Hurricane (キョウヒョウ)、たくさんの種類がある中、このページでお話させていただくHurricane (キョウヒョウ)はDouble Happiness Shanghai (紅双嬉、DHS)製のHurricane (キョウヒョウ)にフォーカスして記述させていただきます。最近、Hurricane (キョウヒョウ)の良さを再認識したり、語りたいなーと思うことがあったので、このような記事を書きたいと思いました。それではDHS製Hurricane (キョウヒョウ)について語らせていただきます。
中国トップの長年の相棒!そして王道チャイラバ!
中国トップ選手が長年変わらぬ信頼を向けるラバー、それがHurricane (キョウヒョウ)ですね。男子シングルスで世界選手権三連覇、ワールドカップ2回優勝、オリンピック2回優勝、のMa Long (馬龍、中国)選手は、フォアバック両面にHurricane (キョウヒョウ)を使っています。そしてMa Long (馬龍、中国)選手がフォアバック両面にHurricane (キョウヒョウ)を選んで以降、若手選手含めて、中国選手は両面Hurricane (キョウヒョウ)の選手ばかりになりました。なぜそこまで長く愛用されるのか。何故、未だにトップ選手が愛用するのか、は正直、katsuo000ごときにはわかりません (汗)。高い信頼と実績が、選手たちの信頼を勝ち取っているのでしょう。
日本のトップ選手では驚くほど、Hurricane (キョウヒョウ)の使用者を確認することができません。最近では日本大学の加山選手が両面Hurricane (キョウヒョウ)を使っているそうですが、2024年全日本選手権ランカーに名前を刻んだ選手の中でHurricane (キョウヒョウ)を使っている選手は、おそらく女子の早田選手のみだと思われます。このことと、過去に水谷隼さんが後加工に対する批判をしたこと、の2点をあわせると、おそらく中国トップ選手は後加工をしていること、そして後加工をしないとトップでは通用しないということが予想されます。過去には木下グループの大島祐哉選手も使うことを検討した時があったようなのですが、残念ながら継続には至らず、そのまま使うのではやはりスピードが足りないようですね。
本記事では、一般卓人が使うレベルの話であり、そのレベルなら後加工なくても十分使えること、そして、後加工を推進したりする記事ではないことをあらかじめ申し上げます。
今までにkatsuo000がレビューさせていただいたHurricane (キョウヒョウ)は以下のとおりです。
・Hurricane NEO III Blue Sponge (省チーム用キョウヒョウNEO3ブルースポンジ)
・Hurricane NEO II (普狂NEO2、40°、2.2 mm)
・Hurricane NEO III (普狂NEO3、41°、2.2 mm)
Hurricane = 高い回転性能と弾まないラバー
Hurricane (キョウヒョウ)の特徴といえば、とにかくまずは高い回転性能、そして弾まないことですね。スピードだけであれば、日本製ラバーの方が高いものはいくつもあります。中国という国では日本製ラバー、スピン系テンションラバーの世界標準であるTenergy 05 (テナジー05)でもスピード系のラバーと表現されるそうです。確かに確かに卓球という競技は、スピードや飛距離を競うのではなく、相手のコートにボールをおさめなくちゃいけない協議で、そういう意味ではスピードや飛距離を出すことは重要ではないですね。Hurricane (キョウヒョウ)はとにかく高い回転性能、そして弾まないことが特徴のスペシャルラバーだと思います。
中国トップ選手は後加工しているのでしょうが、イメージとしては高い回転性能にスピードを補う意味で後加工をしているのでしょう。DHS製の粘着ラバーではペン型の選手用にSky Line (天極)という粘着ラバーもあります。このSky Line (天極)はHurricane (キョウヒョウ)よりも弾むとされるラバーで、ペン型はシェイクハンド型よりも手首と回旋運動を効かせることができるため回転を強くかけられ、従ってSky Line (天極)のように弾む粘着ラバーを使うということですね。中国トップのシェイク型選手は必ずHurricane (キョウヒョウ)を使用します。これはやはりスピードではなく回転が重要だからでしょう。
Hurricane (キョウヒョウ)の特徴の1つとして、シートがスポンジよりも軟らかいことがあります。こういったシートの柔らかさを特徴とするラバーは、粘着ラバーではみられるものの最近のスピン系テンションラバーでは少ない特徴になりますね。シートが柔らかいと球持ちは硬度以上に良くなります!この球を持つ、という特徴は現代卓球ではどんどん重要になってきていると思いますが、Hurricane (キョウヒョウ)は20年以上前からその特徴をもって生まれてきたラバーになるわけですね。シートが柔らかい分、スポンジを極めて硬い仕様にすることで、高い回転性能と球持ちを具備したラバーになりますね。
近年のプラボールへの移行、そして、プラボールがさらに硬くなり、またNittaku (ニッタク)製の抗菌クリーンボールのようなボールへと移行してきた結果、ボールの回転量はどんどん減って、一般層でもかなりラリーが続くようになったと感じています。ラバーの回転性能の改善よりもボールの硬質化と変化の方がやや早い気がしていますね。余談ですが、回転をかけるドライブ型よりも影響が大きいのは異質型かもしれません。異質型はさらに変化が得られずなかなか勝ちにくい環境になったのではないかと感じます。個人的に伊藤美誠選手がなかなか勝てていない理由の一つに、ボールの変化があると感じますね。
ボールの変化は、トップ選手はもちろん、一般層にも強く影響していると感じます。その一つがループドライブの質ですね。ボールが硬く抗菌加工される前では、ループドライブは回転量さえあれば、カウンターを受けることはあまりなかったと感じます。一方ボールが硬く抗菌加工された後は、高いループドライブもカウンターを受けまくるようになったと感じています。Timo Boll (ティモボル)選手のプレイのようにループドライブはネットスレスレで浅く打たないといけなくなりました。低く浅くループドライブできないとたちまちループドライブもカモにされてしまいますね。低く浅いループドライブを最も打ちやすいラバーの一つがHurricane (キョウヒョウ)でしょう。この理由は回転性能が高くて、弾まないからですね。
ループドライブ以上に一般レベルで使用していて嬉しいことは、レシーブになります。チキータやループドライブも良いですが、それ以上にツッツキがよく切れるので、多少浮いてもツッツキで得点が取れるんですよね。弾まないので思い切り切っても収まるところも助かります。Hurricane (キョウヒョウ)は本当に回転で点数を稼げるラバーだと思います。そして弾まないからこそ、最近使っていて感じるのが、ブロックの安定感ですね。ブロックのときにかけ返せてアクティブブロックすると相手の3球目ドライブなどがある程度安定して返せることに最近気づきました。あの安定感は、ブロックを一つの戦術に盛り込めると感じる素晴らしさだと思います。カウンター性能も重要ですが、それ以上にブロックが安定させられる、Hurricane (キョウヒョウ)には、そう感じさせる性能があり、盾として使えるラバーだと思います。ツッツキ、そしてブロック。この2つを備えるラバー、それがHurricane (キョウヒョウ)でしょう。
どのグルーで貼るべきか
中国のナショナルチームが公式に使用するグルーはNittaku (ニッタク)製のFine Zip (ファインジップ)になりますね。このこともあって、Fine Zip (ファインジップ)の特用500 mlを購入して何度かHurricane (キョウヒョウ)を貼ったことがあります。Fine Zip (ファインジップ)はトロトロ系あるいはネバネバ系のグルーで、他のグルーと比べても厚くなりやすく、簡単に重くなるグルーですね。何度かこのグルーを使ってHurricane (キョウヒョウ)や他のラバーを貼ったことがありますが、Fine Zip (ファインジップ)の特徴は厚い層を作ってラケット全体を重くでき弾みを与えてくれる一方で、回転性能が落ちる印象があります。Fine Zip (ファインジップ)を使うことで、Hurricane (キョウヒョウ)の弾みを補うためにFine Zip (ファインジップ)を使うのはありかもしれません。ただし、複数回塗るとかなり重くなるので、このあたりは自己責任での対応をお願いしたいです。
個人的にHurricane (キョウヒョウ)を貼る上でオススメのグルーはFree Chack II (フリーチャック2)になりますね。トロサラ系のグルーで安定して最低限のグルーの量で接着でき、かつラバーの高い回転性能を損なわないグルーになります。Free Chack II (フリーチャック2)ならほとんどHurricane (キョウヒョウ)の重量を重くせずにしっかり接着することができるでしょう。
一度は使ってみたいラバー!Hurricane (キョウヒョウ)
日本だけでなく世界中が中国卓球を注目し、その中心にはHurricane (キョウヒョウ)という特徴あるラバーが長い時間君臨しています。やはり卓人なら一度は手にしたくなるラバーでしょう。このラバーを一度でも手にしてみるなら、今回の記事が参考になるのではと思います。どうぞご参考ください。