説明
Butterfly(Tamasu)さんの看板ラバーの一つ、Tenergy 05 FX(テナジー05 FX)をレビューさせていただきます。まず改めてTenergy(テナジー)について書かせていただきます。世界標準Tenergy 05(テナジー05)の発売は今をさかのぼること、約13年前、2008年4月になります。有機溶剤による後加工の禁止もあいまって未だに10年以上経過した2021年現在もワールドスタンダードの名前をほしいままにするテナジー05は卓球のことを考えるにあたり、なしでは語れない存在となってしまいました。このテナジーシリーズの特徴を2021年現在改めてkatsuo000なりに考えると次のようになると思います。
テナジーシリーズの特徴 ・高い回転性能 ・高いスピード性能 ・軽い
テナジーシリーズが上述のような特徴をもつのは、Butterfly独自のスポンジによるところが大きいと思います。テナジーシリーズに採用されているスポンジは、Spring Sponge(スプリングスポンジ)というオレンジ色のスポンジで、そのスポンジの気泡はそれぞれ独立気泡構造となっており、高い性能を示すことができているそうです。このスプリングスポンジは、Butterflyだけの技術で他の競合卓球メーカーと差別化された技術になります。他の競合卓球メーカーはラバー製造は基本的には外注しているのに対し、Butterflyは、卓球メーカーであるにもかかわらず、スポンジ製造工場を保有し差別化を図っているわけですね。このスプリングスポンジのためにテナジーは高い性能を出せるわけですが、転売や偽物が出回ったことに加え研究開発費がかかるために、オープン価格化してしまい他のラバーと比べて倍近い値段となっている点も(悪い)特徴といえるでしょう。ただしトップ選手の使用率は高くワールドスタンダードであることは疑いようはありません。
最もトップ選手の使用率が高く、回転性能の高いテナジー05の他に、トップシートの違いによってスピード性能の高いTenergy 64(テナジー64)、スピンとスピードのバランスのとれたTenegy 80(テナジー80)、カウンターや前陣に強いTenergy 25(テナジー)、先日発売になったパワーのTenergy 19(テナジー19)とシート形状だけで5種類存在します。各シートの説明は以下のようになります。
No. 05:1.7 mmの粒間隔が狭い。回転性能が高い。
No. 25:2.65 mmの粒の高さが低い。台上プレーやカウンターがやりやすい。
No. 64:1.7 mmの粒間隔が広い。スピード性能が高い。
No. 180:1.7 mmの粒間隔が中間。回転もスピードもバランスが取れている。
No. 219:1.5 mmの粒間隔が狭い。ボールをよくつかみパワーを出しやすい。
それぞれのトップシートの特徴が反映して先述のように、キーフレーズがあり「回転の05」、「バランスの80」、「スピードの64」、「前陣の25」、「パワーの19」と冠されています。
バタフライは、約13年前、2008年4月にテナジー05を発売後、2008年11月にTenergy 25(テナジー25)を、2009年4月にTenergy 64(テナジー64)を2010年7月にTenergy 05 FX(テナジー05FX)を、2010年11月にTenergy 25 FX(テナジー25FX)を、2011年11月にTenergy 64 FX(テナジー64FX)を、2013年1月にTenergy 80(テナジー80)を、2014年4月にTenergy 80 FX(テナジー80FX)を、2017年4月にRozena(ロゼナ)を、2018年11月にテナジー05をより硬くしたTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)を、2019年4月にテナジー超えるラバーとしてDignics 05(ディグニクス05)を発売しました。そしてテナジーからディグニクスへの移行も見えつつあった2021年3月にTenergy 19(テナジー19)が販売となりました。現在までに10種類のテナジーが存在するわけですね。それぞれ新商品として販売士てきて、未だにテナジー05が人気なのは完成と信頼の現れでしょう。
そして、テナジー05FXは世界標準テナジー05にソフトなスプリングスポンジをあわせた、扱いやすくなった世界標準テナジーといえると思います。中級者のバックラバーとして、初級者の初めてのテナジーとして非常に人気のラバーだと思います。
公表性能値
Butterfly(バタフライ)さんの好評性能値を示します。
公表性能値は、FXの有無によりません。競合他社メーカーでは、ソフトなスポンジをあわせたラバーは回転性能が高かったりするのですが、そういったことはないというButterflyさんの主張のようにも感じます。実際に柔らかいスポンジは使いやすさはあがる一方でMaxの回転量やスピードは出しにくい印象ではありますが、出せないわけではないということなのかもしれませんね。そういう意味でテナジー05FXは高性能かつ扱いやすいラバーといえるでしょう。
やりやすい技術
Butterflyさんホームページ上には、各テナジーのやりやすい技術についてレーダーチャートが掲載されています。各技術のやりやすさを、モノサシで測り、その数値を下記図にしてみました。項目は
・ループドライブのかけやすさ
・スピードドライブの打ちやすさ
・カウンタードライブのやるやすさ
・台上プレーのやりやすさ
・ブロックのしやすさ
・スマッシュのしやすさ
の6つになります。個人的に重要な項目はループドライブ、スピードドライブ、台上プレー、ブロック、カウンタードライブになります。スマッシュも粘着ラバーでなければ慣れで打てるでしょう。
Butterflyさんのホームページより引用させていただきました。
https://www.butterfly.co.jp/product/tenergy/
このチャートを見ると、本当にテナジー05FXは中心に存在していることがわかります。やりにくい技術が少ないということですね。コストを考えなければ初心者から中級者までオススメできるラバーといえるでしょう。
おすすめラケット組み合わせ
メーカー推奨の組み合わせも掲載されるようになりました。こちらも掲載していこうと思います。以下全てButterflyさんホームページより引用させていただきました。まずテナジーFX系を並べてみました。
Butterflyさんのホームページより引用させていただきました!
https://www.butterfly.co.jp/product/tenergy/
Tenergy 05 FX(テナジー05FX) ・Timo Boll ZLF(ティモボルZLF) 安定したプレーを求める選手へ ・Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC) 多彩な技術の習得に ・Maze Advance(メイスアドバンス) 筋力に自信がない選手に
Tenergy 80 FX(テナジー80FX) ・Marcos Freitas ALC(フレイタスALC) バランスの取れた広い領域でのプレーに ・Timo Boll CAF(ティモボルCAF) 威力を追求するオールラウンドプレーに
Tenergy 25 FX(テナジー25FX) ・Timo Boll ZLC(ティモボルZLC) 相手のプレーを利用したい選手へ
Tenergy 64 FX(テナジー64FX) ・Timo Boll TJ(ティモボルTJ) トップを目指すジュニア選手へ ・Maze Advance(メイスアドバンス) 初めてテナジーを使う選手へ
基本的には、初心者や中級者向けのフレーズが多いように感じました。唯一、テナジー25FXのみがティモボルZLCとの組み合わせが提案されているだけで、基本的には非常に扱いやすいラケットとの組み合わせが多い印象です。個人的には威力よりも扱いやすさ、卓球の楽しさを感じてほしい、というメーカー側の意図を感じます。ただし、初心者でテナジーは家計簿泣かせです。娘がそうしたいというなら協力しますが。。。汗
もうすぐ4月になり、ステップアップや新しい環境で気持ちを新たにテナジーに挑戦しようと思うのであれば上述のようにテナジーFX系と組み合わせていくことは一つオススメといえるでしょう。
Tenergy 05 Hard(テナジー05ハード) katsuo000のレビュー↓ https://katsuo000.com/review_tenergy_05_hard/ ・Viscaria(ビスカリア) オールラウンドなパワープレーに ・Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC) 回転を重視した前中陣でのプレーに ・SK7 Classic(SK7クラシック) 木材合板ラケットを好むパワーヒッターへ
Tenergy 05(テナジー05) katsuo000のレビュー↓ https://katsuo000.com/review_tenergy_05/ ・Zhang Jike ALC(張継科ALC) 死角のないオールラウンドプレーに ・Harimoto Tomokazu Inner Force ZLC(張本智和インナーフォースZLC) 打球の回転を重視する攻撃的なプレーに ・Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC) 打球の回転と安定性を求める選手へ
Tenergy 19(テナジー19) katsuo000のレビュー↓ https://katsuo000.com/review_tenergy_19/ ・Lin Yun-Ju Super ZLC(林昀儒Super ZLC) スピードとスピンをともに追求 ・Inner Force Layer ZLC(インナーフォースレイヤーZLC) 回転重視のパワフルなプレーを ・Timo Boll ALC(ティモボルALC) 威力を追求するオールラウンドプレーに
Tenergy 80(テナジー80) ・Mizutani Jun ZLC(水谷隼ZLC) テクニカルなプレーを目指す選手へ ・Tiago Apolonia ZLC(アポロニアZLC) 堅実なプレーを目指す選手へ ・Inner Shield Layer ZLF(インナーシールドレイヤーZLF) オールラウンドなカットプレーに
Tenergy 25(テナジー25) ・Mizutani Jun Super ZLC(水谷隼Super ZLC) 相手のプレーを利用したい選手へ ・Inner Force Layer ALC.S(インナーフォースレイヤーALC.S) 前陣で回転を駆使する選手へ
Tenergy 64(テナジー64) ・Matsudaira Kenta ALC(松平健太ALC) 前陣でのスピーディーなプレーに ・Inner Force Layer ZLF(インナーフォースレイヤーZLF) フラットな打法を多用する選手へ ・Petr Korbel(コルベル) 回転をかける感覚を身につけたい選手へ
テナジー全体でみると、テナジー64は初中級者へ、テナジー25は弾むアウターSuper ZLCとの組み合わせ、テナジー80やテナジー05が中上級者へ、テナジー05ハードやテナジー19が上級者やトップ選手へオススメといった印象です。テナジー25と水谷隼Super ZLCの組み合わせは、2021年に始まった話ではなく、前々からButterflyさんは提案している印象です。結構気になる組み合わせですね。
Tenergy 05 FXの重量と貼り
テナジー05FXのラバー重量は約46 gでした。テナジー05(48 g)よりも軽いですね。全体的に高性能で軽量なラバーが多いのが、Butterflyさんの特徴で、今回もやはり軽くて品質が高いことがわかります。
Tenergy 05 FX(テナジー05FX) High Tension(ハイテンション)裏ラバー ・スポンジ厚:厚(1.9 mm)、特厚(2.1 mm) ・スピン:11.5 ・スピード:13.0 ・Sponge硬度:32 ・オープン価格(8,900円 + 税) ・66 g(切断前) → 46 g(林高遠ALCに貼って)
Tenergy 05 FXの3つの特徴
バックハンドに持ってこい!
柔らかいので、とにかくバックハンドに持って来いでした!3球目のバックハンドスピードドライブが非常に打ちやすかったです!回転でしっかり弧線も描けるので、非常に安心してスイングできると感じました。またインパクト不足になりやすいバックハンドでもしっかり球をもって回転をかけることもできるので中陣や後陣に下がっても負けない卓球ができると感じました。
柔らかいのにストップも止まるしカウンターもしやすい!
ストップもカウンターも非常に良かったです。カウンタードライブがやりやすいのは驚きました。やはりシートの形状による球持ちのおかげだと思います。この性能なら粘る卓球もしやすいと思います!
FXだけで意外と硬い!
FXということで柔らかさを感じはしますが、シートの形状の影響で思ったより硬さを感じました。扱いやすいのに硬さも感じるので、ドライブも威力が出しやすいのだと思いました。この硬さは現代的な卓球にマッチした性能であると感じました。
各技術レビュー
フォアハンド系
軽打
ラリーでのドライブ
面を開いたドライブ
対下回転に対するループドライブ
対下回転に対するスピードドライブ
ブロック
カウンタードライブ
やりやすいです。相手の回転の影響を受ける前に上書きできる感じを感じました。これは高性能ですね。
ストップ
止めやすいです。ただ回転をかけようとすると弾いてしまいました。
ツッツキ
テナジー05と比較すると少し回転をかけにくいです。
フリック
サービス
バックハンド系
軽打
軽打でテナジー05と差をあまり感じませんでした。
ラリーでのドライブ
ドライブがやりやすかったです。ボールもそろえやすく、非常に安定感を感じました。威力はそこまで高くないと思います。
対下回転に対するループドライブ
やりやすかったです。少しすっぽ抜ける感じもあり、回転量もテナジー05と比較すると低いと感じましたが、とにかく持ち上げやすいのでとっさでもドライブできると感じました。
対下回転に対するスピードドライブ
これはかなり良かったです。インパクトはそこまでいらないし、前陣バックハンドからのスピードドライブって相手は予想しづらいのでかなり得点を取りに行きやすいと感じました。
ブロック
回転の影響は受けると感じました。特にkatsuo000はバックハンドは硬めのラバーの方がブロックしやすいと感じる方なので、やや難しいと感じました。重いボールに対し影響をもろに受ける印象です。
カウンタードライブ
どちらかというとミートの方がやりやすかったです。
ストップ
やりやすかったです。
ツッツキ
柔らかい分、はじきやすいので回転は、テナジー05の方がやかけやすいです。
チキータ
簡単にあがるので非常に好感触でした。威力は少ないかもしれませんが前陣で横回転を入れるなどすると相手は嫌だと思います。
他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
テナジー80 > テナジー05 FX > Evolution MX-P
スピード
Evolution MX-P > テナジー05 FX > Fastarc G-1
扱いやすさ
Rasanter R48 ≧ テナジー05FX > テナジー19