
はじめに
Nittaku (ニッタク)さんの2024年の新作ラバー、Genextion (ジェネクション)をレビューします!Genextion (ジェネクション)という言葉は、Generation = 世代から派生したNittaku (ニッタク)さんの造語と思われます。もしかしたら、次の世代 = Next Generationをもじった造語なのかもしれませんね。
日本一売れていたラバーFastarc G-1 (ファスタークG-1)の次のラバーとして2022年に発売したラバーがHammond Z2 (ハモンドZ2)が発売されました。Nittaku (ニッタク)さんが、日本一売れていたラバーFastarc G-1 (ファスタークG-1)からの次の日本一売れるモンスターラバーを模索していることが伺えますね!Fastarc G-1 (ファスタークG-1)がなぜ日本一売れていたのか、これはButterfly (バタフライ)さんのTenergy (テナジー)のオープン価格化、ラバー高騰などの外部環境因子が大きかったのが実情でしょう。外部環境因子が大きいとはいえ、Fastarc G-1 (ファスタークG-1)の性能も高かったのは事実で、Tenergy (テナジー)らしい球持ちを有しながら、ドイツ製ラバーらしくドライブボールが揃わない荒れ球が出るラバーでした。Fastarc G-1 (ファスタークG-1)の次のラバーとして、2022年に発売されたHammond Z2 (ハモンドZ2)は国産製造のラバーではありますが、ドイツ製造のFastarc G-1 (ファスタークG-1)を継承したラバーといえる高性能ラバーです!特にHammond Z2 (ハモンドZ2)で特筆すべきはシートの透明感で、ドイツ製ラバーの曇り系シートとは差別化された美しいラバーです!しかも価格もFastarc G-1 (ファスタークG-1)と同価格で設定されていて円安でドイツ製ラバーの高騰を考慮すると、とても良い選択肢だったと思います!あまり話題にはなりませんでしたが、昨年2024年には、硬度を柔らかくした特別仕様のHammond Z2 (ハモンドZ2)も発売されました。これはHammond Z2 (ハモンドZ2)に対し一定の評価を得られていることが伺えますね!そして、Nittaku (ニッタク)の2024年に発売された新しいドイツ製ラバーはGenextion (ジェネクション)ですね!ドイツ製の新ラバーとして、Fastarc G-1 (ファスタークG-1)を超えるラバーとして、Genextion (ジェネクション)はどんなラバーなのでしょうか!?
説明
改めて、Nittaku (ニッタク)のスピン系テンションラバーについて俯瞰してみようと思います。まずは各ラバーの説明を、Nittaku (ニッタク)さんのホームページから引用してみました。
Genextion (ジェネクション) 掴んで深く飛ばすパワーヒッター
硬いラバーの特長である重いドライブや押し負けない引き合いを可能にしながら、ブロックなどの守備技術では操作性に優れます。インパクトの強いドライブの質が高く、インパクト後にボールの軌道がグッと上がり、より飛距離の出る鋭いボールを繰り出すことが可能に。台についてからグンと上に伸び上がるボールの軌道も特長で、相手を圧倒します。パワーとスピードで押していく、ダイナミックなトッププレーヤーへ。
Hammond Z2 (ハモンドZ2) “落ちない”から打ち負けない
ニッタクを象徴する“赤”をまとった「バルクヘッドスポンジ」は、隔壁が強く、エネルギーロスを軽減し、反発力を強化。天然ゴム比率が高く、ゴムシート密度が大きい「ナチュラルリッチシート」は、薄くとらえても“落ちない”のが魅力。相手の回転を利用したカウンター、台から離れても相手のコートに深く突き刺さるドライブを武器に打ち合いを制す!ベストセラー「ハモンドシリーズ」の爽快感のある打球の良さを継承しながら、トップ仕様のラバーに仕上げました。
Fastarc G-1 (ファスタークG-1) スピンドライブ重視
スピンドライブ重視!シートでグリップして弧を描く、強烈なスピン!どんな位置からでも打ち抜ける威力、強いドライブに打ち負けない強靭さが魅力!その実力は世界のトップが証明し続ける!
ファスタークとは?:Fast(速さ)とArc(弧)を描くボール軌道を開発コンセプトとした、トップ選手が勝つために選ぶギアです。
テンションスピンシート:グリップ感覚に優れたゴム成分と粒形状で、抜群の威力を実現した「テンションスピンシート」。硬く粒が詰まったシートは打ち合いで押し負けず、ボールにパワーが伝わります。
ストロングスポンジ:ハードな打球感でありながらボールをしっかり捉えて押し出し、ボールに更なる威力を生み出すスポンジです。
G-1・・・シートでグリップして弧を描く!強いドライブに打ち負けない強靭さが魅力!
時代の変化を受け、説明文の変化を感じますね。説明からGenexion (ジェネクション)はFastarc G-1 (ファスタークG-1)よりもボールが上に上がり、弾みも回転も高性能化したラバーと理解できるでしょう。普段Fastarc G-1 (ファスタークG-1)を使いこんでいるわけではないですが、Dignics 05 (ディグニクス05)と比較してGenextion (ジェネクション)がどのようなラバーかレビューしていきましょう。
性能値
公表性能値を比較してみましょう。
Speed | Spin | Sponge | Price (yen / without tax) | |
Genextion | 16.50 | 13.5 | 52.5 (42.5) | 9,800 |
Hammond Z2 | 16.00 | 13.0 | 50.0 (40.0) | 6,800 |
Fastarc G-1 | 15.00 | 12.5 | 47.5 (37.5) | 6,800 |
Genextion V2C | 16.00 | 14.0 | 52.5 (42.5) | 9,800 |
Hurricane Pro III Turbo Blue | 14.75 | 15.0 | 60.0 (50.0) | 6,600 |
公表性能値としてkatsuo000が気にするのは回転性能です!Nittaku (ニッタク)のスピン系テンションラバーの中で最も回転性能が高く、かつ最もスピードも速い、スピン系テンションラバーとしていますね!これは期待が持てますね!待望のGenextion (ジェネクション)の性能、を確認する前に、他社ラバーとの硬度比較です!
Weight | Shore a | Shore a | Shore c | Shore c | Sheet-Sponge | Sheet Sponge | |
g | Sheet | Shponge | Sheet | Spnoge | (shore a) | (shore c) | |
Genextion | 49 | 30.9 | 27.1 | 44.3 | 41.6 | 3.83 | 2.67 |
Dignics 05 | 48 | 34.3 | 31.3 | 50.0 | 48.2 | 2.92 | 1.83 |
Q Power | 50 | 31.2 | 29.4 | 43.8 | 42.7 | 1.75 | 1.08 |
Fastarc G-1 | 49 | 28.9 | 26.4 | 42.3 | 39.8 | 2.50 | 2.58 |
Hammond Z2 | 49 | 32.2 | 30.6 | 43.2 | 42.2 | 1.58 | 1.00 |
Genextion V2C | 49 | 29.8 | 28.0 | 43.8 | 43.8 | 1.75 | 0.00 |
V>20 Double Extra | 51 | 33.3 | 29.4 | 44.5 | 43.3 | 3.92 | 1.25 |
V>22 Double Extra | 50 | 29.9 | 26.1 | 42.4 | 40.8 | 3.83 | 1.58 |
Ventus Extra | 49 | 29.9 | 27.8 | 42.1 | 41.0 | 2.17 | 1.08 |
Rakza XX | 51 | 31.5 | 27.9 | 42.3 | 40.6 | 3.58 | 1.75 |
Rakza X | 50 | 27.8 | 24.7 | 41.3 | 39.3 | 3.17 | 1.92 |
Rakza 7 | 49 | 27.8 | 27.2 | 40.0 | 39.0 | 0.58 | 1.00 |
Nuzn 55 | 54 | 32.3 | 27.8 | 48.2 | 44.5 | 4.42 | 3.67 |
Rasanter R53 | 52 | 34.0 | 29.9 | 47.0 | 45.3 | 4.08 | 1.67 |
Blue Strom Pro | 50 | 29.6 | 26.3 | 43.2 | 40.6 | 3.33 | 2.58 |
Dynaryz Inferno | 52 | 28.1 | 27.3 | 41.4 | 40.9 | 0.75 | 0.50 |
DNA Platinum XH | 53 | 33.6 | 30.3 | 46.2 | 43.7 | 3.33 | 2.50 |
Evolution MX-D | 53 | 31.5 | 29.8 | 45.6 | 42.1 | 1.75 | 3.50 |
Hybrid MK Pro | 47 | 33.1 | 29.2 | 46.3 | 44.2 | 3.92 | 2.17 |
各社のラバーと比較した表になります。今回の試打をして強く感じた点として、硬度表だけではラバー性能を表現できない部分があるなーと感じました。レビューにもあるとおり、Nittaku (ニッタク)製ラバーや一部のドイツ製ラバーには、「マット感」をもったラバーが一定の割合で存在しています!このマット感、katsuo000は、過去には中国製粘着ラバーなどの打球感として表現したり感じたものでした。近年ドイツ製ラバーにもマッド感のあるラバーとマッド感のない軽快なラバーとの2分化が進んでいるように感じています。どちらが優れるか、というよりも完全に好みの世界だと思いますね。個人的にkatsuo000はマッドな打球感のあるラバーをフォアに、軽快な打感のラバーをバックに使いたい卓人です。今回のGenextion (ジェネクション)、Nittaku (ニッタク)製ラバーらしさといえるようなマッド感の強いラバーでした!非常にマッド感の強くなった打球感を有していましたね。このマッドな打球感は、硬度計で計測した値ではわかりにくいもので、大きな影響はシートの粒形状やシートの厚さが影響していると想像します。しかもマッド感な打感は、大きく使用感に影響するので、今後シートの粒形状についての表現が増えていくのではないかと思いますね。
今回のGenextion (ジェネクション)はマッド感は強またはMaxで、近いラバーとしてはOmega VII China Ying (オメガVIIチャイナ影)や廃盤のOmega VII Hyper (オメガVIIハイパー)などが挙げられると思います!マッド感の要因の大部分は、おそらくシートの粒形状でしょう!卓球グッズ2024でも特集されており分かった点としてGenextion (ジェネクション)はFastarc G-1 (ファスタークG-1)とHurricane (キョウヒョウ)系ラバーのシートの中間のシート形状を有するようです、つまり次のようなシートの特徴を持つのがGenextion (ジェネクション)になりますね!
Fastarc G-1 (ファスタークG-1): 薄いシート、高い粒
Hurricane (キョウヒョウ)系ラバー: 厚いシート、低い粒
Genextion (ジェネクション): 中間の厚さのシート、中間の高さの粒
いきなり上の情報だけだと、まるでFastarc G-1 (ファスタークG-1)は薄いシートで高い粒形状のラバーと認識されるかもしれませんが、Fastarc G-1 (ファスタークG-1)は他のFastarc (ファスターク)ラバーと比較して、粒と粒の間は狭く、粒形状は太めと比較説明されています!

この事実を考慮すると、Genextion (ジェネクション)はスピン系テンションラバーを意識しつつ、粘着ラバーよりの設計も採用して開発されたスピン系テンションラバーであることがわかりますね!そりゃ打球感がマッドになりますね。同じようなラバーコンセプトとして、シートは粘着ではないものの粘着ラバーのシートに近い設計で開発されたラバーの1枚がOmega VII Hyper (オメガVIIハイパー)でした。そりゃ打感のマッド感が似てくるはずだと思います。そして粘着ラバーの筆頭であるHurricane (キョウヒョウ)と比較するとスピン系テンションラバーよりのシート設計であることから、粘着テンションに近いラバーがGenextion (ジェネクション)というラバーといえるでしょう!つまり、粘着性シートではないもののシートは粘着ラバーを参考に設計したスピン系テンションラバー、それがGenextion (ジェネクション)の姿の一つといえそうですね!
重量についてもそこまで重たいラバーではないのですが、Genextion (ジェネクション)の50 g以下の重量よりも、上述の打感のマッド感が使い手を選ぶものと想像します。この感覚はFastarc G-1 (ファスタークG-1)やHammond Z2 (ハモンドZ2)にも感じられたものでしたが、Genextion (ジェネクション)では、マッド感に磨きがかかっていて、Fastarc G-1 (ファスタークG-1)やHammond Z2 (ハモンドZ2)を上回るマッド感Maxなラバーだと強く感じました!
Genextion (ジェネクション)の計測された重量や硬度は、大人しいともいえる値を示しました。しかしながらシートの粒形状から、シートは硬さを感じないわけではないですし、スポンジもくい込みの良さを感じますが、それ以上に全体としてかなりマッドな打球感であるため、かなりインパクトを強く打つことで初めて良いボールが出るラバーだと感じるラバーでした。シート形状の評価を進めることができていないため、試打者のイメージや感覚が先行した部分は否めませんが、卓球王国などの情報と総合しても、間違ってはいないレビューとなっていると思います。
ジェネクションの貼りと重量
紆余曲折もあり、katsuo000はアウターカーボンをメインラケットとして使うようになってきています汗。今回は、久々におし入れから出してきたTimo Boll Spirit (ティモボルスピリット、廃盤)へ貼りました。学生時代にメインで使っていたラケットであるため汗をよく吸ってややマイルドな打感のアウターALCラケットです!





↑指が入ってすみません。
Genextion (ジェネクション)
・Sponge厚:厚、特厚
・Spin:13.5
・Speed:16.5
・Sponge硬度:52.5 (42.5)
・9,800円 + 税
・74 g(切断前) → 49 g(:Timo Boll Spirit (ティモボルスピリット、廃盤) 157 x 150 mmのブレード面積に貼って)
重量は49 gで近年では、中程度に重たいと判断できそうな重さです。しかしながら前述のとおり、かなりマッド感のあるラバーです!重量以上に重さを感じるような気がするのが、Genextion (ジェネクション)の特徴ともいえるでしょう。
ジェネクションの3つの特徴
1. スピン系テンションラバーなのにかなりのマッド感!強インパクトでエグ味が出る!
スマッシュばりのインパクトが出せると、相当良いボールが飛び出る感じがあります!どこまでのインパクトが出せるか、は選手にもよると思いますが、katsuo000は声を出すくらい瞬間的なインパクトが必要だと感じるラバーでした。強いインパクトで打球することができると相当いいボールが行く感じがありますね!このインパクトを継続的に出せるかどうか、がポイントだと思います!従って自分から3球目などカチコム際には結構しっかり打たないといけないし、楽ではない感じがあると思います。一方で、相手のボールをうまく利用するような考えでラバーをくい込ませると、良いボールが打ちやすかったです!
2. マッドなラバーだからこそブロック性能が高い!
マッドな打感であることで、ブロック時に利点が得られるラバーだと思います。まず相手の回転の影響を受けにくいですね!なのでブロックがしやすいです!また強インパクトはブロック時の方がむしろ出しやすいこともあり、相手のボールを利用した打球時はエゲつないボールで返球できてしまいます。もちろん慣れも必要ですが相手の回転を活かしていると実感しやすいラバーとなっていますね。加えて、打球感がマッドですがボールは落ちにくいので、ミート気味の打球も落ちることなく、相手コートに入ります。この辺りの使い方は使用者に依存しますが、ブロック時にむしろ活きる要素をもったラバーに仕上がっていると感じました!
3. 相手のボールを利用したドライブ時に回転量と伸びを実感!
ブロックはどちらかというと台にはりついて使うことが多いと思いますが、アウターカーボンラケットを使うと、中陣から刺すようなボールを打ちやすくなります。下がった位置から打点を落としつつ、ドライブで回転とプレッシャーのかかるようなボールを送ることはプレッシャーになるのではないかと思います。そういった打点を落としつつラバーに強くくい込ませてドライブするときに、Genextion (ジェネクション)がイキイキと良いドライブが打ちやすく、ドライブボールの伸びは良かったです!自分から3球目などでスピードを出すときよりも楽に良いボールやスピードが出せる感じがありました。ブロック性能も高いのでラリー志向でラバーを選ぶのであれば、このラバーはかなり良い選択肢だと思いますね!感覚ですがFastarc G-1 (ファスタークG-1)よりもスピードが欲しいと感じる卓人、また粘着ラバーのように上へ上がってほしいと感じるならGenextion (ジェネクション)への移行をオススメします!
各技術レビュー
フォアハンド
軽打
ロングボールやラリーでのドライブ
面を開いたドライブ
対下回転に対するループドライブ
対下回転に対するスピードドライブ
カーブ/シュートドライブ
ブロック
カウンタードライブ
ストップ
ツッツキ
フォアフリック
サービス
バックハンド系
軽打
違和感はありませんでした。テンション系らしいスピードがでます!
ロングボールやラリーでのドライブ
下がった時、バックサイドを突かれると、硬くてマッド感のあるラバーですので、インパクトを出しづらくラケットをあわせるだけになってしまってボールの質が下がるというのがありました。むしろ回転を掛けに行くときは違和感なくかかるのと、インパクトがないとスピードが出しづらいので、相手のボールの威力を活かしながら回転をかけて安定させると非常に安定すると感じました。
硬さからくる球離れは感じますが、球持ちを感じられるラバーなのでしっかり打てばしっかりドライブ回転でボールが沈むので安心して強打しやすいと思います。
対下回転に対するループドライブ
しっかり回転がかかりますが、インパクトが不足すると回転量も落ちる感じがあり、良い意味で癖が出ていると感じました。回転量はしっかりとしたインパクトがないと出づらい感じはありましたので、このあたり好みが分かれそうな気がしました。
対下回転に対するスピードドライブ
インパクトが必要なので技量が必要だと思います。自分にはやや難しかったです。
カーブ/シュートドライブ
ブロック
やりやすいですね、中陣からでもかなり安定して返球できました。ブロックやラリーから試合をメイクできると思いました。
カウンタードライブ
カウンタードライブまたはカウンターでかけ返しがやりやすかったです。相手のボールを利用してかけ返すとループドライブなどの感覚以上に、回転がかかっていて台に収まる感じがあると感じました。
ストップ
ツッツキ
チキータ
ボールを掴むのでチキータはやりやすかったです!意外と前に振ってもボールがあがるので、ナックル系のボールや横回転が強いサーブなら攻撃的にチキータがしやすいと感じました。チキータの自信が持てるようなラバーだと思います!
他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
Dignics 05 > Genextion > Fastarc G-1
スマッシュやミートのスピード
Dignics 05 > Genextion >Fastarc G-1
ドライブのスピード
Dignics 05 > Genextion > Fastarc G-1