レビュー

レビュー DNA Platinum XH(ディーエヌエープラチナエクストラハード)

説明

 STIGA(スティガ)さんの2021年注目の商品、DNA Platinum XH(ディーエヌエープラチナエクストラハード)をレビューさせていただきます。STIGAといえば、卓人にとっては木材系ラケットの老舗(しにせ)というイメージが強いのではないでしょうか。katsuo000はSTIGA≒木材系ラケットのイメージがかなり強いですね。そして、中国ナショナルチームと契約しているイメージですね。そんなSTIGAさんが2021年夏、新ラバーを発売しました!その名もDNA Platinum(ディーエヌエープラチナ)シリーズになりますね!既にDNA Pro(ディーエヌエープロ)シリーズが販売されていました。STIGAは日本製のラバーにこだわっていましたが、DNA Proシリーズからドイツ製のラバーとなりました。Made In ドイツというと、VICTAS(ヴィクタス)さんやYASAKA(ヤサカ)さんのハイエンドラバーはほぼほぼドイツ製ですね。ドイツ製ラバーはButterfly(バタフライ)のテナジーシリーズの次にトップ選手が使っていることが多く、STIGAのDNA Proシリーズもドイツ製ということで注目を集めていました!非常に短い期間ですが、DNA Pro H(ディーエヌエー プロ エイチ)は使用したことがあり、イメージとしてはかなりNittaku(ニッタク)さんのFastarc G-1(ファスタークG-1)に似ていると感じましたね。そのころはまだG-1を使ったことがなく、色々試打後に改めてDNAプロHについてもレビューを書きたいと思っておりました。結局新しいラバーが先に出てしまいました汗。こんなことにならないように今後もAs Soon As Possible(ASAP)で最新ラバーはレビューしたいものですね。
 今回登場のDNAプラチナシリーズは、ハイエンドラバーということで、なんと8,000円+税という強気の価格設定でした。これは近年テナジーを超えるポストテナジーラバー(androのRasanter R53(ラザンターR53)など)が次々と登場しているドイツ製ラバーの技術が、このDNAプラチナシリーズにも適用されているだろうと感じました。これは期待ですね~!

 世界標準Tenergy 05(テナジー05)は、発売から10年以上経過した2021年現在もワールドスタンダードの名前をほしいままにしています。テナジー05は卓球のことを考えるにあたり、なしでは語れない存在となってしまいました。このテナジーシリーズの特徴を2021年現在改めてkatsuo000なりに考えると次のようになると思います。

テナジーシリーズの特徴
・高い回転性能
・高いスピード性能
・軽い

 テナジーシリーズはButterflyの独自工場でしか生産できず、他の競合卓球メーカーと差別化されたラバーになります。他の競合卓球メーカーは、ラバー製造を基本的には外注しているのに対し、Butterflyは、卓球メーカーであるにもかかわらず、スポンジ製造工場を保有し差別化を図っているわけですね!もちろん、そのような状況を覆すために外注されるラバー製造メーカーも技術開発を進めてきたと思います。回転性能が高いテナジーシリーズに対抗するために、初期のポストテナジーラバーは、シートを厚くして回転性能を補ってきたように思います。

 シートの形状と性能の関係はこちら: https://katsuo000.com/topsheet_shape/

初期のポストテナジーラバーは、例えばFastarc G-1(ファスタークG-1)やRakza X(ラクザX)、Evolution MX-P(エヴォリューションMX-P)などだと思います。例えばファスタークG-1は確かにスピン性能は高く、グリップ力もありますが、テナジー05と比べる重かったり、ボールをくい込ませるためにより強いインパクトが必要になってくると思いますね。この要因の一つとして、シートが厚いからだといえるでしょう。

 今回のDNAプラチナシリーズは、katsuo000の中ではポストテナジー系テンションラバーまたは進化型テナジー系テンションラバーにカテゴリーされるラバーだと思います。上記のように初期のころのポストテナジー系ラバーのように厚いシートを採用するのではなく、なんと薄いシートを採用しているのですね!katsuo000の中で同じポストテナジー系テンション、または進化型テナジー系テンションに分類しているRasanter R53(ラザンターR53)やRasanter R48(ラザンターR48)についても、薄いシートを採用できるように技術が進んだそうです。DNAプラチナシリーズも類似の技術が採用されているのかもしれませんね!ドイツ工場の技術が進んだ結果、今後も高性能なラバーがドイツ工場からどんどん販売されるのではないかと想像しています。これは非常に楽しみですね!

 本ページでレビューするDNAプラチナエキストラハードは、DNAプラチナシリーズの中で、最も硬度の硬いラバーになります。卓球の用具スペシャリスト、ゆうさんもDNAプラチナシリーズはエキストラハードを激推ししていまいた!ドイツ基準で52.5°の硬いラバーではありますが、激推しするということは、テナジーのように硬度の割にくい込みが良くて扱いやすいラバーだと想像してました。8,000円という価格設定も、STIGAさんの本気度を感じますね!それではレビューしていきましょう!

公表性能値

 STIGA(スティガ)さんの好評性能値を示します。

 DNAプラチナエキストラハードはSTIGAのラバーの中で最も性能の高いスピン系テンションラバーということがよくわかりますね!これは期待が持てますね!

また性能とある程度の相関を示す、硬度計による硬度比較を下記に示します。

 バタフライさんのラバーと比較すると、どちらかというと、ディグニクスよりはテナジーに近いラバーと感じました。特に近そうなのがテナジー05ですね。ただし、ラバー質量はDNAプラチナXHの方が重いのは注意が必要です。重さという点は、やはりバタフライのラバーは軽く、非常に優れるといえるでしょう。

DNAプラチナエキストラハードの重量と貼り

 DNAプラチナエキストラハードは53 gでした。想定していましたが、やはり重いですね汗。

DNA Platinum XH(ディーエヌエー プラチナ エキストラハード)
 High Tension(ハイテンション)裏ラバー
・スポンジ厚:MAX(2.3 mm)
・スピン:140
・スピード:168
・Sponge硬度:52.5
・8,000円 + 税
・74 g(切断前) → 53 g(Reinforce AC(リーンフォースAC)に貼って)

DNA Platinum XHの3つの特徴

 最近、インナーカーボンにはまってしまい、このラバーからインナーカーボンでの試打になってしまいます。非常に扱いやすくて良かったですが、今までのラバーとの比較はややあまくなるかもしれません。ご了承お願い申し上げます。

52.5°を感じさせない扱いやすさと高い回転性能!

 エキストラハードということで、もっと扱いにくいと想像していたのですが、インナーカーボンに貼ったこともあって、かなり扱いやすく感じました。また硬度計(Shore a)のシート側硬度とスポンジ側硬度の差がテナジー05と近い値から、くい込みの良いことは想像していましたが、テナジー05に近いくらいの扱いやすさ、回転のかけやすさ、回転性能の高さを感じました。これはいいですね!
 また回転性能なのですが、対下回転バックハンドドライブで相手をふかすことができるくらい良く回転がかかって好印象でした。バックハンドは下手なのでなかなか回転を安定させられないのですが、自分のバックハンドの技術でもDNA Platinum XHなら回転をかけやすく相手に対して武器になると感じましたね!

シートの粒が太いため、R53よりも強いグリップ感!

 ラザンターR53の高い回転性能には驚きましたが、R53はややシートの粒形状はテナジー05ではなくテナジー80よりだと感じました。つまりくい込んだ後の球離れが早く感じるんですね。一方、DNAプラチナXHはR53に似ているのですが、グリップ感は明らかにDNAプラチナXHに軍配が上がると感じました!これはおそらくシートの粒が太い設計であるためだと想像します。一方で、R53の方がボールにいい意味で荒々しさがあって球威を感じましたが、DNAプラチナXHは少しボールが浅くなり疾走感やボールの走り、2速の伸びも少し大人しく感じましたね。このあたりはトレードオフな性能だと思いますので仕方ないとも思います。個人的な感想としては、R53は派手さが、DNAプラチナXHには素直で高い回転性能が、それぞれの個性だと感じましたね!R53が使いこなせるのであれば、R53の方がハナのあるプレイがしやすく、DNAプラチナXHの方が派手さは下がるものの、使い手の実力以上のものを出しやすいラバーだと感じました!

ポストテナジー05の決定版!まさに重たいテナジー05!

 2021年のポストテナジー系ラバーにおいて、最もテナジー05に近いラバーだと感じました!それまではラザンターR48がその位置だと感じていましたが、回転性能は高いものの打球感とグリップ感は、テナジー05ではなくテナジー80っぽさがあり、完全に同じとは言い切れませんでした。今回のDNAプラチナXHは、重さこそ重いですが、太目の粒で得られるグリップのしやすさはまさにテナジー05に近く、それでいて回転量も類似の性能があるラバーだと感じました。硬度計比較でもかなり近い値をたたき出しており、重量をのぞけばまさにテナジー05といえるラバーがDNAプラチナXHでした!非常に良いラバーで、オススメできるラバーだと思います。

 また今回インナーカーボンのReinforce AC(リーンフォースAC)で試打しましたが、非常に好感触でした。STIGAの製品を考慮してもおそらく木材系ラケットにあいやすいラバーだと思います。木材系にあうなーと感じた他のラバーとしてはミズノのQ5が挙げられますが、硬くて粘着ラバーよりのスピン系テンションは木材系またはインナーカーボン系のラケットにあう傾向があると思います。DNAプラチナXHも漏れなく木材系やインナーカーボンにあうラバーでしょう!こういったラバーは、フォアハンドでの上書きループドライブのやりやすさでわかることが多いのですが、DNAプラチナXHはループドライブが非常に低くかつ回転量豊富で返球しやすかったです。こういったラバーは非常に好みです。重ささえ克服できれば非常に良い選択肢になると感じました!

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ラリーでのドライブ
 ボールを持ちますね。非常に扱いやすいと感じました。これはバタフライの05のシート構造に近いシートの粒形状ではないかと感じましたね。

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ
 高い回転性能を感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 くい込みが良いので思ったより打ちやすかったですね!ディグニクス05よりもスピードドライブは打ちやすいと思います。

ブロック
 やや回転を食らうと感じましたね。

カウンタードライブ

ストップ
 しっかり止まってやりやすかったです。

ツッツキ
 切れると感じました。

フリック

サービス
 サービスも出しやすいし切れました。

バックハンド系

軽打

ラリーでのドライブ
 ボールを持つので打ちやすいですね。ただし、少しラバーが重いのでふり遅れが多かったですね。

対下回転に対するループドライブ
 ものすごくやりやすくて、回転もよくかかっていて好印象でした。もう少し軽いということなしなのですがね。バックハンドドライブで相手をふかせるようになったのは嬉しかったです!

対下回転に対するスピードドライブ
 これもやりやすかったです。かなりオールマイティ感があって良かったですね。

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ
 切りやすかったですね。

チキータ

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 05 > DNA Platinum XH > Tenergy 05

スピード
  Dignics 05 > DNA Platinum XH > Tenergy 05

扱いやすさ
 Rasanter R48 > DNA Platinum XH> Rasanter R53

進化型テナジー系テンション内での比較
 回転量
  Dignics 05 > Q5 ≧ DNA Platinum XH ≧ Rasanter R53 > Rasanter R48 ≧ Evolution MX-D

 スピード
   Dignics 05 ≧ Evolution MX-D > Rasanter R53 ≧ Q5 ≧ Rasanter R48 > DNA Platinum XH

https://amzn.to/3rHUch7

各メーカーのハイエンドラバーの比較 硬度編 shore c

横並びで比較!

 今回はラバー硬度になります。卓球専門店では、ラバー硬度を硬度計で計測して販売していることもあるそうです。硬度計で比較したデータを、今回ドンと比較できるように並べてみましたので、ご参考いただければと思います。
 shore c(シート側)での比較になります。これがほぼほぼ、ラバー単体の硬度として扱って問題ないと思いますね。この値で確認することでラバーは硬いのか、柔らかいのか、他社メーカーとも比較になるでしょう。もちろん、個体差があるでしょうが、1つの指標としてご参考いただければ幸いです。m (_ _)m

 どんと、今手元にあるデータを硬い順に並べました。ご確認ください!

テナジー05よりも硬いラバー

テナジー05よりも柔らかいラバー

2022年よりも前のデータ↓

棒グラフ

 ブランドごとに、棒グラフにしてみました。そして、ワールドスタンダード、Tenergy 05を比較としています。イメージしやすいのではないでしょうか。

 shore cは上述のとおり、ラバー全体の硬さに対応していると思っています。この値は扱いやすさに対応しやすいとkatsuo000は考えておりますので、硬いラバーほど扱いにくく、柔らかいラバーほど扱いやすい、という理解で間違いないと考えてます。また扱いにくいラバー≒回転性能のMax値の高いラバーともいえるのではないかと思いますので、最大限使いこなせた時の性能は高いと想像します。

 Butterfly(バタフライ)さんのラバーを比較すると、ディグニクスシリーズは全てテナジー05を上回る硬さであることがわかりますね。これはテナジー05ハードを加えても硬いんですね。またロゼナよりもテナジー05FXが柔らかいのもわかりやすいですね。テナジー19はロゼナと同じくらいの硬さになっているということは、それだけシートがくい込みやすい、扱いやすいラバーと言えるのでしょう。

 Butterfly(バタフライ)さんのラバーを比較すると、ディグニクスシリーズは全てテナジー05を上回る硬さであることがわかりますね。これはテナジー05ハードを加えても硬いんですね。またロゼナよりもテナジー05FXが柔らかいのもわかりやすいですね。テナジー19はロゼナと同じくらいの硬さになっているということは、それだけシートがくい込みやすい、扱いやすいラバーと言えるのでしょう。

 テナジー05と比較すると、各社のラバーは柔らかいことが今回わかりました。その分、扱いやすくて試合では勝ちやすいラバーなのかもしれませんね。

 テナジー05と比較して、ラザンターR53やラザンターR50は硬いですので、その回転性能は扱い切れれば非常に高い性能ではないかと思います。これは、R53のレビューでも触れていましたが、客観的な数値からもこれを示唆してくれたように思いました。逆に、R48やR47はかなり柔らかい部類にもなります。それでも回転性能は高いと感じやすかったので、このR48とR47は回転性能の高さの点で優秀と考えた方が良さそうですね。特にR48はR47よりも柔らかい値になっているところが面白いですね。シートの厚さやシートの粒形状によるものと思われます。最大の回転量はもしかしたらR47やR50の方がすごいのかもしれません。

 DONICのブルー系のラバーおよびヨーラのラバーは非常に扱いやすさを感じました。硬さの比較で、テナジー05よりも柔らかい結果は合点がいきましたね。性能は低いわけではないので、テナジー05があわないと感じるのであれば、上記のようなラバーへ変更するのもありなのかもしれません。

 juicのラバーの最新作、Target Pro XDシリーズは入れることができていませんが、やや古いターゲットプロシリーズは扱いやすい分、思ったより回転性能が低いと感じていましたので、今回の結果も納得でした。

 TIBHARさんのEvolutionシリーズは、MX-Dをいれることができていませんが、やはりMX-P50°とMX-Sが硬いのは想像通りでした。

レビュー Virtuoso AC(ヴィルトーソAC)

説明

 Virtuoso AC(ヴィルトーソAC)は、ハンガリーのハンドメイド=手作り卓球工房OSP(オーエスピー)より販売されているラケットの1つになります。2021年注目のOSPラケットになりますね。OSPのホームページで存在を知り、WRM(ワールドラバーマーケット)さんが扱うことと、WRMさんのレビュー投稿でのポイントがかなりたまっていたので、思わず衝動買いしてしまいました!WRMさんでの購入になります。
 Virtuoso ACの説明において、登場するワードは、
・OSP Blades
・アラミドカーボン(Aramid Carbon)
・インナーカーボン(Inner Carbon)
になります。

OSP Blades

 OSPはハンガリーの卓球ラケットのハンドメイド工房になります。
ホームページ: https://ospblades.com/
実際にオーダーメイドをお願いしたことがないのですが、ホームページの情報からオーダーメイドすると、下記のように様々な仕様のラケットをお願いすることができるようです。

ラケットモデル(種類)

 OSPのラケットの特徴は、弾み過ぎず強い球持ちのあるラケットです。トップ選手にとっては弾みの弱さや爽快感の低さを感じるかもしれませんが、中級者以上の層にささる高い安定感とラリー志向のラケットが多いと思います。球持ちがあるけどボールが軽くなったり威力不足になるラケットや、もっと弾むラケット、スピードのでるラケットは他メーカーでも扱いがあると思いますが、ここまで球持ちと安定感のあってボールの重さや威力を感じるラケットを販売するラケットメーカーは少ないと思いますね。注目のラケットを以下に挙げます。

Martin AC(マーティンAC)
 アラミドカーボンアウター仕様のラケットです。最新のラインアップで、まだWRMで取り扱いはありませんが、今後WRMで取り扱い販売されるのでしょうか?。アウターカーボン、板厚5.8 mm、上板リンバのラケットになります。非常にスタンダードなブレードの厚さですが上板Limba(リンバ)なので、張継科ALCなどよりも柔らかくて球持ちを感じると思いますね。仕様の近そうなラケット、フレイタスALCよりもブレード厚さが薄いので飛距離も抑えられて扱いやすそうですね。

Martin Pro(マーティンプロ)
 7枚合板なのに珍しい板厚6.0 mm、上板リンバのラケットです。上板リンバは、例えばミズノのフォルティウスFTが挙げられるますが、板厚6.0 mmはフォルティウスFT Reの6.2 mmよりも薄いですね。7枚合板の力強さと、飛距離が抑えられたラケットではないかと想像します。

Virtuoso+(ヴィルトーソ+)
 5枚合板で板厚5.8 mm、上板リンバのラケットです。非常に球持ちを感じるオーソドックスなラケットです。5枚合板なのに、しっかりとした重量があって好印象でした。5枚合板のラケットは、同じ値段のラケットでも、個体を選別して選ばないと軽い個体と重い個体とではかなり異なるラケットになっめしまいます。5枚合板はやはり中級者以上では重いラケットの方が威力と扱いやすいさを両立できると思います。そういう意味でヴィルトーソ+は重かったので非常に好印象でした。

Ultimate Carbon(ウルティメイトカーボン)
 インナーと芯にカーボンを使ったラケットで、上板リンバ、ブレード厚さ5.7 mmの意欲的なラケットです。7枚合板のようなパワフルなラケットなのに球持ちもあるラケットですね。ブレード厚さ5.7 mmにもかかわらず、重量が重くて扱いにくさを感じるラケットでした。パワーのある方があつかえばかなりパワフルなラケットだと思います。 

グリップ

OSPの特徴として、全てのラケットについて、グリップ形状を6種類から選ぶことができます。
 フレア(FL)
 ラウンドストレート(丸ストレート、R-ST)
 スクエアストレート(角ストレート、S-ST)
 コニック(Co)
 アナトミック(AN)
 中国式ペンホルダー
最近はフレアが主流ですが、ストレートでも2種類から選べるのは嬉しいですね。ちなみに最近はフレアにハマっているので、購入したVirtuoso ACもフレアです。

ヘッドサイズ(ブレード面積)

OSPでは、ヘッドサイズ(ブレード面積)もオーダーできるようですね。katsuo000はそこまでヘッドサイズ(ブレード面積)にこだわりはないのですが、S、M、Lから選べるようです。ブレード面積が広いとラバーのサイズも必然的に広くなるので、その分ラケットが重くなる印象がありますね。

アラミドカーボン

 卓球王国さんでは、アラミドカーボン ≒ Butterfly(バタフライ)さんのArylate Carbon(アリレートカーボン、ALC)という扱いで、非常に打球感が似ているそうです。化学構造式は異なりますが、卓球王国さんがいうからには、ある程度の説得力を感じ、katsuo000も同じカテゴリーとして採用しています。バタフライさんのALCは商標登録されているみたいで、他のメーカーは使えないみたいなんですね。今年発売のNittaku(ニッタク)のキョウヒョウ龍5(Hurricane Long V)も、アリールカーボンで、アリレートカーボンという言葉は使っていませんし、使えないのでしょう。アラミドは防弾チョッキなどに使われる繊維で非常に硬い繊維になります。アラミドの中にはケブラー(Kevlar)という商標登録された繊維もあり、ニッタクやドイツのラケットにはケブラーカーボンやケブラー繊維をもちいたラケットもありますが、これもほぼALC、またはAL繊維をもちいたラケットと考えていただいて良いと思います。
 アラミドカーボンやALCはカーボンの硬すぎる打球感をマイルドにするためにアラミドやアリレート繊維を編み込んだ素材で、アウター、インナー問わず非常に人気の特殊素材になります。ただのカーボンインナーラケットよりも、球持ちを感じることもあり、卓人に重宝される特殊素材といえるでしょう。

インナーカーボン

 このVirtuoso ACはInner Aramid Carbon(インナーアラミドカーボン)ラケットになります。インナーカーボンは現在の卓球界では徐々に主流になりつつあるラケットカテゴリーで、ブランド化として成功しているのが、バタフライのInner Force Layer(インナーフォースレイヤー)シリーズになりますね。インナー位置に特殊素材を入れていることがわかりやすいラケットシリーズになります。カーボンの威力はやや落ちますが、木材ラケットと類似の高い球持ちと、強振したときのカーボンらしい威力が前に出るラケットといえば良いでしょうか。インナーカーボンは個人的には避けていたのですが、近年自分のバックハンド技術の低さに、球持ちのよいラケットをどんどん探求して、ついにインナーカーボンにも手を出し始めた次第です。

性能表

 OSPのホームページより数値を確認して作成しました。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: OSP_table.png

 katsuo000が気にするのはスピード性能、スピン性能、板厚ですね。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: osp_fig1.png
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: osp_fig2.png
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: osp_fig3.png

 当然といえば当然ですが、板厚はスピード性能と相関があって、スピン性能と板厚は逆相関しますね。個人的にはカーボンや特殊素材ありのラケットは画期的なもので、板厚を薄くしながらスピード性能を高くすることが可能なまさに万能ラケットを可能とする発明だと思います。

 今回レビューするVirtuoso ACはスピード性能はミドル、回転性能はVirtuoso+と同等というラケットになりますね。

 さすが、定価25,000円越えのラケットですね。非常に高級感があって見ただけでテンションがあがりました!すぐにレビューするつもりはなかったのですが、この高級感に、思わずテンションがあがり、試打することにしてしまいました!

 あと、届いてから感じたのですが、ブレード面積はやや広めですね。そのためによりラケットがしなりやすくなっているのだと思います。このサイズがMなのかLなのかわかりませんが、気持ちブレード面積が広いです。ただし、ディグニクス05は48 gでしたので重たくなるということもなかったですね。おそらく、フォルティウスFTやキョウヒョウ龍Vの方がブレード面積は大きいと思います。

Virtuoso AC類似ラケットとの比較

 仕様をみれば大体どのようなラケットか、わかる人にはわかると思います。まずOSP Bladeさんのホームページですね。

Virtuoso AC: http://ospblades.com/virtuoso-ac-aramid-carbon-controlled-offensive-table-tennis-blade-for-poly-ball/

Virtuoso ACはViruoso+(ヴィルトーソ+)をより攻撃的にしたラケットと言えばよいでしょうか。上板はリンバで、インナーアラミドカーボン(ALC)ということは、次のようなラケットが挙げられますね。ButterflyさんのInner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)またはHarimoto Tomokazu Inner Force ALC(張本智和インナーフォースALC)、またニッタクのTornado King Power(トルネードキングパワー)やYASAKA(ヤサカ)のReinforce AC(リーンフォースAC)、andro(アンドロ)のTreiver CI OFF(トレイバーCIオフ)が類似のラケットになりますね!ただしブレード厚さが異なります。

 Virtuoso AC:             5.65 ± 0.05 mm / 88 g
 Inner Force Layer ALC:        6.0 mm      / 88 g
 Harimoto Tomokazu Inner Force ALC: 6.0 mm      / 87 g
 Tornado King Power:          5.8 mm      / 88 g
 Reinforece AC:             6.0 mm      / 87 g
 Inner Force Layer ALC.S:        5.5 mm      / 88 g

比べてみると、やはりVirtuoso ACがブレード厚さがかなり薄いことがよくわかりますね!もっと薄いラケットとなると、インナーフォースレイヤーALC.Sくらいになります。ブレード厚さは飛距離と相関があると思いますので、ヴィルトーソACは弾みを抑えたインナーカーボン系のラケットといえるでしょうね。

 今回、数球ですが、Reinforce AC(リーンフォースAC)と比較できました。そのあたりにも触れながらレビューさせていただきます。

Virtuoso ACの特徴

抜群の球持ち!まるで木材合板のような球持ち!

 一発で気に入ったのが球持ちになります!とにかく球を持ちまくります!木材合板のような球持ちでした!思い切り打ってもカーボンぽさを感じずカーボンと木材が融合しているような打球感でした。似ているラケットはレボルディアCNFでしょうか。両面ディグニクス05で試打したのですが、バックハンドが非常に球を持てるので非常に気に入りましたね。この打感は嬉しいです。しっかりバックハンドでもドライブをかけることができるので、メインで使える手ごたえを感じました!

5枚合板ラケットのように押されたりしない!

 5枚合板系ラケットのVirtuoso+も非常に球持ちがあって良いラケットでしたが、5枚合板らしく相手の強いボールに対し少し押されたりしなりすぎる感じがありました。ブロックはなれれば止められると思うのですが、普段から7枚合板や特殊素材ありのラケットを使うkatsuo000はこの5枚合板のおされる感じがあまり好きではないです。Virtuoso+はその部分が苦手でしたが、Virtuoso ACではそういった押されるといったことは感じませんでした。この部分も非常に気にいりましたね。

リーンフォースACよりも弾まない!

 上記の予想通りで、Virtuoso ACはリーンフォースACよりも弾みませんでした。軽くリーンフォースACも打ってみたのですが、オーバーミスが目立つと感じました。打球感はかなり近いとも感じましたね。そういう意味では、Virtuoso ACは割高といえば割高なラケットなのかもしれません。自分は今回ポイントで購入できたので、気にしませんでしたが、中高生や学生にはなかなかオススメは難しいとも感じました。

おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

Dignics 05(ディグニクス05)

 ディグニクス05はとにかく回転性能の高いラバーです。テナジー05を上回りますね。ただし扱いにくさのあるラバーでもあります。その扱いにくさはラケットで補いつつ、ラバーの高いスピン性能と高い反発性能で、非常にバランスのとれた組み合わせになっていたと感じました。少々高い組み合わせになりますが、損はさせない組み合わせだと思います。
 またディグニクス05のボールが落ちない性能が出ていて、打球点を相当落としても ボールが上がって弧線を描いて沈むのでスピードドライブが打てそうな感じがありました。この性能はまさに粘着ラバーの性能ですね。粘着のような弧線の強さと、スピン系テンションラバーらしいスピード、チート感のあるディグニクス05の性能です。レボルディアCNFでも同様でしたが、Virtuoso ACは飛距離が出にくいので、スピードドライブが狙いやすいと感じました。

バックラバー

Dignics 05(ディグニクス05)

 バックでも十分扱える球持ちを感じました。ディグニクス05でバックで使用してここまで球持ちを感じることのできたラケットはVirtuoso ACが初めてになりますね。腕が良ければもっと他のラケットでも球持ちを感じられると思いますがkatsuo000はあまり腕が良くないのでここまで高級ラケットでないと球持ちを感じることが難しかったです。

 後日、第二子が生まれて機会の減ったカーテン打ちで確認できましたが、バックハンドドライブの回転量とループドライブの打ちやすさが他のラケットと比較してもダンチでした!非常に良い!加えて、ディグニクス05は、何故かインナーフォースレイヤーZLFにはあわないと感じます。この理由がよくわからないので、今後確認したいですね。エキスパートカーボンとテナジー05ハードをあわせたときに感じた、柔らかすぎるのが良くないんですかね。今後何かわかったらブログで書きたいと思ってます。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 特に違和感はありませんでした。

ロングボールやラリーでのドライブ
 少しスピード不足は感じましたが、良い打球感です。またボールが上に上がるのが良いですね。ネットよりも低いボールでもスピードドライブが打てそうなくらい球が上にあがります。これは素晴らしい性能ですね。しっかり意識して試合でも使えるようにしたい技術です。

面を開いたドライブ
 打球点を落としてもしっかり相手のコートで沈んでくれて入ります。いいですね。

対下回転に対するループドライブ
 球を持ちすぎてオーバーミスが多かったです。ただしレボルディアCNFと比較して質が高くかつ回転量の多いボールが打てている手ごたえはありました。何よりしっかりナチュラルにボールを持つので非常にコントロールしやすかったです。最終的には使い込まないと慣れないので使い込まないといけないですね。

対下回転に対するスピードドライブ
 打ちやすかったですね。非常に好みの打球感でした。なんだかんだ上板リンバは好きです。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 やりやすかったです。

カウンタードライブ

ストップ
 止まりすぎてネットミスが散見されました。弾まないんですよね。慣れが必要です。

ツッツキ
 同じく止まりすぎました。

フォアフリック

バックハンド系

軽打
 ボールをつかむので安心感がありました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 こちらも安心感がレベチでした。いいですね。多少差し込まれていても押し返せる感じもあったのが好印象でした。ドライブが引き込めて良かったです。

対下回転に対するループドライブ
 しっかりボールを持つことができるので良かったです。ディグニクス05でしっかりボールをつかむのは好印象でした。

対下回転に対するスピードドライブ
 これもやりやすかったです。バックハンドドライブはついついスピードドライブの方が打ちやすいと思うのですが結構入ってくれてうまくなった錯覚をしてしまいました。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 球を持つので下がっても返せる安心感がありました。

カウンタードライブ

ストップ
 止まりますね。止まりすぎです。

ツッツキ
 こちらも慣れないのでネットに引っかかってしまいました。

チキータ
 安定して打てました。少し差し込まれると飛ばせないときもありました。それでもレシーブを積極的に攻めることのできるラケットだと感じました。

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Virtuoso+ > Virtuoso AC > Revoldia CNF

回転のかけやすさ
 Virtuoso+ > Virtuoso AC > Revoldia CNF

スピード
 Revoldia CNF > Virtuoso AC > Virtuoso+

飛距離
 Reinforce AC > Revoldia CNF > Virtuoso AC > Virtuoso+

Review Q5

Explanation

MIZUNO, a Japanese comprehensive sports bland, collaborated with Sumitomo Riko for developing new table tennis rubbers to compete with world standard rubber Tenergy. Sumitomo Riko is a Japanese high quality rubbers and resins company and the new rubbers are made in Japan. The highest performance in Q series, which are developed with Sumitomo Riko, is Q5. After release of Q3 and Q4, technology pursued to improved much more performance for Q5. As a result, sponge of Q5 is Accel Arc Sponge, which is different from Q3 nor Q4. Appling Accel Arc Sponge, Q5 is compatible a good biting into sponge and repulsion to enhance energy efficiency. When release, Q3 and Q4 showed a lot of topics. Q5 exceeded topics than Q3 nor Q4. When Q5 release, several top players, who contract with MIZUNO, announced to use Q5 as professional gears. Below are top players who announced to use Q5.
– Yuya Oshima (All Japan Championship Singles Second Place, Doubles Winner)
– Rikuto Maede (All Japan Cadet (under 15 years old) Winner)
– Ryusuke Karube (All Japan Amateurs’ Championship Winner)
– Yurika Taira (All Japan Amateurs’ Championship Winner (Women))

Magazine “Table Tennis Kingdom” also featured Q5.

A new rubber “Q5” has evolved sponge from Q3/Q4. Therefore, Q5 is not the same class to Q3/Q4 and Q5 possess the highest performance and top of rubber in MIZUNO!

Bubbles of Q5 sponge is large and good bite against ball. In general, soften rubber often shows good bite against ball but less bounce. However, for sponge of Q5, basic performance of material is developed. Thus, Q5 shows compatibility both good bite against ball and much improved performance of speed and spin.
1. Energy efficiency Up
2. Spin amount and flying distance Up
3. Biting against ball Up
4. Weight saving (lighter about 2 g than Q3/Q4)
5. Good Control

From Table Tennis Kingdom 2018

Below are information from MIZUNO homepage. First is shape of pimple.

Pimple thickness of Q5 is 1.7 mm, which is the same to that of Tenrgy 05. Distance between pimples is 0.65 mm, which is more wider than that of Q3/Q4.

Pefermance

We found published performance for GF series, but we don’t find the published performance for Q series. However, we found the figures.

Q series shows higher performance of both speed and spin than GF series.

Q5 is positioned “80” in Tenergy / Dignics series. However, Q5 is designed as high speed performance by shape of pimple in top sheet, and high spin performance by developed sponge (Accel Arc Sponge). (Tenergy / Dignics series are designed a performance by only shape of pimple in top sheet. (no change in sponge structure)).

Paste and Weight of Q5

Zhang Jike ZLC is selected.

In Q series, Q5 is the most heavy rubber. Information from Table Tennis Kingdom, Q5 is lighter than Q3/Q4. This weight may depend on individual difference.
In addition to weight, Q5 is odor similar to Q3/Q4.

Q5 (MIZUNO)
    Accel Arc Sponge
    Tension type (XL52/3)
    made in Japan
・Sponge Thickness: middle(1.7 mm)、Thick(1.9 mm)、Extra thick(2.1mm)
・Sponge stiffness:47
・\6,800 + tax
・72 g(before cut) → 51 g(after cut paste to Zhang Jike ZLC)

Thee Points of Q5

Highest Spin Performance in Q series!

During using Q5, katsuo000 felt hitting more mad and harder than Q3/Q4. However, the top spin drive by Q5 showed much high spin! The spin amount by Q5 may be similar to Tenergy 05 Hard and Rasanter R53. This excellent performance of Q5 is unique and no exist in Q3/Q4. Q5 is very hard, but in the reviews of Q5, there’re Q5 may be softer than Q3/Q4, thus katsuo000 thought that Q5 may show large change as individual difference. On the other hand, the spin amount by Q5 is very excellent in both lots of reviews and katsuo000 feeling. Especially, katsuo000 felt excellent in curve forehand drive with touching side of ball.

Of course, similar to other Q series, push, stop and counter drive is easy!

Similar to Q3/Q4, by Q5 push and stop is very easy to low and short. Moreover, the counter drive of Q5 against drive ball is very easy. This performance is important for lots of TT players.

No difficult to use comparison to Q3/Q4

Using Q4, feeling of hitting the ball, katsuo000 may imagine high arc and high arch line. But, in real the arch line by Q4 is very straight. This type of feeling uncomfortable often occurs when using Q3/Q4. However, using Q5, katsuo000 didn’t feel uncomfortable.

Review of Every Technique

Fore Hand series

Light Hitting
katsuo000 felt very hard. And A5 smells odor.

Drive during Rally

Top Spin Slow Drive against back spin ball
Q5 showed highest level of top spin slow drive. Excellent!

Speed Drive against back spin ball
 少し硬いので食い込ませるのが大変でしたが打てると感じました。

Block
Easy to control.

Counter-Drive
Very easy to counter-drive by Q5.

Stop
Easy to control to low and short.

Push
Easy to control to low

Flick

Serves
Much high spin amount.

Back Hand series

Light hitting
Too hard to control.

Drive during Rally

Top Spin Slow Drive against back spin ball

Speed drive against back spin ball

Block
Good to control.

Counter-drive

Stop
Easy to control to low and short.

Push
Easy to control.

Chiquita
Spin Chiquita is good. No drop.

Comparing to other rubbers (Personal Impressions)

Spin
 Dignics 05 > Q5 ≧ Tenergy 05 Hard > Q4 ≧Tenergy 05 > Q3 ≧ Tenergy 80

Speed
 Dignics 05 > Tenergy 80 ≧ Q3 ≧ Q5 ≧ Q4 > Tenergy 05

レビュー Rubber Warmer(ラバーウォーマー)

説明

 「ラバーを低温から防ぐ」時代から「ラバーウォーマーで積極的に温める」時代へ。今、幕が開きます。

 DONIC(ドニック)さんのラバー以外のアクセサリー用具、ラバーウォーマーのレビューになります。本商品は、ラバーの性能を発揮する最適な温度までラバー全体を温めることのできる商品になりますね。価格は10,780円(9,800円+税)で、Butterfly(バタフライ)のDignics(ディグニクス)シリーズと同じ値段ですね汗。かなり高価な商品ではありますが、そのレビューを書いていきたいと思います。

Donic Rubber Warmer(ラバーウォーマー)
厚さ:7 mm
重さ:118 g
最大ヒーター:45±5度
 付属ケーブルで、別売りのモバイルバッテリーと接続してください。
 ヒーター面(赤面)をラバーに密着させてください。
 *ラケットケース内で使用するとさらに効率よく温まります。
価格:9,800円(税込み10,780円)

 上の写真のオレンジの面は非常にツルツルで、この面をラバーと接触させてラバーを温めるわけですね。表面には埃などがつきにくくて、ラバーを汚さずに温めることができそうで良いと感じました。USBポートに充電池をさすと、ラバーウォーマーが温まります。DONICさんのホームページにはラバーウォーマーの特設ページが作成されていて驚きました。自分が説明するよりも非常にわかりやすいと思います。

DONICさんのラバーウォーマーの特設ページ。

https://www.donic.jp/rubberwarmer/

 特設ページのラバー温度の推移の図を拝見すると、ホッカイロでいいのではないかと感じてしまいました。DONICさんの誠意は感じますが、これは促販につながるのか少し疑問を感じた次第です。重要だと思うポイントを挙げさせていただきます。

・体温で温める(人の体温は大体36度前後)
・ホッカイロで温める(最高温度67度、平均温度53度)
・ラバーウォーマー(45±5度)

まず体温で温める場合、人の体温はやや低くて時間がかかることが予想されます。一方、ホッカイロの場合、最高温度67度であり、ラバーに対し均一に温めることができないと思われます。温まりすぎている場所と温まっていない場所が存在すること、また60度を超える温度は、個人的にはラバーに対し劣化を促すのではないかと少し不安になります。ラバーウォーマーはその点45±5度という温度で、かつラバーにぴったりと均一に温められるのが何よりのメリットといえるでしょう。

使用感

 完全に個人の総評ですので、あくまで参考程度にご覧ください。

他の温め方法と比べて、ラバーをいためず、埃もつけず、均一に温めることができる

 練習の前に、USBにさしてラケットケース内で30分程度暖めました。付属のマイクロUSBケーブルで別売りのモバイルバッテリーと接続し約30分温めると、ラバーは20分~30分位柔らかい状態になり、本来のスピンとスピードを発揮するそうです。触った感じ、そこまで熱くなくて、本当にラバー温まっているのかなというレベルです。夏場の熱い日のラバー程度にあたたまると思っていただければと思います。ホッカイロでは、ラケットケース内であたためるとなると、デコボコするのでラケットに負担がかかったり曲がったりすることが気になりますし、何よりラバーに埃が付いてしまいそうで劣化が気になります。上述の説明でも触れましたが、ホッカイロの体感はかなり暖かい、熱い、ということがありますので、最大温度60度以上ということも考慮するとさすがにラバーをいためることにもつながりそうです。その点ラバーウォーマーはラバーを優しく温めることができると感じました。

温めた後の打球感は温まりすぎ!ということはなく、変化してもラバーの個体差かな、というレベル

 また使ってみて感じましたが、打ち始めて5~10分くらいの時間帯においてグリップの強さ、扱いやすさを感じました。この時間帯が勝負となりやすい、トーナメント初戦に特に重宝しそうな用具だと感じました。また、ラバーの打球感が驚くほど変わる感じもなかったのが好印象でした。温まりすぎてぶっ飛ぶということもあるかなと予想していたのですが、実際はラバーの性能ポテンシャルを引き出すものであり、変化幅でいうとラバーの個体差くらいまでの差でしかないと感じました。その後、さわるとラバーの温度は低下していたと思いますが、冷めていった過程でラバーの打球感が使いにくいと感じるようなこともなく、あくまでメンテナンス用具の範疇で、可能な限りラバーのポテンシャルを引き出そうとするものだと感じました。
 自分としては、バック側に自分の実力よりやや硬めのラバーを使用することが多いので、そのバック側のラバーを温めるのに適していると感じています。トーナメント戦の初戦に使ってみようと考えております。フォア面は硬い方が、シートだけで回転をかけやすく、エネルギーロスも少ないと感じます。フォアもバックも温めたいとなると2つ購入して、さらにラバーウォーマー専用のベルトで固定してということでお金もさらにかかりますね。

悪い用具ではない!問題はやはり値段か・・・

 良い意味でも悪い意味でも、卓球をする前などにラバークリーナーで表面の埃をとる、というレベルの変化です。そしてその後の打球感に劇的な差を生むわけでもないので、あれば是非使った方がよく、なくても良いといっても過言ではない、ものだと感じました。トップ選手の中には打球感の変化に違和感を感じる人もいるかもしれません。一般レベルであれば、使いやすい程度の変化だと思います。相当練習をやりこんでいれば、差を感じるかもしれません。またカットマンなど30分から1時間以上打ち合ったり、1時間以上の練習のときには、ラバー温度は使用していないときと同程度にまで低下することが予想されますので、意味がない、ということになるかもしれませんね。あくまで気休め程度のものといっても過言ではないでしょう。

 ホッカイロと比べると値段が高く、初期投資としては高すぎると感じると思います。ラバーウォーマーで劇的な性能差を感じるということもないと断言できます。子供や学生さんには少し高いメンテナンス用具だと感じました。必須アイテムではなく、ラバークリーナーなどのメンテナンス用具であり、1つあれば十分な気がしました。ご参考ください。

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↓はベルトになります。

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レビュー Revoldia CNF(レボルディアCNF)

説明

 Revoldia CNF(レボルディアCNF)は2020年4月にButterfly(バタフライ)より販売された、意欲作のラケットで、Butterflyの製品でセルロースナノファイバー(CNF)を採用した初ブレードになります。CNFとは大王製紙との共同技術だそうで、植物の繊維をナノサイズの極細繊維にほぐした材料になります。「鉄の5分の1の軽さで5倍の強度」と称される材料で、Butterflyは大王製紙と2014年から共同開発し、2019年5月に特許成立、2020年に商品化に至ったということです。Butterflyのキーフレーズは「アウターの弾みとインナーの球持ち」になります。
 セルロースというのは、炭化水素(多糖類)で植物繊維の主成分になります。2000年に入る前までは、水や有機溶媒に溶けず取り扱いの難しい材料でしたが、2002年ごろにイオン液体という特殊な材料に分解せずに溶存できることが明らかとなり、研究が進んだ材料だと思います。近年ではTEMPO(テンポ)というニトロキシドラジカル酸化によって安価に製造できるようです。イオン液体が登場する前までは濃硫酸などで酸化分解しながら溶かしたり、化学修飾すれば溶かせましたが、化学結合をザクザク切って、構造そのものがボロボロになって変化してしまいますので鉄より軽くて硬いという特徴が出せなかったのだと思います。CNFは鉄よりも柔軟で軽くて硬い、ということで、車やスマホ、パソコンなどの軽量化が進んでいるようですね。
 今回のレボルディアCNFには、上述のCNFがもちいられているそうです。サイドから見てみても、どの位置にCNFがあるのかわかりにくいですね。反発性能はアウターALC系ラケットとほぼ同等でありながら、振動特性が非常に低く、バタフライの名作7枚合板、SK7 Classic(SK7クラシック)と同等というラケットになっていますね。この振動特性は特殊素材ありのラケットになればなるほど、高くなってしまい、カーボンらしい硬さを感じることになるそうです。非常に革新的で画期的ならラケットで意欲作といってよいでしょう。

 トップ選手は、レボルディアCNFを使用している、というよりはレボルディアCNFのブレードにグリップを異なる特注ラケットを使用しているケースが多いようで、代表的な選手として、吉村真晴選手が挙げられるでしょう。吉村選手は2020-2021Tリーグにおいて、琉球アスティーダの優勝に貢献し、シーズンMVPにも輝いていますので、レボルディアCNFの実績は十分でしょう!また全日本選手権大会で優勝した及川瑞基選手も全日本選手権前には使用していたそうですし、三部航平選手も使用していますね。

レボルディアCNFの特徴

Dignics(ディグニクス)シリーズにあう!

 カーテン打ちの段階から驚きましたが、とにかくButterflyのDignics(ディグニクス)にあいますね!かなり驚きました。逆にTenergy 05(テナジー05)はあわないように感じました。今回一番驚きました。明らかにディグニクスとあわせたときにディグニクスの球持ちの感じにくさを払拭する感じがありました。おそらく、ディグニクスにあわせてレボルディアCNFが開発されたのは間違いないと個人的には思います。

木材より弾む!そしてスイートスポットも広い!

 動画を見ていると吉村真晴選手のボールは、他の選手のボールよりもかなり弧線を描いていて少しボールは伸びていない印象だったのですが、実際に使ってみて驚きました!かなり弾みますね。ディグニクスも弾むということもありますが、アウターカーボンなみにボールのスピードを感じました!またどこで打球してもそこまで違和感を感じませんでしたので、スイートスポットも広いと感じました。角当たりしても相手の台に入ることも多々ありましたね。アウターALCラケットと比較すると、やはりかなり弧線を描いている印象がありましたのでその分、ボールの伸びは少ないのかもしれません。
 特に良いのが中陣や後陣からのバックハンドで、木材では出せないようなスピードボールを打ち返すことができます。ドライブではなくて、ややミートに近いのですがものすごいいいボールが簡単に打てると感じました。木材系ラケットでは、中陣からだとボールがそもそも弾まないのでぶつけないと落ちることもありますが、このレボルディアCNFではボールが落ちることは皆無だと思います。

板厚5.7 mmで回転がかかる!

 ButterflyのアウターALCラケットは、ブレード厚さは5.8 mmが基本設計になっています。この5.8 mmよりも0.1 mm薄い5.7 mmという厚さのために回転は非常にかけやすくて、実際にかかると感じました。ただし、打球感が柔らかい分かけやすいのはプラスですが、最大限に回転をかけるには少し意識的にかけないと回転量が中途半端で相手にとって取りやすいボールになりやすいとも感じました。

おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

 まだ複数のラバーを試打できていませんが、やはりディグニクス系はかなりあうと感じました!

Dignics 05(ディグニクス05)

 ディグニクス05の高いスピン性能、スピード性能、カウンタードライブのやりやすさ、にループドライブのやりやすさが加わったように感じました。ディグニクス05は少し直線性を感じやすいですが、レボルディアとあわせることで弧線を強く描くようになり、ループドライブの質もかなり高くなる印象でした。

Dignics 09C(ディグニクス09C)

 組み合わせとして、ディグニクス09Cの良さを感じやすくなりましたが少し硬さも感じました。また硬いのに弾むラバーでもあるので中・上級者向けの仕様になると感じました。ただし使いこなせれば非常に味のある組み合わせだと思います。

バックラバー

Dignics 05(ディグニクス05)

各技術レビュー

 全体的に技術がやりやすいと感じました。一方で想像以上に弾んだのでしっかり回転をかけることを意識した方が良いようにも感じました。

フォアハンド系

軽打
 アウター特殊素材のラケット(張継科ALCや張継科ZLCなど)と比較すると、ボールの球持ちは抜群にあります。硬さを感じないので、とても安心感のある打球感でした。

ロングボールやラリーでのドライブ
 フォアだとラケットが柔らかく感じました。ボールの威力は少ない気がしますね。特に回転量の低さを感じることが多かったです。ボールは上に上がるんですが、思ったよりボールが棒球になっていると感じることがありました。このあたりは少々不満を感じましたね。

面を開いたドライブ
 柔らかいラケットですので、スピードドライブはとても安定しました。多少打球点を落としても弧線でスピードドライブが入る感じもあり、これは武器になると思います。

対下回転に対するループドライブ
 想像以上にボールが上に飛ぶので、ネットを狙うぐらいでちょうどよい高さのループドライブになると思います。またディグニクス05と張継科ALCを組み合わせだと、インパクトが強くないとボールに回転が乗りにくく、ボールを低くするのが難しかったりするのですが、ディグニクス05とレボルディアCNFを組み合わせると球持ちが良いためか、多少インパクトを弱くしてそうっと入れるドライブでもしっかり球が上がってくれるのでやりやすかったですね。この当たりがやりやすいのは非常に好感触だったし、ディグニクス05とレボルディアCNFとの相性の良さを感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 打ちやすいですね。弧線が強いので多少無理そうなボールでも持ち上がるしちゃんと台に入る感覚がありました。

カーブ/シュートドライブ
 アウター特殊素材と比べると、ボールを持つし柔らかいので曲がると感じました。柔らかいラケットはカーブやシュートドライブがより向いていると感じます。

ブロック
 やりやすいですね。このレボルディアCNFにしたときに一番やりやすい技術の一つがブロックかもしれません。木材に近い球持ちでボールは特殊素材のような速さを感じました。

カウンタードライブ
 これもやりやすかったですね。回転がかかっている感じはループドライブ同様あまり感じないのですが、ディグニクスらしいボールの伸びが得られました。

ストップ
 とてもやりやすかったです。これはディグニクス05の良さが出ていると思います。

ツッツキ
 めちゃめちゃ切ることができます。さすがディグニクス05ですね。

フォアフリック
 

バックハンド系

軽打
 圧倒的にやりやすいですね。アウター特殊素材のラケットと比較して、明らかに球持ちを感じます。また変に落ちたりしないですね。

ロングボールやラリーでのドライブ
 打ち返しやすいと思いました。このラケットの特徴の一つかもしれません。

対下回転に対するループドライブ
 バックハンドだとやはり少々球持ちは感じにくかったです。これはおそらくディグニクス05の難しさの為ではないかと感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 入るときはアウターカーボンなみの強烈なドライブが入ると感じました。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 めちゃめちゃやりやすいですね。多少自分の正面から左右にずれても、当てるだけで弧線を描いて相手のコートに入る感じがありました。

カウンタードライブ
 これもやりやすいですね。真骨頂なのかもしれません。

ストップ
 やりやすいです。これはディグニクス05の効果もあったと思います。

ツッツキ
 めちゃめちゃ切ることができました。ディグニクス05のおかげもあると思います。

チキータ
 少し球離れが早いので不安になるときもありますが、球が持てれば安定してチキータできる感じがありました。

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 張継科ZLC > 張継科ALC ≧ レボルディアCNF

回転のかけやすさ
 レボルディアCNF > Mizutani Jun ZLC(水谷隼ZLC) > 張継科ALC

スピード
 張継科ALC > レボルディアCNF > インナーラケット

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レビュー Rozena(ロゼナ)

説明

 Butterfly(Tamasu)さんの看板商品の一つ、Rozena(ロゼナ)をレビューさせていただきます。ロゼナを語るにはまずテナジーからになると思います。世界標準Tenergy 05(テナジー05)の発売は今をさかのぼること、約13年前、2008年4月になります。有機溶剤による後加工の禁止もあいまって未だに10年以上経過した2021年現在もワールドスタンダードの名前をほしいままにするテナジー05は卓球のことを考えるにあたり、なしでは語れない存在となってしまいました。このテナジーシリーズの特徴を2021年現在改めてkatsuo000なりに考えると次のようになると思います。

テナジーシリーズの特徴
・高い回転性能
・高いスピード性能
・軽い

 テナジーシリーズが上述のような特徴をもつのは、Butterfly独自のスポンジによるところが大きいと思います。テナジーシリーズに採用されているスポンジは、Spring Sponge(スプリングスポンジ)というオレンジ色のスポンジで、そのスポンジの気泡はそれぞれ独立気泡構造となっており、高い性能を示すことができているそうです。このスプリングスポンジは、Butterflyだけの技術で他の競合卓球メーカーと差別化された技術になります。他の競合卓球メーカーは、ラバー製造を基本的には外注しているのに対し、Butterflyは、卓球メーカーであるにもかかわらず、スポンジ製造工場を保有し差別化を図っているわけですね。このスプリングスポンジのためにテナジーは高い性能を出せるわけですが、転売や偽物が出回ったことに加え研究開発費がかかるために、オープン価格化してしまい他のラバーと比べて倍近い値段となっている点も(悪い)特徴といえるでしょう。ただしトップ選手の使用率は高くワールドスタンダードであることは疑いようはありません。
 最もトップ選手の使用率が高く、回転性能の高いテナジー05の他に、トップシートの違いによってスピード性能の高いTenergy 64(テナジー64)、スピンとスピードのバランスのとれたTenegy 80(テナジー80)、カウンターや前陣に強いTenergy 25(テナジー)、先日発売になったパワーのTenergy 19(テナジー19)とシート形状だけで5種類存在します。各シートの説明は以下のようになります。
 No. 051.7 mmの粒間隔が狭い。回転性能が高い。
 No. 252.65 mm粒の高さが低い。台上プレーやカウンターがやりやすい。
 No. 641.7 mmの粒間隔が広い。スピード性能が高い。
 No. 1801.7 mmの粒間隔が中間。回転もスピードもバランスが取れている。
 No. 2191.5 mmの粒間隔が狭い。ボールをよくつかみパワーを出しやすい。
それぞれのトップシートの特徴が反映して先述のように、キーフレーズがあり「回転の05」「バランスの80」「スピードの64」「前陣の25」「パワーの19」と冠されています。

 バタフライは、約13年前、2008年4月にテナジー05を発売後、2008年11月にTenergy 25(テナジー25)を、2009年4月にTenergy 64(テナジー64)を2010年7月にTenergy 05 FX(テナジー05FX)を、2010年11月にTenergy 25 FX(テナジー25FX)を、2011年11月にTenergy 64 FX(テナジー64FX)を、2013年1月にTenergy 80(テナジー80)を、2014年4月にTenergy 80 FX(テナジー80FX)を、2017年4月にRozena(ロゼナ)を、2018年11月にテナジー05をより硬くしたTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)を、2019年4月にテナジー超えるラバーとしてDignics 05(ディグニクス05)を発売しました。そしてテナジーからディグニクスへの移行も見えつつあった2021年3月にTenergy 19(テナジー19)が販売となりました。現在までに10種類のテナジーが存在するわけです。それぞれ新商品として販売されてきて、未だにテナジー05が人気なのは完成と信頼の現れでしょう。

 本ページでレビューするロゼナは、言ってしまえばテナジーの廉価版になります。ソフトなスプリングスポンジをあわせた、扱いやすいテナジーのようなラバーになります。中級者のバックラバーとして、または初級者の初めてのスプリングスポンジ搭載のラバーとして人気のラバーだと思います。価格帯でいうと他メーカーの看板ラバーよりも安く、最も売れているラバー、Nittaku(ニッタク)のFastarc G-1(ファスタークG-1)よりも安いラバーであり、競争の激しい実質販売価格4,000円台に投下されたラバーになりますね!この価格よりも安さと性能を求めると、Yasaka(ヤサカ)さんのRakza(ラクザ)シリーズやRigan(ライガン)、あとはXIOM(エクシオン)さんのVega X(ヴェガテン)やVega Tour(ヴェガツアー)の3,000円台のラバーになるでしょうか。このあたりとの比較は今後行っていきたいと思います。
 最近、YouTuber、ごぶりんずさんにロゼナのレビューが投稿されていましたが、かなり酷評されていました。あうあわない好き嫌いはあるかと思います。ハードなラバーを使用しているとあわないと感じるかと思いますね。

公表性能値

 Butterfly(バタフライ)さんの好評性能値を示します。

 ロゼナはある意味スピン性能の劣るテナジー05といっても過言ではないかもしれませんね。実際今回改めて試打しましたが、過去に厚のロゼナを使用したことがあります。その印象では、やはり回転性能が低いラバーという印象が強かったですね。一方で、打球感は確かにスプリングスポンジの打球感があり、感触は悪くなかったのを覚えております。

Rozenaの重量と貼り

 ロゼナは48 gでした。Butterflyさんのラバーは基本的にはスポンジ硬度と相関があるようで、テナジーFXシリーズの方がスポンジ硬度も柔らかく、重量も軽かったです。テナジーよりも少し柔らかいスポンジ硬度35なので48 gはボチボチな重さになりますね。

Rozena(ロゼナ)
 High Tension(ハイテンション)裏ラバー
・スポンジ厚:厚(1.9 mm)、特厚(2.1 mm)
・スピン:10.80
・スピード:13.00
・Sponge硬度:35
・5,000円(卓球販売店で1~2割の割引可)
・69 g(切断前) → 48 g(林高遠ALCに貼って)

Rozenaの3つの特徴

 最近はバックにテナジー系のラバーをメインで使用しているので、非常に違和感なく、むしろ好感触で使用できました。正直威力不足は否めませんでしたが、それでも扱いやすさはテナジーシリーズ、テナジーFXシリーズよりも高いと感じました!メインで使用するか迷うレベルでした。武器にするというよりはとにかく粘るための盾のようなラバーだと思います。攻めるとしたら相手のボールを利用したカウンターやブロックで少し弾いてミートするといったイメージです。
 バックラバーの現状の候補はテナジー05、Rakza X(ラクザX)でした。ラクザXと比較すると、ラクザXは少し個体差があるのと重くなりやすいので、500円前後高くなりますがロゼナの方が自分は好きだと感じた次第です。ループドライブとツッツキの質の高さはもちろんラクザXやテナジー05の方が上ですが、トータルバランスと扱いやすさはロゼナが上だと思いました。

とにかく色々な技術がやりやすい!

 正直ここまで期待していなかったのですが、とにかくやりにくい技術がなかったです。少し球を持ちすぎる感はありましたが、ループドライブ、スピードドライブ、ブロック、カウンター、ストップ、どれをとってもやりやすかったですね。特に個人的にやりやすいと感じたのがブロックでかなりやりやすかったです!あてれば入る融通の良さを感じました。ラバー全体で相手のボールの威力を吸収してくれる感じがありましたね。唯一感じたのが、シートだけでボールを取ろうとしたときは、スベルような感じがあり、この部分だけ扱いにくいと感じました。しっかりスポンジまでくい込ませて打つラバーだと感じました。

上回転のラリーで、スプリングスポンジらしさが出る!

 上回転のラリーのときに、くい込ませながらドライブやくい込ませながら弾くことで、上回転をかけ返すことができて、かつ相手のコートにおさまってくれる感じがあったので好印象でしたね。テナジー05だと、もっとドライブだけをかけるようにしないとオーバーかネットへ行ってしまう感じがあります。硬さを感じやすいのがテナジー05であり、ただあてるだけだと威力を出しにくくしっかり回転をかけながら飛ばしてやって初めていいボールが出せます。一方、ロゼナは弾くだけでもおさまりが良く、テナジー64とかテナジー80らしい部分があるといえるのかもしれません。シートの粒形状について確かな情報はありませんが、どちらかというと64とか80に近いシートだと思います。従って上回転のラリーでは少ないエネルギーで弧線を描きながら加速するようなボールが打ちやすかったです。この弧線と加速がスプリングスポンジらしさだと思います。そういったボールが出せるのもロゼナの特徴であり良いところだと思います。

くい込みの良さで球を持ちまくる!

 シートの粒形状は感覚的には64とか80に近いと思いますが、スポンジもやや柔らかくボールを非常にグリップします感覚的にはテナジー05に近い感覚で持ってくれる感じがありました。従ってループドライブも打ちやすかったです。ただし、回転をかけて飛ばせば何でも入る、という感じではなくて回転で沈み切らないので、ある程度飛距離を考えながら打つ必要性は感じました。このあたりは好みがわかれそうですが、初中級者にあわせたスプリングスポンジのラバーという意味では納得です。テナジー05とテナジー80(katsuo000はテナジー64を使ったことがないため)の良いところ、欲しい部分をバランスよく共存させてくれていると思います。このロゼナから、より自分の特徴やよく使う技術を武器にするために各テナジーへ変更していけるようなラバーだと感じました。一方でテナジー05の特徴やテナジー64の特徴をそのままほしいと思うと確かにがっかりすると感じました。バランスタイプなので、テナジー80が一番近いかもしれませんね。とがった性能は求めても難しいと思います。非常にバランスの良いラバーで、なんでもしなければいけないペンドラの方にもオススメできると思いました。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 球を持ちますね。Dignics 05(ディグニクス05)と比較してもかなり球を持つと感じました。

ラリーでのドライブ
 特にやりにくいわけではありませんが、球を持つので思ったよりフォアサイドへ行き過ぎる感じがありました。これは慣れかな。回転量はくい込ませた時に初めてでますので、上回転のラリーでは回転をかけやすく、回転で落とせると感じました。このあたりはさすがスプリングスポンジといったところでしょうか。

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フリック

サービス

バックハンド系

軽打
 非常にやりやすかったです。球を持つのと、結構無茶に押してもしっかりラバーが吸収してくれるので強引に押しこんでも結構入ってくれて好印象でした。これは試合で頼れる奴と思います。

ラリーでのドライブ
 バックハンドは自分の腕とフットワークが下手なのでどうしても打球点が前後しやすくて不安定なのですが、ロゼナはその打球点の前後を吸収してくれるようなラバーで非常に好感触でした。質は低いかもしれませんがとにかく入れようとすれば入る感じなのが嬉しかったです。また前陣頂点前をドライブするのも、非常にやりやすく苦手を感じさせませんでした。

対下回転に対するループドライブ
 テナジー05やテナジー05FXと同じくらいボールを持つので、球質は低いもののコントロールしやすい感じがありました。しっかりつないで次の球を攻める、そういったつなぎのループドライブがしやすいラバーだと思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 ある程度くい込みがいいのでスピードドライブもかなりやりやすかったです。テナジー05FXほどボールの沈みこみに期待はできないものの、打てて入ると感じさせるラバーでした。

ブロック
 テナジー05やテナジー05FXと比較すると最も秀でていると感じたのがブロックでした。とてもやりやすくて好印象でしたね。スポンジが硬く、かつシートもいい意味で相手の回転に対し鈍感さを持っていると思います。

カウンタードライブ
 頂点前をややミート気味にとらえても十分安定してカウンターが入る感じがあって好印象でした。回転で落とし込むのは少し難しいラバーだと思うので、逆にミートっぽい打ち方があうラバーだと思います。バックは思い切り回転をかけてカウンタードライブすることは少ないと思うので、そういう意味でもバックに合うラバーだと感じました。

ストップ
 唯一難しさを感じたのがストップでした。弾きやすいので、短い時間でボールをタッチしないと相手の回転をダイレクトに受けやすいと感じました。

ツッツキ
 こちらもストップ同様、回転をかけにくかったです。くい込みが良すぎてオーバーしたり、逆に滑ってネットミスしたり少し難しかったですね。

チキータ
 簡単にあげやすくて、やりやすかったです。ただし、威力はあまりないと感じました。威力を求めるのであればテナジーシリーズでしょう。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 テナジー80 FX > Rozena > Evolution MX-P

スピード
 テナジー80 > Rozena > テナジー05

扱いやすさ
 Rasanter R48 > Rozena> Rakza X

https://amzn.to/3w3JiEi

レビュー Tenergy 80 FX(テナジー80FX)

説明

 Butterfly(Tamasu)さんのテナジーシリーズの一つ、Tenergy 80 FX(テナジー80 FX)をレビューさせていただきます。世界標準Tenergy 05(テナジー05)の発売は今をさかのぼること、約13年前、2008年4月になります。有機溶剤による後加工の禁止もあいまって未だに10年以上経過した2021年現在もワールドスタンダードの名前をほしいままにするテナジー05は卓球のことを考えるにあたり、なしでは語れない存在となってしまいました。このテナジーシリーズの特徴を2021年現在改めてkatsuo000なりに考えると次のようになると思います。

テナジーシリーズの特徴
・高い回転性能
・高いスピード性能
・軽い

 テナジーシリーズが上述のような特徴をもつのは、Butterfly独自のスポンジによるところが大きいと思います。テナジーシリーズに採用されているスポンジは、Spring Sponge(スプリングスポンジ)というオレンジ色のスポンジで、そのスポンジの気泡はそれぞれ独立気泡構造となっており、高い性能を示すことができているそうです。このスプリングスポンジは、Butterflyだけの技術で他の競合卓球メーカーと差別化された技術になります。他の競合卓球メーカーは、ラバー製造を基本的には外注しているのに対し、Butterflyは、卓球メーカーであるにもかかわらず、スポンジ製造工場を保有し差別化を図っているわけですね。このスプリングスポンジのためにテナジーは高い性能を出せるわけですが、転売や偽物が出回ったことに加え研究開発費がかかるために、オープン価格化してしまい他のラバーと比べて倍近い値段となっている点も(悪い)特徴といえるでしょう。ただしトップ選手の使用率は高くワールドスタンダードであることは疑いようはありません。
 最もトップ選手の使用率が高く、回転性能の高いテナジー05の他に、トップシートの違いによってスピード性能の高いTenergy 64(テナジー64)、スピンとスピードのバランスのとれたTenegy 80(テナジー80)、カウンターや前陣に強いTenergy 25(テナジー)、先日発売になったパワーのTenergy 19(テナジー19)とシート形状だけで5種類存在します。各シートの説明は以下のようになります。
 No. 051.7 mmの粒間隔が狭い。回転性能が高い。
 No. 252.65 mm粒の高さが低い。台上プレーやカウンターがやりやすい。
 No. 641.7 mmの粒間隔が広い。スピード性能が高い。
 No. 1801.7 mmの粒間隔が中間。回転もスピードもバランスが取れている。
 No. 2191.5 mmの粒間隔が狭い。ボールをよくつかみパワーを出しやすい。
それぞれのトップシートの特徴が反映して先述のように、キーフレーズがあり「回転の05」「バランスの80」「スピードの64」「前陣の25」「パワーの19」と冠されています。

 バタフライは、約13年前、2008年4月にテナジー05を発売後、2008年11月にTenergy 25(テナジー25)を、2009年4月にTenergy 64(テナジー64)を2010年7月にTenergy 05 FX(テナジー05FX)を、2010年11月にTenergy 25 FX(テナジー25FX)を、2011年11月にTenergy 64 FX(テナジー64FX)を、2013年1月にTenergy 80(テナジー80)を、2014年4月にTenergy 80 FX(テナジー80FX)を、2017年4月にRozena(ロゼナ)を、2018年11月にテナジー05をより硬くしたTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)を、2019年4月にテナジー超えるラバーとしてDignics 05(ディグニクス05)を発売しました。そしてテナジーからディグニクスへの移行も見えつつあった2021年3月にTenergy 19(テナジー19)が販売となりました。現在までに10種類のテナジーが存在するわけです。それぞれ新商品として販売されてきて、未だにテナジー05が人気なのは完成と信頼の現れでしょう。

 本ページでレビューするテナジー80FXはソフトなスプリングスポンジをあわせた、扱いやすテナジーの一つになります。中級者のバックラバーとして、または初級者のテナジーとして人気のラバーだと思います。

公表性能値

 Butterfly(バタフライ)さんの好評性能値を示します。

 Butterflyにおいて、公表性能値は、FXによりません。競合他社メーカーでは、ソフトなスポンジをあわせたラバーは回転性能が高かったり、はじきやすいのであれば、スピード性能が高かったりするのですが、そういったことはないというButterflyさんの主張といえる公表性能値になります。実際に柔らかいスポンジは使いやすさはあがる一方でMaxの回転量やスピードは出しにくい印象は確かにあります。ただし、しっかりくい込ませれば回転量もスピードも出ると思います。ある意味、柔らかいラバーでMaxの回転量やスピードを出すのは、逆に技術力が必要だったりするようにも感じます。そういう意味でテナジー80FXは高性能かつ扱いやすいラバーといえるでしょう。

やりやすい技術

 Butterflyさんホームページ上には、各テナジーのやりやすい技術についてレーダーチャートが掲載されています。各技術のやりやすさを、モノサシで測り、その数値を下記図にしてみました。項目は
 ・ループドライブのかけやすさ
 ・スピードドライブの打ちやすさ
 ・カウンタードライブのやるやすさ
 ・台上プレーのやりやすさ
 ・ブロックのしやすさ
 ・スマッシュのしやすさ

の6つになります。個人的に重要な項目はループドライブ、スピードドライブ、台上プレー、ブロック、カウンタードライブになります。スマッシュも粘着ラバーでなければ慣れで打てるでしょう。

Butterflyさんのホームページより引用させていただきました。

https://www.butterfly.co.jp/product/tenergy/

 このチャートを見ると、テナジー80FXもテナジー05FX同様に、真ん中に存在していることがわかります。やりにくい技術が少ないことの現れだと思います。コストを考えなければ初心者から中級者までオススメできるラバーといえるでしょう。

おすすめラケット組み合わせ

 メーカー推奨の組み合わせも掲載されるようになりました。こちらも掲載していこうと思います。以下全てButterflyさんホームページより引用させていただきました。まずテナジーFX系を並べてみました。

Butterflyさんのホームページより引用させていただきました!

https://www.butterfly.co.jp/product/tenergy/
Tenergy 05 FX(テナジー05FX)
 ・Timo Boll ZLF(ティモボルZLF)
  安定したプレーを求める選手へ
 ・Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)
  多彩な技術の習得に
 ・Maze Advance(メイスアドバンス)
  筋力に自信がない選手に
Tenergy 80 FX(テナジー80FX)
 ・Marcos Freitas ALC(フレイタスALC)
  バランスの取れた広い領域でのプレーに
 ・Timo Boll CAF(ティモボルCAF)
  威力を追求するオールラウンドプレーに
Tenergy 25 FX(テナジー25FX)
 ・Timo Boll ZLC(ティモボルZLC)
  相手のプレーを利用したい選手へ
Tenergy 64 FX(テナジー64FX)
 ・Timo Boll TJ(ティモボルTJ)
  トップを目指すジュニア選手へ
 ・Maze Advance(メイスアドバンス)
  初めてテナジーを使う選手へ

 基本的には、初心者や中級者向けのフレーズが多いように感じました。唯一、テナジー25FXのみがティモボルZLCとの組み合わせが提案されているだけで、基本的には非常に扱いやすいラケットとの組み合わせが多い印象です。個人的には威力よりも扱いやすさ、卓球の楽しさを感じてほしい、というメーカー側の意図を感じます。ただし、初心者でテナジーは家計簿泣かせです。娘がそうしたいというなら協力しますが。。。汗
 もうすぐ4月になり、ステップアップや新しい環境で気持ちを新たにテナジーに挑戦しようと思うのであれば上述のようにテナジーFX系と組み合わせていくことは一つオススメといえるでしょう。

Tenergy 05 Hard(テナジー05ハード)
katsuo000のレビュー↓
  https://katsuo000.com/review_tenergy_05_hard/
 ・Viscaria(ビスカリア)
  オールラウンドなパワープレーに
 ・Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)
  回転を重視した前中陣でのプレーに
 ・SK7 Classic(SK7クラシック)
  木材合板ラケットを好むパワーヒッターへ
Tenergy 05(テナジー05)
katsuo000のレビュー↓
  https://katsuo000.com/review_tenergy_05/
 ・Zhang Jike ALC(張継科ALC)
  死角のないオールラウンドプレーに
 ・Harimoto Tomokazu Inner Force ZLC(張本智和インナーフォースZLC)
  打球の回転を重視する攻撃的なプレーに
 ・Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)
  打球の回転と安定性を求める選手へ
Tenergy 19(テナジー19)
katsuo000のレビュー↓
  https://katsuo000.com/review_tenergy_19/
 ・Lin Yun-Ju Super ZLC(林昀儒Super ZLC)
  スピードとスピンをともに追求
 ・Inner Force Layer ZLC(インナーフォースレイヤーZLC)
  回転重視のパワフルなプレーを
 ・Timo Boll ALC(ティモボルALC)
  威力を追求するオールラウンドプレーに
Tenergy 80(テナジー80)
 ・Mizutani Jun ZLC(水谷隼ZLC)
  テクニカルなプレーを目指す選手へ
 ・Tiago Apolonia ZLC(アポロニアZLC)
  堅実なプレーを目指す選手へ
 ・Inner Shield Layer ZLF(インナーシールドレイヤーZLF)
  オールラウンドなカットプレーに
Tenergy 25(テナジー25)
 ・Mizutani Jun Super ZLC(水谷隼Super ZLC)
  相手のプレーを利用したい選手へ
 ・Inner Force Layer ALC.S(インナーフォースレイヤーALC.S)
  前陣で回転を駆使する選手へ
Tenergy 64(テナジー64)
 ・Matsudaira Kenta ALC(松平健太ALC)
  前陣でのスピーディーなプレーに
 ・Inner Force Layer ZLF(インナーフォースレイヤーZLF)
  フラットな打法を多用する選手へ
 ・Petr Korbel(コルベル)
  回転をかける感覚を身につけたい選手へ

 テナジー全体でみると、テナジー64は初中級者へ、テナジー25は弾むアウターSuper ZLCとの組み合わせ、テナジー80やテナジー05が中上級者へ、テナジー05ハードやテナジー19が上級者やトップ選手へオススメといった印象です。テナジー25と水谷隼Super ZLCの組み合わせは、2021年に始まった話ではなく、前々からButterflyさんは提案している印象です。結構気になる組み合わせですね。

Tenergy 80 FXの重量と貼り

 テナジー80FXのラバー重量は約45 gでした。テナジー05FX(46 g)より少し軽いですね。全体的に高性能で軽量なラバーが多いのが、Butterflyさんの特徴で、今回もやはり軽くて品質が高いことがわかります。

Tenergy 80 FX(テナジー80FX)
 High Tension(ハイテンション)裏ラバー
・スポンジ厚:厚(1.9 mm)、特厚(2.1 mm)
・スピン:11.25
・スピード:13.25
・Sponge硬度:32
・オープン価格(8,900円 + 税)
・66 g(切断前) → 45 g(林高遠ALCに貼って)

Tenergy 80 FXの3つの特徴

やはりバックハンドに持ってこい!

 柔らかいので、とにかくバックハンドに持って来いでした!やはりシートの粒形状の影響をうけ、テナジー05FXと比較すると、テナジー80FXの方がブロックやミート全般がやりやすいと感じました。もちろん、しっかりスポンジまでくい込ませればドライブもしっかり回転がかかりますが、薄く薄くとらえようとするとたまに滑るようにも感じましたので、バックで厚く当てるのであれば05FXよりも80FXの方がオススメといえるでしょう。

ブロックが入れやすい!

 徳にやりやすい技術としては、ブロックで弾みを利用すれば相手のコートに入れることは何とかできる感じがありました。テナジー80も同じように感じたのですが、相手の回転がかかっていてもナックルでもラケットとラバーの弾みで相手のコートにとにかく入れるのは非常にやりやすいラバーだと思います!面を作って相手コートに入れることを覚えたいのであれば非常に良いラバーだと思いますね。一方で、やはり棒玉にもなりやすいので、試合では多少押すなり回転をかけるなりできるとより良いと思います。

回転よりもスピードが出しやすい!

 05FXと比較するとやはり、回転よりもスピードで押せるラバーだと感じました。ドライブやチキータは回転量よりも、ピッチと直線性とスピードで相手の時間を奪うように使うと80FXが活かせると思います。特にスピード系のチキータは非常にやりやすくて、よかったです。ただし上をとらえるというよりは回転軸をずらすことでやりやすさが出るということです。扱いやすく、ピッチと球のスピードが欲しいのであれば、非常に良い選択肢だと思いました。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ラリーでのドライブ
 回転をかけて飛ばしたときに沈みにくく、少し弱く打って飛距離を抑える必要があると感じました。ディグニクス05では思い切り回転をかけて飛ばせば、安心して回転量でボールが沈むので相手のコートに入ると感じますが、やはり80のシートの形状では少し回転のかかりがあまく、自分のコート側で弧線の頂点が来るようなイメージでドライブすべきと感じました。

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ
 止めやすいです。ただ回転をかけようとすると弾いてしまいました。

ツッツキ
 回転はかけにくいです。入れる分なら非常にやりやすいです。

フリック

サービス
 回転はかからないわけではないですが、少し回転量の最大値に不満を感じました。

バックハンド系

軽打
 軽打からテナジー05と比べると球離れが早いと感じました。シートの粒形状の影響を受けてのことだと思います。 

ラリーでのドライブ
 比較的安定感はありました。しっかりくい込ませることができれば回転もしっかりかかって好印象でした。やはりスピードが出しやすく、バックハンドのパワーを補いやすいと思います。

対下回転に対するループドライブ
 05よりも球離れも早く、シートだけでとらえようとすると少しすべりそうにもなって難しかったです。特にハーフロングのボールのループドライブは難しいと感じました。一方で飛距離のあるボールならしっかり引き込めるので、引き込めれれば簡単に持ち上げられる感じはありました。このあたりはソフトなスポンジの効果だと思います。

対下回転に対するスピードドライブ
 少し角度が難しく、回転で落とし込むというよりは直線に飛ばしてネットを超えさせるイメージでドライブすることになると思います。このあたりは好みだと思いますが、katsuo000はあまり好みではなかったです。

ブロック
 テナジー05FXと比較するとそこまで回転の影響をうけやすいとは思いませんでした。05FXよりもかなりブロックはやりやすいと思います。

カウンタードライブ
 どちらかというとミートの方がやりやすかったです。

ストップ
 やりやすかったです。

ツッツキ
 柔らかい分、はじきやすいので回転は、テナジー05の方がやかけやすいです。

チキータ
 簡単にあがるのでやりやすかったです。スピードも出しやすいのでエースは狙いやすいと思います。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 テナジー05 FX > テナジー80 FX > Evolution MX-P

スピード
 Evolution MX-P > テナジー80 FX > Fastarc G-1

扱いやすさ
 テナジー05FX > テナジー80 FX > テナジー19

https://amzn.to/2P3Jcvq

レビュー Tenergy 05 FX(テナジー05FX)

説明

 Butterfly(Tamasu)さんの看板ラバーの一つ、Tenergy 05 FX(テナジー05 FX)をレビューさせていただきます。まず改めてTenergy(テナジー)について書かせていただきます。世界標準Tenergy 05(テナジー05)の発売は今をさかのぼること、約13年前、2008年4月になります。有機溶剤による後加工の禁止もあいまって未だに10年以上経過した2021年現在もワールドスタンダードの名前をほしいままにするテナジー05は卓球のことを考えるにあたり、なしでは語れない存在となってしまいました。このテナジーシリーズの特徴を2021年現在改めてkatsuo000なりに考えると次のようになると思います。

テナジーシリーズの特徴
・高い回転性能
・高いスピード性能
・軽い

 テナジーシリーズが上述のような特徴をもつのは、Butterfly独自のスポンジによるところが大きいと思います。テナジーシリーズに採用されているスポンジは、Spring Sponge(スプリングスポンジ)というオレンジ色のスポンジで、そのスポンジの気泡はそれぞれ独立気泡構造となっており、高い性能を示すことができているそうです。このスプリングスポンジは、Butterflyだけの技術で他の競合卓球メーカーと差別化された技術になります。他の競合卓球メーカーはラバー製造は基本的には外注しているのに対し、Butterflyは、卓球メーカーであるにもかかわらず、スポンジ製造工場を保有し差別化を図っているわけですね。このスプリングスポンジのためにテナジーは高い性能を出せるわけですが、転売や偽物が出回ったことに加え研究開発費がかかるために、オープン価格化してしまい他のラバーと比べて倍近い値段となっている点も(悪い)特徴といえるでしょう。ただしトップ選手の使用率は高くワールドスタンダードであることは疑いようはありません。
 最もトップ選手の使用率が高く、回転性能の高いテナジー05の他に、トップシートの違いによってスピード性能の高いTenergy 64(テナジー64)、スピンとスピードのバランスのとれたTenegy 80(テナジー80)、カウンターや前陣に強いTenergy 25(テナジー)、先日発売になったパワーのTenergy 19(テナジー19)とシート形状だけで5種類存在します。各シートの説明は以下のようになります。
 No. 051.7 mmの粒間隔が狭い。回転性能が高い。
 No. 252.65 mm粒の高さが低い。台上プレーやカウンターがやりやすい。
 No. 641.7 mmの粒間隔が広い。スピード性能が高い。
 No. 1801.7 mmの粒間隔が中間。回転もスピードもバランスが取れている。
 No. 2191.5 mmの粒間隔が狭い。ボールをよくつかみパワーを出しやすい。
それぞれのトップシートの特徴が反映して先述のように、キーフレーズがあり「回転の05」「バランスの80」「スピードの64」「前陣の25」「パワーの19」と冠されています。

 バタフライは、約13年前、2008年4月にテナジー05を発売後、2008年11月にTenergy 25(テナジー25)を、2009年4月にTenergy 64(テナジー64)を2010年7月にTenergy 05 FX(テナジー05FX)を、2010年11月にTenergy 25 FX(テナジー25FX)を、2011年11月にTenergy 64 FX(テナジー64FX)を、2013年1月にTenergy 80(テナジー80)を、2014年4月にTenergy 80 FX(テナジー80FX)を、2017年4月にRozena(ロゼナ)を、2018年11月にテナジー05をより硬くしたTenergy 05 Hard(テナジー05ハード)を、2019年4月にテナジー超えるラバーとしてDignics 05(ディグニクス05)を発売しました。そしてテナジーからディグニクスへの移行も見えつつあった2021年3月にTenergy 19(テナジー19)が販売となりました。現在までに10種類のテナジーが存在するわけですね。それぞれ新商品として販売士てきて、未だにテナジー05が人気なのは完成と信頼の現れでしょう。

 そして、テナジー05FXは世界標準テナジー05にソフトなスプリングスポンジをあわせた、扱いやすくなった世界標準テナジーといえると思います。中級者のバックラバーとして、初級者の初めてのテナジーとして非常に人気のラバーだと思います。

公表性能値

 Butterfly(バタフライ)さんの好評性能値を示します。

 公表性能値は、FXの有無によりません。競合他社メーカーでは、ソフトなスポンジをあわせたラバーは回転性能が高かったりするのですが、そういったことはないというButterflyさんの主張のようにも感じます。実際に柔らかいスポンジは使いやすさはあがる一方でMaxの回転量やスピードは出しにくい印象ではありますが、出せないわけではないということなのかもしれませんね。そういう意味でテナジー05FXは高性能かつ扱いやすいラバーといえるでしょう。

やりやすい技術

 Butterflyさんホームページ上には、各テナジーのやりやすい技術についてレーダーチャートが掲載されています。各技術のやりやすさを、モノサシで測り、その数値を下記図にしてみました。項目は
 ・ループドライブのかけやすさ
 ・スピードドライブの打ちやすさ
 ・カウンタードライブのやるやすさ
 ・台上プレーのやりやすさ
 ・ブロックのしやすさ
 ・スマッシュのしやすさ

の6つになります。個人的に重要な項目はループドライブ、スピードドライブ、台上プレー、ブロック、カウンタードライブになります。スマッシュも粘着ラバーでなければ慣れで打てるでしょう。

Butterflyさんのホームページより引用させていただきました。

https://www.butterfly.co.jp/product/tenergy/

 このチャートを見ると、本当にテナジー05FXは中心に存在していることがわかります。やりにくい技術が少ないということですね。コストを考えなければ初心者から中級者までオススメできるラバーといえるでしょう。

おすすめラケット組み合わせ

 メーカー推奨の組み合わせも掲載されるようになりました。こちらも掲載していこうと思います。以下全てButterflyさんホームページより引用させていただきました。まずテナジーFX系を並べてみました。

Butterflyさんのホームページより引用させていただきました!

https://www.butterfly.co.jp/product/tenergy/
Tenergy 05 FX(テナジー05FX)
 ・Timo Boll ZLF(ティモボルZLF)
  安定したプレーを求める選手へ
 ・Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)
  多彩な技術の習得に
 ・Maze Advance(メイスアドバンス)
  筋力に自信がない選手に
Tenergy 80 FX(テナジー80FX)
 ・Marcos Freitas ALC(フレイタスALC)
  バランスの取れた広い領域でのプレーに
 ・Timo Boll CAF(ティモボルCAF)
  威力を追求するオールラウンドプレーに
Tenergy 25 FX(テナジー25FX)
 ・Timo Boll ZLC(ティモボルZLC)
  相手のプレーを利用したい選手へ
Tenergy 64 FX(テナジー64FX)
 ・Timo Boll TJ(ティモボルTJ)
  トップを目指すジュニア選手へ
 ・Maze Advance(メイスアドバンス)
  初めてテナジーを使う選手へ

 基本的には、初心者や中級者向けのフレーズが多いように感じました。唯一、テナジー25FXのみがティモボルZLCとの組み合わせが提案されているだけで、基本的には非常に扱いやすいラケットとの組み合わせが多い印象です。個人的には威力よりも扱いやすさ、卓球の楽しさを感じてほしい、というメーカー側の意図を感じます。ただし、初心者でテナジーは家計簿泣かせです。娘がそうしたいというなら協力しますが。。。汗
 もうすぐ4月になり、ステップアップや新しい環境で気持ちを新たにテナジーに挑戦しようと思うのであれば上述のようにテナジーFX系と組み合わせていくことは一つオススメといえるでしょう。

Tenergy 05 Hard(テナジー05ハード)
katsuo000のレビュー↓
  https://katsuo000.com/review_tenergy_05_hard/
 ・Viscaria(ビスカリア)
  オールラウンドなパワープレーに
 ・Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)
  回転を重視した前中陣でのプレーに
 ・SK7 Classic(SK7クラシック)
  木材合板ラケットを好むパワーヒッターへ
Tenergy 05(テナジー05)
katsuo000のレビュー↓
  https://katsuo000.com/review_tenergy_05/
 ・Zhang Jike ALC(張継科ALC)
  死角のないオールラウンドプレーに
 ・Harimoto Tomokazu Inner Force ZLC(張本智和インナーフォースZLC)
  打球の回転を重視する攻撃的なプレーに
 ・Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)
  打球の回転と安定性を求める選手へ
Tenergy 19(テナジー19)
katsuo000のレビュー↓
  https://katsuo000.com/review_tenergy_19/
 ・Lin Yun-Ju Super ZLC(林昀儒Super ZLC)
  スピードとスピンをともに追求
 ・Inner Force Layer ZLC(インナーフォースレイヤーZLC)
  回転重視のパワフルなプレーを
 ・Timo Boll ALC(ティモボルALC)
  威力を追求するオールラウンドプレーに
Tenergy 80(テナジー80)
 ・Mizutani Jun ZLC(水谷隼ZLC)
  テクニカルなプレーを目指す選手へ
 ・Tiago Apolonia ZLC(アポロニアZLC)
  堅実なプレーを目指す選手へ
 ・Inner Shield Layer ZLF(インナーシールドレイヤーZLF)
  オールラウンドなカットプレーに
Tenergy 25(テナジー25)
 ・Mizutani Jun Super ZLC(水谷隼Super ZLC)
  相手のプレーを利用したい選手へ
 ・Inner Force Layer ALC.S(インナーフォースレイヤーALC.S)
  前陣で回転を駆使する選手へ
Tenergy 64(テナジー64)
 ・Matsudaira Kenta ALC(松平健太ALC)
  前陣でのスピーディーなプレーに
 ・Inner Force Layer ZLF(インナーフォースレイヤーZLF)
  フラットな打法を多用する選手へ
 ・Petr Korbel(コルベル)
  回転をかける感覚を身につけたい選手へ

 テナジー全体でみると、テナジー64は初中級者へ、テナジー25は弾むアウターSuper ZLCとの組み合わせ、テナジー80やテナジー05が中上級者へ、テナジー05ハードやテナジー19が上級者やトップ選手へオススメといった印象です。テナジー25と水谷隼Super ZLCの組み合わせは、2021年に始まった話ではなく、前々からButterflyさんは提案している印象です。結構気になる組み合わせですね。

Tenergy 05 FXの重量と貼り

 テナジー05FXのラバー重量は約46 gでした。テナジー05(48 g)よりも軽いですね。全体的に高性能で軽量なラバーが多いのが、Butterflyさんの特徴で、今回もやはり軽くて品質が高いことがわかります。

Tenergy 05 FX(テナジー05FX)
 High Tension(ハイテンション)裏ラバー
・スポンジ厚:厚(1.9 mm)、特厚(2.1 mm)
・スピン:11.5
・スピード:13.0
・Sponge硬度:32
・オープン価格(8,900円 + 税)
・66 g(切断前) → 46 g(林高遠ALCに貼って)

Tenergy 05 FXの3つの特徴

バックハンドに持ってこい!

 柔らかいので、とにかくバックハンドに持って来いでした!3球目のバックハンドスピードドライブが非常に打ちやすかったです!回転でしっかり弧線も描けるので、非常に安心してスイングできると感じました。またインパクト不足になりやすいバックハンドでもしっかり球をもって回転をかけることもできるので中陣や後陣下がっても負けない卓球ができると感じました。

柔らかいのにストップも止まるしカウンターもしやすい!

 ストップもカウンターも非常に良かったです。カウンタードライブがやりやすいのは驚きました。やはりシートの形状による球持ちのおかげだと思います。この性能なら粘る卓球もしやすいと思います!

FXだけで意外と硬い!

 FXということで柔らかさを感じはしますが、シートの形状の影響で思ったより硬さを感じました。扱いやすいのに硬さも感じるので、ドライブも威力が出しやすいのだと思いました。この硬さは現代的な卓球にマッチした性能であると感じました。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

ブロック

カウンタードライブ
 やりやすいです。相手の回転の影響を受ける前に上書きできる感じを感じました。これは高性能ですね。

ストップ
 止めやすいです。ただ回転をかけようとすると弾いてしまいました。

ツッツキ
 テナジー05と比較すると少し回転をかけにくいです。

フリック

サービス

バックハンド系

軽打
 軽打でテナジー05と差をあまり感じませんでした。 

ラリーでのドライブ
 ドライブがやりやすかったです。ボールもそろえやすく、非常に安定感を感じました。威力はそこまで高くないと思います。

対下回転に対するループドライブ
 やりやすかったです。少しすっぽ抜ける感じもあり、回転量もテナジー05と比較すると低いと感じましたが、とにかく持ち上げやすいのでとっさでもドライブできると感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 これはかなり良かったです。インパクトはそこまでいらないし、前陣バックハンドからのスピードドライブって相手は予想しづらいのでかなり得点を取りに行きやすいと感じました。

ブロック
 回転の影響は受けると感じました。特にkatsuo000はバックハンドは硬めのラバーの方がブロックしやすいと感じる方なので、やや難しいと感じました。重いボールに対し影響をもろに受ける印象です。

カウンタードライブ
 どちらかというとミートの方がやりやすかったです。

ストップ
 やりやすかったです。

ツッツキ
 柔らかい分、はじきやすいので回転は、テナジー05の方がやかけやすいです。

チキータ
 簡単にあがるので非常に好感触でした。威力は少ないかもしれませんが前陣で横回転を入れるなどすると相手は嫌だと思います。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 テナジー80 > テナジー05 FX > Evolution MX-P

スピード
 Evolution MX-P > テナジー05 FX > Fastarc G-1

扱いやすさ
 Rasanter R48 ≧ テナジー05FX > テナジー19

https://amzn.to/3qHp9zO

レビュー Lin Gaoyuan ALC(林高遠ALC)

説明

 Lin Gaoyuan ALC(林高遠ALC)は2019年11月にButterfly(バタフライ)より販売された中国の林高遠選手モデルのラケットになります。実際に林高遠選手が使用しており、ベスト・ギア・オブ・ザ・イヤー2020のシェークハンド部門で1位を獲得したラケットですね!ブレード構成は、いまや王道の構成である、アウターArylate Carbon(アリレートカーボン、ALC)ラケットになります。アウターALCの歴史は古くは、VISCARIA(ビスカリア)にまでさかのぼります。ALCが開発される以前は軽量で弾むカーボン素材を採用したラケットと木材合板系ラケットの大きく2つのラケットが存在しておりました。ボールへのタッチセンスのある選手はカーボンラケットを使いこなす一方で、有機溶媒による後加工もできた時代ですので、木材合板も人気の時代でした。実際当時の世界チャンピオンになる中国選手は粘着ラバーと木材合板ラケットを使用する選手の方が多かったと思います。当時のButterflyでもカーボンラケットを販売していたそうですが、特殊繊維であるArylate(アリレート、AL、カーボンは編み込んでいない繊維)をアウターに配置したKey Shot(キーショット)というラケットも販売していました。キーショットは木材合板ラケットのような打球感や球持ちを維持し操作性をあげながら、スイートスポットが広がるとともに木材合板ラケットよりも威力のあるボールが出しやすい、ということで高い評価を受けていたそうです。そこで、操作性の高いアリレートと高反発で威力の高いカーボンの良いところどりをするために開発されたのが、アリレート繊維とカーボン繊維を編み込んだALCだったそうです。当時、ビスカリアに加え、上板にHinoki(ヒノキ、檜)を採用したIOLITE(アイオライト)も同時に販売されました。ちなみにアイオライトは精密機械と呼ばれた金メダリストのKong Linghui(孔令輝)選手が使用したKong Linghui Special(孔令輝スペシャル)の原型となったラケットですね。今では廃盤となってしまいプレミアもついて高額で取引されるアイオライトですが、現役時代1枚檜単板のペン表速攻型だったkatsuo000の父はアイオライトを好んで使用しており、「ちょうだい」といっても却下されたラケットです。ビスカリアはその後、ドイツの皇帝Timo Boll(ティモボル)選手や中国のカリスマ王者Zhang Jike(張継科)選手が使用し、王道のラケットとしての存在感を高めていきます。Butterflyさんもビスカリアの派生ラケットとして、Timo Boll Spirit(ティモボルスピリット)や上板がLimba(リンバ)のTimo Boll Spark(ティモボルスパーク)などを発売していきました。日本では、ビスカリアはいったん廃盤となる一方で、同じブレード構成である2008年11月に選手モデルでティモボルスピリットの派生であるTimo Boll ALC(ティモボルALC)を、2013年4月にZhang Jike ALC(張継科ALC)が発売されました。しかしその後も多くの中国トップ選手がビスカリアを愛用し大活躍してしまい、同じブレードのラケットである、ティモボルALCや張継科ALCが存在するにもかかわず、ビスカリアのその人気はおさまるどころか爆発し、2019年4月に復刻するに至りました。アウターALCは今や王道のブレードといえるでしょう。林高遠ALCもビスカリアと同じブレード構成のラケットでグリップ形状やデザインが異なるラケットとなっております。

林高遠ALCの特徴

上板にKoto(コト)材を使用した王道のアウター特殊素材系ラケット

 林高遠ALCは王道のブレードであ上板にはコト材と呼ばれる硬めの木材を使用しています。このブレード構成はビスカリアやティモボルALC、張継科ALCなどと同じで次のような構成になります。

コト(1/7)|ALC(2/6)|リンバ(3/5)|Kiri(桐)(4/芯)

上板のすぐ内側の位置、アウター位置にALCを配していることがわかります。上板に硬いコト材+ALCという組み合わせであるため、木材合板系ラケット含めラケット全体から見ると基本的には硬いと感じさせるハードなラケットであることは否めません。ただし、特殊素材カーボンをアウターに配置したラケット群の中で比較すると、ALCの特徴である柔+剛の特徴、カーボンのスピードとアリレートの球持ちと弧線を感じさせる非常にバランスのとれたラケットになっています。この特徴は同じブレード構成であるビスカリアやティモボルALCでも同様になります。この上板コト材+ALCの打球感は木材系ラケットと比較すると、やはり硬く木材合板系ラケットから変更すると手を焼く打球感だと思います。中・上級者では、カーボン素材のスピードと威力を持ちながら、強い弧線が出るこのブレード構成はトップ選手にとっては非常にバランスが取れていて人気であり、王道になります。

粘着ラバーとの相性が良い

 林高遠選手はフォア面に中国製のHurricane(キョウヒョウ)を、バック面にはDignics 09C(ディグニクス09C)を使用しており、両面に粘着ラバーを使用しています。このことからわかるように林高遠ALCは粘着ラバーとも相性が良いラケットになります。もちろん粘着ラバーの種類も増え、全ての粘着ラバーがあうとは言い切れませんんが、中国製粘着ラバーの王道、キョウヒョウシリーズやバタフライ最新のディグニクス09Cなどはアウターカーボンラケットにあうといわれていますので、林高遠ALCとの相性を疑う必要はないでしょう。今後、ドイツ製粘着ラバーとの相性も確認していきたいと考えております。

グリップ重心でブロックなど安定感がある

 林高遠選手がバック主戦型の選手であるということもあり、林高遠ALCはラケット自体がグリップ側に重心がありました。つまり張継科モデル、Zhang Jike ZLC(張継科ZLC)や張継科ALCと同じ、グリップ重心で扱いやすいラケットになりますね。
 中国の馬龍選手や木下マイスター東京の大島祐哉選手は、ブレード面積が広くスイートスポットを少し広げるとともに先端重心になりやすい設計のラケットを使用されています。こういったラケットの特徴として、遠心力を活かした威力のある強烈なボールが打ちやすく、フォア主戦型の選手が好んで使うラケットになります。これらのラケットは攻めている間は非常に強力なボールが打てる一方で守りにまわったときは、先端重心のラケットの欠点として、実際の重量以上に重たいと感じやすくブロック時なども回転の影響を受けやすいと感じます。
 一方、張継科ZLC、張継続ALC、そして林高遠ALCはグリップ側に重心があります。グリップ側に重心のあるラケットの特徴は、重さを感じづらく(人にもよると思います)、バックハンドが振り抜きやすく打ちやすくなります。また重心が手元にある分、切り返しもコンマ数秒だと思いますが速くなります。個人的には、ラケット角度も安定しやすく、ブロックがやりやすいと強く感じます。欠点は先端重心のラケットと比較すると威力が出しづらいことでしょう。katsuo000はグリップ重心のラケットにブロックの安定感と、切り返しのしやすさ、そしてバックハンドの安定感を感じます。現代卓球において、バックハンドの重要性が高まっています。バックハンドにウエイトを置いたり、バックハンドを苦手と感じるなら、グリップ重心のラケットを使うのは1つの選択肢だと思います。
 ちなみにブレード広さが同じ面積で、グリップを半空洞や空洞にして先端重心にしているラケットがTimo Boll(ティモボル)モデルのラケットになると思います。katsuo000が所有しているラケットはTimo Boll Spirit(ティモボルスピリット)になりますね。基本的な打球感は張継科ALCや林高遠ALCに酷似していますが、普段使っているラケットがグリップ重心のラケットであるため、やはり先端重心のメリットデメリットを感じやすいですね。ティモボルモデルのラケットではブレード面積が同じであるため、ブレード面積の広いラケットと比較すると、ラケット重量が軽くなり振り抜きやすいというメリットがあると思います。インターハイで人気のTimo Boll ALC(ティモボルALC)も少し気にはなりますが、現状購入予定はありません。

アウターALC特有のパワードライブ!

 アリレート(Arylate)は特殊繊維のことで、スイートスポットを広げ打感をマイルドにしてくれる材料です。そんなアリレートとカーボンを編み込んだ材料がALCですので、カーボンのみのラケットと比較しても、柔らかさ、しなやかさ、有機的で高密度を感じさせる打感となります。非常に弧線を描きやすいので、レシーブや3球目に加え、中陣や頂点後の打球点からでもスピードドライブやパワードライブが打てる安心感がありました!張継科ZLCと比べると難しいボールでも林高遠ALCなら強引にパワードライブができる点が、このアウターALC系ラケットの特徴の一つといえるでしょう。
 また張継科ZLCと比較して、張継科ALCに変えることでボールが遅くなったことで自分自身の余裕が生まれるようになりました。カウンターによるノータッチをうけにくくなり、よりラリー勝負しやすくなったと感じています。この辺りは体力や動きの話になりますが、おじさんの域にいる自分としてはプラスになったと感じました。

板厚5.8 mmの黄金値

 ビスカリア、ティモボルALC、など、アウターALCラケットまたはアウターAramid(アラミド)カーボンラケットは、そのブレード厚さ、5.8 mmが黄金値となっています。この5.8 mmは非常にバランスのとれた厚さで、ALCのやわらかい打球感と弧線に、6.0 mm以下のしなって回転のかけやすいブレード厚さ、それでいて攻撃に転じた際に軽い力で飛距離も出しやすい、オールマイティーでバランスのとれたラケットとなっています。

 katsuo000の感覚の話になってしまいますが、長く使っている張継科ZLCは打感の硬い5枚合板ような飛距離のイメージで、台上はラバーのシートだけでとらえると本当に止まるか飛距離がたりずネットミスも結構生じます。一方、林高遠ALCは7枚合板と5枚合板の間のような飛距離のイメージで、打感が柔らかく板厚が厚い分、飛距離が出やすく台上も飛距離がでやすく対下回転パワードライブも打ちやすいと感じました。

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張継科ALCとの比較

 正直申し上げて、張継科ALCと林高遠ALCの違いを把握することができませんでした。それくらい似ていると思います。今後差を感じた際は更新しますが、現状はほぼ同じでデザインのみ異なると表記させていただきます。グリップ側に重心があり、ビスカリアやティモボルALCのように角ばっておらずラウンドタイプのグリップです。握っている間も本当に差を感じにくいと感じます。異なると意見があれば是非ご教授お願い申し上げます。

おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

 張継科ALCと同様に林高遠ALCは、スピン系テンションも粘着ラバーもあうと感じました。ただ張継科ZLCと粘着ラバーとの組み合わせと比較すると少しスピード不足は否めないかもしれません。ほぼスピン系テンションラバーのような粘着テンションラバーであるDignics 09C(ディグニクス09C)でもスピン系テンションラバーに慣れていると遅く感じやすいですからね。またやはり個人的に、柔らかいラバーを苦手で気持ち悪い感じがするので、基本的には硬めのラバーを合わせる方が好みです。

Dignics 05(ディグニクス05)

 現在メインで仕様しています。ディグニクス05の高いスピン性能、スピード性能、カウンタードライブのやりやすさ、と林高遠ALCの弾みとしなりが相まって、質の高いボールを出すことができます。またTenergy(テナジー)と比較しても寿命が格段に長く、しっかり管理すれば週一の卓球で三ヶ月から半年は使えます。このコスパは助かりますね。

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Tenergy 05 Hard(テナジー05ハード)

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Rasanter R53(ラザンターR53)

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Dignics 09C(ディグニクス09C)

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バックラバー

Rakza X(ラクザX)

 Yasaka(ヤサカ)のラクザXになります。このラバーは硬度は45~50°で柔らかめの個体があたれば非常に扱いやすくて、スピードドライブも打ちやすいと感じると思います。球質はディグニクスシリーズと比べると回転性能やボールの伸びという点で見劣りを感じないわけではありませんが扱いやすさ、相手のコートへのねじ込みやすさを考慮して挙げさせていただきました。またシートはどちらかといえば硬めで、相手の回転の影響もうけにくく、さらにツッツキも浮きにくいと、扱いやすさと球質を兼ね備えていると思います。

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Tenergy 05(テナジー05)

 やはり素晴らしくあいます。少し弧線が強すぎる気もしますが、落ちる感じは全くなく、またエグイ回転量が出せるため非常にあうと思います。ループドライブとツッツキがやりやすく、少しスピードドライブが難しいですが、挑戦するのはありだと思います。

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Vega X(ヴェガX)

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Dignics 80(ディグニクス80)

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各技術レビュー

 正直、張継科ALCとほぼ同じです。違和感ありません。

フォアハンド系

軽打
 林高遠ALCは、アウターZLCと比べるとスピードは遅いです。また柔らかさを感じます。あまり過信しすぎるとカーボンの硬さをもろに受けますが、ZLCからALCへ変更することで余裕は生まれたと感じています。木材系ラケットと比べるとやはり打球感がハードですが、ここら辺は慣れが必要ですね。

ロングボールやラリーでのドライブ
 フォアだと少しラケットが柔らかく感じますので、結構思い切りぶつけて球をつぶすように回転をかけるイメージで強い弧線のボールが出せると感じました。ラバーはディグニクス05でしたがもっと硬くても良いと感じたほどです。強い弧線の描き方から多少強引なボールでもドライブで相手のコートにパワードライブをねじ込みやすいと感じました。
 上板にコト材を使用した典型的なラケットとして非常に良かったです。またストラディヴァリウスと比較すると芯がしっかりしていて、しっかりボールをヒットする感覚が感じられました。

面を開いたドライブ
 安定して威力のあるドライブが打ちやすかったです!非常に回転がかかってスピードドライブでもしっかり弧線を描いて沈み込ませることができました。木材ラケットほど柔らかくなく、またただのカーボンラケットほど硬質でもない適度なしなりと柔軟さと剛質さだと思います。

対下回転に対するループドライブ
 ブレードが薄いので非常に回転がかけやすいです。粘着ラバーの方が弧線の低いループドライブを制御しやすかったです。ディグニクス05は強めにインパクトしないといけない分、少しボールが高くなりやすいです。

対下回転に対するスピードドライブ
 張継科ZLCと比べると打ちやすいですね。ある程度のボールでもパワーで持っていけると感じております。非常に良いスピードドライブがしやすいです。

カーブ/シュートドライブ
 弾道が曲がると感じます。コースをつきやすくなったと思います。

ブロック
 やはりやりやすいです。ティモボルスピリットよりもやりやすいです。グリップ重心であることが理由の一つだと思っています。アクティブブロックもしやすいですね。

カウンタードライブ
 しっかり球をもってカウンターすることがしやすくなったので、より自分のボールにしてからカウンターができる印象です。ただ飛距離が出やすいので、オーバーミスが増えた印象です。この辺は慣れて修正していきたいと思ってます。

ストップ
 ディグニクス05やキョウヒョウNEO3を使えばしっかりブチっと切れるので3球目強打は封じやすいと思います。

ツッツキ
 ラバーのシートでとらえることでブチっと切りやすくて良いです。

フォアフリック
 これもやりやすいですね。張継科ZLCよりも球離れが遅いのでレシーブから相手の虚を付ける気がします。

バックハンド系

軽打
 ZLCからALCへ変更した一番の理由はやはりバックハンドです。非常に好感触でした。これなら背伸びをしたラバーもあわせられると感じた次第です。

ロングボールやラリーでのドライブ
 テナジー05はかなり良く非常にボールをグリップして多少低いボールでも強引に持っていける感じがありますね。ループもスピードドライブもいけました。非常に良いですね。

対下回転に対するループドライブ 
 体をしっかり入れて、ドライブをかけることで非常に回転量のあるドライブが打てるようになってきました。やはり硬いのでラバーはドイツ基準で50°未満のラバーの方が良いと感じています。グリップを感じるテナジー05、ラクザXやヴェガXが非常に良いですね。

対下回転に対するスピードドライブ
 こちらもしっかり回転をかけて飛ばすことを意識すると安定して打てるようになってきました。

カーブ/シュートドライブ
 カーブドライブもいやらしく曲がる印象です。スピードはやはり落ちていると思いますが、されどカーボンで威力はあると思います。

ブロック
 やりやすいです。安心感が抜群にありました。

カウンタードライブ
 やりやすくなりましたね。しっかりボールを持てるのでかなり狙いに行けると感じています。

ストップ
 ツッツキも切れますね。板厚は厚くなりましたがソフトな打球感なので球が持てて非常に切れる印象です。

ツッツキ
 ラバーにもよりますが切りやすいですね。

チキータ
 グリップ重心でやりやすいです。だいぶ感覚がつかめてきて武器になりつつあります。

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 林高遠ALC = 張継科ALC
> Mizutani Jun ZLC(水谷隼ZLC)

回転のかけやすさ
 林高遠ALC = 張継科ALC

スピード
 林高遠ALC = 張継科ALC

飛距離
 林高遠ALC = 張継科ALC