説明
DONIC (ドニック)さんの粘着テンションラバー、Blue Grip S1 (ブルーグリップS1)をレビューします。このラバーはDONIC (ドニック)さんのラバーで、1を冠していますが、どちらかというと中級者や柔らかいラバーを好む選手向けの位置づけラバーになりますね。安定感の中で少しでも威力が出したい選手が求める、そんなラバーになります。Acuda (アクーダ)シリーズやCoppa (コッパ)などの系譜のラバーが、ブルーグリップのSシリーズになりますね。「Blue Grip C1&C2 (ブルーグリップC1&C2)よりも柔らかい」という、フレーズで、粘着性のトップシートと弾力のあるスポンジを搭載したラバーになります。
DONIC (ドニック)さんのトップラバーといえばBlue Star A1 (ブルースターA1)です。2022年インターハイ3冠王の鈴木颯選手が両面、Blue Storm Z1 Turbo (ブルーストームZ1ターボ)から両面、Blue Star A1 (ブルースターA1)へ変更しました。たしかにBlue Storm Z1 Turbo (ブルーストームZ1ターボ)はやや古いラバーで、ディグニクスが販売される前のラバーです。スピン系テンションラバーのカテゴリーの中には、回転がかかればかかるほど良い、硬ければ硬いほど良い、というカテゴリーに入るラバーもあります。一方で、回転性能も高くかつ扱いやすさやスピード性能の高いスピン系テンションラバーを好むという人も少なくありません。さらに扱いやすくて相手の回転の影響を受けにくく、相手とのラリーにも強いラバーが欲しい、という人にはBlue Storm Z1 Turbo (ブルーストームZ1ターボ)がとても刺さると思います。その後、DONIC (ドニック)さんのラバーとして発売されたのが、Blue Storm PRO (ブルーストームPRO)シリーズになりますね。Blue Storm PRO (ブルーストームPRO)は非常に高性能なラバーでテナジーレベルの高い回転性能をもった高性能なラバーだと思います。鈴木颯選手も試していたようですが、彼がインターハイで選んだラバーはBlue Storm Z1 Turbo (ブルーストームZ1ターボ)だったようですね。そして2023年に発売されたのが最新のトップ選手用ラバーBlue Star A1 (ブルースターA1)になります。これはButterfly (バタフライ)さんでいうところのDignics 09C (ディグニクス09C)を意識したようなラバーでした。台上ではトップシートの微粘着で止められて、フルスイングの時にはDignics 09C (ディグニクス09C)以上のスピードで相手コートに突き刺さるようなドライブが打てるラバーに仕上がっています。ラバー価格はやや高いですが、TIBHAR (ティバー)さんのHybrid K3 (ハイブリッドK3)やVICTAS (ヴィクタス)さんのTriple Double Extra (トリプルダブルエキストラ)、Stiga (スティガ)さんのDNA Dragon Grip (DNAドラゴングリップ)、Yasaka (ヤサカ)さんのRakza Z Extra Hard (ラクザZエキストラハード)などと並ぶ新世代粘着テンションラバーの1枚といえるでしょう。本ページで試打レビューするBlue Grip S1 (ブルーグリップS1)もこれら粘着戦国時代の中ではやや存在感は薄いものの、粘着ラバー界に参戦するドイツ製粘着テンションラバーとして注目に値する一枚ではないかと思います。まずはDonic (ドニック)さんのブルーラバーには、どのようなラバーがあるのか確認してみましょう。
・Blue Grip(粘着ラバー)6種
Blue Grip C1 (ブルーグリップC1)
Blue Grip C2 (ブルーグリップC2)
Blue Grip S1 (ブルーグリップS1)
Blue Grip S2 (ブルーグリップS2)
Blue Grip V1 (ブルーグリップV1) 廃盤? (2023年パンフレット記載なし)
Blue Grip R1 (ブルーグリップR1) 廃盤? (2023年パンフレット記載なし)
・Blue Storm(ブルーストーム)7種
Blue Storm PRO (ブルーストームPRO)
Blue Stom PRO AM (ブルーストームPRO AM)
Blue Stom Z1 Turbo (ブルーストームZ1ターボ)
Blue Storm Z1 (ブルーストームZ1)
Blue Storm Z2 (ブルーストームZ2)
Blue Storm Z3 (ブルーストームZ3)
Blue Storm Big Slam (ブルーストームビッグスラム)
・Blue Fire(ブルーファイヤ) 9種
Blue Fire M1 Turbo (ブルーファイヤM1ターボ)
Blue Fire M1 (ブルーファイヤM1)
Blue Fire M2 (ブルーファイヤM2)
Blue Fire M3 (ブルーファイヤM3)
Blue Fire JP01 Turbo (ブルーファイヤJP01ターボ) 廃盤? (2023年パンフレット記載なし)
Blue Fire JP01 (ブルーファイヤJP01) 廃盤? (2023年パンフレット記載なし)
Blue Fire JP02 (ブルーファイヤJP02) 廃盤? (2023年パンフレット記載なし)
Blue Fire JP03 (ブルーファイヤJP03) 廃盤? (2023年パンフレット記載なし)
Blue Fire Big Slam (ブルーファイヤビッグスラム) 廃盤? (2023年パンフレット記載なし)
廃盤と思われるラバー含め、多くのブルーラバーがラインナップされています。本当に数が多いですね。未だにBlue Fire (ブルーファイヤ)シリーズが販売されているのはスゴイと思います。最近のDONIC (ドニック)最新ラバーは非常にいいラバーが多く、昨年2022年発売のBlue Storm PRO (ブルーストームPRO)は税抜7,800円と高いだけありTenergy 05 (テナジー05)を超える高い回転性能を有する高性能ラバーでした。粘着ラバーはGrip (グリップ)を冠しているラバーで、6種類と他メーカーと比べても充実のラインナップだと思います。Blue Grip S1 (ブルーグリップS1)についてさらに深堀してみます。
Blue Grip S1 (ブルーグリップS1)
『ブルーグリップS2』よりも硬く、『ブルーグリップC1&C2』よりも柔らかい『ブルーグリップS1』。粘着性の力強いトップシートと弾力性のあるスポンジが、あなたのプレーにダイナミックさとバランスをもたらします。
DONICのホームページ
ラバーの立ち位置としては、粘着バージョンのアクーダブルー系のラバーと思いました。球持ちが良くて安定感のあるラバーであることは情報などから予想はついていましたので、あとは+αの性能があるか、などが気になる点ですかね。卓球王国などでも、ちょくちょく取りあげられていて、中級者おすすめラバーの代名詞的な扱いを受けていますね。個人的な見解ですが、中級者向けラバーを真剣に選ぼうとするとコスト以外で決めてが難しかったりします。中級者向けという時点で、既に扱いやすさは平均点以上ですので、扱いやすさは基本あるとして、そこにプラスαで性能 (スピードか回転か、カウンター性能か)を追求する形になると思います。扱いやすさは、上級者向けといわれるラバーでも差があり、どこに標準を置くか、で本当に変わってくる印象ですね。でも2024年はどこかで、ラバーの分類、ラケットの分類を実施したいなーなどと考えております。
性能値
公表性能値を比較してみましょう。
Spin | Speed | Control | Rubber Stiffness | ||
Blue Grip S1 (ブルーグリップS1) | 11 | 10 | 6 | 47.5° | 微粘着 |
Blue Star A1 (ブルースターA1) | 11++ | 11++ | 5+ | 52.5° | 微粘着 |
Blue Grip C1 (ブルーグリップC1) | 11++ | 11 | 5 | 60.0° | 強粘着 |
Blue Grip C2 (ブルーグリップC2) | 11+ | 10 | 6- | 55.0° | 強粘着 |
Blue Grip V1 (ブルーグリップV1) | 11+ | 10+ | 6 | 50.0° | 強粘着 |
Blue Grip R1 (ブルーグリップR1) | 11 | 10 | 6+ | 50.0° | 微粘着 |
Blue Grip S2 (ブルーグリップS2) | 11 | 9+ | 7 | 42.5° | 粘着 |
Blue Storm PRO (ブルーストームPRO) | 11 | 11+ | 5+ | 50.0° | |
Blue Storm Z1 Turbo (ブルーストームZ1ターボ) | 10+++ | 11 | 6 | 50.0° | |
Blue Fire M1 Turbo (ブルーファイヤM1ターボ) | 10+++ | 10+ | 7 | 50.0° | |
Blue Fire JP01 Turbo (ブルーファイヤJP01ターボ) | 10+++ | 10+ | 6+ | 47.5° |
他のブランドと比較しても、DONICさんのラバー公表値は、本当に参考にならないなーと感じてしまいます汗。正直スピンもスピードも同じ値でも全然打球感や飛んでいく感覚、弧線は異なりそれぞれこだわって作られているラバーなのですが、ちょっとよろしくないなーと個人的には思います。手に取って確認してほしいという思いがあるのかもしれませんね。
Weight 重量 | shore a | shore a | shore c | shore c | sheet-sponge (shore a) | sheet-sponge (shore c) | |
g | sheet | sponge | sheet | sponge | |||
Blue Grip S1 | 47 | 25.3 | 23.5 | 34.8 | 37.0 | 1.8 | -2.3 |
Blue Star A1 | 53 | 31.8 | 27.8 | 46.2 | 43.8 | 4.0 | 2.3 |
Blue Grip C1 | 57 | 34.0 | 33.0 | 49.9 | 49.5 | 1.0 | 0.4 |
Blue Storm PRO | 50 | 29.6 | 26.3 | 43.2 | 40.6 | 3.3 | 2.6 |
Dignics 09C | 50 | 33.4 | 31.8 | 50.8 | 49.1 | 1.6 | 1.7 |
Dignics 05 | 48 | 34.3 | 31.3 | 50.0 | 48.2 | 2.9 | 1.8 |
Tenergy 05 | 47 | 32.2 | 26.8 | 44.6 | 43.3 | 5.4 | 1.3 |
予想通り、Blue Grip S1 (ブルーグリップS1)は標準的な重量と硬さでした。気になる点としては、shore aで測るとシート側が硬く、shore cで測るとスポンジ側が硬くなる点でしょうか。粘着性ラバーではスポンジ側の方が硬いということが往々にしてあり、球持ちと回転のかけやすさのあるラバーレシピでもあります。こういったラバーは若干ですが、フォアでカウンタードライブ時にスリップすることもあるので、少しカウンターがしにくいイメージがありますね。ただし、その他の技術は全体的にやりやすくこのあたりがポイント1つのポイントかなーというイメージです。shore cの方が平均的かつ全体的な硬度を反映していて、ドイツ製硬度とも対応している印象ですので、基本的には柔らか系で粘着ラバーのような硬さはなく、だけど粘着ラバーのような設計のラバーがBlue Grip S1 (ブルーグリップS1)といえるでしょう。
ブルーグリップS1の貼りと重量
やや弾むラケットにあわせてみて使いやすさを確認したいと感じ、Butterfly (バタフライ)さんのRevoldia CNF (レボルディアCNF)に貼りました。
Acuda S1 (アクーダS1)のスポンジとブルーグリップ系の粘着性のトップシートをあわせたラバーであることがわかります。やはりアクーダ系ラバーの粘着ラバーという立ち位置ですね。
47 gと全体的に軽い仕上がりです。ラケット自体は結構重い個体だったのですが、この軽さは一般的な軽さですかね。しかもグリップも細いので、より振り抜きやすいと思います。個人的には190 g後半から200 g程度のラケットを使っているのでやや軽すぎる気はしました。
Blue Grip S1(ブルーグリップS1) ・Sponge Thickness:2.0 mm、MAX ・Speed: 11 ・Spin:10 ・Control:6 ・Sponge硬度:47.5° ・6,000円 + 税 ・68 → 47 g (Revoldia CNF (レボルディアCNF)に貼って)
Blue Grip S1の3つの特徴
廉価版Dignics 09C系ラバー
このラバーは回転性能は生粋粘着ラバーほどありませんが、ストップやツッツキの止めやすさはピカ一で、そこからラリーへとつなげて、一発放り込むようなラバーでした。良い意味でバックハンドも使えるDignics 09C (ディグニクス09C)かDignics 09C (ディグニクス09C)よりももっとスピン系テンションラバーに近いポジションだと思います。ドイツ製ラバーで競合しそうなラバーはRasanter C48 (ラザンターC48)でしょうか。ラザンターのCシリーズはややクセがあってドライブという点では、弾き系よりは擦り系の方が回転で沈むラバーだと思います。粘着ラバーのポジションですがシート設計が他のラバーと異なっているために、違いが如実で粘着ラバーのポジションとしつつ打ち方はスピン系テンションラバー系でスイングする必要があると思います。一方Blue Grip S1 (ブルーグリップS1)ではぶつける系のドライブでも回転がかかって沈むイメージですが、やはり柔らかいスポンジを組み合わせていいるので、ラバー全体が負けるか、柔らかすぎて板の硬い部分に当たってしまって結果として弾いてしまうイメージですね。ただ使いやすい粘着系のラバーとしては、個人的にはBlue Grip S1 (ブルーグリップS1)の方がオススメですね。ステップアップしてよりハードな粘着ラバーを使うことを想定するならBlue Grip S1 (ブルーグリップS1)を、最後までスピン系テンションラバーでテンション系を意識するならRasanter C48 (ラザンターC48)がオススメになると思います。自分は粘着ラバーをバックでも使うようになってきているので、やはりBlue Grip S1 (ブルーグリップS1)の方がしっくりきましたし、扱いやすいと感じました。
回転性能はエグさはなくスピードが特徴的!
粘着系のラバーではありますが、インパクトがあるのはスピード性能でした。弧線も球持ちもありますが、やわらかいラバーなのでスピードが出しやすかったです。例えばですがフォアハンドには回転系のラバーを使いバックハンドにBlue Grip S1 (ブルーグリップS1)を貼るのは王道的で、良いと思います。チキータやバックハンドドライブでも先手を取りつつ、チキータやバックハンドドライブは回転量よりもスピードでプレッシャーをかけたり、ツッツキやストップで相手の出鼻をくじいてバックブロックや伸ばすブロックで動かすような戦略がとりやすいと思います。少なくとも自分はそういう使い方でフィットすると感じました。バックハンドブロックや伸ばすブロックも柔らかいので、思った以上にスピードが出しやすい印象ですね。
少しラバーがまけるか!?
粘着系のラバーの中では珍しい?気がしますが、やはりラバーが負ける感じがあります。これはシートではなくスポンジが柔らかすぎるがために起こる感じですね。スポンジが柔らか過ぎるので、技術全体はやりやすいのですが、どうしても思い切りぶつけた時にスイングを間違えるとボールが落ちますね。こういうところがあるのは否めないので深く深くくい込ませすぎないようにした方がいいと思います。コツとしては深くくい込ませすぎないことですね。
各技術レビュー
フォアハンド
軽打
特に気にならない感じで、キョウヒョウの弾まない感じとかはないです。
ロングボールやラリーでのドライブ
ぶつけすぎると落ちる感じがあります。打点早くカウンター気味にドライブをかける方が自分はやりやすさや威力を感じました。
対下回転に対するループドライブ
打ちやすいけど、威力は低いと感じました。特にRevoldia CNF (レボルディアCNF)は弾んで棒球になりやすい感じがあるので、そこと相まって回転量は得にくいかもしれません。
対下回転に対するスピードドライブ
スピードドライブは打ちやすいですね。多少難しい、低めのツッツキでもスピードドライブで持っていきやすいと思います。
カーブ/シュートドライブ
ブロック
スマッシュやミート系、ナックル系のボールに対してブロックであわせるときはやりやすいと思います。
カウンタードライブ
打点の早いカウンタードライブがいいですね。打点を落として相手の回転を掛け返す系のカウンタードライブはあまり向かないかもしれません。
ストップ
止まります。
ツッツキ
切れますがブッチではありません。
フォアサーブ
サーブは切れますがブッチの2歩手前ぐらいのイメージです。サーブは走るのでロングサーブとかはやりやすいです。
バックハンド系
軽打
違和感ありませんでした。
ロングボールやラリーでのドライブ
弧線を描くので懐まで引き込める感じがありました。こういう感じは好きですね。V>22 Double Extra (V>22ダブルエキストラ)とかと比べるとやはり弧線が高いのは嬉しいですね。
対下回転に対するループドライブ
回転量は低いですが安心して打てると思います。
対下回転に対するスピードドライブ
柔らかさのあるラバーなので結構思い切って難しそうなボールでもスピードドライブにいける感じがあります。くい込みが良いのでしょうね。
ブロック
やりにくいことはないです。
ストップ / ツッツキ
止まりますね。
チキータ
やりやすいです。このラバーならスピードを出すためにボールの上を捉えてもいいと思います。
他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
Tenergy 05 FX > Blue Grip S1 > Rasanter R45
スピード
Tenergy 80 FX > Blue Grip S1 > Vega DEF