボンラケットの王道のラケット、ティモボル スピリットは上板コト材+アウターALCのラケットになりますが、やはり上板が硬くて、個人差はありますが球持ちを感じにくく、球離れが早い、と感じやすい木材だと感じておりました。ただ、現在はある程度慣れてきて、むしろ張継科ZLCよりもティモボルスピリットは柔らかいラケットであると感じています。

 そして張継科ラケットシリーズは、相手の回転に影響されにくいこと、回転量が高いこと、攻撃的なボールの威力(スピードや回転量)が高いこと、が特徴のラケットになります。硬めのプラスチックボールへと変わってきて、ボールの回転量が40 mmの時からさらに落ち、シートだけで回転をかけるような回転量重視のループドライブでも、上板の柔らかいラケットでは回転はかけやすいですがエネルギーロスによって回転量が落ちるように感じるようになりました。結果として簡単にブロックされたりカウンターを食らったりするようになりました。今ではブレードの薄い上板コト材のラケットでないと、回転量が少なすぎてループドライブを打つと狙われそうだと感じてしまいます。ブレードの薄い上板コト材+アウター特殊素材カーボンのラケットは、確かに台上でのタッチの難しさは感じますが、それ以上に相手の回転の影響を受けにくく、回転の上書きで相手の回転をキャンセルする力が強く、安定した回転量が得やすいと思います。

2. 粘着ラバーとの相性が良い

 粘着ラバー、特にHurricane(キョウヒョウ)系ラバーは、扱いやすさを求めるのであれば球持ちが感じやすい柔らかいラケット、例えば木材系ラケットの方が扱いやすくなります。しかしながら回転量とスピード、威力などを追究すると上板が硬く、かつ粘着ラバーのスピード不足を補うために、弾みやスピード性能の高い特殊素材ありのラケットと組み合わせていくことになります。ラケットによっては、粘着ラバーと相性の悪い特殊素材系ラケットも存在しますが、張継科選手の名前を冠したラケットは総じて粘着ラバーと組み合わせのできるラケットシリーズとなっているそうです。実際、張継科ZLCとキョウヒョウで試合に出たことありますが、普段の1.5倍くらいループドライブだけで得点できたと感じました。確かに難しさもありますが、使いこなせれば相性は抜群でしたね。その要因はおそらく、張継科モデルのラケットシリーズは全て板厚が薄く、しなりやすいラケットだからだと思います。
 上記のことを裏返すと、張継科選手モデルのラケットは万人受けするラケットではなく、中、上級者で一定の打球感覚を有した選手を想定したラケットになると思います。ある程度のインパクトとラケットのしなりを利用して安定して回転をかけることができるようになると、粘着ラバーの高い回転性能と、ラケットの高いスピード性能、が両立しやすいラケットシリーズと言えるでしょう。

3. 重心はグリップより

 張継科選手がバック主戦型の選手である、ということもあって、ラケット自体がグリップ側に重心があります。中国の馬龍選手や大島祐哉選手は、フォア主戦型でそのラケットは先端重心のラケットとなっています。手に取ると非常にわかりやすく、ブレードサイズを若干大きくすることで、スイートスポットを少し広げるとともに先端重心とすることで、遠心力によって威力が出しやすいラケットとなるわけです。これら先端重心のラケットの欠点は実際の重量以上に重たいと感じやすいことで、ブロック時なども回転の影響を受けやすいと感じます。一方、張継科選手モデルのラケットはグリップ側に重心があります。グリップ側に重心のあるラケットの特徴は、重さを感じづらく、結果的にとてもバックハンドが打ちやすくかつ切り返しもしやすくなります。またラケット角度も安定しやすく、ブロックがやりやすいと思います。欠点は先端重心のラケットと比較すると威力が出しづらいことでしょう。katsuo000も確かにフォアよりバックハンドの方が振り抜きやすいと感じました。現代卓球において、バックハンドの重要性が高まっています。バックハンドにウエイトを置いたり、バックハンドを苦手と感じるなら、張継科モデルのラケットを使うのは1つの選択肢だと思います。
 2021年1月現在、katsuo000はついに張継科ALCも購入しました。完全に確証があるわけではないですが、かなりティモボルスピリットに近いブレード構成と感じました。しかしながらティモボルスピリットとは異なり、やはりグリップ重心ですのでブロックは非常に安定しますし、全く別物のラケットですね。バタフライのラケットはブレード構成は同じでグリップだけ異なるラケットが多いなどと揶揄されることがありますが、ラケットはブレード構成だけではなく、重心位置やブレード面積、全てが非常に重要な要素であるとkatsuo000は考えますkatsuo000にとってはグリップが違えば、全く別物ののラケットだと思いますね。例えば、Timo Boll ALC(ティモボルALC)と張継科ALCの違いはグリップだけでしょう。しかしながら、重心位置やグリップの形状によって、打球感や使いやすさは雲泥の差となります。そのことをしっかり理解して購入すべきとkatsuo000は思います。また、自分自身がどの位置にラケット重心があるラケットが好みなのか把握すべきでしょう。個人的にkatsuo000は張継科選手よりもティモボル選手の方が好きです。しかしながらラケットは張継科モデルのラケットの方が好きです。このことを理解していないと高いのに残念な購入となりかねませんので是非気をつけて購入してください。

 張継科モデルラケットは人気のシリーズのラケットで、2021年現在もトップ選手が使用しています!例えば以下が知られています。

 Zhang Jike ALC(張継科ALC):戸上隼輔選手、松平健太選手、松平健太選手
                 黄鎮延(Wong Chun Ting)選手
                 邱党(Qiu Dang)選手
 Zhang Jike SZLC(張継科SZLC):林ユン儒(Lin Yun-Ju)選手(Lin Yun-Ju SZLCへ変更)
                  荘智淵(Chuang Chih Yuan)選手

張継科ALCの2つの特徴

 続いて、張継科ALCの特徴について言及させてください。2021年1月現在、張継科ALCをメインラケットに変更しました。所持しているグリップはフレア(FL)でまた張継科ALCを買うことになってもFLを購入したいと考えてます。

4. アウターALカーボン特有のパワードライブ!

 アリレート(Arylate)は特殊繊維のことで、スイートスポットを広げ打感をマイルドにしてくれる材料です。そんなアリレートとカーボンを編み込んだ材料がALCですので、カーボンのみのラケットと比較しても、柔らかさ、しなやかさ、有機的で高密度を感じさせる打感となります。非常に弧線を描きやすいので、レシーブや3球目に加え、中陣からでも、頂点後の打球点からでもスピードドライブやパワードライブが打てる安心感がありました!7枚合板、とまではいきませんが、多少難しいボールでも強引にパワードライブができる点が、このアウターALC系ラケットの特徴の一つといえるでしょう。
 また張継科ZLCと比較して、張継科ALCに変えることでボールが遅くなったことで自分自身の余裕が生まれるようになりました。カウンターによるノータッチをうけにくくなり、よりラリー勝負しやすくなったと感じています。この辺りは体力や動きの話になりますが、おじさんの域にいる自分としてはプラスになったと感じました。

5. 板厚5.8 mmの黄金値

 ビスカリア、ティモボルALC、など、アウターALCラケットまたはアウターAramid(アラミド)カーボンラケットは、そのブレード厚さ、5.8 mmと黄金値となっています。この5.8 mmは非常にバランスのとれた厚さで、ALCのやわらかい打球感と弧線に、6.0 mm以下のしなって回転のかけやすいブレード厚さ、それでいて攻撃に転じた際に軽い力で飛距離も出しやすい、オールマイティーでバランスのとれたラケットとなっています。

 katsuo000の感覚の話になってしまいますが、長く使っている張継科ZLCは打感の硬い5枚合板ような飛距離のイメージで、台上はラバーのシートだけでとらえると本当に止まるか飛距離がたりずネットミスも結構生じます。一方、張継科ALCは7枚合板と5枚合板の間のような飛距離のイメージで、打感が柔らかく板厚が厚い分、飛距離が出やすく台上も飛距離がでやすく対下回転パワードライブも打ちやすいと感じました。

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張継科ZLCとの比較

 簡易的な比較を下記にまとめてみましたので、ご参考ください!

スピード: 張継科ZLC > 張継科ALC
ボールの直線性: 張継科ZLC > 張継科ALC
最大スピン量: 張継科ZLC ≧ 張継科ALC
回転のかけやすさ: 張継科ALC > 張継科ZLC
弧線の描きやすさ: 張継科ALC > 張継科ZLC

 全日本選手権出場経験のあるコーチの方に、ドライブなどとっていただきましたところ、やはり張継科ALCの方が弧線を描くために、全体的に安定感があって良いとおっしゃっていただきました。特に苦しい体制から攻撃的なボールを打ちたいと思うと張継科ALCの方が回転で安定させられる分、安心感がありますね!またkatsuo000はフォアにDignics 05(ディグニクス05)を貼っていますので、ZLCだと直線的になりすぎて、ボールが軽くなっているとは思っていました。インパクトも強くないとディグニクス05では回転をかけられないので、ZLCでは自然にボールに対して強く打ちに行きます。従ってZLCとディグニクス05だと、打球点が落ちたボールに対してチョリることも難しく、ネット近くを狙うとミスしかねないので、ドライブをかけてある程度高めの弧線をつくって相手コートに入れる形ばかりになりやすかったですね。張継科ALCへ変更することで、自信をもって前へスイングできるようになり、自然とボールが深いところに入るようになったのではないかと思いますね。
 また試合会場によっては、張継科ZLCとディグニクス05の組み合わせは硬すぎると感じるときもありました。普段練習する場所では冷暖房も完備で、夕方の練習ということもあり硬さは気になりにくいのですが、実際の試合では体が動かないと硬さが嫌になることもあるので、張継科ALCがちょうどよいのではないかと思った次第です。

おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

 張継科ZLCと同様に張継科ALCは、スピン系テンションも粘着ラバーもあうと感じました。ZLCからALCにかわってより打球感が柔らかくなっていますので、ハードなラバーを使っても使いこなせると思います。したがって無限の組み合わせがあると思います。ただ張継科ZLCと粘着ラバーとの組み合わせと比較すると少しスピード不足は否めないかもしれませんね。ほぼスピン系テンションラバーのような粘着テンションラバーであるDignics 09C(ディグニクス09C)でもスピン系テンションラバーに慣れていると遅く感じやすいですからね。またやはり個人的に、柔らかいラバーを苦手で気持ち悪い感じがするので、基本的には硬めのラバーを合わせる方が好みです。

Dignics 05(ディグニクス05)

 現在メインで仕様しています。ディグニクス05の高いスピン性能、スピード性能、カウンタードライブのやりやすさ、と張継科ALCの弾みとしなりが相まって、質の高いボールを出すことができます。張継科ZLCと比較すると少しスピード性能がおちましたが、その分台上やハーフロングのボールに対しても臆せず前にスイングできるようになったと思います。またTenergy(テナジー)と比較しても寿命が格段に長く、しっかり管理すれば週一の卓球で三ヶ月から半年は使えます。このコスパは助かりますね。

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Hurricane NEO III Blue Sponge(キョウヒョウNEO3ブルースポンジ)

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Tenergy 05 Hard(テナジー05ハード)

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Rasanter R53(ラザンターR53)

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Dignics 09C(ディグニクス09C)

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バックラバー

 季節が冬というのもあり、柔らかくて扱いやすいスピンンション系ラバーを挙げさせていただきました。

Rakza X(ラクザX)

 Yasaka(ヤサカ)のラクザXになります。このラバーは硬度は45~50°で柔らかめの個体があたれば非常に扱いやすくて、スピードドライブも打ちやすいと感じると思います。球質はディグニクスシリーズと比べると回転性能やボールの伸びという点で見劣りを感じないわけではありませんが扱いやすさ、相手のコートへのねじ込みやすさを考慮して挙げさせていただきました。またシートはどちらかといえば硬めで、相手の回転の影響もうけにくく、さらにツッツキも浮きにくいと、扱いやすさと球質を兼ね備えていると思いますね。

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Tenergy 05(テナジー05)

 やはり素晴らしくあいます。少し弧線が強すぎる気もしますが、落ちる感じは全くなく、またエグイ回転量が出せるため非常にあうと思います。ループドライブとツッツキがやりやすく、少しスピードドライブが難しいですが、挑戦するのはありだと思います。

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Vega X(ヴェガX)

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Dignics 80(ディグニクス80)

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各技術レビュー

 正直、かなりスムースに張継科ZLCから張継科ALCへ移行できました。逆は難しいと思いますが、かなり近い特性のラケットだと思います。

フォアハンド系

軽打
 張継科ZLCと比較すると、張継科ALCはスピードは遅いですね。また若干の柔らかさを感じます。あまり過信しすぎるとカーボンの硬さをもろに受けますが、ZLCからALCへ変更によって余裕は感じました。木材系ラケットと比べるとやはり打球感がハードですが、ここら辺は慣れが必要ですね。

ロングボールやラリーでのドライブ
 フォアだと少しラケットが柔らかく感じますので、結構思い切りぶつけて球をつぶすように回転をかけるイメージで強い弧線のボールが出せると感じました。ラバーはディグニクス05でしたがもっと硬くても良いと感じたほどです。張継科ZLCよりもやはりスピードは落ちますが、その分、パワーを伝えてくれているようにも思いました。弧線が強く一発で打ち抜くには少し難しさを感じますが、その分飛距離も出しやすく、楽にラリーができ、かつ強い弧線の描き方から多少強引なボールでもドライブで相手のコートにパワードライブをねじ込みやすいと感じました。
 上板にコト材を使用した典型的なラケットとして非常に良かったです。またストラディヴァリウスと比較すると芯がしっかりしていて、しっかりボールをヒットする感覚が感じられました。
 

面を開いたドライブ
 張継科ZLCと同様に、ラケットがしなりやすいので、非常に威力のあるドライブが打ちやすかったです!粘着ラバーでもテナジーやディグニクスでも、非常に回転がかかってスピードドライブでもしっかり弧線を描いて沈み込ませることができました。
 木材ラケットほど柔らかくなく、またただのカーボンラケットほど硬質でもない適度なしなりと柔軟さと剛質さだと思います。

対下回転に対するループドライブ
 これも張継科ZLCと同様、やりやすいですね!ブレードが薄いので非常に回転がかけやすいです。粘着ラバーの方が弧線の低いループドライブを制御しやすかったです。ディグニクス05は少し高いボールになりやすいです。

対下回転に対するスピードドライブ
 これも張継科ZLCと同様か、それ以上にやりやすいです。張継科ZLCはどうしても板薄な分、パワー不足になりやすいため、踏ん張りが必要でしたが、張継科ALCにすると、パワーを出しやすかったですね。非常に良いスピードドライブがしやすいです。

カーブ/シュートドライブ
 ZLCからALCへ変更して、弾道がより曲がるようになったと感じます。コースをつきやすくなったと思います。

ブロック
 やはりやりやすいです。ティモボルスピリットよりもやりやすいです。グリップ重心であることが理由の一つだと思っています。またZLCよりも球持ちを感じやすいので、アクティブブロックもしやすいですね。

カウンタードライブ
 しっかり球をもってカウンターすることがしやすくなったので、より自分のボールにしてからカウンターができる印象です。非常にやりやすいですね。

ストップ
 これも張継科ZLCと同様で、硬い打球感ですが慣れると結構しっかり止まります。ディグニクス05やキョウヒョウNEO3を使えばしっかりブチっと切れるので3球目強打は封じやすいと思います。

ツッツキ
 これも張継科ZLCと同様、同じく切れますね。良いです。

フォアフリック
 これも張継科ZLCと同様です。球離れが速いですが、しっかりドライブをかけるようにすると安定しますね。パワーフリックをするなら、乗せるよりも弾くように打つ方が安定すると思います。思い切りが大切ですね。

バックハンド系

軽打
 ZLCからALCへ変更した一番の理由はやはりバックハンドです。非常に好感触でした。これなら背伸びをしたラバーもあわせられると感じた次第です。

ロングボールやラリーでのドライブ
 ラクザXで使ってみたのですが、少し硬くてはじめは難しさを感じました。個体差だと思います。ただし、慣れればループもスピードドライブもいけました。非常に良いですね。

対下回転に対するループドライブ 
 体をしっかり入れて、ドライブをかけることで非常に回転量のあるドライブが打てるようになってきました。やはり硬いのでラバーは50°未満のラバーの方が良いと感じています。グリップを感じるラクザXやヴェガXが非常に良いですね。

対下回転に対するスピードドライブ
 こちらもしっかり回転をかけて飛ばすことを意識すると安定して打てるようになってきました。

カーブ/シュートドライブ
 カーブドライブもいやらしく曲がる印象です。スピードはやはり落ちていると思いますが、されどカーボンで威力はあると思います。

ブロック
 やりやすいです。安心感が抜群にありました。

カウンタードライブ
 やりやすくなりましたね。しっかりボールを持てるのでかなり狙いに行けると感じています。

ストップ
 ツッツキも切れますね。板厚は厚くなりましたがソフトな打球感なので球が持てて非常に切れる印象です。

ツッツキ
 ラバーにもよりますが切りやすいですね。

チキータ
 グリップ重心でやりやすいです。だいぶ感覚がつかめてきて武器になりつつあります。

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 張継科ZLC > 張継科ALC > Mizutani Jun ZLC(水谷隼ZLC)

回転のかけやすさ
 Inner Force Layer ZLC > 張継科ALC > 張継科ZLC

スピード
 張継科ZLC > ティモボルスピリット ≧ 張継科ALC > インナーフォースレイヤーZLC

飛距離
 水谷隼ZLC > 張継科ALC > 張継科ZLC

レビューリンク

katsuo000が他サイトでレビューしたものをご紹介!

 他のサイトでもレビューをいくつか書かせていただいてますので、そのサイトを紹介させていただきたいと思います。多くはありませんが、相互に内容を把握することで、ラケットやラバーの情報を深く広く集めるのではないかと思いますので、ご紹介させていただきます。

・卓球ナビ
 https://takkyu-navi.jp/
 こちらでもkatsuo000とkatsuo000_2でレビューさせていただいてます。katsuo000がレビューすることを楽しむようになった、そのきっかけとなるサイトになりますね。今でも多くのレビューを流し読みするのに使っています。新旧多くのレビューを閲覧できる有益サイトの1つになります。またラバーもラケットもスピードやコントロールなど数値で点数化するシステムを採用しており、レビュー数の多い用具については、一定の客観的な数値比較ができるのも魅力の一つでしょう。ただし、初心者や妄信的な意見も含まれるので、しっかりと見極める目も必要になるかもしれません。katsuo000のレビュー以外にも、もっとレビューや情報を収集したいと考えるなら是非ご覧ください。
 katsuo000: https://takkyu-navi.jp/user/detail/1000000938
 katsuo000_2: https://takkyu-navi.jp/user/detail/1000006621

・WRM卓球ラバーレビュー
 https://rubber.blog.jp/
 katsuo000またはkatsuo000+でレビューさせていただいてます。他にも粘着ラバーを中心に多数の良質なレビューが閲覧できるサイトで非常に有益な情報源の一つです。是非ご覧ください。また月一でWRMさんではレビューについて順位付けをする企画も実施されています。賞金がかかると質が上がるというのはよくあるものですね、資本主義万歳です。僭越ですがkatsuo000も何度かノミネートしていただいており、恐縮の限りです。一つのバイアスはありますが、情報量は多彩ですのでとてもオススメです。
 katsuo000+: https://rubber.blog.jp/tag/katsuo000+
 katsuo000: https://rubber.blog.jp/tag/katsuo000

レビュー 「続 卓球戦術ノート」

説明

 卓球戦術ノートとは、1975年世界選手権シングルス3位で、「ミスター・カットマン」と呼ばれ、全日本選手権で3回優勝、元全日本男子監督および近畿大学教授という経歴をもつ高島規郎(たかしま のりお)さんの人気シリーズの書物になります。今回レビューするのは、卓球戦術シリーズの1冊目「卓球戦術ノート」の刊行から、11年後の2012年に販売された「続 卓球戦術ノート」になります。非常に具体的で図解も多く、現代卓球の教科書として、指導者や中高生が手に取って良いといえる内容となっています。内容としては、『月刊 卓球王国』連載の「続・戦術ノート」(2003年1月~2007年5月号)の内容をまとめたものになっています。

「続 卓球戦術ノート」の要点

具体的な打法の解説・考え方

 約10年前に執筆された内容とはいえ、打法としての「縦のラインでボールをとらえる」や、肩甲骨打法など、具体的で基本的な打法の軸になる部分が説明されています。このような考え方は卓球を指導する方々には非常に有益な考え方ではないかと思います。少なくとも自分自身は指導者の教えを一生懸命吸収しようとして、今の卓球を作り上げていきましたので、指導者がこれらの考え方をもって指導することは大切だと思います。

戦型別攻略法およびこれからの戦術

 このシリーズで即効性が高いと感じる内容として、katsuo000が参考にしている部分になります。本書では以下の戦型について触れています。
・シェークドライブ型
・ペンドライブ型
・シェーク速攻型
・ペン速攻型
・カット主戦型
・異質前陣攻守型

 近年では、上記のような戦型に加えて、裏面を貼った中ペン型、右利き・左利き、攻撃型か、ラリー型か、ブロック型か、などなど、さらに分類が増えてきていますが、上記については現在でも通じるものでしょう。苦手な戦型や自分の戦型について、何が足りないのか、何が武器になるのか、など思考するのに非常に良いと思います。また他の戦型からヒントを得て新しい戦術や技術を広げる手助けにもなると思います。

具体的な「対処法」・「戦術」

 第4章と第6章では非常に具体的な対処法と戦術が多数挙げられています。以下に何について書いてあるのか挙げますので気になった方は是非手に取ってみてはいかがでしょうか。
 第4章 試合で困らないための「対処法」
  サービスが効かない時の対処法
  レシーブができない時の対処法
  ドライブが入らない時の対処法
  スマッシュが入らない時の対処法
  ブロックが入らない時の対処法
  カットが入らない時の対処法
 第6章 実戦での戦術の使い方
  ショートサービスからの3球目攻撃
  ロングサービスからの3球目攻撃
  逆モーションの技術・戦術
  クロス・ストレートのコース取り
  サイドスピンの有効活用
  台上が苦手な人の戦い方と技術
  ラリー戦が苦手な人の戦い方と技術
  相手のミスを誘う戦い方

レビュー

章構成とページ数
 第1章 打法と戦術:37 P
 第2章 戦型別攻略法:37 P
 第3章 打法の賢い使い方:39 P
 第4章 試合で困らないための「対処法」:37 P
 第5章 戦型別 これからの戦術:33 P
 第6章 実戦での戦術の使い方:112 P
  全307 P

図解
 トップ選手の写真も、具体的な図解も、どちらも多い構成となっています。ただし読み物でもありますので、文章量も多いです。

感想
 非常に具体性があがり、即効性もある内容だと思います。一方で日本の読み物らしく、階層的な概念や図示がないので、全ての内容を立体的に把握しづらく、時間に余裕があるのであれば自分自身で内容をまとめ階層化すると良いと思います。

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レビュー 5Q VIP

説明

 ドイツの卓球用具メーカー、TIBHAR(ティバー)といえばベラルーシの生きる伝説Vladimir Samsonov(ブラディミル サムソノフ)選手が契約するメーカーになります。ベラルーシのサムソノフ選手といえば、現在44歳で、なお現役で活躍するヨーロッパの「巨人」ですね。40代で今なお現役で非常に安定感のあるバックハンドと長身の強烈なフォアハンドドライブが特徴で、プレースタイルはブロックとカウンターを軸にしたスタイルになります。過去に世界ランキング1位を経験していて、ヨーロッパ大会では未だに上位入賞する実力を有します。ティバーはドイツのメーカーで、近年日本でも着実に存在感のあるメーカーとなってきました。ヨーロッパにおいては選手を支える確かな存在感のあるメーカーと言えるでしょう。最近では、岡山リベッツ所属の田添響選手が契約されているようです。

 本ページでレビューするラバーはティバーさんの5Q VIP(ファイブキューヴィップ)になります。あまり認知されていないラバーで、卓球王国さんでも特別取り上げられているラバーではありません。katsuo000としては、まずまず高価なラバーでもあったので気になってしまい購入した次第です。この5Q VIPには5Q(ファイブキュー)という前身のラバーも存在します。5Qの謳い文句は「ボールを深く掴める」、「ボールを手でもって投げ返す」となります。公表性能値は看板ラバーであるEvolution(エヴォリューション)シリーズと比較すると低くなっていますが、扱いやすいラバーシリーズといえるでしょう。その5Qの進化版である5Q VIPはティバーのラバーの中でも非常に高価7,200円+税になります。トップ選手では、チャイニーズタイペイの陳建安選手がバックハンドに使用しているようですね。トップ選手の使用に満足する高い回転性能と扱いやすさとはどのようなものか、期待しながら試打しました。

性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

 *非常にわかりにくくて申し訳ありません。Evolution MX-P(エヴォリューションMX-P)とEvolution MX-S(エヴォリューションMX-S)と、英語のカタログのQuantum X Pro(クァンタムXプロ)のスピード、スピン性能が同値であるため、Evolution MX-Pのみプロットしています。上記図でQuantum X Proは日本語のカタログのものになります。

 サイトによっては「10+」のような表現を使っているものもありますが、三桁の数値で評価されているものを採用しました。実際のスピン性能は柔らかいラバーの方が高いとしているようですね。5Q VIPもスピードというよりも回転性能が高いとされているラバーになっています。

5Q VIPの貼りと重量

 いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

 ラバーは四角ではなく、ひし形のような形のラバーでした。これは驚きで印象的でしたね。

5Q VIP(ファイブキューヴィップ)
 回転系テンション OFF
・Sponge Thickness:1.7/1.9/2.1 mm
・Speed:110
・Spin:118
・Control:90
・Sponge硬度:45°
・7,200円 + 税
・72 g(切断前) → 50 g(張継科ZLCに貼って)

 硬度のわりに重かったですね汗。

5Q VIPの3つの特徴

 驚くような性能ではありませんでしたが、玄人好みの非常に良いラバーでした。様々な中間硬度のラバーが販売されていますが、トップ選手レベルでも合格の出せるボールの質が得られるのに、扱いやすいラバーとしては、かなりありだと思いました。見直されても良いと思いますね!

柔らかいのにボールの質が高い!

 5Q VIPはやはり柔らかいのですが、そのボールは非常に質が高いと思いました。フォアで使ったときのサーブ、ドライブに違和感はなくループドライブも深いのに弧線の低いドライブが打ててとても扱いやすいと感じました。柔らかさに慣れが必要と感じたのは上回転のラリー時で、弧線が上に上がるラバーではないので思ったよりネットミスが多かったです。柔らかいとポヨンと勝手に弾んでしまう印象がありましたが、むしろこのラバーは柔らかいのにおさまりが良く、思い切りドライブをかけても飛距離がでないのでおさまりやすくて良いと感じました!ミディアム硬度で、同じスポンジ硬度のRhyzer Pro 45(ライザープロ45)と比較しても、シートが硬いためかそこまで柔らかいラバーという感じではなく、Tenergy 05(テナジー05)とTenergy 05 FX(テナジー05FX)の間のような硬さ、打球感と球質と感じました。

緩急がつけやすい!

 特にフォアで使ったときに感じたのですが、非常に緩急がつけやすいと感じました。ボールをつかんで放すというイメージで打てる感じが確かにあり、上回転のラリーにおいても、ループドライブのように遅くて低い質の高いドライブが打てそうなコントロールの制度があったと感じました。一方で柔らかいのでスピードドライブも打ちやすくまさに緩急自在、玄人好みの性能でした!

バックハンドでも十分に使える!

 特に好印象だったのが、対下回転に対するバックハンドドライブで、ぶつかってしまってこすり上げることができない、ということはほとんどなかったです。しっかりドライブをかけることができますので、ミスした理由が不明瞭なものが激減すると思います。また中陣からバックハンドでドライブをかけられなくてもボールを乗せて飛ばすことも容易でこういった使い方もあるのかと、教えてくれました。ボールをつかんで放す、と聞くとドライブをかけるときの球持ちのことを想像しがちだと思うのですが、ドライブだけじゃなくてツッツキやフリック、中陣からのフィッシュや乗せ打ちなどでも、高い球持ちを感じさせる、その球持ちが扱いやすさとなって、バックハンドでも高い扱いやすさを発揮することを教えてくれました。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 特に違和感ありませんでした。

ロングボールやラリーでのドライブ
 飛距離が出にくいと感じましたが、個人的には飛距離が出てしまうラバーよりも出にくいラバーの方が好みです。そのため上回転のラリーでも緩急自在でとても好印象でした。

面を開いたドライブ
 少しくい込みすぎてしまう感じがありましたが、くい込ませても球持ちを感じるのでコントロールしやすかったです。スピードは少し遅いかもしれません。

対下回転に対するループドライブ
 質の高い低くループドライブが非常にやりやすかったです!これは武器になりますね。

対下回転に対するスピードドライブ
 柔らかい分、少し回転量は少ないと感じました。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 柔らかいので、スマッシュなどのミート系のボールはブロックしやすいですが、回転量のあるドライブは少し回転の影響を受けやすかったです。

カウンタードライブ
 上述にもあるように回転の影響を受けやすかったです。

ストップ
 球をもつので止めやすかったです。切れている感じはないです。

ツッツキ
 少しすべりやすかったです。

フォアフリック

フォアサーブ
 しっかり切ることができて良かったです。好感触でした!

バックハンド系

軽打
 弧線を描きやすかったです。始動が遅れても球を持つので間に合う感じがありました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 球の質は少し低そうでしたが、非常にコントロールしやすくて扱いやすかったです。

対下回転に対するループドライブ
 やりやすかったです。アウターZLCでもこの球持ちですので、初中級者の方のラバーにも良いように思いました。少し価格が高いですが。

対下回転に対するスピードドライブ
 弾む過ぎないのでおさまりました。少しスピードは遅いですかね。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 ミート系のボールに対しては、入れやすかったですけど回転の影響は受けやすかったです。

カウンタードライブ
 少し影響を受けるので、しっかり体を使って入れてあげないと安定しませんでした。

ストップ
 止めやすかったです。柔らかいから弾むという感じではありませんでした。このあたりも好印象でした。

ツッツキ
 低く入りやすいですね。切れてはいないと思います。

チキータ
 弾みにくいので思い切り回転をかけにいけました。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Tenergy 80 >5Q VIP > Tenergy 64

回転のかけやすさ
 Tenergy 05 FX > 5Q VIP > Rasanter R48

スピード
 Tenergy 05 > 5Q VIP > Hurricane NEO III

レビュー 「卓球戦術ノート」

説明

 卓球戦術ノートとは、1975年世界選手権シングルス3位で、「ミスター・カットマン」と呼ばれ、全日本選手権で3回優勝、元全日本男子監督および近畿大学教授という経歴をもつ高島規郎(たかしま のりお)さんの人気シリーズの書物になります。今回レビューする1冊目の「卓球戦術ノート」は2001年に刊行された、この本のシリーズの1冊目になります。この本のポイントは下記になると思います。

「卓球戦術ノート」の要点

戦型別の戦術

 katsuo000が特に興味深く読ませてもらう一番の理由は、戦型別の戦術について具体的に述べられている点です。戦型が明確になると、具体性があがり、一定の理解納得が進むため非常に参考になりますね。ただし、この本は2001年の書物ということで、チキータはまだ普及しておらずその考えが欠けたものになっているのは気をつけた方がいいかもしれません。他のシリーズ本と比較すると、最も古いので、katsuo000が学生時代に指導者からよく聞かされた鉄則や考え方が多いように感じられました。

 どのスポーツも同じだと思いますが、トレンドがあり新しい理論や考え方が常に生まれては消えています。プラボールになって、再度フォアハンドの威力は見直されてきているようにも思いますので、フォアハンド主戦の昔の考え方に触れるには非常に良い本となっていると思います!

40 mmボール移行後の書物

 2000年ごろは卓球のルールにおいて大きな変化のあったころになります。本書物は38 mmボールではなく、40 mmボール移行後の書物として書かれていて、現代卓球にも通じる部分があるといえるでしょう!ただし、プラボールではなくセルボールであることはお忘れなく。

11点制へ移行後の書物

 ボールと同じく大きなルール変化として、1セット21点制から11点制へ移行しました。変更後の日は浅かったと思いますが、11点制への考えが記載されているのは興味深いですね。

レビュー

章構成とページ数
 第1章 「戦術」とは何か:59 P
 第2章 勝つための戦い方 スコア・マネジメント:54 P
 第3章 戦型別の基本戦術:55 P
 第4章 メンタルが支える戦術:59 P
 第5章 40 mmボール時代を勝ち抜くには:42 P
  全279 P

図解
 トップ選手の写真が多数使用されている。具体的な図解は、「オーバーミスを減らして試合で勝つ」という項で使用されています。それ以外は基本的には文章による読み物になります。

感想
 どちらかといえば精神論や根性論、心の持ち方や、トップアスリートの感覚や非言語的なもの、逸話などを軸に記述されていると思います。この後の本シリーズは、具体性があがり非常に有益な考えが多数書かれていますので、即効性を求めるのであれば、そちらをオススメします。高島さんの考え方や人となりを感じつつ卓球について長く考える、また卓球指導者としての広さ深さを身につけるために、手に取ることをオススメします。

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レビュー Vega X(ヴェガテン)

説明

 韓国の卓球メーカーXIOM(エクシオン)は、新進気鋭のメーカーで、コスパの良いVega(ヴェガ)シリーズと、ハイエンドモデルのOmega(オメガ)シリーズの大きく2種類のラバーシリーズが有名ですね。特にVega Europe(ヴェガヨーロッパ)は、コスパ、扱いやすさ、性能の3拍子そろったラバーで、初中級者層に浸透したラバーとなっています!また最近では、ブラジルのハードヒッター、Hugo Calderano(ウーゴカルデラノ)選手がXIOMと契約し、用具変更後も順調にワールドツアーランキングを一桁まで上げています。カルデラノ選手が使用しているHugo Hyper Axylium(ウーゴハイパーアクシリウム)とOmega VII Tour(オメガ7ツアー)も人気急上昇のことでしょう。

 本ページでレビューするラバーはXIOMさんのVega X(ヴェガテン)になります。Vega Xは2009年にVega(ヴェガ)が販売されて10年目を記念するとともに、Vega史上最高傑作のラバーとして宣伝されています。ラバーデザインはVega PRO(ヴェガプロ)のスポンジを踏襲しつつ、Omega VII(オメガ7)シリーズなどと同じサイクロイドシステムを採用したトップシートをあわせているそうです。オメガとヴェガの中間的な立ち位置のラバーで4,200円+税という低価格であるのに、卓球王国によると性能は6,000円台のラバー(Fastarc G-1、Rakza X、Evolution MX-Pなど)と勝負できるとうたっているそうです。実際、4,200円よりも高くしたかったそうですが、おそらくYASAKA(ヤサカ)のRigan(ライガン、3,700円+税)を見すえて値段をさらに下げて4,200円+税としているそうですね!卓球王国のレビューにおいても、その性能の高さがにじみ出ていたように思います。実際にどのようなラバーなのかレビューしていきたいと思います!

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性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

 説明でも触れましたが、スピードとスピン性能はOmegaシリーズと比較すると劣るものの、ヴェガシリーズの中では突出していて、抜きんでていることがわかります。一方でVega Xよりも過去に販売されたVega Tour(ヴェガツアー)の方が、公表性能値は高く、Vega TourはOmega Vシリーズよりも高い公表性能値となっていますね。正直、今回Vega Xの試打は非常に好感触でしたので、改めてVega Tourについても今の用具でしっかり試打してみようと思っております!そちらのレビューも期待いただければ幸いです。

Vega Xの貼りと重量

 いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

Vega X(ヴェガテン)
 Dynamic Friction(ダイナミックフリクション)
 Cycloid(サイクロイド)
 Carbo Sponge(カーボスポンジ)
・Sponge Thickness:1.8/2.0/max mm
・Speed:9.5
・Spin:11.0
・Sponge硬度:47.5°
・4,200円 + 税
・72 g(切断前) → 52 g(張継科ZLCに貼って)

 やっぱりといえばやっぱりなのですが、XIOMさんのラバーは重いですね。しかしながら、球つきやカーテン打ちでは非常に回転性能が高くとても好感触でした!

Vega Xの3つの特徴

弾きやすいのに、抜群の球持ちと回転量!

 球つきやカーテン打ちで最も感じたのが、球持ちと回転量でした!この良好な打感はやはり台で打っても再現され、しっかり球を持って回転をかけたと思ったときに思った通りの回転量のボールが打てる感じがあってとても好感触な試打となりました!球をしっかり持つので我慢すればしかっりボールをコントロールできる、それなのに、思い切り弾こうと思えば思い通りの直線性でミート系が走る感じもありました!非常に使い勝手が良いと感じましたね!回転性能は非常に高く、しっかり使いこなせればTenergy 05(テナジー05)並みにかかると思います。ただし、テナジー05以上の回転性能は出しにくいようにも感じました。特にフォアで使うと柔らかすぎて、エネルギーロスを強く感じましたね。ただし回転はかけやすく、サーブやループドライブは非常にやりやすかったです。このあたりがVegaらしいと感じました!

硬めのシートと柔らかいスポンジのバランスが絶妙で扱いやすい!

 明らかにシートは硬くスポンジは柔らかいラバーで、52 gを思わせない軽快な使い心地でした。非常に扱いやすく、扱いやすさの方向性はRasanter R48(ラザンターR48)のように質の高いボールが手軽に出しやすいラバーと、Rakza(ラクザ)系のとにかく台に入れやすい、の良いとこどりをしているように感じました。
 自分はバックハンドが下手なのですが、Vega Xが抜群にバックハンドにマッチしました!その要因はシートとスポンジの絶妙な硬さのバランスではないかと直感的に感じました。シートが硬いラバーは回転量が強くかかる印象があるのですが、その分、しっかりくい込まる必要があり難しいと感じます。V>15 ExtraやFastarc G-1(ファスタークG-1)などを扱いきるには一度思い切りぶつけてから、回転をかけるようなイメージで回転をかける必要があって、イメージはできますが咄嗟にそのような打ち方ができず慣れが必要と感じていました。しかし、Vega Xはそういった打ち方はあまり必要はなく、どちらかといえばRakza(ラクザ)系やTenergy(テナジー)系のシートでこすりながら打球するイメージで十分に良い球が出ると感じました!この部分が非常に好感触で、扱いやすく初打ちとは思えない扱いやすさと切れを感じさせてくれました!

納得の最高傑作!惜しまれるのは重量か!?

 この高い性能で4,200円+税は安すぎるでしょ!半端ないです!52 gと少し重いのと、ツッツキですべりやすいのが少し気になりましたが、この扱いやすさ、性能の高さ、コスパは非常に気に入りました!最高傑作という言葉の意味、katsuo000は納得した次第です。重さは、張継科モデルのようにグリップ重心のラケットならあまり気にならないと思いますし、滑りますが許容範囲のようにも感じました。
 また気になるのはVega Tour(ヴェガツアー)との比較です。張継科ZLCでVega Tourを使ったことがないので単純比較できませんが、現状のイメージでは、Vega Xの方が少し滑ることが多いですが、Vega Tourよりも球持ちが良くて何より飛び過ぎないので思い切り回転をかけられるイメージですね。Vega TourはOmega VIIシリーズに非常に似ていて球持ちと回転よりもスピードが出やすいと感じるラバーでした。公表性能値はあくまで公表値で台上でどれくらいの回転をかけやすいか、かかっているかはやはり別物だと感じますね。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 勝手に飛ぶ感じはなく非常にやりやすいです。じゃっかん、柔らかすぎるようにも感じました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 やはりボールが浅く、多少ぶつけるようにしないとボールが落ちやすいと感じました。特に引合いでは相当ひきつけないとボールが飛ばせないとも感じました。このあたりは柔らかい扱いやすいラバー特有の特徴だと思います。同じような柔らかさを感じたラバーはRasanter R48ですが、R48の方がシートも柔らかく、パワーロスはあまり感じなくて、飛ばせないとか落ちるという感じはあまりなかったと思います。R48の方がトップ選手が好むラバーといえるかもしれませんね。

面を開いたドライブ
 いいですね!回転がかかっているので、しっかり落ちて深いところにボールが入りました。

対下回転に対するループドライブ
 しっかり球を持つので非常に好感触でした。あんなにスピードドライブやミートがしやすいのに、この球持ちは、正直他のラバーではないと思います!回転量も十分のドライブがうてると感じました!

対下回転に対するスピードドライブ
 普通、ループドライブがやりやすいとスピードドライブがやりにくい、ということは往々にしてあるのですが、このVega Xは上述のとおり、感じなかったです。これは驚きでしたね!

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 シートが硬く、自分は自分から回転を上書きしにいくようなイメージでブロックした方が良い印象でした。前陣でハイピッチで少し伸ばすようにブロックするのが良いと思います。

カウンタードライブ
 シートが硬く、それなのに球持ちがあるのでやりやすかったです。シートが硬いので回転の影響はうけにくく、しっかり打球点を落としてもしっかりカウンターしやすくて球を持つラバー独特のやりやすさもありました!

ストップ
 滑り気味でしたが、止めることはできました。ただし滑らせない方が安定すると思います。

ツッツキ
 ツッツキも回転がかかるので鋭くうてると感じました。回転で安定する印象です。くいこみが良いのにツッツキがあばれずとても良いラバーでした!

フォアフリック

フォアサーブ
 しっかり切ることができて良かったです。好感触でした!

バックハンド系

軽打
 ちょっとおちやすかったですが、慣れれば問題なしでした。

ロングボールやラリーでのドライブ
 バックハンドでは、ちょうどよい硬さで非常にやりやすかったです。あんなに盛り返しのバックハンドドライブが決められたのは久々でとても気持ちよかったです!

対下回転に対するループドライブ
 やりやすかったです!この球持ちはたまらんですね!安心感がありました!

対下回転に対するスピードドライブ
 スピードドライブもしっかり入りました!球持ちがあるラバーはどうしても硬すぎてスピードドライブが打ちにくいことが多いのですがこんなに気持ちよくスピードドライブが打てるラバーはほかに知りません。半端ないです!

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 入れやすかったですけど、少し滑ってしまいました。

カウンタードライブ
 フォアほどはやりやすくはなかったです。ここは腕を磨く必要アリですね汗。

ストップ
 良かったです。飛び出してしまうということもなかったですね。

ツッツキ
 切ってチャンスメイクしやすかったです。非常に好感触でした。

チキータ
 弧線を作りやすくやりやすかったです!

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Rasanter R48 ≧ Tenergy 05 ≧ Vega X > Evolution MX-P

回転のかけやすさ
 Tenergy 05 FX ≧ Vega X ≧ Rasanter R48

スピード
 Rasanter R48 ≧ Vega X > Tenergy 05

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レビュー Quantum X Pro(クァンタムエックスプロ)

説明

 ドイツの卓球用具メーカー、TIBHAR(ティバー)といえばベラルーシの生きる伝説Vladimir Samsonov(ブラディミル サムソノフ)選手が契約するメーカーになります。ベラルーシのサムソノフ選手といえば、現在44歳で、なお現役で活躍するヨーロッパの「巨人」ですね。40代で今なお現役で非常に安定感のあるバックハンドと長身の強烈なフォアハンドドライブが特徴で、プレースタイルはブロックとカウンターを軸にしたスタイルになります。過去に世界ランキング1位を何度も経験していて、ヨーロッパ大会では未だに上位入賞する実力を有します。ティバーはドイツのメーカーで、日本では少し知名度は低いですが、ヨーロッパにおいては選手を支える確かな存在感のあるメーカーと言えるでしょう。最近では、岡山リベッツ所属の田添響選手が契約されているようです。

 本ページでレビューするラバーはティバーさんのQuantum X Pro(クァンタムエックスプロ)になりますね。2020年秋販売のラバーで、中~上級者をターゲットに販売されているそうです。価格は、看板であるEvolution(エヴォリューション)シリーズの定価6,000円+税よりも500円安い5,500円+税になりますね!日本販売はこのQuantum X Proだけですが、ティバーさんのホームページで英語のカタログを拝見しますと、他に2種類のQuantum(クァンタム)と冠するラバーがありました。それらを含めて、公表性能値は比較しておりますので、ご参考ください。
 このQuantum X Proは、非常に売れているようで、宣伝文句は「打てばわかる!」ですね。最近でもSNS上で、元オランダ代表、王者水谷隼選手のプライベートコーチ、現在はアジア地区のゼネラルマネージャーG.C. Forster(G.C. フォースター)さんも、宣伝されてますね!「打てばわかる!」という宣伝をきいて、katsuo000としては、「Tenergy 05(テナジー05)に似てるということ?」と想像しておりました。実際、ティバーさんのトップ選手用ラバー、Evolution MX-P(エヴォリューションMX-P)は、打球感がかなりテナジー05に似ているラバーになります。それでは、MX-Pとクァンタムと、どう違うのか、そのあたり含めて書いていきたいと思います!なお、Quantum(クァンタム)とは「量子」のことで、化学材料として量子ドットという言葉があったりします。ラバーに量子ドットなどが入っているわけではないと思いますが、最先端の技術で製造されていると感じさせる、それを意図したひびきだと思いますね。

性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

 *非常にわかりにくくて申し訳ありません。Evolution MX-P(エヴォリューションMX-P)とEvolution MX-S(エヴォリューションMX-S)と、英語のカタログのQuantum X Pro(クァンタムXプロ)のスピード、スピン性能が同値であるため、Evolution MX-Pのみプロットしています。上記図でQuantum X Proは日本語のカタログのものになります。

 サイトによっては「10+」のような表現を使っているものもありますが、三桁の数値で評価されているものを採用しました。実際のスピン性能は柔らかいラバーの方が高いとしているようですね。このあたり、実際に試打して確認していきたいと思います。

 今回困ったことに、日本語のホームページと英語のパンフレットとで、性能値が異なっていました。この辺り、メーカーの意図が反映しているのではないかと勘ぐってしまいますね汗。性能値はおいておいて、katsuo000が感じた印象を数値化し、ラバー比較も更新していきますので、ご参考いただけたら嬉しいです!

Qunatum X Proの貼りと重量

 いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

Quantum X Pro(クァンタムエックスプロ)
 回転系テンション OFF
・Sponge Thickness:1.8/2.0/max mm
・Speed:115 (英語のカタログ値125)
・Spin:115 (英語のカタログ値120)
・Control:95 (英語のカタログ値80)
・Sponge硬度:47.5°
・5,500円 + 税
・72 g(切断前) → 50 g(張継科ZLCに貼って)

 思ったより重くなりました。それでもラケットを持った時には重さは感じませんでした。

Quantum X Proの3つの特徴

テナジー05っぽい!

 katsuo000はやっぱり、クァンタムXプロはテナジー05っぽいじゃん!と思いました。フォアで使ったときの印象としてはほぼ同じ硬度のEvolution MX-Pよりも柔らかく感じ、弱い力で簡単に回転をかけられると感じましたね!イメージでいうとテナジー05に近い打球感でボールの回転量はTenergy 80(テナジー80)に近いと感じましたね。ただしクァンタムXプロもエヴォMX-Pも、テナ05に似て非なるラバーです。テナ05はラケットをしならせボールが衝突するのではなく、引きつれだけで回転を思い切りかけながらも、しっかりと飛ばせます。この辺りがまさに無二の性能で、トップ選手が使用するテナ05の魅力だと思います。テナ05はくいこみますが、ラケットの板に届くようなヤワなラバーではないんですよね。一方でラバーがしっかりくいこんで、板にカツンと当たることで、スピードを得て飛ばすのがティバーのラバーになると思っています。結果的にテナ05はドライブが走りますが使いこなすことが難しく、一方でティバーのラバーは扱いやすく、どちらもブロックやミートがやりやすくて、そのかわり少し回転量の低さを感じさせます。

 次に気になるのはクァンタムXプロとEvolution MX-Pは、どのようにどう違うのか、になりますね。katsuo000が考える違いは3点になります。

クァンタムXプロとEvolution MX-Pの違い
 1. スポンジの厚さとくい込みの違い
 2. シートの硬さの違い
 3. 滑りやすさ

スポンジの厚さとくい込みの違い
 カタログから見ても明らかですが、クァンタムXプロとEvolution MX-Pで同じスポンジの厚さのものはありません。クァンタムXプロは近年のドイツ製ラバーに多い、シートが薄くスポンジが厚いタイプのラバーで、Max(2.1 mmより厚い)というスポンジ厚さのラバーが販売されています。一方Evolution MX-Pは少し古いので、一番厚いもので2.1 mmになりますね。また同じタイプのスポンジではなく、クァンタムXプロの方がしっかりコシがあってでもくいこみやすい感じがあると思いました。Evolution MX-Pへ採用するなら、もっと硬いスポンジになるのではないかと想像します。

シートの硬さの違い
 使って感じたことですが、Evolution MX-Pと比べてクァンタムXプロの方が、シートが薄い分、弱いと感じました。そのため扱いやすく、回転もかけやすいですが、相手のボールの回転の影響も受けやすいと感じましたね。良い面と悪い面はどうしてもコインの表と裏のようなものですので仕方ないですね。

滑りやすさ
 1つ目と2つ目にも関わりますが、シートとスポンジであわさったときに、クァンタムXプロは滑りやすさを感じました。Evolution MX-Pはトップ選手向きラバーですので、滑りやすさは全く感じませんが、クァンタムXプロは中上級者向けということもあり、滑りやすくなっています。滑りやすいと言っても、全日本実業団出場レベルのkatsuo000の腕には、使っても良いと感じてしまいましたね。1本のミスも許されないトップ選手には致命的だと思わせるでしょうが、中級者なら扱いやすい、上級者なら滑ることも含めて、武器にできるのではないかと思います。

下回転打ちがしやすい!

 非常にボールが上へ上へとあがると感じました。バックハンドドライブでもかなり安定して、ループもスピードドライブもどちらもやりやすく、良かったですね!上に上がるというラバーといえば、たとえばDignics 09C(ディグニクス09C)やDignics 05(ディグニクス05)が挙げられると思いますが、それらはしっかり回転をかけないとオーバーしてしまいます。もちろん、ディグニクスシリーズは回転性能も高いのでしっかり回転をかければしっかり沈んで台におさまりますが、クァンタムXプロはちょうど良い上への上がり方でした。近いと感じたラバーはやはりテナ05になりますが、テナ05と比べると少し弧線は低いようにも思いました。

回転量もあってミートもしやすい!

 Evolution MX-Pでも感じたことですが、打球感はまさにテナ05ですが、回転もかかって弾きもしやすいラバーでした。ドイツ製ラバー、Fastarc G-1(ファスタークG-1)やV>15 Extraはしっかりくい込ませてから回転をかけないとかけづらい感じがありましたが、そういったことは全くなくクァンタムXプロは日本製ラバーに近い打球感でその中でミートもしやすい非常にバランスの良いラバーでした!特にミートはテナ05では少し難しいと感じることもあると思いますがクァンタムXプロでは非常にやりやすいと思います!

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 特に違和感ありませんでした。回転量が低く回転で飛ばすというよりはラケットの板で飛距離をコントロールするようなイメージでしょうか。

ロングボールやラリーでのドライブ
 ディグニクス05との比較ですが少しボールが浅く感じましたね。あまり飛ばすとボールが沈まないので安定しないとも感じました。ただし、受けていただいた方にはボールの威力はあるとおっしゃっていただきましたので、押される重いボールになっていたと思います!

面を開いたドライブ
 いいですね!板に届いているのですが、自分は好きです。人によっては嫌う人もいるかと想像します。

対下回転に対するループドライブ
 しっかり回転がかかって好感触でした。フォアで使っても十分な回転量だと感じました!

対下回転に対するスピードドライブ
 いいドライブが入りますが、少し回転量は少ないと感じました。なので気を抜くとオーバーミスしやすいと感じました。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 できるのですが、滑ると感じやすかったです。自分はダメだーと感じましたが、この滑る感じを逆に武器にできれば素晴らしいと思います!

カウンタードライブ
 少しくい込みやすくて、相手の回転の影響は受けやすかったです。しっかり回転はかかるので上書きカウンタードライブはやりやすいと思います!

ストップ
 しっかり止まりました。ぶっ飛ぶ感じもそこまでなかったです。

ツッツキ
 しっかりと回転のかかったツッツキが可能で良かったですね。カウンターのチャンスメイクがしやすかったです!憶測ですが、サムソノフ選手の意見が反映してツッツキやストップがやりやすいのではないかと想像します。

フォアフリック

フォアサーブ
 しっかり切ることができて良かったです。好感触でした!

バックハンド系

軽打
 少し弧線が少なく、ネットに引っ掛けそうになるとも感じました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 下から上へふると安定は感じましたが、スピードドライブを打とうとすると、回転でおさまらずオーバーミスが増えました。この辺りは自分のバックハンド技術の低さのためでしょう。

対下回転に対するループドライブ
 非常にやりやすかったです。ラザンターシリーズは少しグリップ感が少ないので、このグリップ感は好みです!回転量は少ないように感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 結構安定して驚きました。良かったです!

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 入れやすかったですけど滑ってしまいました。

カウンタードライブ
 少し影響を受けましたが、球持ちはいいので、しっかり上書きすれば入りますね。良かったです!

ストップ
 良かったです。飛び出してしまうということもなかったですね。

ツッツキ
 切れてチャンスメイクしやすかったです。非常に好感触でした。

チキータ
 弧線を作りやすくやりやすかったです!

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Tenergy 80 > Quantum X Pro > Tenergy 64

回転のかけやすさ
 Rasanter R48 > Quantum X Pro > Tenergy 80

スピード
 Tenergy 80 > Quantum X Pro > Tenergy 05

レビュー Stradivarius(ストラディヴァリウス)

説明

 Stradivarius(ストラディヴァリウス)XIOM(エクシオン)のラケットになります。名前の由来について、メーカーパンフレットに記載はありません。おそらく、最も高価といわれる楽器バイオリンの名前で、ストラディヴァリさんが作ったバイオリン、ストラディヴァリウスからつけられていると思われます。何故ストラディヴァリウスという名前をつけたのか、ここからはkatsuo000の勝手な憶測にはなりますが、記述させていただきますね。お付き合いくださる方、ありがとうございます。
 楽器バイオリンで有名なストラディヴァリウスとは、1億円以上するバイオリンの総称で、ストラディヴァリさんが作成したバイオリンです。ストラディヴァリさんは、17~18世紀の方で、その頃に1000本程度の楽器バイオリンを作成しました。その音色が極めて優れているため、200年以上たった現在でもプロ中のプロバイオリニストが使用するのがストラディヴァリウスという超高級な楽器バイオリンになります。200年以上前に、既に楽器バイオリンの形と音色は出来上がっていたわけですね。この話を、卓球界における名ラケット、Butterfly(バタフライ)さんのVISCARIA(ビスカリア)にみたて、ビスカリアと類似のラケットであることを暗に示唆する意味でストラディヴァリウスという名前をつけてあるのだと勝手にkatsuo000は想像しています。
 確認できるXIOMさんのラケット、ストラディヴァリウスの仕様は次のようになります。

Stradivarius(ストラディヴァリウス)
・5+2 Outer Aramid Carbon(アラミドカーボン)
・ブレード厚さ:5.7 mm
・上板:Koto(コト)材

一方、ビスカリアの仕様は次のようになります。

VISCARIA(ビスカリア)
・5+2 Outer Arylate Carbon(ALC, アリレートカーボン)
・ブレード厚さ:5.8 mm

今後ラケットのレビューを書いていくにあたり、板構成の話をしますが、確証がない情報と確証のある情報を明らかにしていきたいと考えております。上記はメーカー公表情報になりますね。下記よりkatsuo000がググって得られた不確かな情報を交えてストラディヴァリウスについて説明していきます。

 海外サイトまで含めると木材構成について次のような情報を得られました。
・Stradivarius: Koto (1,7)/Aramid C (2,6)/Ayous (3,5)/Kiri (4=center)
・VISCARIA: Koto (1,7)/ALC (2,6)/Limba (3,5)/Kiri (4=center)
 上記のように赤字部分が異なっているようです。一般的に、アラミドカーボンは廉価版アリレートカーボン(ALC)のようで、卓球王国さんでもバタフライさんのALCラケットと類似のラケットを他メーカーで探すとアラミドカーボンラケットがよく紹介されています。もちろん、アラミドカーボンとALCを比較試打して打球感がどこまで同じかkatsuo000も検証できているわけではありませんが、とりあえず、大きな差はなしと考えています。一方明らかに異なる材料としては添板の木材で、Ayous(アユース)とLimba(リンバ)のようですね。katsuo000としてはこの添板が異なるために、差として表れていると想像しております。なお、本レビューは、最近手に入れたZhang Jike ALC(張継科ALC)との比較になっていきます。

性能表

 明確な性能表がXIOMより公表されているわけではありません。現状、板厚のみの情報になりますね。

Stradivarius(ストラディヴァリウス)
・5+2 Outer Aramid Carbon(アラミドカーボン)
・ブレード厚さ:5.7 mm
・上板:Koto(コト)材
・重量:88 g
Zhang Jike ALC(張継科ALC)
・5+2 Outer Arylate Carbon(ALC, アリレートカーボン)
・ブレード厚さ:5.8 mm
・重量:88 g

Stradivariusの特徴

打球感は張継科ALCやティモボルスピリットとほぼ同じ!

 弧線の出方や弾みなど諸々含めて、極めて張継科ALCやティモボルスピリットに似ているラケットでした。バタフライのラケットと比較すると非常にリーズナブルに購入できたので非常に気に入りましたね。昨年メインで使用していたZhang Jike ZLC(張継科ZLC)と比較しても非常に弧線を描きやすく球持ちを感じやすく、それでいてアウターカーボンのスピードも健在であり確かに非常にバランスの良いラケットであると実感しました!

重心はグリップ重心で、張継科モデルと類似

 また購入しないとわからない点として、重心の話があります。握ったり使用した印象としてこのラケットはグリップ重心のラケットであると感じました。ティモボルスピリットは明らかに先端重心のラケットで、一方で張継科モデルのラケットは基本的にはグリップ重心のラケット設計をされているようです。今回のこのストラディヴァリウスはティモボルモデルのラケットではなく、どちらかというと張継科モデルに近いラケットであると言い切れるでしょう。そのため、フォアとバックの切り替えしがしやすく、またバックハンドの振りぬきもしやすいと感じます。またグリップ重心のラケットは実際のラケット重量よりも軽く感じやすく、このラケットも漏れなく軽いと感じやすかったです!この点も非常に気に入った点になりますね。

張継科ALCよりも剛性が低い(と感じた)

 これは張継科ALCとの比較になりますが、少し板の剛性が低いと感じました。その要因はおそらく、板厚よりは添え板のアユースとリンバとの違いではないかと想像しています。木材も生き物ですのでkatsuo000が所有するそれぞれのラケットの特徴が下記に完全にあてはまると保証はできませんが若干アユースよりもリンバの方が密度が大きく剛性を感じやすいのではないかと想像しております。

Ayous(アユース)
 Density(密度) = 0.38 g cm-3
 Monnin Hardness = 1.1
 Compressive Strength = 30 MPa
 Bending Strength = 52 MPa
 Stiffness:7260 MPa
Limba(リンバ)
 Density(密度) = 0.45 - 0.65 g cm-3
 Monnin Hardness = 2.4
 Compressive Strength = 47 MPa
 Bending Strength = 86 MPa
 Stiffness:10490 MPa

 特に差を感じやすかったのが強打時で面を開いて、思い切りボールを打ったとき、カンとカーボンのような硬い素材にあたっている感じが、ストラディヴァリウスだと少し弱いと感じやすかったですね。したがって、フォアドライブで安定感を求めると、思ったより回転がかかっておらず威力が出なかったり、入れに行くループドライブですら芯を感じづらく回転が弱く、想像以上にボールがすっぽ抜けるようなオーバーミスが多かったです。それならばと思い切りぶつけに行くと流石にネットを超えず、少し慣れが必要と感じました。
 一方でブロックやバックハンドは押されにくく、ツッツキやストップもやりやすかったです。全体的に安定感があって、球持ちを強く感じやすい構成になっていると思います!

おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

 剛性が少し感じにくいので、ラバーは硬めのものをあわせても良いと感じました。例えばRasanter R53(ラザンターR53)や粘着ラバーや粘着テンションラバーもいけると思います。逆に柔らかくて弾むラバーは相性がわるいと思います。XIOM(エクシオン)のラバーを考えると重くて硬いラバーが多いですので、相性が良いと想像します。

バックラバー

 バックはスピン系テンションラバーでも良いと思いますが、スピードを出しづらいと思いますのでスピン系テンションの中でも、スピード性能の高いラバー、例えばTenergy(テナジー)シリーズでも05よりは64や80系が良いと思いました。やはりこの特徴を持つラバーは、XIOM(エクシオン)さんのVega(ヴェガ)シリーズやOmega VII Pro(オメガ7プロ)などがあうのではないかと思いますね。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フォアフリック

バックハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

対下回転に対するループドライブ 

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

チキータ

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転
 張継科ALC > Stradivarius > 水谷隼ZLC

回転のかけやすさ
 合板系 > Stradivarius > 張継科ZLC

スピード
 張継科ZLC > 張継科ALC > Stradivarius > 合板系

飛距離
 水谷隼ZLC > Stradivarius > 張継科ALC