説明
XIOM(エクシオン)の2020年の粘着テンションラバー、Omega VII China Ying(オメガVIIチャイナ影)をレビューします。まずはエクシオンのラバーについて概観します。
エクシオンのラバーといえば、モンスターラバーの廉価版として存在感を高めたVega(ヴェガ)シリーズが有名です。特にVega Euro(ヴェガユーロ)は初中級者に利用されるラバーとして、非常に人気だと思います。またコスパ最強として近ごろ話題で、本ブログでもDignics 09C(ディグニクス09C)以上に閲覧数が伸ばしているラバーVega X(ヴェガX)もエクシオンを代表するラバーですね。高性能かつコスパの高いラバーが多いエクシオンさんです。
この扱いやすさとコスパの高いヴェガシリーズでユーザーを取り入れつつ、更なるレベルアップを求める人へ向けて、トップクラス用のラバーとしてOmega(オメガ)シリーズが存在します。
オメガシリーズは、従来はスピード重視のシリーズであり、ヴェガの回転性能と組み合わせたIV(フォー)シリーズ、回転性能とグリップ力に特化させたV(ファイブ)、弧線の低さと打ち負けない強さのVII(セブン)の大きく3シリーズが今も販売されています。katsuo000は全てのラバーを試打できているわけではありませんが、オメガVIIシリーズを中心に代表的なラバーは試打させていただきました。全体的にマッドな打球感のラバーが多く、どちらかと言えばフォア側に使用することで味が出るラバーが多い印象ですね。今まで試打してきたオメガシリーズのラバーは次のようなものでした。
・Vega Tour(ヴェガツアー)
ヴェガの中で最高性能のラバー。45°の中間硬度のスポンジでくい込みが良く扱いやすい。くい込ませて扱うことができれば、その回転量はテナジーなみ。
: https://katsuo000.com/review_vega_tour/
・Vega X(ヴェガX)
10周年を記念して発売されたヴェガシリーズ中最高コスパのラバー。シートもスポンジもヴェガツアーより硬く、使いこなした時の回転量は個人的にはヴェガツアー以上だと感じる。カウンター性能など現代的な技術がやりやすいラバー。人気も高く、当ブログでも人気急上昇中。
: https://katsuo000.com/review_vega_x/
・Omega V Tour DF(オメガVツアーDF)
オメガVIIシリーズと比較して、打球感が軽快で使いやすい上に高い回転量とグリップ力のあるラバー。回転性能は十分テナジー05なみでコスパもよく見直されてい良いラバーで、卓球王国さんでもゆうさんに特集されていた。重量の割にプラスアルファの癖や唯一無二な性能は、少し不足を感じる。
: https://katsuo000.com/review_omega_v_tour_df/
オメガVIIシリーズ
・Omega VII Pro(オメガVIIプロ)
テナジー05以上に扱いやすく、それでいてヴェガシリーズにはない、パワーもありマッドの中に扱いやすさのあるラバー。
: https://katsuo000.com/review_omega_vii_pro/
・Omega VII Tour(オメガVIIツアー)
オメガVIIシリーズの中、スピン系テンションの最高峰といえるラバーだと思います。そのスペックを最大限引き出すことは難しいですが、ただ使うだけならバックでも十分に扱えると思います。扱い切れればスピード性能とパワードライブはスピン系テンションラバーの中でも随一と言えるでしょう。
: https://katsuo000.com/review_omega_vii_tour/
・Omega VII Hyper(オメガVIIハイパー)
オメガVIIツアーをより粘着ラバーっぽくしたラバー。粘着ラバーよりのスピン系テンションラバーといえるラバーで、癖球も出やすいラバー。バックでも使えるが、この高い性能と癖球の良さを引き出すにはフォアでないとなかなか引き出せない。
: https://katsuo000.com/review_omega_vii_hyper/
katsuo000は、フォアには今までHurricane(キョウヒョウ)やDignics 05(ディグニクス05)など最高峰のラバーを使わせていただいてきました。正直それらのラバーと比較するとメリットを感じられず現在に至っております。メリットが感じにくい理由の一つに、マッドなラバーであることが多く、くい込ませるパワーが必要である、という点があると思います。回転性能を最大限出せるほど容易に使えるようなラバーではないと言えるのかもしれません。今まで継続使用はしてこず、このラバーにあった打ち方に至る前に変えてしまっていたともいえるかもしれませんね。ただし、ラバーにあった打ち方が出来ていない状態でも安定感のあるラバーが多く、スイングに依存しない扱いやすさのあるラバーシリーズでもあるでしょう。
性能値
公表性能値を比較してみましょう。XIOMさんは2021年のカタログ値から、Vega Pro(ヴェガプロ)を基準としたものになりました。両方を掲載しますので、ご参考ください。
2020年
2020年にはオメガVIIツアーiシリーズは公表されていないので、オメガVIIハイパーが最もバランスがとれたラバー扱いになっていますね。続いて2021年のパンフレットから作成したものが次↓になります。
2021年
一方、2021年版では、Vega Pro(ヴェガプロ)のスピード、スピンは10とした場合の相対値となっています。やはり、オメガVIIツアーiシリーズは高性能であることがよくわかりますね。オメガVIIチャイナ影は、2020年においても2021年においても、高いスピン性能が強調されていますね。
オメガVIIシリーズは重くて硬いことがよくわかりますね。オメガVIIプロはテナジー05以上にくい込みが良くて扱いやすいと考えられます。一方で、オメガVIIツアーやVIIハイパー、VIIチャイナ影は異常な硬さと重量ですね。チャイナ影はディグニクス09Cと類似のくい込みにくさと言っても良いでしょう。
オメガVIIチャイナ影の貼りと重量
今回メインラケットのVirtuoso AC(ヴィルトーソAC)に貼りました。
↑この白いシートなのですが、STIGA(スティガ)さんのDNA Dragon Grip(DNAドラゴングリップ)やJoola(ヨーラ)さんのRhyzen ZGR(ライゼンZGR)とかなり類似の白いシートではないかと思います。どちらもドイツ製ラバーで、近い場所(工場?)で製造されているのではないでしょうか。発売時期を考慮すると、最も早く発売されたのは実は、このオメガVIIチャイナ影だったのかもしれません。シートの粘着はあまり強くなく、微々粘着ラバーだと思います。現代的な粘着ラバーといえるでしょう。
やはりオメガVIIのラバーは重いですね。過去Omega VII Hyper(オメガVIIハイパー)も試打しておりますが、ハイパーは54 gでした。そのハイパーよりもさらに重たい57 -60 g。。。これは超ヘビー級ですね。でもNittaku(ニッタク)さんのHurricane Pro III Turbo Blue(キョウヒョウプロ3ターボブルー)の65 gほどではないのは救いでしょうか。またヴィルトーソACは標準ラケットのブレード面積より、やや広いので、重くなりやすいです。うーん、ヘビーですね。自分は200 g超えてくると、やっぱり重たいと感じますし、やはり大変さを感じます。
Omega VII China Ying(オメガVIIチャイナ影) 粘着テンション Made in Germany ・Sponge Thickness: 2.1 mm、Max ・Speed:12.5(Vega Proを10として)(11.0、←2020年カタログより) ・Spin:17.0(Vega Proを10として)(15.5、←2020年カタログより) ・Sponge硬度:60 ・7,000円 + 税 ・85 g(切断前) → 57 - 60 g(ヴィルトーソAC、158 × 150 mmに貼って)
Omega VII China Yingの3つの特徴
正直言って扱いきれませんでした。ものすごいラバーですね。ただし扱いきれない中にエグさを強く感じるラバーでした。最も気に入ったのが、中陣からのドライブラリーです。キョウヒョウのように打球点を下げたとき、ボールを下から持ち上げるようにくい込ませてドライブすることで、回転量やスピードをコントロールしやすいと感じました。この打ち方をディグニクス05で行うとオーバーミスするかネットに引っかけてしまうんですよね。またキョウヒョウと異なるのが、扱い切れていないからだと思いますが、中陣からでもキョウヒョウ以上にスピードが出せる点でした。少し継続使用したいと考えています。
化け物じみた回転量と癖!キョウヒョウに迫る!
卓球王国でも特集されていましたが、オメガVIIチャイナ影の化け物じみた回転量、癖は凄いですね!しっかり身体を入れてドライブできたときのボールのえぐさは、今までに見たことのないものでした!荒れ方はどちらかというと、Rasanter R53(ラザンターR53)に類似で横回転がそのまま残るような荒れ方をしていました。ボールの沈みはあまり感じられませんでしたが、扱い切れていない可能性があるかと思います。扱い切れれば、スピードドライブも、超回転のループドライブも自在にできるようになるようなヴィジョンを感じるラバーでした!
ポテンシャルも高く、扱いこなせばキョウヒョウに迫る唯一無二のえぐいラバーだと感じました。それでいて値段はキョウヒョウ(ブルースポンジ)以上に安いです!これは面白い!
粘着ラバーなのにめちゃめちゃ弾む!
粘着ラバーではありますが、驚いたのがそのスピード性能です。小さい卓球場で試打したことも相まってかスピン系テンションラバーに匹敵するくらいのスピード性能を感じましたね。ラバーが硬いために弾くような打ち方をしてしまいやすいのもありましたが、スピードドライブが決まれば打ち抜ける位のスピードは十分にありました。一方で扱いこなすには、弾いてしまうのではなく、しっかりとくい込ませてボールに回転をかけてあげる必要があるとも思いました。ものすごいポテンシャルがあると思います。
また飛び出しが良いので、ラケットは木材かインナーカーボンラケットが良いと感じました。フォアは威力を求めてアウターALCが良いと感じていましたが、アウターカーボンでは弾み過ぎてその特徴的な回転性能を活かせないと感じました。バックはインナーALCにディグニクス05が使いたいので、ちょうど良かったと感じました。ただし、オメガVIIチャイナ影のせいで、ディグニクス05もより硬く感じやすくなったので、バランスは上手に取った方が良いと思います。
扱いが極めて難しい!重量対策必須!
とにかく訳のわからないくらい、イメージ通りの打球が出にくいラバーでした。長く使い込んで扱えるようにならないとこいつは暴れ馬ですね。現在継続使用を考えているのですが、まず重たいので重量対策に伸ばした貼り方を検討しています。これでやっと重量上限を57 g台に落とせそうです。またサイドバランサーなども全てとることにしました。今後どのような特徴や性能が出るのか楽しみです。
各技術レビュー
フォアハンド
軽打
軽打はそこまで気になりませんでした。それだけ弾むということですね。軽打が続いてきたときに、ラケットを押すようにラケットを前に押すように打ってみましたが、それでもボールが上にあがって入るんですよね。このあたりも違和感と癖が強かったです。
ロングボールやラリーでのドライブ
まだ慣れていなくて、スピン系テンションラバーにあった打ち方になってしまいやすく、インパクト強く打つと、回転をかけきれずに弾いてしまうことが多かったです。まだスイングスピードが遅すぎるのと、面を開くことが出来ていないのでしょうね。フォアで自分のパワーとスイングスピードが足りていないという経験は中学生のときのテスト勉強明け以来の感覚です。20年ぶりにわくわくしました。 しっかり練習をやりこみ、使い込んで慣れていきたいと思います!また中陣からでもスピードドライブが万々打てたのは、驚きとポテンシャルの高さを感じました。スピン系テンションラバーでは相手の回転を考慮してあわせるということが必要だと思うのですが、このオメガVIIチャイナ影では、ねじ込める感じがあって良かったですね。
面を開いたドライブ
粘着ラバーらしく、下回転打ちなどは面を開いた方がスピードドライブがやりやすかったです。スピード性能は申し分なかったです。もっと扱えるようになってスピードに回転を乗せたいです。
対下回転に対するループドライブ
浅くて回転量のえぐいドライブがやりやすかったです。ただし硬さの割に弾むのでボールが浮きやすく、低いループドライブは出しにくかったです。このあたりは慣れでしょう。
対下回転に対するスピードドライブ
これもついついスピードが出やすいのでフラットであてに行ってしまいそうになりました。しっかり回転でボールを沈めてあげれば安定したエグいスピードドライブが入ると思われます。
カーブ/シュートドライブ
横回転も残りやすく、このあたりはかなり好印象でした。もちろん粘着ラバーでは面を開いた方がインパクトで回転がかかりやすく良いと言われますが、このラバーでは巻き込むことで新たな癖が出せるのではないかとも感じました。特にドライブラリーでは味が出るのではないでしょうか。
ブロック
弾むので落ちることはなかったです。これも違和感感じまくりでした。
カウンタードライブ
もう違和感だらけで、できませんでした。今後頑張りたいと思います。
ストップ
これは良かったです!切りやすかったです。
ツッツキ
切って低く送るのがやりやすかったです。これだけでも武器になりそうでした。
フォアフリック
弾むのですが、回転をかけて沈ませたほうが安定すると思います。やりやすかったですね。
バックハンド系
軽打
ロングボールやラリーでのドライブ
対下回転に対するループドライブ
対下回転に対するスピードドライブ
カーブ/シュートドライブ
ブロック
カウンタードライブ
ストップ
ツッツキ
チキータ
他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
Hurricane(キョウヒョウ)系 ≧ Omega VII China Ying > Dignics 09C ≧ Dignics 05
スピード
Dignics 05 > Omega VII China Ying > Rhyzen ZGR > Hurricane(キョウヒョウ)系