XIOM(エクシオン)

レビュー Omega VII Pro(オメガ7プロ)

説明

 韓国の卓球メーカーXIOM(エクシオン)は、新進気鋭のメーカーで、コスパの良いVega(ヴェガ)シリーズと、ハイエンドモデルのOmega(オメガ)シリーズの大きく2種類のラバーシリーズが有名です。ハイエンドラバーシリーズのOmega(オメガ)シリーズは現在V(ファイブ)とVII(セブン)の2シリーズがメインになります。ブラジルのハードヒッター、Hugo Calderano(ウーゴカルデラノ)選手がXIOMと契約し、用具変更後も順調にワールドツアーランキングを一桁まで上げました!カルデラノ選手が使用しているHugo Hyper Axylium(ウーゴハイパーアクシリウム)とOmega VII Tour(オメガ7ツアー)も人気急上昇ですね。また、韓国の鉄壁のブロックとチキータのJeoung Youngsik(鄭栄植)選手もIce Cream AZXi(アイスクリームAZXi)と本ページでレビューするOmega VII Pro(オメガ7プロ)を使用中です。

 本ページでレビューするOmega VII Pro(オメガ7プロ)は、Omega VII(オメガ7)シリーズで一番初めに販売されたラバーになります。Omega VII(オメガ7)シリーズの特徴は、前シリーズのOmega V(オメガ5)の回転に特化したラバーとは対称的に、Artificial Intelligence (AI)によって導き出した「これまでにない打球スピード」になります。もちろんトップ選手が満足する回転量を保ちながら、これまでにないスピードドライブを可能としたのがオメガ7シリーズということです。回転もスピードも高くなっているため、オメガ7シリーズの価格はどれも、エクシオンのラバーの中で最も高価な7,000円+税になっています。

 エクシオンのラバー、その技術について言及してみます。

・MAX AT 4
 公式ルールの範囲内で、最大限のテンションをかける技術。

・ELASTO FUTURA
 オメガVIIシリーズ、ヴェガツアー、ヴェガXに搭載されている総合技術。「CYCLOID」、「DYNAMIC FRICTION」、「CARBO SPONGE」の3つの特別なチューニングを1枚のラバーに集約し、繊細なボールタッチ、他に類を見ないほどのグリップ力、画期的な弾力性を実現する技術。

・DYNAMIC FRICTION
 雪の上でも十分な摩擦力を発揮するスノータイヤから生まれたラバーの表面加工技術。表面が滑りやすいプラスティックボールを、しっかりつかみ、より多くの回転エネルギーを作り出す技術。

・CYCLOID
 プレーヤーの確率を高め、ボールの弧線がナチュラルに高く、ブロックでのネットミスを減らし、相手のコートへボールが最大限深く入る技術で、回転量と飛距離の比率を精緻に計算された設計により、高いスピードと力強いエネルギーをドライブに伝える技術。

・CARBO SPONGE
 スポンジにカーボン粒子を配合する技術。ボールをしっかりつかむ力とカタパルト効果でトップシートと相互作用できる技術。

・HYPER ELASTO
 2008年に禁止になったスピードグルーの効果の、代替とすべく開発された技術。スピードグルーなしで使ったような打球感、打球音、飛距離、回転力を実現する技術。加速性能を上げた「IMB」、弧線の高さを追及した「CST」などのバリエーションがある。

・TENSOR
 XIOMが開発した、スピードグルーと同様の、テンション効果を持たせる技術。ゴム分子の構造をピンと張りつめた状態にし、それを半永久的にキープする技術。「TENSOR」ラバーなら、余計な労力を使うことなく、楽にスピードが乗ってスピンの効いたボールを繰り出すことができる。この技術をベースに独自の考察とアレンジを加え、「HYPER ELASTO」技術を完成させた。

・BIOS
 「TENSOR」と同じく、XIOMが開発したクリーンなラバー製造技術。製造過程で、環境に悪影響を与える物質や発がん性物質などが発生したり配合されたりしない技術。「BIOS」ラバーは有害物質を徹底的に排除、製造に携わるスタッフからラバーを使うプレーヤーに至るまで誰一人として環境面、健康面で心配なく安心して使うことができる。ハイパフォーマンスでクリーンなラバーの象徴。

 既にレビューしたVega X(ヴェガX)、次回レビュー予定のVega Tour(ヴェガツアー)、そして今回レビューするオメガ7プロは全て同じ技術シンボル、ELASTO FUTURA搭載のラバーになります。よって、どのラバーもカーボスポンジとダイナミックフリクションですので、スポンジは黒く、シートはダイナミックフリクション仕様のシートでグリップ力のあるラバーといえるでしょう。

 オメガ7プロについて、パンフレット上で次のように説明されています。

自在性と決定力を贅沢に両立
少しだけ軟らかめに設計されたトップシートがボールのつかみやすさを実現。どんなに厳しい状況下においても、自由自在なスピンショット、正確無比なコントロールショットを可能にした。さらに、47.5度の高反発スポンジがボールを弾丸のように発射。スイングのエネルギーを倍加するような剛速球が相手のコートを駆け抜ける。自在性がほしいが、決定力も犠牲にしたくないーーそんな贅沢なプレーヤーの願いを忠実にかなえてくれるのが、このオメガVIIプロだ。
そして、トップレベルの選手がオメガVIIプロを使うなら、バック面におすすめしたい。現代卓球のバックハンドでは、台上のチキータで先手を取り、前陣の高速ラリーで打ち勝ち、相手の強力なドライブ攻撃をライジングのカウンターで跳ね返す・・・といったプレーが必要になるが、オメガVIIプロは、そのすべてで期待以上のパフォーマンスを生み出してくれる。飛距離も出るから、後陣に下げられたところから盛り返すパワードライブも楽々。オメガVIIプロで、あなたのバックハンドは<神化>する。

性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

 オメガ7プロは、トップ選手用のハイエンドラバーシリーズ、オメガ7シリーズの標準的なラバーですので非常に性能が高いことがわかります。ヴェガツアーやヴェガXと比較しても圧倒的に性能が高く、やはりハイエンドシリーズとして発売されていることがわかります。
 ただし、katsuo000の感じた点としては、確かに回転の質やボールの重さ、威力の点で、オメガ7プロは確かに高性能さを感じさせるけど、値段や公表性能値ほどの開きを感じない、というのが、オメガ7プロ、ヴェガツアー、ヴェガXの印象ですね。どのラバーもELASTO FUTURA技術採用になり、硬さは違っても印象はかなり近い印象です。ヴェガツアーはややフォアには柔らかすぎるかもしれませんが、それでもどのラバーもフォアで使ってもある程度満足するボールが出せましたし、バックのレベルによっては、ベストのラバーは変わってくるとも感じました。
 最終的な総評はヴェガツアーのレビュー後に改めて書かせていただきますので、よろしくお願いします。

オメガ7プロの貼りと重量

 いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

Omega VII Pro(オメガ7プロ)
 ELASTO FUTURA ≒(DYNAMIC FRICTION × CYCLOID × CARBO SPONGE)
・Sponge Thickness:2.0/max mm
・Speed:12.5
・Spin:12.5
・Sponge硬度:47.5°
・7,000円 + 税
・67 g(切断前) → 49 g(張継科ZLCに貼って)

 思ったより重くなかったですね。XIOMさんのラバーは重いことはあるあるですが、思ったより軽くて驚きました。

Omega VII Proの3つの特徴

47.5°と感じない、くい込みの良いスポンジ!

 オメガ7プロおよび、オメガ7シリーズのラバーは、基本的にはくい込みがかなり良いスポンジを使っていて、硬度ほどの硬さを感じにくいラバーだと思います。実際、55°のオメガ7ツアーでも結構ボールをグリップしましたし、回転もかけやすかったと感じました。今回のオメガ7プロもドイツ基準で47.5°ですが、他の47.5°のラバー(Evolution MX-Pや、V>15 Extraなど)と比較してもかなりくい込みが良いラバーでした。このくい込みの良さは、Rasanter R48(ラザンターR48)を彷彿とさせるようなくい込みの良さになりますね。ただし、R48は軽快なスピードドライブが打てる一方で高い回転量も得られましたが、打感としてボールの軽さを感じました。R48に対して、オメガ7プロはコンセプトにあるようにスピード重視だが、回転量と威力はそのままのラバーとあるように、スピードは出しやすいのに打球感はかなりマッドで、軽快というよりも剛腕なドライブが打てそうな、そういった仕様のラバーとなっています。(ただし、オメガ7プロでも本当に重いパワードライブが打てるか否か、使いこなせるかどうかは、使用者の腕にかかっていて、強いインパクトとパワーでハードヒットできなければ、やはり軽いボールになる印象もありました。)
 くい込みの良いラバーは往々にして相手の回転の影響を受けやすいことが多いですが、オメガ7プロおよびオメガ7ツアーなどは、ブロックやカウンターがしやすい印象があります。それはラバー全体が強いためにラバー全体で打ち返せる感じがあります。このラバー全体で負けない感じは、他メーカーのラバーにはないオメガ7シリーズの無二の特徴であり重要視するなら、価格も納得と感じました。

高いスピード、スピードに似合わないグリップ感!

 オメガ7プロは、やはりかなりボールのスピードは速いと感じました。ブロックも勝手にカウンターになるくらいスピード感がありましたし、カウンターもやりやすいので打ち返すこともしやすく、現代卓球に必要な要素を多く持つと思います。またサーブが好印象で、滑るようにスピード感のあるサーブが出しやすかったですね。もちろんしっかりグリップするので、回転量もしっかりかかっていました。相手のチキータやレシーブドライブを防ぎやすかったですね。
 またスピードが出しやすいラバーは往々にして、ツッツキが暴れたり浮きやすいですが、スピン系テンションらしく、ツッツキやストップはしっかり止まってやりやすく、好印象でした。このような特徴を有するラバーも近年増えてきてはいますが、オメガ7プロおよびオメガ7シリーズはやはり差別化され高い性能を感じさせました。

 ヴェガXやヴェガツアーと比較すると、オメガ7プロはスピード以上に重いボールが打てそうな打球感でした。速いだけではなく、打球感としてはしっかりボールをグリップできている感じがあり、回転量も決して少ないわけではないのが、非常に面白いラバーです。スピードだけを求めると、例えばBryce Highspeed(ブライスハイスピード)のようなラバーも存在しますが、ブライスハイスピードでは、つなぎの質の高いループドライブは困難で、ネット際に低く入れないとカウンターをくらいやすいでしょう。オメガ7プロやオメガ7シリーズのラバーは、腕にもよりますが、重いループドライブも打てるラバーでありながら、特徴的なスピードが出せるラバーといえるでしょう。ハイエンドラバーとしてトップ選手好みの仕様だと思います。
 ただし使いこなす技術力も要します。誰でも重いドライブが打てる、という感じではなくそれ相応の腕とパワーが必要ですね。

総評として回転とスピードのバランス型(80らしさ)で、威力よりラリー思考のラバー

 オメガ7ツアーでもふれていますが、オメガ7プロは回転もスピードも出せる分、威力重視のラバーというよりは、ラリー思考のラバーでした。オメガ7プロはラリーの中で相手のドライブや決め球をブロックやカウンターでしのぎ、自分のドライブや連打へつなげるようなラバーだと思います。ツアーやハイパーと比較して、より打感が柔らかくまさにバックで使って活きるラバーと感じました。
 謳い文句である、「これまでにない打球スピード」は、要は感じ方次第だとも思います。スピード性能も回転性能も高いオールマイティーなラバーと捉えることもできます。スピードドライブは他のスピード性能の高いラバーと比較すると少し難しい印象がありますし、高い回転量のループドライブも他のスピン系テンションラバーと比較すると少し物足りなく感じやすい、要は中途半端なラバーとも感じやすいと思いました。結局のところ、このラバーを使いこなせるだけの技術力が必要といえるでしょう。

各技術レビュー

 試打中に、結構滑りました。印象としてオメガ7シリーズは類似のシートとスポンジでスポンジ硬度を変更している印象ですが、オメガ7プロのスポンジが柔らかすぎるのかもしれませんね。これならOmega VII Tour(オメガ7ツアー)かOmega VII Asia(オメガ7アジア)の方が安心できるかもしれません。全日本選手権出場のコーチの方も、プロは試打で少し使ってすぐに辞められたそうで、すぐにオメガ7ツアーかOmega V Tour DF(オメガ5ツアーDF)を使用されていました。特にコスパとフォアでの仕様を考えるならオメガ5ツアーDFはかなり良いと想像します。
 また、パンフレットなどの商品説明にも、「トップレベルの選手がオメガVIIプロを使うなら、バック面におすすめしたい」とあるように、オメガ7プロはバック側にあうようです。トップ選手の鄭栄植選手もバックハンドに使用しているそうですからね。くわえて今回またまた残念ながら張継科ZLCとアウターカーボンで試打してしましましたが、軽く木材+特殊繊維系ラケット、Fortius FT ver. D(フォルティウスFT ver. D)で試打したときはバックハンドの威力不足、スピード不足を補える印象がありました。オメガ7プロはインナーカーボンや木材系ラケットのバックハンドの威力不足、特にスピード不足を補えるラバーではないかと想像しますね。

フォアハンド系

軽打
 ボールは速いですね。スピードが速いと感じる一番の理由はおそらく、弧線が低いためです。

ロングボールやラリーでのドライブ
 打球感はTenergy 05(テナジー05)に近く、非常に好感触ではありますが、その割には回転量に少し不満を感じました。また中陣からのドライブは、ボールは走ると感じましたが、威力や回転量に少し不満を感じたりしました。普段はDignics 05(ディグニクス05)ですので、どうしても厳しい評価にはなりやすいと思います。比較するのであれば、Omega VII Tour(オメガ7ツアー)やOmegaVII Hyper(オメガ7ハイパー)で比較する必要があるでしょう。既にノータッチなコース取りができた際は決まるのですが、ボールのスピードの割に、非常にとりやすそうなボールになってしまっている印象で、ブロックなりカウンタードライブが簡単に返球される印象がありました。一方で、上回転のラリー時、相手のボールに対しても強さや打ちやすさを感じました。テナジーまではいかないものの、上回転ラリーで頼りになるラバーだとも感じました。

面を開いたドライブ
 スポンジが負ける感じはありませんでした。ただし、少し回転量は低い気もしました。

対下回転に対するループドライブ
 しっかり球を持つので好感触でした。打球感的に高い回転量と重いドライブがうてていると思いますが、打球感の割に少し威力不足を感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 テナジー05と比較すると打ちやすいですが、それでもマッドな打球感があり、爽快というよりも粘着ラバーのような打球感でした。

カーブ/シュートドライブ
 横回転は入れやすく、またしっかり曲がる印象がありました。

ブロック
 オメガ7プロはシートはそこまで硬くないのですが、ドライブに対してもブロックしやすかったです。もちろんカウンターもしやすく非常に面白かったです。前陣でハイピッチで少し伸ばすようにブロックすると振り回すことができると思います。

カウンタードライブ
 シートは硬くはないのですが、カウンタードライブはやりやすかったです。少しくい込みが良いので回転をくらうときはなくはなかったですが、全体的にラバー全体でまけずにボールを打ち返せる感じがありました。

ストップ
 ボールのスピードの割には、やすかったです。

ツッツキ
 滑ることもありましたが、直線性のあるツッツキがやりやすかったです。少し回転はかけにくかったです。

フォアフリック

フォアサーブ
 スピードのあるサーブが出しやすくて良かったです。

バックハンド系

軽打
 ちょっとおちやすかったですが、慣れれば問題なしでした。

ロングボールやラリーでのドライブ
 バックハンドにちょうどよい硬さでした。ただし、少しマッドだとも感じました。

対下回転に対するループドライブ
 少し難しかったです。フォアではやりやすかったので、技術力不足だと思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 普通に打点の早い回転重視のドライブで攻撃的なスピードドライブになる感じでした。しっかりインパクトの強いスピードドライブは少し難しかったです。

カーブ/シュートドライブ
 チキータもかなり曲がる印象がありました。

ブロック
 やりやすかったですね。ただし、少し滑ってしまいました。

カウンタードライブ
 やりやすかったです。いいラバーだと思います。

ストップ
 良かったです。飛び出してしまうということもなかったですね。

ツッツキ
 切るよりも打点を早く直線的なツッツキがしやすかったです。

チキータ
 弧線を作りやすくやりやすかったです!

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Rasanter R48 ≧ Tenergy 05 ≧ Vega X > Omega VII Pro ≧ Evolution MX-P

回転のかけやすさ
 Tenergy 05 FX ≧ Omega VII Pro ≧ Vega X ≧ Rasanter R48

スピード
 Rasanter R48 ≧ Omega VII Pro ≧ Vega X > Tenergy 05

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レビュー Vega X(ヴェガテン)

説明

 韓国の卓球メーカーXIOM(エクシオン)は、新進気鋭のメーカーで、コスパの良いVega(ヴェガ)シリーズと、ハイエンドモデルのOmega(オメガ)シリーズの大きく2種類のラバーシリーズが有名ですね。特にVega Europe(ヴェガヨーロッパ)は、コスパ、扱いやすさ、性能の3拍子そろったラバーで、初中級者層に浸透したラバーとなっています!また最近では、ブラジルのハードヒッター、Hugo Calderano(ウーゴカルデラノ)選手がXIOMと契約し、用具変更後も順調にワールドツアーランキングを一桁まで上げています。カルデラノ選手が使用しているHugo Hyper Axylium(ウーゴハイパーアクシリウム)とOmega VII Tour(オメガ7ツアー)も人気急上昇のことでしょう。

 本ページでレビューするラバーはXIOMさんのVega X(ヴェガテン)になります。Vega Xは2009年にVega(ヴェガ)が販売されて10年目を記念するとともに、Vega史上最高傑作のラバーとして宣伝されています。ラバーデザインはVega PRO(ヴェガプロ)のスポンジを踏襲しつつ、Omega VII(オメガ7)シリーズなどと同じサイクロイドシステムを採用したトップシートをあわせているそうです。オメガとヴェガの中間的な立ち位置のラバーで4,200円+税という低価格であるのに、卓球王国によると性能は6,000円台のラバー(Fastarc G-1、Rakza X、Evolution MX-Pなど)と勝負できるとうたっているそうです。実際、4,200円よりも高くしたかったそうですが、おそらくYASAKA(ヤサカ)のRigan(ライガン、3,700円+税)を見すえて値段をさらに下げて4,200円+税としているそうですね!卓球王国のレビューにおいても、その性能の高さがにじみ出ていたように思います。実際にどのようなラバーなのかレビューしていきたいと思います!

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性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

 説明でも触れましたが、スピードとスピン性能はOmegaシリーズと比較すると劣るものの、ヴェガシリーズの中では突出していて、抜きんでていることがわかります。一方でVega Xよりも過去に販売されたVega Tour(ヴェガツアー)の方が、公表性能値は高く、Vega TourはOmega Vシリーズよりも高い公表性能値となっていますね。正直、今回Vega Xの試打は非常に好感触でしたので、改めてVega Tourについても今の用具でしっかり試打してみようと思っております!そちらのレビューも期待いただければ幸いです。

Vega Xの貼りと重量

 いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

Vega X(ヴェガテン)
 Dynamic Friction(ダイナミックフリクション)
 Cycloid(サイクロイド)
 Carbo Sponge(カーボスポンジ)
・Sponge Thickness:1.8/2.0/max mm
・Speed:9.5
・Spin:11.0
・Sponge硬度:47.5°
・4,200円 + 税
・72 g(切断前) → 52 g(張継科ZLCに貼って)

 やっぱりといえばやっぱりなのですが、XIOMさんのラバーは重いですね。しかしながら、球つきやカーテン打ちでは非常に回転性能が高くとても好感触でした!

Vega Xの3つの特徴

弾きやすいのに、抜群の球持ちと回転量!

 球つきやカーテン打ちで最も感じたのが、球持ちと回転量でした!この良好な打感はやはり台で打っても再現され、しっかり球を持って回転をかけたと思ったときに思った通りの回転量のボールが打てる感じがあってとても好感触な試打となりました!球をしっかり持つので我慢すればしかっりボールをコントロールできる、それなのに、思い切り弾こうと思えば思い通りの直線性でミート系が走る感じもありました!非常に使い勝手が良いと感じましたね!回転性能は非常に高く、しっかり使いこなせればTenergy 05(テナジー05)並みにかかると思います。ただし、テナジー05以上の回転性能は出しにくいようにも感じました。特にフォアで使うと柔らかすぎて、エネルギーロスを強く感じましたね。ただし回転はかけやすく、サーブやループドライブは非常にやりやすかったです。このあたりがVegaらしいと感じました!

硬めのシートと柔らかいスポンジのバランスが絶妙で扱いやすい!

 明らかにシートは硬くスポンジは柔らかいラバーで、52 gを思わせない軽快な使い心地でした。非常に扱いやすく、扱いやすさの方向性はRasanter R48(ラザンターR48)のように質の高いボールが手軽に出しやすいラバーと、Rakza(ラクザ)系のとにかく台に入れやすい、の良いとこどりをしているように感じました。
 自分はバックハンドが下手なのですが、Vega Xが抜群にバックハンドにマッチしました!その要因はシートとスポンジの絶妙な硬さのバランスではないかと直感的に感じました。シートが硬いラバーは回転量が強くかかる印象があるのですが、その分、しっかりくい込まる必要があり難しいと感じます。V>15 ExtraやFastarc G-1(ファスタークG-1)などを扱いきるには一度思い切りぶつけてから、回転をかけるようなイメージで回転をかける必要があって、イメージはできますが咄嗟にそのような打ち方ができず慣れが必要と感じていました。しかし、Vega Xはそういった打ち方はあまり必要はなく、どちらかといえばRakza(ラクザ)系やTenergy(テナジー)系のシートでこすりながら打球するイメージで十分に良い球が出ると感じました!この部分が非常に好感触で、扱いやすく初打ちとは思えない扱いやすさと切れを感じさせてくれました!

納得の最高傑作!惜しまれるのは重量か!?

 この高い性能で4,200円+税は安すぎるでしょ!半端ないです!52 gと少し重いのと、ツッツキですべりやすいのが少し気になりましたが、この扱いやすさ、性能の高さ、コスパは非常に気に入りました!最高傑作という言葉の意味、katsuo000は納得した次第です。重さは、張継科モデルのようにグリップ重心のラケットならあまり気にならないと思いますし、滑りますが許容範囲のようにも感じました。
 また気になるのはVega Tour(ヴェガツアー)との比較です。張継科ZLCでVega Tourを使ったことがないので単純比較できませんが、現状のイメージでは、Vega Xの方が少し滑ることが多いですが、Vega Tourよりも球持ちが良くて何より飛び過ぎないので思い切り回転をかけられるイメージですね。Vega TourはOmega VIIシリーズに非常に似ていて球持ちと回転よりもスピードが出やすいと感じるラバーでした。公表性能値はあくまで公表値で台上でどれくらいの回転をかけやすいか、かかっているかはやはり別物だと感じますね。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 勝手に飛ぶ感じはなく非常にやりやすいです。じゃっかん、柔らかすぎるようにも感じました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 やはりボールが浅く、多少ぶつけるようにしないとボールが落ちやすいと感じました。特に引合いでは相当ひきつけないとボールが飛ばせないとも感じました。このあたりは柔らかい扱いやすいラバー特有の特徴だと思います。同じような柔らかさを感じたラバーはRasanter R48ですが、R48の方がシートも柔らかく、パワーロスはあまり感じなくて、飛ばせないとか落ちるという感じはあまりなかったと思います。R48の方がトップ選手が好むラバーといえるかもしれませんね。

面を開いたドライブ
 いいですね!回転がかかっているので、しっかり落ちて深いところにボールが入りました。

対下回転に対するループドライブ
 しっかり球を持つので非常に好感触でした。あんなにスピードドライブやミートがしやすいのに、この球持ちは、正直他のラバーではないと思います!回転量も十分のドライブがうてると感じました!

対下回転に対するスピードドライブ
 普通、ループドライブがやりやすいとスピードドライブがやりにくい、ということは往々にしてあるのですが、このVega Xは上述のとおり、感じなかったです。これは驚きでしたね!

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 シートが硬く、自分は自分から回転を上書きしにいくようなイメージでブロックした方が良い印象でした。前陣でハイピッチで少し伸ばすようにブロックするのが良いと思います。

カウンタードライブ
 シートが硬く、それなのに球持ちがあるのでやりやすかったです。シートが硬いので回転の影響はうけにくく、しっかり打球点を落としてもしっかりカウンターしやすくて球を持つラバー独特のやりやすさもありました!

ストップ
 滑り気味でしたが、止めることはできました。ただし滑らせない方が安定すると思います。

ツッツキ
 ツッツキも回転がかかるので鋭くうてると感じました。回転で安定する印象です。くいこみが良いのにツッツキがあばれずとても良いラバーでした!

フォアフリック

フォアサーブ
 しっかり切ることができて良かったです。好感触でした!

バックハンド系

軽打
 ちょっとおちやすかったですが、慣れれば問題なしでした。

ロングボールやラリーでのドライブ
 バックハンドでは、ちょうどよい硬さで非常にやりやすかったです。あんなに盛り返しのバックハンドドライブが決められたのは久々でとても気持ちよかったです!

対下回転に対するループドライブ
 やりやすかったです!この球持ちはたまらんですね!安心感がありました!

対下回転に対するスピードドライブ
 スピードドライブもしっかり入りました!球持ちがあるラバーはどうしても硬すぎてスピードドライブが打ちにくいことが多いのですがこんなに気持ちよくスピードドライブが打てるラバーはほかに知りません。半端ないです!

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 入れやすかったですけど、少し滑ってしまいました。

カウンタードライブ
 フォアほどはやりやすくはなかったです。ここは腕を磨く必要アリですね汗。

ストップ
 良かったです。飛び出してしまうということもなかったですね。

ツッツキ
 切ってチャンスメイクしやすかったです。非常に好感触でした。

チキータ
 弧線を作りやすくやりやすかったです!

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Rasanter R48 ≧ Tenergy 05 ≧ Vega X > Evolution MX-P

回転のかけやすさ
 Tenergy 05 FX ≧ Vega X ≧ Rasanter R48

スピード
 Rasanter R48 ≧ Vega X > Tenergy 05

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レビュー Stradivarius(ストラディヴァリウス)

説明

 Stradivarius(ストラディヴァリウス)XIOM(エクシオン)のラケットになります。名前の由来について、メーカーパンフレットに記載はありません。おそらく、最も高価といわれる楽器バイオリンの名前で、ストラディヴァリさんが作ったバイオリン、ストラディヴァリウスからつけられていると思われます。何故ストラディヴァリウスという名前をつけたのか、ここからはkatsuo000の勝手な憶測にはなりますが、記述させていただきますね。お付き合いくださる方、ありがとうございます。
 楽器バイオリンで有名なストラディヴァリウスとは、1億円以上するバイオリンの総称で、ストラディヴァリさんが作成したバイオリンです。ストラディヴァリさんは、17~18世紀の方で、その頃に1000本程度の楽器バイオリンを作成しました。その音色が極めて優れているため、200年以上たった現在でもプロ中のプロバイオリニストが使用するのがストラディヴァリウスという超高級な楽器バイオリンになります。200年以上前に、既に楽器バイオリンの形と音色は出来上がっていたわけですね。この話を、卓球界における名ラケット、Butterfly(バタフライ)さんのVISCARIA(ビスカリア)にみたて、ビスカリアと類似のラケットであることを暗に示唆する意味でストラディヴァリウスという名前をつけてあるのだと勝手にkatsuo000は想像しています。
 確認できるXIOMさんのラケット、ストラディヴァリウスの仕様は次のようになります。

Stradivarius(ストラディヴァリウス)
・5+2 Outer Aramid Carbon(アラミドカーボン)
・ブレード厚さ:5.7 mm
・上板:Koto(コト)材

一方、ビスカリアの仕様は次のようになります。

VISCARIA(ビスカリア)
・5+2 Outer Arylate Carbon(ALC, アリレートカーボン)
・ブレード厚さ:5.8 mm

今後ラケットのレビューを書いていくにあたり、板構成の話をしますが、確証がない情報と確証のある情報を明らかにしていきたいと考えております。上記はメーカー公表情報になりますね。下記よりkatsuo000がググって得られた不確かな情報を交えてストラディヴァリウスについて説明していきます。

 海外サイトまで含めると木材構成について次のような情報を得られました。
・Stradivarius: Koto (1,7)/Aramid C (2,6)/Ayous (3,5)/Kiri (4=center)
・VISCARIA: Koto (1,7)/ALC (2,6)/Limba (3,5)/Kiri (4=center)
 上記のように赤字部分が異なっているようです。一般的に、アラミドカーボンは廉価版アリレートカーボン(ALC)のようで、卓球王国さんでもバタフライさんのALCラケットと類似のラケットを他メーカーで探すとアラミドカーボンラケットがよく紹介されています。もちろん、アラミドカーボンとALCを比較試打して打球感がどこまで同じかkatsuo000も検証できているわけではありませんが、とりあえず、大きな差はなしと考えています。一方明らかに異なる材料としては添板の木材で、Ayous(アユース)とLimba(リンバ)のようですね。katsuo000としてはこの添板が異なるために、差として表れていると想像しております。なお、本レビューは、最近手に入れたZhang Jike ALC(張継科ALC)との比較になっていきます。

性能表

 明確な性能表がXIOMより公表されているわけではありません。現状、板厚のみの情報になりますね。

Stradivarius(ストラディヴァリウス)
・5+2 Outer Aramid Carbon(アラミドカーボン)
・ブレード厚さ:5.7 mm
・上板:Koto(コト)材
・重量:88 g
Zhang Jike ALC(張継科ALC)
・5+2 Outer Arylate Carbon(ALC, アリレートカーボン)
・ブレード厚さ:5.8 mm
・重量:88 g

Stradivariusの特徴

打球感は張継科ALCやティモボルスピリットとほぼ同じ!

 弧線の出方や弾みなど諸々含めて、極めて張継科ALCやティモボルスピリットに似ているラケットでした。バタフライのラケットと比較すると非常にリーズナブルに購入できたので非常に気に入りましたね。昨年メインで使用していたZhang Jike ZLC(張継科ZLC)と比較しても非常に弧線を描きやすく球持ちを感じやすく、それでいてアウターカーボンのスピードも健在であり確かに非常にバランスの良いラケットであると実感しました!

重心はグリップ重心で、張継科モデルと類似

 また購入しないとわからない点として、重心の話があります。握ったり使用した印象としてこのラケットはグリップ重心のラケットであると感じました。ティモボルスピリットは明らかに先端重心のラケットで、一方で張継科モデルのラケットは基本的にはグリップ重心のラケット設計をされているようです。今回のこのストラディヴァリウスはティモボルモデルのラケットではなく、どちらかというと張継科モデルに近いラケットであると言い切れるでしょう。そのため、フォアとバックの切り替えしがしやすく、またバックハンドの振りぬきもしやすいと感じます。またグリップ重心のラケットは実際のラケット重量よりも軽く感じやすく、このラケットも漏れなく軽いと感じやすかったです!この点も非常に気に入った点になりますね。

張継科ALCよりも剛性が低い(と感じた)

 これは張継科ALCとの比較になりますが、少し板の剛性が低いと感じました。その要因はおそらく、板厚よりは添え板のアユースとリンバとの違いではないかと想像しています。木材も生き物ですのでkatsuo000が所有するそれぞれのラケットの特徴が下記に完全にあてはまると保証はできませんが若干アユースよりもリンバの方が密度が大きく剛性を感じやすいのではないかと想像しております。

Ayous(アユース)
 Density(密度) = 0.38 g cm-3
 Monnin Hardness = 1.1
 Compressive Strength = 30 MPa
 Bending Strength = 52 MPa
 Stiffness:7260 MPa
Limba(リンバ)
 Density(密度) = 0.45 - 0.65 g cm-3
 Monnin Hardness = 2.4
 Compressive Strength = 47 MPa
 Bending Strength = 86 MPa
 Stiffness:10490 MPa

 特に差を感じやすかったのが強打時で面を開いて、思い切りボールを打ったとき、カンとカーボンのような硬い素材にあたっている感じが、ストラディヴァリウスだと少し弱いと感じやすかったですね。したがって、フォアドライブで安定感を求めると、思ったより回転がかかっておらず威力が出なかったり、入れに行くループドライブですら芯を感じづらく回転が弱く、想像以上にボールがすっぽ抜けるようなオーバーミスが多かったです。それならばと思い切りぶつけに行くと流石にネットを超えず、少し慣れが必要と感じました。
 一方でブロックやバックハンドは押されにくく、ツッツキやストップもやりやすかったです。全体的に安定感があって、球持ちを強く感じやすい構成になっていると思います!

おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

 剛性が少し感じにくいので、ラバーは硬めのものをあわせても良いと感じました。例えばRasanter R53(ラザンターR53)や粘着ラバーや粘着テンションラバーもいけると思います。逆に柔らかくて弾むラバーは相性がわるいと思います。XIOM(エクシオン)のラバーを考えると重くて硬いラバーが多いですので、相性が良いと想像します。

バックラバー

 バックはスピン系テンションラバーでも良いと思いますが、スピードを出しづらいと思いますのでスピン系テンションの中でも、スピード性能の高いラバー、例えばTenergy(テナジー)シリーズでも05よりは64や80系が良いと思いました。やはりこの特徴を持つラバーは、XIOM(エクシオン)さんのVega(ヴェガ)シリーズやOmega VII Pro(オメガ7プロ)などがあうのではないかと思いますね。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フォアフリック

バックハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

対下回転に対するループドライブ 

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

チキータ

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転
 張継科ALC > Stradivarius > 水谷隼ZLC

回転のかけやすさ
 合板系 > Stradivarius > 張継科ZLC

スピード
 張継科ZLC > 張継科ALC > Stradivarius > 合板系

飛距離
 水谷隼ZLC > Stradivarius > 張継科ALC

レビュー Omega VII Tour(オメガ7ツアー)

説明

 XIOM(エクシオン)のフラグシップラバー、Omega VII Tour(オメガ7ツアー)のレビューになります。エクシオンは韓国メーカーですが、日本でも確かな存在感があります。特に一般ユーザーにとって、一度は見たことのあるラバーとしてVega(ヴェガ)シリーズのラバーは馴染みがあるのではないでしょうか。Vega Euro(ヴェガヨーロ)、Vega Japan(ヴェガジャパン)、Vega Asia(ヴェガアジア)あたりは初中級者にとってのスピン系テンションへの導入ラバーとして愛用されている印象ですね。近年はプラボール対応であるVega Euro DF(ヴェガヨーロDF)やVega Asia DF(ヴェガアジアDF)などのDynamic Friction(ダイナミックフリクション、滑りが起こりにくいシート)を採用したラバーも人気ですね。ヴェガシリーズは初中級者向けのラバーですが、上位モデルとされるラバーがOmega(オメガ)シリーズになります。オメガシリーズは2020年現在では主に、Omega V(オメガ5)シリーズとOmega VII(オメガ7)シリーズが手に入れやすいと思います。今回レビューするOmega VII Tour(オメガ7ツアー)はエクシオンのラバーの中で、スピード性能、回転性能、ともにトップの数値を持つラバーとなっていますね。トップ選手も使用しており、世界ランキング一桁のHugo Calderano(ウーゴ・カルデラノ、ブラジル)選手やJeoung Young-sik(鄭栄植、チェンヨンシク、韓国)選手が使用しているようです。

Omegaシリーズの性能比較

 オメガシリーズの公表性能値をまとめました。

 オメガ7ツアーが販売後、さらにOmega VII Hyper(オメガ7ハイパー)、そして2020年に一躍注目を集めたOmega VII China(オメガ7チャイナ)の光(Guang)と影(Ying)もあわせて載せています。オメガ7ハイパーとオメガ7チャイナを除けば、オメガ7ツアーが回転性能もスピード性能も高いことが分かりますね。少なくともスピード性能はオメガシリーズ最速となります。また、オメガ7ハイパーはシートは粘着性ではありませんが、粘着ラバーを意識していますし、オメガ7チャイナは完全に粘着性ラバーになります。つまりオメガ7ツアーはオメガシリーズの中でもスピン系テンションラバーの最高峰と捉えることができると思います。

 エクシオンの説明では、スポンジ硬度55°ととてもハードなスポンジと、オメガ7シリーズの中でも特別仕様のシートをあわせた怪物(モンスター)ラバーで、強烈に切れるサービス、意のままに止まるストップ、変化するループドライブやチキータ、攻撃的なパワードライブ、と誰にも負けないラバーだそうです。カウンタードライブはスリップせず、倍返しできるカタパルト効果があるそうです。

Omega VII Tourの重量と貼り

 いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

Omega  VII Tour(オメガ7ツアー)
 Dynamic Friction(ダイナミックフリクション)
 Cycloid(サイクロイド)
 Carbo Sponge(カーボスポンジ)
・Sponge厚:2.0 mm、MAX
・Spin:13.0
・Speed:13.0
・Control:10.0
・Balance:11.7
・Sponge硬度:55
・7,000円 + 税
・77 g(切断前) → 52 g(張継科ZLCに貼って)

 かなり重たいですね。数字上の重さ以上に打球感がマッドでヘビーであると感じると思います。この辺りは好みが分かれそうな部分だと思います。

Omega VII Tourの3つの特徴

1. 硬い割には回転をかけやすい!それなのにポテンシャルは高い!

 驚きなのですが、思ったより回転はかけやすいと思います。自分のバックの技量でも十分にバックハンドドライブが打つことができました。オメガ7シリーズ全般に硬度の割には食い込みやすく回転をかけやすいと思います!またスポンジが非常に硬いので、ラバーの性能を最大限に引き出した時の回転の最大性能も高いと感じます!パワードライブはもちろん、ループドライブやカウンタードライブも、最低限の安定感で、相手コートへ入れられるレベルの技術ハードルが低いと感じました。非常に使いやすいんですね。それでいて、使いこなせれば使いこなせるほどに威力のある素晴らしいボールが打てるようになる感じです。使いやすさとポテンシャルの高さを兼ね備えた希有なラバーだと感じました。

2. とにかくボールが速い!

 オメガ7シリーズの特徴として、スピード性能が高いことが挙げられると思います。オメガ7シリーズの中でもオメガ7ツアーはかなり硬いスポンジとラバー重量なので、インパクトがしっかりできた時のボールの回転量やボールの重さはとても高いものがあります。ボールの回転量や重さを兼ね備えながら、スピード性能も高いことに特徴があると感じます。これはTenergy 64(テナジー64)のようなスピード系のラバーでボールスピードは速いけどボールの回転量が落ちるので威力や回転量不足を感じる、といった類ではなく、Tenergy 05(テナジー05)のような回転量を生み出しながら、高いスピード性能も出しやすいラバーとなっているということです。

3. ラリー志向×威力!

 回転をかけやすいので、安定しやすくラリーに持ち込みやすいラバーだと思います!テナジーを使った時では、回転がかかった時のボールの回転量の平均値はかなり高くて性能の高さを感じますが、その回転をかけるための技術やインパクトが求められると感じます。一方、オメガ7ツアーは、回転がかけやすい分、回転量の平均値は低いと感じています。ただし相手にとってとりやすいボールになるかもしれませんが回転がかけやすいため試合でもミスが少なくなり、とにかく安定します。そしてポテンシャルも高いので、回転量の幅も広く、非常に良いインパクトで打てた時の回転量はテナジーに並ぶか上回るものがあります!またスピード性能は高いので、相手の時間を奪いやすく、ラリーでも主導権がにぎりやすいと思います。ラリー志向の中でチャンスのときに、一発の威力のあるボールを生み出せるラバーだと言えるでしょう。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 スポンジの硬さを感じますね。打球音も硬いラバーらしい高い音です。

ロングボールやラリーでのドライブ
 ボールが上に上がると感じます。スポンジは硬いですが、落ちるとは感じづらいと思いますね。

面を開いたドライブ
 ポテンシャルの高いラバーですので、面を開いて回転とスピードを出そうとした時も非常に好感触で、回転とスピードの両立ができそうでした。

対下回転に対するループドライブ
 非常にハードなスポンジなので、ループドライブの回転量は高く非常にしつも高いループドライブがしやすいと思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 スポンジが硬い分、インパクトで打つスピードドライブは結構難しいかもしれません。相当のインパクトで打つ必要ありです。

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ
 やりやすいと思います。

ストップ

ツッツキ

フォアフリック

サービス
 よく回転がかかります!しっかりグリップするので、強い回転がかかっていることを感じやすいと思います。

バックハンド系

軽打
 相変わらず硬いです。また重いので結構疲れます。

ロングボールやラリーでのドライブ
 意外や意外結構、打てます。非常に好感触でした。強いボールも打ちやすい方だと思いますが、それ以上に安定して入れやすいです。

対下回転に対するループドライブ 
 打ちやすかったです。結構安定していました。とっさにラケットの真ん中でボールを捉えられなくても入りやすいと感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 難しかったです。圧倒的にインパクト不足だと思います。

カーブ/シュートドライブ
 曲がるのですが、R53ほどの伸びはないように感じました。

ブロック
 やりにくはないのですが、シートが引っかかりがいいので、意外と回転を喰らった印象です。

カウンタードライブ
 やりやすかったです。ボールの上を捉えることができれば安定しやすいと思います。

ストップ

ツッツキ

チキータ

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Tenergy 05 Hard > Tenergy 05 ≧ Omega VII Tour > Blue Storm Z1 Turbo

スピード
 Dignics 05 > Omega VII Tour > Tenergy 05

食い込ませたときの弧線の出しやすさ(ボールの沈み込みやすさ)
 Tenergy 05 Hard > Omega VII Tour > Dignics 05

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レビュー Omega VII Hyper(オメガ7ハイパー)

説明

 XIOM(エクシオン)のハイエンドラバーシリーズ、Omega VII(オメガ7)シリーズは初めにOmega VII Pro(オメガ7プロ)、Omega VII Euro(オメガ7ヨーロ)、Omega VII Asia(オメガ7アジア)、Omega VII Tour(オメガ7ツアー)の4種類が販売されました。やや重量は重いのですが、直線的でスピーディーなボールが出やすいのに回転によって安定すると感じたのがオメガ7シリーズの印象です。また初中級者をターゲットとしたVega(ヴェガ)シリーズのネイミングと同じようにネイミングしているので特徴も想像しやすくなっています。ヴェガシリーズでも共通の、やや柔らかいスポンジを採用しているヨーロ、トップ層が好みのスポンジ硬度を採用しているプロ、やや硬めのスポンジを採用しているアジア、そして世界最高峰のワールドツアーでも見劣りしない性能のハードスポンジを採用しているツアー、と明確に伝えたいラバーの立ち位置をオメガ7でも踏襲しています。
 そんなエクシオンのラバーで、初めてHyper(ハイパー)という名前を冠したラバーがこのOmega VII Hyper(オメガ7ハイパー)になります。このオメガ7ハイパーは中国の粘着ラバーのような、硬さと球威を有しながら、圧倒的に扱いやすいラバーと謳われています。世界を席巻する中国ラバーを参考に開発されたラバー。要は粘着ラバーのようなスピン系テンションラバーということでしょう。実際、開けてみるとシートは普通のスピン系テンションのシートですが、スポンジが抜群に硬く、気泡もかなり小さい、まさに粘着ラバーに採用していそうなスポンジのラバーでした。

Omega VII HyperとTourの比較とラバー貼りおよび重量

Omega VII Hyper(オメガ7ハイパー)

Omega VII Tour(オメガ7ツアー)

 画像で比較するとわかりやすいと思います。オメガ7ハイパーの方が気泡が細かくてHurricane(キョウヒョウ)ほどではないものの、かなり密でつまったスポンジだということがわかると思います。
 また写真は準備できてなくて申し訳ないのですが、オメガ7ツアーと比べてオメガ7ハイパーは粒が太くかつ短かったです。このシートの粒形状も粘着ラバーで見られるような形状だと思います。

 オメガ7ハイパー、MAXのラバー重量はZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼って、54 gありました!ちなみにオメガ7ツアー、MAXのラバー重量は52 gでした。かなり重いですね!

Omega VII Hyper(オメガ7ハイパー)
 DYNAMIC FRICTION
 CYCLOID
 CARBO SPONGE
・Speed:13.0
・Spin:14.0
・Sponge硬度:55°
・7,000円 + 税
・79 g(切断前) → 54 g(張継科ZLCに貼って)

Omega VII Hyperの3つの特徴

 このレビューは主にバック側での使用でのレビューになります。

1. 台上が抜群にやりやすい!特にチキータのおさまりが良い!

 もちろんストップは短くおさめやすいのですが、それ以上にチキータがやりやすかったです!思い切り回転をかけようと打っても全くオーバーミスしませんでした。ガツンと回転をかけることができるので、それがまたチキータの安定感をプラスする感じがあって非常に好感触でした。チキータがオーバーミスしてしまうのであれば使ってみるのはアリだと思います。オメガ7ハイパーではなく、粘着ラバーでも同じように打てる感じがありますが、粘着ラバーだとインパクトを結構強くしないと今度は落ちたりチャンスボールを送るだけになったりすることも多かったです。スピン系テンションで一定のスピードを維持しつつ安定とおさまりを得られるラバーして、オメガ7ハイパーは抜群にやりやすかったです。

2. 硬いのに食い込みが良くて扱いやすい!

 これはオメガ7シリーズ全体に言えることかもしれません。相手がミスするような物凄い回転量のボールを打つにはそれなりのインパクトとスイングスピードと体の使い方が必要ですが、5割〜6割くらいの力で打っても回転がかかりやすく、どんな技術も非常に安定して相手のコートに入れることができます!どんな技術も非常にやりやすいラバーになっています。バックでインパクトが弱くても中陣バックドライブは打ちやすかったですし、安定感がありました。またスポンジも硬いのでミートもしやすかったです。悪い言い方をすると中途半端なラバーと言えるのかもしれませんが、個人的には、ドライブもフリックもやりたい、ブロックもやりたいしミートもやりたいし、カウンターもやりたい、あれもこれもやりたい!という人には非常にバランスの良いラバーだと思います。

3. オメガ7ツアーと遜色のないスピードを維持しながら、さらなる回転と安定感!

 オメガ7ツアーと比較しても粘着ラバーではないので、スピードは遜色なく速かったです。それなのに、安定感と回転量はオメガ7ハイパーの方がありました。確かにスピードドライブは食い込ませにくいのでオメガ7ツアーよりも難しい感じはありましたが、ラリーでのドライブのスピードは満足できるものでした。それでいて安定感があったので安心感を感じやすいラバーでした。オメガ7ツアーはどちらかといえば、Tenergy 80(テナジー80)のように少し球離れが早い感じがあるのですが、オメガ7ハイパーはTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)寄りのラバーでした。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 結構弾まないです。粘着っぽい打球感ですね。

ロングボールやラリーでのドライブ
 ボールは伸びませんが回転のかかったボールは打ちやすいですね。回転量も高いかというと、粘着ラバーほどあるわけではないので、中途半端といえば中途半端かもしれません。粘着らしさとスピードが欲しいならありといえると思います。

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ
 非常にやりやすいですね。スポンジが硬く、ネット際に低くて浅いループドライブを打ちやすかったです。回転量も低くはないと思いますが、少しパワーが必要な感じはありました。

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ
 やりやすかったです。

ストップ

ツッツキ

フォアフリック

バックハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

対下回転に対するループドライブ 

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ
 かなりやしやすくて、非常に好印象でした。

ストップ
 ボールもピタっと止まってやりやすかったです。

ツッツキ
 ツッツキもやりやすかったですね。ボールはグリップしますが、しっかり切るには技術が必要と感じました。

チキータ
 やりやすかったですね。思い切り回転をかけにいってしっかりおさまる感じがありました。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Tenegy 05(テナジー05) > オメガ7ハイパー > オメガ7ツアー

スピード
 オメガ7ツアー ≧ オメガ7ハイパー > テナジー05 > テナジー05ハード

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