メーカー

レビュー Rhyzen ZGR(ライゼンZGR)

説明

 Rhyzen(ライゼン)シリーズはJoola(ヨーラ)の最新の粘着テンションラバーで、2021年春-夏発売のラバーになります。Joola(ヨーラ)最新のハイエンド粘着ラバーに位置します。Joolaは日本ではむしろラージボール卓球の方で有名なメーカーで、そちらの方がご存知の方も多いのではないでしょうか。あまり注目されにくいヨーラさんですが、昨今の進化系ポストテナジーラバーと呼べるドイツ製ラバー、Dynaryz AGR(ダイナライズAGR)を比較的早く発売されているという認識です。プロモーションなどで損しているのかもしれないですが、注目のメーカーになります。katsuo000が思う、昨今の進化系ポストテナジーラバーとその発売時期を以下に示します。

1. Rasanter R53(ラザンターR53): 2019年 秋-冬
2. Dynaryz AGR(ダイナライズAGR): 2020年 春-夏
3. Target Pro XD 52.5(ターゲットプロXD-52.5):2020年 秋-冬
4. Evolution MX-D(エヴォリューションMX-D):2021年 春-夏
5. Rhyzen ZGR(ライゼンZGR):2021年春-夏
6. DNA Platinum XH(ディーエヌエープラチナエキストラハード):2021年 夏-秋
7. DNA Platinum Dragon Grip(ディーエヌエープラチナドラゴングリップ):2021年 夏-秋

 宣伝やプロモーションでぼやけてしまう部分や、卓球王国さんが取り上げないなどでインパクトがなかったものもありますが、発売時期を確認すると、ヨーラさんは発売時期がとても早いと感じますね。また、DNAプラチナドラゴングリップが発売されてしまいましたが、最新ドイツ製ラバーの中で初期の粘着テンションラバーであることも注目のポイントだと思います!さて、ライゼンZGRはどんなラバーなのでしょうか。
 今回試打したラバーRhyzen ZGR(ライゼンZGR)は、ライゼンシリーズ2枚のうちの1枚で、硬い方になります。柔らかいRhyzen CMD(ライゼンCMD)は、価格も安く広い層をターゲットとしたラバーのようです。一方、本ページのRhyzen ZGR(ライゼンZGR)は、スポンジがハード+と硬く、スピン性能はヨーラの看板粘着ラバー、Golden Tango(ゴールデンタンゴ)と同等で、スピード性能はRhyzer Pro 45(ライザープロ45)と同等という、非常に高性能なラバーとなりますね。ちなみにゴールデンタンゴはまだ試打できていませんが、卓球王国さんやWRMさんでも取り上げられていたラバーで、粘着らしさがありながら弾むラバー、というイメージです。ゴールデンタンゴと同等の回転とそれ以上のスピードは楽しみですね。また、パンフレットを読むと、ライゼンシリーズには、ダイナライズと同じ新しい技術のスポンジとシートを採用していて性能が高いと予想できました。ダイナライズAGRはかなりテナジーっぽいラバーで、まさに進化型ポストテナジーに分類できるラバーだと思いますが、そのラバーと同じような技術を採用しているということです。どのようなラバーなのかほとんど情報がなかったのですが、性能値や価格帯から悪いラバーではないと期待して購入しました。

性能値

 公表性能値を比較してみましょう。

 ライゼンZGRはヨーラのラバーのカテゴリーではプロフェッショナルに位置するラバーで、価格は6,300円 + 税になります。割引されて5,000円くらいになりますでしょうか。ダイナライズよりも安いんですね!これは結構ポイントです。看板ラバー、ゴールデンタンゴよりも高い回転性能とスピード性能は、やはり注目ですね!現状、粘着ラバーの中で最も性能が高いヨーラのラバーがライゼンZGRと考えて良いでしょう!

 硬度計比較になります。ダイナライズAGRより硬さのあるラバーであることがわかりますね。またshore aのシート側とスポンジ側の差から、テナジーほどではないですが、ディグニクスよりは扱いやすいことが示唆されるデータとなりました。また、ダイナライズAGRと比較すると、やはり硬く扱いにくいということを示唆しました。粘着ラバーで比べると、Dignics 09C(ディグニクス09C)よりもかなり扱いやすいラバーといえそうです。

ライゼンZGRの貼りと重量

 今回メインラケットのVirtuoso AC(ヴィルトーソAC)に貼りました。

↑この白いシートなのですが、卓球王国さんのDNAプラチナドラゴングリップとかなり類似の白いシートではないかと思います。どちらもドイツ製ラバーで、近い場所(工場?)で製造されているのではないでしょうか。

 粘着テンションラバーということで、やや重いですね。ヴィルトーソACは少し、標準よりブレード面積が広いので、重くなりやすいですね。ただし、球をついてみると結構弾むし、シートの粘着の強さも微々粘着程度で、コテコテの粘着ラバーではなく、どちらかというとDignics 09C(ディグニクス09C)に近いラバーだと感じました。

Rhyzen ZGR(ライゼンZGR)
 粘着テンション
 Hard Balance Sponge(ハードバランススポンジ)
 Hyper Traction Surface(HS Traction、ハイパートラクションサーフェイス)
 Made in Germany
・Sponge Thickness: 2.0 mm、Max
・Speed:8.5
・Spin:11
・Category:Professional
・Sponge硬度:Hard+
・6,300円 + 税
・73 g(切断前) → 53 g(ヴィルトーソAC、158 × 150 mmに貼って)

 ちなみに、ヨーラさんのパッケージが新しくなったのと、シート形状が数字化してくれています。下はDynaryz AGR(ダイナライズAGR)のシート形状の数値になりますね。ライゼンZGRと比較してみました。

黒いものがライゼンZGRになります。
Rhyzen ZGR:HS Traction Balance Sponge hard+
       粒太さ 1.5 mm、粒間隔 0.8 mm、粒高さ 0.7 mm
Dynaryz AGR:AS Traction Hyper Bounce Sponge hard
       粒太さ 1.7 mm、粒間隔 0.6 mm、粒高さ 0.9 mm
シートの粒は、粒が太いほど、粒間隔が狭いほど、粒高さが低いほど、回転性能が高く粘着っぽくなります。ライゼンZGRは、粒は細く粒間隔が広めとすることで、スピード性能を出しつつ、粒高さを低くすることで粘着らしさを出しているのだと思います。

Rhyzen ZGRの3つの特徴

弾む粘着テンション!

 初めに使って感じたことは、「あ、これめっちゃ弾む粘着ラバーだ!」でした。全然粘着っぽくないんですね。シート形状を見ても、どちらかというとテンション系の形状をしています。打球音が高いし、狭い卓球場であったこともあってDignics 05(ディグニクス05)とそこまで遜色のないスピード感で、正直これテンションラバーじゃん、とまで思いました。近い感想を思ったラバーは、やはりディグニクス09C!発売時期を考慮してもヨーラは、ディグ09Cを意識して発売したのではないかと打てば打つほど感じました。

 ただし、弾むんですが、ちゃんと粘着ラバーらしいことはできました。これは非常に良かったです。下回転打ちは、持ち上げやすくて打ちやすいですし、回転量もしっかりかかると感じました。ディグニクス05よりもボールが揃いにくく、ブロックもしづらいと言っていただきましたね。ヴィルトーソACが薄いインナーカーボンであるため、扱いやすやすさに加え回転性能を損なうことのない組み合わせになったようにも感じました。総じて、粘着ラバーいいね!と感じる試打となりました。

 ここまでかけば察しの良い方は想像つくと思いますが、キョウヒョウのような生粋の癖球らしさは皆無です。粘着らしさを期待して購入してはいけません。そのかわり、スピード性能が高い、スピン系テンションよりの粘着テンションラバーです。そういう粘着テンションラバーとして認識して購入すべきだと思いますね。

カーボンラケットとの組み合わせならバックでも使える!

 かなり弾むので、バックでも十分使えると感じました!特に粘着ラバーらしいグリップ力があり、チキータやバックハンドドライブは、正直ディグニクス05よりもやりやすかったかもしれません。ディグニクス05が、やや扱いにくさもある変わったラバーであるためかもしれません。ブロックもしてみましたが、フラットに打球しても落ちるということも、相手の回転の影響を受けすぎるということも感じませんでした。今回インナーカーボンラケットに貼りましたが、アウターカーボンラケットでも硬さと重量さえ克服できれば扱えるのではないかと想像します。

くい込みの良さのわりにカウンタードライブがやりやすい

 ラケットも変更し、全体的に用具の扱いやすさも扱いやすい方向に進んで、客観比較がやや困難なのですが、カウンタードライブが思ったより入りました。くい込みの良いラバーでしたので、難しいのではないかと思いましたが、そこは粘着ラバーらしくしっかりおさまってくれて練習試合でしたが得点源の1つになってくれて嬉しかったです。相手の回転に対し真向に上書きしにいくよりは、回転軸を外してカウンタードライブする方が安定するイメージでした。

各技術レビュー

フォアハンド

軽打
 スピン系テンションラバーと遜色のない打球感と弾みでした。

ロングボールやラリーでのドライブ
 打球点を落としたときに、くい込みの良さも相まって回転量の多いドライブがしやすかったです。

面を開いたドライブ
 粘着ラバーらしく、下回転打ちなどは面を開いた方がスピードドライブがやりやすかったです。回転量は少しものたりないかもしれません。

対下回転に対するループドライブ
 結構飛び出しが良くて、ディグニクス05のように弾道の高いループになりやすかったように感じました。そのかわり回転量も高かったです。

対下回転に対するスピードドライブ
 面を開いた方がやりやすいと思います。あまり巻き込むと持っていくのが難しいと思います。ただし、くい込みが結構いいので、パワーがあれば巻き込んでも持っていけると思います。

カーブ/シュートドライブ
 スピードが速く、ボールが沈むわけではないので、あまり曲がる印象はありませんでした。

ブロック
 やりやすかったです。くい込みが良いのでオーバーミスの方が多く、粘着ラバーらしくないと思いました。

カウンタードライブ
 初めはやはりオーバーミスが多かったのですが、少し巻き込み気味にとらえることで安定しました。

ストップ
 思ったよりくい込みが良いので、当てるだけだと浮くかもしれません。切ろうとすることで弾道は低くなりますが、少し長くなるかもしれません。

ツッツキ
 スイングした方が低い弾道になって良かったです。ディグニクス05が切れすぎるのもあってか、あまり切れると感じませんでした。

フォアフリック
 弾く系しかできませんでしたが、弾いてはダメでした。回転をかけた方が安定すると思います。

バックハンド系

軽打
 バックでも、違和感ありませんでした。少し重いスピン系テンションラバーといえるかもしれません。

ロングボールやラリーでのドライブ
 悪くなかったですが、下がるとパワーがない分、ややスピードがおちました。

対下回転に対するループドライブ
 思ったよりやりやすかったです。バックにはありかもしれません。

対下回転に対するスピードドライブ
 バックの方が面を開きやすいこともあり、角度があってやりやすかったです。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 違和感ありませんでした。重さと硬さのおかげだと思います。

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ
 そこまで切れる印象はありませんが、やりやすかったです。

チキータ
 やりやすかったです。ボールをグリップするので、上書き系が特にやりやすくて良かったです。

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 09C ≧ Rhyzen ZGR ≧ Dignics 05 > Dynaryz AGR

スピード
 Dignics 05 > Dynaryz AGR > Rhyzen ZGR > Tenergy 05

第二の日本製!?Qシリーズ!

Qシリーズ ~ミズノと住友理工の第二の日本製~

 日本の総合スポーツメーカー、mizuno(ミズノ)。まだ卓球界にとっては新参者ですが、その存在感は年々増えており、特にシューズ分野は、トップ選手の半分くらいがミズノ製を使用しつつあります。シューズ契約選手をパンフレットで確認すると、東京オリンピック2020の代表の伊藤美誠選手、平野美宇選手、リザーブの早田ひな選手とそうそうたるメンバーです。そして、ユニフォーム!非常にスタイリッシュなユニフォームが多く、平野美宇選手が契約されています。ラケットといえば、木下グループで張本智和選手にも勝利経験のある大島祐哉選手プロデュースのFortius FT ver. D(フォルティウスFT ver. D)、や全日本社会人選手権優勝の平侑里香選手のFortius FT(フォルティウスFT)が有名ですね。フォルティウスFTシリーズは上板にリンバを使い打球感も良く、名作の一つだと思います。

 着実に卓球界で存在感を示すミズノさん。そのミズノさんが住友理工さんと共同開発した日本製ラバーがQシリーズになります!Made In Japanといえば、バタフライ製のテナジーが有名ですが、テナジーだけがいいラバー?とQuestion(疑問)を投げかける意味も込めてQ(キュー)シリーズは開発されたそうです。テナジーを使用していたトップ選手が、Qシリーズのラバーを使用するようになってきました。もちろん、多くはないのですが、着実にラバーでもミズノさんの存在は増えつつありますね!

Qシリーズの公表シート形状からわかる特徴

公表シート形状&公表スポンジ硬度

・Q3(キュースリー)
 粒の太さ:  1.65 mm、粒間隔: 0.63 mm、粒高さ: 0.99 mm
 シート厚さ: 0.78 mm、スポンジ硬度:47、ラバー重量:47 g
・Q4(キューフォー)
 粒の太さ:  1.70 mm、粒間隔: 0.58 mm、粒高さ: 0.95 mm
 シート厚さ: 0.80 mm、スポンジ硬度:47、ラバー重量:49 g
・Q5(キューファイブ)
 粒の太さ:  1.70 mm、粒間隔: 0.65 mm、粒高さ: 0.95 mm
 シート厚さ: 0.77 mm、スポンジ硬度:47、ラバー重量:51 g
 Accel ARC Sponge(アクセルアークスポンジ)

アクセルアークスポンジとは
  スポンジの気泡1つ1つをやや縦長に、やや大きく発砲させたことにより、”食い込みの良さ”と”反発力”の両立を実現。原料配合・接着剤も緻密に見直し、ラバーの性能をシリーズ史上、最大限に引き出すスポンジ。

 粒とシートの形状が与える性能:  https://katsuo000.com/topsheet_shape/

 粒は太いほど、粒間隔が狭いほど、粒の高さが低いほど、グリップ感が強くなり粘着ラバーのような方向へ向かいます。またシートは厚いほど、回転性能をあげます。ただし、回転性能が上がる分、食い込みにくくなり、扱いにくくなり、性能を引き出すことが難しくなりますね。シリーズを俯瞰すると、Q3が最も粒が細く逆に粒間隔が狭くて粒高さも低くてシート厚さが厚い仕様がQ4になりますね。そしてQ5はバランスをとるためにQ4よりやや粒間隔を広げるとともに、より進化したスポンジ、アクセルアークスポンジを採用することで、シートが薄くても回転性能が得られるようになっているのだと思われます。硬度は全て同じですが、数字が大きくなるほど重いラバーでした。パンフレットなどから、Qシリーズはテナジーと比較され、Q3がTenergy 64(テナジー64)、Q4がTenergy 05(テナジー05)、Q5がTenergy 80(テナジー80)と言われたりもしますね。実際のところについては後述しますが、テナジーシリーズのように理解するのはオススメはしません

硬度計比較

・Q3(キュースリー)
 硬度計評価 shore a (sheet):30.5、 shore a (sponge):30.5
       shore c (shhet):42.3、 shore c (sponge):42.3
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 0.0
・Q4(キューフォー)

 硬度計評価 shore a (sheet):32.3、 shore a (sponge):30.9
       shore c (shhet):43.3、 shore c (sponge):43.0
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 1.4
・Q5(キューファイブ)

 硬度計評価 shore a (sheet):31.8、 shore a (sponge):31.1
       shore c (shhet):45.8、 shore c (sponge):44.3
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 0.7
・Tenergy 05(テナジー05)
 硬度計評価 shore a (sheet):32.2、 shore a (sponge):26.8
       shore c (shhet):44.6、 shore c (sponge):43.3
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 5.4

1つ目の図は横軸に重量、縦軸にshore cの硬度をプロットしています。Qシリーズはやはり、テナジー05と比べて同等の硬さであることがわかります。おそらくミズノさんと住友理工さんは、テナジーを研究しながら開発したと思われますので、まずは同じくらいの硬度にしようと考えたのではないでしょうか。また硬度単位はNittaku(ニッタク)やVICTAS(ヴィクタス)などが採用しているドイツ基準だと思われますね。Qシリーズ販売前のミズノさんはドイツ製のラバーGFシリーズを販売しており、Qシリーズと他のミズノのラバーの硬さを比較する場合は同じ基準でないとわかりにくいですからね。よってパンフレットに書かれていませんが、Qシリーズの47°は、ニッタクやヴィクタスでもフラグシップラバーに採用されるドイツ基準47.5°とほぼ同じと考えて良いでしょう。余談ですが、近年ドイツ製のラバーが増加傾向であり、スポンジの硬さは同じドイツ規格で比較しやすくなりつつありますね。47°や47.5°は、最もトップ選手や一般選手が使用する硬度で、各メーカーのフラグシップラバーに多い、標準的な硬度だと思います。
 公表硬度は同じ47°ですが、Qシリーズのラバー全体の硬さは、シートの形状の影響を受けます。やはり最も最後に販売されたQ5が、硬度計shore cでは最も硬いラバーでした。ディグニクスシリーズやテナジーシリーズでもそれぞれのシリーズはスポンジ硬度は同じですが、64が最も柔らかく、80が中間、最も硬いのが05である、ということが知られています。しかしながらQシリーズでは、同じスポンジ硬度でもQ3が最も柔らかく、Q4が中間で、最後に発売されたQ5が、Qシリーズの中で最も硬い結果となりました。

 2つ目はshore aのシート側の硬度とスポンジ側の硬度の差を縦軸にプロットしています。このshore aのシート側とスポンジ側からの硬度の差は、扱いやすさ、ラバー全体へのくい込みやすさを客観比較できる数字である、とkatsuo000は考察しています。あるいは、shore cの値が同じくらいのラバーがあった場合、shore aのシート側とスポンジ側の差を比較し、その差が大きいラバーほど、くい込みの良さやシートの柔らかさを感じる、と考察しています。そのようにshore aの差はラバー全体へのくい込みやすさと考えた時、Qシリーズは、明らかにテナジーシリーズよりボールがくい込みにくい ≒ 扱いにくいシリーズであることを示唆していると考察してます。Qシリーズはディグニクスシリーズで最も硬いディグニクス09Cと同じくらいくい込みにくく、Qシリーズの扱いにくさを示唆しているといえるでしょう。一方で、くい込みにくい分、そのラバーのポテンシャルの高さ、回転量の最大値、ドライブの揃いにくさ、は高くなると思います。このように、単純な比較以上にshore aの硬度差は色々なことを示唆するものと考えています。

Qとテナジーの違い

 katsuo000が感じた実際のところはQシリーズはテナジーシリーズの分類や感覚は全く当てはまりません!テナジーと比べると全て相手の打球に負けないハードでマッドな打球感のラバーでした。ハードでマッドな打球感の中で、スピードと直線的な弾道に特徴的なラバーがQ3グリップ力が高いのに弧線は低くスピード感のあるQ4、とどれも個性的でとんがったラバーばかりです。そしてQ3とQ4と比べて数段性能の高い存在がQ5になります。Q5はQ4以上の回転性能と独特の癖がありながら、Q3に匹敵するスピードも出て、総合バランスの高いラバーでした。Qシリーズは、どちらかといえば、スピン系テンションよりの粘着テンションラバーのようなラバーですね。また住友理工は卓球界には新参のメーカーであるためか、Qシリーズはどれもかなり個体差も多い印象です。重量を測って自分に合うものを購入すべきだと思います。

Qシリーズ
 メリット
 ・食い込みにくい分、上回転ラリーに強く、カウンタードライブもやりやすい。
 ・ツッツキやストップが浮きにくく止まりやすい。
 ・Qシリーズ独特の回転量と癖球が出る。
 ・テナジーより安い。

 デメリット
 ・テナジーシリーズよりも扱いが難しい部分がある。
 ・匂いが臭い。個体差も多い。
 ・ブランドとしての信頼が低い。
 ・木材系ラケットと相性が良い。
 ・逆にインナーはともかくアウターカーボンとは少し相性が悪い。

 上述がkatsuo000の考えるQシリーズのメリットとデメリットになります。なお、日本のトップ選手、大島祐哉選手や軽部隆介選手は両面Q5に変更しました。特に大島選手は両面Q5へ変更直後、2021年1月の全日本選手権で9位のランカーにくい込んでおり、Q5のポテンシャルの高さを示したといえるでしょう。
 個人的には、コスパの良いかなりポテンシャルの高いラバーだと思います。また木材合板ラケットをメインにしているミズノさんが開発したこともあって、明らかにQシリーズは木材合板系のラケットと相性が良いラバーだと感じました。他メーカーのラケットでも木材合板かインナー仕様のラケットと組み合わせることをオススメします。
 また海外のサイトでも、徐々に話題になっているようですね。ラバーについては、バタフライとDHSの2強となりつつありますが、新たなメーカーとして andro(アンドロ)、 VICTAS(ヴィクタス)、XIOM(エクシオン)、そして、ミズノが続いていってほしいと思いますね。

・Q5(キューファイブ)
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・Q4(キューフォー)
 https://katsuo000.com/review_q_4/ 

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・Q3(キュースリー)
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「進化が圧倒する。」ってこういうこと!ディグニクスとテナジーの違い

ディグニクスシリーズ ~進化が圧倒する~

 2019年4月1日にDignics 05(ディグニクス05)が発売され、多くのトップ選手が使用するディグニクスシリーズ。世界標準であるTenergy(テナジー)シリーズを超えるラバーとして発売されたディグニクスシリーズは、東京オリンピック2020の男子シングルスのベスト4の4人の選手のうち3人が使用しています。明らかにテナジーを超える存在であるディグニクスシリーズは今後世界標準となっていくのでしょう。

ディグニクスの公表性能値と硬度比較からわかる特徴

公表性能値&公表スポンジ硬度

・Dignics 09C(ディグニクス09C)
 Spin:13.00、 Speed:13.00、 スポンジ硬度:44(Butterfly基準)、ラバー重量:50 g
・Dignics 05(ディグニクス05)
 Spin:12.00、 Speed:13.50、 スポンジ硬度:40(Butterfly基準)、ラバー重量:48 g
・Dignics 80(ディグニクス80)
 Spin:11.75、 Speed:13.75、 スポンジ硬度:40(Butterfly基準)、ラバー重量:48 g
・Dignics 64(ディグニクス64)
 Spin:11.00、 Speed:14.00、 スポンジ硬度:40(Butterfly基準)、ラバー重量:45 g
・Tenergy 05(テナジー05)
 Spin:11.50、 Speed:13.00、 スポンジ硬度:36(Butterfly基準)、ラバー重量:47 g

 公表性能値からわかることは、ディグニクスシリーズはテナジーを上回るラバーであることですね。テナジー05と比較してスピード性能の劣るディグニクスはありません。回転性能も、ディグニクス64のみややテナジー05に劣るだけで、テナジー05と比較して、ディグニクスシリーズの極めて高い回転性能がよくわかります。スピード性能も回転性能も上回るということは、ディグニクスシリーズがテナジーを超えるラバーであることを示しています。
 一方で、スポンジ硬度はディグニクスシリーズよりもテナジー05の方が柔らかいこともわかります。硬度が硬いラバーほど扱うことが難しくなります。つまりこれは、テナジー05よりもディグニクスシリーズの方が使いこなすことが難しいことを示しますね。

硬度計比較

・Dignics 09C(ディグニクス09C)
 硬度計評価 shore a (sheet):33.4、 shore a (sponge):31.8
       shore c (shhet):50.8、 shore c (sponge):49.1
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 1.6
・Dignics 05(ディグニクス05)
 硬度計評価 shore a (sheet):34.3、 shore a (sponge):31.3
       shore c (shhet):50.0、 shore c (sponge):48.2
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 3.0
・Dignics 80(ディグニクス80)
 硬度計評価 shore a (sheet):33.1、 shore a (sponge):29.5
       shore c (shhet):48.6、 shore c (sponge):47.7
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 3.6
・Dignics 64(ディグニクス64)
 硬度計評価 shore a (sheet):32.3、 shore a (sponge):28.4
       shore c (shhet):48.0、 shore c (sponge):46.7
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 3.9
・Tenergy 05(テナジー05)
 硬度計評価 shore a (sheet):32.2、 shore a (sponge):26.8
       shore c (shhet):44.6、 shore c (sponge):43.3
       shore a (sheet) – shore a (sponge) = 5.4

1つ目の図は横軸に重量、縦軸にshore cの硬度をプロットしています。ディグニクスシリーズはやはり、テナジー05と比較しても明らかに硬いことがわかりますね。公表スポンジ硬度と同じ結果となります。ただし、スポンジ硬度だけでなく、シート形状に由来する硬さの影響も加味した結果でもありますので、同じスポンジ硬度でもディグニクス64が最も柔らかく、回転性能の高いディグニクス05はディグニクスの中でも硬いことがよくわかります。

 2つ目はshore aのシート側の硬度とスポンジ側の硬度の差を縦軸にプロットしています。このshore aのシート側とスポンジ側からの硬度の差は、扱いやすさ、ラバー全体へのくい込みやすさを客観比較できる数字である、とkatsuo000は考察しています。あるいは、shore cの値が同じくらいのラバーがあった場合、shore aのシート側とスポンジ側の差を比較し、その差が大きいラバーほど、くい込みの良さやシートの柔らかさを感じる、と考察しています。そのようにラバー全体へのくい込みやすさと考えた時、ディグニクスシリーズよりもテナジー05の方がボールがくい込みやすいことを示唆していると考えます。同じ硬度のスポンジを使用していても、ディグニクス64はくい込みやすく、ディグニクス05はくい込みにくいことも示唆します。テナジーを超えるために、ディグニクスシリーズは、くい込みの良さを諦め、ラバー全体を硬くしてスピード性能とスピン性能を高めたラバーといえるでしょう。

ディグニクスとテナジーの違い

 実際にディグニクスとテナジーを比較試打した場合に以下のことが言えると思います。またディグニクス09Cと対応するテナジーが存在しないため、 ディグニクス09Cは何をテナジーと比較するのか難しいです。逆にディグニクス09Cを除くディグニクスとテナジーとの比較では当てはまると思います。

ディグニクスシリーズ
 メリット
 ・テナジーとほぼ同じ重量で、テナジーよりも明らかに回転量もスピードも上回るラバー。
 ・テナジーシリーズよりも相手の回転の影響を受けにくいラバー。
 ・テナジーよりもシートの寿命が長い。

 デメリット
 ・テナジーシリーズよりも扱いが難しい暴れ馬。特にディグニクス05は難しい。
 ・ラケットとの相性がある。
 ・価格もテナジーより高い。
テナジーシリーズ
 メリット
 ・世界標準。世界中の選手が使用するラバーであり、常に比較の対象であった。
 ・ディグニクスシリーズよりも扱いやすい。
  台上から中・後陣、サーブレシーブなど総合的なバランスが取れたラバー。
 ・球持ちをしっかり感じやすく、緩急をつけやすい。
 ・ラケットを選ばず、どんなラケットにあわせても高い性能を示す。

 デメリット
 ・ディグニクスよりも寿命が短い。使っていなくてもシートの劣化が顕著に表れる。
 ・回転性能が高い分、相手の回転の影響もうけやすい。
 ・自分の力をしっかり伝えやすいので、当てるだけのボールは、棒球になりやすい。

 上述がkatsuo000の考えるディグニクスシリーズのメリットとデメリット、テナジーシリーズのメリット・デメリットになります。日本のトップ選手はディグニクスへ移行する選手も多い一方で、海外の契約選手はテナジーを継続する選手も多い印象があります。ヨーロッパの選手はラリー主体でダイナミックな卓球をする選手が多く、その際にくい込みの良さを求めるためだと思います。日本のトップ選手はダイナミックな卓球をしないわけではないですが、身長や体格に恵まれた選手は多くはないので、自然と台から離れると不利になりやすく、カウンターや前陣での強打時におさまるディグニクスを選択する方が多いのだと考察してます。使いこなせるのであれば、ディグニクスは良い選択となるでしょう。

 またディグニクスシリーズには、ディグニクス09Cという、粘着テンションラバーも存在します。ディグニクス09Cはテナジーシリーズにはなかったラバーであり、スピード性能はどうしても低いですが、その分、相手のボールを上書きする性能の高さが高いラバーと言えるでしょう。カウンタードライブや相手の回転を利用する技術は現代卓球において重要な技術であり、カウンタードライブや相手の回転を利用する技術がやりやすいディグニクス09Cは異質な存在でありながら認知度や人気の高いラバーとなっています。シートの粒と粒の間がやや広い形状になっていて、硬度の割には扱いやすくくい込みの良さも感じられるラバーだと思います。スピード性能を補うためにアウターカーボンやブレード厚さの厚いラケットとの組み合わせがオススメになります。

・Dignics 09C(ディグニクス09C)
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 ディグニクス05はテナジー05が進化したラバーであり、テナジー05の高いスピン性能を継承しつつ、ディグニクス系ラバーの中でシートにだけくい込ませるイメージで打球した際に最も球持ちとグリップと高い回転性能が得られるラバーだと思います。扱いも難しく、ディグニクスシリーズの中でも扱いにくさはトップレベルになります。その分、ツッツキやストップは粘着ラバーなみに切れますし、浮きにくく、ドライブはスピードも回転量も極めて高いです。テナジーと比較するとやや直線的になりやすいラバーです。弧線を補うためにアリレートカーボン(ALCやアラミドカーボン、ケプラーカーボンもOK)系のアウターラケットまたはインナーラケット、および最新技術セルロースナノファイバーを採用したラケットと組み合わせることがオススメになります。

・Dignics 05(ディグニクス05)
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 ディグニクス80は、ディグニクスシリーズの中で最も人気のあるテンション系ラバーだと思います。その理由はテナジーを超えるスピード性能と回転性能、およびディグニクス05よりも扱いやすいと3拍子が揃っているためだと思われます。打球感はテナジー80ではなくて、ディグニクス05とテナジー05を足して2で割ったものに近く、球持ちを感じやすいラバーになります。テナジー05をバックサイドに使っていた人には、テナジー05の進化版として、ディグニクス80の使用をオススメします。

・Dignics 80(ディグニクス80)
 https://katsuo000.com/review_dignics_80/

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 ディグニクス64は、ディグニクスシリーズの中で最もスピード性能の高いラバーになります。ディグニクスシリーズの中で最もくい込ませやすく、扱いもしやすいラバーになります。その分、スピン性能やボールの威力は落ちる印象はありますが、高い安定感とスピードで、相手を圧倒できるラバーといえるでしょう。スピード性能は高いですが、ツッツキやストップも思ったよりやりやすいと感じるラバーでした。弧線を補うために木材やインナー系ラケットとの使用をオススメします。

・Dignics 64(ディグニクス64)
 https://katsuo000.com/review_dignics_64/

https://amzn.to/37K9n04

レビュー Reinforce AC(リーンフォースAC)

説明

 Yasaka(ヤサカ)のラケット、Reinforce AC(リーンフォースAC)をレビューさせていただきます。ヤサカといえば、裏ソフトラバーのMark V(マークファイブ)が有名だと思います。katsuo000も6歳のときにラケットを握りましたが、そのラバーにはマークファイブが貼ってありました。そのヤサカさんのラケットのレビューになります。ヤサカの用具といえば、多様な乱発はせず超高性能ではないけれど、トップ選手も満足するものを、お手頃価格の用具が多い印象です。ヤサカのラケットラバーなら、安心して購入できるということも多いと思いますね!ヤサカのラケットといえば、Ma Lin(馬林)シリーズが有名でしょう。特に5枚合板で入門者から中級者以上まで使用できるMa Lin Extra Offensive(馬林エキストラオフェンシブ)と、7枚合板でTリーグ出場トップ選手の神巧也選手愛用Ma Lin Extra Special(馬林エキストラスペシャル)はリーズナブルさも相まって人気だと思います。

 またカーボンの入った馬林シリーズは3種類が販売されていますが、どれもインナー位置にカーボンを配したラケットになっています。Butterfly(バタフライ)さんのインナーフォースシリーズが販売されるよりも前から馬林カーボンは販売されていて、時代を先読みしていたヤサカさんとも言えるのかもしれませんね。ただし、バタフライさんのインナーフォースシリーズが大ヒットしたことも受け、VICTAS(ヴィクタス)さんはFire Fall(ファイヤーフォール)シリーズを、ヤサカさんはReinforce(リーンフォース)シリーズを発売しました。各メーカー、インナーカーボンシリーズを持つようになりましたし、メーカーによってはシリーズ化していなくても、どの位置にカーボンが配しているのか、ネイミングやパンフレットを見るだけでわかるようになってきたように思います。

 今回は、ヤサカのインナーカーボンシリーズの1本、Reinforce AC(リーンフォースAC)のレビューになります。リーンフォースシリーズは4本ラインナップしており、販売価格は同じで、その全てが卓球王国さんによって取り上げられるオススメラケットシリーズになりますね。あまり知名度は高くない印象ですが、今回レビューするリーンフォースACはバタフライの人気モデル、Inner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)を明らかに踏襲しようとしていて、個人的にはかなり期待のラケットでした。他メーカーの売れているものの廉価版を販売する、という戦略は利口だと思います。

引用

 それでは、YASAKAのパンフレットから説明を引用させていただきます。

 様々なカーボンを中芯材のすぐ横に挟み込む事によって、木材のコントロール性能を持ちながらも特殊素材の反発力を加えた。プレーヤーの打球に威力と安定性を与える「リーンフォース」シリーズ。

 高い反発力と柔らかい打球感を持つアラミドカーボンを搭載。安定性を保ちつつも威力のあるボールを打つことが出来る高性能ラケット。

https://www.yasakajp.com/items/reinforce-ac/

アラミドカーボン

 アラミドカーボンとは、Aramid(アラミド)繊維とカーボンを編み込んだ素材のことです。卓球王国さんでは、バタフライさんのアリレートカーボン(ALC)とほぼ同じ扱いをしている素材になります。アラミドとは、ポリアミドのことだと思います。ポリアミドの中には、商品名にもなっているケブラーも含まれるので、アラミド繊維だけでもケブラーなどの種類が存在することになると思います。

 下記はケブラー(Kevlar)の構造式になります。ケブラーは、Dupont(デュポン)社によって開発された世界初のスーパー繊維で、防弾チョッキなどに利用されている繊維になります。

パラ系アラミド繊維ともいわれる材料で、硬さのある繊維になりますね。katsuo000も、卓球王国さんに従い、アラミドカーボンやケブラーカーボンは、ALCと同じカテゴリーとして採用しています。

ブレード情報と比較

 仕様をみれば大体どのようなラケットか、わかる人にはわかると思います。katsuo000が参考にしている「TT BLADES DATABASE」さんを参考にしました。

TT BLADES DATABASE:  https://stervinou.net/ttbdb/index.php

種々のサイトでブレード構成について議論や情報が出ていて、何を参考にするかは難しいところです。個人的な意見として、重要なことは特殊素材の位置と上板(表面板)の素材であり、他は正直違いがあまりわかりません汗。上述のサイトは英語にはなりますが、各木材についても言及してくれているので非常に参考になると思います。

Reinforce AC: Limba (1+7) /Limba (2+6) /AC (3+5) /*** (4)
         6.0 mm、 157 × 150 mm
Harimoto Tomokazu Inner Force ALC: 
         Limba (1+7) /Limba (2+6) /ALC (3+5) /Ayous (4)
         6.0 mm、 158 × 152 mm
Inner Force Layer ALC:
        Limba (1+7) /Limba (2+6) /ALC (3+5) /Ayous (4)
         6.0 mm、 157 × 150 mm
Virtuoso AC:  Limba (1+7) /Limba (2+6) /AC (3+5) /*** (4)
         5.6 mm、 158 × 150 mm

 マイナーなラケットなため、確証がない部分は***にしています。上板にLimbaを2枚というのは、近年のインナーラケットの特徴的な部分だと思いますね。まだ張本智和インナーフォースALCを試打したことありませんが、ほぼほぼ打球感はリーンフォースACとかわらないと想像します。むしろここまでブレード構成が似てくると、個体差である重量の影響や、好みの現れやすいグリップの太さや細さで打球感は変化してくるでしょう。

Reinforce ACの特徴

上板リンバでよくつかむ!安心感のある打球感!

 インナーカーボンラケットはめちゃめちゃ使いやすいですね!すごくボールをつかみます!その分、ボールの球離れも遅い気はしますが、試合でそこまで気にならないと思いますし、この打球感はどんなに苦しいときでも、ボールを持ち回転をかけたりコントロールしたりしやすくしてくれるので、武器になりますね!ヒットするのもよくわかります。回転をかける感覚をしっかり感じられるので、初見で初めて見るようなボールでもしっかり自分の回転にして返球しやすく、ミスのできない場面でも自信をもって強打することができると思います!

6.0 mmのブレード厚さで、ハードヒット時の威力は十分!

 ブレード厚さ6.0 mmは、7枚合板の領域ではないかと思います。やはりハードヒットすると、威力のあるボールが打てますね。これはカーボンありのラケットらしいさがあると思います!個人的にはハードに厚くぶつけるように打ったときと、ラバーのシートだけにくい込ませるように打つ時で、イメージの飛距離が違うことに少し違和感を感じましたが、バタフライのInner Force Layer ZLC(インナーフォースレイヤーZLC)ほどではありませんでした。インナーフォースレイヤーZLCはカーボンもかたいZLCを使っているので、厚くぶつけた時とシートだけで打った時の差が激しいのだと思います。この辺りは使い込めば慣れて違和感はなくなることでしょう。

コスパが素晴らしい!

 実は今回、リーンフォースACは、在庫処分で購入できました!その価格はなんと、5,470円!めちゃめちゃお得に購入できたことも嬉しい一品でしたね!それでいて、現在メインで使用しているヴィルトーソAC(販売価格25,000円越え)と打球感に遜色はありません。じゃっかんですが、リーンフォースACの方が飛距離と弾みが強すぎると感じるだけ、という申し分ない性能でした。グリップ(フレアのみ)や細さなどにこだわらないのであれば非常に優れたラケットでしょう。katsuo000はグリップの太さにはあまりこだわりはなく、近年はフレアを好むので、リーンフォースACサブラケットとして使っています。しっかり重量を選んで購入すればかなりオススメです!

おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

バックラバー

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フォアフリック

バックハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

チキータ

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Virtuoso AC > Reinforce AC > Tornado King Speed

回転のかけやすさ
 Virtuoso AC > Reinforce AC > Tornado King Speed

スピード
 Tornado King Speed > Reinforce AC > Virtuoso AC

飛距離
 Tornado King Speed > Reinforce AC > Virtuoso AC

レビュー Tornado King Speed(トルネードキングスピード)

説明

 Nittaku(ニッタク)のラケット、Tornado King Speed(トルネードキングスピード)をレビューさせていただきます。Nittakuといえば、日本一売れているラバー、Fastarc G-1(ファスタークG-1)と、試合球のスリースターが有名だと思います。

 そのNittakuさんの今回はラケットのレビューになります。Nittakuのラケットといえば、弦楽器シリーズが有名だと思いますが、今回はアウターカーボンで粘着ラバーと相性が良いと想像されるトルネードキングスピードになります。

 トルネード≒ハリケーン≒Hurricane(キョウヒョウ)ということで、要は紅双喜(Double Happiness Shanghai、DHS)のHurricane(キョウヒョウ)ラケットシリーズを意識した仕様になっていると言うことですね。またKing≒王≒Wangということで、Hurricane Wang(キョウヒョウ王)シリーズに類似仕様のラケットだということがわかります。katsuo000はキョウヒョウ王シリーズを試打したことがないのですが、木材合板系のラケットという認識になります。キョウヒョウ王シリーズは、元世界ランキング1位の王励勤(Wang Liqin)選手の使用していたラケットシリーズになりますね!katsuo000が学生時代に世界チャンピオンとして、そしてエゲツないパワードライブで大活躍していたイメージがあります!有名な選手ですので、もちろんWikipedia(ウィキペディア)のページもある選手になりますね!
    https://ja.wikipedia.org/wiki/王励勤
 印象的なパワードライブには、かなり憧れましたし、TT埼玉の坂本竜介監督もそのドライブの凄さについて言及されています。この時代は有機グルー全盛期ですので、5枚合板などの木材合板ラケットを使用する選手が多いですね。ただし、王励勤選手も同時代のMa Lin(馬琳)選手も100 gという重量級のラケットを使っていたらしいです。フィジカルがもの凄いですね汗。また、コロナ禍になってHarimoto Tomokazu Inner Force ALC(張本智和インナーフォースALC)へ変えてしまいましたが、トップ選手の森園政崇(もりぞのまさたか)選手も、コロナ前はDHS製のキョウヒョウ王を使用していました。ちなみにキョウヒョウ王は5枚合板系のラケットになります。

 今回レビューするTornado King Speed(トルネードキングスピード)はNittaku(ニッタク)製のラケットで、ケブラーカーボンをアウターに配したラケットになります。ちなみにインナーにアラミドカーボンを配するとTornado King Power(トルネードキングパワー)になります。Nittakuのパンフレットを拝見すると、ブレード厚は5.7 mmでアウターアラミドカーボンということで、Butterfly(バタフライ)さんのZhang Jike ALC(張継科ALC)とほぼ同じラケットではないかな、と想像して購入しました。ただし、張継科ALCはブレード厚は5.8 mmでトルネードキングスピードの方が0.1 mm薄いというのも認識しての購入です。katsuo000は薄いラケットの方がしなって好きなので、0.1 mmでも薄いなら欲しいな~と思ってしまいました。Nittakuでは他にもFlyatt Carbon Pro(フライアットカーボンプロ)が、バタフライのViscaria(ビスカリア)と類似のアウターケブラーカーボンかつブレード厚さが6.0 mm以下のラケットとして販売されています。しかもその価格は、8,800円+税で、割引込みで7,000円以下で購入可能という非常に良心的なラケットでもあります。こちらのラケットもkatsuo000は注目してたりしますね汗。普段から張継科ALCを使用しているので、全く一緒なのか、それとも異なるのか、異なるならどのように異なるのか、レビューさせていただきます。

引用

 それでは、Nittakuのパンフレットから説明を引用させていただきます。

高いスピード性能と安定性を備えたトップ仕様!
 表面板を厚くし、球持ちの良さと硬すぎない打球感を実現することでスピードドライブの回転量がパワーアップ!高反発でマイルドな打球感のケブラー®カーボンをアウターに搭載し、さらにスピード性能を高めています。

Nittakuのホームページより https://www.nittaku.com/products/rackets/post-25

アウターカーボンということで、球持ち+スピード性能が特徴ということでしょう。それ以外はやはり試打しないと何ともいえないですね。

ケブラー®カーボン

 Nittakuさんは種々のカーボン素材を扱っています。その中でも、ケブラー®カーボンはハードで弾むカーボン素材として紹介されていますね。

Nittakuの特殊素材性能一覧: https://www.nittaku.com/wp-content/uploads/2021/02/014e81e041795bf66270a13699eb8bb7.pdf

 ちなみにケブラー(Kevlar)とは、Dupont(デュポン)社によって開発された世界初のスーパー繊維で、防弾チョッキなどに利用されている繊維になります。

パラ系アラミド繊維ともいわれる材料で、硬さのある繊維になりますね。化学構造の観点から申し上げると、アリールカーボン(ALC)よりもケブラー®カーボンの方が、水素結合の影響によって硬くなると思います。卓球王国さんでは、どちらも同じ扱いをしますが、細かく考えるとNittakuさんの表記のようにケブラー®カーボンの方が硬くなると思います。ドイツのメーカーでもKVLカーボン≒ケブラーカーボンを使用しているラケットが複数あり、基本的にはALCとケブラー®カーボンは似ているで良いとは思いますが、化学構造としては異なりますね。katsuo000は、卓球王国さんに従い、同じカテゴリーとして採用しています。

ブレード情報と比較

 仕様をみれば大体どのようなラケットか、わかる人にはわかると思います。katsuo000が参考にしている「TT BLADES DATABASE」さんを参考にしました。

TT BLADES DATABASE:  https://stervinou.net/ttbdb/index.php

種々のサイトでブレード構成について議論や情報が出ていて、何を参考にするかは難しいところです。個人的な意見として、重要なことは特殊素材の位置と上板(表面板)の素材であり、他は正直違いがあまりわかりません汗。上述のサイトは英語にはなりますが、各木材についても言及してくれているので非常に参考になると思います。

 Tornado King Speed: Limba (1+7) /KVC (2+6) /Ayous (3+5) /Kiri (4)、 5.7 mm
 Zhang Jike ALC:    Koto (1+7) /ALC (2+6) /Limba (3+5) /Kiri (4)、  5.8 mm
 Viscaria:       Koto (1+7) /ALC (2+6) /Limba (3+5) /Kiri (4)、  5.8 mm
 Marcos Freitas ALC:  Limba (1+7) /ALC (2+6) /Limba (3+5) /Kiri (4)、 6.0 mm

ということで、参考にさせていただいている「TT BLADES DATABASE」によるとトルネードキングスピードはなんと上板にリンバを採用しているっぽいんですよね!バタフライさんのラケットで上板にリンバを使用しているラケットは、Marcos Freitas ALC(フレイタスALC)(または旧Maze(メイス))とMizutani Jun ZLC(水谷隼ZLC)になると思います。katsuo000はリンバの打球感は大好きである一方、威力不足を感じて上板にコト材を使用する張継科モデルのラケットを使おうとしてきました。(最近は球持ちを求めてインナーカーボンを好んで使っていますが。「TT BLADES DATABASE」の情報からもわかるようにインナーカーボンラケットは上板にリンバを使っているものが多いですね。)
 木材らしい打球感や球持ちを求めると上板リンバの打球感は非常におすすめです。木材合板から、いきなりTimo Boll ALC(ティモボルALC)やViscaria(ビスカリア)などの王道アウターカーボンはやはり打球感が硬いので難しいと思います。バタフライさんのラケットならフレイタスALCが良いと思いますね。ただし、ブレード厚さが6.0 mmと他のALCアウターラケットよりも0.2 mm厚いんですよね。トルネードキングスピードは、5.7 mmとむしろ薄いので、弾みやスピード面で少し大人しくなると思いますが、木材合板ラケットからの移行であれば、トルネードキングスピードは非常に良い選択肢となる可能性があると思いました。

Tornado King Speedの特徴

これは上板リンバ!アウターカーボンでよくつかむ!

 インナーカーボンと一緒に使ってみたのですが、「これは上板リンバだ!」と確信しました。インナーカーボンラケットと比較して打球感の違和感がほぼなかったですね。そして、インナーカーボンの後に打った時に楽と感じたので、弾みとスピードは明らかにトルネードキングスピードの方があると感じました。つまり、情報どおりということですね。バタフライのラケットにはないラケットで、非常に良い選択肢になると感じました。このトルネードキングスピードならアウターカーボンラケットでも球持ちを感じやすく、かつ、ブレード厚さが薄いのでしなっておさまりも良くて非常にオススメのラケットだと感じました!

5.7 mmのブレード厚さで、よくしなりよくおさまる!

 アウターカーボンだとレシーブが浮きやすかったり、思い切り打った時にオーバーミスということがあると思うのですが、このトルネードキングスピードは5.7 mmと他の類似の合板構成のラケット(だいたい5.8 ~ 6.0 mm)と比較して薄く設計されているので、しなっておさまりが良かったです!これは素晴らしいですね!一発で好きになりそうでした!ただし、腕にもよると思いますが、弾むスピン系テンションをあわせたときに、少しボールが軽くなりそうだな、と感じました。グリップ力のあるラバー、または粘着ラバーなどとあわせると、ラケットの弾みが補うので非常に相性が良いと思います!

木材合板やインナーカーボンから移行しやすい!

 木材合板やインナーカーボンを使っていてさらにスピード性能を求めるのであれば、トルネードキングスピードは、スムーズに移行しやすく良い選択肢になるでしょう!katsuo000はReinforce AC(リーンフォースAC)でも弾むと感じるくらいでしたので、アウターカーボンで探すなら、トルネードキングスピードよりももっとブレードの薄いAcoustic Carbon(アコースティックカーボン)の方が良いかなーなどと思いました(試打したことないので、わかりませんが、性能的にはアコースティックカーボンだと思い、書かせていただいてます。今後試打してみたいと思ってます)。インナーカーボンからさらにスピードと飛距離を求めるならぜひトルネードキングスピードがおすすめです!

おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

バックラバー

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フォアフリック

バックハンド系

軽打

ロングボールやラリーでのドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

カーブ/シュートドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

チキータ

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Zhang Jike ZLC > Tornado King Speed > Mizutani Jun ZLC

回転のかけやすさ
 Reinforce AC > Tornado King Speed > Zhang Jike ALC

スピード
 Zhang Jike ALC > Tornado King Speed > Reinforce AC

飛距離
 Zhang Jike ALC > Tornado King Speed > Reinforce AC

レビュー Target Pro XD-52.5(ターゲットプロXD-52.5)

説明

  本ページでレビューするラバーはフランスの卓球メーカーcornilleau(コニヨール)のラバーで、2020年秋に販売の、ターゲットプロのシリーズの最新ラバーになります。日本ではjuic(ジュウイック)が販売代理店をしていますね。日本ではあまり存在感のあるメーカーではないですが、コニヨールのラケットラバーは決して悪いわけではありません。コニヨールは1946年に会社設立と歴史のあるメーカーで、2009年から元世界チャンピオン、Jean-Philippe Gatien(ジャン-フィリップ ガシアン、フランス)のもとで競技用のラバーとラケット開発を開始しました。現在では違うメーカーと契約していますが、世界ランキング上位のファンタジスタSimon Gauzy(シモン・ゴーズィー、フランス)選手や最速の両ハンドHugo Calderano(ユーゴ・カルデラノ、ブラジル)選手は過去にコニヨールの用具を使用していたそうです。例えば、コニヨールの9枚合板Gatien Conquest(ガシアンコンクエスト、板厚6.0 mm、97 ± 5 g)や今回レビューするTarget Pro(ターゲットプロ) シリーズのラバーなどがあげられるそうです。また過去に日本リーグ所属の実業団チームがコニヨールのラケットやラバーに好感触を得たという記事を卓球王国で見た記憶があります。卓球ナビにおいてもモンスターラバーTenergy(テナジー)と比較、超えたというレビューも散見され、非常に期待の高いラバーだと思います。
 なお、このTarget Proシリーズは、レストランの格付けで有名なタイヤメーカー、Michelin(ミシュラン)の技術で製造されているそうです。

 ターゲットプロシリーズは、過去にTarget Pro GT-X51(ターゲットプロGT-X51)とTarget Pro GT-H47(ターゲットプロGT-H47)をレビューさせていただきました。この2枚は非常に打球感が良くて、硬度の割にくい込みが良さと扱いやすさを感じたラバーになります。ただし回転量がやや不足気味で、ターゲットプロGT-H47ではテナジー05より劣る、ターゲットプロGT-X51では回転量は高いが扱いにくいと感じた次第です。扱いやすさと打球感の良さは抜群に良いのと、スポンジの色が硬度で異なるのが触っていて楽しいラバーでした。

Target Pro GT-X51:
  https://katsuo000.com/review_targetpro_gt_x51/
Target Pro GT-H47:
  https://katsuo000.com/review_targetpro_gt_h47/

 やはり初期の頃のポストテナジーラバーは、回転量を高くするためにテナジーよりもシートが厚くすることで、回転量を得るか、逆に回転量を諦めて打球感を追求するか、という設計になっているように思いますね。近年の進化型ポストテナジーラバーは、シートを薄くできる技術(おそらくくい込みの良い新スポンジ)を組み合わせることで、回転量と打球感を損なうことなく高性能なラバーとなっているようですね!逆にドイツ製ラバーに見られた癖球(ボールの回転量が揃いにくい)といったことが減ってきているようにも思います。
 今回のTarget Pro XD-52.5(ターゲットプロXD-52.5)も、近年登場しているポストテナジー系テンションラバーまたは進化型テナジー系テンションラバーにカテゴリーされるラバーだと思います。katsuo000の中で同じポストテナジー系テンション、または進化型テナジー系テンションに分類しているRasanter R53(ラザンターR53)やRasanter R48(ラザンターR48)についても、薄いシートを採用できるように技術が進んだそうです。近年の新作ラバーは薄いシート採用のラバーが続々登場してきていると思いますね!

 シートの形状と性能の関係はこちら: https://katsuo000.com/topsheet_shape/

公表性能値

 cornilleau(コニヨール)さんの公表性能値を示します。

 Target Pro XD-52.5(ターゲットプロXD-52.5)はcornilleauのラバーの中で最もスピン性能もスピード性能も高いスピン系テンションラバーということがよく分かります。また性能や使いやすさとある程度の相関を示す、硬度計による硬度比較を下記に示します。

 やはりターゲットプロXD-52.5は、やや重くて、しかしshore aのシート側値とスポンジ側値の差が、テナジー05と同様に大きいラバーになりました。近年の高品質なヨーロッパ製のラバーは重いですが初期のポストテナジーラバーよりも明らかにshore aの値差が大きくなっていますね!バタフライさんのラバーと比較すると、バタフライさんのラバーの軽さが際立ちつつも、重いことによるメリットが得られるといえるのが、近年の高品質ヨーロッパ製ラバーと言えそうです。やはりどちらかといえば、ディグニクスよりもテナジーに近いラバーといえるでしょうね。

ターゲットプロXD-52.5の重量と貼り

Target Pro GT-X51と同じクリーム色のスポンジでした。

 ターゲットプロXD-52.5は54 gでした。ラバー全体で73 gということで、重いと思いましたが、やはり重いですね汗。今回もVirtuoso AC(ヴィルトーソAC)に貼ってます。ブレード面積は158 × 150 mmで、バタフライのレギュラーサイズ(157 × 150 mm)と比較すると少し広いので、実際は53 g位にもなりうると思います。

Target Pro XD-52.5(ターゲットプロXD-52.5)
 Spin Tension 裏ラバー
・スポンジ厚:厚(2.0 mm)、極厚(Max)
・スピン:17.5
・スピード:17.0
・Sponge硬度:H(52.5)
・8,100円 + 税
・73 g(切断前) → 54 g(Vistuoso AC(ヴィルトーソAC)、ややブレード面積大に貼って)

Target Pro XD-52.5の3つの特徴

 今回もインナーカーボンです。やはり扱いやすいと感じました。アウターカーボンに貼っていたらまたイメージは異なったかもしれませんが、ご了承お願い申し上げます。

抜群のスピード性能とスピン性能!

 正直、そこまで期待していなかったのですが、重量は重いですが抜群のスピード性能とスピン性能でした。インナーカーボンラケットに貼っていることもあると思いますが、技術的にやや劣るバックハンドでのドライブのスピードと安定感が非常に高くて好印象でした。打球感覚的には、そこまで球持ちが良いわけではなく飛び出しも早いので、シート形状としては80っぽいかなと思いました。球持ちの強さよりもスピードも出せるシートだと思います。初打ちでは、「扱いやすいけど、回転量や威力はやや不満を感じるかな?」と思って使っていましたが、対下回転ドライブをしてみたところ、回転性能が高く、ブロック側がドライブをふかしてくれて、「扱いやすいのに、めちゃめちゃ回転かかる!」と非常に性能の高さを堪能できました!

 DNA Platinum XH(STIGA): 05っぽい
 Rasanter R53(andro): 80っぽい
 Evolution MX-D(TIBHAR): 64っぽい
 Taerget Pro XD-52.5(cornilleau): 80っぽい New

R53も80っぽいと思いましたが、扱いやすさの点で、ターゲットプロXD52.5が上回ってました。逆に荒ら荒らしさや相手が感じるプレッシャーはR53の方が上だと思います。

 また余談ですが、中間硬度や扱いやすさと性能を求めたラバーだと差別化が難しいこともありますが、 最新のハイエンドラバーで、各社のフラグシップ的なラバーですので、短い試打でもしっかり差別化されていると感じましたね。個性を求めると、R53やMX-Dが、扱いやすさと高い回転性能を求めるならDNAプラXHかターゲットプロXD-52.5だと感じました。

52.5を感じさせない、扱いやすさ!

 やはり、やや重いという点で操作しにくいと初めは感じはしたものの想像以上に扱いやすいと感じました。過去アウターカーボンのLin Goyuan ALC(林高遠ALC)にTenergy 80 FX(テナジー80FX)を貼ってバックで連打してみましたが、スピードと回転量は得られるものの、あまり安定しませんでした。一方インナーカーボンで扱いやすいということもありますが、今回のTarget Pro XD-52.5で打ってみるととにかくめちゃめちゃ安定していて驚きましたね。スピードも回転も自在性が高く気持ちよかったです。スピード性能が高く、初めはオーバーするかなと心配になりましたが、感覚よりもしっかり弧線を描いて沈む感じがありました。たとえば、テナジー系ラバーだと回転はかかるものの、硬さのためにスピードが出しづらかったり、弾くとスピードは出るものの回転がかからず安定しない、などなど操作性がそこまで高くないと林高遠ALCのときに感じたのと対称的と感じました。バックラバーとして新しい選択肢になりそうだと感じましたね!
 ブロックでは、くい込みの良さから相手の回転影響を受けやすいかなとも思いましたが、そんなことはなかったです。おそらく重量のおかげだと思いますね。くい込む割に重いので非常に安定していました。重ささえ気にしなければテナジーよりも良い選択肢になりそうなラバーだと感じました!

ヘビーで回転性能の高いテナジー80

 簡単にまとめると、重くて回転性能の高いテナジー80がちょうどあてはまると感じました。性能としては高性能で、Dignics 80(ディグニクス80)の硬さが使いにくいと感じるなら、ターゲットプロXD-52.5の方があうかもしれません。重さがあるので、フォア向きですが、ラバー面積やはり方などを工夫することで、バックにも十分に使えるラバーです!

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ラリーでのドライブ

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ

対下回転に対するスピードドライブ

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ

フリック

サービス

バックハンド系

軽打
 特に違和感なかったです。

ラリーでのドライブ
 この前に、Evolution MX-D(エヴォリューションMX-D)とDNA Platinum XH(DNAプラチナXH)を試打していて、正直その2枚と同等かそれ以上に良いと感じました。特にバックハンドドライブがしっかりかかるし、安定するし、スピードも出しやすいし、非常に良かったです。どちらかというとスピードが出しやすい打球感で、ボールを持つ打球感だけでいうとDNAプラチナXHの方が断然良かったのですが、ターゲットプロXD52.5は打球感からは想像できないくらい、回転がかかっていて驚きました。それでいてスピードも出しやすくてかなりチートでした。くい込みが良くバックでも十分に使えると感じました。

対下回転に対するループドライブ
 特に良かったのがこれで、下回転打ちがかなり楽にできました。DNAプラチナXHは、球持ちは良くてボールが沈むのですが、手だけだとボールが軽くなるイメージがありました。XD52.5は簡単に持ち上がるのに回転量もあって不思議でした。スポンジのくい込みの良さはDNAプラチナXHとターゲットプロXD52.5と大した差は感じませんでしたが、粒はXD52.5の方が細くて倒れやすいのだと思います。にもかかわらず回転量もでてかなりチート感ありました。

対下回転に対するスピードドライブ
 スピードドライブも打ちやすかったです。いいです!

ブロック
 少しくい込みが良すぎて相手の回転の影響は受けやすかったです。

カウンタードライブ

ストップ
 くい込みがいい分少し飛ぶ出すと感じました。

ツッツキ
 くい込みがいい分少し飛ぶ出すと感じました。

チキータ

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量

スピード

扱いやすさ

進化型テナジー系テンション内での比較
 回転量
  Dignics 05 ≧ Q5 ≧ DNA Platinum XH ≧ Rasanter R53 > Rasanter R48 ≧ Evolution MX-D

 スピード
   Dignics 05 ≧ Evolution MX-D > Rasanter R53 ≧ Q5 ≧ Rasanter R48 > DNA Platinum XH

レビュー Evolution MX-D(エヴォリューションMX-D)

説明

 TIBHAR(ティバー)さんの2021年注目の商品、Evolution MX-D(エヴォリューションMX-D)をレビューさせていただきます。TIBHAR(ティバー)といえば、ついに引退を発表したベラルーシの巨人Vladimir Samsonov(ブラディミル サムソノフ)選手が契約するドイツメーカーですね!あと最近では、元オランダ代表、キング水谷隼選手のプライベートコーチも経験、そしてYou Tubeでティバーを売り込んで存在感が増しているG.C. Foerster(フォースター)さんや、ルーマニアの美人選手Bernadette Szocs(スッチ)選手が有名でしょうか。東京オリンピックで張本智和選手をフルセットで粘り勝って存在感を際立たせたスロベニアのDarko Jorgic(ヨルジッチ)選手もティバーの契約選手ですね!ヨルジッチ選手は卓球の動画配信サービスやアプリを運営するshake hands(シェークハンズ)で度々登場していました。元青森山田のコーチの板垣孝司さんの指導を受けながら張本選手を苦しめたバックハンドで度々登場していたのが印象的でした。
 そんなティバーさんのラバーになりますね。ティバーさんのラバーの特徴をkatsuo000が表現させていただくなら、コスパが良くて球持ちも良くて打球感と打球音が非常に気持ちのいいラバー、になります。回転性能がやや低いというデメリットはありつつ、全体的に打球感が良くて硬度の割にボールコントロールがしやすく、卓球が楽しくなるようなラバーが多いイメージですね。ハイエンドラバーとしてサムソノフ選手を中心に使用されるラバーがトップ選手用としているEvolution(エヴォリューション)シリーズになります。Evolution(エヴォリューション)シリーズは硬度が3種類、シートが2種類と、MX-Pのみさらに硬い50°の、計7種類のラバーが販売されていました。硬度の種類3種とは、MX(マキシマム=約47.5°)、EL(エラスティック=約43°)、FX(フレキシブル=約40°)になります。そしてシートの種類2種とは、P(パワー)とS(スピン、微々粘着シート)になります。そして8種類目のラバーとして登場したのが、本ページでレビューするEvolution MX-D(エヴォリューションMX-D)、MX-D=マキシマムダイナミックになります。このMX-Dについて、ティバーさんのホームページでは次のように説明しています。

【MX-PとMX-Sの融合】

 世界で絶大な人気を誇るエボリューションの新作がいよいよ登場。威力と安定感を兼ね備えたMX-Pの使いやすさをそのままに、MX-Sの回転力が融合。トッププロも絶賛の超ハイブリッドラバーが2021年春にデビューです。

http://www.tibhar.jp/rubber.htm

 過去にkatsuo000は複数のティバーさんのラバーを試打してきました。この中でも特筆すべきと考えるのがEvolution MX-P(エヴォリューションMX-P)になります。なぜMX-Pを特筆すべきというかというと、あの世界標準、Tenergy 05(テナジー05)と打球感が似ているからになりますね!テナジーシリーズがどうしても高くて寿命も短くて嫌だとなった場合に、Evolution MX-Pは非常に良い選択肢の一つでした。今回登場のMX-Dは最新ハイエンドラバーということで、今までのEvolution(エヴォリューション)シリーズの6,000円+税よりも500円高い、6,500円+税という値段になります。かなりの自信作ということと、近年テナジーを超えるポストテナジーラバー(androのRasanter R53(ラザンターR53)など)が次々とドイツから発売されているので、やはりMX-Dにもかなりの期待を感じました。

 テナジーシリーズはバタフライの独自工場でしか生産できず、他の競合卓球メーカーと差別化されたラバーになります。他の競合卓球メーカーは、ラバー製造を基本的には外注しているのに対し、バタフライは、卓球メーカーであるにもかかわらず、ラバー製造工場を保有し、独自技術を開発してスポンジ製造し差別化を図っているわけですね!もちろん、そのような状況を覆すために外注されるラバー製造メーカーも技術開発を進めてきたと思います。回転性能が高いテナジーシリーズに対抗するために、初期のポストテナジーラバーは、シートを厚くして回転性能を補ってきたように思います。

 シートの形状と性能の関係はこちら: https://katsuo000.com/topsheet_shape/

初期のポストテナジーラバーとして挙げるとしたら、例えばFastarc G-1(ファスタークG-1)やRakza X(ラクザX)、Evolution MX-P(エヴォリューションMX-P)などだと思います。MX-Pは特にテナジー05に打球感が似ているために人気のラバーであったと思います。G-1と比べるとシートは薄いのか、G-1よりもテナジー05に近い打球感だと思います。またテナジーシリーズのオレンジスポンジを意識して、スポンジも赤色です。それくらい、性能ではなく打球感を追求して開発されたのが、MX-Pではないでしょうか。

 今回のMX-Dは、katsuo000の中ではポストテナジー系テンションラバーまたは進化型テナジー系テンションラバーにカテゴリーされるラバーだと思って購入、試打しました。どうやら初期のころのポストテナジー系ラバーのような厚いシートを採用するのではなく、薄いシートを採用しているようですね!katsuo000の中で同じポストテナジー系テンション、または進化型テナジー系テンションに分類しているRasanter R53(ラザンターR53)やRasanter R48(ラザンターR48)についても、薄いシートを採用できるように技術が進んだそうです。STIGA(スティガ)さんの新作DNAプラチナシリーズも類似の技術が採用されていると感じました。MX-Dもれいに漏れず類似技術の結果ではないかと想像しますね。ドイツ工場の技術が進んだ結果、今後も高性能なラバーがドイツ工場からどんどん販売されるのではないかと想像しています。これは用具レビュワーとして、楽しみなことですね!

 本ページでレビューするEvolution MX-Dは、Evolutionシリーズの中で、最も硬度の硬いラバーになります。卓球の用具スペシャリスト、ゆうさんも「Dがいい!」と絶賛していました!ドイツ基準で51.5°の硬いラバーではありますが、激推しするということは、テナジーのように硬度の割にくい込みが良くて扱いやすいラバーだと想像できますね。それではレビューしていきましょう!

公表性能値

 TIBHAR(ティバー)さんの公表性能値を示します。

 Evolution MX-DはTIBHARのラバーの中でも最もスピン性能もスピード性能も高いスピン系テンションラバーということがよく分かります!また扱いやすさと、ある程度の相関を示す、硬度計による硬度比較を下記に示します。

 バタフライさんのラバーと比較すると、MX-Dはテナジーよりもディグニクスに近いラバーではないかと思います。というのは、shore aのシートとスポンジ側からの硬度差がディグニクスと同じく小さいラバーになるからですね。硬度差が小さいラバーはドイツ製テンションラバーに多い傾向で、MX-Dは最新の技術を使いながら、今まで通りドイツ製テンションらしく仕上げたラバーといえるのかもしれません。意外だったのが、Evolution MX-P 50°やQuantum X Proよりも硬度差が大きいことですね!思ったより扱いやすいラバーかもしれません。

エヴォリューションMX-Dの重量と貼り

 エヴォリューションMX-Dは53 gでした。想定していましたが、やはり重いですね汗。

Evolution MX-D(エヴォリューションMX-D)
 Spin Tension(ハイテンション)裏ラバー
・スポンジ厚:1.9 mm、2.1 mm
・スピン:125
・スピード:135
・Sponge硬度:51.5
・6,500円 + 税
・76 g(切断前) → 53 g(Vistuoso AC(ヴィルトーソAC)、ややブレード面積大に貼って)

Evolution MX-Dの3つの特徴

 今回もインナーカーボンです。やはり扱いやすいと感じました。アウターカーボンに貼っていたらまたイメージは異なったかもしれませんが、ご了承お願い申し上げます。

打球音が高く、球離れが速い!そして疾走感が強い!

 卓球ショップ据え付けの小さな場所での試打だったためか、かなりボールに疾走感を感じました。まるでアウターカーボンで打っているようなスピード感で気持ちよかったです。打球音が非常に高いので、使っていて楽しいというのもありました!弧線は低めで、スピード感がありながら、しっかり沈んでいたので直線的ですが思ったより安定すると思います。
 また球離れの速さを感じましたね。くい込みが良いのですが、かなり球離れが速いと感じたので、これはおそらくはシートの厚さまたは粒形状によるものだと思います。シートの厚さがそこまで厚くないなら粒が細くて粒と粒の間隔が広いのでしょう。この辺りは数値がないと判断が難しいです。そして、好みがわかれる部分だと思います!イメージとして、バタフライのTenergy 80(テナジー80)っぽいと感じたRasanter R53(ラザンターR53)よりも球離れが速いようにも感じたので、イメージとしてはFastarc G-1(ファスタークG-1)やDigncs 05(ディグニクス05)のようにシートがかなりしっかりしているか、64系のシートに近いのか、の2択だと思います。DNA Platinum XH(ディーエヌエープラチナエキストラハード)はかなりグリップすると感じ、スポンジの食い込みのよさ、シートの厚さや粒形状は05っぽいと感じました。それぞれのすみ分けができているようにも感じました。つまり
 DNA Platinum XH(STIGA): 05っぽい
 Rasanter R53(andro): 80っぽい
 Evolution MX-D(TIBHAR): 一昔前のドイツ製テンションやディグ05のようにシートが硬くて厚い、または80よりの64っぽい粒形状
ということです。近い硬度のラバーですが、それぞれの特徴が出てきていると感じました!

 MX-Sの回転性能とMX-Pの扱いやすさ、とうたわれていましたが、個人的にはドイツ製の最新ハイエンドラバーの中でも、しっかりしたシートまたはドイツ製64っぽいラバーというポジションで差別化されるラバーだと感じました。 スピン性能はやや大人しさを感じましたが、R53以上にスピード性能の高さを感じましたね。 流行りのインナーカーボンや木材系ラバーのスピードを補うような選択ができると思います。

51.5°を感じさせない、くい込みの良さ!

 球離れの速さを感じつつ、くい込みは想像以上に良くて扱えないようなラバーではありませんでした。51.5°となると粘着ラバーなみの硬さのように思いますが、決してそういうラバーではなく、スポンジのくい込みの良い扱いやすいラバーだと思います。球離れが速いので、人によってはバック側でも使うという人が出てきそうだと感じました。

 MX-PとMX-Sの融合と謳われているように、バタフライのラバーで例えると、テナジーとディグニクスの融合のようなラバーに仕上がっていると思います!スポンジはテナジーらしさが増しつつ、シート強度をあげているため、やや扱いにくいですが、その分カウンタードライブがやりやすく、しっかり使いこなせば今まで以上の回転も得られるラバーだと思います。使い込む事で扱いやすくなった、とするようなレビューも拝見します。おそらく、シートが厚いか硬めに仕上げてあり、テナジー05、またはMX-Pとの差別化も狙っていると想像します。この硬いシートへ如何にくい込ませる感覚が習得できるか、で扱えるか否かが決まる印象ですね。粒形状は倒れやすい細めの粒とやや粒間隔も広いので、バタフライの粒形状でいうところの80や64よりでデザインされており、スピード性能を補っていると思われます。総じて、昨今ドイツ製の進化型テナジー系ラバーの中でも、しっかりとした差別化が図られているラバーといえるでしょう。前述のとおり、64ぽさのあるラバーではありますが、回転性能はテナジー05と同等であり、シートが強いのでカウンタードライブもしやすく、粘着ラバーの回転性能に対し、カウンター+スピードで対抗できるようなラバーだと思います。フランスのシモン・ゴーズィ選手がラザンターR53で大暴れしているように、例えば日本人キラーのような選手であるティバー契約の、イギリスのPaul Drinkcall(ドリンコール)選手(大島祐哉選手や最近だと及川瑞基選手に勝利)やスロベニアのヨルジッチ選手(張本智和選手に勝利)がMX-Dを使用して大暴れすることもありえるんじゃないかな、と想像しました。

回転性能も高い!

 MX-Pはややボールが軽いと言われることもありましたが、MX-Dはそんなことはなく、むしろ弧線を描きたいと思ったときにしっかり弧線を描いてくれました。またツッツキもやりやすく、MX-Sの特徴であるツッツキのやりやすさと質の高さも継承されていると感じました。少なくとも今までスピン性能で不満を感じやすかったティバーさんのスピン系テンションラバーの中で、抜群の回転性能の高さを感じましたね!打球感がとにかくいいので、楽しい(あまり細かい角度やスイングを意識しなくても、ラバーが修正してくれる)中にしっかり回転性能が高まっていて良かったです。このあたりがティバーさんのラバーらしいと感じました。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ラリーでのドライブ
 かなりスピードが出るのと、音がいいですね!気持ちが良いです。

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ
 あまり回転量を感じませんでした。

対下回転に対するスピードドライブ
 くい込みが良いのでスピードドライブは気持ちがいいですね!

ブロック
 思ったよりやりやすかったです。くい込むけど、重さと硬さでキャンセルしているイメージですね。

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ
 ボールはグリップしつつ、飛ばせると感じました。少なくともRasanter V47(ラザンターV47)のようにぶっ飛ぶ感じはあまりなかったと思います。

フリック

サービス
 少し回転量は少ないのと柔らかすぎると感じました。

バックハンド系

軽打

ラリーでのドライブ
 球離れがやや早めですので、少し技術を要する気がしました。ただし、51.5°のわりには扱いやすくて驚きでしたね。ボールが速くて気持ちよく打つならMX-Dはありです!

対下回転に対するループドライブ
 入りはするものの、やや回転量不足を感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 これはやりやすかったです。

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ
 思ったより全然ぶっ飛ばなく好感触でした。かなり攻撃的にツッツキができてよかったです。

チキータ

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 80 > Evolution MX-D > Tenergy 05

スピード
  Dignics 64 > Evolution MX-D ≧ Dignics 05

扱いやすさ
 Rasanter R48 > Evolution MX-D> Rasanter R53

進化型テナジー系テンション内での比較
 回転量
  Dignics 05 > Q5 ≧ DNA Platinum XH ≧ Rasanter R53 ≧ Evolution MX-D ≧ Tenergy 05

 スピード
   Dignics 05 ≧ Evolution MX-D > Rasanter R53 ≧ Q5 > DNA Platinum XH > Tenergy 05

レビュー DNA Platinum XH(ディーエヌエープラチナエクストラハード)

説明

 STIGA(スティガ)さんの2021年注目の商品、DNA Platinum XH(ディーエヌエープラチナエクストラハード)をレビューさせていただきます。STIGAといえば、卓人にとっては木材系ラケットの老舗(しにせ)というイメージが強いのではないでしょうか。katsuo000はSTIGA≒木材系ラケットのイメージがかなり強いですね。そして、中国ナショナルチームと契約しているイメージですね。そんなSTIGAさんが2021年夏、新ラバーを発売しました!その名もDNA Platinum(ディーエヌエープラチナ)シリーズになりますね!既にDNA Pro(ディーエヌエープロ)シリーズが販売されていました。STIGAは日本製のラバーにこだわっていましたが、DNA Proシリーズからドイツ製のラバーとなりました。Made In ドイツというと、VICTAS(ヴィクタス)さんやYASAKA(ヤサカ)さんのハイエンドラバーはほぼほぼドイツ製ですね。ドイツ製ラバーはButterfly(バタフライ)のテナジーシリーズの次にトップ選手が使っていることが多く、STIGAのDNA Proシリーズもドイツ製ということで注目を集めていました!非常に短い期間ですが、DNA Pro H(ディーエヌエー プロ エイチ)は使用したことがあり、イメージとしてはかなりNittaku(ニッタク)さんのFastarc G-1(ファスタークG-1)に似ていると感じましたね。そのころはまだG-1を使ったことがなく、色々試打後に改めてDNAプロHについてもレビューを書きたいと思っておりました。結局新しいラバーが先に出てしまいました汗。こんなことにならないように今後もAs Soon As Possible(ASAP)で最新ラバーはレビューしたいものですね。
 今回登場のDNAプラチナシリーズは、ハイエンドラバーということで、なんと8,000円+税という強気の価格設定でした。これは近年テナジーを超えるポストテナジーラバー(androのRasanter R53(ラザンターR53)など)が次々と登場しているドイツ製ラバーの技術が、このDNAプラチナシリーズにも適用されているだろうと感じました。これは期待ですね~!

 世界標準Tenergy 05(テナジー05)は、発売から10年以上経過した2021年現在もワールドスタンダードの名前をほしいままにしています。テナジー05は卓球のことを考えるにあたり、なしでは語れない存在となってしまいました。このテナジーシリーズの特徴を2021年現在改めてkatsuo000なりに考えると次のようになると思います。

テナジーシリーズの特徴
・高い回転性能
・高いスピード性能
・軽い

 テナジーシリーズはButterflyの独自工場でしか生産できず、他の競合卓球メーカーと差別化されたラバーになります。他の競合卓球メーカーは、ラバー製造を基本的には外注しているのに対し、Butterflyは、卓球メーカーであるにもかかわらず、スポンジ製造工場を保有し差別化を図っているわけですね!もちろん、そのような状況を覆すために外注されるラバー製造メーカーも技術開発を進めてきたと思います。回転性能が高いテナジーシリーズに対抗するために、初期のポストテナジーラバーは、シートを厚くして回転性能を補ってきたように思います。

 シートの形状と性能の関係はこちら: https://katsuo000.com/topsheet_shape/

初期のポストテナジーラバーは、例えばFastarc G-1(ファスタークG-1)やRakza X(ラクザX)、Evolution MX-P(エヴォリューションMX-P)などだと思います。例えばファスタークG-1は確かにスピン性能は高く、グリップ力もありますが、テナジー05と比べる重かったり、ボールをくい込ませるためにより強いインパクトが必要になってくると思いますね。この要因の一つとして、シートが厚いからだといえるでしょう。

 今回のDNAプラチナシリーズは、katsuo000の中ではポストテナジー系テンションラバーまたは進化型テナジー系テンションラバーにカテゴリーされるラバーだと思います。上記のように初期のころのポストテナジー系ラバーのように厚いシートを採用するのではなく、なんと薄いシートを採用しているのですね!katsuo000の中で同じポストテナジー系テンション、または進化型テナジー系テンションに分類しているRasanter R53(ラザンターR53)やRasanter R48(ラザンターR48)についても、薄いシートを採用できるように技術が進んだそうです。DNAプラチナシリーズも類似の技術が採用されているのかもしれませんね!ドイツ工場の技術が進んだ結果、今後も高性能なラバーがドイツ工場からどんどん販売されるのではないかと想像しています。これは非常に楽しみですね!

 本ページでレビューするDNAプラチナエキストラハードは、DNAプラチナシリーズの中で、最も硬度の硬いラバーになります。卓球の用具スペシャリスト、ゆうさんもDNAプラチナシリーズはエキストラハードを激推ししていまいた!ドイツ基準で52.5°の硬いラバーではありますが、激推しするということは、テナジーのように硬度の割にくい込みが良くて扱いやすいラバーだと想像してました。8,000円という価格設定も、STIGAさんの本気度を感じますね!それではレビューしていきましょう!

公表性能値

 STIGA(スティガ)さんの好評性能値を示します。

 DNAプラチナエキストラハードはSTIGAのラバーの中で最も性能の高いスピン系テンションラバーということがよくわかりますね!これは期待が持てますね!

また性能とある程度の相関を示す、硬度計による硬度比較を下記に示します。

 バタフライさんのラバーと比較すると、どちらかというと、ディグニクスよりはテナジーに近いラバーと感じました。特に近そうなのがテナジー05ですね。ただし、ラバー質量はDNAプラチナXHの方が重いのは注意が必要です。重さという点は、やはりバタフライのラバーは軽く、非常に優れるといえるでしょう。

DNAプラチナエキストラハードの重量と貼り

 DNAプラチナエキストラハードは53 gでした。想定していましたが、やはり重いですね汗。

DNA Platinum XH(ディーエヌエー プラチナ エキストラハード)
 High Tension(ハイテンション)裏ラバー
・スポンジ厚:MAX(2.3 mm)
・スピン:140
・スピード:168
・Sponge硬度:52.5
・8,000円 + 税
・74 g(切断前) → 53 g(Reinforce AC(リーンフォースAC)に貼って)

DNA Platinum XHの3つの特徴

 最近、インナーカーボンにはまってしまい、このラバーからインナーカーボンでの試打になってしまいます。非常に扱いやすくて良かったですが、今までのラバーとの比較はややあまくなるかもしれません。ご了承お願い申し上げます。

52.5°を感じさせない扱いやすさと高い回転性能!

 エキストラハードということで、もっと扱いにくいと想像していたのですが、インナーカーボンに貼ったこともあって、かなり扱いやすく感じました。また硬度計(Shore a)のシート側硬度とスポンジ側硬度の差がテナジー05と近い値から、くい込みの良いことは想像していましたが、テナジー05に近いくらいの扱いやすさ、回転のかけやすさ、回転性能の高さを感じました。これはいいですね!
 また回転性能なのですが、対下回転バックハンドドライブで相手をふかすことができるくらい良く回転がかかって好印象でした。バックハンドは下手なのでなかなか回転を安定させられないのですが、自分のバックハンドの技術でもDNA Platinum XHなら回転をかけやすく相手に対して武器になると感じましたね!

シートの粒が太いため、R53よりも強いグリップ感!

 ラザンターR53の高い回転性能には驚きましたが、R53はややシートの粒形状はテナジー05ではなくテナジー80よりだと感じました。つまりくい込んだ後の球離れが早く感じるんですね。一方、DNAプラチナXHはR53に似ているのですが、グリップ感は明らかにDNAプラチナXHに軍配が上がると感じました!これはおそらくシートの粒が太い設計であるためだと想像します。一方で、R53の方がボールにいい意味で荒々しさがあって球威を感じましたが、DNAプラチナXHは少しボールが浅くなり疾走感やボールの走り、2速の伸びも少し大人しく感じましたね。このあたりはトレードオフな性能だと思いますので仕方ないとも思います。個人的な感想としては、R53は派手さが、DNAプラチナXHには素直で高い回転性能が、それぞれの個性だと感じましたね!R53が使いこなせるのであれば、R53の方がハナのあるプレイがしやすく、DNAプラチナXHの方が派手さは下がるものの、使い手の実力以上のものを出しやすいラバーだと感じました!

ポストテナジー05の決定版!まさに重たいテナジー05!

 2021年のポストテナジー系ラバーにおいて、最もテナジー05に近いラバーだと感じました!それまではラザンターR48がその位置だと感じていましたが、回転性能は高いものの打球感とグリップ感は、テナジー05ではなくテナジー80っぽさがあり、完全に同じとは言い切れませんでした。今回のDNAプラチナXHは、重さこそ重いですが、太目の粒で得られるグリップのしやすさはまさにテナジー05に近く、それでいて回転量も類似の性能があるラバーだと感じました。硬度計比較でもかなり近い値をたたき出しており、重量をのぞけばまさにテナジー05といえるラバーがDNAプラチナXHでした!非常に良いラバーで、オススメできるラバーだと思います。

 また今回インナーカーボンのReinforce AC(リーンフォースAC)で試打しましたが、非常に好感触でした。STIGAの製品を考慮してもおそらく木材系ラケットにあいやすいラバーだと思います。木材系にあうなーと感じた他のラバーとしてはミズノのQ5が挙げられますが、硬くて粘着ラバーよりのスピン系テンションは木材系またはインナーカーボン系のラケットにあう傾向があると思います。DNAプラチナXHも漏れなく木材系やインナーカーボンにあうラバーでしょう!こういったラバーは、フォアハンドでの上書きループドライブのやりやすさでわかることが多いのですが、DNAプラチナXHはループドライブが非常に低くかつ回転量豊富で返球しやすかったです。こういったラバーは非常に好みです。重ささえ克服できれば非常に良い選択肢になると感じました!

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打

ラリーでのドライブ
 ボールを持ちますね。非常に扱いやすいと感じました。これはバタフライの05のシート構造に近いシートの粒形状ではないかと感じましたね。

面を開いたドライブ

対下回転に対するループドライブ
 高い回転性能を感じました。

対下回転に対するスピードドライブ
 くい込みが良いので思ったより打ちやすかったですね!ディグニクス05よりもスピードドライブは打ちやすいと思います。

ブロック
 やや回転を食らうと感じましたね。

カウンタードライブ

ストップ
 しっかり止まってやりやすかったです。

ツッツキ
 切れると感じました。

フリック

サービス
 サービスも出しやすいし切れました。

バックハンド系

軽打

ラリーでのドライブ
 ボールを持つので打ちやすいですね。ただし、少しラバーが重いのでふり遅れが多かったですね。

対下回転に対するループドライブ
 ものすごくやりやすくて、回転もよくかかっていて好印象でした。もう少し軽いということなしなのですがね。バックハンドドライブで相手をふかせるようになったのは嬉しかったです!

対下回転に対するスピードドライブ
 これもやりやすかったです。かなりオールマイティ感があって良かったですね。

ブロック

カウンタードライブ

ストップ

ツッツキ
 切りやすかったですね。

チキータ

他ラバーとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Dignics 05 > DNA Platinum XH > Tenergy 05

スピード
  Dignics 05 > DNA Platinum XH > Tenergy 05

扱いやすさ
 Rasanter R48 > DNA Platinum XH> Rasanter R53

進化型テナジー系テンション内での比較
 回転量
  Dignics 05 > Q5 ≧ DNA Platinum XH ≧ Rasanter R53 > Rasanter R48 ≧ Evolution MX-D

 スピード
   Dignics 05 ≧ Evolution MX-D > Rasanter R53 ≧ Q5 ≧ Rasanter R48 > DNA Platinum XH

https://amzn.to/3rHUch7

レビュー Virtuoso AC(ヴィルトーソAC)

説明

 Virtuoso AC(ヴィルトーソAC)は、ハンガリーのハンドメイド=手作り卓球工房OSP(オーエスピー)より販売されているラケットの1つになります。2021年注目のOSPラケットになりますね。OSPのホームページで存在を知り、WRM(ワールドラバーマーケット)さんが扱うことと、WRMさんのレビュー投稿でのポイントがかなりたまっていたので、思わず衝動買いしてしまいました!WRMさんでの購入になります。
 Virtuoso ACの説明において、登場するワードは、
・OSP Blades
・アラミドカーボン(Aramid Carbon)
・インナーカーボン(Inner Carbon)
になります。

OSP Blades

 OSPはハンガリーの卓球ラケットのハンドメイド工房になります。
ホームページ: https://ospblades.com/
実際にオーダーメイドをお願いしたことがないのですが、ホームページの情報からオーダーメイドすると、下記のように様々な仕様のラケットをお願いすることができるようです。

ラケットモデル(種類)

 OSPのラケットの特徴は、弾み過ぎず強い球持ちのあるラケットです。トップ選手にとっては弾みの弱さや爽快感の低さを感じるかもしれませんが、中級者以上の層にささる高い安定感とラリー志向のラケットが多いと思います。球持ちがあるけどボールが軽くなったり威力不足になるラケットや、もっと弾むラケット、スピードのでるラケットは他メーカーでも扱いがあると思いますが、ここまで球持ちと安定感のあってボールの重さや威力を感じるラケットを販売するラケットメーカーは少ないと思いますね。注目のラケットを以下に挙げます。

Martin AC(マーティンAC)
 アラミドカーボンアウター仕様のラケットです。最新のラインアップで、まだWRMで取り扱いはありませんが、今後WRMで取り扱い販売されるのでしょうか?。アウターカーボン、板厚5.8 mm、上板リンバのラケットになります。非常にスタンダードなブレードの厚さですが上板Limba(リンバ)なので、張継科ALCなどよりも柔らかくて球持ちを感じると思いますね。仕様の近そうなラケット、フレイタスALCよりもブレード厚さが薄いので飛距離も抑えられて扱いやすそうですね。

Martin Pro(マーティンプロ)
 7枚合板なのに珍しい板厚6.0 mm、上板リンバのラケットです。上板リンバは、例えばミズノのフォルティウスFTが挙げられるますが、板厚6.0 mmはフォルティウスFT Reの6.2 mmよりも薄いですね。7枚合板の力強さと、飛距離が抑えられたラケットではないかと想像します。

Virtuoso+(ヴィルトーソ+)
 5枚合板で板厚5.8 mm、上板リンバのラケットです。非常に球持ちを感じるオーソドックスなラケットです。5枚合板なのに、しっかりとした重量があって好印象でした。5枚合板のラケットは、同じ値段のラケットでも、個体を選別して選ばないと軽い個体と重い個体とではかなり異なるラケットになっめしまいます。5枚合板はやはり中級者以上では重いラケットの方が威力と扱いやすいさを両立できると思います。そういう意味でヴィルトーソ+は重かったので非常に好印象でした。

Ultimate Carbon(ウルティメイトカーボン)
 インナーと芯にカーボンを使ったラケットで、上板リンバ、ブレード厚さ5.7 mmの意欲的なラケットです。7枚合板のようなパワフルなラケットなのに球持ちもあるラケットですね。ブレード厚さ5.7 mmにもかかわらず、重量が重くて扱いにくさを感じるラケットでした。パワーのある方があつかえばかなりパワフルなラケットだと思います。 

グリップ

OSPの特徴として、全てのラケットについて、グリップ形状を6種類から選ぶことができます。
 フレア(FL)
 ラウンドストレート(丸ストレート、R-ST)
 スクエアストレート(角ストレート、S-ST)
 コニック(Co)
 アナトミック(AN)
 中国式ペンホルダー
最近はフレアが主流ですが、ストレートでも2種類から選べるのは嬉しいですね。ちなみに最近はフレアにハマっているので、購入したVirtuoso ACもフレアです。

ヘッドサイズ(ブレード面積)

OSPでは、ヘッドサイズ(ブレード面積)もオーダーできるようですね。katsuo000はそこまでヘッドサイズ(ブレード面積)にこだわりはないのですが、S、M、Lから選べるようです。ブレード面積が広いとラバーのサイズも必然的に広くなるので、その分ラケットが重くなる印象がありますね。

アラミドカーボン

 卓球王国さんでは、アラミドカーボン ≒ Butterfly(バタフライ)さんのArylate Carbon(アリレートカーボン、ALC)という扱いで、非常に打球感が似ているそうです。化学構造式は異なりますが、卓球王国さんがいうからには、ある程度の説得力を感じ、katsuo000も同じカテゴリーとして採用しています。バタフライさんのALCは商標登録されているみたいで、他のメーカーは使えないみたいなんですね。今年発売のNittaku(ニッタク)のキョウヒョウ龍5(Hurricane Long V)も、アリールカーボンで、アリレートカーボンという言葉は使っていませんし、使えないのでしょう。アラミドは防弾チョッキなどに使われる繊維で非常に硬い繊維になります。アラミドの中にはケブラー(Kevlar)という商標登録された繊維もあり、ニッタクやドイツのラケットにはケブラーカーボンやケブラー繊維をもちいたラケットもありますが、これもほぼALC、またはAL繊維をもちいたラケットと考えていただいて良いと思います。
 アラミドカーボンやALCはカーボンの硬すぎる打球感をマイルドにするためにアラミドやアリレート繊維を編み込んだ素材で、アウター、インナー問わず非常に人気の特殊素材になります。ただのカーボンインナーラケットよりも、球持ちを感じることもあり、卓人に重宝される特殊素材といえるでしょう。

インナーカーボン

 このVirtuoso ACはInner Aramid Carbon(インナーアラミドカーボン)ラケットになります。インナーカーボンは現在の卓球界では徐々に主流になりつつあるラケットカテゴリーで、ブランド化として成功しているのが、バタフライのInner Force Layer(インナーフォースレイヤー)シリーズになりますね。インナー位置に特殊素材を入れていることがわかりやすいラケットシリーズになります。カーボンの威力はやや落ちますが、木材ラケットと類似の高い球持ちと、強振したときのカーボンらしい威力が前に出るラケットといえば良いでしょうか。インナーカーボンは個人的には避けていたのですが、近年自分のバックハンド技術の低さに、球持ちのよいラケットをどんどん探求して、ついにインナーカーボンにも手を出し始めた次第です。

性能表

 OSPのホームページより数値を確認して作成しました。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: OSP_table.png

 katsuo000が気にするのはスピード性能、スピン性能、板厚ですね。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: osp_fig1.png
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: osp_fig2.png
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: osp_fig3.png

 当然といえば当然ですが、板厚はスピード性能と相関があって、スピン性能と板厚は逆相関しますね。個人的にはカーボンや特殊素材ありのラケットは画期的なもので、板厚を薄くしながらスピード性能を高くすることが可能なまさに万能ラケットを可能とする発明だと思います。

 今回レビューするVirtuoso ACはスピード性能はミドル、回転性能はVirtuoso+と同等というラケットになりますね。

 さすが、定価25,000円越えのラケットですね。非常に高級感があって見ただけでテンションがあがりました!すぐにレビューするつもりはなかったのですが、この高級感に、思わずテンションがあがり、試打することにしてしまいました!

 あと、届いてから感じたのですが、ブレード面積はやや広めですね。そのためによりラケットがしなりやすくなっているのだと思います。このサイズがMなのかLなのかわかりませんが、気持ちブレード面積が広いです。ただし、ディグニクス05は48 gでしたので重たくなるということもなかったですね。おそらく、フォルティウスFTやキョウヒョウ龍Vの方がブレード面積は大きいと思います。

Virtuoso AC類似ラケットとの比較

 仕様をみれば大体どのようなラケットか、わかる人にはわかると思います。まずOSP Bladeさんのホームページですね。

Virtuoso AC: http://ospblades.com/virtuoso-ac-aramid-carbon-controlled-offensive-table-tennis-blade-for-poly-ball/

Virtuoso ACはViruoso+(ヴィルトーソ+)をより攻撃的にしたラケットと言えばよいでしょうか。上板はリンバで、インナーアラミドカーボン(ALC)ということは、次のようなラケットが挙げられますね。ButterflyさんのInner Force Layer ALC(インナーフォースレイヤーALC)またはHarimoto Tomokazu Inner Force ALC(張本智和インナーフォースALC)、またニッタクのTornado King Power(トルネードキングパワー)やYASAKA(ヤサカ)のReinforce AC(リーンフォースAC)、andro(アンドロ)のTreiver CI OFF(トレイバーCIオフ)が類似のラケットになりますね!ただしブレード厚さが異なります。

 Virtuoso AC:             5.65 ± 0.05 mm / 88 g
 Inner Force Layer ALC:        6.0 mm      / 88 g
 Harimoto Tomokazu Inner Force ALC: 6.0 mm      / 87 g
 Tornado King Power:          5.8 mm      / 88 g
 Reinforece AC:             6.0 mm      / 87 g
 Inner Force Layer ALC.S:        5.5 mm      / 88 g

比べてみると、やはりVirtuoso ACがブレード厚さがかなり薄いことがよくわかりますね!もっと薄いラケットとなると、インナーフォースレイヤーALC.Sくらいになります。ブレード厚さは飛距離と相関があると思いますので、ヴィルトーソACは弾みを抑えたインナーカーボン系のラケットといえるでしょうね。

 今回、数球ですが、Reinforce AC(リーンフォースAC)と比較できました。そのあたりにも触れながらレビューさせていただきます。

Virtuoso ACの特徴

抜群の球持ち!まるで木材合板のような球持ち!

 一発で気に入ったのが球持ちになります!とにかく球を持ちまくります!木材合板のような球持ちでした!思い切り打ってもカーボンぽさを感じずカーボンと木材が融合しているような打球感でした。似ているラケットはレボルディアCNFでしょうか。両面ディグニクス05で試打したのですが、バックハンドが非常に球を持てるので非常に気に入りましたね。この打感は嬉しいです。しっかりバックハンドでもドライブをかけることができるので、メインで使える手ごたえを感じました!

5枚合板ラケットのように押されたりしない!

 5枚合板系ラケットのVirtuoso+も非常に球持ちがあって良いラケットでしたが、5枚合板らしく相手の強いボールに対し少し押されたりしなりすぎる感じがありました。ブロックはなれれば止められると思うのですが、普段から7枚合板や特殊素材ありのラケットを使うkatsuo000はこの5枚合板のおされる感じがあまり好きではないです。Virtuoso+はその部分が苦手でしたが、Virtuoso ACではそういった押されるといったことは感じませんでした。この部分も非常に気にいりましたね。

リーンフォースACよりも弾まない!

 上記の予想通りで、Virtuoso ACはリーンフォースACよりも弾みませんでした。軽くリーンフォースACも打ってみたのですが、オーバーミスが目立つと感じました。打球感はかなり近いとも感じましたね。そういう意味では、Virtuoso ACは割高といえば割高なラケットなのかもしれません。自分は今回ポイントで購入できたので、気にしませんでしたが、中高生や学生にはなかなかオススメは難しいとも感じました。

おすすめのラバー組み合わせ(あくまでも個人の感想)

フォアラバー

Dignics 05(ディグニクス05)

 ディグニクス05はとにかく回転性能の高いラバーです。テナジー05を上回りますね。ただし扱いにくさのあるラバーでもあります。その扱いにくさはラケットで補いつつ、ラバーの高いスピン性能と高い反発性能で、非常にバランスのとれた組み合わせになっていたと感じました。少々高い組み合わせになりますが、損はさせない組み合わせだと思います。
 またディグニクス05のボールが落ちない性能が出ていて、打球点を相当落としても ボールが上がって弧線を描いて沈むのでスピードドライブが打てそうな感じがありました。この性能はまさに粘着ラバーの性能ですね。粘着のような弧線の強さと、スピン系テンションラバーらしいスピード、チート感のあるディグニクス05の性能です。レボルディアCNFでも同様でしたが、Virtuoso ACは飛距離が出にくいので、スピードドライブが狙いやすいと感じました。

バックラバー

Dignics 05(ディグニクス05)

 バックでも十分扱える球持ちを感じました。ディグニクス05でバックで使用してここまで球持ちを感じることのできたラケットはVirtuoso ACが初めてになりますね。腕が良ければもっと他のラケットでも球持ちを感じられると思いますがkatsuo000はあまり腕が良くないのでここまで高級ラケットでないと球持ちを感じることが難しかったです。

 後日、第二子が生まれて機会の減ったカーテン打ちで確認できましたが、バックハンドドライブの回転量とループドライブの打ちやすさが他のラケットと比較してもダンチでした!非常に良い!加えて、ディグニクス05は、何故かインナーフォースレイヤーZLFにはあわないと感じます。この理由がよくわからないので、今後確認したいですね。エキスパートカーボンとテナジー05ハードをあわせたときに感じた、柔らかすぎるのが良くないんですかね。今後何かわかったらブログで書きたいと思ってます。

各技術レビュー

フォアハンド系

軽打
 特に違和感はありませんでした。

ロングボールやラリーでのドライブ
 少しスピード不足は感じましたが、良い打球感です。またボールが上に上がるのが良いですね。ネットよりも低いボールでもスピードドライブが打てそうなくらい球が上にあがります。これは素晴らしい性能ですね。しっかり意識して試合でも使えるようにしたい技術です。

面を開いたドライブ
 打球点を落としてもしっかり相手のコートで沈んでくれて入ります。いいですね。

対下回転に対するループドライブ
 球を持ちすぎてオーバーミスが多かったです。ただしレボルディアCNFと比較して質が高くかつ回転量の多いボールが打てている手ごたえはありました。何よりしっかりナチュラルにボールを持つので非常にコントロールしやすかったです。最終的には使い込まないと慣れないので使い込まないといけないですね。

対下回転に対するスピードドライブ
 打ちやすかったですね。非常に好みの打球感でした。なんだかんだ上板リンバは好きです。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 やりやすかったです。

カウンタードライブ

ストップ
 止まりすぎてネットミスが散見されました。弾まないんですよね。慣れが必要です。

ツッツキ
 同じく止まりすぎました。

フォアフリック

バックハンド系

軽打
 ボールをつかむので安心感がありました。

ロングボールやラリーでのドライブ
 こちらも安心感がレベチでした。いいですね。多少差し込まれていても押し返せる感じもあったのが好印象でした。ドライブが引き込めて良かったです。

対下回転に対するループドライブ
 しっかりボールを持つことができるので良かったです。ディグニクス05でしっかりボールをつかむのは好印象でした。

対下回転に対するスピードドライブ
 これもやりやすかったです。バックハンドドライブはついついスピードドライブの方が打ちやすいと思うのですが結構入ってくれてうまくなった錯覚をしてしまいました。

カーブ/シュートドライブ

ブロック
 球を持つので下がっても返せる安心感がありました。

カウンタードライブ

ストップ
 止まりますね。止まりすぎです。

ツッツキ
 こちらも慣れないのでネットに引っかかってしまいました。

チキータ
 安定して打てました。少し差し込まれると飛ばせないときもありました。それでもレシーブを積極的に攻めることのできるラケットだと感じました。

他ラケットとの比較(あくまでも個人の感想)

回転量
 Virtuoso+ > Virtuoso AC > Revoldia CNF

回転のかけやすさ
 Virtuoso+ > Virtuoso AC > Revoldia CNF

スピード
 Revoldia CNF > Virtuoso AC > Virtuoso+

飛距離
 Reinforce AC > Revoldia CNF > Virtuoso AC > Virtuoso+

雑感 2021/5/20 DNA Platinum!?

卓球王国 2021年7月号発売!

 5月は卓球王国の月ですね!別冊卓球グッズ2021が5/17に販売され、定期購読している卓球王国7月号(5/20発売)が発売でウキウキする5月です!卓球グッズ2021で、2021年春の新商品は出そろったかな~なんて思っていたら、卓球王国7月号にSTIGAの新広告が!?

〇 DNA Platinum(DNAプラチナ)シリーズ
 より優れたグリップ力と最大のスピンを備えた高速ラバー
 低い粒形状と薄いトップシートは、DNAプラチナがより厚いスポンジ(最大2.3 mm)に対応できることを意味し、打球のスピードとパワーを向上させる。Power Sponge Cells(PSC)テクノロジーを採用し、打球のパワーが強くなり、しっかりとした弧線を描くことで、深い弾道のボールが打てる。
 ・DNA Platinum XH (MAX(2.3 mm)のみ) 52.5°
 ・DNA Platinum H(MAX(2.3 mm)、特厚(2.1 mm)) 50.0°
 ・DNA Platinum M(MAX(2.3 mm)、特厚(2.1 mm)) 47.5°
 ・DNA Platinum S(MAX(2.3 mm)、特厚(2.1 mm)) 42.5°

価格がなんと、8,000円 (+税)と、テナジーと同じ値段ですね汗。androさんのRasanter R53、R48、R45、TIBHARさんのEvolution MX-Dとドイツ製ラバーはテナジー類似の高性能ラバーが登場しつつあります。それらと同じような技術が採用されているのではないか、とkatsuo000は勝手に想像した次第ですね。非常に気になりますね~。STIGAさんはラケットが木材系が多く、カーボンありでも独特の球持ちを有するラケットが多いです。またおそらく、木材に相性の良いラバーではないかと想像しております。うーん、気になるですね~。欲しいです。