レビュー Ice Cream AZXi (アイスクリームAZXi)

説明

 Ice Cream AZXi (アイスクリームAZXi)は2020年4月にXIOM (エクシオン)より販売されたラケットになります。XIOMの契約選手で鉄壁鉄腕、韓国のJeoung Youngsik (鄭栄植 / チェン・ヨンシク)選手が使用するラケットになりますね。Jeoung Youngsik選手といえばその鉄腕バックハンドで韓国の代表選手の座を長く維持した選手ですね。バックハンドに威力が欲しい一方でフォアは球持ちが欲しいというJeoung Youngsik選手の要望にこたえて設計されたのがこのIce Cream AZXi (アイスクリームAZXi)になります。JTTAの刻印が入っているラケットの中で、反対面で異種の特殊素材をもちいたラケットはこのIce Cream (アイスクリーム)シリーズだけではないでしょうか。

 Jeoung Youngsik選手はインナーに異種の特殊素材をもちいたIce Cream AZXi (アイスクリームAZXi)を、中華台北のトップ選手であるHung Chieh Chiang (ジャン・ホンジェ)選手はアウタータイプのIce Cream AZX (アイスクリームAZX)を使用しているようです。
 XIOM契約選手: https://xiom.jp/?tid=3&mode=f7

 アイスクリームシリーズに採用されている特殊素材は、Axylium Carbon (アクシリウムカーボン、A面)とZephylium Carbon (ゼフィリウムカーボン、Z面)になります。アクシリウムカーボンがどうやら、Butterfly (バタフライ)でいうところのアリレートカーボン (Arylate Carbon、ALC)に、ゼフィリウムカーボンが、バタフライでいうところのザイロンファイバー (Zylon Fiber、ZLF)に近い素材であるそうです (完全に同じではないと思いますが、試打した印象としてこの説明が最も適切だと考えております)。

 以下、「Ice Creamプロジェクト」からの引用です。

ICE CREAMプロジェクト

 アイスクリームラケットは、XIOMの契約選手であり、韓国のスーパースターでもある栄植(ジョン・ヨンシク)選手が世界でのメダル獲得を目指して制作した野心作である。 プレーヤーの中にはフォアハンドが得意なタイプがいる反面、バックハンドが得意なタイプもいる。 世界トップ選手である鄭栄植(ジョン・ヨンシク)選手は、自らバックハンドが強力でフォアハンドが比較的弱いと語っている。 彼は、自分の弱みであるフォアハンドを補うために色んなラケットを使用してみたが、フォアハンドが補完されるとバックハンドの強みが生かせず、バックハンドの強みが出てきたら、 再びフォアハンドの弱みが生じてしまうというジレンマに陥っていた。

 そのような鄭栄植(ジョン・ヨンシク)選手の悩みを解決するため、XIOMのラケット開発チームは、彼のバックハンドの強みを生かしながらフォアハンドも 補完可能なラケット・アイスクリームの開発に成功した。フォア面とバック面に違う素材が入っているアイスクリームは、鄭栄植(ジョン・ヨンシク)選手のためのラケットであると同時に、 彼のような悩みを持っているプレーヤーに相応しいラケットである。 卓球において最も重要なことは、攻撃の決定率であるが、それと両立しなければならないのが、ミスを減らすことだ。今まで、アイスクリームをテストしたユーザーのほとんど全員が、 ミスを大きく減らせたという評価をしている。アイスクリームは、自らのプレーに信頼を与え、果敢かつ安定的なプレーを可能にしてくれるラケットだ。

 スーパーハイブリットラケットであるアイスクリームには、特徴が異なる2種類のラケットが存在する。 ひとつは、ゼフィリウムカーボンとアクシリウムカーボンをアウターに片側ずつ搭載した「アイスクリームAZX」、 もうひとつはゼフィリウムカーボンとアクシリウムカーボンをインナーに片側ずつ搭載した「アイスクリームAZXi」である。 一見、特殊素材の位置が異なるだけで他は全て同じなのではないかと思ってしまいそうだが、実は違う。それぞれのラケットの特徴を最大限発揮できるよう他にも工夫が施されているのだ。 一体、それによって性能がどう変わってくるのか、次回詳しくお伝えする。

https://xiom.jp/?tid=3&mode=f12

Ice Cream AZXi (アイスクリームAZXi): https://xiom.jp/?pid=150436822

 続いて、Ice Cream AZXi (アイスクリームAZXi)に関する引用になります。

ICE CREAM AZXi

 特殊素材であるゼフィリウムカーボンとアクシリウムカーボンを片側ずつ内側(インナー)に搭載した新概念のハイブリットラケット「アイスクリームAZXi」。外側(アウター)に特殊素材を搭載した「アイスクリームAZX」と同じ木材を使用しているように思われがちだが、実は違う。 それぞれのラケットの特長がより引き出せるよう木材選びにもこだわっている。下の写真は表面材を比べたものだ。

 まず、表面材は「アイスクリームAZX」よりも柔らかい「リンバ」を使用。 また、中心材も異なる木材を採用している。さらに、特殊素材をインナーにすることで、ボールを掴む感覚を得ながら重いボールを放つことができる。 自分に合うラバーと組み合わせれば、回転量の多いボールを打つことも可能だ。下はレイヤーイメージを表したものである。 これからもわかるように「アイスクリームAZX」とは異なる木材を使用しており、特殊素材の配置も変えてある。

https://xiom.jp/?tid=3&mode=f14

 「アイスクリームAZXi」の片側に搭載されているアクシリウムカーボンは球の弾きの良さ、 もう片側に搭載されているゼフィリウムカーボンは球持ちの良さを特徴としている。ボールを掴む感覚を兼ね備えながら異なる特殊素材を搭載することで、 フォアとバックで球質の違うボールを安定して飛ばすことができる。対戦相手は予想できないボールとミスをしない安定したレシーブに脅威を感じることだろう。 下の画像は、実際の「アイスクリームAZXi」のブレードの断面を拡大したものである。 オレンジとブラックが一緒になっているレイヤーの部分がアクシリウムカーボン、黄金色とブラックが一緒になっているレイヤーがゼフィリウムカーボンである。 これらの特殊素材を内側(インナー)に配置している。

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 ラケットを選ぶ際、今までは最終的にフォアかバックのどちらかの好みに合わせるしかなかった。 また、苦手な方を優先すれば、得意な方は物足りなさを感じ、得意な方を優先すれば苦手な方はもっと苦手になってしまっていた。 実際のところ、“好みも技術レベルも両方同じ”というプレーヤーはそこまでいないはずだ。だからこそ、「アイスクリームシリーズ」 は多くのプレーヤーを満足させる可能性を秘めている。組み合わせ次第であなたの卓球スタイルは今よりももっと広がることだろう。まずは試していただくことをおすすめする。

https://xiom.jp/?tid=3&mode=f14

 上記の引用にあるように、今回レビューするアイスクリームAZXiには、上板にインナーラケットの上板によく採用されているLimba (リンバ)を採用して球持ちを持たせています。そして、インナー位置に異なる特殊素材を使用しています。

 選手によってファオとバックのどちらかが得意であり、どちらかが苦手ということはよくありますよね。反対面と異なる特殊素材をもちいることで、極めて高いバランスのラケットとして、仕上げてあるのが、アイスクリーム系のラケットになるわけです。Jeoung Youngsik選手の場合、バックハンドが得意であり、インパクトも強くA面をバック側で使っているのではないかと思います。Jeoung Youngsik選手のラバーはフォアにHurricane Blue Sponge (キョウヒョウブルースポンジ)を、バックにOmega VII Tour i (オメガVIIツアーi)を使用されているようですね。

アイスクリームAZXi

 フォアには、Omega VII China Ying (オメガVIIチャイナ影)を、バックにはDignics 05 (ディグニクス05)を貼りました。

Ice Cream AZXi (アイスクリームAZXi)
 157 × 150 mm、5.7 mm、85 g
 Limba (1) / Ayous? (2) / Axylium Carbon (3) / Kiri? (4) / Zephylium Carbon (5) / Ayous (6) / Limba (7)

新概念のハイブリッド 〈インナー〉ラケット

 ブレード両面に特性の違う素材<アクシリウムカーボン&ゼフィリウムカーボン>を配したXIOMラケットの意欲作・アイスクリームシリーズ。AZX iはインナータイプ、かつ表面材に粘りのあるリンバを採用したことで非常に回転量の多い重みのあるドライブを放つことができるトップモデルだ。やや重量感があり、扱うには相応のパワーが必要となるが、ツボに入った時の剛球はクセになる。その名に反し、甘くない強力兵器である。

合板構成: 木材5枚 + ゼフィリウムカーボン1枚 + アクシリウムカーボン1枚

ブレード厚さ: 5.7 mm

重量: 85 ± g

ブレードサイズ: 157 × 150 mm

原産国: 韓国

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 重量やブレード面積、実際に触ってみた感想としては、重量感は感じませんでした。むしろ初使用時は、その前に使っていたラケットが重かったので、アイスクリームAZXiは軽くて少し違和感がありました。一方で振り抜きやすくてポテンシャルの高さも感じました。

アイスクリームAZXiの特徴

1. フォアとバックで打球感や弾みが異なるラケット

 フォアとバックで特殊素材構成が異なるラケットといえば、過去に銀河のPro-13S (プロ-13S)を試打しています。このPro-13S (プロ-13S)というラケットは、片側がアウターALC、片側がインナーKLCというラケットです。試打した感想としては、アウターALC側には、確かなアウター感と弾きやすさ、そしてスピードを感じる一方で、バック側のインナーKLC側の球持ちの良さも感じました。ただし、インナーKLC側の上板には染色したコト材を使用していて、インナーKLCといいつつもかなり硬い打球感になっています。打球感として一番近いのはTornado King Power (トルネードキングパワー)で、インナーなのにかなり硬い打球感と高い回転性能が得られるラケットでした。なのでPro-13S (プロ-13S)はアウターと、半アウターみたいなラケットという印象でした。

 一方、アイスクリームAZXiはどちらもインナー位置に特殊素材があり、そのインナーの中で差があるラケットだと感じました。A面であるアクシリウムカーボン側は、ループドライブを打つと満足できる高い回転量と、厚く当てた時には疾走感やスピードが得られて、スピンとスピード性能は満足できるものでした。一方で、バック側Z面であるゼフィリウムカーボン側は、飛距離はカーボンらしさがある一方で、打球感や球持ちはかなり合板に近いと感じました!もうボールに吸い付くような打球感で、それでいて、上板リンバかつカーボンも入っていて密度の高いブレードかつ5.7 mmの薄さによるしなりが、しっかりボールへエネルギーと回転を伝えてくれていると感じました。つまり、アイスクリームAZXiはReinforce AC (リーンフォースAC)やInner Force Layer ALC (インナーフォースレイヤーALC)のように抜群の球持ちをもちつつ、片面は弾きとスピードが、もう片面はより木材合板に近い、といえるラケットでした。インナーカーボン系ラケットを使っていて、苦手なフォアあるいはバック側の補いたいと考えるならアイスクリームAZXiはかなりありなラケットだと思います!

2. グリップはやや細みで、バックハンドがふり抜きやすい!

 バックハンドが得意な韓国のJeoung Youngsik (鄭栄植 / チェン・ヨンシク)選手のモデルラケットということで、ブレード面積は157 × 150 mmとレギュラーサイズになっています。そう、バックハンド主戦で活躍した、Zhang Jike (張継科)選手が使用したViscaria (ビスカリア)と同じ、157 × 150 mmですね。また丸みがあってやや細みのグリップは非常に振り抜きやすいラケットだと感じました。アイスクリームAZXiに一番近いと感じたのは、Butterfly (バタフライ)のZhang Jike ALC (張継科ALC)のグリップになります。張継科シリーズのラケットのグリップは丸みがあって、個人的にはかなり好みのグリップになりますね。また157 × 150 mmというブレード面積は、ラケット重量が重くなって、かつ先端重心になりすぎることを抑えるために一役買っています。素晴らしいですね。

3. 何故かDignics 05 (ディグニクス05)に抜群の球持ちを与える!?

 You tubeでアイスクリームAZXiの情報を探してみると、出てくるのがDignics 05 (ディグニクス05)との相性になります。元卓球王国のゆうさんが、アイスクリームAZXとDignics 05 (ディグニクス05)との相性がバツグンに良いことを試打している動画ですね。ゆうさんは、Dignics 05 (ディグニクス05)を何とかして使いたい、使いやすい組み合わせはないか、と探してくれたそうです。確かにDignics 05 (ディグニクス05)は相性が不思議なラバーで、katsuo000もInner force Layer ZLF (インナーフォースレイヤーZLF)Dignics 05 (ディグニクス05)をあわせたことがあります。Inner force Layer ZLF (インナーフォースレイヤーZLF)は非常にブレードが薄くて、カーボンではなくザイロンファイバーをインナーに配して、とにかく球持ちと回転性能の高いラケットになります。カーボンが入っていないので木材のような打球感だから、一般的にはどのようなラバーにもあうとされるのですが、Dignics 05 (ディグニクス05)を貼ると全然あわないんですね。ラケットが先にしなるのかDignics 05 (ディグニクス05)へのくい込みが悪くなったのか、非常に回転をかけにくくなる組み合わせでした。このようにDignics 05 (ディグニクス05)は、ラケットも考えて選ぶ必要があるラバーです。ゆうさんは、様々なラケットから、アイスクリームAZXとの相性がバツグンに良いことを紹介しています。ちなみにインナーのアイスクリームAZXiも球は持つけど、ボールの走り方まで考慮すると、インナーではなくアウターのアイスクリームAZXの方が良いとコメントされています。

Youtube動画: https://www.youtube.com/watch?v=ZX8CqV2rmJo

 ただ、アイスクリームAZXiもDignics 05 (ディグニクス05)の球持ちを抜群に上げてくれていて驚きました。非常にあいます!Dignics 05 (ディグニクス05)はフォアならともかくバックだと、ループドライブが難しいと感じていたのですが、アイスクリームAZXiとDignics 05 (ディグニクス05)を組み合わせると、むしろループドライブの方が安定感があって良くなりました。また上回転ラリーでの球持ちもかなり上がっていて驚きました。Dignics 05 (ディグニクス05)の球持ちをここまで上げてくれるとは想像しておらず非常に良かったです!Dignics 05 (ディグニクス05)が気になる方は是非アイスクリームシリーズを試してみてください!

おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

バックラバー

Dignics 05(ディグニクス05)

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 

ロングボールやラリーでのドライブ

 

面を開いたドライブ
 

対下回転に対するループドライブ
 

対下回転に対するスピードドライブ
 

カーブ/シュートドライブ
 

ブロック
 

カウンタードライブ
 

ストップ
 

ツッツキ
 

フォアフリック
 

バックハンド系

軽打
 

ロングボールやラリーでのドライブ

対下回転に対するループドライブ 
 

対下回転に対するスピードドライブ
 

カーブ/シュートドライブ
 

ブロック
 

カウンタードライブ
 

ストップ

ツッツキ
 

チキータ
 

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Virtuoso OFF+ > Ice Cream AZXi > Mizutani Jun ZLC

回転のかけやすさ
 インナーフォースレイヤーZLF > Ice Cream AZXiZhang Jike ALC

スピード
 Zhang Jike ALC > Virtuoso ACIce Cream AZXiインナーフォースレイヤーZLF

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