レビュー

レビュー 「選手をつぶす指導者なら、選手がコーチになればいい。」

説明

 1975年世界選手権シングルス3位で、「ミスター・カットマン」と呼ばれ、全日本選手権で3回優勝、元全日本男子監督および近畿大学教授という経歴をもつ高島規郎(たかしま のりお)さんの、卓球戦術ノート以外の書物になります。今回レビューするのは、選手を強くする指導論ということで2019年11月に発行された「選手をつぶす指導者なら、選手がコーチになればいい。」になります。月刊卓球王国の連載記事「モンダイは指導者だ」の2016年~2019年の内容を加筆修正して、まとめられたものになりますね。
 タイトルから指導者のための本のように思うかもしれませんが卓球において思考は重要です。トップ選手は一流の選手であるとともに、自分に対してマネージメントするある意味コーチ(指導者)でもある、という意味あいもあるそうです。この本において、指導者=選手と置き換えて読めば、選手のための書物になる、とも、まえがきで触れられています。自分も両親や指導者に恵まれ、初心者というレベル以上の卓球技術を身に着けました。しかしながら、そこからさらに成長できるか否かは、どれだけ長く卓球をやっているかよりも、自分自身が自分自身を理解し、マネージメントし、しっかり指導しなければならない、と思いますね。
 ちなみに、「10,000時間の法則」は、最近では否定されつつあるそうですね。「10,000時間の法則」とは、10,000時間何か同じことに従事し打ち込めば、その分野でプロ級になる、という仮説ですね。週3で2~3時間の練習を30年程度続けると到達しますね。学生時代にほぼ毎日4時間練習できたとりしたら、7年で到達です。プロ選手は当然ながら10,000時間以上の練習をしているでしょうね。またコーチの方も容易に卓球をしている時間は10,000時間を超えると想像します。10,000時間以上の練習をしても差は生じるのが、卓球の世界ではないかと思いますね。また、トップ選手で若くして頭角を現した選手、水谷選手や張本選手、宇田幸矢選手、石川佳純選手や伊藤美誠選手、平野美宇選手や早田ひな選手らは、全日本選手権優勝を果たしています。彼らはおそらく自分よりも総練習時間の多い選手に勝利して、全日本選手権を優勝しているでしょう。つまり、ただ練習をすれば勝てるという世界ではないことはわかりますね。もちろん、最低でも10,000時間という時間を卓球に費やせることは必要なのかもしれませんが、必要条件であったとしても、それだけで卓球でトップをとれるほど甘くないということです。天才であり、才能があり、そして努力もできないと、やはりトップオブトップを取ることは難しいのでしょうね。シビアな世界でもあると思います。仕事でも勉強でも、ただ気合と努力だけで結果を出そうとしてはいけないということだとkatsuo000は理解しています。しっかりと思考し正しい努力をすることが大切ですね。そのために、どのように思考すべきか、そういった思考のためのヒントになるようにと高島さんが書かれたものではないかと思います。

「選手をつぶす指導者なら、選手がコーチになればいい。」の要点

1章は指導者 = 選手として、卓球へ取り組むときの考え方

 卓球戦術ノートの内容と重複しつつ、卓球に対する姿勢や考え方、特に凝り固まった考えではなく柔軟で創造的な思考を肯定するような考え方が提案されています。世界のトップ選手を見ても、アフリカのアルナ選手のようにスイングが汚いと言われてもオリンピックでボル選手に勝つことだってあるわけですからね。日本ではとかく、「〇〇でなければならない」という凝り固まった考え方が多いので、こういった考え方に触れることは非常に良いと思います。

3章では、卓球プレースタイルの概論と強化のポイント

 「卓球戦術ノート」でも非常に参考になったプレースタイルの概論になりますね。「選手をつぶす指導者なら、選手がコーチになればいい。」では、次のような内容になっています。
・シェークドライブ型
・ペンドライブ型
・シェーク表ソフト
・ペン表ソフト
・変化ラバー活用型
・カットマン
について概略されています。この本でもとても参考になって即効性のあるものになっていますので、手に取る機会あれば是非ご一読をオススメします。

7章は伸び悩みに対する考え方

  この本では「伸び悩み」について、書かれている点が興味深いですね。自分もクラブで卓球をしていたとき、同じように練習していても強くなる選手、伸び悩む選手を見てきました。そして卓球の試合で、後から卓球を開始した選手たちにどんどん追い抜かれていくことも目の当たりにしてきました。この伸び悩み、というのは、本当に辛いと思います。その伸び悩みについて、助言をくれる7章は、自分程度ではなく、卓球進学した選手やプロ選手も読んでプラスになる可能性があるのではないかと思います。また、自分は卓球を通して、物事への取り組み方を学べるのではないかと考えますね。

レビュー

章構成とページ数
 第1章 あなたは「良い指導者」なのか:48 p
  良い指導者になるために必要なもの
  初心者をどう教えるか
  選手の想像力を伸ばす
  ベンチコーチの心得
  選手を「勝たせる」指導者とは
  選手の性格を「動かす」のか「殺す」のか
  メンタルをどのように強化するのか
  選手が100人いれば100通りの指導がある
 第2章 強くなるための練習を考える:24 p
  規則練習とランダム練習
  多球練習と一球練習
  素振りでスイング力を高める
 第3章 卓球のプレースタイル、強化のツボ:54p
  用具と選手を見直すことで停滞期を抜け出す
  強化のツボ①ショークドライブ型
  強化のツボ②ペンドライブ型
  強化のツボ③ショーク表ソフト
  強化のツボ④ペン表ソフト
  強化のツボ⑤変化ラバー活用型
  強化のツボ⑥カットマン
  強化のツボ⑦フットワーク
 第4章 技を高め、ゲームで強くなる:64 p
  フォアハンドを強くしよう
  バックハンドを強化する
  どうすればカウンターが身につくのか
  台上技術を強くする方法
  勝つための守り方を高める
  3球目・4球目の命中率を高める
  カットマンは「切るカット」の練習をするべし
  いかにしてサービス力を高めるのか
  レシーブ攻撃を狙え
 第5章 指導者のいない選手はもっと強くなる:26 p
  指導者がいなくても工夫次第で世界選手権に行けた
  部員同士のコミュニケーションによってチーム力はアップする
  卓球への問題意識、取り組み方は卓球ノートに書き記す
  強くなれないのは「指導者がいないから」なのか
 第6章 強いチームを作る:44 p
  強いチームの作り方
  練習試合の活用法
  情報収集の活用と、勝つための準備
  指導者の「反省力」とは何か
  「根性論」をうまく使おう
  マンツーマン指導の注意点
  部員が多い場合の練習方法
第7章 伸び悩む選手がやるべきこと:26 p
  モチベーションを高め、一気に強くなる
  結果が出ない状況から抜け出す方法
  卓球を強くするフィジカルとは何か
  得意技を磨き、弱点を補え
  選手は自分の調子をコントロールできるのか
全 303 p

図解
 図解は多くてわかりやすいですね。

感想
 現代的で、高島さんの良書だと思います。1冊だけ買うのであれば、是非この本が広範な範囲をカバーしている教科書のような本になっていますね。特にメンタルや伸び悩みといった、誰もが悩むものについて書かれている点は良いと思いますね。是非興味を持たれたら手に取ってみてください。

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レビュー 卓球 勝つための思考と戦術 試合がはじまる前に勝負は8割決まっている!

説明

 「卓球 勝つための思考と戦術 試合がはじまる前に勝負は8割決まっている!」は、全日本代表を経験し、東京オリンピック2020では男子コーチとして活躍した岸川聖也さんの著者になります。岸川さんは有名クラブである石田卓球クラブ(早田ひな選手も所属していたことで有名)から仙台育英秀光中学へ進学しました。ドイツブンデスリーガとしても活躍し、仙台育英高校時代はインターハイ男子シングルス3連覇水谷隼選手とのペアで全日本男子ダブルス優勝世界卓球で7個の銅メダル、ロンドン五輪で男子シングルス5位入賞と、経歴がすごすぎますね。Tリーグでは、T.T彩たまでコーチをしつつ、岸川聖也卓球スクールで指導もされています。

 なんといっても経歴と経験が凄いですよね。日ペン指導者がオールフォア的なシェークハンド選手を多く生み出していた時代で、ドイツ卓球を取り入れてバックハンドを自在に使いこなす岸川選手の卓球は、30代や40代の卓人なら、一度は憧れたのではないでしょうか。日本卓球を中国に次ぐポジションに底上げした中心的選手の1人であり、現在はコーチ業に営む中で、執筆されたものだと思います。既に水谷選手は何冊か本を出版されていますが、現代日本卓球の中心選手だった方が指導者としての立場で執筆した本は、やはり先進的で即効性の高い内容になっていると思います。

 こちらの本は、岸川選手がまだButterfly(バタフライ)さんと契約されていたときに執筆したものになりますね。2021年9月には「勝つ!卓球「回転」レベルアップバイブル 試合で差がつくテクニック55」という本も出版されていますが、こちらでは現在契約されているVICTAS(ヴィクタス)のユニフォームを着た姿を確認することができます。

「 卓球 勝つための思考と戦術 試合がはじまる前に勝負は8割決まっている! 」の要点

前半1章~3章は知っておくべき卓球用語と1つ1つの技術紹介

 第1章は戦術の重要性を述べつつ、ラケットやラバーの種類について概説しています。このあたりは一般的な卓球の教則本と同じで、中級者以上では読み飛ばしてもいいかもしれません。2章はサーブ、3章はレシーブの個々の技術の説明になりますね。

第4章は細かな3球目戦術パターン、第5章は細かな4球目戦術パターン

 パターン練習を丁寧に概説してくれています。右対右になってしまうと思いますが、ほぼ全ての3球目と4球目のパターンが記載されています。1つ1つ丁寧に練習し身体に身に着けなさい、といわんばかりの内容になっていますね。また注意すべきポイントにも触れつつ全て図で記載されているので、理解はしやすいと思います。シェークドライブ型の選手は必読といってもいい、詳細な3球目と4球目のシステムが全て網羅されていると言ってもいいかもしれませんね。内容も的確で、確かにという内容ばかりなので選手に加えて指導者が読むべき内容となっていると思います。

第6章はラリー戦術

  最後は、ラリー戦術になります。ラリーの中で意識していることが述べられていると思います。どこを狙うべきか、という教科書的な内容が書かれています。知らなかった、では結構取返しがつかないような話が盛りだくさんなので、気になったら是非読んでみてください。逆にカットマンの方や異質、表をメインに書かれた内容ではないので、そういった戦術の方は参考になる部分や即効性は低いかもしれません。

レビュー

章構成とページ数
 序章  自分のスタイルを理解する:9 P
 第1章 試合前の準備:18 P
 第2章 サーブ戦術:30 P
 第3章 レシーブ戦術:34 P
 第4章 3球目戦術:30 P
 第5章 4球目戦術:28 P
 第6章 ラリー戦術:16 P
  全193 P

図解
 卓球台を上から見た図と、デフォルトされたラケットなどでイメージしやすい図が多用されています。またラケットの角度に関する解説も書かれていますので、参考になると思います。

感想
 中級者以上には非常に役に立つ内容ではないかと思います。上級者はあまり必要のない内容かもしれません。というのは、例えば何故3球目にドライブ強打を狙うために逆横回転サーブを出すのか、ということに対して説明がないためです。このあたりを丁寧に説明してくれるわけではないので、初級者はおいていかれるかもしれません。もちろん前提として逆横回転サーブを出した場合に回転に逆らうように角度をあわせながら返球する場合はバックへ返球されることが多いというのが経験的にあるわけですね。(うまい人はそういったセオリーを嫌なタイミングで外されると思います。またどのような返球が来るのかを1セット目に探りながらサーブを出す、ということもしますよね。)こういったことがわかっていると、回転に逆らうように返球するならバックサイドを待てばいいですが、回転にあわせるように返球することで逆にフォアサイドやミドルを狙うことで相手の待ちも外す、という戦術が登場したりします。こういった内容のフォローも欲しいところでした。しかしながら、一般論として、こういうサーブはなぜだすのか、ということがしっかり説明されているのは非常に参考になる内容だと思います。katsuo000は小学生~中学時代にクラブチームで指導を受けましたが、ここまでの説明はもらえませんでした。もちろん時が経てば、一般論も変化するかもしれませんが、知るか知らないかで、結果も変わりうる内容ですので、是非ぜひ読んでみてください。

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レビュー 「敗者を勝者に変える 卓球戦術ノート」

説明

 卓球戦術ノートとは、1975年世界選手権シングルス3位で、「ミスター・カットマン」と呼ばれ、全日本選手権で3回優勝、元全日本男子監督および近畿大学教授という経歴をもつ高島規郎(たかしま のりお)さんの人気シリーズの書物になります。今回レビューするのは、卓球戦術シリーズの3冊目「卓球戦術ノート」の刊行から、18年後の2019年に初版発行された「敗者を勝者に変える 卓球戦術ノート」になります。前回よりもさらに具体的で図解も多用されており、現代卓球の教科書として、指導者や中高生が手に取って良いといえる内容となっているでしょう。内容としては、『月刊 卓球王国』連載の「新・戦術ノート」(2012年6月~2016年7月号)の内容をまとめたものになっています。

「敗者を勝者に変える 卓球戦術ノート」の要点

前半1章~4章は卓球へ取り組むときの考え方

 今までの卓球戦術ノートでのプレイバックのような内容になります。そして、プレイバックしながら、現代の卓球に置き換えてくれている内容になります。またその中で短いながらも指導者の在り方についても触れている内容になっています。

戦型別攻略法

 前回の「続 卓球戦術ノート」でも挙げられている戦型別攻略法は今回も掲載されています。こちらも前回と同様非常に即効性も高くて、良い部分ではないでしょうか。katsuo000ももちろん、参考にしている部分になります。本書では以下の戦型に対する攻略について触れています。
・フォアハンド主戦型の攻略
・バックハンド主戦型の攻略
・表ソフト速攻型の攻略
・カットマンの攻略
・異質ラバーの攻略
・対サウスポーの戦い方


「続 卓球戦術ノート」で取り上げられていた戦型
・シェークドライブ型
・ペンドライブ型
・シェーク速攻型
・ペン速攻型
・カット主戦型
・異質前陣攻守型

 「続 卓球戦術ノート」と重複する部分と、サウスポーやフォアハンド主戦型とバックハンド主戦型、が挙げられている点は、現代的な内容になっていると感じますね。「続 卓球戦術ノート」同様、苦手な戦型や自分の戦型について、何が足りないのか、何が武器になるのか、など思考するのに非常に良いと思います。また他の戦型からヒントを得て新しい戦術や技術を広げる手助けにもなると思います。

新しい時代の戦術論

  また、新しい戦術論について概略しつつ、最後に水谷隼選手、張本智和選手、伊藤美誠選手、石川佳純選手の卓球について触れているのが、この本の面白いところだと思います。以下に各項目のタイトルについて挙げますので気になった方は是非手に取ってみてはいかがでしょうか。
 第6章 新しい時代の戦術論
  ブロックは必需品
  カットマンは打って得点しろ
  異質ラバーは勝てる
  オンリーワンの戦術をめざせ
  打球タイミングをどう合わせるか、どう外すのか
  ミスを恐れるな、相手の強いところを狙え
  ペンホルダーの可能性
  必殺レシーブを身につけろ
  プラボールの戦術
  チキータ時代の戦術
  11点制は先行逃げ切りでなければいけない
  水谷隼の卓球
  張本智和の卓球
  伊藤美誠の卓球
  石川佳純の卓球

レビュー

章構成とページ数
 第1章 最後の1点を自力で取る方法:85 P
 第2章 動きと打法の戦術論:25 P
 第3章 先述とメンタル:37 P
 第4章 指導者の役割:19 P
 第5章 戦型別の攻略法:35 P
 第6章 新しい時代の戦術論:83 P
  全301 P

図解
 トップ選手の写真や具体的な図解も前とどうように多い構成となっています。ただし読み物でもありますので、文章量も多いです。

感想
 過去の書籍を継承しつつ、現代版にアレンジしたものになると思います。そして、即効性もある内容だと思います。一方でやはり日本の読み物らしく、階層的な概念や図示がないので、全ての内容を立体的に把握しづらくて、時間に余裕があるのであれば自分自身で内容をまとめ階層化すると良いと思いますね。今後、katsuo000なりに「戦術ノート」についてまとめていきたいなーと思っております。ただし、内容をそのままコピーしてしまう部分を書いてしまうと、著作権という言葉が怖いので、katsuo000の解釈を前面にだしたまとめになるかと思います。

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レビュー PRO-13S(プロ-13S)

説明

 本ブログでは初のレビューになる、中国のメーカー、YINHE(銀河)さんの用具レビューになります!今回のラケットは今までにないラケットです!そのラケットは驚きの片面アウター、もう片面インナーというとても面白い破天荒なラケット、PRO-13S(プロ-13S)になります!!!

 このラケット、国内販売されていませんので、JTTAマークはありません。公式の試合で使用したい場合は、審判に見せて許可を得る必要ありですね汗。katso000は今回、中国取り寄せを行ってくれるネットショップさんに発注しました。値段は8,000円を切る値段で安かったので少し心配でしたが、使えるものが届きましたね。

 片面には特殊素材「ALC」をアウターに組み合わせ、もう片面には特殊素材「KLC」をインナーに組み合わせた構成。違った飛び方、打球感に合わせてフォア面かバック面を選べるラケットになります!学生時代にこんなラケットあったら思わず手に取るよねっていうかなり気になるラケットです。卓球王国ゆうさんによると、片面のブレード設計はもう片面にも影響するので、過去にこの手のラケットは販売されていたけど、廃盤になってしまっていたらしいですね。最近だとXIOM(エクシオン)さんのIce Cream(アイスクリーム)シリーズが有名だと思います。アイスクリームはインナーかアウターで、片面ともう片面で異なる特殊素材カーボンを採用しているラケットですね。今回のプロ-13Sは片面がALCアウターでもう片面がKLCインナーになります。KLCインナーのラケットということですが、上の写真からわかるように染色材が上板にもちいてあるKLCインナーになるんですね。染色剤はインナーでも若干硬くなる印象があります。そこらへんを確認していく試打になりました。

 染色材について触れさせていただきます。上板にリンバをもちいたインナーはButterfly(バタフライ)さんのインナーフォースレイヤーシリーズ筆頭に球持ちのあるラケットで現在非常に人気ですね。一方、染色材の上板はカーボンほどではないものの硬い印象があります。katsuo000は染色材の上板を使ったラケットは、他に2本所有していますが、どちらも中国製になります。1本はHurricane 301(キョウヒョウ301)で、馬龍選手も使用していたやつの廉価盤的なラケットらしいです。キョウヒョウ301はこちらのようなラケットになります。↓

このキョウヒョウ301はHurricane Long V(キョウヒョウ龍V)にかなり似ていて、インナーALC(KLC?)系ラケットになります。ただし、重量がご覧の通り、90 gオーバーでかなり重量級になります。しかも上板に染色材でキョウヒョウ龍Vよりも打球感は硬く感じました。インナーカーボンで球持ちはないわけではないのですが、上板にコト材を使っているような硬さを感じました。つまり、Zhang Jike ALC(張継科ALC)やTimo Boll ALC(ティモボルALC)っぽい打球感なんですね。インナーフォースレイヤーALCが木材とアウターカーボンラケットの中間のようなラケットなら、この染色材をもちいたキョウヒョウ301は張継科ALCとインナーフォースレイヤーALCの中間のような打球感のようなラケットでした。この硬さは好みが分かれる硬さですが、粘着ラバーのよさを出すためには上板は硬い方が回転量が増す感覚が強いので、粘着ラバーにあわせるなら、こういった染色材を上板に採用したラケットがおすすめです。
 もう一本の染色材を上板にもちいたラケットは、先日WRMさんから購入した銀河の970XX-KLCになります。こちらは、キョウヒョウ301をスリムダウンしたようなラケットで、キョウヒョウ301をフォルティウスFTとすると、970XX-KLCはフォルティウスFT REのようなラケットに感じました。↓が970XX-KLCになります。

実際、使いやすさがあって良いラケットでした。上のキョウヒョウ301とこちらの970XX-KLCもその内レビューさせていただきますので、少々お待ちくださいね。本記事のプロ-13Sとブレードの比較を下記に示します。

・Pro-13S(プロ-13S)
 157 × 150 mm、6.0 ± 0.2 mm、87 ± 3 g
 Koto?(1) / ALC(2) / Limba?(3) / Kiri?(4) / KLC(5) / Ayous?(6) / Dyed Koto?(7)
・Hurricane 301(キョウヒョウ301)
 158 × 150 mm、5.9 ± 0.1 mm、89 ± 3 g
 Dyed Koto?(1+7) / Ayous?(2+6) / KLC(3+5) / Ayous? Kiri?(4)
・970XX-KLC
 157 × 149 mm、5.7 ± 0.1 mm、85 ± 3 g
 Dyed Koto?(1+7) / Ayous?(2+6) / KLC(3+5) / Ayous? Kiri?(4)

 今回試打したプロ-13Sの方が、ブレード厚さは厚く、攻撃的ですね。またカーテン打ちの段階から確かにアウター側とインナー側で打球感が異なるのも感じました。ただし、他のアウターカーボンやインナーカーボンと比べるとやや打球感の違いがぼやけているようにも感じましたね。

Pro-13Sの特徴

 今回アウターALC側をフォアに、インナーKLC側をバックにして試打しました。中国では、インナーKLC側にキョウヒョウなどの粘着ラバ―、アウターALCをバック側に使う、という方が一般的かもしれません。

同じラケットなのにアウターALC側は確かに硬くて飛距離が出やすく、インナーKLC側は、球持ちがあって飛距離が抑えられている!

 同じラバーを貼っても、アウターALC側かインナーKLC側かで打球感はかなり異なりました。自分は下手なバック側で顕著に異なり、やはりアウターALC側だと球を持つ前に球が離れてしまう感覚が強かったです。一方で、インナーKLC側ではしっかりボールをグリップできている感じがありました。しかもインナーKLC側の方が飛距離も抑えられる感じがありました。不思議なラケットですが、狙い通りフォアは威力とスピードの出しやすいアウターALC、バックは球持ちを感じやすいインナーKLCというないものねだりがラケット側で調整できました!この時点でかなりテンションがあがりましたね! 

中途半端感はないわけではない

 まだ完全に比較はできていませんが、張継続ALC、Reinforce AC(リーンフォースAC)と比較すると、まさにその中間的な感想になりました。つまり

フォアの満足度: 張継科ALC(◎) > プロ-13S(〇) > リーンフォースAC(△)
バックの満足度: リーンフォースAC(◎) > プロ-13S(〇) > 張継科ALC

ということです。威力や回転量は張継科ALCを使ったときが最も高いと感じました。逆にリーンフォースACだとバックは使いこなせますが、フォアの威力が減少気味と感じておりました。フォアもバックも合格点を出しつつ、得意な技術(katsuo000の場合フォア)側は威力が出せて、苦手な技術(katsuo000の場合バック)側はなんとか入れることに徹することができる、という今までにない選択肢をラケットで提案しているわけですね。面白いと思います。 

個人的には理想的なラケット!

 現代卓球は両ハンド化が著しいです。しかし選手は、フォアとバックで上達スピードも異なると思います。フォアとバックで上達スピードは異なるのに同じラケットをもちいてしまうと、どうしても下手な方に合わせる結果になりやすいと思います。今回のプロ-13Sは得手・不得手の技術にあわせて面を選ぶことができるので、ラケットやラバーのジレンマを解消してくれる選択肢の一つとなるでしょう。

おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

バックラバー

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フォアフリック

バックハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

チキータ

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量

回転のかけやすさ

スピード

飛距離

レビュー Omega VII China Ying(オメガVIIチャイナ影)

説明

 XIOM(エクシオン)の2020年の粘着テンションラバー、Omega VII China Ying(オメガVIIチャイナ影)をレビューします。まずはエクシオンのラバーについて概観します。

 エクシオンのラバーといえば、モンスターラバーの廉価版として存在感を高めたVega(ヴェガ)シリーズが有名です。特にVega Euro(ヴェガユーロ)は初中級者に利用されるラバーとして、非常に人気だと思います。またコスパ最強として近ごろ話題で、本ブログでもDignics 09C(ディグニクス09C)以上に閲覧数が伸ばしているラバーVega X(ヴェガX)もエクシオンを代表するラバーですね。高性能かつコスパの高いラバーが多いエクシオンさんです。

 この扱いやすさとコスパの高いヴェガシリーズでユーザーを取り入れつつ、更なるレベルアップを求める人へ向けて、トップクラス用のラバーとしてOmega(オメガ)シリーズが存在します。

 オメガシリーズは、従来はスピード重視のシリーズであり、ヴェガの回転性能と組み合わせたIV(フォー)シリーズ回転性能とグリップ力に特化させたV(ファイブ)弧線の低さと打ち負けない強さのVII(セブン)の大きく3シリーズが今も販売されています。katsuo000は全てのラバーを試打できているわけではありませんが、オメガVIIシリーズを中心に代表的なラバーは試打させていただきました。全体的にマッドな打球感のラバーが多く、どちらかと言えばフォア側に使用することで味が出るラバーが多い印象ですね。今まで試打してきたオメガシリーズのラバーは次のようなものでした。

・Vega Tour(ヴェガツアー)
 ヴェガの中で最高性能のラバー。45°の中間硬度のスポンジでくい込みが良く扱いやすい。くい込ませて扱うことができれば、その回転量はテナジーなみ。
: https://katsuo000.com/review_vega_tour/

・Vega X(ヴェガX)
 10周年を記念して発売されたヴェガシリーズ中最高コスパのラバー。シートもスポンジもヴェガツアーより硬く、使いこなした時の回転量は個人的にはヴェガツアー以上だと感じる。カウンター性能など現代的な技術がやりやすいラバー。人気も高く、当ブログでも人気急上昇中。
: https://katsuo000.com/review_vega_x/

・Omega V Tour DF(オメガVツアーDF)
 オメガVIIシリーズと比較して、打球感が軽快で使いやすい上に高い回転量とグリップ力のあるラバー。回転性能は十分テナジー05なみでコスパもよく見直されてい良いラバーで、卓球王国さんでもゆうさんに特集されていた。重量の割にプラスアルファの癖や唯一無二な性能は、少し不足を感じる。
: https://katsuo000.com/review_omega_v_tour_df/

オメガVIIシリーズ

・Omega VII Pro(オメガVIIプロ)
 テナジー05以上に扱いやすく、それでいてヴェガシリーズにはない、パワーもありマッドの中に扱いやすさのあるラバー。
: https://katsuo000.com/review_omega_vii_pro/

・Omega VII Tour(オメガVIIツアー)
 オメガVIIシリーズの中、スピン系テンションの最高峰といえるラバーだと思います。そのスペックを最大限引き出すことは難しいですが、ただ使うだけならバックでも十分に扱えると思います。扱い切れればスピード性能とパワードライブはスピン系テンションラバーの中でも随一と言えるでしょう。
: https://katsuo000.com/review_omega_vii_tour/

・Omega VII Hyper(オメガVIIハイパー)
 オメガVIIツアーをより粘着ラバーっぽくしたラバー。粘着ラバーよりのスピン系テンションラバーといえるラバーで、癖球も出やすいラバー。バックでも使えるが、この高い性能と癖球の良さを引き出すにはフォアでないとなかなか引き出せない。
: https://katsuo000.com/review_omega_vii_hyper/

 katsuo000は、フォアには今までHurricane(キョウヒョウ)やDignics 05(ディグニクス05)など最高峰のラバーを使わせていただいてきました。正直それらのラバーと比較するとメリットを感じられず現在に至っております。メリットが感じにくい理由の一つに、マッドなラバーであることが多く、くい込ませるパワーが必要である、という点があると思います。回転性能を最大限出せるほど容易に使えるようなラバーではないと言えるのかもしれません。今まで継続使用はしてこず、このラバーにあった打ち方に至る前に変えてしまっていたともいえるかもしれませんね。ただし、ラバーにあった打ち方が出来ていない状態でも安定感のあるラバーが多く、スイングに依存しない扱いやすさのあるラバーシリーズでもあるでしょう。

性能値

 公表性能値を比較してみましょう。XIOMさんは2021年のカタログ値から、Vega Pro(ヴェガプロ)を基準としたものになりました。両方を掲載しますので、ご参考ください。

2020年

 2020年にはオメガVIIツアーiシリーズは公表されていないので、オメガVIIハイパーが最もバランスがとれたラバー扱いになっていますね。続いて2021年のパンフレットから作成したものが次↓になります。

2021年

 一方、2021年版では、Vega Pro(ヴェガプロ)のスピード、スピンは10とした場合の相対値となっています。やはり、オメガVIIツアーiシリーズは高性能であることがよくわかりますね。オメガVIIチャイナ影は、2020年においても2021年においても、高いスピン性能が強調されていますね。

 オメガVIIシリーズは重くて硬いことがよくわかりますね。オメガVIIプロはテナジー05以上にくい込みが良くて扱いやすいと考えられます。一方で、オメガVIIツアーやVIIハイパー、VIIチャイナ影は異常な硬さと重量ですね。チャイナ影はディグニクス09Cと類似のくい込みにくさと言っても良いでしょう。

オメガVIIチャイナ影の貼りと重量

 今回メインラケットのVirtuoso AC(ヴィルトーソAC)に貼りました。

↑この白いシートなのですが、STIGA(スティガ)さんのDNA Dragon Grip(DNAドラゴングリップ)やJoola(ヨーラ)さんのRhyzen ZGR(ライゼンZGR)とかなり類似の白いシートではないかと思います。どちらもドイツ製ラバーで、近い場所(工場?)で製造されているのではないでしょうか。発売時期を考慮すると、最も早く発売されたのは実は、このオメガVIIチャイナ影だったのかもしれません。シートの粘着はあまり強くなく、微々粘着ラバーだと思います。現代的な粘着ラバーといえるでしょう。

 やはりオメガVIIのラバーは重いですね。過去Omega VII Hyper(オメガVIIハイパー)も試打しておりますが、ハイパーは54 gでした。そのハイパーよりもさらに重たい57 -60 g。。。これは超ヘビー級ですね。でもNittaku(ニッタク)さんのHurricane Pro III Turbo Blue(キョウヒョウプロ3ターボブルー)の65 gほどではないのは救いでしょうか。またヴィルトーソACは標準ラケットのブレード面積より、やや広いので、重くなりやすいです。うーん、ヘビーですね。自分は200 g超えてくると、やっぱり重たいと感じますし、やはり大変さを感じます。

Omega VII China Ying(オメガVIIチャイナ影)
 粘着テンション
 Made in Germany
・Sponge Thickness: 2.1 mm、Max
・Speed:12.5(Vega Proを10として)(11.0、←2020年カタログより)
・Spin:17.0(Vega Proを10として)(15.5、←2020年カタログより)
・Sponge硬度:60
・7,000円 + 税
・85 g(切断前) → 57 - 60 g(ヴィルトーソAC、158 × 150 mmに貼って)

Omega VII China Yingの3つの特徴

 正直言って扱いきれませんでした。ものすごいラバーですね。ただし扱いきれない中にエグさを強く感じるラバーでした。最も気に入ったのが、中陣からのドライブラリーです。キョウヒョウのように打球点を下げたとき、ボールを下から持ち上げるようにくい込ませてドライブすることで、回転量やスピードをコントロールしやすいと感じました。この打ち方をディグニクス05で行うとオーバーミスするかネットに引っかけてしまうんですよね。またキョウヒョウと異なるのが、扱い切れていないからだと思いますが、中陣からでもキョウヒョウ以上にスピードが出せる点でした。少し継続使用したいと考えています。

化け物じみた回転量と癖!キョウヒョウに迫る!

 卓球王国でも特集されていましたが、オメガVIIチャイナ影の化け物じみた回転量、癖は凄いですね!しっかり身体を入れてドライブできたときのボールのえぐさは、今までに見たことのないものでした!荒れ方はどちらかというと、Rasanter R53(ラザンターR53)に類似で横回転がそのまま残るような荒れ方をしていました。ボールの沈みはあまり感じられませんでしたが、扱い切れていない可能性があるかと思います。扱い切れれば、スピードドライブも、超回転のループドライブも自在にできるようになるようなヴィジョンを感じるラバーでした!
 ポテンシャルも高く、扱いこなせばキョウヒョウに迫る唯一無二のえぐいラバーだと感じました。それでいて値段はキョウヒョウ(ブルースポンジ以上に安いです!これは面白い!

粘着ラバーなのにめちゃめちゃ弾む!

 粘着ラバーではありますが、驚いたのがそのスピード性能です。小さい卓球場で試打したことも相まってかスピン系テンションラバーに匹敵するくらいのスピード性能を感じましたね。ラバーが硬いために弾くような打ち方をしてしまいやすいのもありましたが、スピードドライブが決まれば打ち抜ける位のスピードは十分にありました。一方で扱いこなすには、弾いてしまうのではなく、しっかりとくい込ませてボールに回転をかけてあげる必要があるとも思いました。ものすごいポテンシャルがあると思います。
 また飛び出しが良いので、ラケットは木材かインナーカーボンラケットが良いと感じました。フォアは威力を求めてアウターALCが良いと感じていましたが、アウターカーボンでは弾み過ぎてその特徴的な回転性能を活かせないと感じました。バックはインナーALCにディグニクス05が使いたいので、ちょうど良かったと感じました。ただし、オメガVIIチャイナ影のせいで、ディグニクス05もより硬く感じやすくなったので、バランスは上手に取った方が良いと思います。

扱いが極めて難しい!重量対策必須!

 とにかく訳のわからないくらい、イメージ通りの打球が出にくいラバーでした。長く使い込んで扱えるようにならないとこいつは暴れ馬ですね。現在継続使用を考えているのですが、まず重たいので重量対策に伸ばした貼り方を検討しています。これでやっと重量上限を57 g台に落とせそうです。またサイドバランサーなども全てとることにしました。今後どのような特徴や性能が出るのか楽しみです。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 軽打はそこまで気になりませんでした。それだけ弾むということですね。軽打が続いてきたときに、ラケットを押すようにラケットを前に押すように打ってみましたが、それでもボールが上にあがって入るんですよね。このあたりも違和感と癖が強かったです。

ロングボールやラリーでのドライブ
 まだ慣れていなくて、スピン系テンションラバーにあった打ち方になってしまいやすく、インパクト強く打つと、回転をかけきれずに弾いてしまうことが多かったです。まだスイングスピードが遅すぎるのと、面を開くことが出来ていないのでしょうね。フォアで自分のパワーとスイングスピードが足りていないという経験は中学生のときのテスト勉強明け以来の感覚です。20年ぶりにわくわくしました。 しっかり練習をやりこみ、使い込んで慣れていきたいと思います!また中陣からでもスピードドライブが万々打てたのは、驚きとポテンシャルの高さを感じました。スピン系テンションラバーでは相手の回転を考慮してあわせるということが必要だと思うのですが、このオメガVIIチャイナ影では、ねじ込める感じがあって良かったですね。

面を開いたドライブ
 粘着ラバーらしく、下回転打ちなどは面を開いた方がスピードドライブがやりやすかったです。スピード性能は申し分なかったです。もっと扱えるようになってスピードに回転を乗せたいです。

対下回転に対するループドライブ
 浅くて回転量のえぐいドライブがやりやすかったです。ただし硬さの割に弾むのでボールが浮きやすく、低いループドライブは出しにくかったです。このあたりは慣れでしょう。

対下回転に対するスピードドライブ
 これもついついスピードが出やすいのでフラットであてに行ってしまいそうになりました。しっかり回転でボールを沈めてあげれば安定したエグいスピードドライブが入ると思われます。

カーブ/シュートドライブ
 横回転も残りやすく、このあたりはかなり好印象でした。もちろん粘着ラバーでは面を開いた方がインパクトで回転がかかりやすく良いと言われますが、このラバーでは巻き込むことで新たな癖が出せるのではないかとも感じました。特にドライブラリーでは味が出るのではないでしょうか。

ブロック
 弾むので落ちることはなかったです。これも違和感感じまくりでした。

カウンタードライブ
 もう違和感だらけで、できませんでした。今後頑張りたいと思います。

ストップ
 これは良かったです!切りやすかったです。

ツッツキ
 切って低く送るのがやりやすかったです。これだけでも武器になりそうでした。

フォアフリック
 弾むのですが、回転をかけて沈ませたほうが安定すると思います。やりやすかったですね。

バックハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

チキータ

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Hurricane(キョウヒョウ)系 ≧ Omega VII China Ying > Dignics 09C ≧ Dignics 05

スピード
 Dignics 05 > Omega VII China Ying > Rhyzen ZGR > Hurricane(キョウヒョウ)系

レビュー 和の極み-煉- (wa-no-kiwami Ren)

説明

 和の極み -煉-ドイツの卓球メーカーandro(アンドロ)のラケットになります。ドイツのメーカーのラケットですが今回レビューする和の極みシリーズは全てメイドインジャパン(Made in Japan)のラケットシリーズになります!木材合板系ラケットの中ではやや価格は高く、中・上級者志向のラケットシリーズになります。木材合板系ラケットで有名なメーカーは、例えば北欧Sweden(スエーデン)のSTIGA(スティガ)やNittaku(ニッタク)が挙げられると思いますが、この和の極みシリーズは十分に匹敵するラケットシリーズではないかと思います。

 和の極みシリーズは、デザインに派手さはなく、あくまで性能で勝負のラケットです。和の極みシリーズには、3種類のラケットが販売されていて、7枚合板のような弾みとパワフルさを備えつつ5枚合板の繊細さをあわせもった-蒼-力強いのに一本芯の通ったカットマンや守備型選手用の-碧-、そして本ページでレビューする7枚合板系の中でも剛腕でパワフルさを求めつつ軽量におさえた-煉-の3本になります。
 和の極みシリーズは全て、株式会社 山ノ木という、オーダー家具屋さんが製造で、どのラケットもハンドメイドで、メイドインジャパンになります。日本ではそこまでメイドインジャパンを嬉しがる人は多くないと思いますが、海外では「メイドインジャパン」はある意味ブランド化していて、欲しい!となるそうですね。androさんはドイツメーカーで、そういった購買層をターゲットとしていると思われます。日本では、和の極みシリーズは、WRMさんが紹介して一躍注目されたラケットでもあると思います。

 今回レビューする和の極み -煉-はパワフル7枚合板ラケットなのに軽量というバランスのとれたラケットであることが、一つの特徴となっているラケットで、他のメーカーではあまりない1本になっています。それではブレード厚さ、ブレード面積、重量、について、有名どころの7枚合板と比較していきましょう。

SWAT(スワット):                 6.0 mm、158×150 mm、85 g
SWAT Power(スワットパワー):          6.6 mm、158×150 mm、90 g
Koki Niwa Wood(丹羽孝希ウッド):         6.5 mm、157×150 mm、90 g
SK7 Classic(SK7クラシック):           6.8 mm、157×150 mm、90 g
Ma Lin Extra Special(馬林エキストラスペシャル):  6.3 mm、157×151 mm、95 g
Fortius FT(フォルティウスFT):          6.4 mm、158×150 mm、92 g
Fortius FT RE(フォルティウスFT RE):        6.1 mm、157×149 mm、89 g
Fortius FT light(フォルティウスFT light):     6.4 mm、157×149 mm、88 g
Gauzy SL OFF(ゴーズィ エスエル オフ):      6.2 mm、157×150 mm、90 g
CLIPPER WOOD(クリッパーウッド):        6.5 mm、157×150 mm、92 g
Wa-no-kiwami Ren(和の極み -煉-):        6.7 mm、157×150 mm、82 g

有名どころの7枚合板ラケットをkatsuo000+の判断で挙げました。和の極み-煉-はブレード厚さが6.7 mmと他の7枚合板と比べても厚い部類であることがよくわかると思います。 近年ラケットのトレンドはどんどんブレード厚さが薄く、台上がやりやすいラケットが増える傾向にありますが、和の極み -煉-はパワフルで弾みが出やすいラケットになりますね。
 ちなみにandro契約のトップ選手Simon Gauzy(シモン ゴーズィ)選手が使用するゴーズィ エスエル オフはブレード厚さが0.5 mmも薄い設計になっています。もともとゴーズィ選手は5枚合板を使用する選手で、トップ選手で戦うために7枚合板で上板に黒檀と硬い素材をもちいたゴーズィ エスエル オフへ変更しました。上板が硬くかつブレード厚さも薄いので回転性能も高いトップ選手モデルといえるでしょう。

 和の極み -煉-の特徴は既にワールドラバーマーケット(world rubber market、WRM)さんで紹介されています。改めて紹介させていただきます。
 WRM: https://rubber.ocnk.net/product/2887 
     https://www.youtube.com/watch?v=NQ5Rw–O2xo
  特徴① 7枚の豪快パワードライブ
  特徴② ラケットの操作性が大幅にUP
  特徴③ 定番の7枚合板の厚さで最もドライブがかかる

和の極み -煉-の特徴

3球目パワードライブの安定感とスピード!

 和の極み -煉-の特徴はなんといっても3球目のパワードライブといえると思います。打球感がかなり特徴的で、厚ラケのためブレードのしなりはほとんど感じず、上板も硬めのものをもちいているのでハードなラケットにはなるのですが、木材らしい柔らかさも感じる独特のラケットになります。シェークラケットの打球感ではなくどちらかといえば、日ペン1枚単板に近い打球感だと思います。
 相手の回転をものともしないパワフルかつ安定感の高い3球目パワードライブがガンガン打てますね!これはブレード厚が厚くて、しなりにくく相手の回転に負けないためだと思います。もちろんアウターカーボンラケットの方が威力は出ると思いますが、弧線が直線的になりやすく安定感を得づらいでしょう。この和の極み -煉-なら安定感と威力のあるパワードライブができると思います。

軽量なのに7枚合板らしく押されない!

 5枚合板と7枚合板の最も異なる点の一つに、相手のボールに押されるか否か、という点があると思います。5枚合板は高い回転性能が得やすいラケットではありますが、相手のボールに押されやすく手に響きすぎると感じる人もいるのではないでしょうか。この和の極み -煉-では、5枚合板と同等の重さであるにもかかわらず、厚ラケでしなりにくいので7枚合板らしく押されにくさを感じました。ブロックがピタっと止めやすく、相手のドライブやスマッシュに負けません!

厚ラケらしく中陣からでも威力が出しやすい!

 普段カーボンありのラケットをよく使い、カーボンラケットと比べるとやや威力不足を感じますが、それでも下がった時に弾むためしっかり面を被せてドライブが打てると感じました。5枚合板系ラケットだと飛距離が出ないので、面はむしろやや起こして上方向へ打たないとネットを超えないイメージがありますが、この和の極み-煉-なら飛距離も出やすいのでカーボンラケットからの移行でも大きな違和感なく中陣からドライブができると思います。

おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

Hurricane NEO 3(キョウヒョウNEO3)

バックラバー

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フォアフリック

バックハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

対下回転に対するループドライブ 

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

チキータ

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

レビュー 翔龍(Rising Dragon)

説明

 YASAKA(ヤサカ)さんの翔龍(Rising Dragon)をレビューします。2015年春-夏に発売のラバーです。粘着テンション初期のラバーで、当時スピードの出せる粘着ラバーと安価な価格で話題となったラバーです。あの粘着ラバーユーザーのトップ選手である岩崎栄光選手も使用していたラバーになります。現在でもTT埼玉の神巧也選手も使用しているラバーで、5年以上経っても人気のラバーになります。2021年現在、各社少なくとも1~2種の看板となる粘着ラバーを販売することが当たり前になりましたが、ヤサカさんは随分早くに、トップ選手が使用するような粘着ラバーを販売していたことになりますね。

中国製粘着ラバーの常識を打ち破るテンション系粘着ラバー
 粘着性のトップシートがボールをつかまえて強烈なスピンを生み出し、テンション効果の高いハードなスポンジが勢いをつけて飛ばします。プラスチックボールにも効果を発揮し、回転量の多いドライブ攻撃やサービス、レシーブが可能になります。

 重厚なラバーが、重く威力のあるドライブを生み出す。強烈な回転量のサービスやパワードライブを多用するパワーヒッター向け。

https://www.yasakajp.com/items/rising-dragon/

 上記が、ヤサカさんの翔龍の説明になります。また、この時代粘着テンションラバーがまだ新しいと考えられる時代で、技術紹介としてSTM(Sticky Sheet + Tension Sponge / Matching)という言葉が使用されています。粘着性のシートとテンションをかけたスポンジを組み合わせということで、翔龍と、粘着性でありながらさらに軽量化を進めたShining Dragon(輝龍)にSTM技術が採用されているようです。輝龍およびこの翔龍は中国製ラバーであり、ニッタクのキョウヒョウのようにシートは中国製、であるのは粘着ラバーといえば中国、という本物感があって嬉しいですね。中国製となると気になるのは、スポンジの色ですが、黒シートには黒色の、赤シートには赤色のスポンジを採用しているそうです。スポンジ色は輝龍でも同じです。そして価格は4,500円+税と低価格であることも嬉しい価格です。

性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

 現在では、ラクザZが発売されトップラバーの位置ではありませんが、粘着ラバーで硬いスポンジで高いスピン性能の得られるラバーが、翔龍であるといえるでしょう。スピード性能もスピン系テンションラバーである、ラクザXソフトやライガンと同等ということで、翔龍の性能の高さを感じますね。

 硬度計比較になります。粘着ラバーとスピン系テンションラバーは同じ硬度比較で比べるとわかりにくいかもしれません。初期の粘着テンションラバーである翔龍はやはりキョウヒョウを意識して作られていると思いますので、キョウヒョウNEO3にかなり近い値になりますね。また今回かなり軽量な翔龍だったようです。

翔龍の貼りと重量

 今回はヤサカさんのReinforce AC(リーンフォースAC)に貼りました。

中国製ということで、キョウヒョウなどにも貼られているシート保護の透明シートが粘着らしさをかもしだしてくれていますね。粘着テンションラバーなのに、保護シート込みでラバー全体の重量が62 gってかなり軽いと感じました。保護シートをはがずとテカリ方はまさに中国製を感じさせるシートで、ただし粘着力は微粘着か微々粘着程度であまりベタベタしているという感じはありませんでしたね。

Rising Dragon(翔龍)
 粘着テンション
 STM(Sticky Sheet Tension Sponge Matching)
・Sponge Thickness: 厚、特厚
・Speed:10+
・Spin:13+
・Sponge硬度:47~52
・4,500円 + 税
・62 g(保護シート込み) → 43 g(リーンフォースAC、157 × 150 mmに貼って)

 完成したラケットがあまりにも軽くて、逆に驚きました。

翔龍の3つの特徴

やはり弾む粘着テンション!

 この翔龍、見た目は中国製粘着ラバーですが、全然弾みますね!またハードなスポンジをあわせていることもあり、打感がカチカチなので、かなり弾きやすかったです。やはりスピン系テンションよりの粘着ラバーだと感じました。また普通に使っていてもオートに癖球がでるようなラバーではないので、自分から癖球を作らないと粘着ラバーらしさはでないかもしれません。最近はスピン系テンションばかり使用していたので、癖のない打ち方になっていたようで、そこまで粘着の癖球を感じませんでした。

 また、翔龍のドライブをとったことがありますが、ボールの癖球はキョウヒョウ系の沈み方ではなく、どちらかというとテナジーよりの伸び方に特徴のある癖球が出やすい印象でした。その中にたまに、変にボールが沈むものがあるのですが、翔龍は基本的にはボールが伸びる系の癖球が出るラバーでした。

軽い!

 今回衝撃の43 gでした。こんなに軽い粘着ラバーは、他にないのではないでしょうか。この重量ならバックハンドにも使えるかもしれません。バックで軽く使った印象は、少しボールのグリップがしづらく、粘着ラバーらしい難しさを感じました。
 過去にブログで個体差がものすごい、という記事を読んだことがあるので、パッケージの段階で重量をしっかり計測して購入することでお目当ての翔龍を購入することができるかもしれません。探し出せばもっと重いフォア向きの翔龍もあるのではないかと想像します。また、後加工やファインジップを厚塗りする、という場合には軽い個体の方が重量を気にしなくてよくなるかもしれませんね。katsuo000はファインジップ厚塗りの効果はまだ未検証になります、すみません。

 この重量ならバックでも使えると上述しましたが、TTさいたまの神選手も両面に使うラバーが翔龍です。考え方次第ですが、バックに使っても良いでしょうね。

軽いのに粘着らしい打球感と弧線!

 軽くてイメージとは異なるラバーでしたが、打球感はまさに中国製粘着ラバーらしさがありました。なので、使いこなして自分で癖球をだしたり、緩急をつけたりするには、非常に良いラバーだと思います。重量のコントロールもしやすいと思われますので、自分でベストな状態を作り出せるラバーだと思いました。
 ディグニクス09CやライゼンZGRなど、新しい粘着テンションラバーは扱いやすい反面、オートマチックに癖球は出ずスピン系テンションから移行しやすいラバーというポジションでした。翔龍はスピン系テンションから移行しやすく、その中で生粋の粘着の使い手を目指す方に向いたラバーだと思います。特に、ディグニクス09Cなどと比べると、ボールの質感がそろいにくい点で翔龍は嫌らしさを感じましたね。この翔龍を経験した後は、強烈な個性を求めてキョウヒョウを試す、その礎を十分に作ることのできるラバーだと思います。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フォアフリック

バックハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

チキータ

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 05 > Rising Dragon > Tenergy 05 FX

スピード
 Dignics 05 > Rising Dragon > Hurricane NEO III

レビュー Rhyzen ZGR(ライゼンZGR)

説明

 Rhyzen(ライゼン)シリーズはJoola(ヨーラ)の最新の粘着テンションラバーで、2021年春-夏発売のラバーになります。Joola(ヨーラ)最新のハイエンド粘着ラバーに位置します。Joolaは日本ではむしろラージボール卓球の方で有名なメーカーで、そちらの方がご存知の方も多いのではないでしょうか。あまり注目されにくいヨーラさんですが、昨今の進化系ポストテナジーラバーと呼べるドイツ製ラバー、Dynaryz AGR(ダイナライズAGR)を比較的早く発売されているという認識です。プロモーションなどで損しているのかもしれないですが、注目のメーカーになります。katsuo000が思う、昨今の進化系ポストテナジーラバーとその発売時期を以下に示します。

1. Rasanter R53(ラザンターR53): 2019年 秋-冬
2. Dynaryz AGR(ダイナライズAGR): 2020年 春-夏
3. Target Pro XD 52.5(ターゲットプロXD-52.5):2020年 秋-冬
4. Evolution MX-D(エヴォリューションMX-D):2021年 春-夏
5. Rhyzen ZGR(ライゼンZGR):2021年春-夏
6. DNA Platinum XH(ディーエヌエープラチナエキストラハード):2021年 夏-秋
7. DNA Platinum Dragon Grip(ディーエヌエープラチナドラゴングリップ):2021年 夏-秋

 宣伝やプロモーションでぼやけてしまう部分や、卓球王国さんが取り上げないなどでインパクトがなかったものもありますが、発売時期を確認すると、ヨーラさんは発売時期がとても早いと感じますね。また、DNAプラチナドラゴングリップが発売されてしまいましたが、最新ドイツ製ラバーの中で初期の粘着テンションラバーであることも注目のポイントだと思います!さて、ライゼンZGRはどんなラバーなのでしょうか。
 今回試打したラバーRhyzen ZGR(ライゼンZGR)は、ライゼンシリーズ2枚のうちの1枚で、硬い方になります。柔らかいRhyzen CMD(ライゼンCMD)は、価格も安く広い層をターゲットとしたラバーのようです。一方、本ページのRhyzen ZGR(ライゼンZGR)は、スポンジがハード+と硬く、スピン性能はヨーラの看板粘着ラバー、Golden Tango(ゴールデンタンゴ)と同等で、スピード性能はRhyzer Pro 45(ライザープロ45)と同等という、非常に高性能なラバーとなりますね。ちなみにゴールデンタンゴはまだ試打できていませんが、卓球王国さんやWRMさんでも取り上げられていたラバーで、粘着らしさがありながら弾むラバー、というイメージです。ゴールデンタンゴと同等の回転とそれ以上のスピードは楽しみですね。また、パンフレットを読むと、ライゼンシリーズには、ダイナライズと同じ新しい技術のスポンジとシートを採用していて性能が高いと予想できました。ダイナライズAGRはかなりテナジーっぽいラバーで、まさに進化型ポストテナジーに分類できるラバーだと思いますが、そのラバーと同じような技術を採用しているということです。どのようなラバーなのかほとんど情報がなかったのですが、性能値や価格帯から悪いラバーではないと期待して購入しました。

性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

 ライゼンZGRはヨーラのラバーのカテゴリーではプロフェッショナルに位置するラバーで、価格は6,300円 + 税になります。割引されて5,000円くらいになりますでしょうか。ダイナライズよりも安いんですね!これは結構ポイントです。看板ラバー、ゴールデンタンゴよりも高い回転性能とスピード性能は、やはり注目ですね!現状、粘着ラバーの中で最も性能が高いヨーラのラバーがライゼンZGRと考えて良いでしょう!

 硬度計比較になります。ダイナライズAGRより硬さのあるラバーであることがわかりますね。またshore aのシート側とスポンジ側の差から、テナジーほどではないですが、ディグニクスよりは扱いやすいことが示唆されるデータとなりました。また、ダイナライズAGRと比較すると、やはり硬く扱いにくいということを示唆しました。粘着ラバーで比べると、Dignics 09C(ディグニクス09C)よりもかなり扱いやすいラバーといえそうです。

ライゼンZGRの貼りと重量

 今回メインラケットのVirtuoso AC(ヴィルトーソAC)に貼りました。

↑この白いシートなのですが、卓球王国さんのDNAプラチナドラゴングリップとかなり類似の白いシートではないかと思います。どちらもドイツ製ラバーで、近い場所(工場?)で製造されているのではないでしょうか。

 粘着テンションラバーということで、やや重いですね。ヴィルトーソACは少し、標準よりブレード面積が広いので、重くなりやすいですね。ただし、球をついてみると結構弾むし、シートの粘着の強さも微々粘着程度で、コテコテの粘着ラバーではなく、どちらかというとDignics 09C(ディグニクス09C)に近いラバーだと感じました。

Rhyzen ZGR(ライゼンZGR)
 粘着テンション
 Hard Balance Sponge(ハードバランススポンジ)
 Hyper Traction Surface(HS Traction、ハイパートラクションサーフェイス)
 Made in Germany
・Sponge Thickness: 2.0 mm、Max
・Speed:8.5
・Spin:11
・Category:Professional
・Sponge硬度:Hard+
・6,300円 + 税
・73 g(切断前) → 53 g(ヴィルトーソAC、158 × 150 mmに貼って)

 ちなみに、ヨーラさんのパッケージが新しくなったのと、シート形状が数字化してくれています。下はDynaryz AGR(ダイナライズAGR)のシート形状の数値になりますね。ライゼンZGRと比較してみました。

黒いものがライゼンZGRになります。
Rhyzen ZGR:HS Traction Balance Sponge hard+
       粒太さ 1.5 mm、粒間隔 0.8 mm、粒高さ 0.7 mm
Dynaryz AGR:AS Traction Hyper Bounce Sponge hard
       粒太さ 1.7 mm、粒間隔 0.6 mm、粒高さ 0.9 mm
シートの粒は、粒が太いほど、粒間隔が狭いほど、粒高さが低いほど、回転性能が高く粘着っぽくなります。ライゼンZGRは、粒は細く粒間隔が広めとすることで、スピード性能を出しつつ、粒高さを低くすることで粘着らしさを出しているのだと思います。

Rhyzen ZGRの3つの特徴

弾む粘着テンション!

 初めに使って感じたことは、「あ、これめっちゃ弾む粘着ラバーだ!」でした。全然粘着っぽくないんですね。シート形状を見ても、どちらかというとテンション系の形状をしています。打球音が高いし、狭い卓球場であったこともあってDignics 05(ディグニクス05)とそこまで遜色のないスピード感で、正直これテンションラバーじゃん、とまで思いました。近い感想を思ったラバーは、やはりディグニクス09C!発売時期を考慮してもヨーラは、ディグ09Cを意識して発売したのではないかと打てば打つほど感じました。

 ただし、弾むんですが、ちゃんと粘着ラバーらしいことはできました。これは非常に良かったです。下回転打ちは、持ち上げやすくて打ちやすいですし、回転量もしっかりかかると感じました。ディグニクス05よりもボールが揃いにくく、ブロックもしづらいと言っていただきましたね。ヴィルトーソACが薄いインナーカーボンであるため、扱いやすやすさに加え回転性能を損なうことのない組み合わせになったようにも感じました。総じて、粘着ラバーいいね!と感じる試打となりました。

 ここまでかけば察しの良い方は想像つくと思いますが、キョウヒョウのような生粋の癖球らしさは皆無です。粘着らしさを期待して購入してはいけません。そのかわり、スピード性能が高い、スピン系テンションよりの粘着テンションラバーです。そういう粘着テンションラバーとして認識して購入すべきだと思いますね。

カーボンラケットとの組み合わせならバックでも使える!

 かなり弾むので、バックでも十分使えると感じました!特に粘着ラバーらしいグリップ力があり、チキータやバックハンドドライブは、正直ディグニクス05よりもやりやすかったかもしれません。ディグニクス05が、やや扱いにくさもある変わったラバーであるためかもしれません。ブロックもしてみましたが、フラットに打球しても落ちるということも、相手の回転の影響を受けすぎるということも感じませんでした。今回インナーカーボンラケットに貼りましたが、アウターカーボンラケットでも硬さと重量さえ克服できれば扱えるのではないかと想像します。

くい込みの良さのわりにカウンタードライブがやりやすい

 ラケットも変更し、全体的に用具の扱いやすさも扱いやすい方向に進んで、客観比較がやや困難なのですが、カウンタードライブが思ったより入りました。くい込みの良いラバーでしたので、難しいのではないかと思いましたが、そこは粘着ラバーらしくしっかりおさまってくれて練習試合でしたが得点源の1つになってくれて嬉しかったです。相手の回転に対し真向に上書きしにいくよりは、回転軸を外してカウンタードライブする方が安定するイメージでした。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 スピン系テンションラバーと遜色のない打球感と弾みでした。

ロングボールやラリーでのドライブ
 打球点を落としたときに、くい込みの良さも相まって回転量の多いドライブがしやすかったです。

面を開いたドライブ
 粘着ラバーらしく、下回転打ちなどは面を開いた方がスピードドライブがやりやすかったです。回転量は少しものたりないかもしれません。

対下回転に対するループドライブ
 結構飛び出しが良くて、ディグニクス05のように弾道の高いループになりやすかったように感じました。そのかわり回転量も高かったです。

対下回転に対するスピードドライブ
 面を開いた方がやりやすいと思います。あまり巻き込むと持っていくのが難しいと思います。ただし、くい込みが結構いいので、パワーがあれば巻き込んでも持っていけると思います。

カーブ/シュートドライブ
 スピードが速く、ボールが沈むわけではないので、あまり曲がる印象はありませんでした。

ブロック
 やりやすかったです。くい込みが良いのでオーバーミスの方が多く、粘着ラバーらしくないと思いました。

カウンタードライブ
 初めはやはりオーバーミスが多かったのですが、少し巻き込み気味にとらえることで安定しました。

ストップ
 思ったよりくい込みが良いので、当てるだけだと浮くかもしれません。切ろうとすることで弾道は低くなりますが、少し長くなるかもしれません。

ツッツキ
 スイングした方が低い弾道になって良かったです。ディグニクス05が切れすぎるのもあってか、あまり切れると感じませんでした。

フォアフリック
 弾く系しかできませんでしたが、弾いてはダメでした。回転をかけた方が安定すると思います。

バックハンド系

軽打
 バックでも、違和感ありませんでした。少し重いスピン系テンションラバーといえるかもしれません。

ロングボールやラリーでのドライブ
 悪くなかったですが、下がるとパワーがない分、ややスピードがおちました。

対下回転に対するループドライブ
 思ったよりやりやすかったです。バックにはありかもしれません。

対下回転に対するスピードドライブ
 バックの方が面を開きやすいこともあり、角度があってやりやすかったです。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 違和感ありませんでした。重さと硬さのおかげだと思います。

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ
 そこまで切れる印象はありませんが、やりやすかったです。

チキータ
 やりやすかったです。ボールをグリップするので、上書き系が特にやりやすくて良かったです。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 09C ≧ Rhyzen ZGR ≧ Dignics 05 > Dynaryz AGR

スピード
 Dignics 05 > Dynaryz AGR > Rhyzen ZGR > Tenergy 05

レビュー Reinforce AC(リーンフォースAC)

説明

 Yasaka(ヤサカ)のラケット、Reinforce AC(リーンフォースAC)をレビューさせていただきます。ヤサカといえば、裏ソフトラバーのMark V(マークファイブ)が有名だと思います。katsuo000も6歳のときにラケットを握りましたが、そのラバーにはマークファイブが貼ってありました。そのヤサカさんのラケットのレビューになります。ヤサカの用具といえば、多様な乱発はせず超高性能ではないけれど、トップ選手も満足するものを、お手頃価格の用具が多い印象です。ヤサカのラケットラバーなら、安心して購入できるということも多いと思いますね!ヤサカのラケットといえば、Ma Lin(馬林)シリーズが有名でしょう。特に5枚合板で入門者から中級者以上まで使用できるMa Lin Extra Offensive(馬林エキストラオフェンシブ)と、7枚合板でTリーグ出場トップ選手の神巧也選手愛用Ma Lin Extra Special(馬林エキストラスペシャル)はリーズナブルさも相まって人気だと思います。

 またカーボンの入った馬林シリーズは3種類が販売されていますが、どれもインナー位置にカーボンを配したラケットになっています。Butterfly(バタフライ)さんのインナーフォースシリーズが販売されるよりも前から馬林カーボンは販売されていて、時代を先読みしていたヤサカさんとも言えるのかもしれませんね。ただし、バタフライさんのインナーフォースシリーズが大ヒットしたことも受け、VICTAS(ヴィクタス)さんはFire Fall(ファイヤーフォール)シリーズを、ヤサカさんはReinforce(リーンフォース)シリーズを発売しました。各メーカー、インナーカーボンシリーズを持つようになりましたし、メーカーによってはシリーズ化していなくても、どの位置にカーボンが配しているのか、ネイミングやパンフレットを見るだけでわかるようになってきたように思います。

 今回は、ヤサカのインナーカーボンシリーズの1本、Reinforce AC(リーンフォースAC)のレビューになります。リーンフォースシリーズは4本ラインナップしており、販売価格は同じで、その全てが卓球王国さんによって取り上げられるオススメラケットシリーズになりますね。あまり知名度は高くない印象ですが、今回レビューするリーンフォースACはバタフライの人気モデル、Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)を明らかに踏襲しようとしていて、個人的にはかなり期待のラケットでした。他メーカーの売れているものの廉価版を販売する、という戦略は利口だと思います。

引用

 それでは、YASAKAのパンフレットから説明を引用させていただきます。

 様々なカーボンを中芯材のすぐ横に挟み込む事によって、木材のコントロール性能を持ちながらも特殊素材の反発力を加えた。プレーヤーの打球に威力と安定性を与える「リーンフォース」シリーズ。

 高い反発力と柔らかい打球感を持つアラミドカーボンを搭載。安定性を保ちつつも威力のあるボールを打つことが出来る高性能ラケット。

https://www.yasakajp.com/items/reinforce-ac/

アラミドカーボン

 アラミドカーボンとは、Aramid(アラミド)繊維とカーボンを編み込んだ素材のことです。卓球王国さんでは、バタフライさんのアリレートカーボン(ALC)とほぼ同じ扱いをしている素材になります。アラミドとは、ポリアミドのことだと思います。ポリアミドの中には、商品名にもなっているケブラーも含まれるので、アラミド繊維だけでもケブラーなどの種類が存在することになると思います。

 下記はケブラー(Kevlar)の構造式になります。ケブラーは、Dupont(デュポン)社によって開発された世界初のスーパー繊維で、防弾チョッキなどに利用されている繊維になります。

パラ系アラミド繊維ともいわれる材料で、硬さのある繊維になりますね。katsuo000も、卓球王国さんに従い、アラミドカーボンやケブラーカーボンは、ALCと同じカテゴリーとして採用しています。

ブレード情報と比較

 仕様をみれば大体どのようなラケットか、わかる人にはわかると思います。katsuo000が参考にしている「TT BLADES DATABASE」さんを参考にしました。

TT BLADES DATABASE:  https://stervinou.net/ttbdb/index.php

種々のサイトでブレード構成について議論や情報が出ていて、何を参考にするかは難しいところです。個人的な意見として、重要なことは特殊素材の位置と上板(表面板)の素材であり、他は正直違いがあまりわかりません汗。上述のサイトは英語にはなりますが、各木材についても言及してくれているので非常に参考になると思います。

Reinforce AC: Limba (1+7) /Limba (2+6) /AC (3+5) /*** (4)
         6.0 mm、 157 × 150 mm
Harimoto Tomokazu Inner Force ALC: 
         Limba (1+7) /Limba (2+6) /ALC (3+5) /Ayous (4)
         6.0 mm、 158 × 152 mm
Inner Force Layer ALC:
        Limba (1+7) /Limba (2+6) /ALC (3+5) /Ayous (4)
         6.0 mm、 157 × 150 mm
Virtuoso AC:  Limba (1+7) /Limba (2+6) /AC (3+5) /*** (4)
         5.6 mm、 158 × 150 mm

 マイナーなラケットなため、確証がない部分は***にしています。上板にLimbaを2枚というのは、近年のインナーラケットの特徴的な部分だと思いますね。まだ張本智和インナーフォースALCを試打したことありませんが、ほぼほぼ打球感はリーンフォースACとかわらないと想像します。むしろここまでブレード構成が似てくると、個体差である重量の影響や、好みの現れやすいグリップの太さや細さで打球感は変化してくるでしょう。

Reinforce ACの特徴

上板リンバでよくつかむ!安心感のある打球感!

 インナーカーボンラケットはめちゃめちゃ使いやすいですね!すごくボールをつかみます!その分、ボールの球離れも遅い気はしますが、試合でそこまで気にならないと思いますし、この打球感はどんなに苦しいときでも、ボールを持ち回転をかけたりコントロールしたりしやすくしてくれるので、武器になりますね!ヒットするのもよくわかります。回転をかける感覚をしっかり感じられるので、初見で初めて見るようなボールでもしっかり自分の回転にして返球しやすく、ミスのできない場面でも自信をもって強打することができると思います!

6.0 mmのブレード厚さで、ハードヒット時の威力は十分!

 ブレード厚さ6.0 mmは、7枚合板の領域ではないかと思います。やはりハードヒットすると、威力のあるボールが打てますね。これはカーボンありのラケットらしいさがあると思います!個人的にはハードに厚くぶつけるように打ったときと、ラバーのシートだけにくい込ませるように打つ時で、イメージの飛距離が違うことに少し違和感を感じましたが、バタフライのInner Force Layer ZLC(インナーフォースレイヤーZLC)ほどではありませんでした。インナーフォースレイヤーZLCはカーボンもかたいZLCを使っているので、厚くぶつけた時とシートだけで打った時の差が激しいのだと思います。この辺りは使い込めば慣れて違和感はなくなることでしょう。

コスパが素晴らしい!

 実は今回、リーンフォースACは、在庫処分で購入できました!その価格はなんと、5,470円!めちゃめちゃお得に購入できたことも嬉しい一品でしたね!それでいて、現在メインで使用しているヴィルトーソAC(販売価格25,000円越え)と打球感に遜色はありません。じゃっかんですが、リーンフォースACの方が飛距離と弾みが強すぎると感じるだけ、という申し分ない性能でした。グリップ(フレアのみ)や細さなどにこだわらないのであれば非常に優れたラケットでしょう。katsuo000はグリップの太さにはあまりこだわりはなく、近年はフレアを好むので、リーンフォースACサブラケットとして使っています。しっかり重量を選んで購入すればかなりオススメです!

おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

バックラバー

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フォアフリック

バックハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

チキータ

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Virtuoso AC > Reinforce AC > Tornado King Speed

回転のかけやすさ
 Virtuoso AC > Reinforce AC > Tornado King Speed

スピード
 Tornado King Speed > Reinforce AC > Virtuoso AC

飛距離
 Tornado King Speed > Reinforce AC > Virtuoso AC

レビュー Tornado King Speed(トルネードキングスピード)

説明

 Nittaku(ニッタク)のラケット、Tornado King Speed(トルネードキングスピード)をレビューさせていただきます。Nittakuといえば、日本一売れているラバー、Fastarc G-1(ファスタークG-1)と、試合球のスリースターが有名だと思います。

 そのNittakuさんの今回はラケットのレビューになります。Nittakuのラケットといえば、弦楽器シリーズが有名だと思いますが、今回はアウターカーボンで粘着ラバーと相性が良いと想像されるトルネードキングスピードになります。

 トルネード≒ハリケーン≒Hurricane(キョウヒョウ)ということで、要は紅双喜(Double Happiness Shanghai、DHS)のHurricane(キョウヒョウ)ラケットシリーズを意識した仕様になっていると言うことですね。またKing≒王≒Wangということで、Hurricane Wang(キョウヒョウ王)シリーズに類似仕様のラケットだということがわかります。katsuo000はキョウヒョウ王シリーズを試打したことがないのですが、木材合板系のラケットという認識になります。キョウヒョウ王シリーズは、元世界ランキング1位の王励勤(Wang Liqin)選手の使用していたラケットシリーズになりますね!katsuo000が学生時代に世界チャンピオンとして、そしてエゲツないパワードライブで大活躍していたイメージがあります!有名な選手ですので、もちろんWikipedia(ウィキペディア)のページもある選手になりますね!
    https://ja.wikipedia.org/wiki/王励勤
 印象的なパワードライブには、かなり憧れましたし、TT埼玉の坂本竜介監督もそのドライブの凄さについて言及されています。この時代は有機グルー全盛期ですので、5枚合板などの木材合板ラケットを使用する選手が多いですね。ただし、王励勤選手も同時代のMa Lin(馬琳)選手も100 gという重量級のラケットを使っていたらしいです。フィジカルがもの凄いですね汗。また、コロナ禍になってHarimoto Tomokazu Inner Force ALC(張本智和インナーフォースALC)へ変えてしまいましたが、トップ選手の森園政崇(もりぞのまさたか)選手も、コロナ前はDHS製のキョウヒョウ王を使用していました。ちなみにキョウヒョウ王は5枚合板系のラケットになります。

 今回レビューするTornado King Speed(トルネードキングスピード)はNittaku(ニッタク)製のラケットで、ケブラーカーボンをアウターに配したラケットになります。ちなみにインナーにアラミドカーボンを配するとTornado King Power(トルネードキングパワー)になります。Nittakuのパンフレットを拝見すると、ブレード厚は5.7 mmでアウターアラミドカーボンということで、Butterfly(バタフライ)さんのZhang Jike ALC(張継科ALC)とほぼ同じラケットではないかな、と想像して購入しました。ただし、張継科ALCはブレード厚は5.8 mmでトルネードキングスピードの方が0.1 mm薄いというのも認識しての購入です。katsuo000は薄いラケットの方がしなって好きなので、0.1 mmでも薄いなら欲しいな~と思ってしまいました。Nittakuでは他にもFlyatt Carbon Pro(フライアットカーボンプロ)が、バタフライのViscaria(ビスカリア)と類似のアウターケブラーカーボンかつブレード厚さが6.0 mm以下のラケットとして販売されています。しかもその価格は、8,800円+税で、割引込みで7,000円以下で購入可能という非常に良心的なラケットでもあります。こちらのラケットもkatsuo000は注目してたりしますね汗。普段から張継科ALCを使用しているので、全く一緒なのか、それとも異なるのか、異なるならどのように異なるのか、レビューさせていただきます。

引用

 それでは、Nittakuのパンフレットから説明を引用させていただきます。

高いスピード性能と安定性を備えたトップ仕様!
 表面板を厚くし、球持ちの良さと硬すぎない打球感を実現することでスピードドライブの回転量がパワーアップ!高反発でマイルドな打球感のケブラー®カーボンをアウターに搭載し、さらにスピード性能を高めています。

Nittakuのホームページより https://www.nittaku.com/products/rackets/post-25

アウターカーボンということで、球持ち+スピード性能が特徴ということでしょう。それ以外はやはり試打しないと何ともいえないですね。

ケブラー®カーボン

 Nittakuさんは種々のカーボン素材を扱っています。その中でも、ケブラー®カーボンはハードで弾むカーボン素材として紹介されていますね。

Nittakuの特殊素材性能一覧: https://www.nittaku.com/wp-content/uploads/2021/02/014e81e041795bf66270a13699eb8bb7.pdf

 ちなみにケブラー(Kevlar)とは、Dupont(デュポン)社によって開発された世界初のスーパー繊維で、防弾チョッキなどに利用されている繊維になります。

パラ系アラミド繊維ともいわれる材料で、硬さのある繊維になりますね。化学構造の観点から申し上げると、アリールカーボン(ALC)よりもケブラー®カーボンの方が、水素結合の影響によって硬くなると思います。卓球王国さんでは、どちらも同じ扱いをしますが、細かく考えるとNittakuさんの表記のようにケブラー®カーボンの方が硬くなると思います。ドイツのメーカーでもKVLカーボン≒ケブラーカーボンを使用しているラケットが複数あり、基本的にはALCとケブラー®カーボンは似ているで良いとは思いますが、化学構造としては異なりますね。katsuo000は、卓球王国さんに従い、同じカテゴリーとして採用しています。

ブレード情報と比較

 仕様をみれば大体どのようなラケットか、わかる人にはわかると思います。katsuo000が参考にしている「TT BLADES DATABASE」さんを参考にしました。

TT BLADES DATABASE:  https://stervinou.net/ttbdb/index.php

種々のサイトでブレード構成について議論や情報が出ていて、何を参考にするかは難しいところです。個人的な意見として、重要なことは特殊素材の位置と上板(表面板)の素材であり、他は正直違いがあまりわかりません汗。上述のサイトは英語にはなりますが、各木材についても言及してくれているので非常に参考になると思います。

 Tornado King Speed: Limba (1+7) /KVC (2+6) /Ayous (3+5) /Kiri (4)、 5.7 mm
 Zhang Jike ALC:    Koto (1+7) /ALC (2+6) /Limba (3+5) /Kiri (4)、  5.8 mm
 Viscaria:       Koto (1+7) /ALC (2+6) /Limba (3+5) /Kiri (4)、  5.8 mm
 Marcos Freitas ALC:  Limba (1+7) /ALC (2+6) /Limba (3+5) /Kiri (4)、 6.0 mm

ということで、参考にさせていただいている「TT BLADES DATABASE」によるとトルネードキングスピードはなんと上板にリンバを採用しているっぽいんですよね!バタフライさんのラケットで上板にリンバを使用しているラケットは、Marcos Freitas ALC(フレイタスALC)(または旧Maze(メイス))とMizutani Jun ZLC(水谷隼ZLC)になると思います。katsuo000はリンバの打球感は大好きである一方、威力不足を感じて上板にコト材を使用する張継科モデルのラケットを使おうとしてきました。(最近は球持ちを求めてインナーカーボンを好んで使っていますが。「TT BLADES DATABASE」の情報からもわかるようにインナーカーボンラケットは上板にリンバを使っているものが多いですね。)
 木材らしい打球感や球持ちを求めると上板リンバの打球感は非常におすすめです。木材合板から、いきなりTimo Boll ALC(ティモボルALC)やViscaria(ビスカリア)などの王道アウターカーボンはやはり打球感が硬いので難しいと思います。バタフライさんのラケットならフレイタスALCが良いと思いますね。ただし、ブレード厚さが6.0 mmと他のALCアウターラケットよりも0.2 mm厚いんですよね。トルネードキングスピードは、5.7 mmとむしろ薄いので、弾みやスピード面で少し大人しくなると思いますが、木材合板ラケットからの移行であれば、トルネードキングスピードは非常に良い選択肢となる可能性があると思いました。

Tornado King Speedの特徴

これは上板リンバ!アウターカーボンでよくつかむ!

 インナーカーボンと一緒に使ってみたのですが、「これは上板リンバだ!」と確信しました。インナーカーボンラケットと比較して打球感の違和感がほぼなかったですね。そして、インナーカーボンの後に打った時に楽と感じたので、弾みとスピードは明らかにトルネードキングスピードの方があると感じました。つまり、情報どおりということですね。バタフライのラケットにはないラケットで、非常に良い選択肢になると感じました。このトルネードキングスピードならアウターカーボンラケットでも球持ちを感じやすく、かつ、ブレード厚さが薄いのでしなっておさまりも良くて非常にオススメのラケットだと感じました!

5.7 mmのブレード厚さで、よくしなりよくおさまる!

 アウターカーボンだとレシーブが浮きやすかったり、思い切り打った時にオーバーミスということがあると思うのですが、このトルネードキングスピードは5.7 mmと他の類似の合板構成のラケット(だいたい5.8 ~ 6.0 mm)と比較して薄く設計されているので、しなっておさまりが良かったです!これは素晴らしいですね!一発で好きになりそうでした!ただし、腕にもよると思いますが、弾むスピン系テンションをあわせたときに、少しボールが軽くなりそうだな、と感じました。グリップ力のあるラバー、または粘着ラバーなどとあわせると、ラケットの弾みが補うので非常に相性が良いと思います!

木材合板やインナーカーボンから移行しやすい!

 木材合板やインナーカーボンを使っていてさらにスピード性能を求めるのであれば、トルネードキングスピードは、スムーズに移行しやすく良い選択肢になるでしょう!katsuo000はReinforce AC(リーンフォースAC)でも弾むと感じるくらいでしたので、アウターカーボンで探すなら、トルネードキングスピードよりももっとブレードの薄いAcoustic Carbon(アコースティックカーボン)の方が良いかなーなどと思いました(試打したことないので、わかりませんが、性能的にはアコースティックカーボンだと思い、書かせていただいてます。今後試打してみたいと思ってます)。インナーカーボンからさらにスピードと飛距離を求めるならぜひトルネードキングスピードがおすすめです!

おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

バックラバー

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フォアフリック

バックハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

チキータ

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Zhang Jike ZLC > Tornado King Speed > Mizutani Jun ZLC

回転のかけやすさ
 Reinforce AC > Tornado King Speed > Zhang Jike ALC

スピード
 Zhang Jike ALC > Tornado King Speed > Reinforce AC

飛距離
 Zhang Jike ALC > Tornado King Speed > Reinforce AC