mizuno(ミズノ)

MIZUNO (ミズノ) Rubbers (ラバー)

ブランド

 スポーツ用具総合メーカーであるmizuno (ミズノ)のラバーについてのページになります。mizuno (ミズノ)さんは、総合スポーツメーカーで、他の卓球用具メーカーとは一線を画すメーカーで、その特徴は特にシューズにあると言えるでしょう!これは総合スポーツメーカーであることを上手に活用して、蓄積したシューズに関する技術、ゴムなどの素材を、高品質低価格で展開している点にあると思います。今後簡単にまとめていきたいと思ってます。本ページではラバーについてになります。
 卓球メーカーにとって、ラケットやウェア以上に消耗品であるラバーをどれだけ売れるか、は非常に重要なようです。mizuno (ミズノ)さんのラバーで大注目、高品質だったQシリーズですが、残念なことに2023年4月において、Q Qualitu (キュークオリティー)とQ 1 (キューワン)を除いて、Q3 (キュースリー)Q4 (キューフォー)Q5 (キューファイブ)は廃盤となってしまいました。住友理工との共同開発による、Made In Japanのラバー、Q5 (キューファイブ)2022年10月開催の全日本社会人選手権男子優勝 (大島祐哉選手が両面で使用)というタイトルを冠した直後のこの残念な悲報は、卓球界に激震を与えたと思います。SNSでかなり話題になりましたね。ラバーが廃盤となると、主要大会での使用は不可となってしまいますので、契約選手から一般選手層までその波はいっきに話題になった印象です。おそらくmizuno (ミズノ)としては、想定よりも売れなかったことと、Q3 (キュースリー)Q4 (キューフォー)Q5 (キューファイブ)はややニオイが臭いという点でも話題となったので、そこが問題だったかもしれませんね。katsuo000としてはTenergy 05 (テナジー05)なみの回転量とバタフライにはない癖が得られる唯一無二なラバーでもあったと思うのですが、本当に本当に残念です。他のメーカーにその技術を引き継いでほしいところですね。
 2023年秋-冬に待望のトップ選手用ラバー、Q Power (キューパワー)が発売となりました。このQ Power (キューパワー)は、一般層向けに発売されたQ Quality (キュークオリティー)のパワーアップ版のラバーになりますね。以前のQ (キュー)シリーズにみられた臭いニオイもなくなり、Q Quality (キュークオリティー)と同じようにやや硬めのシートを使っていてスポンジ硬度をより硬くしたトップ選手用のラバーですね。今後多くのmizuno (ミズノ)契約選手や一般選手が使用するのではないかと想像しますね。

Q (キュー) シリーズ

Q Power (キューパワー)

 スポンジ硬度:52°、  ラバー重量: 50 g
 硬度計評価 shore a (sheet):31.2、 shore a (sponge):29.4
       shore c (sheet):43.8、 shore c (sponge):42.7
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 2.8
 katsuo000のレビュー: https://katsuo000.com/review_q_power/

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Q Quality (キュークオリティー)

 スポンジ硬度:46、  ラバー重量:48 g
 硬度計評価 shore a (sheet):30.1、 shore a (sponge):27.8
       shore c (sheet):40.3、 shore c (sponge):39.5
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 2.3
 katsuo000のレビュー: https://katsuo000.com/review_q_quality/

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Q5 (キューファイブ) 廃盤

 スポンジ硬度:47、  ラバー重量:51 g
 硬度計評価 shore a (sheet):31.8、 shore a (sponge):31.1
       shore c (sheet):45.8、 shore c (sponge):44.3
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 0.7
 katsuo000のレビュー: https://katsuo000.com/review_q_5/

 mizuno (ミズノ)の看板ラバーだった、Q5です。mizuno (ミズノ)といえば、イケメンアスリート大島祐哉選手ですね!ホカバ時代に大きな活躍はなく、大学時代以降、日本のトップ選手へと大活躍した選手です。Tリーグで活躍していて、mizuno (ミズノ)契約時のラケットはFortius FT ver. D RE (フォルティウスFT ver. D RE)に両面Q5でした。ITTFワールドツアーでの優勝経験があり、中国トップ選手であるMa Long (馬龍)選手、Xu Xin (許 昕)選手にもフルセットまでもつれる試合をする実力者ですね。中国選手に勝利していたら、どうなっていたのかと夢を与えてくれて、その実力は確かです。その実力者である大島選手は、日本一ともいえるそのフォア側にTenergy 05 Hard (テナジー05ハード)を使っていましたが、mizuno (ミズノ)時はQ5を使っていました。今は本当に残念なことに廃番です。

Q4 (キューフォー) 廃盤

 スポンジ硬度:47、  ラバー重量:49 g
 硬度計評価 shore a (sheet):32.3、 shore a (sponge):30.9
       shore c (sheet):43.3、 shore c (sponge):43.0
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 1.4
 katsuo000のレビュー: https://katsuo000.com/review_q_4/

Q3 (キュースリー) 廃盤

 スポンジ硬度:47、  ラバー重量:47 g
 硬度計評価 shore a (sheet):30.5、 shore a (sponge):30.5
       shore c (sheet):42.3、 shore c (sponge):42.3
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 0.0
 katsuo000のレビュー: https://katsuo000.com/review_q_3/

Q 1 (キューワン)

 スポンジ硬度:44

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GF

GF Pro (GFプロ) 廃盤

 スポンジ硬度:47.5、  ラバー重量:49 g
 硬度計評価 shore a (sheet):32.4、 shore a (sponge):22.7
       shore c (sheet):41.3、 shore c (sponge):37.5
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 9.7
 katsuo000のレビュー:

GF T-48 (GF T-48) 廃盤

 スポンジ硬度:47.5

GF T-45 (GF T-45) 廃盤

 スポンジ硬度:45.0

GF T-40(GF T-40) 廃盤

 スポンジ硬度:40.0

GF R(GF R) 廃盤

 スポンジ硬度:40.0

・UNISON+(ユニゾンプラス)
 スポンジ硬度:42.0

表ソフトラバー

・Boosuter JP (ブースターJP)
 スポンジ硬度:43.0
・Booster SA(ブースターSA)廃盤
 Speed:10、Spin:8、スポンジ硬度:40.0
・Booster EV(ブースターEV)廃盤
 Speed:10.5、Spin:7、スポンジ硬度:42.5
・Booster HP(ブースターHP)廃盤
 Speed:10.5、Spin:7、スポンジ硬度:40.0

レビュー Q5

説明

 大手スポーツ用品ブランドのMIZUNO(ミズノ)は、他社卓球メーカーとの差別化を図るため、住友理工とラバーを共同開発しました。住友理工と共同開発したQシリーズ中、最高性能のラバー、それがQ5になります。Q3とQ4の発売後、さらに性能改善を追求したQ5はスポンジをQ3、Q4のものから進化させて、Accel Arc Sponge(アクセルアークスポンジ)に変更しているそうです。このアクセルアークスポンジによってQ5は食い込みの良さと反発力の両立を実現しエネルギー効率を高められているそうです。Q3、Q4と話題の多いラバーでした。このQ5ではさらなる話題として、ミズノと契約するトップ選手がQ5を本職ラバーとして使用することを発表しましたね。以下に契約した選手を挙げます。

 ・大島 祐哉選手(全日本選手権シングルス準優勝、全日本選手権ダブルス優勝)
 ・前出 陸杜選手(全日本カデット 14歳以下シングルス優勝)
 ・軽部 隆介選手(全日本社会人選手権シングルス優勝)
 ・平 侑里香選手(全日本社会人選手権シングルス優勝)

 卓球王国に掲載されている、Q5の情報について記載させていただきます。

 新ラバーのQ5は、Q3とQ4で採用していたスポンジをさらに進化している。それゆえにQ3・Q4とは同列ではなく、Q5が最も高性能であり、頂点のラバーだ。
 Q5はスポンジの気泡が大きく、食い込みが良い。一般的には柔らかくして食い込みが上がるラバーは弾まなくなるが、Q5のスポンジは、ゴムの基礎性能を上げることで、食い込ませながらもスピード・スピンがアップした。
 1. エネルギー効率UP
 2. スピン&飛距離UP
 3. 食い込みUP
 4. 軽量化(Q3・Q4より2 g前後軽量)
 5. コントロールしやすい

2018年 年末の卓球王国より

 ミズノのホームページに種々の情報が掲載されているQラバーの情報について引用させていただきました。まずは粒形状です。

 Q5は粒の太さが1.7 mmで、テナジーの粒の太さと同じ太さになりますね。粒と粒との間は0.65 mmとQシリーズで最も広く、粒が広がった形状になります。ただしQ3はQ5よりも粒が1.65 mmと0.05 mm細く、粒と粒の間は0.02 mm狭い形状になっています。改めて、各Qラバーについて、シートの体積を計算してみましょう。粒の中心4点を結んでできるひし形の面積にはちょうど粒が1つ存在します。そのひし形の面積と粒の面積の比を各Qラバーで算出、さらにシートと粒の高さからゴムの体積を算出してみました。

 Q3の
 ひし形の面積=(1.65 mm + 0.63 mm)×(1.65 mm + 0.63 mm)/2 = 2.5992 mm2
 粒の面積=1.65/2 mm × 1.65/2 mm × π = 2.1372 mm2
 粒/ひし形面積比 = 2.1372 / 2.5992 = 0.82224
 2.5992 mm2 × 0.78 mm + 2.1372 mm2 × 0.99 mm = 2.02738 + 2.11583 = 4.14321 mm3
 2.5992 mm2 × (0.78 mm+0.99 mm) = 4.60058 m3
 ゴムの体積比 = 4.14321 / 4.60058 = 0.90058

 Q4の
 ひし形の面積=(1.7 mm + 0.58 mm)×(1.7 mm + 0.58 mm)/2 = 2.5992 mm2
 粒の面積=1.7/2 mm × 1.7/2 mm × π = 2.26865mm2
 粒/ひし形面積比 = 2.26865 / 2.5992 = 0.87283
 2.5992 mm2 × 0.8 mm + 2.26865 mm2 × 0.95 mm = 2.07936 + 2.15522 = 4.23458 mm3
 2.5992 mm2 × (0.8 mm+0.95 mm) = 4.5486 m3
 ゴムの体積比 = 4.23458 / 4.5486 = 0.93096

 Q5の 
 ひし形の面積=(1.7 mm + 0.65 mm)×(1.7 mm + 0.65 mm)/2 = 2.76125 mm2
 粒の面積=1.7/2 mm × 1.7/2 mm × π = 2.1352 mm2
 粒/ひし形面積比 = 2.1352 / 2.76125 = 0.77327
 2.76125 mm2 × 0.77 mm + 2.1352 mm2 × 0.95 mm = 2.12616 + 2.02844 = 4.1546 mm3
 2.76125 mm2 × (0.77 mm+0.95 mm) = 4.74935 m3
 ゴムの体積比 = 4.1546 / 4.74935 = 0.87477

 Q3: 0.901
 Q4: 0.931
 Q5: 0.875

ということで、Q5が最もシート部分のゴムの体積が少ないことがわかります。これは意外な計算結果でした。Q5はQシリーズ中で回転もスピードも出るラバーということで、粒と粒の間の狭さはQ3とQ4の間に来るものと思いきや、結果として最もQ5がスピード系のラバーと考えることもできると思います。またスポンジも変更していることが明言されていますので、スポンジの変更によって回転性能を改善できていることが想像できますね。粒形状から言えることは、Qシリーズ中、Q5が最もスピード性能が高そうなラバーだと言えると思います。Q3・Q4と同じスポンジであれば、Q5が最もスピード性能の高いラバーになっていたと思いますが、実際はアクセルアークスポンジによって異なるラバーとなっているわけですね。

性能値

 公表性能値はGFシリーズには存在しますが、Qシリーズは図・マトリックスしか存在しません。ミズノのホームページより引用させていただきました。

 Qシリーズは、スピードも回転性能も、GFシリーズよりも高いことが分かりますね。

 Q5もQ3と同じ飛距離が出ている理由が、粒形状の体積比計算から納得できますね。弧線が上がっている理由はおそらくスポンジでしょうね。

 上記の図は、かなり理系な図で、個人的には興味深いですがわかりにくいですね。ラバーに使用されているゴムという材料は粘弾性を持つ材料ですので、外からの力に対して、どのように応答するのか、その応答を数値化している図になりますね。
 この図はゴムに力を加えたときに戻ろうとする力の効率のようですね。硬いとエネルギー損失が大きくなるみたいですね。このようなグラフをおそらくゴムの組成ごとに作っているのではないかと想像します。適切に硬く、適切にエネルギー効率の良いラバーを導き出しているのだと思います。

 Q5はテナジーやディグニクスでいうところの80に当たるラバーだと言えますね。ただし、Q5はシートでスピードを出しつつ、他のQ3、Q4のスポンジを進化させたアクセルアークスポンジによって回転性能を高めているラバーです。ミズノの看板ラケット、フォルティウスFTまたはFortius FT ver. D(フォルティウスFT ver. D)は木材系ラケットですのでラバーは粘着ラバーやハードで硬めのラバーがあうと言われています。実際使ってみた印象としてQシリーズは木材系のラケットとの相性が良いラバーでした。木材系ラケットは球持ちが良く回転をかけやすい一方で、スピードは少し遅くて弧線も高く出やすいのが特徴です。スピードが遅く、弧線が高いことを補うようなラバー仕様になっていると思います。

Q5の貼りと重量

 いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

 Q5は最も重くなりました。先行情報ではQ3やQ4よりも軽くなっているということでしたが、個体差でしょうか、かなり重いと思います。やはりQ3、Q4と同様にQ5も独特のゴム臭さがあります汗。

Q5(キューファイブ)
 Accel Arc Sponge(アクセルアークスポンジ)
 テンション系裏ソフト(XL52/3)
 日本製、日本卓球協会検定品
・Sponge Thickness: 中(1.7 mm)、厚(1.9 mm)、特厚(2.1mm)
・Sponge硬度:47
・6,800円 + 税
・72(切断前) → 51 g(張継科ZLCに貼って)

 51 g、ハイエンドラバーらしい重さだと思います。

Q5の3つの特徴

Qシリーズ中、最硬の打球感で一番回転がかかる!

 Q5は1球目からかなりマッドな打球感で、Q3やQ4と比較しても明らかに硬いと感じました。そして硬いですが、食い込ませてドライブした時のボールがかなりエグい回転量でした!多分回転量はTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)やRasanter R53(ラザンターR53)のレベルだと思います。この飛び抜けた性能はQ3やQ4ではない、Q5独自のもので、非常に好印象でした!
 硬いと感じましたが、レビューによってはQ3・Q4よりも食い込みが良いというものも散見しますので個体差が激しいのかもしれませんね。ただ得られる性能=スピン性能は、Q3・Q4より高いという点は同じようです。特にQ5で好感触だったのが、横を捉えたカーブドライブでエゲツない回転量と癖球っぽさがありました!硬いと感じましたが、横を捉えてドライブすることで球離れが遅くなって球持ちを感じやすくなり非常にコントロールしやすくなって、しかも武器になるドライブが打てるということで、もし気が向いたら意識的にカーブドライブしてみて欲しいですね!

もちろんツッツキ、ストップが止まってカウンタードライブがやり易い!Qシリーズの特徴を継承!

 Q3・Q4と同様に、Q5もツッツキとストップがピタリととまり、上書き系のカウンタードライブがとにかく好印象でした。この性能は、katsuo000がラバーに求めたい非常に重要な特徴で、しっかり有するので本職ラバー候補です。

Q3、Q4と比較して良い意味で癖がない弾道!そして癖球!

 他のQラバーは打球感から来るボールの弧線のイメージや飛び方が少し癖がありましたが、Q5はイメージ通りに飛ぶラバーだと感じました。従って最もイメージ通りに飛ばすことができて扱いやすいと感じましたね。この部分は長く卓球をしている人ほど感じると思います。逆に、若い選手はそこまで気にならないかもしれませんね。
 一方で、ラバー全体のくい込みのしづらさがあります。また卓球王国で販売後に少しコメントされていましたが、Q5特有の癖球が出るようですね。Fastarc G-1(ファスタークG-1)も同様の話があると思います。Q5のように、くい込みのしづらいラバーは、Butterfly(バタフライ)のラバーと異なり、ボールがバラケやすくなって、そのバラケによって相手にミスを誘えるようになると思います。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 1球目から硬かったです。また臭いました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 Q5はボールが上がりやすくて、Q3やQ4よりも弧線と飛距離がコントロールしやすいと思いました。またQ3とQ4ではコシの弱さを感じましたが、Q5ではコシの強さも健在と感じました。食い込ませてドライブしても、板に当たらずしっかり回転をかけることができて良かったです。フォアに使いたいと感じるラバーでしたね。

面を開いたドライブ
 ラケット板に当たる感じがなくて、回転をかけながら飛ばせて非常に好印象でした。

対下回転に対するループドライブ
 Q5は、Q4を超える最高レベルの質の高いループドライブでした。硬いスポンジから強烈なループドライブが放てると感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 少し硬いので食い込ませるのが大変でしたが打てると感じました。

カーブ/シュートドライブ
 Q5はカーブドライブこそ打つべきと感じました。かなり癖球っぽいエグいドライブが打てます!

ブロック
 これもQシリーズ全体的にやりやすかったです。硬くて相手の回転の影響を受けにくいためだと思います。

カウンタードライブ
 Qシリーズはずべて上書き系のカウンタードライブがやりやすくてよかったです。

ストップ
 ボールを止めやすくてよかったです。スポンジ硬度以上に止め易いと思います。

ツッツキ
 こちらも低くて良かったです。上手につっつけば回転もかかると思います。

フォアフリック

フォアサーブ
 しっかり切ることができて良かったです。Qシリーズの中で一番回転がかかって好感触でした。

バックハンド系

軽打
 硬くて、少し難しかったです。

ロングボールやラリーでのドライブ
 硬くて重かったのでかなりカドりました。またインパクトも弱いので落ちましたね。バックだと食い込ませる感覚が弱いので、スピード系のドライブになりやすかったです。

対下回転に対するループドライブ
 Q3は回転が弱くオーバーミスが多かったのですが、Q5はしっかりシートで引っかかる感じがあってやりやすかったです。 

対下回転に対するスピードドライブ
 実力不足でした。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 硬くてあまり回転の影響を受けないのでやりやすかったです。

カウンタードライブ

ストップ
 やりやすかったです。少しとまりすぎてネットミスもありました。

ツッツキ
 こちらも低くて良かったです。Q4に続き、Q5も切れると思います。

チキータ
 回転系のチキータが良かったです。落ちないですね。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 05 > Q5 ≧ Tenergy 05 Hard > Q4 ≧Tenergy 05 > Q3 ≧ Tenergy 80

スピード
 Dignics 05 > Tenergy 80 ≧ Q3 ≧ Q5 ≧ Q4 > Tenergy 05

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レビュー Q4

説明

 大手スポーツ用品ブランドのMIZUNO(ミズノ)は卓球界では後発ですが、他社卓球メーカーとの差別化を図るため、卓球界では挑戦的に住友理工とラバーを共同開発しました。その共同開発したラバーがQシリーズになります。Q3の発売からまもなく、Q4が発売されました。Q3の時から話題の多いシリーズのラバーで、その背景にはミズノが住友理工とゼロから共同開発してトップ選手用のラバーを開発した事実があります。非常に挑戦的で卓球界に刺激を与える効果があったでしょう!
 katsuo000は卓球のラバー製造は詳しいわけではないですが、基本的に各卓球メーカーは製造工場を持っているわけではなく、シート材質、シートの粒形状、スポンジ材質、スポンジ硬度などを指定して、ラバーを製造できる工場やメーカーへ外注していることが大半だそうです。よってゼロから作り上げるわけではなく、選択肢の中から選ばれたシート材質、粒形状、スポンジ材質、スポンジ硬度になるわけです。組み合わせはいく通りも存在するでしょうが、流行のラバーに求められる組み合わせはどうしても似てくるでしょうね。住友理工は今までラバー製造をしていなかったメーカーですので、他のラバー工場で作られたラバーとは明らかに差別されるわけですね。
 住友理工との共同開発において、参考としたと思われるラバーはモンスターラバー、テナジーシリーズでしょう。現在QシリーズはQ3、Q4、Q5と3種類販売されていますが、本ページで試打レビューしているQ4は最も回転性能が高いラバーになります。テナジーシリーズでいうところの、Tenergy 05(テナジー05)に当たるラバーになるわけですね。

 ミズノのホームページに種々の情報が掲載されていますので引用させていただきました。

 Q4は粒の太さが1.7 mmで、テナジーの粒の太さと同じ太さになりますね。粒と粒との間は0.58 mmとQシリーズで最も狭く、粒が密集した形状になります。Tenergy 05(テナジー05)は、粒の太さが1.7 mmで粒と粒との間の距離が最も狭く、球持ちと回転量の高さが特徴のラバーでQ4はテナジー05に酷似した粒形状だと言えます。また、おそらくなのですが、テナジーシリーズはシートの厚さ/粒の高さを変更していないのに対しQシリーズは、シートの厚さ/粒の高さを各Qラバーで変更しています。その結果、シリーズで比較したときにはテナジーシリーズとQシリーズはイメージがかなり異なるラバーになっていると思います。一言で表現させてもらうと、テナジーシリーズは公表性能値上の差を感じる一方でどのラバーもそこまで尖りすぎていないと感じますが、Qシリーズは各ラバーがそれぞれ個性が強く同じシリーズながら、Q3、Q4、Q5それぞれが存在感を示していると感じました。なおQ4に関して申し上げるとQ4では他のQラバーよりもシートは0.8 mmと厚く、粒は0.95 mmと低くしています。このシートが熱いというのは、ドイツ製ラバーの流行であるシートは薄い形状とは逆行するようなシートの厚さと粒の太さになると思います。どちらかと言えば、シートが厚く粒が太い粒形状は粘着ラバーに見られる形状ですね。この粒形状がQ4にどのような特徴を与えているかは、試打内容をご覧いただきたいと思います。

性能値

 公表性能値はGFシリーズには存在しますが、Qシリーズは図・マトリックスしか存在しません。ミズノのホームページより引用させていただきました。

 Qシリーズは、スピードも回転性能も、GFシリーズよりも高いことが分かりますね。

 Q4はテナジー05のように弧線が高く飛距離が出にくいことがわかります。

 上記の図は、かなり理系な図で、個人的には興味深いですがわかりにくいですね。ラバーに使用されているゴムという材料は粘弾性を持つ材料ですので、外からの力に対して、どのように応答するのか、その応答を数値化している図になりますね。
 この図はゴムに力を加えたときに戻ろうとする力の効率のようですね。硬いとエネルギー損失が大きくなるみたいですね。このようなグラフをおそらくゴムの組成ごとに作っているのではないかと想像します。適切に硬く、適切にエネルギー効率の良いラバーを導き出しているのだと思います。

 わかりやすいですね。Q4はテナジーやディグニクスでいうところの05に当たるラバーだと言えますね。ただし、完全に同じではないということもわかります。おそらく、Qシリーズはミズノの看板ラケット、フォルティウスFTまたはFortius FT ver. D(フォルティウスFT ver. D)と組み合わせて開発されたようで、木材系のラケットとの相性が良いラバーのようです。木材系ラケットは球持ちが良く回転をかけやすい一方で、スピードは少し遅くて弧線も高く出やすいのが特徴です。スピードが遅く、弧線が高いことを補うようなラバー仕様になっていると思います。

Q4の貼りと重量

 いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

 Q3に引き続き、Q4もまずまずラバーの反り返りがすごいですね。テンションがかかっているのでしょうね。貼る前からここまで反り返っているのは本当に驚きです。やはりQ3と同様にQ4も独特のゴム臭さがあります汗。

Q4(キューフォー)
 テンション系裏ソフト(XL52/3)
 日本製、日本卓球協会検定品
 太めの粒形状、粒と粒の間が最も狭い
・Sponge Thickness: 中(1.7 mm)、厚(1.9 mm)、特厚(2.1mm)
・Sponge硬度:47
・6,300円 + 税
・66(切断前) → 49 g(張継科ZLCに貼って)

 50 gを下回りましたね。思ったより軽いと感じました。

Q4の3つの特徴

飛ばない!ドライブが浅く入り易い!

 Q4はとにかくドライブが浅く入りました!このため人によってはQ4はとても直線弾道と感じるかもしれません。Q3と比較するとQ4はむしろ柔らかく感じ、粘着ラバーらしさは少々控えめな印象でした。スイングに対してボールを持ち上げやすく弧線の高さも感じないわけではありませんがそれ以上に飛距離が出なくて浅く入るとともに対空時間が短いのでスピードはむしろ速く感じました。今までいくつもラバーを使ってみましたが、ここまで他のラバーと類を見ない特徴は初めてでした!Q4のように弧線が上がるのにボールは浅く直線的でスピードを感じるラバーはkatsuo000は知りません。非常に個性的なラバーでした!

ツッツキ、ストップが止まってカウンタードライブがやり易い!

 Q3同様に、Q4もツッツキとストップがピタリととまり、上書き系のカウンタードライブがとにかく好印象でした。Q5でも感じましたので、Qシリーズの特徴と言えるでしょう。このツッツキ/ストップとカウンタードライブの特徴だけでもQシリーズはアリだと思います!

強い回転量なのに扱いやすい!

 Q3と比較するとQ4の方が明らかに柔らかくて使いやすく、それでいて強い回転をかけることができました!ただし、フォアで使うと個人的には少し物足りない硬さでどちらかというとバックの方があうかもしれません。柔らかい粘着テンション/硬めのスピン系テンションのようなボールが出せるラバーだと思います。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 特に違和感ありませんでした。少し臭いました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 Q3同様、Q4も少しドライブが落ちそうでした。厚めにボールを弾こうとすると、すぐに板に当たると感じるくらい食い込みが良く、ラバー全体のコシは少し弱いかもしれません。これをラバーが負けると感じる人もいるかもしれません。食い込ませてドライブしたときに、すぐに板に当たると感じるので、張継科ZLCだと飛距離は出し易いのですが、回転量の弱いスピードドライブになり易いと感じました。この点が、Q4はフォアには合わないと感じた理由です。

面を開いたドライブ
 硬めのラバーですがすぐラケット板に当たる感じがありました。Q3同様Q4も食い込ませすぎると回転がかからずミスしやすくなると思います。

対下回転に対するループドライブ
 Q3でも質の高いループドライブでしたが、Q4も期待通り質の高いループドライブでした。ただもっと硬いスポンジならもっと強烈なループドライブになるとも感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 これもQ3同様に要注意で、スピードと回転を半々くらいでのスピードドライブが安定しました。ただ、Q4は回転がかかり易く柔らかいので比較的やり易いと思います。

カーブ/シュートドライブ
 Q3同様にあまりじっくり打てなかったのですが、かなり好感触でした。少し巻き込んでカーブドライブ気味にドライブする方が、回転のかかり方が強くて横回転が入る分ボールも安定してよかったです。

ブロック
 これもQ3同様にやりやすかったです。硬くて相手の回転の影響を受けにくいためだと思います。

カウンタードライブ
 Q3同様に上書き系のカウンタードライブがやりやすくてよかったです。またカウンタードライブは思ったよりスピードが出やすくて出すつもりがなくてノータッチを狙えるドライブになる感じがありました。

ストップ
 ボールを止めやすくてよかったです。スポンジ硬度以上に止め易いと思います。

ツッツキ
 こちらも低くて良かったです。上手につっつけば回転もかかると思います。

フォアフリック

フォアサーブ
 しっかり切ることができて良かったです。Q3以上に回転がかかって非常に好感触でした。

バックハンド系

軽打
 そこまで硬いとは感じませんでした。

ロングボールやラリーでのドライブ
 意外とやりやすかったです。柔らかいと感じました。Q3は粒は倒れ易い分スポンジを硬めに、Q4は粒が倒れにくい分スポンジを柔らかめにしているのだと思います。安定感があって弧線も描いてスピードも感じてとても好印象でした。

対下回転に対するループドライブ
 しっかりボールを掴んで回転もかけられるのでとても安定しました。柔らかめなのでインパクト不足も起こりにくくて良かったですね。 

対下回転に対するスピードドライブ
 練習すればQ3よりも打ち易いと思います。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 硬くてあまり回転の影響を受けないのでやりやすかったです。

カウンタードライブ

ストップ
 やりやすかったです。少しとまりすぎてネットミスもありました。

ツッツキ
 こちらも低くて良かったです。Q4なら切れると思います。

チキータ
 めちゃめちゃやり易いですね。思い切り回転をかけに行けます。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 05 > Q5 ≧ Tenergy 05 Hard > Q4 ≧Tenergy 05 > Q3 ≧ Tenergy 80

スピード
 Dignics 05 > Tenergy 80 ≧ Q3 ≧ Q5 ≧ Q4 > Tenergy 05

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レビュー Q3

説明

 大手スポーツ用品ブランドのMIZUNO(ミズノ)は卓球界では後発ですが、他社卓球メーカーとの差別化を図るため、卓球界では挑戦的に住友理工とラバーを共同開発しました。その共同開発したラバーがQシリーズになります。Q3の発売は2017年で発売当初から、住友理工との共同開発した挑戦的なラバーとして話題となったラバーでした。この背景には近年卓球界ではドイツ製ラバーが台頭し、日本製ラバーはButterfly(バタフライ)のTenergy(テナジー)シリーズとDignics(ディグニクス)シリーズをのぞいて、減って来ている事実があります。しかしながらミズノは共同開発できるメーカーを探してゼロからトップ選手用のラバーを開発したわけです。非常に挑戦的で卓球界に刺激を与える効果があったと思います!

 Qシリーズのラバー以前のミズノのラバーといえば、テンション系表ソフトラバーのヒット商品、Booster(ブースター)シリーズや、ドイツ製テンション系裏ソフトラバー、GFシリーズが挙げられると思います。ブースターシリーズは女子選手を中心に存在感を示していましたが、GFシリーズは辛口に申し上げると浸透はあまりしていませんでした。価格帯もトップ仕様というよりは中級者層をターゲットにしたような価格設定でした。一方、ラケットについては、元日本代表の藤沼亜衣選手が監修した7枚合板ラケット、Fortius FT(フォルティウス)が、扱いやすさと7枚合板の威力で確かな存在感を示していました。しかしながらラケットは一度購入したら1年以内に新たに購入する類のものではないので、収益には繋がりにくいのでしょうね。そこで、トップ選手でも使用に足るハイエンドなテンション系裏ソフトラバーの開発が始まったのだと思います。

 住友理工との共同開発において、参考としたと思われるラバーはモンスターラバー、テナジーシリーズでしょう。現在ではQシリーズはQ3、Q4、Q5と3種類販売されていますが、本ページで試打レビューしているQ3は最もスピード性能が高いとしているラバーになります。テナジーシリーズでいうところの、Tenergy 64(テナジー64)に当たるラバーになるわけですね。このラバーの注目は、なんと言っても他のメーカーのラバーでは絶対に使用していないスポンジとシートです。katsuo000は卓球のラバー製造は詳しいわけではないですが、基本的に各卓球メーカーは製造工場を持っているわけではなく、シート材質、シートの粒形状、スポンジ材質、スポンジ硬度などを指定して、外注していることが多いようなのです。よってシート材質、粒形状、スポンジ材質、スポンジ硬度の組み合わせはいく通りも存在するでしょうが、流行のラバーに求められる、シート材質、粒形状、スポンジ材質、スポンジ硬度はどうしても似てきますから、同じラバー製造工場で製造されたラバーはどうしても似てきてしまう、ということが生じるのでしょう。しかしQシリーズは住友理工で製造されていて、住友理工は他のラバーは製造していないようですので、他の卓球用具メーカーとは差別化されているというわけです。同じことをしているメーカーは、Butterfly(バタフライ、タマス)になりますね。自社工場を持ち、テナジーやディグニクスといったラバーはバタフライの工場でしか作ることができない、という強烈な差別化をはかっているわけですね。

 ミズノのホームページに種々の情報が掲載されていますので引用させていただきました。

 Q3は、粒の太さが1.65 mmと少し細めで粒と粒との間は0.63 mmに調整されています。テナジーシリーズの主軸、Tenergy 05(テナジー05)、Tenergy 80(テナジー80)、Tenergy 64(テナジー64)は、粒の太さが1.7 mmで粒と粒との間の距離が最も短いのがテナジー05、中間がテナジー80、最も離れているのがテナジー64になります。Q3は1.7 mmよりも細い1.65 mmの粒で、倒れやすくてスピードが出しやすいラバーになるようです。また、シートの厚さは0.78 mmで粒の高さは0.99 mmと他のQ4、Q5よりも高い粒ですので、それだけ粒が細い特徴が現れやすいラバーと想像できますね。

性能値

 公表性能値はGFシリーズには存在しますが、Qシリーズは図・マトリックスしか存在しません。ミズノのホームページより引用させていただきました。

 Qシリーズは、スピードも回転性能も、GFシリーズよりも高いことが分かりますね。

 Q3は飛距離が出ることがよく分かりますね。弾道は最も低いこともわかります。

 上記の図は、かなり理系な図で、個人的には興味深いですがわかりにくいですね。ラバーに使用されているゴムという材料は粘弾性を持つ材料ですので、外からの力に対して、どのように応答するのか、その応答を数値化している図になりますね。
 この図はゴムに力を加えたときに戻ろうとする力の効率のようですね。硬いとエネルギー損失が大きくなるみたいですね。このようなグラフをおそらくゴムの組成ごとに作っているのではないかと想像します。適切に硬く、適切にエネルギー効率の良いラバーを導き出しているのだと思います。

 わかりやすいですね。Q3はテナジーやディグニクスでいうところの64に当たる粒形状だと言えますね。ただし、完全に同じではないということもわかります。おそらく、Qシリーズはミズノの看板ラケット、フォルティウスFTまたはFortius FT ver. D(フォルティウスFT ver. D)と組み合わせて開発されたようで、木材系のラケットとの相性が良いラバーのようです。木材系ラケットは球持ちが良く回転をかけやすい一方で、スピードは少し遅くて弧線も高く出やすいのが特徴です。スピードが遅く、弧線が高いことを補うようなラバー仕様になっていると思います。

Q3の貼りと重量

 いつものようにZhang Jike ZLC(張継科ZLC)に貼りました。

 ラバーの反り返りがすごいですね。テンションがかかっているのでしょうね。他のメーカーと比べても明らかに反り返ってます。ちなみに独特のゴム臭さがあります汗。

Q3(キュースリー)
 テンション系裏ソフト(XL52/3)
 日本製、日本卓球協会検定品
 細めの粒形状、粒と粒の間が狭い
・Sponge Thickness: 中(1.7 mm)、厚(1.9 mm)、特厚(2.1mm)
・Sponge硬度:47
・6,300円 + 税
・69(切断前) → 47 g(張継科ZLCに貼って)

 軽いと感じました。64に近い粒形状のシートですので、軽いのは当たり前かもしれません。

Q3の3つの特徴

1. 粘着ラバーのような打球感!

 Q3は打球感は非常にマットでまさに粘着ラバーに近いようなスピン系テンションラバーでした!粘着ラバーのような打球感ですが、スピードはスピン系テンションラバーとして十分以上出てるし、回転量と重さも最低限あったと感じました。打球感はおいておいて、打てるボールは前評判通りのものだと感じましたね。イメージとしては、Q3はスポンジ粒は倒れやすいスピード系の粒形状のシートでありながらスポンジはかなり硬めでハードなラバー、と感じました。

2. ツッツキ、ストップが止まる!

 驚いたのが、Q3のツッツキとストップで、とにかくピタリととまりました他のQシリーズも同様でツッツキ、ストップが浮きにくかったです。素晴らしい特徴だと思います!切りやすいわけではないですが、ツッツキとストップの止まり方は非常に好印象でしたね。これだけ止めやすいとなると、普通に本職として使っても良いと感じました!

3. カウンタードライブがやりやすい!

 ツッツキとストップに加えて、非常に好感触だったのがQ3でのカウンタードライブですね。上書き系のカウンタードライブがとにかく好印象で、ひきつけてドライブで上書きするとたいてい入るような万能感がありましたね。これは非常に頼りになるラバーだと感じましたね。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 硬さを感じますね。硬さでボールが落ちそうな打球感でした。

ロングボールやラリーでのドライブ
 ドライブも硬さで落ちそうになる感じです。弱いタッチのドライブが難しくて、ドライブを打つならガツっとかけないと落ちてしまう感じです。ドライブを打って感じたこととして、弧線を大きく描きやすい木材系ラケットとの組み合わせた方がバランスが取れそうな気がしました。まさにフォルティウスFTかフォルティウスFT ver. Dですね。ただどちらも重いラケットで、ラバー面積も広いラケットですので、Qシリーズを貼るとかなり重くなると思います。
 ドライブのスピードはかなりあって、弧線もしっかり描いていました。同じくらいのスポンジ硬度であるRasanter R48(ラザンターR48)と比べても明らかに硬くてマッドでヘビーな打球感でした。

面を開いたドライブ
 硬いラバーなので期待したのですが、思ったよりすぐ板に当たる感じがありました。Q3だからかもしれません。Q4またはQ5に期待したいです。板に当たる感じがあるので、食い込ませすぎると回転がかからずミスしやすくなると思います。

対下回転に対するループドライブ
 Q3でもかなり質の高いループドライブができました。少し体が怠ると回転量が落ちる感じがありましたが、スピード系の粒形状のラバーであるのにかなり好感触なループドライブでした。Q4やQ5に期待したいです。

対下回転に対するスピードドライブ
 これは要注意で、スピードと回転を半々くらいでのスピードドライブが安定しました。食い込ませすぎると不安定です。板に当たり易いからだと思います。

カーブ/シュートドライブ
 あまりじっくり打てなかったのですが、かなり好感触でした。少し巻き込んでカーブドライブ気味にドライブする方が、回転のかかり方が強くて横回転が入る分ボールも安定してよかったです。

ブロック
 やりやすかったです。硬くて相手の回転の影響を受けにくいためだと思います。

カウンタードライブ
 上書き系のカウンタードライブがやりやすくてよかったです。またカウンタードライブは思ったよりスピードが出やすくて出すつもりがなくてノータッチを狙えるドライブになる感じがありました。

ストップ
 ボールを止めやすくてよかったです。スポンジ硬度以上に止め易いと思います。

ツッツキ
 こちらも低くて良かったです。ただしあまり切れていないので上手な人は打ち込めると思います。

フォアフリック

フォアサーブ
 しっかり切ることができて良かったです。最低限の回転がかかっていると感じました。

バックハンド系

軽打
 そこまで硬いとは感じませんでした。

ロングボールやラリーでのドライブ
 意外とやりやすかったですが気を抜くと振り遅れてミドルやフォアへ流れて行きました。ドライブしやすいラバーだと思います。

対下回転に対するループドライブ
 思ったより難しかったです。球離れが速く、手だけで打とうとすると落ちると思います。しっかり体で打てれば十分安定すると思います。 

対下回転に対するスピードドライブ
 腕の問題だと思いますが難しかったです。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 硬くてあまり回転の影響を受けないのでやりやすかったです。スマッシュなどをとるのは難しいと思います。

カウンタードライブ

ストップ
 やりやすかったです。少しとまりすぎてネットミスもありました。

ツッツキ
 こちらも低くて良かったです。でも切れてはないですね。

チキータ
 やりやすかったです。しっかり上に上がりますね。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 05 > Q5 ≧ Tenergy 05 Hard > Q4 ≧Tenergy 05 > Q3 ≧ Tenergy 80

スピード
 Dignics 05 > Tenergy 80 ≧ Q3 ≧ Q5 ≧ Q4 > Tenergy 05

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レビュー Fortius FT(フォルティウスFT)

説明

 スポーツメーカーの大手、mizuno(ミズノ)が販売する標準的なパワフル系7枚合板ラケット、Fortius FT (フォルティウスFT)のレビューになります。FTはFine Touchの略になりますね。察しの言い方はわかるかもしれませんが、ミズノは過去にFortius(フォルティウス)というラケットも販売してましたがフォルティウスは廃盤となりました。過去の情報を拝見する限りどうやらフォルティウスFTよりも硬質でスピードの出るラケットだったようです。そのフォルティウスよりも、より打球感を良くしたラケットがフォルティウスFTということでしょう。
 木材構成は心材がAyous(アユーズ)、Hinoki(ヒノキ)2枚、アユーズ2枚、Limba(リンバ)2枚の計7枚という構成になります。オール木材ですので、メーカー公表値(重量92 g、板厚6.4 mm)よりも重い/軽い、厚い/薄いなどの個体差が結構ありますので、インターネット販売なら重量や板厚指定、できるのであれば卓球ショップで板厚や重量を確認してから購入した方が良いでしょう。各社の7枚合板ラケットの比較表を今後作ってみたいと思ってます。本稿で強調させていただくことは、一般男子選手でもずしりと重いと感じる本格的なパワフル系7枚合板ラケットで、定価7,600円というまずまずのリーズナブルなラケットだということです。
 現在はサブラケットですが、本職ラケットとしても使用してました。ラケットスペック重量:93 g (届いた時は89-90 gくらいでした。汗や水分、そして接着剤を吸ってだいぶ重くなってしまいました。)板厚:6.5 mm (公称値6.4 mm)で少々個体差を受けておりますね汗。ラバーなしで球をつくと意外に高い音がなります。弾みもまずまずです。結構良いラケットなんですよね。扱いやすくて、威力やパワーも出て、回転もかかって、と非常にバランスの取れた7枚合板ラケットになります。

フォルティウスFTの3つの特徴

1. 広ブレード面積で先端重心/7枚合板重量級ラケット!
 →攻撃時は遠心力が活かせるパワフルさ!
 →守備時はブロックがど安定!

 公表のブレードの長さは縦158 mm、横150 mmになります。ちなみに日本メーカーButterfly(バタフライ)やVICTAS(ヴィクタス)のブレード面積は主には縦157 mm、横150 mmがメインになりますね。ブレード面積について今後まとめていきたいと考えてますので、お待ちください。ちなみに、Hurricane Long 5(キョウヒョウ龍5)やHarimoto Tomokazu Inner Force(張本智和インナーフォース)シリーズのラケットはブレード面積が広いです。ブレード面積が広くなることで、ラケットの重心は明らかに先端へと移りますね。ミズノのフォルティウスシリーズでは、縦は158 mmで横は150 mmと一般的なブレードサイズよりも縦だけ長くなっています。このブレードサイズは特徴的(もちろんフォルティウスFTだけのブレードサイズではなく、TSPのSWAT(スワット)シリーズもこのサイズです。)だと思います。より先端重心になるような設計としているのだと思います。なお、バタフライのラケットは一般的なブレードサイズが多いですが、グリップを空洞にしたり逆に重くしたりすることで重心をコントロールしているようです。
 先端重心になることによるメリットは、より遠心力を効かせることができるので威力のあるボールが打てるようになります。その反面デメリットとして、ラケットが重たく感じます。切り返しも遅くなる(ように感じる)と言われています。個人的にはラケットが重たく感じるとともに、7枚合板らしいしっかりとした板厚がある分、相手の強打に対し押されにくいと感じるので、ブロックも安定するようになると感じました。

ラケットのブレードサイズと重量

2. 上板リンバの万人受けする打球感!

 このラケットは上板にLimba(リンバ)材をもちいており、とてもグリップ感を感じます。このリンバを上板に採用したラケットは、非常に好まれる打球感となるので人気ですね。自分もかなり好みの打球感ですね。リンバを上板に採用することで、スイングスピードに左右されにくく融通が効いて咄嗟のボールにも強くなると感じます。特にバックハンドがやりやすい印象があります!

3. フォルティウスFT. ver. D以上の重量と合板らしい癖球!

 公表のラケット重量はver. Dよりも重いです。このため、扱いにはエネルギーやパワーは必要ですが、その分威力のある合板らしい癖球が出しやすいと言われています。実際ラケット重量は92 gと重いので、それだけでも威力が出しやすいと思います。

おすすめのラバー組み合わせ

フォアラバー

V>15 Extra

 重量は重いですが、V>15 Extraの硬さをフォルティウスFTのリンバの上板によって扱いやすくなります。フォアカウンターは、スマッシュ、ドライブ、どちらもやりやすい組み合わせと言えるでしょう。扱いにくいとかサーブが切れないと感じるなら、V>15 Stiffなど硬度を下げるのが良いと思います。

Tenergy 05(テナジー05)

 V>15 Extraでは重量が重いと感じるのであれば、バタフライのラバーがおすすめになります。テナジー05はグリップ感も強いので、回転がかけやすい組み合わせとなって扱いやすくなると思います。ループドライブやドライブの引き合いではとても頼りになる組み合わせだと思います。

Hurricane NEO III(キョウヒョウNEO3)

 7枚合板ということで木材系ラケットですので、粘着ラバーともよくあいます。特に癖球が出やすい組み合わせなので粘着ラバーを使おうと思うなら粘着ラバーの強みが活かせると思います。キョウヒョウのような硬いラバーでもどのように扱えば良いかわかりやすい組み合わせだと思います。

バックラバー

 Fastarc G-1(ファスタークG-1)

 かなりオススメなラバーがファスタークG-1です。ドイツ製ラバーらしい扱いやすさや癖球の出やすさを維持しながら、ラケットもラバーもグリップ力のある用具ですので、かなり回転をかけやすくてド安定します!ラケットを使いこなせれば回転量や威力も得られるので、レベルを問わずオススメできるラバーだと思います。

 Rozena(ロゼナ)

 回転量はそこそこで、自分の球にして返球するというよりは、扱いやすさとブロックの安定感、スピードが欲しいならロゼナだと思います。個人的にはラケットもラバーも柔らかいもの同士の組み合わせなので、回転の影響を受けやすくレシーブは難しいと感じましたがその分、ブロックやラリーはド安定しますね。また練習量を維持できるなら、成長できる組み合わせだと思います。

 Rigan Spin(ライガンスピン)

 試合でのミスを減らせる扱いやすさを求めるのであればライガンスピンですね。球質や威力は落ちますが回転は変えやすいのでとても扱いやすいです。バックはつないで、フォアで仕留めるという方にオススメします。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 カーボン系ラケットと比較するとわかるレベルの弧線を描きます。とても安心感のある放物線を描きますね。

ロングボールやラリーでのドライブ
 軽打で感じる放物線がより大きくなると言えば良いでしょうか。カーボン系ラケットと比較してもボールが上へと進みやすいと感じます。安心感を感じますね。威力を出すなら、かなりボールへぶつけるように、ボールをつぶすように、打球した方が良いかもしれません。

面を開いたドライブ
 柔らかいので、かなりぶつけても回転がかかる感じがあります。ラケットが柔らかすぎるので、逆に感覚を掴みにくいかもしれません。威力や回転量のMax値も少し低いと感じてしまいました。扱いやすいラケットですので致し方ないかもしれません。その分、打ち損じも少ないと感じました。

対下回転に対するループドライブ
 もの凄い安心感でした。このラケットならミスしづらいですね。なぜミスしにくかいと感じるのかというと、スイングスピードが多少遅くても回転がしっかりかかるので、角に当てにくいためです。硬めのラケットだとある程度のスイングスピードが必要になるので、できるだけ引きつけたくなるのですが、そうすると咄嗟の変化についていけないことが少なくありません。結果的に角に当てやすくなります。しかしフォルティウスFTまたはフォルティウスFT系のラケットで角に当てるミスの印象が非常に少ないです。おそらく、スイングスピードの許容の幅が広いからだと思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 組み合わせたラバーやラケット重量にもよりますが、かなり打ちやすいですね。素晴らしいです。この安定感は武器になりますね!

カーブ/シュートドライブ
 少し浮きやすいと感じるので、相手のミドルへと伸ばすように使うと活きると感じました。あと戻りたい時なんかにもすごく良い技術になると思います。

ブロック
 安定しますね。押されないです。

カウンタードライブ
 カーボン系ラケットよりも明らかに融通が効きます!そこはメリットですね。一方で威力やきれは少し落ちるかもしれません。また回転の影響も受けやすいので、個人的にはカウンターのしやすいラバーを貼ることをオススメします。

ストップ
 これはやりやすいですね。打点を落としてのストップが好印象でした。相手に逆をつかれても慌てず対処できる心の安心感がありました。

ツッツキ
 少し柔らかいので、思い切り切りに行くのは難しいと感じました。ツッツキが切りにくいので、ドライブ強打はくらいやすいと感じます。コースをしっかり狙って打点も早めにして相手に余裕もって打たれない工夫が必須ですね。

フォアフリック
 やりやすいです。ボールをしっかり掴むので乗せ打ち的な打ち方も少し回転をかける打ち方もどちらもやりやすいと思います。

サーブ
 しっかり切ることができますが、柔らかい分浮きやすいです。打球点は低く台スレスレで出すようにした方が良いと感じました。

バックハンド系

軽打
 やりやすいです。特にアクティブブロックにはならないレベルの、ボールを打球してから少しドライブ回転をかけるようなバックハンドが安定します。基本的にはブロックもラリーもこの打ち方でド安定するので、安心感が半端ないですね。良いラケットです!

ロングボールやラリーでのドライブ
 ドライブは少し手首を効かせて遠心力をうまく使った方が威力のあるボールが打ちやすいです。でも自分は手首を使うと打球点がブレやすくて、またフォルティウスFTも重く感じるので、練習ではできますが、試合ではあまり多用できなかったです。ラケットが重いので、バックハンドグリップ(親指と人差し指の間とラケットの間を離して、親指を立てて握るグリップ)にするとやりやすいと感じました。

対下回転に対するループドライブ 
 ラケットが重いので容易ではないですね。手首だけで打つと不安定になりやすいので、しっかり体を使って打つと安定すると思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 正直、自分の実力では難しかったです。しっかり体と腰を使ってラケットを引っ張るように打つと良いと思います。

カーブ/シュートドライブ
 打感は柔らかいので、シュート系よりはカーブ系の方が安心感はありました。威力はシュート系の方がボールをつぶすように打ちやすいので出しやすかったです。

ブロック
 安定しますね。少し球離れが遅い印象もあるので、打球点を早めで捉えてプレッシャーをかけれるならかけた方が良いと思います。弧線を描きすぎる感じですね。上手な方ならカウンターを狙った方がいいと思います。

カウンタードライブ
 ミート系もドライブ系も安定します。自分は手首を使うとラケットが重いので打点がブレてしまい安定感が減りました。どちらかというとラケットを固定してミートか押すようなやり方の方がやりやすかったです。上手い方なら上手にラケットを引っ張ってしっかり回転をかけるドライブの方が威力と安定感が両立できると思います。

ストップ
 やりやすいですね。どんなラバーでもストップしやすいです。ただ回転量は減る印象を受けたのでチキータやフォアフリックが上手い人には要注意かもしれません。

ツッツキ
 シートだけで切ろうとした方がいいですね。あまり柔らかいラバーだと切れないかもしれないです。

チキータ
 やりやすいですが、棒球も出やすいのでしっかり回転をかけることを意識した方がいいと思います。やはりバックハンドグリップでチキータした方がやりやすいと感じました。

サーブ
 遠心力を利用した方がいいサーブが出ると感じました。

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 張継科ZLC > フォルティウスFT ver. D ≧ フォルティウスFT > 水谷隼SZLC

スピード
 フォルティウスFT ver. D > フォルティウスFT > VIrtuso+ (OSP)

食い込ませたときの弧線の出しやすさ(ボールの沈み込みやすさ)
 フォルティウスFT ≧ フォルティウスFT ver. D > 水谷隼ZLC > 張継科ZLC

粘着ラバーとの相性
 フォルティウスFT ver. D > フォルティウスFT > 水谷隼ZLC

その他
 合板ラケットですので、個体差は激しいですが、その分リーズナブルなことが嬉しいです。多分5000円台で購入が可能だと思います。

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Mizuno (ミズノ) Blades (ラケット)

 スポーツ用具総合メーカーであるmizuno(ミズノ)のラケットになります。ミズノさんは、どうやら低価格の木材系ラケットを中心に販売する戦略だと思います。フラグシップ的なラケットはFortius(フォルティウス)シリーズになりますね。
 板厚が、6.0 mm、6.4 mm、6.6 mmの3種類というのがまた特徴的ですね。過去にはFortius(フォルティウス)というラケットが販売されていたようですが、2020年4月現在は廃盤のようですね。

Fortius(フォルティウス)シリーズ

・Fortius FT ver. D(フォルティウスFT ver. D)
 https://katsuo000.com/review_fortius_ft_ver_d/

・Fortius FT(フォルティウスFT)
 https://katsuo000.com/review_fortius_ft/

その他のラケット

より引用させていただきました。

https://www.mizunoshop.net/nav/卓球-ラケット

レビュー Fortius FT ver. D(フォルティウスFT ver. D)

説明

 スポーツメーカーの大手、mizuno(ミズノ)が扱うトップ選手用のハイエンドラケット、Fortius FT ver. D (フォルティウスFT ver. D)になります。日本男子代表だった大島選手用に、世界で戦うために新たにmizunoで開発された7枚合板+アウター特殊素材ラケットになりますね。現行の7枚合板として扱いやすく弾みもあるFortius FT(フォルティウスFT)の合板構成をそのまま継承しながらアウターに特殊素材を採用しています。中心からアユーズ材、ヒノキ、アユーズ材、特殊素材、リンバ材の構成で、特殊素材はDual Webという高強度ポリエステル繊維を採用しています。DはDual Webのことをさしカーボンのような際立った弾みを付与するのではなく台上の繊細なプレイには木材らしさを維持しながら後陣からの強打時などには特殊素材らしい弾みをサポートする素材だそうです。Dual Webという特殊素材を採用したラケットは今までにありませんでした。

 ケミカルの知識からコメントすると、ポリエステル(Poly ester)は化学構造としては、アリレート(Arylate)と類似構造で、ザイロン(Zylon)も類似といえば類似です(正確には、ザイロンはより分子間結合が強い構造を有します)。従いまして、Butterfly(バタフライ)のTimo Boll ZLF(ティモ・ボルZLF)などに近い打球感だと思います。廃盤になってしまったバタフライのBISIDE(バイサイド)というアウターにアリレートを配したラケットと打球感はかなり近いと感じました。バイサイドは自分が中学生の時にかなり使い込んだラケットなので、このフォルティウスFT ver. Dも、なんの違和感なくすぐに使いこなすことができたと感じました。アウターにアリレートやザイロンなどのファイバー材料を採用した7枚合板+特殊素材ラケットといえるでしょう。

フォルティウスFT ver. Dの特徴

1. フォルティウスFTから継承した
・広ブレード面積で先端重心/7枚合板重量級ラケット!
 →攻撃時は遠心力が活かせるパワフルさ!
 →守備時はブロックがど安定!

 フォルティウスFTとほぼ変わらないブレード設計ですので、フォルティウスFTの特徴がそのまま継承されていますね。広ブレード面積で、先端重心/重量級ラケットの特徴がそのまま現れています。
先端重心なので、スイングの仕方にもよりますが、3球目など攻めに転じたときの一発の威力はとてもパワフルです!角にあて安くはなりますが、フォアなら人差し指を少し立てるようにすると、バックなら手首を強く使うと、威力抜群のボールが打てるようになりますね!
重たいラケットですので、守備時には相手のボールに押されづらくブロックが非常に安定します。7枚合板を使うメリットでもあります。
攻撃も守備も7枚合板らしい特徴があふれるラケットになりますね。

2. フォルティウスFTから進化した、上板リンバ×板厚6.4 mm × Dual Webによる球持ちと回転性能!

 大島選手が、打球感を損なわず後陣からの威力を求めた結果、フォルティウスFTとほぼ変わらない打球感と扱いやすさを維持したまま、アウターに配したDual Webによって、フォルティウスFTから進化した特徴が現れていると思います。非常に安心感のある上板リンバ系の球持ちを維持したまま、しなやかさとタフさを感じるDual Webがアウターに入ることで、軽打から強打までしっかりとした球持ち感、グリップ感、と安定した高い回転量が得られます。フォアもバックもしっかり回転をかけてドライブの回転によって安定させることができます!感覚的にはフォルティウスFTよりも回転量が増えたと感じました。また攻撃的なブロックも容易に安定するのがとても良いですね。7枚合板らしいブロックが可能で、Dual Webが邪魔することはなく、むしろブロック時にブロックをサポートしてくれている部分も感じるので、とてもやりやすいです。
 板厚6.4 mmは7枚合板の中では、バランスの取れた板厚で、厚過ぎず薄過ぎず、ちょうど良い板厚だと思います。回転性能を損なわず、飛距離も出過ぎないと感じますね。最大の威力やスピードはSK7やもっと厚い7枚合板の方が出ると思いますが、その部分をDual Webが入ることでフォルティウスFT ver. Dでは、より安定した回転量とスピードが得られます。

3. Dual Webによるスイートスポットの広さ!

 フォルティウスFT ver. DはフォルティウスFTと比較して、さらに良さを感じるのがスイートスポットの広さです。自分は特にバックハンド系技術のやりやすさとスピードが増し、打ちミスや打ち損じが減りました。木材系ラケットはどうしても角やスミに当たったときのボールの飛び方が、ラケットセンターで打った時とで、異なると感じます。このフォルティウスFT ver. DではDual Webが入ったことで、球は揃いやすくなったかもしれませんが、バックハンド系の技術の質は明らかに上がったと感じます。先端重心で振り遅れや、つまることも多くなりやすいラケットですが、その部分をスイートスポットの広さで補えるようなラケットとなっていると思います!

おすすめのラバー組み合わせ

フォアラバー

 基本的には木材系ラケットですので、どんなラバーもあいます!大島選手が使用されているButterfly(バタフライ)製Tenergy(テナジー)シリーズやミズノのQシリーズとあいます。また過去にHurricane(キョウヒョウ)系を使ったことがありますが、あいますね!ミズノのカタログでは打球感はハードになりますが、個人的に上板リンバでとても柔らかいラケットだと感じます。従って特にフォアは、硬いラバーと組み合わせる方が威力やスピードが出て好きですね。

Tenergy 05 Hard(テナジー05ハード)

 テナジー05ハードを挙げさせていただきました。大島選手が張本選手に勝利した全日本選手権時にフォア側で使っていたのがテナジー05ハードになりますね。フォアドライブは威力が出ますし、中-後陣からの繋ぎのドライブでも失速しないスピードと回転量が得られます!またテナジー05ハードとあわせることで非常にサーブの質が上がると感じました!ラバーが硬くて弾むので、球足の速い横下回転サーブや、さらに球足の速いナックルサーブなど相手にチキータや回り込みを許さないサーブが出しやすいです。また05ハードなので回転量も豊富ですね!穴のない組み合わせで、しかもとても使いやすく、フォルティウスFT ver. Dを使うのであれば是非試して欲しい組み合わせになります。05ハードは重いですが、Tenergy 05(テナジー05)では球質や威力不足を感じました。ほぼ木材系ラケットですので、スイングできる範囲でハードなラバーがあうと思います。05ハードはハードなラバーの中ではまだ軽いラバーですので、おすすめです!

Hurricane NEO III Blue Sponge(キョウヒョウNEO3ブルースポンジ)

 過去、メインで省チーム用のキョウヒョウNEO3ブルースポンジをフォア面に使用しておりました。やはり柔らかさを感じるので、硬度は41°でも良いと思います。回転量の多いループドライブが武器になりますね。ほぼ木材系ラケットですのでキョウヒョウとの相性も抜群です!自分で弧線を描いてあげればドライブもねじ込めますし、スピードドライブも面を開いて打つことで、勝手に回転がかかって弧線を描く感じもありました。唯一、後陣からは威力不足を感じやすい組み合わせでした。

Q5(キューファイブ)

 mizunoはQシリーズの開発のベースに、このフォルティウスFT ver. Dを使っていると思いますので、抜群にあいますね。高度としては少し硬さを感じないかもしれませんがその分扱いやすくて良いと思います。大島選手はバックに使用していますが、フォアでも十分使えると思います。少し回転量を得るには技術が必要ですが、グリップ力の強いラバーですので、ツッツキや台上が思ったより好感触なんですよね。一緒に開発されたせいか、フォルティウスFTなどの先端重心ラケットにあうスイングの方が回転がガッツリかかる印象があります。台上がやりやすくて威力が出せるのはメリットのある組み合わせだと思います。

バックラバー

 ラケットがパワフルな7枚合板なので、ラリーは良いですが、結構弾む印象があります。どちらかというと、自分は弾まないラバーを合わせていましたね。ラケット重量とも相談ですが両面粘着ラバーでも面白いかもしれません。また本レビューでは書きませんが軽く触った印象として表ラバーも感触が良かったです。mizunoの表ラバー、Boosterなどが弾みも得られるので良かったですね。先端重心のラケットですので、手首を痛めやすいのも事実です。そのことを考慮して少し軽いラバーと組み合わせても良いかもしれません。

Fastarc G-1(ファスタークG-1)

 抜群の相性だと思います!重過ぎないので、手首に負担もかかりにくいですし、スピン系テンションとしてのチキータやバックハンドドライブもしっかりおさまって良好です。しっかり回転もかかるし、ラリーでも威力を損なわず、ミート系も良好です。ドイツ製ラバーですので、ブロックや凡ミスも減りやすく扱いやすいですね。あとは使う人の腕次第となる組み合わせでもありますが、オールラウンドなプレイに適した 至上の組み合わせだと思います。

Omega VII Pro(オメガ7プロ)

 XIOM(エクシオン)のドイツ製ラバー、オメガ7プロになります。少し重くなるのですが、威力ややりやすさは申し分ないですね。ラバーもそこまで硬くないので、安定感は申し分ないと思います。チキータ、バックハンドドライブなど安定した回転量と威力が得られます。重量が重い分、ブロックの安定感や、しっかり打てた時の威力は素晴らしいですね。

Spin Art(スピンアート)(廃盤)

 過去自分がメインで使っていた時にバックハンド側で使っていたのがスピンアートになります。レシーブ重視の組み合わせで、チキータ、バックハンドドライブ、ツッツキ、どれもぶっ飛ばず回転をかけて安定して返球できるやりやすさがあります。ラリーで少し威力不足を感じる部分もありますが、まずまずの威力が得られる組み合わせだと思いますね。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 安心感のある打球感だと思います。ラケット自体は重たいので腰の回転を利用して打った方が楽だと思います。板厚と7枚合板ですので、飛距離は結構出ますね。

ロングボールやラリーでのドライブ
 フォルティウスFTと比較して弧線が少し攻撃的になると思いました。グリップしている感じを強く感じるのでドライブをミスする気がしません。

面を開いたドライブ
 ブレードが大きいので、小回りは効きにくいのがネックですが面を開いて遠心力を効かせると威力あるドライブが弧線を描いて深く入ります。凄いスピードドライブが打てるんですよ!やはり7枚合板+特殊素材なので、この抜群の威力のドライブが打てるのはプレイしていて楽しいですよね。フォルティウスFTは木材ラケットなので、後陣からだと少し弾いて飛ばしてやる必要がありましたが、下がって後陣からでも回転を乗せたスピードドライブが出ますね。

対下回転ループドライブ
 自分としては一番やりやすい技術がこの対下回転ループドライブでした。めちゃめちゃグリップしてくれて良いですね。あと、フォルティウスFTからDual Webが入ってより回転量が増えた気がします。硬さがあるからでしょうね。スイートスポットも広がったので、安定感もありました。

対下回転スピードドライブ
 木材系ラケットの良いところだと思うのですが、結構スイングが雑でもスピードドライブが安定して入ります。面を開いてガバッと持っていくことで良いドライブが打てますね。ここぞという時に3球目や4球目で一発を狙えるラケットです。

カーブ/シュートドライブ
 カーブ、シュート、なんでも来いって感じでした。このラケットブレードは本当に打ちやすいです。

ブロック
 スピードボールを押されず、しっかり止められるのがいいですね。ループなど回転量のあるボールに対するブロックは球質によってはふかしやすいので、注意が必要だと思います。

カウンター
 球持ちが良いので上書きしやすいです。ラケットも重いので、前陣カウンターよりは後陣カウンターの方がやりやすいと思います。全陣でカウンターするならDignics(ディグニクス)系のラバーの方がやりやすいと思います。

ストップ
 もう少し硬いと嬉しいなって思う打球感です。それでもストップはフォアもバックもいい感じでした。

ツッツキ
 特殊素材系ラケットと比べると抜群のやりやすさですね。ラバーによってはブチッと切ることもできます。

フォアフリック
 硬い方が自分は好きですが、回転をかけるように打つと安定しました。

サーブ
 柔らかいので少し浮きやすいです。そこは気をつけてください。カーボン系特殊素材ラケットと比べるとおさまりやすくて、出しやすいと思います。

バックハンド系

軽打
 ブレード面積が広くDual Webが入って、とても良いですね。スイートスポットが広いのでラケットの打球位置に気を使わなくて良くて気にせず思い切り打つことができると感じました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 振り遅れやすいですが、その分、威力は抜群です。手首を使うことで回転量も安定すると思います。

対下回転に対するループドライブ
 バックハンド技術全般、手首が肝になりますが、しっかり手首を効かせることができると回転量もあって安定しますね。

対下回転に対するスピードドライブ
 パワーを要しますが、抜群の威力です。手首を痛めやすいのでどちらかというと腰と足を使った方が良いと思います。

カーブ/シュートドライブ
 少し小回りが効きにくいので、カーブドライブの方が打ちやすいですね。ラケットヘッドを落とすだけで良いのでやりやすいです。

ブロック
 ブロック技術が極めて安定します。当てればとにかく入れることができる高い守備力がこのver. Dにはあります。多分特殊素材Dual Webと上板リンバ材というのが良いのだと思います。Dual Webでスイートスポットが広がり、リンバ材で球を持ち打球が上がる。ラリーでの安心感も素晴らしいです。

カウンタードライブ
 先端重心なので、カウンタードライブは結構難しいですね。どちらかというとアクティブブロック気味に全てドライブ回転を少しかけるようなブロックが良かったです。手元で抜群の伸びはありませんでしたが、安定感と質を維持できました。

ストップ
 カーボン系特殊素材入りラケット比べると抜群にやりやすいですね。

ツッツキ
 相手に打たせないくらいブチっと切ることができます。

チキータ
 ラバーにもよりますが、木材系の打球感でとてもやりやすいです。手首を使うことで回転量も得られると思います。

その他

 フォルティウスFT ver. Dは、これだ!と思って3本所有しています。今は実はこれだと思っておらず、3本が眠っている状態です涙。ストレートが2本、フレアが1本ですね。ストレートは、一本は88 gで若干、板厚が6.3 mmと公称6.4 mmよりも若干薄いものでしたが、それが逆に回転量を増やして飛距離を抑えてくれて良かったように思います。ラケット重量はそこまで重くないのですが、先端重心なんで威力や回転量は、上手に打てると素晴らしいものがありますね。

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 フォルティウスFT ver. D > フォルティウスFT > Mizutani Jun ZLC(水谷隼ZLC)

スピード
 Zhang Jike ZLC(張継科ZLC) > フォルティウスFT ver. D > フォルティウスFT

食い込ませたときの弧線の出しやすさ(ボールの沈み込みやすさ)
 フォルティウスFT ver. D > フォルティウスFT > 張継科ZLC > 水谷隼ZLC

粘着ラバーとの相性
 フォルティウスFT ver. D > フォルティウスFT > 張継科ZLC

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