説明
Yasaka (ヤサカ)の名作、Ma Lin (馬林)シリーズからMa Lin Carbon (馬林カーボン)をレビューさせていただきます。Ma Lin (馬林)シリーズは長きにわたって人気の名作シリーズですね。Ma Lin (馬林)シリーズは、5枚合板1種、7枚合板1種、インナーカーボン3種と合計5種類のラケットが販売されています。馬琳 (Ma Lin)選手自身は有機溶剤による後加工可の時代では5枚合板を、その後はこのページでレビューするMa Lin Carbon (Ma Lin Carbon)を使用していたそうです。Ma Lin (馬林)選手といえば豪快なフォアドライブが特徴的ですよね!当時は同じ時代に活躍した、中国出身のWang Liqin (王励勤)選手も5枚合板に有機溶剤、その後、カーボンラケットを使用したようです。2人とも右利きでエゲつないパワードライブを打つ剛腕フォアドライブ型でした。未だに多くの卓人があこがれたり、参考にするのが馬琳選手/監督たちになると思いますね。それではラケットについて言及していきたいと思います。
Ma Lin (馬琳)選手が使った5枚合板と類似の仕様のラケットが、Ma Lin Extra Offensive (馬林エキストラオフェンシブ)ですね。情報ではMa Lin (馬琳)選手が使用したMa Lin Extra Offensive (馬林エキストラオフェンシブ)は、100 gくらいの超ヘビーラケットだったらしいです。そのような個体はさすが流通していない可能性が高く、特注の非常にマレな固体をご本人は好んで使っていたようですね。さらにパワフルな7枚合板仕様のラケットがMa Lin Extra Special (馬林エキストラスペシャル)になります。このラケットは最近では愛工大の吉山僚一選手が使用していたラケットになりますね。海外ツアーへ出場するようになり吉山選手はMa Lin Carbon (馬林カーボン)やその他Yasaka (ヤサカ)さんのインナーカーボンへ変更したようです。大島祐哉選手がandro (アンドロ)の7枚合板「和の極み -煉-」を使用しているので、トップでも7枚合板で活躍する選手は多数いることが明らかだと思います。改めて注目しても良いのではないかと思いますね。やはり7枚合板は5枚合板よりもラリーに強くて木材合板らしさもあるラケットに分類されると思います。安価でいてトップ選手も使用している、という点は非常に良い選択肢の1つだと思いますね。
Ma Lin (馬林)シリーズのカーボンは3本ありますが、どれも全てInner Carbon (インナーカーボン)になります。インナーカーボンなのに3種類もラインナップしている点が現代卓球を先んじていたように思いますね。Ma Lin Carbon (馬林カーボン)はMa Lin (馬林)シリーズを踏襲する、上板硬めの合板構成でインナーにカーボンをはさんだラケットになります。続いてMa Lin Hard Carbon (馬林ハードカーボン)は上板にウエンジ材というハードな木材を使用して、シリーズ1弾むラケットになります。そして近年流行りのソフトな上板を使ったインナーカーボンがMa Lin Soft Carbon (馬林ソフトカーボン)になります。
ここからは個人的なコメントです。Ma Lin Soft Carbon (馬林ソフトカーボン)は上板が柔らかくかつ板厚も5.7 mmとかなり薄いラケットになります。このラケットを選ぶのであれば、カーボンにアラミドカーボンやALCを使っていないことにこだわるか、上板が柔らかいのに6 mm未満の板厚の薄いラケットを求める卓人にはもってこいかと思います。インナーラケットの王道かつ中陣からの威力とドライブを打つ時のラケットのALCらしいしなりを求めるならButterfly (バタフライ)さんのInner Force Layer ALC (インナーフォースレイヤーALC)やHarimoto Tomokazu Inner Force ALC (張本智和インナーフォースALC)がずばり王道で、王道ではなく弾まず木材らしい打感としなりとミートを求めるなら、Ma Lin Soft Carbon (馬林ソフトカーボン)を選ぶことをオススメすると思います。
逆に、上板の硬いインナーカーボンを探すのであれば、今回のMa Lin Carbon (馬林カーボン)やMa Lin Hard Carbon (馬林ハードカーボン)は他のインナーカーボンと一線を画していて、手に入れやすい上板硬めのインナーカーボンになると思います。個人的には上板硬めのラケットはサーブの切れ味も上がり、回転量も上がるので球の質を求めていくならオススメのラケットになりますね。
・Ma Lin Extra Offensive (馬林エキストラオフェンシブ): 上板やや硬めの5枚合板
・Ma Lin Extra Special (馬林エキストラスペシャル): 上板やや硬めの7枚合板
・Ma Lin Carbon (馬林カーボン): 上板やや硬めのインナーカーボン
・Ma Lin Hard Carbon (馬林ハードカーボン): 上板ハードなインナーカーボン
・Ma Lin Soft Carbon (馬林ソフトカーボン): 上板ソフトなインナーカーボン
ここで突き動かされるような言葉で綴られた、卓球王国さん × Yasaka (ヤサカ)さんの記事を引用させていただきます。この記事を読むと改めて馬林ラケットシリーズを手に取りたくなるのではないでしょうか。
『馬林カーボン』
好敵手、王励勤と覇権を争い、中国の”竜虎”と呼ばれた馬琳。その右手に握られた至高のギア。99年世界選手権男子シングルスで決勝に進んだ馬琳。その手に握られていたのは、ヤサカの名品『ガシアンエキストラ中国式』 (廃番)だった。古くより中国代表選手の間で絶大な人気を誇っていた、スウェーデン製ラケットである。
長らくヤサカラケットを愛用していた馬琳だが、2005年に正式にヤサカと用具契約を結んだ。その年、世界選手権上海大会で握り、2度目の決勝に進んだラケットが、新たに馬琳のために開発された『馬林カーボン』なのである。
ところで、ここまで選手名は馬琳、商品名『馬林カーボン』と、表記が異なることが気になった人も多いのではないか。本名は「馬琳」なのだが、琳は女性の名前に多く使われる文字ということで、本人が「馬林」とサインすることから、ラケット名では「林」が採用されたという理由だ。
話を戻そう。05年末に一般発売となった『馬林カーボン』は、瞬く間にベストセラーとなった。これほどの選手の名を冠したモデルが売れないわけはない。ただ、そのセールスはヤサカの予想を上回り、嬉しい悲鳴を上げた程だったという。そして卓球王国2007年2月号で発表された、第1回「ベストギア・オブ・ザ・イヤー2006」にて『馬林カーボン』はペンホルダーラケット部門で『吉田海偉』(バタフライ)とともに同率首位のグランプリに輝いたのだ。
05年に続き、07年にも世界選手権で決勝に進んだ馬琳。90年代末から10年代初頭にかけて長く活躍した馬琳だが、中でも最も脂の乗った時期に本人が使用していたモデル。この『馬林カーボン』以前、そして以後は、馬琳はヤサカの木材ラケットを使用したのだが、なぜ彼が00年代中期にカーボンラケットを選んだのか。神業とも言える台上処理を重視し、パワーはラケットの弾みよりも体全体で出すという馬琳。それだけ聞くと、カーボンモデルは不向きのように思えるが・・・。この疑問に対する答えは、優れた合板構成にあった。カーボンラケットとしては異例の球持ちの良さ。時代を先取りした超バランス素材
ヤサカが馬琳との契約にあたって、本人使用モデルとして開発した『馬林カーボン』。もちろん、馬琳本人も開発に関わっている。気むずかしい性格で有名な馬琳。当然ながら用具選びにもこだわり、妥協を見せないのだが、そんな彼が多くの試作品の中から選んだのが、この合板なのである。
馬琳のプレーというと、3球目の強烈なフォアドライブの印象が強い。そのため、ラケットもパワフルなものを使用しているような錯覚に陥るが・・・。馬琳が最も重視したのは「コントロール」だった。
以前に馬琳が愛用した5枚合板 (現在は廃番の『ガシアンエキストラ』)も、スウェーデン製5枚合板らしい球持ちとコントロールが特徴だが、その特徴を損なわない範囲で、カーボンにより若干のパワーアップを図ったのが、この『馬林カーボン』なのである。
『馬林カーボン』の最大のミソである合板構成を見てみよう。サイド写真を見てもわかるとおり、カーボンが表面から3枚目 (上板と芯材のさらに内側)に配置。特殊素材 (木材以外の繊維素材)を、上板のすぐ下ではなく、内側に配置する、いわゆる「インナー」タイプの設計だ。
またカーボン自体もかなり薄い。そのためカーボンの硬さ・弾みの良さを全面的に押し出さず、木材モデルに近い球持ちが生かされている。板厚も5.7 mmとスリムで、打球時のしなりを持たせている。
このような合板構成を、スウェーデンのすぐれた合板技術によって製品化した『馬林カーボン』は、結果的にカーボンラケットとしては最も球持ちの良い部類のブレードに仕上がり、世界No.1の台上技術を誇った馬琳を満足させたのだ。
「板厚がスリムなインナー素材タイプ」というと、近年では人気の合板構成として、各社からリリースされている。しかし、『馬林カーボン』はそのタイプの人気に火が付く以前の2005年にリリースされた。先見性のある設計だったと言って良いだろう。
シェークのFL・ST、そして中国式ペンと、3種類のグリップが発売された『馬林カーボン』だが、やはりペンの馬琳が実際に使用したということで、中国式は両面に裏ソフトを貼るプレーに適した設計になっている。
板厚が5.7 mmとスリムなので、両面にラバーを貼っても握りやすい。また平均重量は、カーボンラケットとしては軽めの85 gであり、重量に悩む両面ペンの選手にとっては扱いやすい軽さだ。
ブレードサイズはスウェーデン製の中国式ペンとしてはオーソドックスな長さ163 mm×幅150 mm。しっかりと面が広いためスイートスポットが広く、また長さもあるのでフルスイングした時には威力を発揮する。馬琳のようなパワーがない選手にとっては、あまり面が大きいと操作性の悪さにつながる可能性があるが、ラケット本体が重くないので、中級者でも扱える範囲だ。
「ペン両面向きの性能」
これも『馬林カーボン』の大きな特徴と言えるだろう。以上見てきた設計面・性能面からも、このラケットの人気の理由がわかると思う。2005年の発売から衰えぬ人気。それの理由は馬琳のネームバリューだけではない。
https://world-tt.com/ps_maker/yasaka/002/page.php?pg=1
次々と新製品が登場する卓球用具市場。特にラケットに関しては、毎年各社から多くの新製品が投入される一方で、ほぼ同数の商品が廃番となり、密かに姿を消していく。ラケットの商品サイクルは、ラバーのそれよりも短い傾向にあるのだ。
そのような中、ヤサカ『馬林カーボン』は2005年の発売から不動の地位を築いている。一般的に選手モデルは、その選手が引退するとすぐに廃番になったり、あるいは売上げ低下によりしばらく後に廃番になるケースも多いが、このラケットは例外だ。
改めて『馬林カーボン』がロングセラーとなっている理由をまとめてみよう。
成績だけでは語れない馬琳の人気
やはり、馬琳の人気は絶大だ。世界選手権で3回準優勝、そして北京五輪で金メダルを獲得した、卓球史に残る名選手である。しかし馬琳という選手の魅力は、成績だけでは語れない。その魅力のひとつが、裏面打法にある。中国で開発され、発展を遂げたペンホルダーラケットの裏面打法は劉国粱 (96年五輪金メダリスト/前・中国男子総監督)が第一世代と言われる。プレーの軸はフォアハンド (またはバックショート)であり、それを補助する目的で裏面打法でのバックハンドが使用された。そのスタイルを継承、発展させ、より攻撃的な裏面バックハンドを確立させたのが、第二世代と言われる馬琳なのだ。その後、シェークのような自在な両ハンドプレーを見せた王皓が第三世代と呼ばれるが、王皓は中国でも例外的存在と言われ、馬琳の時点でペン両面スタイルは完成に近づいたと言ってもいい。
裏面打法を高いレベルに引き上げた功労者である一方で、馬琳のプレーの軸足は「ペンドラ」ならではの強烈なフォアドライブにある。この点も、ペンホルダーのファンにとって大きな魅力だ。複雑なフェイクモーションを交えた強烈な変化サービスと、世界トップクラスのテクニカルな台上技術、そして台上のボールをフルスイングで持っていくエグいまでの3球目攻撃。裏面打法を駆使しながらも、「シェークの亜種」ではなく、ペンホルダーならではのダイナミックなプレーこそが、我々を惹きつけるのだ。
馬林シリーズが使いたくなったのではないでしょうか。名作であり王道の板構成を知ると手に取りたくなるのが卓人だと思います。
Ma Lin Carbon (馬林カーボン)
届いたMa Lin Carbon (馬林カーボン)はなんと、92 gのヘビー級でした。重い方が好みなので、いいね~と思った次第です。黒のシックなデザインはかっこ良くてかなり好みです。ラバーは今回、フォア面に省チーム用キョウヒョウNEOIIIブルースポンジ (Hurricane NEO III Blue Sponge)を、バック面にはGlayzer (グレイザー)を貼りました。
馬林カーボンの3つの特徴
上板は確かに硬く、それでいて抜群のおさまり!これはいい!
季節が冬ということもあるかもしれませんが、上板が硬いのでバチっと回転がかかって、それでいて飛びすぎない非常に扱いやすいラケットでした。このMa Lin Carbon (馬林カーボン)はMa Lin Hard Carbon (馬林ハードカーボン)やTornado King Power (トルネードキングパワー)と比べるとやはり弾まず、控えめで、まるで5枚合板のようなスピード感のラケットでした。上板硬めの5枚合板と間違えてしまいそうなラケットだと思います。少なくとも自分は上板硬めの5枚合板と感じながら使っていました。それくらい板厚が薄いことでしなって柔らかく感じる、上板硬めのラケットでした。これかなり好みのラケットだと感じましたね。
強打時はカーボンラケットらしい直線性!
Ma Lin Hard Carbon (馬林ハードカーボン)でも感じましたが、弾いた時の弾道がとても直線的だと感じました。この特徴はやはり普段からALCやアラミドカーボン系の特殊素材入りラケットを使っているから感じるのだと思いますね。安い分、どうしても仕方ないかもしれませんが、このカーボン感は正直苦手と感じました。特に中陣からドライブ強打を打とうとすると、結構ネットミスをするんですね。感覚以上にボールが直線的に飛ぶのだと思います。強打時の弧線を求めるのであれば、やはりアラミドカーボンやALCなどの特殊素材を選ぶ必要があるといえるでしょう。そういう意味ではやはりTornado King Power (トルネードキングパワー)が廃盤になってしまったのは残念でなりませんね。Ma Lin Hard Carbon (馬林ハードカーボン)やMa Lin Carbon (馬林カーボン)には期待していたのですが、この直線性ですぐの移行は諦めました。逆に表やバックミートを多用するのであれば、直線的に飛ぶのでやりやすいし攻撃的で好みの飛び方をするのではないでしょうか。
ブレード面積157 × 151 mmでバックハンドはやはり振り抜きやすい!
90 gを超える重量でしたが、Ma Lin Hard Carbon (馬林ハードカーボン)と比べると大人しいので、安心してバックハンドは振りぬくことができました。またしなるので、イメージ通りの弧線を出しやすくて良かったですね。上板の硬さからは想像できないくらい打球感が柔らかくてそれでいて輪郭のはっきりした打感なので、バックハンドを楽しめました。
他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)
回転量
Virtuoso+ > Ma Lin Carbon > Ma Lin Hard Carbon
スピード
Fortius FT > Ma Lin Carbon > Virtuoso+