説明
Yasaka (ヤサカ)さんの2020年発売の最新粘着テンションラバー、Rakza Z (ラクザZ)をレビューします。既にRakza Z Extra Hard (ラクザZエキストラハード)はレビューさせていただいてます。また2023年春にはRakza XX (ラクザXX)が発売予定ということで、楽しみですね!そんな中ですが、春になる前に改めて、Rakza Z (ラクザZ)について、説明・レビューさせていただきます。
Rakza Z (ラクザZ)はRakza Z Extra Hard (ラクザZエキストラハード)と同じく、YASAKA(ヤサカ)のハイエンドラバーであり、粘着テンションラバーになります!2020年Butterfly(バタフライ)が最新粘着テンションラバー、Dignics 09C(ディグニクス09C)を発売したタイミングで、YASAKA(ヤサカ)も追いかけるように発売したのがこのラクザZになります。ラクザZには硬度が2種類あり、約50°くらいのラクザZと、ヤサカのラバーの中でも一、二に硬い55°くらいのRakza Z Extra Hard (ラクザZエキストラハード)になります。本ページでは一般普及用とされるラクザZをレビューします。
Rakza(ラクザ)シリーズは非常に実績のあるシリーズで、古くは神選手が、全日本学生選手権優勝時にRakza 7 (ラクザ7)を、全日本選手権準優勝時にRakza X (ラクザX)を、使用されています。また、近年ではスマッシュを多用する異質なプレイヤーで明治大学の手塚崚馬選手が全中優勝時にラクザXを、愛工大名電の吉山僚一選手が2022年全日本ジュニア優勝時にRakza X (ラクザX)とRakza 7 (ラクザ7)を使用しています。決してマイナーなラバーではなく、トップ選手でも十分に結果が出せるラバーシリーズです!
Rakza(ラクザ)シリーズ
Rakza(ラクザ)シリーズはYASAKAの看板テンション系ラバーシリーズになります。全てのラクザラバーがHybrid Energy(ハイブリッドエナジー)型ラバーであり、「高弾性高摩擦ラバーの高いグリップ力とスピン性能、テンション系ラバーの高い反発力と爽快な打球感を兼ね備えた」ラバーになりますね。
Butterfly(バタフライ)のTenergy(テナジー)やDignics(ティグニクス)シリーズと同じように、打球軌道イメージがYASAKAのホームページやパンフレットに掲載されています。最も弧線の高いラバーが、2020年春に販売されたRakza Z(ラクザZ)になりますね。続いてRakza X (ラクザX)、Rakza 7 (ラクザ7)、Rakza 9(ラクザ9)となります。ディグニクスシリーズに対応させると次のように考えて良いのだと思います。
Rakza Z (ラクザZ) ⇄ Dignics 09C(ディグニクス09C)
Rakza X (ラクザX) ⇄ Dignics 05(ディグニクス05)
Rakza 7 (ラクザ7) ⇄ Dignics 80(ディグニクス80)
Rakza 9 (ラクザ9) ⇄ Dignics 64(ディグニクス64)
2020年春新発売のRakza Z (ラクザZ)は粘着ラバーであり、ちょうど同じタイミング発売のDignics 09C(ディグニクス09C)と類似の分類になりますね。これはまー意識してますよね。
細かくラクザシリーズを説明していくと、4種類のラクザラバーが存在し、それぞれ細かく異なります。Rakza Z (ラクザZ)には、Rakza Z (ラクザZ)とRakza Z Extra Hard (ラクザZエキストラハード)の2種類が存在します。Rakza X (ラクザX)は、Non Slip Sheet(ノンスリップシート、NSS)技術が採用されていて、他のラクザと一線を画す、高いグリップ力を持つそうです。性能値で見た場合には回転量はRakza Z (ラクザZ)の次にRakza 7 (ラクザ7)の方が高い値になっていますね。そしてシリーズ最速となるのがRakza 9 (ラクザ9)になります。またスポンジが柔らかいソフトはRakza X (ラクザX)とRakza 7 (ラクザ7)の2種で販売されています。このように細かい部分で異なる部分を有しながらも非常に人気の高いラバーシリーズがラクザシリーズということになりますね。
今回レビューするラクザZは、硬さもマイルドな粘着テンションラバーになります。そこで、今回はアウターALCへ貼って扱えるのかを確認していきたいと思います。
ラクザZの性能
Spin | Speed | Control | Sponge Stiffness | Price | Made in | |
Rakza XX | 13+ | 12- | 9- | 47 ~ 52 | 6,800 | Germany |
Rakza Z Extra Hard | 14+ | 11- | 9 | 52 ~ 57 | 6,000 | Germany |
Rakza Z | 14+ | 11- | 9 | 47 ~ 52 | 6,000 | Germany |
翔龍 (Rising Dragon) | 13+ | 10+ | 9 | 47 ~ 52 | 4,500 | China |
輝龍 (Shining Dragon) | 13+ | 10 | 10 | 45 ~ 50 | 4,500 | China |
Rakza X | 13+ | 11 | 10 | 45 ~ 50 | 6,000 | Germany |
Rakza X Soft | 14 | 10+ | 10+ | 40 ~ 45 | 6,600 | Germany |
Rakza 7 | 14 | 11 | 9 | 45 ~ 50 | 5,500 | Germany |
Rakza 7 Soft | 14+ | 11- | 9+ | 37 ~ 42 | 5,500 | Germany |
Rakza 9 | 13+ | 11+ | 8+ | 40 ~ 45 | 5,500 | Germany |
Rigan Spin | 13- | 10+ | 11- | 40 ~ 45 | 4,200 | Germany |
Rigan | 12+ | 10+ | 11 | 40 ~ 45 | 4,000 | Germany |
Rakza ZとRakza Z Extra Hard (ラクザZエキストラハード)は同じスピン性能、スピード性能になります。使いこなせれば実際のところは、硬度のかたいRakza Z Extra Hard (ラクザZエキストラハード)の方が、スピン性能やカウンタードライブの性能は高いでしょう。続いて硬度計比較です。
Weight (g) | Shore a (Sheet) | Shore a (Sponge) | Shore c (Sheet) | Shore c (Sponge) | Sheet-Sponge (Shore c) | Sheet-Sponge (shore a) | |
Dignics 09C | 50 | 33.4 | 31.8 | 50.8 | 49.1 | 1.6 | 1.7 |
Dignics 05 | 48 | 34.3 | 31.3 | 50.0 | 48.2 | 2.9 | 1.8 |
Tenergy 05 | 47 | 32.2 | 26.8 | 44.6 | 43.3 | 5.4 | 1.3 |
Rakza Z EH | 55 | 30.3 | 30.8 | 46.5 | 47.8 | -0.5 | -1.3 |
Rakza Z | 54 | 29.5 | 30.6 | 44.6 | 45.8 | -1.1 | -1.2 |
Rising Dragon | 43 | 29.5 | 28.6 | 42.4 | 40.6 | 0.9 | 1.8 |
Hurricane NEO3 | 51 | 31.6 | 33.9 | 46.7 | 47.8 | -2.3 | -1.2 |
Rakza Z (ラクザZ)はRakza Z Extra Hard (ラクザZエキストラハード)と同様、重量はかなり重いですね。また大きく分類すると、ディグニクス系よりもテナジー05に近い硬さという結果になりました。ただしRakza Z (ラクザZ)はスプリングスポンジをもちいたラバーではないので、上の図や数値以上にRakza Z (ラクザZ)の方が硬いと感じるでしょう。
また細かい話にはなりますが、特徴的と感じた点は、shore aのシート側とスポンジ側の差で、要はシート側の方が柔らかく、スポンジ側の方が硬いのがラクザZということです。ディグニクス系ラバーは、シート側が硬く、スポンジ側が柔らかいということが踏襲されていますが、ラクザZや中国製のキョウヒョウはスポンジが硬くシートが柔らかいという傾向があります。このような設計のラバーというのはあまり多くはないですね。シートがあまり柔らかいと、球持ちが良い分、相手の回転の影響は受けやすくなります。この辺りは好みがわかれるところでしょう。
ラクザZの貼りと重量
アウターALCの代表格、Zhang Jike ALC(張継科ALC)に貼りました。
Rakza Z (ラクザZ) ・Sponge Thickness:厚/特厚 mm ・Speed:11- ・Spin:14+ ・Control:9 ・Sponge硬度:47-52° ・5,500円 + 税 ・74 g(切断前) → 54 g(Zhang Jike ALC(張継科ALC)に貼って)
打感として、悪くはないですが、アウターカーボンに貼るとやはり硬いですね。YASAKAの契約選手は7枚合板ユーザーが多いですので、合板系の方があうかもしれません。
Rakza Zの初期インプレッション
・かなりテンションよりの粘着ラバー
少なくともRising Dragon (翔龍)よりも弾むと感じました。Rising Dragon (翔龍)は個体差が激しいので、重い個体と比べたわけではないですが、軽い個体と比べると、Rakza Z (ラクザZ)の方がボールのスピードや回転量は上だと感じました。一方で、ディグニクス09Cなどと比較するとRakza Z (ラクザZ)の方が重いので、どうしてもパワーやスイングスピードがないといいボールがいかない感じがしました。
・癖は弱そう。
・回転量は、Rakza 7 (ラクザ7)やRakza X (ラクザX)よりは高そう。
Rakza Zの3つの特徴
粘着テンションラバーの中でもスピード重視のラバー
このRakza Z (ラクザZ)は、粘着ラバーの中でもかなりスピードを出しやすいラバーでした。あくまでも粘着テンションラバーの中で、というのがポイントです。かなりテンションラバーよりの性能ですが、その中でも弧線の強さと球持ちを感じやすく、扱いやすいラバーでした。個人的にはバックハンドで使うことで、安定感のある球持ちと回転量を維持しつつスピードも出せて非常に好感触でした。アウターカーボンにあわせていたこともあると思いますが、キョウヒョウなどの純粘着ラバーと比べると、スピード、特に初速が非常に速く、好感触でした。それでいてしっかり球持ちと回転量が得られ、ラリー志向の卓球に非常にあったラバーだと感じました。
癖は出ない分、扱いやすい!攻撃的で弧線も強い!
扱いやすいと感じたのは特にフリーでの下回転打ちで、ループドライブがかなり安心してふれました。それくらいしっかり回転をかけてドライブできると感じました。フォアよりもやはりバックハンドで安定感を感じましたので、自分が使うならやはりバックだと思います。TT彩たまの五十嵐選手も、バックハンドにこのRakza Z (ラクザZ)を使用されていたと思いますので、アリと言えばありなのだと思います。チキータも球持ちがいいので、かなり引き込んでからでも安定して打てるのはいいなーと思いました。威力というよりは初速の速さで相手の虚をつくようなチキータが狙えると思います。
もちろん、ストップ、ツッツキも良く止まる!ロングサーブもツッツキで意表をつきやすい!
やはり粘着ですので、ストップやツッツキも良く止まります。ロングサーブに対しツッツキすることも感覚的には不可能ではないと感じました。もちろんドライブで持ち上げも可能で上書きして相手のコートに確実に入れることも可能ですがロングサーブをツッツキして意表をつけるのは粘着らしい戦術だと思います。こういったことができるユーティリティーの高いラバーで手数が増やせるラバーだと思いました。もちろん回転量の最大値はキョウヒョウなどの粘着ほど高いわけではなかったですが、どの技術も安定感が高いのでラリー志向で勝負するときには非常に武器になるラバーだと思います。
各技術レビュー
フォアハンド系
軽打
違和感なく使えました。
ロングボールやラリーでのドライブ
キョウヒョウと比べるとスピードが出しやすいです。癖は少ないですね。
面を開いたドライブ
対下回転に対するループドライブ
やりやすかったです。回転量は並だと思います。Rakza Z Extra Hard (ラクザZエキストラハード)と比較すると楽に打てますが、その分エネルギーロスを感じました。
対下回転に対するスピードドライブ
Rakza Z Extra Hard (ラクザZエキストラハード)と比較してもかなり楽に打てるのは特徴だと思います。スピードドライブで相手へプレッシャーをかけるのはありだと思います。浮いていなくてもインパクトで持って行きやすいと感じました。
カーブ/シュートドライブ
ブロック
やりにくさはありませんでしたが、少し球持ちがある分、相手の回転の影響も受けやすい気がしました。
カウンタードライブ
やりやすかったです。やはりかけ返し系のカウンタードライブがやりやすいです。威力はそこまでなくてやはりタイミングで相手のいない場所へ打ち返すようなカウンターがやりやすいと思います。
ストップ
ピタリととまって良かったです。
ツッツキ
もちろん切れました。試合では非常に頼れる性能だと感じました。
フォアフリック
フォアサーブ
まずまず切れると感じました。
バックハンド系
軽打
ややマッドな打感ですが、インパクトが強い分、スピードが出しやすい感じがありました。
ロングボールやラリーでのドライブ
キョウヒョウと比較すると、やりやすくて中陣からでもスピード感のあるバックハンドドライブが打てると感じました。威力は出ますが少しパワーも必要だと感じましたので、この辺りは使用者が分かれるとも感じました。
対下回転に対するループドライブ
やりやすいですね。試合でもいきなり使えると思います。
対下回転に対するスピードドライブ
カーブ/シュートドライブ
ブロック
できなくはないですが、やはり少し回転の影響は受けやすいと感じました。
カウンタードライブ
フォアと同じく、かけ返し系がやりやすかったです。
ストップ
これも良かったです!止まりますね!
ツッツキ
よくきれます。相手の出足を止めることが可能です。
チキータ
スピード系のチキータも、入れるチキータもやりやすかったです。
他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
Dignics 09C > Rakza Z ≧ Tenergy 05
スピード
Dignics 05 > Rakza Z ≧ Dignics 09C